JP4389144B2 - 接着剤組成物、接着テープ、フレキシブルフラットケーブルおよびフレキシブルフラットケーブル補強板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物に関するものであり、優れた耐熱性、耐寒性、各種プラスチックフィルムや金属に対する接着性を有した接着剤である。特に本接着剤は高度な金属密着性、耐熱性、耐寒性、耐屈曲性を要求されるフレキシブルフラットケーブル用接着剤及びフレキシブルフラットケーブルをコネクターに接続する部分を補強する補強板用の接着剤等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、家電製品や自動車部品の軽薄短小化に伴い、回路基板同士の配線にはフレキシブルフラットケーブル(以下FFCと略す。)が多用されるようになった。FFCは錫メッキ導箔をはじめとする金属導箔を、接着剤を介して絶縁フィルムと貼り合わせる構造、すなわち絶縁フィルム/接着剤/金属導線/接着剤/絶縁フィルムの構造を有している。またフラットケーブルの端部は導線がむき出しになっているものも多く、回路基板のコネクターへの接続を可能にするために補強板と呼ばれる絶縁シートを、接着剤を介して接着したものがある。
【0003】
最近、FFCは従来よりも多くの用途に使用されるようになり、さらに優れた耐熱性、耐寒性、耐屈曲性が求められている。従来の技術としては、接着剤として熱可塑性ポリエステルを使用しているものも多いが、金属への接着性、耐熱性が十分でない。これを改善すべく特開平5−17727号公報で開示されているようにイソシアネートを配合する例があるが、イソシアネートとポリエステルは室温で徐々に反応が進行し、生産管理及び接着テープとした際の保存管理が困難である。また、特公平4−22954号公報のようにポリエーテルエステルエラストマーとエポキシ樹脂から成る接着剤がある。このような接着剤においては、FFCを製造する工程において、接着剤をポリエステルフィルム(以下PETフィルムと略す)に塗布した接着テープを製造する際、ポリエーテルエステルエラストマーとエポキシ樹脂に含まれるグリシジル基が反応することが通常であり、反応の制御が難しく、ゲル状物の発生することがある。すなわち平滑な接着テープを製造するのが困難になる場合がある。
【0004】
特開平6−36619号公報では、特定の弾性率を有するポリエステル系接着剤を用いてフラットケーブルを製造することを提案しているが、ここで用いられているポリエステル樹脂は非晶性のものであり、ガラス転移温度以下での低温での接着性が低下する傾向にあり、また、高温時には逆に高温時にブロッキングの問題が生じ、夏場のフラットケーブルの生産時に問題の生じる可能性が有る。
【0005】
特開平10−12050号公報では、特定の弾性率を有するポリエステル樹脂系接着剤を用いてフラットケーブルの補強板を製造することを提案している。この実施例ではポリエステル樹脂として東洋紡績(株)製バイロンXT20、東亞合成工業(株)製アロンメルトPES−120HEEのように結晶性の樹脂が用いられている。これらは夏場のブロッキング性は優れているが、結晶性であるが故に、塗工後、非晶状態から結晶状態になる際のひずみエネルギーの緩和がうまく行われないことがあり、特に錫メッキ銅箔をはじめとする金属銅箔に対する接着性、その中でも0℃未満における接着性と室温から高温までの幅広い温度領域での接着性に不満があり、特に冬場、電化製品等を輸送しているだけで接着層の弾性率の上昇と共に、錫メッキ銅箔層と絶縁テープ層の剥がれの生じる可能性があった。
【0006】
さらには、自動車用部品や家電製品の配線部品に用いるとき、FFCが長時間折り曲げて使用される場合や、または褶曲部分に用いられる場合を考慮すると、接着剤にはかなり高度な耐屈曲性等の機械的特性が要求される。すなわち自動車、家電製品がさらされる夏場の高温から冬場の低温まで広い温度領域での安定した接着性が求められてきた。
【0007】
以上のように、従来の技術では、各種プラスチックフィルムや金属に対する広い温度領域での接着性、耐熱性、耐寒性、耐ブロッキング性を両立し、さらには、優れた耐屈曲性等の機械的特性を満足させ、製造する際に安定した接着剤は未だ提案されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自動車部品、電化製品、フィルム、繊維用途に用いられる接着剤に関して、特にFFC用接着剤として非常に有用である。すなわち、本発明の課題は各種プラスチックフィルムや金属に対する接着性、耐熱性、耐寒性、耐ブロッキング性に優れた接着剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、各種プラスチックフィルムや金属に対する接着性、耐熱性、耐寒性、耐ブロッキング性を有する接着剤を得るべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は以下の接着剤組成物である。
