JP4634639B2 - Gnss受信方法、gnss受信機およびgnss受信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のアンテナによりGPS衛星やGLONASS衛星などのGNSS衛星から受信した搬送波の差分を利用してアンテナ間の相対位置等を求めるRTK(実時間キネマテック)測位等に適用して好適なGNSS受信方法、GNSS受信機およびGNSS受信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、GNSSの代表例としてGPSを例として説明する。
【0003】
GPSは、複数のGPS衛星(以下、衛星という。)からの信号を受信機により受信して、衛星と受信機間の距離から幾何学的に受信機の位置を求める測位システムである。
【0004】
衛星からの信号は擬似雑音符号(以下、コードという。)で位相変調されており、衛星毎に異なるコードパターンを割り当てることにより受信機で信号を分離して受信することができるようになっている。
【0005】
このコードのみを用いて絶対位置を測位する方法を単独測位と呼んでいる。
【0006】
これに対して干渉測位と呼ばれる測位方式は、衛星が送信する信号を、異なる位置に配された2つのアンテナで受信し、受信した信号の搬送波を利用して、その位相角のアンテナ間の差分を計測して2点間の相対的な位置関係を求めるので、単独測位に比較して精度を格段に向上させることができる。
【0007】
ところで、単独測位に用いられるコード、あるいは衛星の軌道情報や時刻補正情報等からなる航法メッセージを搬送波に乗せるためにPSK(位相偏位変調)変調という変調方式を採用している。PSK変調は、周知のように、搬送波の位相に変化を与える変調方式であり、GPS信号の場合は、0゜、180゜で位相変調されている。これにより、衛星からの信号の追尾には極性の異なる2つの安定点が存在することになり、位相計測時には1/2サイクル単位の波数不確定要素(以下、バイアスという。)が生じる。これは、GPSの場合、約10[cm]の測距誤差に相当する。
【0008】
ここで、GPSの航法メッセージの構成について説明する。
【0009】
図5Aに示すように、GPSの航法メッセージは、12.5分で一巡するマスターフレームで構成されている。1個のマスターフレームは、25個の主フレームから構成されており、各主フレーム(30秒、1500ビット)は、図5B、図5Cに示すように、6秒毎の5個のサブフレームに分かれている。
【0010】
各サブフレームは、300ビットのデータから構成され、各サブフレームの先頭部分には、図5Cに示すように、プリアンブル(preamble)と呼ばれる8ビットの固定同期パターンが存在する。
【0011】
図6は、従来の1/2サイクル単位のバイアス決定方法の説明に供される図である。
【0012】
従来の1/2サイクル単位のバイアス決定方法では、受信した航法メッセージを含むデータパターンが、プリアンブルのパターン(図6Aに示すパターン)、もしくは、そのビットを反転させたパターン(図6Bに示すパターン)のどちらのパターンに一致するのかを検出し、その極性を判定していた。
【0013】
しかしながら、サブフレーム中のプリアンブルを用いて極性を判定するこの方式では、6秒周期で送信されてくるプリアンブルを用いているため、追尾開始のタイミングによっては最大で6秒程度のタイムラグを持つことになる。
【0014】
その上、プリアンブルに続く航法データ中に、プリアンブルと同じパターンが紛れている可能性を考慮すると、より確実に1/2バイアスの決定を行うためには、サブフレーム1個分の中からプリアンブルのパターンを検索する必要があり、1/2サイクル単位のバイアス決定にかかる時間は6秒以上必要になる。
【0015】
すなわち、図6Cにおいて、追尾開始時刻t0からトラッキングを開始し、そのトラッキング開始時刻t0から、収集した航法データ列についてのプリアンブルのパターンの検出が開始される。この場合、プリアンブルの最初の検出時刻は時刻t1となり、1サブフレーム分の航法データについてのチェック完了時刻は時刻t2となる。つまり、1/2サイクル単位のバイアス決定時刻は時刻t2となり、当該搬送波が使用可能になるまでには時刻t0〜t2のタイムラグが発生することになる。
【0016】
なお、トラッキングは、正相と逆相のどちらかになるので、受信した航法データパターンが、プリアンブルパターンであれば、正相であってバイアスのずれが存在しない。その一方、受信した航法データパターンがプリアンブルを反転したパターンであれば逆相で1/2サイクルバイアスのずれが存在すると決定する。
【0017】
