JP4393030B2 - 光学式位置検出装置及び記録媒体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、光走査系と光再帰性反射体とを用いて光遮断物の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置、及び、光学式位置検出装置における動作プログラムを記録した記録媒体に関する。
背景技術
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を人の指または特定の器具等の指示物により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。パーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。
このような座標面となる表示画面上の指示位置を検出する装置の一例として、光学的な位置検出装置が、特公昭62−32491号公報に開示されている。この装置は、表示画面を指示する指示部材と、表示画面上での走査光を発する少なくとも2つの光走査器と、走査光を反射する反射手段と、走査光が指示部材に当たった時点を検出する手段とを備え、光走査器による光走査の開始時点または終了時点と走査光が指示部材に当たった時点との関係に基づいて、表示画面における指示部材の位置を検出する。
また、他の光学的な位置検出装置が、特開昭57−211637号公報に開示されている。この装置は、レーザ光線のような絞った光を表示画面の外側から角度走査し、反射手段を有する専用ペンからの反射光の2つのタイミングから専用ペンが存在する角度を夫々求め、求めた角度を三角測量の原理にあてはめて位置座標を計算にて検出する。
更に、他の光学的な位置検出装置が、特開昭62−5428号公報等に提案されている。この装置は、表示画面の両側枠に反射手段としての光再帰性反射体を配置し、角度走査したレーザ光線のこの光再帰性反射体からの戻り光を検知し、指またはペンによって光線が遮断されるタイミングから指またはペンの存在角度を求め、求めた角度から三角測量の原理にて位置座標を検出する。
光学式位置検出装置において、走査光の反射手段が汚れていたり、反射手段自身に塵が付着している場合には。正常な検出動作を行えない。しかしながら、上述したような従来の光学式位置検出装置は何れも、このような汚れ,塵を検出する機能が設定されておらず、これらが原因となる動作不良を起こし易いという問題がある。
また、光再帰性反射体を配置した従来の光学式位置検出装置にあっては、表示画面内における位置検出しか行っておらず、表示画面と光再帰性反射体との間の領域を有効に利用できていないという問題もある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、表示画面外の領域を有効に利用できる光学式位置検出装置及びその動作プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、光再帰性反射体の汚れ、及び/または、光再帰性反射体上或いはその近傍の塵を検出できる光学式位置検出装置及びその動作プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、光再帰性反射体の汚れ、及び/または、光再帰性反射体上或いはその近傍の塵を検出して、その汚れ及び/または塵が原因となる動作不良を未然に防止できる光学式位置検出装置及びその動作プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、光走査部(ポリゴンミラー)の動作不良を容易に検出できて、位置検出処理の安定動作が可能である光学式位置検出装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、光送受器を覆うカバーの汚れを検出できる光学式位置検出装置を提供することにある。
発明の開示
本発明では、所定領域(表示画面)だけでなく、所定領域の外側の範囲(所定領域と光再帰性反射体との間の領域)でも、所定領域と同様に、光遮断物の位置検出を行う。よって、所定領域の外側の範囲も有効的に利用でき、例えば、そこに仮想ボタンを設けることが可能である。
本発明では、戻り反射光の受光結果に従って算出した光遮断物の位置、及び、光遮断物にてその受光レベルが低下している継続時間に基づいて、光再帰性反射体上またはその近傍の塵を検出する。具体的には、算出した光遮断物の位置が光再帰性反射体の位置に合致するかまたはその近傍であり、しかも、光遮断物による受光レベルの低下が所定時間以上継続する場合に、塵があると判断する。よって、光再帰性反射体周辺の塵を検出できるので、その塵が原因となる動作不良を未然に防止することが可能である。