【0010】
(1)ポリエステル樹脂(A)/フェノール樹脂(B)=50/50〜99/1重量%である接着剤組成物において、該ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が5000〜50000、ガラス転移温度が20℃未満、融点が50℃以上であると共に、ポリエステル樹脂100重量%中に1〜50重量%のポリアルキレングリコールを共重合することにより含むことを特徴とする接着剤組成物。
【0011】
(2)ポリアルキレングリコールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする(1)に記載の接着剤組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の接着剤の構成成分として用いられるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は20℃未満である。より好ましくは10℃未満、さらに好ましくは0℃未満、最も好ましくは−10℃未満である。ガラス転移温度が20℃以上であると室温付近における弾性率が高くなりすぎて、特に室温領域での接着性が低下する虞がある。下限は特に限定されないが高温領域の接着性を考慮すると−70℃以上、好ましくは−40℃以上である。
【0013】
本発明において用いられるポリエステル樹脂(A)の融点は50℃以上である。好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。融点が50℃より低いとブロッキングが発生する場合がある。上限は特に限定されないが、フィルム成型性や低温での接着性を考慮すると180℃未満が望ましい。ここで融点やガラス転移温度は示差走査型熱量計を用いて測定した値である。また本発明の融点は示差走査型熱量計測定結果において最大吸熱ピークを示す温度である。
【0014】
本発明において用いられるポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は5000〜50000が好ましい。より好ましくは10000以上、40000未満である。数平均分子量が5000より低いと接着剤としての機械的特性が不足してしまい十分な接着性や耐熱性が得られない場合があり、50000を越えると加熱溶融時の溶融粘度が高くなりフィルムへの成型性が低下したり、接着時のシール温度が高くなる傾向にある。
【0015】
本発明の接着剤組成物に用いられるポリエステル樹脂(A)の二塩基酸成分としては、特に制限されるものでは無いが、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸を共重合することができる。これらのうち、目的のガラス転移温度や融点を有するポリエステルを得るためにはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが好ましく、さらに耐熱性や屈曲性を考慮するとテレフタル酸及び/またはイソフタル酸を全酸成分のうち、50モル%以上必須成分とするのがより好ましい。またシクロヘキサンジカルボン酸を10モル%以上共重合すると、後述するフェノール樹脂(B)との相溶性が高まるためか接着性が飛躍的に向上する。
【0016】
また、グリコール成分としては、特に制限されるものでは無いが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサスド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ポリカーボネートグリコール等を共重合することができる。これらのうち、目的のガラス転移温度や融点を有するポリエステルを得るためには、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ポリテトラメチレングリコールを用いることが好ましく、さらに耐熱性や屈曲性を考慮すると1,4−ブタンジオールを全グリコール成分のうち50モル%以上の必須成分とするのがより好ましい。
【0017】
本発明の接着剤組成物に用いられるポリエステル樹脂(A)には、ポリエステル樹脂100重量%中に1〜50重量%のポリアルキレングリコールを共重合することにより含むことが必要である。すなわちポリエステル/ポリエーテルグリコール=99/1〜50/50重量%のブロック共重合体であることが好ましい。さらには95/5〜60/40重量%がより好ましく、90/10〜70/30重量%が最も好ましい。含有量が1重量%未満であると耐寒接着性や耐屈曲性が低下してしまい、ポリアルキレングリコールが50重量%を越えると機械的特性が劣り接着性、耐熱性が低下してしまうことがある。ポリアルキレングリコールを1重量%以上共重合すると、適度な柔軟性を付与すると共に、その他の長鎖グリコールや長鎖カルボン酸を共重合するのとは異なり、結晶化時の体積収縮による接着性低下が起こりにくい。理由は定かではないが、ポリエステル樹脂がソフトセグメントとハードセグメントのブロック状になることより、結晶歪みエネルギーがソフトセグメントによって効果的に緩和されるものと推定される。