図7は、上述した従来の1/2サイクル単位のバイアス決定方法が適用された従来技術に係るGPSシステム10のブロック図を示している。
【0018】
このGPSシステム10は、位置が既知であり測位の基準となる基準局受信機(単に、基準局ともいう。)11と位置を測位しようとする観測局受信機(単に、観測局ともいう。)12とから構成される。
【0019】
基準局受信機11と観測局受信機12とは、GPS信号を受信するために各受信機11、12に付属するGPSアンテナ13a、13bと、GPSアンテナ13a、13bで受信したGPS衛星からの信号を処理する受信信号処理部14a、14bと、受信信号処理部14a、14bにそれぞれ接続される演算部18a、18bと、演算部18a、18bにそれぞれ接続される基準局データを送信する送受信アンテナ15aと、基準局データを受信する送受信アンテナ15bと、基準局データ出力部16と、基準局データ受信部17とから構成される。
【0020】
なお、演算部18aと18bは、入出力制御部21a、21bと、1/2サイクルバイアス判定部22a、22bと、搬送波処理部23と、測位処理部24とを備えている。
【0021】
ここで、まず、基準局受信機11での信号の流れについて説明する。GPS衛星からの信号は、GPSアンテナ13aで受信される。受信信号処理部14aは、GPSアンテナ13aで受信した衛星信号の中間周波数への周波数変換およびA/D変換を行う。さらに、受信信号処理部14aは、搬送波処理部23から指示された周波数、位相情報に基づき搬送波相関処理、コード相関処理などを行い、搬送波位相データと航法データを抽出する。抽出された搬送波位相データは、入出力制御部21aを介して搬送波処理部23へ出力される。
【0022】
また、1/2サイクルバイアス判定部22aでは、入出力制御部21aを介して得た航法データから上述した方法により1/2サイクル単位のバイアス値を決定する。決定したバイアス値は、搬送波処理部23へ出力される。
【0023】
搬送波処理部23では、入力された搬送波位相データおよび決定した1/2サイクル単位のバイアスから搬送波位相の絶対値を算出し、入出力制御部21a、基準局データ出力部16および送受信アンテナ15aを介して観測局受信機12へ送信する。
【0024】
次に、観測局受信機12での信号の流れについて説明する。観測局受信機12では、測位処理部24において、基準局受信機11と同様の方法で得られた自局の搬送波位相データと、基準局データ受信アンテナ15bで受信した基準局の搬送波位相データとの差分をとり、干渉波測位方式により測位を行い、位置、速度および時刻情報等を得る。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、GPS衛星から送信される搬送波を用いた測位システムにおいては、遮蔽物等による衛星信号の受信の中断がしばしば発生する。たとえば、RTK測位等による測位中に、観測局受信機12が移動する場合には、周囲の木や建物などの遮蔽物による受信の中断が発生し易い。この場合、一旦、受信の中断が発生したときに、1/2サイクル単位のバイアス値決定に時間がかかると、測位使用可能衛星数の減少、さらには、測位率の低下を誘発するという問題が発生する。
【0026】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、衛星信号の受信の中断等の事態が発生しても、迅速に1/2サイクルのバイアス値を決定し、したがって、迅速に再測位を行うことを可能とするGNSS受信方法、GNSS受信機およびGNSS受信システムを提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この項では、理解の容易化のために、必要に応じて添付図面中の符号を付けて説明する。したがって、この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
【0028】
この発明に係るGNSS受信方法は、基準アンテナおよび観測アンテナで、それぞれGNSS衛星からの信号を受信し、該信号からそれぞれ前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを抽出する受信・抽出過程((S1)(S2)(S4)(S5))と、前記受信・抽出過程で抽出した同時刻の両航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較する比較過程(S6)と、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定する決定過程(S7)とを有することを特徴とする(請求項1記載の発明)。
【0029】
