JP4391682B2 - 漏洩ガス測定装置、及び漏洩ガス測定装置の評価装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体装置等であって略密閉空間を有する検査対象物の気密性を判定すること等を目的として、検査対象物から漏洩するガス量、又は検査対象物内に漏洩するガス量を測定する漏洩ガス測定装置、及び同漏洩ガス測定装置の評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置は、例えば特許第2957220号公報に示されている。この装置の作動について同装置を示した図29を参照して説明すると、先ず、ヘリウムガスが封入されてなる検査対象物200をチャンバ201内に収容しておく。次いで、バルブ202を開状態、バルブ203を閉状態とし、チャンバ201内のガスを真空ポンプ204により排気する。次に、バルブ202を閉状態とし、検査対象物200から漏洩するヘリウムガスをチャンバ201内に所定時間だけ蓄積する。その後、バルブ203を開状態とするとともに真空ポンプ205を駆動して、検査対象物200から漏洩するヘリウムガスを検出器206に導く。検出器206は、同検出器206を通過するヘリウムガスの流量を測定する。なお、標準チューブ207は、流量の測定前において、検出器206の較正を行うために所定のヘリウムガス流量を同検出器206に供給する。
【0003】
上記従来の装置において、検査対象物200から漏洩するヘリウムガスをチャンバ201内に所定時間だけ蓄積するのは、バルブ203の開弁後に検出器206を通過するヘリウムガスの流量を直ちに飽和値(定常値)とすることができるという知見に基づいている。これにより、上記従来の装置は流量測定時間を短縮することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置においては、検査対象物200から漏洩するヘリウムガスの流量が検出器206の検出感度に対して十分大きいことを前提としているため、漏洩するヘリウムガス流量が極めて小さい場合には同ガス流量を精度良く測定できず、検査対象物200の気密性の判定を行うための値が得られないという問題がある。
【0005】
【本発明の概要】
本明細書に開示された漏洩ガス測定方法は、所定のガスが封入された略密閉空間を有する検査対象物の気密性を判定するために同検査対象物から漏洩するガスの量を測定する漏洩ガス測定方法において、前記検査対象物を収容したチャンバに接続された排気通路を介して同チャンバ内の排気を行う工程と、前記チャンバに接続された排気通路を所定時間だけ閉塞して前記チャンバ内に前記検査対象物から漏洩する前記ガスを蓄積させる工程と、前記所定時間の経過後に前記蓄積されたガスの全体量を測定する工程とを含む。
【0006】
これによれば、前記チャンバに接続された排気通路を所定時間だけ閉塞して前記チャンバ内に前記検査対象物から漏洩するガスを蓄積させ、同漏洩ガスの密度を高めてから測定するため、同漏洩したガスの全体量を精度良く測定することができる。この結果、検査対象物から漏洩するガスの流量が微量な場合であっても、気密性に関する値を精度良く得ることができる。
【0007】
この場合において、前記蓄積されたガスの全体量を測定する工程の開始前に前記チャンバ内に存在する前記所定のガス以外の不純ガスの吸着を開始する不純ガス吸着工程を含むことが好適である。また、前記不純ガス吸着工程は、前記チャンバを冷却する工程であることが望ましい。
【0008】
これによれば、チャンバ内に存在する不純ガスが、吸着により測定開始前に減少させられるので、前記蓄積されたガスの全体量を一層精度良く測定することができる。また、不純ガスの吸着はチャンバを冷却することで容易に達成できる。
【0009】
本明細書に開示された漏洩ガス測定方法は、略密閉空間を有する検査対象物の気密性を判定するために同検査対象物の外部から内部に漏洩するガスの量を測定する漏洩ガス測定方法において、前記検査対象物を収容したチャンバ内に前記ガスを供給する工程と、前記検査対象物に接続された排気通路を介して同検査対象物内の排気を行う工程と、前記検査対象物に接続された排気通路を所定時間だけ閉塞して前記チャンバから前記検査対象物内に漏洩する前記ガスを同検査対象物内に蓄積させる工程と、前記所定時間の経過後に前記蓄積されたガスの全体量を測定する工程とを含む。
【0010】
これによれば、検査対象物の外部から内部に漏洩(侵入)する漏洩ガスを所定時間にわたり同検査対象物の内部に蓄積させ同漏洩ガスの密度を高めてから測定するため、同漏洩したガスの全体量を精度良く測定することができる。この結果、漏洩するガスの流量が微量な場合であっても、気密性に関する値を精度良く得ることができる。
【0011】
また、上記ガス漏洩測定方法において、前記蓄積されたガスの全体量を測定する工程は、前記蓄積されたガスを流量測定装置に供給する工程と、前記流量測定装置の出力に応じた値を積分する工程とを含んでなることが好適である。
【0012】
これによれば、漏洩ガス量測定装置が備える流量測定装置の検出感度が極めて微量なガス流量に対しては十分でなく、実質的な測定が不能である場合であっても、前記漏洩するガスを蓄積してから同流量測定装置に供給することにより同流量測定装置による測定が可能となるので、この測定装置の出力に応じた値を積分することで前記漏洩したガスの全体量を測定することが可能となる。
【0013】
さらに、上記漏洩ガス測定方法において、前記流量測定装置の出力に基づいて同出力のバックグラウンドノイズを推定する工程を含むとともに、前記流量測定装置の出力に応じた値を積分する工程を、前記流量測定装置の出力から前記推定されたバックグラウンドノイズを減算した値を前記流量測定装置の出力に応じた値として積分する工程とすることが好適である。
【0014】
これによれば、前記流量測定装置の出力に基づいて同出力のバックグラウンドノイズ(バックグラウンド)が推定されるので、実際のバックグラウンドノイズを正確に把握することが可能であり、従って、前記ガスの全体量を精度良く求めることができる。
【0015】
また、前記バックグラウンドノイズを推定する工程を、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間の前後の所定期間内における同流量測定装置の出力に基づいて前記バックグラウンドノイズを推定する工程とすることが好適である。
【0016】
これによれば、バックグラウンドノイズが時間とともにドリフト(変動)する場合であっても、蓄積されたガスの全体量を測定している期間におけるバックグラウンドノイズを精度良く推定することができる。
【0017】
また、上記何れかの場合において、前記測定されたガスの全体量を前記所定時間で除することにより前記漏洩するガスの流量に応じた量を求める工程を含んでなることが好適である。
【0018】
これによれば、検査対象物の気密性の程度を良く表す量を得ることができる。
【0019】
本発明の特徴の一つは、所定のガスが封入された略密閉空間を有する検査対象物を収容するためのチャンバと、流量測定装置と、前記チャンバと前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、測定制御装置と、前記測定制御装置と接続され前記開閉弁の開閉状態を検出信号として取出して同検出信号を同測定制御装置に供給する手段と、を備えた漏洩ガス測定装置において、前記測定制御装置は、前記開閉弁を閉弁して前記チャンバを所定の蓄積時間TSだけ密閉し同チャンバ内に前記検査対象物から漏洩するガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、前記蓄積時間TSの経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給する手段と、前記検出信号が前記開閉弁が開弁した旨を示す信号となったとき、その時点の時刻tを開閉弁開弁タイミングtvとして取得するとともに同開閉弁開弁タイミングにおける前記流量制御装置の出力値Lvを取得する手段と、前記流量制御装置の出力値の最大ピーク値Lpを取得するともに、同最大ピーク値Lp及び前記開閉弁開弁タイミングにおける出力値Lvと、前記開閉弁開弁タイミングtvと、に基づいて、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間を特定し、この期間について前記流量測定装置の出力値に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、前記測定されたガスの全体量を前記蓄積時間TSにより除することによって前記検査対象物から漏洩するガスの流量Loutを求める流量演算手段と、を含んだことにある。
【0020】
これによれば、前記チャンバが所定時間だけ密閉されて前記検査対象物から漏洩するガスが同チャンバ内に蓄積され、前記所定時間の経過後に前記蓄積されたガスが同流量測定装置に供給される。そして、流量測定装置の出力に応じた値が積分されることで前記蓄積されたガスの全体量が測定される。
【0021】
従って、漏洩ガス測定装置の備える流量測定装置の検出感度が、極めて微量なガス流量に対しては十分でなく、実質的な測定が不能である場合であっても、同流量測定装置に前記蓄積したガスを供給することで流量が増加するため、同流量測定装置による測定が可能となる。
【0022】
この場合において、前記漏洩ガス測定装置は、前記排気通路であって前記開閉弁と前記流量測定装置との間に接続された排気装置を備えるとともに、前記測定制御手段は、前記漏洩ガス蓄積手段によって前記検査対象物から漏洩するガスの蓄積を開始する前に前記開閉弁を開弁し且つ前記排気装置を駆動して前記チャンバ内の排気を行う排気制御手段を含むことが好適である。
【0023】
これによれば、検査対象物を収容したチャンバ内の排気が行われた後に、チャンバ内に漏洩ガスが蓄積される。このため、測定されるガス中の不純ガス量が低下して測定すべき漏洩ガスの量が精度良く測定される。
【0024】
また、この場合において、前記チャンバ内に存在する前記ガス以外の不純ガスを吸着する吸着手段を備えることが好適である。前記吸着手段は、前記チャンバを冷却する冷却手段を含むことが好適である。
【0025】
これによれば、チャンバ内に存在する不純ガスが、吸着により測定開始前に減少させられるので、前記蓄積されたガスの全体量を一層精度良く測定することができる。また、不純ガスの吸着はチャンバを冷却することで容易に達成できる。
【0026】
前記測定制御装置は、前記積分手段によって前記蓄積されたガスの全体量を測定する前に、前記冷却手段の作動を開始させて前記チャンバを冷却する冷却制御手段を含むことが好適である。
【0027】
本発明の他の特徴は、所定のガスが供給されたチャンバと、流量測定装置と、前記チャンバ内に収容される検査対象物と前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、測定制御装置と、前記測定制御装置と接続され前記開閉弁の開閉状態を検出信号として取出して同検出信号を同測定制御装置に供給する手段と、を備えた漏洩ガス測定装置において、前記測定制御装置は、前記開閉弁を閉弁して前記検査対象物を所定の蓄積時間TSだけ密閉し、同検査対象物内に漏洩する前記所定のガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、前記蓄積時間TSの経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給する手段と、前記検出信号が前記開閉弁が開弁した旨を示す信号となったとき、その時点の時刻tを開閉弁開弁タイミングtvとして取得するとともに同開閉弁開弁タイミングにおける前記流量制御装置の出力値Lvを取得する手段と、前記流量制御装置の出力値の最大ピーク値Lpを取得するともに、同最大ピーク値Lp及び前記開閉弁開弁タイミングにおける出力値Lvと、前記開閉弁開弁タイミングtvと、に基づいて、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間を特定し、この期間について前記流量測定装置の出力に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、前記測定されたガスの全体量を前記蓄積時間TSにより除することによって前記検査対象物内に漏洩するガスの流量Loutを求める流量演算手段と、を含んだことにある。
【0028】
これによれば、前記検査対象物が所定時間だけ密閉されて前記チャンバ内のガスが同検査対象物内に蓄積され、前記所定時間の経過後に前記蓄積されたガスが流量測定装置に供給される。そして、流量測定装置の出力に応じた値が積分されることで前記蓄積されたガスの全体量が測定される。
【0029】
従って、漏洩ガス測定装置が備える流量測定装置の検出感度が極めて微量なガス流量に対しては十分でなく、実質的な測定が不能である場合であっても、同流量測定装置に前記蓄積したガスを供給することで流量が増加するため、同流量測定装置による測定が可能となる。
【0031】
また、これらによれば、検査対象物の気密性の程度を良く表す量(漏洩するガスの流量)を得ることができる。