本発明では、戻り反射光の受光レベルに基づいて、光再帰性反射体の汚れを検出する。具体的には、その受光レベルが、光遮断物があるときよりは低く、全く何もないときよりは高い場合に、光再帰性反射体が汚れていると判断する。よって、光再帰性反射体の汚れを検出できるので、その汚れが原因となる動作不良を未然に防止することが可能である。
本発明では、戻り反射光の受光レベルが周期的に減衰する場合に、光走査部(ポリゴンミラー)が動作不良であることを検出する。よって、迅速に対策を施せて、位置検出処理を安定して行える。
本発明では、光送受器がカバーで覆われている場合、戻り反射光の受光信号のベース電位に基づいて、その汚れを検出する。具体的には、ベース電位が所定値より高い場合に、汚れていると判断する。よって、その汚れが原因となる動作不良を未然に防止することが可能である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
第1図(a)は光学式位置検出装置の正面図である。この光学式位置検出装置1は、全体として蓋及び底がない中空直方体の筐体状をなしており、4個の側面枠1a,1b,1c,1dを有する。第1図(a)で上側の側面枠1aは、他の3個の側面枠1b,1c,1dに比べて幅が大きくなっており、後述する内部構成を有する光学ユニット10a,10bを両端部に内蔵している。更に、これらの3個の側面枠1b,1c,1dには、光再帰性反射体4が設けられている。
第1図(b)は、表示装置の正面図であり、偏平直方体状の表示装置20は表示画面21とこれが取り付けられた画面枠22とを有する。このような表示装置20に、上述した構成の光学式位置検出装置1が外付けされる。第2図は光学式位置検出装置1を表示装置20に外付けした状態を示す正面図である。
第3図は、光学ユニット10a,10bの構成及び光路を示す図である。両光学ユニット10a,10bは同じ内部構成をなしている。光学ユニット10a(10b)は、赤外線レーザ光を出射するレーザダイオード(LD)からなる発光素子11と、発光素子11からのレーザ光を平行光にするためのコリメーションレンズ12と、光再帰性反射体4からの反射光を受光するフォトダイオード(PD)からなる受光素子13と、受光素子13への入射光を制限するためのアパーチャ14aを有する遮光部材14と、発光素子11からのレーザ光を角度走査するための例えば4角柱状のポリゴンミラー15と、アパーチャ16aによりコリメーションレンズ12からポリゴンミラー15への投射光を制限すると共に、ポリゴンミラー15を介した光再帰性反射体4からの反射光を受光素子13側へ反射するアパーチャミラー16と、アパーチャミラー16での反射光を集束させるための集光レンズ17と、ポリゴンミラー15を回転させるモータ18と、これらを取付け固定するための光学ユニット本体19とを備える。
発光素子11から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ12にて平行光にされ、アパーチャミラー16のアパーチャ16aを通過した後、ポリゴンミラー15の回転によって光学式位置検出装置1の各側面枠1a,1b,1c,1dに実質的に直交する面内を角度走査されて光再帰性反射体4に投射される。そして、光再帰性反射体4からの反射光が、ポリゴンミラー15及びアパーチャミラー16にて反射された後、集光レンズ17で集束されて遮光部材14のアパーチャ14aを通って、受光素子13に入射される。但し、走査光の経路に物体が存在する場合には走査光が遮断されるため、反射光が受光素子13に入射されることはない。
第4図は、光学ユニット10a,10bに接続される回路構成及び位置検出の処理状態を示す図である。
各光学ユニット10a,10bには、各発光素子11を駆動する発光素子駆動回路32a,32bと、各受光素子13の受光量を電気信号に変換する受光信号検出回路33a,33bと、各ポリゴンミラー15の動作を制御するポリゴン制御回路34とが接続されている。
制御部35は、発光素子駆動回路32a,32bに駆動制御信号を送り、その駆動制御信号に応じて発光素子駆動回路32a,32bが駆動されて、各発光素子11の発光動作が制御される。受光信号検出回路33a,33bは、各受光素子13での反射光の受光信号を制御部35へ送る。制御部35は、受光信号検出回路33a,33bからの受光信号に基づいて、指,ペン等の光遮断物Sの位置,大きさの算出処理、光再帰性反射体4の汚れの検出処理、光再帰性反射体4周辺の塵の検出処理などを行うと共に、装置全体の動作を制御する。