この発明によれば、1/2サイクル単位のバイアス値を、基準アンテナと観測アンテナでそれぞれ受信した信号に係る航法データの比較結果に基づく極性により決定(すなわち、同時刻の両航法データにつき、付加されている時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較し、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定)しているので、従来技術に比較して迅速に1/2サイクル単位のバイアス値を決定することができる。たとえば、GNSS衛星が、GPS衛星の場合、比較決定のために要する最小時間は、1ビット(20ms)である。
【0030】
この発明に係るGNSS受信機は、基準アンテナおよび観測アンテナで、それぞれGNSS衛星からの信号を受信し、該信号からそれぞれ前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを抽出する受信・抽出手段((13c)(14c)(13b)(14b))と、前記受信・抽出手段で抽出した同時刻の両航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較する比較手段(22c)と、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定する決定手段(22c)とを備えることを特徴とする(請求項2記載の発明)。
【0031】
この発明によれば、1/2サイクル単位のバイアス値を、基準アンテナと観測アンテナでそれぞれ受信した信号に係る航法データの比較結果に基づく極性により決定(すなわち、同時刻の両航法データにつき、付加されている時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較し、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定)しているので、従来技術に比較して迅速に1/2サイクル単位のバイアス値を決定することができる。この場合においても、GNSS衛星が、GPS衛星の場合、比較決定のために要する最小時間は、1ビット(20ms)である。
【0032】
この発明に係るGNSS受信システムは、GNSS衛星からの信号を受信する少なくとも2つのGNSSアンテナから得られる搬送波の位相を計測し、計測した位相の差分から前記GNSSアンテナ間の相対位置を計測するGNSS受信システムにおいて、前記少なくとも2つのGNSSアンテナの内、一方のGNSSアンテナで受信した信号から前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを得、これらを前記GNSS衛星の第1の航法データと第1の搬送波位相データとして出力する第1の処理部((13a)(14a)、(15a)(16a))と、前記少なくとも2つのGNSSアンテナの内、他方のGNSSアンテナで受信した信号から前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを得、これらを前記GNSS衛星の第2の航法データと第2の搬送波位相データとして保持するとともに測位処理を行う第2の処理部((13b)(14b)(22c)(34))とを備え、前記第2の処理部は、同時刻の前記第1および第2航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較し、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記一方および前記他方のGNSSアンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定することを特徴とする(請求項3記載の発明)。
【0033】
この発明によれば、第2の処理部でのみ1/2サイクル単位のバイアス値を決定すればよいので、1/2サイクル単位のバイアス値を迅速に決定することができる。この場合においても、GNSS衛星が、GPS衛星の場合、比較決定のために要する最小時間は、1ビット(20ms)である。
【0034】
ここで、前記一方のGNSSアンテナと前記第1の処理部とを含む第1のGNSS受信機を基準局(31)とし、前記他方のGNSSアンテナと前記第2の処理部とを含む第2のGNSS受信機を観測局(32)とすることで、観測局の負担が減少する(請求項4記載の発明)。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する前に干渉測位について用いられる位相差、並びにこの発明の原理について説明する。
【0036】
