JP4390314B2 - 衛星測位を利用した地滑り監視警報システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星測位方式における搬送波(キャリア)位相を利用した衛星測位による地滑り監視警報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、GPSなどの航法衛星の搬送波位相信号を利用して相対位置を高精度に決定できる測位方式が開発され利用されている。この測位方式は衛星信号の搬送波位相(GPSの場合:1波長約20cmを観測値として用いているため、本来の測位用コード信号(GPSの場合:1波長約300m)を利用した測位方式(単独測位、コードディファレンシャル測位共)に比べて測位精度が格段に向上する。
【0003】
ただ、この衛星信号の搬送波位相を利用した測位方式においては、センチメートル(cm)レベルの高精度で位置を求める為に、例えばGPSシステムの搬送波(約20cm)の波長の中での位相を計測するため、波長毎、すなわち各サイクル毎に同位相が計測されるので、計測した位相はどのサイクルのものかを正確に測定し、整数値バイアス(整数サイクル)を確定することが必要である。また、衛星信号は二相位相変調(Binary Phase-Shift Keying)されているため、半波長の整数倍に相当する位相のバイアスが存在する。
【0004】
これらのバイアスは、二つの相対位置間に基づくオフセット量であり、この位相のバイアスが不確定であると、図3に示すように位相のバイアスが不確定なことによる位置の多重解が、真の解であるD点を含めてA点〜H点のように半波長の整数倍ごとに生じることになるので、位相のバイアス値を正確に把握しておく必要がある。なお、図3では、説明を簡単にするために一次元の例で示している。
【0005】
この位相のバイアス値を通常は、時間の経過に伴う衛星の位置変化を利用する方法などの何らかの方法により、確定し、真の値を1点(図3のD点)に定めることができる。
【0006】
このように搬送波位相を利用した測位方式では、高精度の位置決めが行えるため、地滑りの監視警報システムのように、位置の微小変化を検出することが要求される用途に利用されるようになってきている。
【0007】
地滑りの監視警報システムでは、監視される地点と基準地点との間の相対的な距離及びその変化を測定することになるが、これを連続的に測定する連続測位モードと、測位状態と測位中断状態とを繰り返して観測する間欠測位モードの2つの方式が利用可能である。
【0008】
ただ、現状では、間欠測位モードにおいては、まず、測位中断中に地滑りの兆候を示す位置の変動が現れた場合に警報を出すことができない問題があるため、ほとんどの地滑りの監視警報システムで連続測位モードが用いられている。
【0009】
さらに、この間欠測位モードにおいては別の問題点もある。この問題点について、図4を参照して説明する。同図は、間欠測位モードにおける位置変動の許容範囲を、説明を簡単にするために1次元の例で示した図である。
【0010】
観測点であるD点が測位中断中に移動したとしても、その移動量が±λ/4(λ:搬送波の波長)の範囲内である場合には再測位したときの位相のバイアスNは測位中断直前と同じため、搬送波位相を観測すれば正しい位置が求められる。
【0011】
しかしながら、観測点であるD点が測位中断中に±λ/4の範囲を越えた場合には真のバイアス値は測位中断直前とは異なるため正しい位置を得ることはできない。たとえば、実際にはD点から+λはなれたF点に移動した場合、搬送波位相観測値は前回と同じであるため測位中断直前のバイアス値を用いるとD点が測位結果として得られる。つまり、実際にはF点まで移動しているのに、D点のまま動かない結果となってしまい、正しい結果が得られない。
【0012】
このため、間欠測位モードを採用する場合には、測位中断中の移動量が±λ/4以下となることが保証される間欠測位時間間隔をユーザが設定することが必要であるが、この設定値を選択することは容易ではない。また、仮にユーザが設定ミス、設定変更遅れ、設定変更忘れをした場合には正しい位置が得られず、システム上大問題となる。
【0013】