【0018】
本発明の接着剤組成物に用いられるポリエステル樹脂(A)のポリアルキレングリコールとしては例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリネオペンチレングリコールやそれらの共重合体が例示される。これらのうち、ポリテトラメチレングリコールは重合時の安定性、接着剤としての耐水性等のバランスが良く、特に好ましい。これらのポリアルキレングリコールの数平均分子量は300〜5000、特には500〜2500のものが好適に使用される。
【0019】
本発明の接着剤組成物に用いられるフェノール樹脂(B)としては、ノボラック型樹脂、レゾール型樹脂が挙げられる。フェノール樹脂の出発原料としては、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール等の2官能性フェノール、及び、フェノール、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール等の3官能性フェノール、または、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の4官能性フェノール等が挙げられる。また、フェノール樹脂の製造に使用されるホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等が用いられる。その他フェノールアラルキルやフェノール変性キシレン樹脂等のフェノール変性樹脂が挙げられる。
【0020】
本発明の接着剤組成物はポリエステル樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の含有量はポリエステル樹脂(A)/フェノール樹脂(B)=50/50〜99/1重量%、好ましくは60/40〜95/5重量%である。ポリエステル樹脂(A)成分が50重量%より少ないと、機械的特性が劣るため接着性、耐熱性が低下し、99重量%以上であると被着体との密着性に劣り、接着性が低下してしまうことがある。また、フェノール樹脂(B)成分が1重量%より少ないと、被着体との密着性に劣り、特に室温から高温度域での接着性が低下し、50重量%以上であると、機械的特性が劣るため接着性、耐熱性が低下してしまう場合がある。
【0021】
また、本発明の接着剤組成物は、必要に応じ難燃剤を併用することができる。難燃剤としては、例えば、ペンタジブロモトルエン、臭素化フェニルメタクリル酸エステル、2,4−ジブロモフェノール、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素系難燃剤や臭素系難燃助剤である三酸化アンチモンやリン酸エステル、リン酸アミド、有機フォスフィンオキサイド等の有機リン系難燃剤や赤燐、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、トリアジン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、ポリスチレンスルフォン酸アルカリ金属塩等の金属塩系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系難燃剤、その他無機系難燃剤等が挙げられる。
【0022】
また本発明の接着剤組成物は、各種の添加剤を配合する事ができる。添加剤としては、タルク、雲母、ポリエチレン及びエポキシ基等を含有する変性ポリエチレン、各種金属塩等の結晶核剤、着色顔料、無機、有機系の充填剤、タック性向上剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の接着剤はFFCの絶縁フィルムを接着するための接着剤及びFFCをコネクターに接続する部分の補強の目的でFFCと他の素材を貼り合わせる補強板に用いる接着剤に用いると優れた効果を発揮する。特に難燃剤やその他の添加剤を配合することの少ない後者の用途に用いると、効果が最大限に発揮される。一般にFFCの絶縁フィルムは塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで構成されることが多く、ポリエステルはこれら素材に対する密着性が良好である。従来技術ではポリエステルのガラス転移温度と融点を適度に調節することにより、ある程度の温度範囲で接着性に適した弾性率に保持することを可能とした。