第5図は、制御部35の構成図である。制御部35は、CPU41とROM42とRAM43と表示インターフェース44とを有する。CPU41は、これらのハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、ROM42に格納されたコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。ROM42は、光学式位置検出装置の処理動作に必要な種々のソフトウェアのプログラムを予め格納している。RAM43は、SRAMまたはフラッシュメモリ等で構成され、ソフトウェアの実行時に発生する一時的なデータ,ソフトウェアの実行に必要な閾値レベルなどを記憶する。また、表示インターフェース44は、表示装置20におけるユーザへのメッセージ表示などを制御する。
次に、位置検出の動作について説明する。第4図に示されているように、例えば光学ユニット10bに関して説明すると、光学ユニット10bからの投射光は、自身の受光素子13に直接入射する位置から第4図上で反時計方向回りに走査され、光再帰性反射体4の先端部分で反射される位置(Ps)に至って走査開始位置になる。そして、光遮断物Sの一端に至る位置(P1)までは光再帰性反射体4により反射されるが、指示物Sの他端に至る位置(P2)までの間は光遮断物Sによって遮断され、その後の走査終了位置(Pe)に至るまでは光再帰性反射体4により反射される。
次に、光遮断物Sの位置,大きさの具体的な算出動作について説明する。第6図は、その算出原理を示す模式図である。但し、第6図では光学ユニット10a,10b、光再帰性反射体4、表示画面21以外の構成部材は図示を省略している。また、光遮断物Sとして指を用いた場合を示している。
制御部35はポリゴン制御回路34を制御することにより、光学ユニット10a,10b内の各ポリゴンミラー15を回転させて、各発光素子11からのレーザ光を角度走査する。この結果、光再帰性反射体4からの反射光が各受光素子13に入射する。このようにして各受光素子13に入射した光の受光量は受光信号検出回路33a,33bの出力である受光信号として得られる。
なお、第6図において、θ00,φ00は両光学ユニット10a,10bを結ぶ基準線から各受光素子までの角度を、θ0,φ0は両光学ユニット10a,10bを結ぶ基準線から光再帰性反射体4の端部までの角度を、θ1,φ1は基準線から光遮断物Sの基準線側端部までの角度を、θ2,φ2は基準線から光遮断物Sの基準線と逆側端部までの角度を夫々示している。
表示画面21上の走査光の光路に光遮断物Sが存在する場合には、光学ユニット10a,10bから投射された光の光遮断物Sからの反射光は各受光素子13に入射されない。従って、第6図に示されているような状態では,走査角度が0°からθ0までの間では光学ユニット10a内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がθ0からθ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がθ1からθ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。同様に、走査角度が0°からφ0までの間では光学ユニット10b内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がφ0からφ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がφ1からφ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。
次に、このようにして求めた遮断範囲から、光遮断物S(本例では指)の中心位置(指示位置)の座標を求める処理について説明する。まず、三角測量に基づく角度から直交座標への変換を説明する。第7図に示すように、光学ユニット10aの位置を原点O、表示画面21の上辺,左辺をX軸,Y軸に設定し、基準線の長さ(光学ユニット10a,10b間の距離)をLとする。また、光学ユニット10bの位置をBとする。表示画面21上の光遮断物Sが指示した中心点P(Px,Py)が、光学ユニット10a,10bからX軸に対してθ,φの角度でそれぞれ位置している場合、点PのX座標Px,Y座標Pyの値は、三角測量の原理により、それぞれ以下の(1),(2)式のように求めることができる。
Px(θ,φ)=(tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L
…(1)
Py(θ,φ)=(tanθ・tanφ)÷
(tanθ+tanφ)×L …(2)