【0032】
本発明の別の特徴は、上記一の特徴を有する漏洩ガス測定装置の評価装置であって、その評価装置が、前記所定のガスの単位時間当りのリーク量が既知である標準リーク源と、前記標準リーク源と前記チャンバ又は同チャンバに連通する密閉室とを接続する接続通路と、前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を所定時間だけ開弁させる開弁手段とを備えたことにある。
【0033】
上記一の特徴を有する漏洩ガス測定装置は、チャンバ内に蓄積された前記所定のガスの量を測定するものであるから、標準リーク源と接続したチャンバ又は同チャンバに連通する密閉室に同標準リーク源からのガスを所定時間だけ供給することで、同チャンバに既知の量のガスを蓄積することが可能となり、このガスの量を測定することにより、同漏洩ガス測定装置の評価を行うことができる。
【0034】
また、本発明の更に別の特徴は、上記一の特徴を有する漏洩ガス測定装置の評価装置であって、その評価装置が、既知のガス量の前記所定のガスを蓄積した密閉室と、前記密閉室と前記チャンバとを接続する接続通路と、前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を前記密閉室内のガス濃度と前記チャンバ内のガス濃度とが等しくなるまで開弁させる開弁手段とを備えたことにある。
【0035】
上記一の特徴を有する漏洩ガス測定装置は、チャンバ内に蓄積された極めて微量なガス量を測定するものであり、一般の標準リーク源を検査対象物に代えてチャンバ内に収容したのでは、そのリーク量が大きすぎるため、同漏洩ガス測定装置の検出精度の評価を行うことができない。これに対し、上記特徴の装置は、既知のガス量を蓄積した密閉室を準備し、これとチャンバとを両者のガス濃度が等しくなるまで連通し、前記既知のガス量を前記密閉室と前記チャンバの容積比率に応じて分割する。これにより、既知であって前記漏洩ガス測定装置の精度評価に適切である微量なガスを前記チャンバ内に蓄積することが可能となるので、同漏洩ガス測定装置の精度等の評価が可能となる。
【0036】
また、本発明の更に別の特徴は、上記他の特徴を有する漏洩ガス測定装置の評価装置であって、同評価装置が前記所定のガスの単位時間当りのリーク量が既知である標準リーク源と、前記標準リーク源と前記排気通路であって前記開閉弁と前記検査対象物との間の部位又は同部位に連通する密閉室とを接続する接続通路と、前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を所定時間だけ開弁させる開弁手段とを備えたことにある。
【0037】
上記他の特徴を有する漏洩ガス測定装置は、検査対象物内に蓄積された前記所定のガスを排気通路を介して流量測定装置に導いて同ガスの量を測定するものであるから、前記標準リーク源と接続した前記排気通路又は同排気通路に連通する密閉室に同標準リーク源からのガスを所定時間だけ供給することで、既知の量のガスを流量測定装置に供給することが可能となり、このガスの量を測定することにより、同漏洩ガス測定装置の評価を行うことができる。
【0038】
また、本発明の更に別の特徴は、上記他の特徴を有する漏洩ガス測定装置の評価装置であって、その評価装置が、既知のガス量の前記所定のガスを蓄積した第1密閉室と、前記排気通路に接続された第2密閉室と、前記第1密閉室と前記第2密閉室とを接続する接続通路と、前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を前記第1密閉室内のガス濃度と前記第2密閉室内のガス濃度とが等しくなるまで開弁させる開弁手段を備えたことにある。
【0039】
上記他の特徴を有する漏洩ガス測定装置は、検査対象物内に蓄積された極めて微量なガス量を測定するものであり、検査対象物を一般の標準リーク源に置き換えたのでは、そのリーク量が大きすぎるため、同漏洩ガス測定装置の検出精度の評価を行うことができない。これに対し、上記特徴の装置は、既知のガス量を蓄積した第1密閉室を準備し、これと第2密閉室とを両者のガス濃度が等しくなるまで連通し、前記既知のガス量を前記第1密閉室と前記第2密閉室の容積比率に応じて分割する。これにより、既知であって前記漏洩ガス測定装置の精度評価に適切である微量なガスを前記第2密閉室内に蓄積することが可能となるので、同漏洩ガス測定装置の精度等の評価が可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1に示した本発明の第1実施形態に係る漏洩ガス測定装置10は、チャンバ11と、チャンバ11に接続され排気通路を構成する第1排気管12と、前記第1排気管12に介装され前記排気通路を開閉する第1開閉弁13と、開閉弁駆動装置14と、前記第1開閉弁13の開閉状態を検出する弁開閉検出スイッチ15と、前記第1排気管12から分岐した排気通路を構成する第2排気管16と、前記第2排気管16に接続された排気装置17と、前記第2排気管16に介装され前記第1排気管12と第2排気管16の分岐点Qから前記排気装置17までの排気通路を開閉する第2開閉弁18と、開閉弁駆動装置19と、前記第1排気管12から分岐した排気通路を構成する第3排気管20と、前記第3排気管20に接続された質量分析器21と、前記第3排気管20に接続された圧力計22と、測定制御装置30と、表示装置31と、記録装置32とを備えている。
【0041】
チャンバ11は、第1開閉弁13を閉成(閉塞)した状態にて密閉状態を維持し得るとともに、図示しない開閉可能なフードを有していて、これにより検査対象物(試験体)S1をその内部に収容し得るように構成されている。
【0042】
第1開閉弁13は、電磁式のバルブであって、測定制御装置30と接続され同測定制御装置30からの指示信号に応答する開閉弁駆動装置14により開閉されるようになっている。弁開閉スイッチ15は、測定制御装置30と接続されていて、第1開閉弁13の開閉状態を検出信号として取出し、同検出信号を同測定制御装置30に供給するようになっている。
【0043】
排気装置17は、真空ポンプからなり、測定制御装置30と接続されていて、同測定制御装置30からの指示に応じて作動を開始し、又は作動を停止するようになっている。なお、真空ポンプには、ロータリポンプ、ターボポンプ、拡散ポンプ等があり、所定の真空度を得るようにこれらが単独で、又は組み合わされて使用される。
【0044】
第2開閉弁18は、電磁式のバルブであって、測定制御装置30と接続され同測定制御装置30からの指示信号に応答する開閉弁駆動装置19により開閉されるようになっている。
【0045】
質量分析器21は、流量測定装置として機能するものであって、特定の質量数を有するガス(この例ではヘリウムガス)の流量を連続的に測定し、同流量に応じた大きさの信号(実際には電流を出力し、この電流が電圧に変換された出力L)を出力するようになっている。この質量分析器21は、図2にその概略を示したように、第3排気管20が接続された第1管21aと、これに対して所定の角度を有する第2管21bと、第1管21a及び第2管21bとの接続部に配設された永久磁石21cと、第1管21aの端部に配設されたタングステンフィラメントを含むイオン化加速部21dと、第2管21bの端部に配設されたコレクタプレート(ターゲットプレート)を有する真空管21eと、第2管21bの略中央部に配設され径方向中心付近に開口を有するプレート21fとを含んでいる。
【0046】
この構成により、質量分析器21は、第3排気管20を介して導入されたガスをイオン化して加速し、イオンビームとして第1管21aに沿って放出する。このイオンビーム中のイオンは、電磁石21cにより方向が変更されるが、このうちヘリウムイオンより質量数の大きいイオンは変更角度が小さいため、プレート21fの開口部を通過できない。同様に、ヘリウムイオンより質量数の小さいイオンは変更角度が大きいため、プレート21fの開口部を通過できない。この結果、ヘリウムイオンだけがプレート21fの開口部を通過して真空管21eのコレクタプレートに到達する。これにより、第3排気管20を介して導入されたヘリウムガスの分子数に応じた電流が真空管21eから出力され、この出力が図示しない電流電圧変換器により電圧に変換される。
【0047】
再び図1を参照すると、圧力計22は、測定制御装置30と接続されていて、第3排気管20内の圧力Pを計測し、この計測結果を測定制御装置30に供給するようになっている。測定制御装置30は、後述するプログラムを実行するマイクロコンピュータを含んで構成されていて、測定結果を表示するディスプレイからなる表示装置31と、測定値を記録紙に印刷する記録装置32とが接続されている。
【0048】
なお、上記チャンバ11及び第1開閉弁13と質量分析器21及び圧力計22との距離を、同チャンバ11及び同第1開閉弁13を150℃程度にまで加熱した場合(即ち、後述するベーキングを実行した場合)であっても、同質量分析器21及び同圧力計22にその熱的影響が及ばないように設定しておくことが好適である。
【0049】
次に、上記のように構成された漏洩ガス測定装置10の作動について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3の測定開始(ステップ308)〜終了(ステップ395)までのステップは測定制御装置30が実行するプログラム(メインルーチン)の各ステップを示し、他のステップは作業者が行う工程を示している。また、図4はサンプリング時間TSAMPLEの経過毎に測定制御装置30が実行する時間割込みルーチンを示している。
【0050】
先ず、ステップ302にて検査対象物S1内に既知の圧力(例えば、100(Pa))のヘリウムガスを封入する。ここで、検査対象物S1について説明を加えると、同検査対象物S1は例えば振動子を有する半導体ヨーレイトセンサであり、図5に概略断面図を示したように、半導体素子41と、基体42と、蓋体43とからなっている。基体42と蓋体43とは周縁部において溶接固定されて略密閉空間を形成し、同密閉空間内に前記半導体素子41が固定されている。半導体素子41からは接続線44が基体42を貫通して伸びている。また、前記ヘリウムガスの封入は、前記既知の圧力を有するヘリウム雰囲気中において基体42と蓋体43とを溶接固定することにより達成される。封入されたヘリウムガスは、主として前記溶接部及び前記接続線の貫通部から漏洩する。
【0051】
次に、作業者は、ステップ304にてチャンバ11内に検査対象物S1を設置し、ステップ306にてチャンバ11のフードを閉じて同チャンバ11を密閉する。
【0052】
次いで、作業者は、ステップ308にて測定制御装置30を起動するとともに、図示しない測定開始ボタンを操作して測定を開始する。これにより、測定制御装置30はステップ310に進んで排気装置17を作動させ、ステップ312にて第1,第2開閉弁13,18を開成する(開く)。この結果、チャンバ11を含み排気装置17に接続された各部(第1排気管12、第1開閉弁13、第2排気管16、第2開閉弁18、第3排気管20、質量分析器21、及び圧力計22)に存在する不純ガスの排出が開始される。次いで、測定制御装置30はステップ314に進み、チャンバ11及び第1開閉弁13を図示しない加熱装置により150℃程度に所定の時間だけ加熱し、その後所定の時間だけ冷却期間を設ける。この工程はベーキングと呼ばれ、チャンバ11及び第1開閉弁13に吸着している不純ガス分子を放出させて排気しておく工程であり、後のヘリウムガスの測定精度を高めるために実行される。
【0053】
上記ステップ314の処理が終了すると(冷却期間が終了すると)、測定制御装置30はステップ316に進み、圧力計22の出力Pが所定の気圧(10−2(Pa))以下となったか否か、即ち、チャンバ11、第1,第2,第3排気管12,16,20及び質量分析器21の内部が所定の真空度に到達したか否かを判定する。そして、所定の真空度に到達していない(「No」)と判定される場合、測定制御装置30は同ステップ316を繰り返し実行する。
【0054】
その後、圧力計22の出力Pが上記所定の気圧未満となると、測定制御装置30はステップ316にて「Yes」と判定してステップ318に進み、開閉弁駆動装置14に指示信号を送出して第1開閉弁13を閉成し(閉じ)、続くステップ320にて質量分析器21を起動する。次いで、測定制御装置30はステップ322にてタイマTをリセットした上でスタート(計時を開始)し、ステップ324にてサンプリング許可フラグFの値を「1」に設定するとともに、カウンタnの値を「1」に設定する。
【0055】
一方、上述したように、測定制御装置30は図4に示した時間割込みルーチンをサンプリング時間TSAMPLEの経過毎にステップ400から開始し、ステップ405にてサンプリング許可フラグFの値が「1」か否かを判定するようになっている。これにより、上記ステップ324にてサンプリング許可フラグFの値が「1」に設定されると、測定制御装置30はステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、その時点の質量分析器21の出力値Lを測定値L(n)(=L(1))として格納するとともにその時点の時刻tを測定時刻t(n)(=t(1))として格納する。