しかしながら、室温で適度な弾性率を有するポリエステルでも、高温では弾性率が不足気味となり、その結果接着性の低下する傾向にある。また逆に低温では弾性率が高くなり、変形に対する応力に耐えることが出来ず、剥離が起こる原因となった。本発明では低温での接着性の良好な比較的ガラス転移温度の低い結晶性ポリエステル樹脂にフェノール樹脂を配合することにより、低温から高温までの幅広い温度領域での接着性を高めることができたものである。フェノール樹脂を添加すると特に高温での接着性が向上する原因は明らかでないが、高温ではポリエステルの弾性率が低下しても、フェノール骨格構造自身が剛直であり、接着剤全体としての弾性率が低下するのを抑えているためか、あるいはフェノール骨格自身が基材、特にFFCの導線として良く用いられる錫メッキ銅箔に対して選択的に優れた接着性を示すためではないかと予想している。
【0024】
【実施例】
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
【0025】
樹脂組成:重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なって決定した。ポリテトラメチレングリコールの重量%についても、そのプロトンの積分比より算出した。
【0026】
数平均分子量:テトラヒドロフランを溶離液としたウォーターズ社製ゲルろ過浸透クロマトグラフィー(GPC)150cを用い、カラム温度30℃、流量1ml/分にてGPC測定を行なった結果から計算して、ポリスチレン換算の測定値を得た。ただしカラムは昭和電工(株)shodex KF−802,804,806を用いた。
【0027】
酸価:ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、樹脂106g当たりの当量(eq/106g)を求めた。
【0028】
ガラス転移温度、融点:サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、昇温速度20℃/分にて測定することにより求めた。
【0029】
<ポリエステル樹脂(A)の合成例1>
撹拌機、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、テレフタル酸199部、アジピン酸117部、エチレングリコール136部、1,4ブタンジオール216部、テトラブチルチタネート0.14部をオートクレーブに仕込み、180〜240℃で1時間エステル化反応を実施した。次いでエステル化反応終了後、分子量1000のポリテトラメチレングリコール20部を仕込み、10分撹拌後、反応系を240℃から250℃に昇温する一方、系内を徐々に減圧していき、60分かけて500Paとした。そして、さらに130Pa以下で65分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)合成例1を得た。
ポリエステル樹脂(A)合成例1はNMR分析の結果テレフタル酸60モル%、アジピン酸40モル%、エチレングリコール40モル%、1,4−ブタンジオール60モル%、ポリテトラメチレングリコール含有量4.7重量%の組成を有しており、数平均分子量35000、酸価30eq/106g、ガラス転移温度−15℃、融点112℃であった。
【0030】
<ポリエステル樹脂(A)の合成例2〜3、比較合成例1〜4>
ポリエステル樹脂(A)の合成例1と同様にポリエステル樹脂(A)の合成例2〜3、比較合成例1〜4の作成を行った。これらの結果を表1及び表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1、2中、ポリエステル組成はモル比で表し、ポリテトラメチレングリコールはポリエステル・ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体全体100に対する重量比で表した。
【0034】
比較合成例1は分子量が本発明範囲外である。
比較合成例2はポリテトラメチレングリコール含有量が本発明範囲外である。
比較合成例3は融点が本発明範囲外である。
比較合成例4は融点が本発明範囲外である。
【0035】
<実施例1>
ポリエステルの合成例1で得られたポリエステル樹脂(A)9000部と、フェノール樹脂(B)としてGP200(三菱瓦斯化学(株)社製、フェノール変性キシレン樹脂)1000部を200℃にて1時間溶融混練し得られた接着剤を50μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上に、スクリュー径40mmφの押し出し機を用いて、170℃の温度でTダイを通して接着剤厚が30μmとなるように押し出し、接着テープを得た。この接着テープを用いて、下記の評価を行った。
【0036】