ところで、光遮断物S(指)には大きさがあるので、検出した受光信号の立ち上がり/立ち下がりのタイミングでの検出角度を採用した場合、第8図に示すように、光遮断物S(指)のエッジ部の4点(第8図のP1〜P4)を検出することになる。これらの4点は何れも指示した中心点(第8図のPc)とは異なっている。そこで、以下のようにして、中心点Pcの座標(Pcx,Pcy)を求める。Pcx,Pcyは、それぞれ以下の(3),(4)式のように表せる。
Pcx(θ,φ)=Pcx(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)
…(3)
Pcy(θ,φ)=Pcy(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)
…(4)
そこで、(3),(4)式で表されるθ1+dθ/2,φ1+dφ/2を上記(1),(2)式のθ,φとして代入することにより、指示された中心点Pcの座標を求めることができる。
なお、上述した例では、最初に角度の平均値を求め、その角度の平均値を三角測量の変換式(1),(2)に代入して、指示位置である中心点Pcの座標を求めるようにしたが、最初に三角測量の変換式(1),(2)に従って走査角度から4点P1〜P4の直交座標を求め、求めた4点の座標値の平均を算出して、中心点Pcの座標を求めるようにすることも可能である。また、視差、及び、指示位置の見易さを考慮して、指示位置である中心点Pcの座標を決定することも可能である。
ところで、各ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合には、時間を計時することにより走査角度の情報を得ることができる。第9図は、受光信号検出回路33aからの受光信号と、光学ユニット10a内のポリゴンミラー15の走査角度θ及び走査時間Tとの関係を示すタイミングチャートである。ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合、その走査角速度をωとすると、走査角度θ及び走査時間Tには、下記(5)式に示すような比例関係が成り立つ。
θ=ω×T …(5)
よって、受光信号の立ち下がり,立ち上がり時の角度θ1,θ2は、それぞれの走査時間t1,t2と下記(6),(7)式の関係が成り立つ。
θ1=ω×t1 …(6)
θ2=ω×t2 …(7)
従って、ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合には、時間情報を用いて、光遮断物S(指)の遮断範囲及び座標位置を計測することが可能である。
また、計測した遮断範囲から光遮断物S(指)の大きさ(断面の直径)を求めることも可能である。第10図は、この光遮断物Sの断面の直径の計測原理を示す模式図である。第10図において、D1,D2はそれぞれ光学ユニット10a,10bから見た光遮断物Sの断面の直径である。まず、光学ユニット10a,10bの位置O(0,0),B(L,0)から光遮断物Sの中心点Pc(Pcx,Pcy)までの距離OPc(r1),BPc(r2)が、下記(8),(9)式の如く求められる。
OPc=r1=(Pcx+Pcy1/2 …(8)
BPc=r2={(L−Pcx)+Pcy1/2 …(9)
光遮断物Sの断面の半径が中心点までの距離と遮断角度の半分の正弦値との積で近似できるので、各断面の直径D1,D2は、下記(10),(11)式に従って計測可能である。
D1=2・r1・sin(dθ/2)
=2(Pcx+Pcy1/2・sin(dθ/2)
…(10)
D2=2・r2・sin(dφ/2)
=2{(L−Pcx)+Pcy1/2
・sin(dφ/2) …(11)
なお、dθ/2,dφ/2≒0である場合には、sin(dθ/2)≒dθ/2≒tan(dθ/2),sin(dφ/2)≒dφ/2≒tan(dφ/2)と近似できるので、(10),(11)式においてsin(dθ/2),sin(dφ/2)の代わりに、dθ/2またはtan(dθ/2),dφ/2またはtan(dφ/2)としても良い。
ところで、第4図に示すように、光学ユニット10a,10bからのレーザ光は、表示画面21内だけでなくその外側の領域、つまり表示画面21と光再帰性反射体4との間の領域も走査することができ、その光再帰性反射体4からの反射光を光学ユニット10a,10bで受光できる。よって、このような領域に光遮断物が存在する場合にも、表示画面21内と全く同様に、その位置を算出することが可能である。また、表示画面21の大きさ情報と位置情報とを予め入力設定しておくことにより、その算出位置から、光遮断物が表示画面21内に存在するかまたは表示画面21外に存在するかを容易に判別できる。以下、表示画面21外の領域での光遮断物の検出及び位置算出を利用した例(塵の検出,仮想ボタンの利用)について説明する。