一般に、干渉測位では、観測した搬送波位相に含まれる受信機や衛星の時計誤差、伝送経路の違いによる誤差等を消去(相殺)するために、位相の差を採るという技術が採用されている。
【0037】
そして、受信機間の位相差では、衛星の時計誤差および伝搬経路の差による誤差が消去され、衛星間の位相差では、受信機の時計誤差が消去される。
【0038】
干渉測位では、この位相差を用いるため、各アンテナで受信した搬送波毎に独立に1/2サイクル単位のバイアス値を決定する必要がなく、アンテナ間の相対関係(位相差)に対する1/2サイクル単位のバイアス値(同位相であるのか逆位相であるのか)が判別できればよい。
【0039】
この場合、アンテナ間の相対関係(位相差)は、各アンテナで受信した同時刻の航法データを比較することで瞬時に判定することができる。すなわち、2つのアンテナで受信した航法データが同じデータであるのか、ビットが反転したデータであるのかを判別すればよいので、基本的には、1ビットのデータの比較で判定が可能であるが、信頼性を考えると10ビット程度の比較をしたほうが無難であると判断される。10ビット比較の場合の所要時間は、200ms(0.2s)と短い。もちろん、より信頼性を得るために10ビット以上比較してもよい。
【0040】
このように、この発明では、1/2サイクル単位のバイアス値を決定する場合に、従来技術に係る最小値の6秒に比較して、0.2秒と1/30以下の時間となるため、たとえば、観測局が車載の移動局である場合、従来技術に係る6秒間では80m程度(時速50kmの場合)の移動、本発明に係る0.2秒間では3m程度の移動となり、この時間の差はきわめて重要である。
【0041】
次に、この原理を用いて、この発明の一実施の形態について説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図5〜図7に示したものと対応するものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。また、繁雑さを避けるために、必要に応じて上記図5〜図7をも参照して説明する。
【0042】
図1は、この実施の形態に係るGNSS受信システムとしてのGPSシステム30を示している。
【0043】
GPSシステム30は、位置が既知であり測位の基準となる基準局受信機(単に、基準局ともいう。)31と位置を測位しようとする観測局受信機(単に、観測局ともいう。)32とから構成される。
【0044】
基準局受信機31と観測局受信機32は、GPS信号を受信するために各受信機31、32に付属するGPSアンテナ13a、13bと、GPSアンテナ13a、13bで受信したGPS衛星からの信号を処理する受信信号処理部14a、14bと、受信信号処理部14a、14bに接続される演算部38a、38bと、基準局データを送信する送受信アンテナ15aと、基準局データを受信する送受信アンテナ15bと、基準局データ出力部16と、基準局データ受信部17とから構成される。
【0045】
なお、基準局受信機31の演算部38aは、入出力制御部21aと搬送波処理部33とを備え、観測局受信機32の演算部38bは、入出力制御部21cと1/2サイクルバイアス判定部22cと、測位処理部34とを備えている。
【0046】
次に、上述の実施の形態の動作について、図2に示す概略フローチャートに基づいて説明する。
【0047】
ステップS1では、基準局受信機31において、GPS衛星からの信号が、GPSアンテナ13aで受信される。受信信号処理部14aは、GPSアンテナ13aで受信した衛星信号の中間周波数への周波数変換およびA/D変換を行う。さらに、ステップS2において、受信信号処理部14aは、搬送波処理部33から入出力制御部21aを介して指示された周波数、位相情報に基づき搬送波相関処理、コード相関処理などを行って搬送波位相データと航法データを抽出する。
【0048】
受信信号処理部14aで抽出された基準局の搬送波位相データと航法データは、入出力制御部21aを介して搬送波処理部33に供給される。なお、航法データには、受信信号処理部14aで、いわゆる単独測位で得られた時刻情報(精度は1μs以下)が付加されている。
【0049】
搬送波処理部33では、従来の方式と異なり、航法データ列からプリアンブルを検出して1/2サイクル単位のバイアスの決定処理を行っていないので、ステップS3では、そのまま搬送波位相データと航法データとを入出力制御部21a、変調処理を行う基準局データ出力部16および送受信アンテナ15aを介して観測局受信機32に送信する。
【0050】