【0056】
次いで、測定制御装置30はステップ415に進んでカウンタの値nを「1」だけ増大し、ステップ420に進んでカウンタの値nが所定値ne+1と等しくなったか否かを判定する。所定値ne+1は、カウンタの値nが同所定値ne+1と等しくなったときには十分な数のサンプリングが行われているように、換言すると、第1開閉弁13を開成してから十分な時間が経過(チャンバ11に蓄積されていたガスが質量分析器21に供給された後、所定の時間が経過)しているように設定されている。現段階においては、nの値は「2」であるから、測定制御装置30はステップ420にて「No」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。以降、サンプリング時間が経過する毎に、その時点の出力値Lが測定値L(n)として格納されるとともにその時点の時刻tが測定時刻t(n)として格納され、カウンタnの値が「1」ずつ増大されて行く。なお、上記ステップ405の実行時において、サンプリング許可フラグFの値が「0」の場合には、測定制御装置30はステップ495に直ちに進み本ルーチンを一旦終了する。
【0057】
再び、図3を参照すると、測定制御装置30は、ステップ326にてタイマTが所定時間(蓄積時間)TSを計時したか否かを判定する。この所定時間TSが経過する期間内において、検査対象物S1の略密閉空間内に封入されているヘリウムガスが、同検査対象物S1からチャンバ11内に漏洩して蓄積される。この蓄積時間TSは5分程度が適当であるが、極めて少量の漏れ量について測定する場合には数百時間としてもよい。
【0058】
所定時間TSが経過すると、測定制御装置30はステップ326にて「Yes」と判定してステップ328に進み、同ステップ328にて開閉弁駆動装置14に指示信号を送出して第1開閉弁13を開成し(開き)、続くステップ330にて弁開閉検出スイッチ15の出力に基き第1開閉弁13が開弁したか否かをモニタする。
【0059】
第1開閉弁13が開弁すると、弁開閉検出スイッチ15がその旨を示す信号を測定制御装置30に送出するため、同測定制御装置30はステップ330にて「Yes」と判定してステップ332に進み、その時点の時刻tを第1開閉弁開弁タイミングtvとして格納するとともに、ステップ334に進んでその時点の質量分析器21の出力値Lを開弁時出力Lvとして格納する。なお、測定制御装置30は、第1開閉弁13が開閉される前後においても圧力計22の計測する圧力Pを監視していて、同圧力Pが大きく変化する場合には検査対象物S1から大きな漏れがあると判定して、その旨を表示装置31に表示するとともに以降の測定を中止する。
【0060】
次に、測定制御装置30はステップ336に進んで、サンプリング許可フラグFの値が「0」となったか否かを判定する。このサンプリング許可フラグFの値は、図4に示したルーチンのステップ415の実行によりカウンタnの値が増大して値ne+1と等しくなったとき、測定制御装置30のステップ420における「Yes」との判定のもとに、ステップ425にて「0」に変更される。従って、十分な数のサンプリングが行われてサンプリング許可フラグFの値が「0」に変更されると、測定制御装置30は図3のステップ336にて「Yes」と判定してステップ338以降に進んでデータの分析を開始する。
【0061】
即ち、測定制御装置30は、ステップ340にてサンプリングした測定値L(1)〜L(ne)から最大ピーク値Lpを選択し(図6参照)、続くステップ342にて実測定時間τを演算する。この実測定時間τは、前記ステップ334にて取込んだ開弁時出力Lvと下記数1とに基づいて基準出力Leを算出し、次いで、図6に示したように、基準出力Leと等しい出力を示した時刻を基準時刻teとして求め、最後に前記基準時刻teと、前記ステップ332で取込んだ第1開閉弁開弁タイミングtvとを用いて、下記数2に基づく計算を行うことにより求められる。なお、数1の右辺におけるeは自然対数の底である。
【0062】
【数1】
Le=(Lp−Lv)/e+Lv
【0063】
【数2】
τ=te−tv
【0064】
次に、測定制御装置30はステップ344に進み、時刻(tv−m・τ)〜時刻tv、及び時刻(tv+k・τ)〜時刻(tv+(k+m)・τ)に属する測定値L(n)を抽出する。値「m」は2〜5、値「k」は1〜5が望ましく、ここではm=2、k=2としている。そして測定制御装置30はステップ346に進み、図7に示したように、抽出した複数の測定値L(n)を通る近似直線を最小2乗法により求める。この近似直線は、測定制御装置30の出力におけるバックグラウンドノイズの変化を表す。
【0065】
次いで、測定制御装置30はステップ348に進み、時刻tv〜時刻tv+k・τに属する測定値L(n)から上記近似直線を減じた値(流量測定装置である質量分析器21の出力に応じた値)を積分し、測定値L(n)と上記近似直線で囲まれた部分の面積Sを求める(図8参照)。この面積Sは、検査対象物S1からチャンバ11内に漏洩し、同チャンバ11内に蓄積されたヘリウムガスの全体量LSに応じた値であり、従って、ステップ348は同蓄積されたヘリウムガスの全体量LSを実質的に測定するステップである。
【0066】
次に、測定制御装置30はステップ350に進み、下記数3にしたがって前記全体量LSを前記蓄積時間TSで除し、検査対象物S1から漏洩するヘリウムガスの流量Lout(1秒あたりのヘリウムガスの漏れ量)を求める。
【0067】
【数3】
Lout=LS/TS
【0068】
その後、測定制御装置30はステップ352にて上記求めたヘリウムガスの全体量LS、蓄積時間TS、及び漏洩ヘリウムガス流量Loutを表示装置31のディスプレイ上に数値表示するとともに、ステップ354にてこれらの値と上記測定値L(n),t(n)、Lv,tvを図6に示したようにプロットし、ステップ395に進んで測定を終了する。
【0069】
以上、説明したように、第1実施形態の漏洩ガス測定装置10においては、蓄積時間TSだけ検査対象物S1から漏洩するヘリウムガスをチャンバ11内に蓄積し、この蓄積したヘリウムガスの全体量LSを測定するとともに、同全体量LSを蓄積時間TSで除すことにより漏洩するヘリウムガスの流量Loutを求める。これにより、漏洩するヘリウムガスの流量Loutが質量分析器21の検出感度に対して小さい場合であっても、同漏洩ガスを蓄積した後に短時間内に質量分析器21に導くことで測定されるガスの流量が増大するので、同流量Loutを測定することができる。換言すれば、漏洩ガス測定装置10の感度は、第1開閉弁13を開状態に維持した際の質量分析器21の感度を蓄積時間TS倍した値となっている。
【0070】
また、蓄積したガスを質量分析器21に導いて測定している期間(時刻tv〜時刻tv+k・τ)の前後の所定期間(時刻(tv−m・τ)〜時刻tv、及び時刻(tv+k・τ)〜時刻(tv+(k+m)・τ))における同質量分析器21の出力に基づき同質量分析器21のバックグラウンドノイズを求め、このバックグラウンドノイズを減じた値を積分して前記ヘリウムガスの全体量LSを求めているので、バックグラウンドノイズの変動(ドリフト)による誤差が低減され、正確なヘリウムガス量LSを求めることができる。更に、測定の初期において第1開閉弁13を開成し、排気装置17を駆動するとともに、チャンバ11及び第1開閉弁13をベーキングしているので、これらに吸着しているガス分子を予め除去でき、測定精度を向上することができる。
【0071】
また、第1開閉弁13の開成を弁開閉検出スイッチ15を用いて検出しているので、測定開始時期を正確に検出することができ、結果として測定精度を向上することができる。
【0072】
なお、上記ステップ350とステップ352との間に上記測定した流量Lout(即ち、実測リーク量R(Pa・m3/sec(He換算))を等価標準リーク量L0(Pa・m3/sec(Air換算))に変換し、これを表示装置31により表示するステップを設けてもよい。等価標準リーク量L0とは、検査対象物S1の内外の圧力差が1気圧、周囲温度が25℃であるときに同検査対象物S1のリーク部分から1秒間に漏れる空気量(Pa・m3)のことであり、下記数4にしたがって求められる。なお、数4において、P0Heは検査対象物S1に封入されたヘリウムガスの圧力(Pa)、P0は大気圧(1.0×105(Pa))、Mairは空気の分子量(28.7)、MHeはヘリウムの分子量(4)である。
【0073】
【数4】
R=P0He・(L0/P0)・(Mair/MHe)1/2
【0074】
また、上記第1実施形態においては、既知の圧力のヘリウムガス雰囲気中にて検査対象物S1の蓋体43と基体42とを溶接することにより同ヘリウムガスを同検査対象物S1内に封入したが、同検査対象物S1をボンビングタンク内に設置して、ボンビングタンク内を圧力Pe(Pa)のヘリウムガスにて所定の加圧時間t1(sec)だけ加圧するボンビング法により封入してもよい。このボンビング法による場合、実測リーク量R(測定した流量Lout)と等価標準リーク量L0との間には下記数5の関係が成立しているので、同数5にしたがって実測リーク量Rを等価標準リーク量L0に変換すればよい。なお、数5においてt2(sec)は、ボンビングによる加圧終了後からヘリウムガスの漏れ量測定開始までの時間であり、他のパラメータは数1と同様である。
【0075】
【数5】
【0076】
また、上記第1実施形態においては、チャンバ11の容積を検査対象物S1の2〜1000倍に制限することが好適である。これにより、チャンバ11の内壁から放出される脱ガスが抑制され、バックグラウンドノイズを低減できるからである。一度に複数個の検査対象物S1について同時測定するように漏洩ガス測定装置10を構成することもできるが、この場合であってもチャンバ11の容積は測定すべき検査対象物を収容し得る最小の容積とすることが望ましい。
【0077】
次に、本発明による第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置について図9を参照しながら説明すると、この漏洩ガス測定装置50は、構成に関し、チャンバ11に一定圧のヘリウムガスを供給するヘリウムガスボンベ51が開閉弁52を介して接続されている点、及び第1排気管12が検査対象物S2に接続されて同検査対象物S2の略密閉空間と連通されている点で第1実施形態と相違している。
【0078】
このように構成された漏洩ガス測定装置50を用いた測定方法について図10を参照しながら説明する。図10においても、測定開始(ステップ308)〜終了(ステップ1095)までのステップは、測定制御装置30が実行するプログラムの各ステップである。これらの各ステップは、第1実施形態の測定制御装置30が実行するプログラムの各ステップと実質的に同一であり、他のステップは作業者が行う工程である。また、第2実施形態の測定制御装置30は、図4に示した時間割込みルーチンを実行するようになっている。
【0079】
第2実施形態においては、先ずステップ1002にて、検査対象物S2をチャンバ11内に設置し、ステップ1004にて図示しないフードを閉じてチャンバ11を密閉する。次いで、ステップ1006にて開閉弁52を開成してヘリウムガスボンベ51からヘリウムガスをチャンバ11内に供給し、同チャンバ11内を既知の圧力(例えば5気圧)とする。なお、測定感度は前記チャンバ11内のヘリウムガスの圧力に比例して向上する。このため、同ヘリウムガスの圧力は検査対象物S2とチャンバ11の耐圧以下の圧力で最大の圧力としておくことが望ましい。
【0080】
以降、第2実施形態の測定制御装置30は、第1実施形態の測定制御装置30と同様に漏洩ヘリウムガスの測定を行う。この場合、ステップ318にて第1開閉弁13を閉成してからステップ326にて「Yes」と判定するまでの期間(即ち、蓄積時間TSが経過するまでの期間)において、チャンバ11内のヘリウムガスが検査対象物S2内に漏洩(侵入)して同検査対象物S2内に蓄積される点、排気装置17により排気されるガスは、検査対象物S2内のガス及び検査対象物S2と連通している空間内のヘリウムガスである点、質量分析器21により測定されるヘリウムガスはチャンバ11内のガスではなく、検査対象物S2の略密閉空間内にチャンバ11から漏洩して蓄積されたヘリウムガスである点で、第1実施形態と相違し、他の点においては第1実施形態と実質的に同一である。
【0081】
即ち、第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置50は、第1開閉弁13を閉成してチャンバ11から検査対象物S2内に漏洩するヘリウムガスを蓄積時間TSだけ蓄積し、その後第1開閉弁13を開成して前記蓄積されたヘリウムガスを質量分析器21に供給し、同質量分析器21の出力に応じた値(バックグラウンドノイズを減じた値)を積分して全体量LSを求め、これを前記蓄積時間TSで除して検査対象物S2の気密性を表す漏洩ガス流量に応じた量Loutを求める。
【0082】