このため、衛星測位方式における搬送波(キャリア)位相を利用した衛星測位による地滑り監視警報システムにおいては、ほとんどのシステムは連続測位モードとしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の衛星測位方式における搬送波(キャリア)位相を利用した衛星測位による地滑り監視警報システムにおいては、間欠測位モードで地滑り監視警報を行う場合、測位中断中に地滑りの兆候を示す位置の変動が現れたときなどに警報を出すことができないことがあるため、ほとんどのシステムは連続測位モードを採用している。従って、衛星受信機の内部電池や外部バッテリーの容量を大きくし、長時間の使用に耐えるようにしたり、商用電源から電源用ケーブルの敷設を行う必要があるなど、システム全体の電源対策に実用上の課題があった。
【0015】
本発明は、測位中断中において、地滑りの兆候を示す変動の発生した時に、連続測位モードに入ることができるようにすることで、衛星測位方式における搬送波(キャリア)位相を利用した衛星測位による地滑り監視警報システムに間欠測位モードを採用可能にすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムは、衛星信号の搬送波位相を利用して、観測点の位置を基準局位置との相対距離として測定する衛星測位装置と、この衛星測位装置の測位状態と測位中断状態とを切り替え制御する測位間隔制御装置と、観測点の変動を検出する変動検出装置とを備え、前記測位間隔制御装置は、測位状態と測位中断状態とを交互に繰り返す間欠測位モードで前記衛星測位装置を制御するとともに、前記変動検出装置からの観測点の変動検出を受けて前記衛星測位装置を連続測位モードに制御することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、常時は衛星測位装置を間欠測位モードで測位状態と測位中断状態とに交互に動作させ、地滑りの兆候を示すを含む地盤などの変動を変動検出装置で検出し、この検出に応じて間欠測位モードから直ちに連続測位モードに切り替える。従って、常時は間欠測位モードで監視を行っていても地滑りを常時監視することができるから、安全性においても連続測位モードと何ら遜色なく機能させることができる。
【0018】
更に、間欠測位による監視警報システムであるので、従来の連続測位モードの地滑り監視警報システムに比べて、衛星受信機の内部電池や外部バッテリーの持続時間を長くすることができる。また、システム全体の電源負荷を軽くすることができるため、外部電源として用いられていた商用電源を不要とすることも可能であり、観測点までの電源ケーブルの敷設を省略することができる。
【0019】
請求項2の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムは、請求項1の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムにおいて、間欠測位モードで動作中に前記衛星測位装置の観測点の位置のばらつきに応じて測位状態間隔の時間を変更することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、さらに測位状態における観測点の位置が安定していてそのばらつきが小さい場合には、地滑りの危険は小さいと判断して、間欠測位モードの時間間隔を長くし、逆にばらつきがやや大きい場合には間欠測位モードの時間間隔を短くすることで、観測点の実体に即して測位モードを設定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について、図1及び図2を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムに係る実施例のブロック図であり、図2は間欠測位の概念図である。
【0025】
図1において、地滑り監視警報システムは、地滑り検出装置10、衛星受信アンテナ20,基準局データ受信アンテナ30、ユーザデータ送受信アンテナ40a、40b、ユーザ端末装置50、地盤変動検出装置60から構成される。
【0026】
まず、衛星受信アンテナ20は地滑りを監視すべき地点に設置され、この受信信号が地滑り検出装置10の衛星信号処理装置11に供給される。基準局データ受信アンテナ30は基準局に設けられ、この受信信号が基準局データとして地滑り検出装置10の基準局観測データ復調装置12に供給される。
【0027】
ユーザ端末装置50は、ユーザが設定したデータ(連続・間欠測位モードについての設定、間欠測位モード時の間欠測位時間間隔など)をユーザデータ送受信アンテナ40a、40bを介して地滑り検出装置10のユーザデータ入出力装置17に供給するとともに、地滑り検出装置10からユーザデータ送受信アンテナ40a,40bを介して得られた観測点の測位結果をディスプレイ上に表示する。