観測局受信機32では、受信アンテナ15bにより受信した基準局31の搬送波位相データと航法データとが基準局データ受信部17に送出される。基準局データ受信部17は、復調処理を行い、復調した基準局31の搬送波位相データを、入出力制御部21cを介して測位処理部34に送出するとともに、復調した基準局31の航法データを入出力制御部21cを介して1/2サイクルバイアス判定部22cの一方の入力に送出する。
【0051】
一方、ステップS4では、観測局受信機32において、GPS衛星からの信号が、GPSアンテナ13bで受信される。なお、実際上、ステップS1〜S3の処理とステップS4〜S8の処理とは並列的に実行され、同時刻の同一衛星からの信号が基準局受信機31および観測局受信機32で受信される。
【0052】
次に、観測局受信機32において、受信信号処理部14bは、GPSアンテナ13bで受信した衛星信号の中間周波数への周波数変換およびA/D変換を行う。さらに、ステップS5において、受信信号処理部14bは、搬送波処理部34から入出力制御部21bを介して指示された周波数、位相情報に基づき搬送波相関処理、コード相関処理などを行って観測局の搬送波位相データと航法データを抽出する。この場合においても、航法データには、受信信号処理部14bで、いわゆる単独測位で得られた時刻情報(精度は1μs以下)が付加されている。
【0053】
この場合、抽出された観測局の搬送波位相データと航法データとが入出力制御部21cを介して測位処理部34に送出されるとともに、入出力制御部21cを介して観測局32の航法データが1/2サイクルバイアス判定部の他方の入力に送出される。
【0054】
次に、ステップS6において、1/2サイクルバイアス判定部22cでは、基準局受信機31から送信されてきた基準局31の航法データと自局(観測局)32の航法データとを、それぞれに付加されている両時刻情報を基準に、いわゆる時刻同期を取りながら比較する。
【0055】
この場合、ステップS7では、図3に示すように、時刻t0で観測局での衛星からの信号の受信中断状態が解消され、搬送波位相に対してトラッキングが可能とされて航法データを収集できたとき、同一時刻t0以降での基準局の航法データと10ビット程度(約200ms)比較し、相互の航法データが等しければ同位相、ビットが反転していれば逆位相としてアンテナ間位相差についての1/2サイクル単位のバイアス値を決定する。
【0056】
次に、ステップS8において、測位処理部34では、基準局31の搬送波位相データと観測局(自局)32の搬送波位相データとから導かれるGPS受信アンテナ13aとGPS受信アンテナ13b間のアンテナ間位相差と、決定した1/2サイクル単位のバイアス値とから測位処理を行い、観測局受信機32の位置(緯度、経度、高度)、速度および時刻を算出して出力する。
【0057】
このように上述した実施の形態によれば、航法データ中のプリアンブルの受信を待たなくても、GPSアンテナ13a、13b間の相対関係を判別することが可能となるため、瞬時に1/2サイクル単位のバイアス値を求めることが可能となり、測位中断からの復帰時間を短縮することができる。
【0058】
なお、この発明は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0059】
たとえば、観測局受信機32の移動量が微小な値である場合には、基準局受信機31と観測局受信機32とは、無線ではなく有線によるデータ転送方式が採用される等、基準局受信機31と観測局受信機32との間の転送方式はどのような形式でもよい。
【0060】
また、姿勢計測GPSのように複数のGPSアンテナからの衛星信号を1つの受信機で受信する形態であれば、具体的には、たとえば図1の観測局受信機32において、図4に示すように、受信アンテナ15bを他のGPS受信アンテナ13cに代替し、基準局データ受信部17を他の受信信号処理部14cに代替するGPS受信機130の構成とすることで、容易に観測局受信機32が搭載された車両等移動体の測位はもちろんのこと姿勢(移動体のヘディング、ピッチ、ロールの各姿勢角)を計測することができる。この図4例の場合には、基準局受信機31は不要である。
【0061】
さらに、基準局受信機31で、当該基準局の測位処理および(または)観測局の測位処理を行う場合等、観測局受信機32で1/2サイクル単位のバイアス値の決定を行う場合、観測局受信機32から基準局受信機31に対して航法データを送信し、基準局受信機31内に設けた1/2サイクルバイアス判定部で、1/2サイクル単位のバイアス値を決定することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、航法データ中のプリアンブルの受信を待つことなく、1/2サイクル単位のバイアスの判定が可能となるため、瞬時に1/2サイクル単位のバイアスを決定することが可能になるという効果が達成される。