従って、第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置50は、検査対象物S2内にガスを蓄積した後に短時間内に質量分析器21に導くことで測定されるガスの流量が増大するので、第1実施形態の漏洩ガス測定装置10と同様に微量な漏洩ガスを精度良く測定し得るという効果を奏する。この場合、上記漏洩ガス測定装置50の検出感度Sensは、下記数6により表される。なお、数6において、Sbaseは第1開閉弁13を開状態としている場合における質量分析器21の感度、TSは上記ヘリウムガスの蓄積時間、及びPHeはチャンバ11内のヘリウムガス圧力(既知の圧力)である。
【0083】
【数6】
Sens(Pa・m3/sec)=Sbase(Pa・m3/sec)/TS(sec)/PHe(atm)
【0084】
数6からも明らかなように、漏洩ガス測定装置50の検出感度Sensは、蓄積時間TSが長いほど、また、チャンバ11に供給されるヘリウムガスの圧力PHeが大きいほど良好になっている。実際に測定したところ、従来のこの種の装置の検出感度は、Air換算で1×10−12(Pa・m3/sec)であるのに対し、上記漏洩ガス測定装置50の検出感度は、同Air換算で1×10−15(Pa・m3/sec)であることが確認された。
【0085】
図11は、チャンバ11内に既知のリーク量を有するヘリウム標準リーク源を設置し、上記蓄積時間TSを変化させた場合における上記全体量(積分値)LSを測定した結果を示している。ヘリウム標準リーク源からの漏洩ヘリウム流量は、全体量LSを蓄積時間TSで除した値であるから、図11においては測定点と原点とのなす角度(測定点の傾き)により表されるところ、図11に示したように、各測定点は原点を通る同一直線上に存在することから、漏洩ガス測定装置50は蓄積時間TSに関わらず正確に漏洩するガス流量を測定できるということが理解される。
【0086】
ここで、上記第1,第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置10,50の測定分解能を更に向上させる技術について図12及び図13を参照しながら説明する。図12は、時刻tvでの第1開閉弁13の開弁後において蓄積されたヘリウムガスが質量分析器21に徐々に達した場合の同質量分析器21の出力の変化を示し、図13は、時刻tvでの第1開閉弁13の開弁後において蓄積されたヘリウムガスが図12に示した場合よりも速やかに質量分析器21に達した場合における同質量分析器21の出力の変化を示している。この例では、蓄積されたヘリウムガスの全体量LSは等しいものとされていて、従って、測定値L(n)のなす曲線と上記バックグラウンドノイズの近似直線Lbaで囲まれた部分の面積Sは理論的には等しくなる。
【0087】
しかしながら、図12に示した場合においては、質量分析器21の出力の最大値Lpとバックグラウンドノイズの近似直線Lbaとの差ΔLpが、同図12中に示した同質量分析器21の分解能Bnと同等であるため、最大値Lpはもとより、その他の測定値L(n)とバックグラウンドノイズとの差を正確に測定できず、結果として面積S(即ち、ヘリウムガスの全体量LS)を精度良く求めることができない。これは、蓄積されたヘリウムガスが質量分析器21に達する時間が長い場合に発生する現象である。そこで、このような現象を回避するには、以下に述べる手法を採用することが望ましい。
【0088】
(1)蓄積されたヘリウムガスが質量分析器21へ移動する時間を短くするために、第1開閉弁13を含めた排気通路(排気管)系のコンダクタンスを1(l/sec)以上とする。
【0089】
(2)第1実施形態において、蓄積されたヘリウムガスを速やかにチャンバ11外に放出させるため、チャンバ11の内部の体積(容積)を検査対象物S1の1〜100倍に制限する。
【0090】
(3)第1実施形態において、蓄積されたヘリウムガスがチャンバ11の内壁から容易に離脱できるようにするため、同内壁を電解研磨処理等の手法により研磨等して面粗度を低下させ、その表面積を減少させる。これに加え、又は、これに代え、ヘリウムガスのチャンバ11内壁への吸着を抑制するため、チャンバ11の内壁11にTiN等のコーティングを施す。
【0091】
次に、上記第1実施形態に係る漏洩ガス測定装置10の評価装置について説明する。漏洩ガス測定装置10は、一般には、検査対象物S1に代えて一定の既知のリーク量(単位時間当りの所定のガス流量)を有する標準リーク源をチャンバ内に設置し、通常の測定を行って得た流量Loutと標準リーク源のリーク量とを比較することで評価される。しかしながら、漏洩ガス測定装置10は、漏洩ガス量(リーク量)が極めて微量な検査対象物の同漏洩ガス量を測定し得る極めて高い感度を有しているから、現在利用しうる標準リーク源ではリーク量が大き過ぎ、同漏洩ガス測定装置10の評価ができない場合がある。特に、この問題は検査対象物のリーク量が微量であって蓄積時間TSを長い時間としたときに顕著である。
【0092】
図14に示した漏洩ガス測定装置10に接続された評価装置60は、上記問題に対処したものであって、この評価装置60は、リーク量が既知であるヘリウムガスの標準リーク源61と、容積がVAである第1チャンバ(密閉室)62と、容積が第1チャンバ62の容積VAよりも小さい容積VBの第2チャンバ(密閉室63)とを有している。また、評価装置60は標準リーク源61と第1チャンバ62とを接続する第1接続管64と、第1チャンバ62と第2チャンバ63とを接続する第2接続管65と、第2チャンバ63と漏洩ガス測定装置10のチャンバ11とを接続する第3接続管66とを備えている。
【0093】
第1接続管64には同接続管64の通路を開閉する第3開閉弁67aが介装されている。この第3開閉弁67aは、電磁式のバルブであって、測定制御装置30と接続され同測定制御装置30からの指示信号に応答する開閉弁駆動装置67bにより開閉されるようになっている。同様に、第2,第3接続管65,66には、同接続管65,66の通路をそれぞれ開閉する第4,第5開閉弁68a,69aが介装されている。この第4,第5開閉弁68a,69aは、電磁式のバルブであって、測定制御装置30と接続され同測定制御装置30からの指示信号に応答する開閉弁駆動装置68b,69bによりそれぞれ開閉されるようになっている。
【0094】
次に、上記のように構成された評価装置60の作動、及び同評価装置60を用いた漏洩ガス測定装置10の作動について、図15を参照しながら説明する。なお、図15において、図3に示したステップと同一の処理を行うステップについては、同図3に示した符号と同一の符号を付している。また、図15のガス蓄積開始(ステップ1506)〜終了(ステップ1595)は、測定制御装置30が実行するプログラムの各ステップを示し、他のステップは作業者が行う工程を示している。更に、この場合においても、測定制御装置30は図4に示したルーチンをサンプリング時間TSAMPLEの経過毎に実行する。
【0095】
先ず、ステップ1500に続くステップ1502にて排気装置17を作動させ、続くステップ1504にて質量分析器21を起動し、ステップ1506から評価用ヘリウムガスの蓄積を行うための処理を開始する。
【0096】
即ち、測定制御装置30は、ステップ1508にて質量分析器21の起動(特に、タングステンフィラメントの加熱)に必要な時間が経過したか否かを判定し、起動に必要な時間が経過した場合にステップ1510に進んで、第1〜第5開閉弁13,18,67a,68a,69aを開成する。このとき、先のステップ1502にて排気装置17が作動されているから、ステップ1510の実行により、同排気装置17に接続されているすべての部分に存在する不純ガスの排気が開始される。なお、第3開閉弁67aを開くのは、標準リーク源61と第3開閉弁67aの間(即ち、第1接続管64と第3開閉弁67a)に蓄積されている同標準リーク源61からのヘリウムガスをも十分に排気するためである。
【0097】
次いで、測定制御装置30は、ステップ1512に進んで圧力計22の出力Pが所定の気圧(10−2(Pa))未満となったか否かを判定する。そして、所定の真空度に到達していない(「No」)と判定される場合、測定制御装置30は同ステップ1512を繰り返し実行する。
【0098】
排気が進んで、圧力計22の出力Pが上記所定の気圧より小さくなると、測定制御装置30はステップ1512にて「Yes」と判定してステップ1514に進み、第1開閉弁13、第4開閉弁68a、及び第5開閉弁69aを閉成し、標準リーク源61と第1チャンバ62のみを連通した状態とする。次いで、測定制御装置30は、ステップ1516にてタイマTをリセットした上でスタート(計時を開始)し、ステップ1518にてタイマTの値が所定時間T1(sec)より大きくなったか否か、即ちタイマTをステップ1516にてリセットした後に所定時間T1が経過したか否かを判定する。
【0099】
所定時間T1が経過すると、測定制御装置30はステップ1518にて「Yes」と判定してステップ1520に進み、同ステップ1520にて第3開閉弁67aを閉成する。この所定時間T1が経過した時点で第1チャンバ62内に蓄積されたヘリウムガス量V1は、下記数7により表される値となる。なお、数7においてLstは、標準リーク源61の検定(較正)されたリーク量(単位は、Pa・m3/sec)である。
【0100】
【数7】
V1=Lst・T1(Pa・m3)
【0101】
次いで、測定制御装置30はステップ1522に進んで第4開閉弁68aを開成する。これにより、第1チャンバ62と第2チャンバ63のみが連通された状態となる。そして、測定制御装置30は、ステップ1524に進んでタイマTを再びリセットした上でスタートし、ステップ1526に進んでタイマTの値が所定時間T2(sec)より大きくなったか否か、即ちタイマTをステップ1524にてリセットした後に所定時間T2が経過したか否かを判定し、同所定時間T2が経過するとステップ1528に進んで第4開閉弁68aを閉成する。
【0102】
前記所定時間T2は、第1チャンバ62内と第2チャンバ63内のヘリウムガス濃度が等しくなるのに必要な時間(または、それより若干長い時間)に設定されている。従って、この所定時間T2が経過したとき、第2チャンバ63内に蓄積されたヘリウムガス量V2は、下記数8により表される値となる。この数8から明らかなように、ヘリウムガス量V2は、ヘリウムガス量V1よりも少ない量となる。
【0103】
【数8】
V2=V1・VB/(VA+VB)
【0104】
次に、測定制御装置30はステップ1530に進み、同ステップ1530にて第5開閉弁69aを開成する。これにより、第2チャンバ63とチャンバ11のみが連通された状態となる。そして、測定制御装置30は、ステップ1532に進んでタイマTを再びリセットした上でスタートし、ステップ1534に進んでタイマTの値が所定時間T3(sec)より大きくなったか否か、即ちタイマTをステップ1532にてリセットした後に所定時間T3が経過したか否かを判定し、同所定時間T3が経過するとステップ1536に進んで第5開閉弁69aを閉成する。
【0105】
前記所定時間T3は、第2チャンバ63内とチャンバ11内のヘリウムガス濃度が等しくなるのに必要な時間(または、それより若干長い時間)に設定されている。従って、この所定時間T3が経過したとき、チャンバ11内に蓄積されたヘリウムガス量V3は、下記数9により表される値となる。なお、数9において値VCはチャンバ11の容積である。
【0106】
【数9】
V3=V2・VC/(VB+VC)
【0107】
この数9から明らかなように、ヘリウムガス量V3は、ヘリウムガス量V2、従って、ヘリウムガス量V1よりも少ない量である。このようにして、感度の高い漏洩ガス測定装置10を評価するのに適当な微量のヘリウムガスがチャンバ11内に蓄積される。
【0108】
この後、測定制御装置30はステップ1538以降に進み、漏洩ガス測定装置10としての測定を開始する。即ち、測定制御装置30は、ステップ1540に進んで、タイマTを再びリセットした上でスタートし、ステップ1542に進んでサンプリング許可フラグFの値を「1」に設定するとともに、カウンタnの値を「1」に設定する。
【0109】
この結果、測定制御装置30が、図4に示した時間割込みルーチンを所定のタイミングにて開始すると、ステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、その時点の質量分析器21の出力値Lを測定値L(n)(=L(1))として格納するとともに、その時点の時刻tを測定時刻t(n)(=t(1))として格納し、ステップ415にてカウンタnの値を「1」だけ増大する。以降、測定制御装置30はサンプリング時間TSAMPLEが経過する毎に図4に示したルーチンを実行し、ステップ410にてその時点の出力値Lを測定値L(n)として格納するとともに、その時点の時刻tを測定時刻t(n)として格納し、ステップ415にてカウンタnの値を「1」ずつ増大する。
【0110】
再び、図15を参照すると、測定制御装置30はステップ1544に進み、同ステップ1544にてタイマTの値が所定時間T4(sec)より大きくなったか否か、即ちタイマTをステップ1540にてリセットした後に所定時間T4が経過したか否かを判定する。そして、所定時間T4が経過するとステップ1546に進んで第1開閉弁13を開成する。このように、第5開閉弁69aを前記ステップ1536にて閉成してから前記所定時間T4が経過した後に第1開閉弁13を開弁するのは、この期間内の測定値L(n)の一部をバックグラウンドノイズの計算に用いるためである。