【0028】
また、地盤変動検出装置60は、たとえば地震計などで構成され、観測点における地盤変動を検出し、地盤変動を検出した場合に、検出したことを示すフラグをデータ系列V1として、地滑り検出装置10の地盤変動検出信号処理装置16に出力する。なお、地盤変動の発生を検出しない場合には地盤変動検出信号処理装置16へのデータ系列の出力は行わない。
【0029】
さて、地滑り検出装置10は、衛星受信アンテナ20、基準局データ受信アンテナ30、ユーザ端末装置50、地盤変動検出装置60とのデータのやりとりを通じて観測点の測位を行う。
【0030】
衛星受信アンテナ20より受信した衛星信号から、衛星信号処理装置11は搬送波位相を観測時の時刻情報を含む形で観測データとして処理する。そして、衛星ごとの搬送波位相観測データをデータ系列V5として測位演算装置13に出力する。なお、衛星信号処理装置11では、間欠測位モードで測位中断中は、内部電池及び外部電源装置の負荷を軽くするために、上記の観測データを処理しない。また、信号処理中断及び再開については、それぞれ測位演算装置13より測位中断を行えるフラグ、再測位を行えるフラグを示すデータ系列の入力により制御する。
【0031】
基準局観測データ復調装置12では、基準局データ受信アンテナ30で受信した搬送波位相観測データ(観測時時刻情報を含む)を復調し、データ系列V6として測位演算装置13に出力する。
【0032】
データ系列V5とデータ系列V6とが入力された測位演算装置13では同一時刻の搬送波位相観測データを処理し、測位演算を行う。また、現在の測位位置をデータ系列V7として、測位演算情報記憶装置14に出力する。
【0033】
測位演算情報記憶装置14は、測位中断の直前処理として、入力されているデータ系列V7から中断直前の測位位置を切り出して記憶し、記憶が完了したことを示すフラグをデータ系列V8として測位演算装置13に出力する。また、再測位直前処理として、測位演算装置13より記憶した中断直前の測位位置の出力要求に応じて、中断直前の測位位置をデータ系列V10として測位演算装置13に出力する。
【0034】
地盤変動検出信号処理装置16は、地盤変動検出装置60の検出信号であるデータ系列V1を処理する装置であり、データ系列V1が入力されると、連続測位を要求するフラグをデータ系列V2として連続・間欠制御装置15に出力する。なお、データ系列V1が入力されない場合には、連続・間欠制御装置15へのデータ系列の出力は行われない。
【0035】
連続・間欠制御装置15は、連続測位モードまたは間欠測位モードを制御する装置であり、地盤変動検出信号処理装置16からデータ系列V2が入力されない場合は、間欠測位モードで制御され、間欠測位を要求するフラグをデータ系列V3として測位演算装置13に出力する。そして、地盤変動検出信号処理装置16からデータ系列V2が入力された場合は、連続測位モードに切り替え制御され、測位演算装置13に連続測位を要求するデータ系列V3’として測位演算装置13に出力する。
【0036】
また、連続・間欠制御装置15は、ユーザデータ入出力装置17からの間欠測位の要求と間欠測位の時間間隔の値を示すデータ系列V4が入力された場合には、測位演算装置13にそのデータ系列V4を出力する。
【0037】
さて、このように構成される地滑り監視警報システムの動作を、順を追って説明する。
【0038】
まず、この地滑り監視警報システムの立ち上げ時、またはリセットした状態からの測位演算装置13の動作は、この場合には衛星ごとの搬送波位相のバイアス値が確定していないので、測位位置が[mm]オーダのばらつきに収束するまでは、連続・間欠制御装置15から間欠測位モードを要求されても間欠測位には移らず、連続測位モードのままで測位が継続される。
【0039】
そして、測位位置のばらつきが[mm]オーダへ収束すると、連続・間欠制御装置15からの指令に応答して、間欠測位の要求するデータ系列V3またはデータ系列V4が測位演算装置13に入力され、間欠測位モードに入る。
【0040】
間欠測位モードにはいると、測位を開始し、まず時間カウンターのインクリメント動作を開始する。そして、測位演算を行い測位情報P(時刻、位置情報、測位モード、間欠測位時間など)をユーザデータ入出力装置17に出力する。次に、時間カウンターが測位中断に切り替わる時間になったら、測位中断処理を行う。
【0041】
測位中断処理は、以下のようになる。すなわち、
・時間カウンターをリセットする。
・現在の測位位置をデータ系列V7として、測位演算情報記憶装置14に記憶する。