【0063】
このため、たとえば、測位中断からの復帰時間を短縮できるという効果も達成される。
【0064】
この発明は、特に受信中断が多発するRTK測位等において測位率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係るGPS受信システムのブロック図である。
【図2】図1例の動作説明に供されるフローチャートである。
【図3】図1例の動作説明に供されるタイムチャートである。
【図4】この発明の他の実施の形態に係るGPS受信機のブロック図である。
【図5】一般的な航法メッセージのデータ形式の説明図である。
【図6】図6Aは、定義されているプリアンブルのビット列の説明図、図6Bは、定義されているプリアンブルのビット列の反転したビット列の説明図、図6Cは、プリアンブルを含む航法データの例を示す説明図である。
【図7】従来技術に係るGPS受信システムのブロック図である。
【符号の説明】
10、30…GPSシステム 11、31…基準局受信機
12、32…観測局受信機 13a、13b、13c…GPSアンテナ
14a、14b、14c…受信信号処理部
15a、15b…送受信アンテナ 16…基準局データ出力部
17…基準局データ受信部 18a、18b、38a、38b…演算部
21a、21b…入出力制御部
22a、22b、22c…1/2サイクルバイアス判定部
23、33…搬送波処理部 24、34…測位処理部
Claims (4)
- 基準アンテナおよび観測アンテナで、それぞれGNSS衛星からの信号を受信し、該信号からそれぞれ前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを抽出する受信・抽出過程と、
前記受信・抽出過程で抽出した同時刻の両航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較する比較過程と、
比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定する決定過程と
を有することを特徴とするGNSS受信方法。 - 基準アンテナおよび観測アンテナで、それぞれGNSS衛星からの信号を受信し、該信号からそれぞれ前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを抽出する受信・抽出手段と、
前記受信・抽出手段で抽出した同時刻の両航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較する比較手段と、
比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記両アンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定する決定手段と
を備えることを特徴とするGNSS受信機。 - GNSS衛星からの信号を受信する少なくとも2つのGNSSアンテナから得られる搬送波の位相を計測し、計測した位相の差分から前記GNSSアンテナ間の相対位置を計測するGNSS受信システムにおいて、
前記少なくとも2つのGNSSアンテナの内、一方のGNSSアンテナで受信した信号から前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを得、これらを前記GNSS衛星の第1の航法データと第1の搬送波位相データとして出力する第1の処理部と、
前記少なくとも2つのGNSSアンテナの内、他方のGNSSアンテナで受信した信号から前記GNSS衛星の搬送波位相データと時刻情報が付加された航法データを得、これらを前記GNSS衛星の第2の航法データと第2の搬送波位相データとして保持するとともに測位処理を行う第2の処理部とを備え、
前記第2の処理部は、同時刻の前記第1および第2航法データにつき、付加されている前記時刻情報を基に、ビットが反転しているか否かを比較し、比較結果によって、ビットが反転していると判定した場合には、前記一方および前記他方のGNSSアンテナの前記搬送波位相データ間に、1/2サイクル単位のバイアス値が有ると決定し、ビットが反転していないと判定した場合には、1/2サイクル単位のバイアス値が無いと決定する
ことを特徴とするGNSS受信システム。 - 請求項3記載のGNSS受信システムにおいて、
前記一方のGNSSアンテナと前記第1の処理部とを含む第1のGNSS受信機が基準局とされ、
前記他方のGNSSアンテナと前記第2の処理部とを含む第2のGNSS受信機が観測局とされる
ことを特徴とするGNSS受信システム。
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