まず、光再帰性反射体4上またはその近傍に存在する光遮断物の検出について説明する。第11図は、下側の側面枠1cの光再帰性反射体4に光遮断物Sがある状態を示す図である。このような状態での光学ユニット10a,10bの受光信号を第12図(a),(b)に夫々示す。また、第13図は、右側の側面枠1dの光再帰性反射体4に光遮断物Sがある状態を示す図である。このような状態での光学ユニット10a,10bの受光信号を第14図(a),(b)に夫々示す。なお、第12図及び第14図における破線は光遮断物を検出するための閾値レベルであり、走査範囲内でこの閾値レベルより受光信号レベルが低下した場合には、光遮断物があることを検出する。
下側の側面枠1cの光再帰性反射体4に光遮断物Sがある場合には、両光学ユニット10a,10bにて共にその光遮断物Sを検出しており、右側の側面枠1dの光再帰性反射体4に光遮断物Sがある場合には、その領域には光学ユニット10bからレーザ光が走査されないので、光学ユニット10aのみでその光遮断物Sを検出している。なお、左側の側面枠1bの光再帰性反射体4に光遮断物がある場合には、光学ユニット10bのみでその光遮断物を検出することになる。
このように、光学ユニット10a,10bと光再帰性反射体4との位置情報を予め入力設定しておくことにより、光遮断物の算出位置に基づいて、どの側面枠の光再帰性反射体4上またはその近傍に光遮断物が存在するかを検出できる。
次に、仮想ボタンの利用例について説明する。第15図は、仮想ボタンの設置例を示す図である。表示画面21の外側であって、光遮断物の位置検出が可能である領域に、特定の機能を外部から受け付けるための仮想ボタン51を設けている。よって、表示画面21の外側を有効的に利用でき、隠しコマンド入力手段としても使用できる。ユーザは、この仮想ボタン51を押すことにより、所望のコマンドを入力できる。
第16図は、ユーザインターフェースを向上させるために、仮想ボタン51のテンプレート52を表示装置20に取り付けた状態を示す図である。走査光に干渉しないように、テンプレート52の厚さは薄い方が良い。表示装置20に予め段差を設けておき、その段差にテンプレート52を嵌め込むようにしても良い。
なお、第15図及び第16図では、表示画面21の上下外側に仮想ボタン51を設けているが、その左右外側に仮想ボタン51を設けても良いことは言うまでもない。
第17図は、このような仮想ボタン51の形状例を示す図である。三角測量の原理にて光遮断物の位置を算出しているので、光学ユニット10a,10bと表示画面21との間であって、しかも両光学ユニット10a,10bの中間またはその近傍に仮想ボタンを設ける場合(第17図の仮想ボタン51a)、横長方向に位置算出精度が悪くなる。よって、この領域に設置する仮想ボタン51aの形状を横長として、ボタン押下を安定的に検出できるようにする。また、同じ理由により、表示画面21を介して光学ユニット10a,10bの反対側であって、しかも表示装置20の両端付近に仮想ボタンを設ける場合(第17図の仮想ボタン51b)、縦長方向に位置算出精度が悪くなる。よって、この領域に設置する仮想ボタン51bの形状を縦長として、ボタン押下を安定的に検出できるようにする。
第18図は、本発明の光学式位置検出装置における処理手順を示すフローチャートである。まず、CPU41は、光遮断物を検出してその位置を算出する(ステップS1)。CPU41は、その光遮断物の算出位置が表示画面21内であるか否かを判定し(ステップS2)、表示画面21内である場合には(S2:YES)、入力手段(例えば指)による指示入力に基づく描画処理を行う(ステップS7)。
次に、CPU41は、光遮断物の算出位置が光再帰性反射体4上またはその近傍であるか否かを判定する(ステップS3)。そうでない場合に(S3:NO)、CPU41は、算出位置が仮想ボタン51の位置であるか否かを判定する(ステップS8)。仮想ボタン51の位置である場合には(S8:YES)、CPU41は、入力手段(例えば指)で仮想ボタン51が指示されたとしてその仮想ボタン51の処理を実行する(ステップS9)。仮想ボタン51の位置でない場合には(S8:NO)、ユーザが誤って触ったと考えられるので、CPU41は、そのまま処理を終了する。
光遮断物の算出位置が光再帰性反射体4上またはその近傍である場合には(S3:YES)、CPU41は、その旨をユーザへ通知する(ステップS4)。第19図は、この通知例を示す図であり、「光再帰性反射体上に光遮断物が存在」というメッセージをその位置情報と共に表示画面21に表示してユーザに知らせる。第20図は、他の通知例を示す図であり、光遮断物存在のメッセージを表示すると共に、その光遮断物の位置を矢印で表示する。このようにすることにより、入力手段(例えば指)に使用している以外のものが光再帰性反射体4上またはその近傍にないか、ユーザに注意を促すことができる。