・測位演算情報記憶装置14より記憶が完了したことを示すデータ系列V8が入力されたら、測位中断を行えるフラグをたてデータ系列V9として、衛星信号処理装置11に出力する。
・測位位置のばらつきにより、測位中断時間間隔を調整する処理を行う。なお、ユーザが測位中断時間間隔を指定しているデータ系列V4が入力された場合は、その時間間隔で測位中断を行う。
【0042】
測位中断に入ると、時間カウンターのインクリメント動作を開始し、時間カウンターが設定されている測位に切り替わる時間になると、以下の測位開始処理を行い、測位状態に入る。すなわち、
・時間カウンターをリセットする。
・測位演算情報記憶装置14に中断直前に記憶した測位位置の入力要求を行い、データ系列V10として入力する。
・再測位を行うフラグを立て、データ系列V11として、衛星信号処理装置11に入力する。
・再測位後、衛星信号が追尾し、追尾した衛星が測位に使用する条件になったら、中断直前に記憶した測位位置より、衛星ごとの位相のバイアスを求める。
【0043】
この測位と測位中断とを繰り返す、間欠測位は、図2の概念図に示すようなタイムスケジュールで行われる。測位時間及び測位中断時間は、例として10秒間測位、10分間測位中断(ただし最高1時間)とすることができるが、ユーザの指定により、被測定現場の実態に合わせて、任意に設定することができる。
【0044】
この地滑り監視警報システムで、測位と測位中断とを繰り返す間欠測位モードで監視中に、地滑りの兆候でもある微動振動が発生すると、地震計などで構成される地盤変動検出装置60がこの微動振動を検出し、その検出信号であるデータ系列V1を、地滑りの地盤変動検出信号処理装置16に出力する。地盤変動検出信号処理装置16は、データ系列V1が入力されると、連続測位を要求するフラグをデータ系列V2として連続・間欠制御装置15に出力する。
【0045】
この連続・間欠制御装置15は、地盤変動検出信号処理装置16からデータ系列V2の入力に応じて、間欠測位モードから直ちに連続測位モードに切り替え制御され、連続測位を要求するデータ系列V3’として測位演算装置13に出力する。
【0046】
この結果、地滑り監視警報システムは、地滑りに備えて、連続測位状態にセットされ、地滑りの発生を見逃すことがない。なお、地盤変動検出装置60の微動振動検出の後、所定の時間経過しても地滑りの発生がない場合には、連続・間欠制御装置15は再び、間欠測位モードに復帰する。
【0047】
以上のように、本発明の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムは、連続測位モードと間欠測位モードとを切り替え可能に構成するとともに地盤の微動変動などを検出できる地盤変動検出装置を備え、常時は間欠測位モードで監視動作をさせておき、地滑りの兆候を示す地盤の微動変動が検出された場合には、直ちに連続測位モードで監視動作を行うように切り替える。また、地盤の微動変動が収まった場合には、再び間欠測位モードに切り替えて監視する。
【0048】
これにより、常時は間欠測位モードで監視を行っていても地滑りを常時監視することができるから、安全性においても連続測位モードと何ら遜色なく機能させることができる。この結果、間欠測位による監視警報システムであるので、従来の連続測位モードの地滑り監視警報システムに比べて、衛星受信機の内部電池や外部バッテリーの持続時間を長くすることができる。また、システム全体の電源負荷を軽くすることができるため、外部電源として用いられていた商用電源を不要とすることも可能であり、観測点までの電源ケーブルの敷設を省略することができる。
【0049】
以上の実施例では、地盤の微動変動を検出した場合に、間欠測位モードから連続測位モードに切り替えるようにしているが、次のような実施例とする事ができる。
【0050】
間欠測位モードで監視中に、得られた観測点の位置のばらつき具合を監視し、そのばらつきが小さいとき間欠測位の時間間隔を長くしていき、ばらつきが大きいとき間欠測位の時間間隔を短くしていく。このときのばらつきの判断基準は装置の測定精度に依存する[mm]オーダとするのが好ましい。
【0051】
また、間欠測位モードで動作中に衛星測位装置の観測点の位置のばらつきが大きくなる傾向が見られたときには、地盤変動検出装置60が動作せずとも、間欠測位モードから連続測位モードに切り替えるようにする。
【0052】