【0111】
次に、測定制御装置30はステップ1548に進み、同ステップ1548にて弁開閉検出スイッチ15の出力に基き第1開閉弁13が開弁したか否かをモニタする。そして、第1開閉弁13が開弁すると、弁開閉検出スイッチ15がその旨を示す信号を測定制御装置30に送出するため、同測定制御装置30はステップ1548にて「Yes」と判定してステップ1550に進み、その時点の時刻tを第1開閉弁開弁タイミングtvとして格納するとともに、ステップ1552に進んでその時点の質量分析器21の出力値Lを開弁時出力Lvとして格納する。
【0112】
次に、測定制御装置30はステップ1554に進んで、サンプリング許可フラグFの値が「0」となったか否かを判定する。このサンプリング許可フラグFの値は、図4に示したルーチンのステップ415の実行によりカウンタnの値が増大して値ne+1と等しくなったとき、測定制御装置30のステップ420における「Yes」との判定のもとに、ステップ425にて「0」に変更される。このステップ415で使用される値ne+1は、第1開閉弁13を開成してから十分な時間が経過(チャンバ11に蓄積されていたガスが質量分析器21に供給された後、所定の時間が経過)したときに、カウンタnの値が到達するように設定されている。従って、十分な数のサンプリングが行われてカウンタnの値が値ne+1と等しくなると、サンプリング許可フラグFの値が「0」に変更され、測定制御装置30は図15のステップ1554にて「Yes」と判定してステップ338以降に進み、データの分析を開始する。
【0113】
測定制御装置30は、ステップ338以降において、図3に示した作動と略同一の作動を行うので、同ステップ338以降の各ステップの説明を省略する。この結果、ステップ348にてチャンバ11内に蓄積されていたヘリウムガスの全体量LSが求められ、ステップ352にて表示装置31に同値LSが表示される。この場合、上記ステップ1510〜上記ステップ1536までの処理によって、チャンバ11内に蓄積されたヘリウムガスの量は上記数7,数8,数9から既知であるので、この量とステップ348にて求められた(測定された)ヘリウムガス量LSとを比較することで、同装置の測定精度等が評価される。
【0114】
以上説明したように、評価装置60によれば、そのまま使用した場合にはリーク量が大きすぎる標準リーク源61を用いて、チャンバ11内に既知で微量のヘリウムガスを蓄積することができるので、漏洩ガス測定装置10の精度等の評価を行うことが可能となる。なお、上記評価装置60は、標準リーク源61と、同標準リーク源61と検査対象物を収容するチャンバ11との間に直列に複数の接続管64,65,66を介して接続された複数の密閉室62,63と、前記複数の接続管64,65,66を開閉する開閉弁67a,68a,69aとを備え、同開閉弁67a,68a,69aを第1開閉弁13を閉弁した状態において、前記標準リーク源61に近い方から一つずつ所定時間だけ順次開放することでチャンバ11に既知で微量のヘリウムガスを蓄積するものということもできる。
【0115】
次に、上記第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置50の評価装置70について、図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、漏洩ガス測定装置50と同装置に接続された評価装置70を示している。この評価装置70は、構成に関し、第2チャンバ63が上記第3接続管66に代わる第4接続管71の一端と接続されるとともに、同第4接続管71の他端が第1排気管12の検査対象物S2と第1開閉弁13との間に接続されている点、及び第5開閉弁69aが前記第4接続管71に介装され同第4接続管71の通路を開閉するようになっている点においてのみ評価装置60と相違している。
【0116】
この評価装置70は、図17に示したフローチャートに従って作動する。なお、図17において図10に示したステップと同一の処理を行うステップについては、同図10に示した符号と同一の符号を付している。また、図17のガス蓄積開始(ステップ1706)〜終了(ステップ1795)は、測定制御装置30が実行するプログラムの各ステップを示し、他のステップは作業者が行う工程を示している。更に、この場合においても、測定制御装置30は図4に示したルーチンをサンプリング時間TSAMPLEの経過毎に実行する。
【0117】
先ず、ステップ1700に続くステップ1702にて排気装置17を作動させ、続くステップ1704にて質量分析器21を起動し、その後、ステップ1706から評価用ヘリウムガスの蓄積を行うための処理を開始する。そして、測定制御装置30は、ステップ1708にて質量分析器21の起動に必要な時間が経過したか否かを判定し、起動に必要な時間が経過した場合にステップ1710に進んで、第1〜第5開閉弁13,18,67a,68a,69aを開成し、排気装置17に接続されているすべての部分に存在する不純ガスの排気を開始する。
【0118】
次いで、測定制御装置30は、ステップ1712に進んで圧力計22の出力Pが所定の気圧(10−2(Pa))未満となったか否かを判定する。排気が進んで、圧力計22の出力Pが上記所定の気圧より小さくとなると、測定制御装置30はステップ1712にて「Yes」と判定してステップ1714に進み、第1開閉弁13、第4開閉弁68a、及び第5開閉弁69aを閉成し、標準リーク源61と第1チャンバ(第1密閉室)62のみを連通した状態とする。次いで、測定制御装置30は、ステップ1716にてタイマTをリセットした上でスタートし、ステップ1718にてタイマTの値が所定時間T1(sec)より大きくなったか否かを判定する。
【0119】
そして、所定時間T1が経過すると、測定制御装置30はステップ1718にて「Yes」と判定してステップ1720に進み、第3開閉弁67aを閉成する。上記所定時間T1の間に第1チャンバ62内に蓄積されたヘリウムガス量V1は、上記数7により表される値となる。
【0120】
次いで、測定制御装置30はステップ1722に進んで第4開閉弁68aを開成する。これにより、第1チャンバ62と第2チャンバ(第2密閉室)63のみが連通された状態となる。次に、測定制御装置30は、ステップ1724に進んでタイマTを再びリセットした上でスタートし、ステップ1726に進んでタイマTの値が所定時間T2(sec)より大きくなったか否かを判定し、同所定時間T2が経過するとステップ1728に進んで第4開閉弁68aを閉成する。
【0121】
前記所定時間T2は、第1チャンバ62内と第2チャンバ63内のヘリウムガス濃度とが等しくなるのに必要な時間(または、それより若干長い時間)に設定されている。従って、この所定時間T2が経過したとき、第2チャンバ63内に蓄積されたヘリウムガス量V2は、上記数8により表される値となる。以上のステップ1700〜ステップ1728までは、図15に示したステップ1500から1528と同一である。但し、ステップ1718で使用される所定時間T1は、ステップ1518で使用される所定時間T1よりも短く設定してある。また、評価装置70における第1チャンバ62と第2チャンバ63の容積比(VA/VB)は、評価装置60におけるそれよりも大きく設定されている。これにより、第2所定時間T2が経過した時点で第2チャンバ63内に蓄積されているヘリウムガス量V2は、通常の測定において検査対象物S2内に蓄積されるヘリウムガス量と同等の微量となる。
【0122】
この後、測定制御装置30はステップ1730以降に進み、漏洩ガス測定装置50としての測定を開始する。即ち、測定制御装置30は、ステップ1732にて第5開閉弁69aを開成し、続くステップ1734に進んでタイマTを再びリセットした上でスタートし、次いでステップ1736に進んでサンプリング許可フラグFの値を「1」に設定するとともに、カウンタnの値を「1」に設定する。
【0123】
この結果、測定制御装置30が、図4に示した時間割込みルーチンを所定のタイミングにて開始すると、ステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、その時点の質量分析器21の出力値Lを測定値L(n)(=L(1))として格納するとともにその時点の時刻tを測定時刻t(n)(=t(1))として格納し、続くステップ415にてカウンタnの値を「1」だけ増大する。そして、この時点以降、サンプリング時間が経過する毎に、その時点の出力値Lが測定値L(n)として格納されるとともにその時点の時刻tが測定時刻t(n)として格納され、カウンタnの値が「1」ずつ増大されて行く。
【0124】
再び図17を参照すると、測定制御装置30はステップ1738に進んでタイマTの値が所定時間T4(sec)より大きくなったか否かを判定し、同所定時間T4が経過するとステップ1738にて「Yes」と判定してステップ1740に進み、同ステップ1740にて第1開閉弁13を開成する。このように、上記ステップ1732にて第5開閉弁69aを開成してから前記所定時間T4が経過した後に第1開閉弁13を開成するのは、この期間内の測定値L(n)の一部をバックグラウンドノイズの計算に用いるためである。
【0125】
次に、測定制御装置30はステップ1742に進み、同ステップ1742にて弁開閉検出スイッチ15の出力に基き第1開閉弁13が開弁したか否かをモニタする。そして、第1開閉弁13が開弁すると、弁開閉検出スイッチ15がその旨を示す信号を測定制御装置30に送出するため、同測定制御装置30はステップ1742にて「Yes」と判定してステップ1744に進み、その時点の時刻tを第1開閉弁開弁タイミングtvとして格納するとともに、ステップ1746に進んでその時点の質量分析器21の出力値Lを開弁時出力Lvとして格納する。
【0126】
次に、測定制御装置30はステップ1748に進んで、サンプリング許可フラグFの値が「0」となったか否かを判定する。このサンプリング許可フラグFの値は、図4に示したルーチンのステップ415の実行によりカウンタnの値が増大して値ne+1と等しくなったとき、測定制御装置30のステップ420における「Yes」との判定のもとに、ステップ425にて「0」に変更される。このステップ415で使用される値ne+1は、第1開閉弁13を開成してから十分な時間が経過(この場合、第2チャンバ63に蓄積されていたガスが質量分析器21に供給された後、所定の時間が経過)したときにカウンタnの値が到達するように設定されている。従って、十分な数のサンプリングが行われてサンプリング許可フラグFの値が「0」に変更されると、測定制御装置30は図17のステップ1748にて「Yes」と判定してステップ338以降に進み、データの分析を開始する。
【0127】
測定制御装置30は、ステップ338以降において、図10(図3)に示した作動と略同一の作動を行うので、同ステップ338以降の各ステップの説明を省略する。この結果、ステップ348にて第2チャンバ63内に蓄積されていたヘリウムガスの全体量LSが求められ、ステップ352にて表示装置31に同値LSが表示される。この場合、上記ステップ1710〜上記ステップ1728までの処理により、第2チャンバ63内に蓄積されたヘリウムガスの量は上記数7,数8により既知であるから、この量とステップ348にて求められたヘリウムガス量LSとを比較することで、同装置の精度等が評価される。
【0128】
以上に説明したように、評価装置70によれば、そのまま使用した場合にはリーク量が大きすぎる標準リーク源61を用いて、第2チャンバ63内に既知で微量のヘリウムガスを蓄積することができるので、漏洩ガス測定装置50の評価を行うことが可能となる。
【0129】
次に、図18に示した本発明の第3実施形態に係る漏洩ガス測定装置80について説明する。この漏洩ガス測定装置80は、第1実施形態の漏洩ガス測定装置10のチャンバ11に冷却装置81を付加し、同チャンバ11内に存在する測定対象のガス(この場合はヘリウムガス)以外の不純ガスの量を低減し、検出感度を一層向上したものである。
【0130】
図19は、各ガスについて温度と蒸気圧の関係を示している。図19から明らかなように、チャンバ11を温度が70Kの液体窒素により冷却した場合、測定対象であるヘリウムガスは、その蒸気圧が温度70Kにおいて十分に大きいため、同チャンバ11内においてガスとして存在する(ヘリウムガスの蒸気圧は低下しない)。一方、不純ガスとして多く含まれる二酸化炭素(CO2)、水(H2O)等の気体は、その蒸気圧が温度70Kにおいて10-7(Pa)以下であり十分小さい。従って、チャンバ11を液体窒素で冷却することにより、ヘリウムガス以外の不純ガスを選択的に排気する(この場合には、チャンバ11の内壁面に吸着させる)ことが可能である。そこで、漏洩ガス測定装置80は冷却用媒体として液体窒素を用いた。但し、メタン(CH4)、酸素(O2)などは、温度70Kにおいて比較的大きい蒸気圧を有しているため、これらを液体窒素によるチャンバ11の冷却により排気するためには時間を要する。従って、これらの不純ガスが多く含まれる場合であって、排気時間を短縮する必要がある場合には、液体ヘリウムを冷却用の媒体として使用することが望ましい。