次に、CPU41は、光再帰性反射体4上またはその近傍の光遮断物が所定時間以上(例えば1分以上)存在しているか否かを判定する(ステップS5)。所定時間以上存在している場合には(S5:YES)、CPU41は、その光遮断物は塵であると判断して、塵の除去を指示する(ステップS6)。第21図は、この指示例を示す図であり、「光再帰性反射体の塵の除去」というメッセージをその位置情報と共に表示画面21に表示してユーザに知らせる。第22図は、他の指示例を示す図であり、塵除去のメッセージを表示すると共に、その塵の位置を矢印で表示する。このようにすることにより、塵の存在がユーザに通知され、塵が迅速に除去されて、塵が原因となる動作不良を未然に防止できる。
なお、所定時間内に光遮断物が消失した場合には(S5:NO)、ユーザが誤って触ったと考えられるので、CPU41は、光遮断物存在のメッセージ表示を終了する(ステップS10)。
なお、上述した例では、光再帰性反射体4上またはその近傍の塵と仮想ボタン51の押下とを算出位置に基づいて判別したが、光遮断時間に基づいて判別することも可能である。具体的には、光遮断時間が所定時間より長い場合には光再帰性反射体4上またはその近傍の塵と判断し、光遮断時間が所定時間より短い場合には仮想ボタン51の押下と判断する。
次に、光再帰性反射体4の汚れを検出する実施の形態について説明する。第23図は、下側の側面枠1cの光再帰性反射体4に汚れDがある状態を示す図である。このような状態での光学ユニット10a,10bの受光信号を第24図(a),(b)に夫々示す。なお、第24図における破線は第12,14図と同様の光遮断物を検出するための閾値レベルであり、第24図における点線は光再帰性反射体4の汚れを検出するために必要な汚れ検出レベルである。この汚れ検出レベルは、閾値レベルよりも高レベルである。
第25図は、この光再帰性反射体4の汚れを検出する処理手順を示すフローチャートである。CPU41は、走査範囲において受光信号レベルが閾値レベルより低くなったか否かを判定し(ステップS11)、低くなった場合には(S11:YES)、光遮断物が存在すると判断する(ステップS15)。閾値レベルより低くならなかった場合には(S11:NO)、CPU41は、走査範囲において受光信号レベルが汚れ検出レベルより低くなったか否かを判定する(ステップS12)。
受光信号レベルが汚れ検出レベルより低くなった場合には(S12:YES)、CPU41は、光再帰性反射体4に汚れがあることを検出してその位置を算出する(ステップS13)。そして、CPU41は、ユーザに光再帰性反射体4の清掃を指示する(ステップS14)。第26図は、この指示例を示す図であり、「光再帰性反射体の清掃」というメッセージをその位置情報と共に表示画面21に表示してユーザに知らせる。このようにすることにより、光再帰性反射体4の汚れがユーザに通知され、光再帰性反射体4が迅速に清掃されて、その汚れが原因となる動作不良を未然に防止できる。
なお、第25図におけるS15の処理の後に、第18図に示したS1〜S10の処理を結び付けることにより、正常な描画処理,光再帰性反射体4の汚れ検出処理,仮想ボタンの押下検出処理及び光再帰性反射体4上またはその近傍の塵検出処理を一連的に実行することが可能である。
次に、ポリゴンミラー15の走査光ずれを検出する実施の形態について説明する。第27図は、光学ユニット10a,10bでの受光信号の一例をポリゴンミラー15の4個の各走査面に対応して示す図である。受光信号レベルが周期的に閾値レベルより低下しており、第27図では、ポリゴンミラー15の第3走査面に対応する受光信号のみが閾値レベルより低くなっている。
ポリゴンミラー15の面倒れ角は均一ではないので、走査光が光再帰性反射体4から外れた場合、反射光が得られず、第27図のようなパターンを呈する。このように、そのレベルが周期的に閾値レベルより低下するように受光信号が変動したことを検出した場合に、ポリゴンミラー15の動作不良と判断することができる。
このようなポリゴンミラー15の動作不良を検知した場合には、光遮断物の位置算出を行うソフトウェアにおいて、移動平均を求める、最大,最小の値は除去するなどのスムージング処理を行うことにより、算出データを安定させることができる。