これは、観測点の測位結果には、例えば、測定分解能を波長の1%とし、搬送波波長を20cmとすると、定常時の測定位置のばらつきは2mmとなるように、数mm単位のばらつきが存在する。これに対し、地滑りの発生の前には、その兆候としてcm単位の位置変動が発生することが多いから、数mm単位の測定分解能を越えて測定位置のばらつきが大きくなったことを、地滑りの発生と関連づけて、監視警報をより安全サイドに制御するものである。
【0053】
この場合には、測位状態における観測点の位置が安定していてそのばらつきが小さい場合には、地滑りの危険は小さいと判断して、間欠測位モードの時間間隔を長くし、逆にばらつきがやや大きい場合には間欠測位モードの時間間隔を短くすることで、観測点の実体に即して測位モードを設定することができる。
【0054】
さらに間欠測位モードで測位中の測位結果に、ばらつきが大きくなる傾向が見られたときには、変動検出装置が動作せずとも、間欠測位モードから連続測位モードに切り替えるから、監視動作の信頼性が更に高められる。
【0055】
また、これまでの実施例の説明では、連続測位モードと間欠測位モードを区別して制御するために連続間欠制御装置15を用いているが、必ずしもこれにこだわる必要はない。例えば、観測点の位置のばらつき具合などにより測位時間間隔を制御する測位時間間隔制御装置を用いてもよい。また、常時は監視点の測位は行わず、地滑りの兆候を示す変動検出装置の動作があったときに、測位を行うようにすることも可能である。ただ、この場合には、地滑り検出装置10の信頼性を確保するために、定期的に動作確認のために測位を実行する必要があることから、実際的には測位時間間隔の長い間欠測位モードと言える。
【0056】
【発明の効果】
本発明の請求項1の構成によれば、常時は衛星測位装置を間欠測位モードで測位状態と測位中断状態とに交互に動作させ、地滑り状態を含む地盤などの変動を変動検出装置で検出し、この検出に応じて間欠測位モードから直ちに連続測位モードに切り替える。従って、常時は間欠測位モードで監視を行っていても地滑りを常時監視することができるから、安全性においても連続測位モードと何ら遜色なく機能させることができる。
【0057】
更に、間欠測位による監視警報システムであるので、従来の連続測位モードの地滑り監視警報システムに比べて、衛星受信機の内部電池や外部バッテリーの持続時間を長くすることができる。また、システム全体の電源負荷を軽くすることができるため、外部電源として用いられていた商用電源を不要とすることも可能であり、観測点までの電源ケーブルの敷設を省略することができる。
【0058】
本発明の請求項2の構成によれば、さらに測位状態における観測点の位置が安定していてそのばらつきが小さい場合には、地滑りの危険は小さいと判断して、間欠測位モードの時間間隔を長くし、逆にばらつきがやや大きい場合には間欠測位モードの時間間隔を短くすることで、観測点の実体に即して測位モードを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る衛星測位を利用した地滑り監視警報システムの構成図。
【図2】間欠測位の概念図。
【図3】位相のバイアスが不確定による位置の多重解を説明する図。
【図4】欠測位モードにおける位置変動の許容範囲を説明する図。
【符号の説明】
10 地滑り検出装置
11 衛星信号処理装置
12 基準局観測データ復調装置
13 測位演算装置
14 測位演算情報記憶装置
15 連続・間欠制御装置
16 地盤変動検出信号処理装置
17 ユーザデータ入出力装置
20 衛星受信アンテナ
30 基準局データ受信アンテナ
40a,40b ユーザデータ送受信アンテナ
50 ユーザ端末装置
60 地盤変動検出装置
Claims (2)
- 衛星信号の搬送波位相を利用して、観測点の位置を基準局位置との相対距離として測定する衛星測位装置と、
この衛星測位装置の測位状態と測位中断状態とを切り替え制御する測位間隔制御装置と、
観測点の変動を検出する変動検出装置とを備え、
前記測位間隔制御装置は、測位状態と測位中断状態とを交互に繰り返す間欠測位モードで前記衛星測位装置を制御するとともに、前記変動検出装置からの観測点の変動検出を受けて前記衛星測位装置を連続測位モードに制御することを特徴とする衛星測位を利用した地滑り監視警報システム。 - 請求項1の衛星測位を利用した地滑り監視警報システムにおいて、間欠測位モードで動作中に前記衛星測位装置の観測点の位置のばらつきに応じて測位状態間隔の時間を変更することを特徴とする衛星測位を利用した地滑り監視警報システム。
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