【0131】
再び図18を参照すると、上記漏洩ガス測定装置80のチャンバ11は、中空の円筒形であって、底面及び上面にフランジ部11a,11bを有している。底面側フランジ部11aは、同底面側フランジ部11aに着脱可能にボルト固定される蓋体11cによって閉塞されるようになっている。また、上面側フランジ部11bは、同上面側フランジ部11bに着脱可能にボルト固定される蓋体11dにより閉塞されるようになっている。この蓋体11dの中央部には、上記第1排気管12の一端が接続されている。これにより、チャンバ11内に存在するガスは、チャンバ11の軸線方向に沿って質量分析器21側に排気されるようになっている。
【0132】
漏洩ガス測定装置80の冷却装置81は、円筒形の冷却本体82と、液体窒素を貯留する液体窒素タンク83と、前記液体窒素タンク83内の液体窒素を前記冷却本体82の表面に供給するための冷却配管84と、同冷却配管84に介装された冷却用ポンプ85と、チャンバ11内の温度を検出して同温度TEMPを出力する温度センサ86とを備えている。他の構成は、漏洩ガス測定装置10と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、温度センサ86は、チャンバ11の内壁面に装着されるとともに測定制御装置30に接続されている。チャンバ11への内壁面への装着が困難な場合には、温度センサ86をチャンバ11の外部側壁面に装着してもよい。
【0133】
冷却本体82は、熱伝導率の高い銅等の金属からなるとともにチャンバ11の側壁面に接触して同チャンバ11を覆う略円筒形の本体部82aを備えている。この本体部82aは、ニ分割されていて、各本体部82aに備えられたフランジ部82bを貫通する複数のボルト82cにより前記チャンバ11に着脱可能となるように組み付けられている。
【0134】
冷却配管84は、熱伝導率の高い銅等の金属からなり、両端が液体窒素タンク83に連通するとともに、前記冷却本体82の本体部82aの表面に接触しながら蛇行する冷却部を備えている。この冷却配管84は、チャンバ11の近傍位置において接続部84aを備えていて、前記冷却本体82が前記チャンバ11から取り外される際に同接続部84aにて2分割され、同冷却本体82の同チャンバ11からの取り外しを可能とするように構成されている。
【0135】
冷却用ポンプ85は、測定制御装置30と接続されていて、同測定制御装置30からの指令信号に基づいて作動し、前記液体窒素タンク83内の液体窒素を前記冷却配管84を通して前記冷却本体82の本体部82a上に供給するようになっている。
【0136】
次に、上記のように構成された漏洩ガス測定装置80の作動について、図20を参照しながら説明する。なお、図20において、図3に示したステップと同一の処理を行うステップについては、同図3に示した符号と同一の符号を付している。また、測定開始(ステップ2002)〜終了(ステップ2095)は、測定制御装置30が実行するプログラムの各ステップを示し、他のステップは作業者が行う工程を示している。更に、この場合においても、測定制御装置30は図4に示したルーチンをサンプリング時間TSAMPLEの経過毎に実行する。
【0137】
先ず、ステップ2000に続くステップ302にて、検査対象物S1内に既知の圧力(例えば、100(Pa))のヘリウムガスを封入する。次に、ステップ304にてチャンバ11内に検査対象物S1を設置し、ステップ306にてチャンバ11を閉じて(蓋体11cをチャンバ11に固定して)同チャンバ11を密閉する。この段階で、図示しない測定開始ボタンが操作されて測定制御装置30はステップ2002以降の処理を開始する。
【0138】
測定制御装置30は、ステップ2004にて排気装置17を作動させ、ステップ2006にて第1,第2開閉弁13,18を開成する。この結果、チャンバ11を含み排気装置17に接続された各部に存在する不純ガスの排出が開始される。次いで、測定制御装置30はステップ2008に進み、第1開閉弁13を図示しない加熱装置により150℃程度に所定の時間だけ加熱し、その後所定の時間だけ冷却期間を設けるベーキングを実施する。このステップ2008は省略することもできる。
【0139】
上記ステップ2008の処理が終了すると(冷却期間が終了すると)、測定制御装置30はステップ2010に進み、圧力計22の出力Pが所定の気圧(10−2(Pa))未満となったか否かを判定し、圧力計22の出力Pが前記所定の気圧より小さくとなると、ステップ2010にて「Yes」と判定してステップ2012に進み、同ステップ2012にて第1開閉弁13を閉成する。
【0140】
次いで、測定制御装置30はステップ2014に進んで、その時点の時刻tをヘリウムガス蓄積開始時刻t0として格納する。その後、測定制御装置30は、ステップ2016にてタイマTをリセットした上でスタートし、ステップ2018にてタイマTが所定時間(ヘリウムガス蓄積保証時間)TS0を計時したか否かを判定する。この所定時間TS0は、検査対象物S1の略密閉空間内に封入されているヘリウムガスが、同検査対象物S1からチャンバ11内に漏洩して測定に必要な量だけ蓄積されるのに必要な時間であり、例えば、数十分〜数百時間である。
【0141】
次に、測定制御装置30はステップ2020に進んで質量分析器21を起動し、ステップ2022にて冷却用ポンプ85を作動させ、液体窒素によるチャンバ11の冷却を開始する。なお、前記ステップ2020と前記ステップ2022との間に、図15に示したステップ1508を挿入し、質量分析器21の起動完了を確認するようにしてもよい。次いで、測定制御装置30は、ステップ2024にて温度センサ86の示す温度TEMPが所定温度TE0より小さくなったか否かを判定することで、チャンバ11が液体窒素により十分冷却されたか否かを判定する。
【0142】
そして、チャンバ11が液体窒素により十分冷却されると、測定制御装置30はステップ2024にて「Yes」と判定し、ステップ2026に進んでタイマTをリセットした上でスタートする。次いで、測定制御装置30は、ステップ2028にてタイマTが所定時間(排気保証時間)Tαを計時したか否かを判定し、同タイマTが所定時間Tαを計時するまで同ステップ2028を繰り返し実行する。
【0143】
排気保証時間Tαは、液体窒素によってチャンバ11を冷却し、同チャンバ11内に残存するヘリウムガス以外の不純ガスを排気する(この場合には、チャンバ11の内壁面に吸着させる)のに必要な時間である。この排気保証時間Tαは、例えば、数分〜数十分であって、前記ヘリウムガス蓄積保証時間TS0に比べ短く設定しておく。換言すれば、時間Tαが短くても不純ガスの排気が十分に行われるように、冷却用ポンプ85の流量や冷却配管84を決定しておく。これにより、検査対象物S1の過冷却による特性変化を回避することができる。
【0144】
上記排気保証時間Tαが経過すると、測定制御装置30はステップ2028にて「Yes」と判定してステップ2030に進み、タイマTをリセットした上でスタートし、続くステップ2032にてサンプリング許可フラグFの値を「1」に設定するとともに、カウンタnの値を「1」に設定する。
【0145】
この結果、測定制御装置30が、図4に示した時間割込みルーチンを所定のタイミングにて開始すると、ステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、その時点の質量分析器21の出力値Lを測定値L(n)(=L(1))として格納するとともに、その時点の時刻tを測定時刻t(n)(=t(1))として格納し、続くステップ415にてカウンタnの値を「1」だけ増大する。以降、測定制御装置30はサンプリング時間TSAMPLEが経過する毎に図4に示したルーチンを実行し、ステップ410にてその時点の出力値Lを測定値L(n)として格納するとともに、その時点の時刻tを測定時刻t(n)として格納し、ステップ415にてカウンタnの値を「1」ずつ増大する。
【0146】
再び図20を参照すると、測定制御装置30はステップ2034に進み、同ステップ2034にてタイマTの値が所定時間T4(sec)より大きくなったか否か、即ちタイマTをステップ2030にてリセットした後に所定時間T4が経過したか否かを判定する。そして、所定時間T4が経過するとステップ2036に進んで第1開閉弁13を開成する。このように、排気保証時間Tαが経過した後に更に所定時間T4だけ待ってから第1開閉弁13を開成することとしたのは、この期間内の測定値L(n)の一部をバックグラウンドノイズの計算に用いるためである。
【0147】
次に、測定制御装置30はステップ2038に進み、同ステップ2038にて弁開閉検出スイッチ15の出力に基き第1開閉弁13が開弁したか否かをモニタする。そして、第1開閉弁13が開弁すると、弁開閉検出スイッチ15がその旨を示す信号を測定制御装置30に送出するため、同測定制御装置30はステップ2038にて「Yes」と判定してステップ2040に進み、その時点の時刻tを第1開閉弁開弁タイミングtvとして格納するとともに、ステップ2042に進んでその時点の質量分析器21の出力値Lを開弁時出力Lvとして格納する。
【0148】
次に、測定制御装置30はステップ2044に進んで、サンプリング許可フラグFの値が「0」となったか否かを判定する。このサンプリング許可フラグFの値は、図4に示したルーチンのステップ415の実行によりカウンタnの値が増大して値ne+1と等しくなったとき、測定制御装置30のステップ420における「Yes」との判定のもとに、ステップ425にて「0」に変更される。このステップ415で使用される値ne+1は、第1開閉弁13を開成してから十分な時間が経過(チャンバ11に蓄積されていたガスが質量分析器21に供給された後、所定の時間が経過)したときにカウンタnの値が到達するように設定されている。従って、十分な数のサンプリングが行われてサンプリング許可フラグFの値が「0」に変更されると、測定制御装置30は図20のステップ2044にて「Yes」と判定してステップ2046に進む。
【0149】
測定制御装置30は、ステップ2046にて第1開閉弁開弁時刻tvからヘリウムガス蓄積開始時刻t0を減じて求められる時間を(ヘリウムガス)蓄積時間TSとして格納し、続くステップ2048にて冷却用ポンプ85の作動を停止してチャンバ11の冷却を終了し、次いで、ステップ338以降に進んでデータの分析を開始する。
【0150】
測定制御装置30は、ステップ338以降において、図3に示した作動と略同一の作動を行うので、同ステップ338以降の各ステップの説明を省略する。この結果、測定制御装置30はステップ350にて上記ステップ2046で求めた蓄積時間TSを使用して検査対象物S1から漏洩するヘリウムガスの流量Loutを求める。以上が、漏洩ガス測定装置80の漏洩ガス量を測定する際の作動である。
【0151】
図21は、図20に示したフローチャートの各ステップのうち、ステップ302及びステップ304のステップを省略し、即ち、チャンバ11内に検査対象物S1を配置しない状態において、ステップ306〜ステップ2095までの総てのステップを実行した際(冷却装置81による冷却を行った後に測定した際)に得られた質量分析器21の出力(図21中の曲線L1)と、同ステップ306〜同ステップ2095までのうちステップ2022〜ステップ2028を省略したステップを実行した際(冷却装置81による冷却を行わないで測定した際)に得られた同質量分析器21の出力(図21中の曲線L2)の時間変化を示している。なお、図21において、時刻tvは第1開閉弁13の開弁タイミングを示している。
【0152】
図21から明らかなように、測定前に液体窒素による冷却を行わない場合(曲線L2)には、不純ガスが質量分析器21により測定されるために、第1開閉弁13の開弁直後に急峻なピークを有する波形が測定された。一方、測定前に液体窒素による冷却を行った場合(曲線L1)には、曲線L2に見られたようなピークは測定されなかった。このことは、チャンバ11内の不純ガスが同チャンバ11の内壁に吸着され、測定時にノイズとなって現れないことを示している。
【0153】
なお、冷却装置81による冷却後に測定を行った場合、曲線L1に見られるように、質量分析器21の出力Lが第1開閉弁13の開弁後(時刻tv後)において時間の経過とともに減少するのは、同第1開閉弁13の開弁によって質量分析器21に至る経路(例えば、第1排気管12、第2排気管16等)内に存在する不純ガスがチャンバ11の内壁面に吸着されるためである。ただし、このような吸着による変化は、第1実施形態において説明したステップ346等によるバックグラウンドノイズとして認識されるから、漏洩ガス測定装置80の検出精度に何ら影響しない。
【0154】
表1は、上記図21で示した測定が、ヘリウムガスのみを測定したものと仮定し、その際に得られるヘリウムガスの流量Lout(ステップ350参照)を等価標準リーク量に換算した値により示したものである。換言すると、表1は、同表1に示された等価標準リーク量に相当する不純ガスがヘリウムガスとして測定されてしまうことを示している。
【0155】
【表1】
【0156】