次に、光学ユニット10a,10bにカバーを設けた場合に.そのカバーの表面の汚れを検出する実施の形態について説明する。第28図は、光学ユニット10a,10bへ外部から塵などが侵入することを防止するために、光学ユニット10a,10bを覆うようにカバー53を設けた状態を示す図である。
このような状態での光学ユニット10a,10bの受光信号の例を第29図に示す。第29図(a)はカバー53の表面が汚れていない場合の受光信号を示し、第29図(b)はカバー53の表面が汚れ汚れている場合の受光信号を示す。なお、第29図における破線は光遮断物を検出するための閾値レベルであり、点線はカバー53の表面の汚れを検出するために必要な基準電位を表す。
カバー53の表面が汚れていない場合には、ベース電位は高くなっていない。一方、汚れている場合には、その汚れからの乱反射によって、受光信号のベース電位が上昇する。よって、このようなベース電位の上昇を検知することにより、カバー53の表面の汚れを検出できる。
第30図は、このカバー53の表面の汚れを検出する処理の手順を示すフローチャートである。CPU41は、得られた受光信号のベース電位を測定し(ステップS21)、その測定値が基準電位より高いか否かを判定する(ステップS22)。高い場合には(S22:YES),CPU41は、カバー53の表面に汚れがあることを検出し(ステップS23)、ユーザにカバー53の清掃を指示する(ステップS24)。第31図は、この指示例を示す図であり、「カバーの清掃」というメッセージを表示画面21に表示してユーザに知らせる。このようにすることにより、カバー53の表面の汚れがユーザに通知され、カバー53が迅速に清掃されて、その汚れが原因となる動作不良を未然に防止できる。一方、測定ベース電位が基準電位より高くない場合には(S22:NO)、CPU41は、カバー53の表面に汚れがないと判断する(ステップS25)。
なお、以上のような第30図に示すS21〜S25の処理を、第18図及び/または第25図のフローチャートに結び付けて、一連的に実行するようにできることは勿論である。
第32図は、本発明の記録媒体の実施の形態の構成を示す図である。ここに例示するプログラムは、前述した光遮断物の位置及び大きさの算出処理、第18図,第25図,第30図に示す各フローチャートの処理の一部または全部を含んでおり、以下に説明する記録媒体に記録されている。
第32図において、コンピュータ60とオンライン接続する記録媒体61は、コンピュータ60の設置場所から隔たって設置される例えばWWW(World Wide Web)のサーバコンピュータを用いてなり、記録媒体61には前述の如きプログラム61aが記録されている。記録媒体61から読み出されたプログラム61aがコンピュータ60を制御することにより、コンピュータ60が上述した各処理を実行する。
コンピュータ60の内部に設けられた記録媒体62は、内蔵設置される例えばハードディスクドライブまたはROM(第5図のROM42が該当)などを用いてなり、記録媒体62には前述の如きプログラム62aが記録されている。記録媒体62から読み出されたプログラム62aがコンピュータ60を制御することにより、コンピュータ60が上述した各処理を実行する。
コンピュータ60に設けられたディスクドライブ60aに装填して使用される記録媒体63は、運搬可能な例えば光磁気ディスク,CD−ROMまたはフレキシブルディスクなどを用いてなり、記録媒体63には前述の如きプログラム63aが記録されている。記録媒体63から読み出されたプログラム63aがコンピュータ60を制御することにより、コンピュータ60が上述した各処理を実行する。
なお、上述した例では、表示装置に外付けされる光学式位置検出装置の場合について説明したが、表示画面が一体化されている光学式位置検出装置についても、本発明を同様に適用できることは勿論である。
産業上の利用可能性
以上のように本発明では、所定領域(表示画面)内だけでなく、所定領域の外側の範囲でも、所定領域と同様に、光遮断物の位置検出を行うので、所定領域の外側の範囲も有効的に利用できる。また、光再帰性反射体上或いはその近傍の塵、及び/または、光再帰性反射体の汚れを検出できるので、これらが原因となる動作不良を未然に防止することが可能である。また、光走査部(ポリゴンミラー)の動作不良を容易に検出できて、位置検出処理の安定動作を行える。