PET接着性:上記接着テープの接着面と、50μmの二軸延伸PETフィルムを合わせ、テスター産業社製ロールラミネータを用いて接着した。なお、ラミネートは温度170℃、圧力0.3mPa、速度0.5m/minで行った。接着強度は東洋ボールドウイン社製RTM100を用いて、0℃下、25℃下及び100℃下で引っ張り試験を行い、50mm/minの引っ張り速度でT型剥離接着力を測定した。
(判定)○:接着強度10N/cm以上、
×:接着強度10N/cm未満
【0037】
スズメッキ銅接着性:上記接着テープの接着面と、スズメッキ銅を上記と同様の方法でラミネートした。接着強度は東洋ボールドウイン社製RTM100を用いて、0℃下、25℃下及び100℃下で引っ張り試験を行い、50mm/minの引っ張り速度で180度剥離接着力を測定した。
(判定)○:接着強度10N/cm以上、
×:接着強度10N/cm未満
【0038】
耐ブロッキング性:上記接着テープを同方向に5枚重ね、接着層の上にPETフィルムが重なるようにした。次いで、このようにして重ねた接着フィルムの上に90g/cm2の荷重をかけ、80℃雰囲気中に24時間保存した。この後、接着シートを取り出し、接着剤の非粘着性を観察し、重ねたシート間の接着強度を測定し、下記の判定を行った。
(判定)◎:0〜3g/cm ○:3〜5g/cm
△:5〜15g/cm ×:15g/cm以上
【0039】
耐屈曲性:上記接着テープの接着層側上にスズメッキ銅箔を0.7mm幅、長さ15cmに切断した導線を1mm間隔で5本並べ、さらにこの上に、上記接着テープを接着層が下になるように重ね合わせ、テスター産業社製ロールラミネーターを用いてラミネートは温度170℃、圧力0.3mPa、速度0.5m/minの条件で接着し、フラットケーブルモデルとした。このフラットケーブルモデルを用いて、JIS規格C5016の耐屈曲性試験法に従い、ケーブルの機械的特性(耐屈曲性)を調べた。
(判定)○:屈曲回数 2×106回以上
△:屈曲回数 1×106回以上2×106回未満
×:屈曲回数 106回未満
以上の評価結果を表3に示す。
【0040】
<実施例2〜3、参考例1〜2、比較例1〜5>以下同様にして行った実施例2〜3、参考例1〜2を表3に、比較例1〜5を用いて評価を行った結果を表4に示した。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
本発明の接着剤組成物は、従来技術と比較して、PET及び金属接着性、耐熱性、耐寒性、耐ブロッキング性、耐屈曲性に優れている。
【0044】
それに対して、表4に見られるように、比較例1では、フェノール樹脂を配合していないので、金属への密着性に劣る為、スズメッキ銅接着性、耐屈曲性が劣る。比較例2では、フェノール樹脂配合量が多すぎるために、接着剤の機械的強度が低下し、PET及びスズメッキ銅接着性、耐屈曲性が劣る。比較例3では、ポリエステル樹脂の分子量が低い為に、機械的強度が低下し、PET及びスズメッキ銅接着性、耐屈曲性が劣る。比較例4ではポリエステル樹脂(A)中にポリテトラメチレングリコールを含有していないので、耐寒性に劣る。比較例5では、ポリエステル樹脂が融点を持たない為に、高温時の接着性、耐ブロッキング性に劣る。
【0045】
【発明の効果】
本発明で得られた接着剤組成物は各種プラスチックフィルムや金属に対して広い温度領域で安定した接着性を示す接着剤である。特に本接着剤は高度な金属密着性、耐熱性、耐寒性、耐屈曲性を要求されるフレキシブルフラットケーブル用接着剤及びフレキシブルフラットケーブル補強板用の接着剤等に有用である。
Claims (5)
- ポリエステル樹脂(A)/フェノール変性樹脂(B)=50/50〜99/1重量%である接着剤組成物において、該ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が5000〜50000、ガラス転移温度が20℃未満、融点が50℃以上であると共に、ポリエステル樹脂100重量%中に1〜50重量%のポリアルキレングリコールを共重合することにより含み、前記フェノール変性樹脂(B)がフェノール変性キシレン樹脂であることを特徴とする接着剤組成物。
- 前記ポリアルキレングリコールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物を用いてなる接着テープ。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物を用いてなるフレキシブルフラットケーブル。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物を用いてなるフレキシブルフラットケーブル補強板。
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