表1によれば、測定前に冷却を行わなかった場合の分解能を「1」とするとき、測定前に冷却を行った場合の分解能は「26」(=2.9×10-16/1.1×10-17)となっている。即ち、漏洩ガス測定装置80は、漏洩ガス測定装置10の検出しうるヘリウムガスの最小リーク量に対して1/26のリーク量まで検出可能であって、極めて高い検出精度を有していることが理解される。
【0157】
図22は、ヘリウムガス以外の不純ガスを十分排気した状態で漏洩ガス測定装置80に図14にて示した評価装置60を接続するとともに、上記図21に示した測定と同様な測定(冷却装置81による冷却をした場合と、同冷却をしなかった場合)を行い、その際のチャンバ11内のヘリウム量(上記数7〜数9により既知)と同漏洩ガス測定装置80にて測定されたヘリウム量LSとの関係を示したものである。図22から理解されるように、冷却装置81による冷却の有無は、チャンバ11内のヘリウムガス量(濃度)に何らの影響も及ぼさない。即ち、冷却装置81の装着によって、測定すべきヘリウムガス量には変化が生じないので、漏洩ガス測定装置80は、この意味においても検出精度が高いものとなっていることが理解される。
【0158】
ところで、この冷却装置81によりチャンバ11を冷却することで同チャンバ11に不純ガスを吸着させることを何度も繰り返すと、同不純ガスや有機物(汚れ)が同チャンバ11の内壁面に多量に付着し、測定時においてこれらが不純ガスとして現れ、漏洩ガス測定装置80の測定精度を低下させる惧れがある。これに対し、上記冷却装置81(冷却本体82)は、チャンバ11に対して取り外し可能に構成されているので、同冷却装置81による吸着を複数回行った後の適宜のタイミングで同冷却装置81をチャンバ11から取り外し、同チャンバ11にヒータ(ニクロム線からなるリボンヒータ等)を装着し、同チャンバ11を例えば100℃以上に加熱するとともに排気装置17を作動して同チャンバ11内を例えば10−2(Pa)程度の高真空度にすることで、同チャンバ11内面に付着した不純ガスや有機物を除去する(所謂、ベーキングを行う)ことが可能である。このようにすることで、上記漏洩ガス測定装置80は、検出精度を高く維持することができる。
【0159】
また、上記漏洩ガス測定装置80においては、検査対象物S1の入れ替えなどの際にチャンバ11を大気に開放する。漏洩ガス測定装置80のチャンバ11は測定時に非常に低温となるように冷却されるため、同チャンバ11を大気開放した際に同チャンバ11の温度と大気温度が大きく異なる場合があり得る。このようになると、大気中の水分がチャンバ11の内面に大量に付着するので、次回以降の測定時においてチャンバ11の内壁面に付着した水分が蒸発して同装置の検出精度を低下させる。
【0160】
これに対処するため、上記漏洩ガス測定装置80が備える温度センサ86の検出温度TEMPを常に表示装置31に表示させ、チャンバ11の大気開放を、チャンバ11の温度が上記水分の大量付着を招かない温度にまで上昇していることを確認してから行うようにする。この場合は、作業者が表示装置31を目視にて確認することによってチャンバ11の大気開放を規制するものであるが、同チャンバ11の開放を規制する電磁ロック等を設けておき、チャンバ11の温度が十分上昇しているときにのみ、測定制御装置30から同電磁ロックに指示を与えて同チャンバ11の開放規制を解除するように構成してもよい。
【0161】
以上のように、漏洩ガス測定装置80においては、測定開始前にヘリウムガスが蓄積されたチャンバ11を液体窒素により冷却して不純ガスを排除する。従って、より検出精度が向上する。また、冷却装置81を取り外してチャンバ11をベーキングすることも可能であり、高い検出精度を維持することができる。
【0162】
また、上記漏洩ガス測定装置80は、チャンバ11の形状が円筒状であって極めて簡素な形状をしているから、チャンバ11自体でのリークを最小限とすることができるとともに、同チャンバ11の溶接箇所及び接続箇所の数を小さくすることができるので、同溶接箇所や同接続箇所からのリークの発生確率を低い値に維持することができる。また、チャンバ11の形状が円筒状であって、且つ、漏洩ガスの取り出し方向を同チャンバ11の軸線方向としているので、同漏洩ガスを取り出す際の抵抗(排気抵抗)を小さくすることができる。これにより、チャンバ11内に蓄積されたガスの全体が短時間内に質量分析器21に到達するので、同質量分析器21の出力Lのピーク値を同質量分析器21の分解能に対して大きな値とすることができる。この結果、漏洩ガス量の測定精度を高くすることができる。
【0163】
なお、チャンバ11を冷却した場合、検査対象物S1も同時に冷却され、同検査対象物S1の特性が変化したり、同検査対象物S1からのガスの漏洩量が変化する惧れがある。このような場合には、図23(A)〜(D)の各図に示したように、チャンバ11に液体窒素により直接的に冷却されない部分(図23の各図において網掛けされていない部分)を設け、同チャンバ11の直接的に冷却されない部分に固定された基端部91aと、同基端部91aから延設された腕部91bと、同腕部91bの先端に接続されるとともに検査対象物S1を配置可能にしてなる棚部91cとを有する保持部材91を設けるようにしてもよい。この場合、腕部91bの長さを極力長く設定することで、チャンバ11からの熱伝導による棚部91cの温度低下を小さくすることが有効である。
【0164】
また、冷却装置81の冷却構造を、図24〜図28に示したように変形してもよい。これらの変形例について説明を加えると、図24に示した冷却構造は、チャンバ11の周囲に熱伝導率の大きい銅等からなる金属管を巻回し、同金属管中に液体窒素を通過させる構造である。
【0165】
図25に示した冷却構造は、チャンバ11の側壁面に熱伝導率の大きい金属からなる冷却用フィン93を複数個接合するとともに、同チャンバ11及び同冷却フィン93を密閉性があって且つ断熱性の良好な容器94内に収容する構造である。この容器94内には液体窒素が注入され、同液体窒素が気体状となって同容器94内に充満し、これにより冷却フィン93を介してチャンバ11を冷却する。なお、容器94内を液体窒素で満たしてもよい。
【0166】
図26に示した冷却構造は、熱伝導率の大きい銅等からなる金属管95を螺旋状に巻回し、同巻回された部分をチャンバ11内に配設するとともに、同巻回された部分にチャンバ11の外部から液体窒素を供給する構造である。この場合、チャンバ11中の不純ガスは、金属管95に吸着される。
【0167】
図27に示した冷却構造は、熱伝導率の大きい銅等からなる棒状の金属96をチャンバ11の側壁に沿って巻回し、同棒状金属96の両端を同種の金属からなる薄板97に接合させるとともに、同薄板97を液体窒素が満たされた容器98内に浸漬させる構造である。これにより、金属板97が液体窒素により冷却され、これが熱伝導によって棒状金属96を冷却し、同棒状金属96がチャンバ11を冷却する。
【0168】
図28に示した冷却構造は、チャンバ11のフランジ部11a,11bの直径LCよりも大きい内径(直径)LYを有する円筒形状をなすとともに上面及び下面が開放した容器100内に同チャンバ11を挿通させ、同容器100の上面及び下面においてチャンバ11との間に形成される空隙を圧縮性及び断熱性を有する材質からなるリング状の蓋部材101,102で閉塞する構造である。この場合、リング状の蓋部材101,102は、容器100に対して着脱可能となっている。また、容器100の上部には、同容器100の側壁を貫通する一対の貫通孔103,104が設けられていて、同貫通孔103から液体窒素が注入されて、容器100内が同液体窒素により満たされる。なお、貫通孔104は液体窒素からの気抜き孔として機能する。
【0169】
図28に示した構造によれば、チャンバ11を液体窒素で直接的に冷却することができるので、同チャンバ11の内壁を容易に低温とすることができる。更に、リング状の蓋部材101,102は、容器100から取り外すことができるとともに、チャンバ11のフランジ部11a,11b直径LCは容器100の内径LYよりも小さいので、チャンバ11を容器100から取り出すことが可能である。これにより、チャンバ11を容器100から取り出し、同チャンバ11にヒータを装着して過熱する上記ベーキングを行うことができる。
【0170】
以上説明したように、本発明による各実施形態によれば、非常に検出感度の高い漏洩ガス測定装置10,50,80を得ることができる。また、これらの漏洩ガス測定装置10,50,80の測定精度を評価することができる評価装置60,70を得ることができる。
【0171】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の態様により実施され得る。例えば、上記各実施形態において、脱ガスを低減してバックグラウンドノイズを低減するために、第1開閉弁13等の各開閉弁をメタルバルブとし、第1開閉弁13〜チャンバ11間等に使用されるガスケットを銅ガスケットとしてもよい。また、評価装置60においては、標準リーク源61を直接チャンバ11と所定時間だけ連通してもよく、評価装置70においては標準リーク源61を直接第1排気管12に所定時間だけ連通するように構成してもよい。更に、上記第1〜第5開閉弁13,18,67a,68a,69a等の開閉弁は電磁式であったが、短時間に開閉できる空気式開閉弁とすることも好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1実施形態に係る漏洩ガス測定装置の概略図である。
【図2】 図1に示した質量分析器の概略断面図である。
【図3】 図1に示した漏洩ガス測定装置による漏洩ガス測定の工程を示すフローチャートである。
【図4】 図1に示した漏洩ガス測定装置の測定制御装置が実行する時間割込みルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 図1に示した検査対象物の概略断面図である。
【図6】 図1に示した漏洩ガス測定装置の測定結果を示すグラフである。
【図7】 図1に示した漏洩ガス測定装置によるバックグラウンド推定方法を説明するためのグラフである。
【図8】 図1に示した漏洩ガス測定装置による漏洩ガス量の演算を説明するためのグラフである。
【図9】 本発明による第2実施形態に係る漏洩ガス測定装置の概略図である。
【図10】 図9に示した漏洩ガス測定装置による漏洩ガス測定の工程を示すフローチャートである。
【図11】 図9に示した漏洩ガス測定装置により、漏洩ガスの蓄積時間を変化させた際に測定された漏洩ガスの全体量を示すグラフである。
【図12】 図1又は図9に示した質量分析器に、蓄積されたヘリウムガスが徐々に到達する場合における同質量分析器の出力の変化を示すグラフである。
【図13】 図1又は図9に示した質量分析器に、蓄積されたヘリウムガスが速やかに到達する場合における同質量分析器の出力の変化を示すグラフである。
【図14】 図1に示した漏洩ガス測定装置と同装置に接続された評価装置の概略図である。
【図15】 図14に示した評価装置による漏洩ガス測定装置の評価のための工程を示すフローチャートである。
【図16】 図9に示した漏洩ガス測定装置と同装置に接続された評価装置の概略図である。
【図17】 図16に示した評価装置による漏洩ガス測定装置の評価のための工程を示すフローチャートである。
【図18】 本発明による第3実施形態に係る冷却装置を備えた漏洩ガス測定装置の概略図である。
【図19】 各種ガスについて温度と蒸気圧の関係を示したグラフである。
【図20】 図18に示した漏洩ガス測定装置による漏洩ガス測定の工程を示すフローチャートである。
【図21】 図18に示した漏洩ガス測定装置において、チャンバ内に検査対象物を設置しない状態で、同チャンバを冷却することなく測定を行った場合と、同チャンバを冷却した後に測定を行った場合とで得られた質量分析器の出力の時間変化を示すグラフである。
【図22】 図18に示した漏洩ガス測定装置において、不純ガスを十分排気した状態で図14に示した評価装置を接続し、チャンバを冷却することなく測定を行った場合と、同チャンバを冷却した後に測定を行った場合とで測定された漏洩ガス(ヘリウムガス)量を示すグラフである。
【図23】 (A)〜(D)は、図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバ内を示した図である。
【図24】 図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバの冷却構造の変形例を示す図である。
【図25】 図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバの冷却構造の他の変形例を示す図である。
【図26】 図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバの冷却構造の他の変形例を示す図である。
【図27】 図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバの冷却構造の他の変形例を示す図である。
【図28】図18に示した漏洩ガス測定装置のチャンバの冷却構造の他の変形例を示す図である。
【図29】 従来の漏洩ガス測定装置の概略図である。