更に、光送受器を覆うカバーの汚れを検出できるので、それが原因となる動作不良を未然に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は光学式位置検出装置の正面図、第1図(b)は表示装置の正面図、第2図は光学式位置検出装置を表示装置に外付けした状態を示す正面図、第3図は光学ユニットの構成及び光路を示す図、第4図は光学ユニットに接続される回路構成及び位置検出の処理状態を示す図、第5図は制御部の構成を示すブロック図、第6図は光遮断物の位置,大きさの算出原理を示す模式図、第7図は座標検出のための三角測量の原理を示す模式図、第8図は光遮断物及び遮断範囲を示す模式図、第9図は受光信号と走査角度と走査時間との関係を示すタイミングチャート、第10図は光遮断物の断面の直径の計測原理を示す模式図、第11図は下側の光再帰性反射体に光遮断物(塵)がある状態を示す図、第12図(a),(b)は第11図の状態での光学ユニットの受光信号を示す図、第13図は右側の光再帰性反射体に光遮断物(塵)がある状態を示す図、第14図(a),(b)は第13図の状態での光学ユニットの受光信号を示す図、第15図は仮想ボタンの設置例を示す図、第16図は仮想ボタンのテンプレートを表示装置に取り付けた状態を示す図、第17図は仮想ボタンの形状例を示す図、第18図は光学式位置検出装置における処理手順を示すフローチャート、第19図は光再帰性反射体上に光遮断物が存在することをユーザに通知する一例を示す図、第20図は光再帰性反射体上に光遮断物が存在することをユーザに通知する他の例を示す図、第21図は塵を除去することをユーザに指示する一例を示す図、第22図は塵を除去することをユーザに指示する他の例を示す図、第23図は光再帰性反射体に汚れがある状態を示す図、第24図(a),(b)は第23図の状態での光学ユニットの受光信号を示す図、第25図は光再帰性反射体の汚れを検出する処理手順を示すフローチャート、第26図は光再帰性反射体を清掃することをユーザに指示する例を示す図、第27図は光学ユニットでの受光信号の一例をポリゴンミラーの4個の各走査面に対応して示す図、第28図は光学ユニット用のカバーを設けた状態を示す図、第29図(a),(b)は第28図の状態での光学ユニットの受光信号を示す図、第30図はカバーの表面の汚れを検出する処理手順を示すフローチャート、第31図はカバーを清掃することをユーザに指示する例を示す図、第32図は記録媒体の実施の形態の構成を示す図である。

Claims (3)

  1. 所定領域の外側の複数の側面枠に設けられた光再帰性反射体と、前記所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査部、及び、その走査光によって照射された部分の前記光再帰性反射体による反射光を受光する受光部を有する少なくとも2つの光送受器と、前記光走査部での走査角度及び前記受光部での受光結果に基づいて、前記光走査部による光走査領域に存する光遮断物の位置を検出する検出器とを備える光学式位置検出装置において、検出した前記光遮断物の位置と前記所定領域の大きさ情報及び位置情報とに基づいて、前記光遮断物が前記所定領域内に存するか前記所定領域外に存するかを判別する判別部を備えており、前記判別部は、検出した前記光遮断物の位置と前記光送受器及び光再帰性反射体の位置情報とに基づいて、どの側面枠の光再帰性反射体上またはその近傍に前記光遮断物が存するかを検出するようにしたことを特徴とする光学式位置検出装置。
  2. 前記所定領域と前記光再帰性反射体との間に設けられており、所定機能の指示入力を外部から受け付ける仮想ボタンを備え、前記仮想ボタンの形状をその設置位置に応じて設定している請求項1に記載の光学式位置検出装置。
  3. 所定領域の外側の複数の側面枠に設けられた光再帰性反射体と、前記所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査部、及び、その走査光によって照射された部分の前記光再帰性反射体による反射光を受光する受光部を有する少なくとも2つの光送受器とを備えた光学式位置検出装置について、コンピュータに、前記光走査部での走査角度及び前記受光部での受光結果に基づいて、前記光走査部による光走査領域に存する光遮断物の位置を検出させるためのプログラムが記録されているコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、検出した前記光遮断物の位置と前記所定領域の大きさ情報及び位置情報とに基づいて、前記光遮断物が前記所定領域内に存するか前記所定領域外に存するかを判別することと、検出した前記光遮断物の位置と前記光送受器及び光再帰性反射体の位置情報とに基づいて、どの側面枠の光再帰性反射体上またはその近傍に前記光遮断物が存するかを検出することとをコンピュータに実行させるプログラムコード手段を含むプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
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