【符号の説明】
10…漏洩ガス測定装置、11…チャンバ、12…第1排気管、13…第1開閉弁、14…開閉弁駆動装置、15…弁開閉検出スイッチ、16…第2排気管、17…排気装置、18…第2開閉弁、19…開閉弁駆動装置、20…第3排気管、21…質量分析器、22…圧力計、30…測定制御装置、31…表示装置、32…記録装置、S1…検査対象物。
Claims (13)
- 所定のガスが封入された略密閉空間を有する検査対象物を収容するためのチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバと前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置と、
前記測定制御装置と接続され前記開閉弁の開閉状態を検出信号として取出して同検出信号を同測定制御装置に供給する手段と、
を備えた漏洩ガス測定装置であって、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記チャンバを所定の蓄積時間TSだけ密閉し同チャンバ内に前記検査対象物から漏洩するガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記蓄積時間TSの経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給する手段と、
前記検出信号が前記開閉弁が開弁した旨を示す信号となったとき、その時点の時刻tを開閉弁開弁タイミングtvとして取得するとともに同開閉弁開弁タイミングにおける前記流量制御装置の出力値Lvを取得する手段と、
前記流量制御装置の出力値の最大ピーク値Lpを取得するともに、同最大ピーク値Lp及び前記開閉弁開弁タイミングにおける出力値Lvと、前記開閉弁開弁タイミングtvと、に基づいて、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間を特定し、この期間について前記流量測定装置の出力値に応じた値を積分して前記蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、
前記測定されたガスの全体量を前記蓄積時間TSにより除することによって前記検査対象物から漏洩するガスの流量Loutを求める流量演算手段と、
を含んでなることを特徴とする漏洩ガス測定装置。 - 所定のガスが供給されたチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバ内に収容される検査対象物と前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置と、
前記測定制御装置と接続され前記開閉弁の開閉状態を検出信号として取出して同検出信号を同測定制御装置に供給する手段と、
を備えた漏洩ガス測定装置であって、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記検査対象物を所定の蓄積時間TSだけ密閉し、同検査対象物内に漏洩する前記所定のガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記蓄積時間TSの経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給する手段と、
前記検出信号が前記開閉弁が開弁した旨を示す信号となったとき、その時点の時刻tを開閉弁開弁タイミングtvとして取得するとともに同開閉弁開弁タイミングにおける前記流量制御装置の出力値Lvを取得する手段と、
前記流量制御装置の出力値の最大ピーク値Lpを取得するともに、同最大ピーク値Lp及び前記開閉弁開弁タイミングにおける出力値Lvと、前記開閉弁開弁タイミングtvと、に基づいて、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間を特定し、この期間について前記流量測定装置の出力値に応じた値を積分して前記蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、
前記測定されたガスの全体量を前記蓄積時間TSにより除することによって前記検査対象物内に漏洩するガスの流量Loutを求める流量演算手段と、
を含んでなることを特徴とする漏洩ガス測定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記積分手段は、
eを自然対数の底とするとき、基準出力値Leを、
Le=(Lp−Lv)/e+Lv
なる式により求めるとともに、前記流量測定装置の出力値が前記求められた基準出力値Leと等しい値を示した基準時刻teを求め、
実測定時間τを、
τ=te−tv
により求めるとともに、
値kを1乃至5のうちの所定値として、前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間を、時刻tvから時刻tv+k・τまでの期間として特定するように構成された漏洩ガス測定装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記流量測定装置の出力値に基づいて同出力値のバックグラウンドノイズを推定する手段を含み、
前記積分手段は、
前記流量測定装置の出力値から前記推定されたバックグラウンドノイズを減算した値を前記流量測定装置の出力値に応じた値として積分するように構成された漏洩ガス測定装置。 - 請求項4に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記バックグラウンドノイズを推定する手段は、
前記蓄積されたガスが前記流量測定装置に供給されている期間の前後の所定期間内における同流量測定装置の出力値に基づいて前記バックグラウンドノイズを推定するように構成された漏洩ガス測定装置。 - 請求項1に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記排気通路であって前記開閉弁と前記流量測定装置との間に接続された排気装置を備えるとともに、
前記測定制御装置は、前記漏洩ガス蓄積手段によって前記検査対象物から漏洩するガスの蓄積を開始する前に前記開閉弁を開弁し且つ前記排気装置を駆動して前記チャンバ内の排気を行う排気制御手段を含んでなる漏洩ガス測定装置。 - 請求項1又は請求項6に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記チャンバ内に存在する前記ガス以外の不純ガスを吸着する吸着手段を備えたことを特徴とする漏洩ガス測定装置。 - 請求項7に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記吸着手段は、前記チャンバを冷却する冷却手段を含むことを特徴とする漏洩ガス測定装置。 - 請求項8に記載の漏洩ガス測定装置において、
前記測定制御装置は、前記蓄積されたガスの全体量の測定を開始する前に前記冷却手段の作動を開始させて前記チャンバを冷却する冷却制御手段を含んでなることを特徴とする漏洩ガス測定装置。 - 所定のガスが封入された略密閉空間を有する検査対象物を収容するためのチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバと前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置とを備えた漏洩ガス測定装置において、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記チャンバを所定時間だけ密閉し同チャンバ内に前記検査対象物から漏洩するガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記所定時間の経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給するとともに同流量測定装置の出力に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、を含んでなる漏洩ガス測定装置の評価装置であって、
前記所定のガスの単位時間当りのリーク量が既知である標準リーク源と、
前記標準リーク源と前記チャンバ又は同チャンバに連通する密閉室とを接続する接続通路と、
前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、
前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を所定時間だけ開弁させる開弁手段とを備えたことを特徴とする漏洩ガス測定装置の評価装置。 - 所定のガスが封入された略密閉空間を有する検査対象物を収容するためのチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバと前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置とを備えた漏洩ガス測定装置において、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記チャンバを所定時間だけ密閉し同チャンバ内に前記検査対象物から漏洩するガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記所定時間の経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給するとともに同流量測定装置の出力に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、を含んでなる漏洩ガス測定装置の評価装置であって、
既知のガス量の前記所定のガスを蓄積した密閉室と、
前記密閉室と前記チャンバとを接続する接続通路と、
前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、
前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を前記密閉室内のガス濃度と前記チャンバ内のガス濃度とが等しくなるまで開弁させる開弁手段とを備えたことを特徴とする漏洩ガス測定装置の評価装置。 - 所定のガスが供給されたチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバ内に収容される検査対象物と前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置とを備えた漏洩ガス測定装置において、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記検査対象物を所定時間だけ密閉し、同検査対象物内に漏洩する前記所定のガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記所定時間の経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給するとともに同流量測定装置の出力に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、を含んでなる漏洩ガス測定装置の評価装置であって、
前記所定のガスの単位時間当りのリーク量が既知である標準リーク源と、
前記標準リーク源と前記排気通路であって前記開閉弁と前記検査対象物との間の部位又は同部位に連通する密閉室とを接続する接続通路と、
前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、
前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を所定時間だけ開弁させる開弁手段とを備えたことを特徴とする漏洩ガス測定装置の評価装置。 - 所定のガスが供給されたチャンバと、
流量測定装置と、
前記チャンバ内に収容される検査対象物と前記流量測定装置との間を接続する排気通路と、
前記排気通路に介装され同排気通路を開閉する開閉弁と、
測定制御装置とを備えた漏洩ガス測定装置において、
前記測定制御装置は、
前記開閉弁を閉弁して前記検査対象物を所定時間だけ密閉し、同検査対象物内に漏洩する前記所定のガスを蓄積させる漏洩ガス蓄積手段と、
前記所定時間の経過後に前記開閉弁を開弁し前記蓄積されたガスを前記流量測定装置に供給するとともに同流量測定装置の出力に応じた値を積分して同蓄積されたガスの全体量を測定する積分手段と、を含んでなる漏洩ガス測定装置の評価装置であって、
既知のガス量の前記所定のガスを蓄積した第1密閉室と、
前記排気通路であって前記開閉弁と前記検査対象物との間の部位に接続された第2密閉室と、
前記第1密閉室と前記第2密閉室とを接続する接続通路と、
前記接続通路に介装され同接続通路を開閉する開閉弁と、
前記排気通路に介装された開閉弁を閉弁させた状態で前記接続通路に介装された開閉弁を前記第1密閉室内のガス濃度と前記第2密閉室内のガス濃度とが等しくなるまで開弁させる開弁手段を備えたことを特徴とする漏洩ガス測定装置の評価装置。
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