JP4389064B2 - ニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法 - Google Patents

ニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクリルアミドの生産等、工業的に有用なニトリルヒドラターゼの活性の維持または向上させる方法に関する。ここでいう活性とは、実施例記載の方法で測定したニトリル水和活性である。
【0002】
【従来の技術】
ニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性は不安定で、経時的に低下し易い。このようなニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性の経時的な低下を防止し、その活性を維持する方法として、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体または菌体処理物の懸濁液または溶液に、安定化剤としてニトリル類、アミド類、及び有機酸またはその塩類の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、微生物菌体または菌体処理物を水性媒体に懸濁した状態で、該水性媒体が中性乃至弱塩基性で且つ100mM乃至飽和濃度の無機塩類である保存方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、いずれの方法もニトリルヒドラターゼ活性の維持のみに効果があるだけであり、ニトリルヒドラターゼ活性をさらに高める効果については何ら報告されていない。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−43351号公報
【特許文献2】
特公平4−48435号公報
【特許文献3】
特開平8−112089号公報
【0005】
一方、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体を培養により製造した後、得られた菌体または菌体処理物に何らかの処理をすることにより、ニトリル水和活性を高める方法としては、例えば得られたニトリルヒドラターゼ活性を有するグラム染色性が陽性である微生物菌体に光を照射する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法は培養によって得られた微生物菌体のニトリルヒドラターゼの活性を高めるのみに効果があるだけであり、一旦、ニトリルヒドラターゼ活性が低下した微生物菌体の活性を向上するものではない。またニトリルヒドラターゼ活性の維持とは無関係である。
【0006】
【特許文献4】
特公平2−35号公報
【0007】
ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体を培養するときに、酸素が必要であり、また培養中の溶存酸素濃度を1ppmから飽和濃度に維持することで、菌体の生育が向上し、且つ、ニトリルヒドラターゼ活性が高発現した菌体を得ることができることも報告されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この方法は培養時、すなわちニトリルヒドラターゼを含有する菌体が増殖する条件において、ニトリルヒドラターゼ活性の発現に培養液中の溶存酸素濃度の最適値が存在することを報告しているのみであり、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体が増殖しない条件、すなわち培養の終了した以降のニトリルヒドラターゼ活性の維持及び活性の向上については何ら記載されていない。
【0008】
【特許文献5】
特開2002−17339号公報
【0009】
ニトリルヒドラターゼの活性の発現及び活性の低下の詳細な機構は必ずしも明確ではないが、例えばロドコッカス(Rhodococcus)sp.N−771由来の鉄型ニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性の低下は、空気中の酸素により、中心金属である非ヘム鉄(III)に配位するシステインスルフ
ェン酸がシステインスルフィン酸に酸化されることによると記載されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
あるいは例えばロドコッカス(Rhodococcus)sp.N−771由来の鉄型ニトリルヒドラターゼは2−シアノ−2−プロピルヒドロキシペルオキシドという過酸化物により、中心金属である3価の鉄が2価に還元され、かつシステインスルフェン酸がシステインスルフィン酸に酸化されることにより、活性を失うと記載されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0011】
あるいはロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1由来の、中心金属がコバルトであるニトリルヒドラターゼの構造は未だ確定されてはいないものの、鉄型ニトリルヒドラターゼに類似すると予想されると記載されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0012】
【非特許文献1】
M. Odaka, M. Tsujishima and I. Endo:
RIKEN Review, No.41, p58〜60 (2001)
【非特許文献2】
尾高雅文、辻村昌也、遠藤勲; 有機化学反応の新展開, No.3, p17〜20 (2001)
【非特許文献3】
P. K. Mascharak, Coordination Chemistry Reviews, No.225, p201〜214 (2002)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞の処理物を、細胞の増殖を伴わない条件下でニトリルヒドラターゼ活性を維持するだけでなく、一旦、低下したニトリルヒドラターゼ活性を向上する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞処理物を、細胞の増殖を伴わない条件下で、酸化剤との接触によりニトリルヒドラターゼ活性の維持が可能であるだけでなく、一旦、ニトリルヒドラターゼ活性が低下した細胞または該細胞処理物であっても、それらを反応開始前または反応途中に酸化剤と接触させることにより、ニトリルヒドラターゼ活性を向上させることが可能であることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞の処理物を、細胞の増殖を伴わない条件下で酸化剤と接触させニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(2)標準電極電位が標準水素電極に対して0.1〜2.1Vの範囲にある酸化剤を用いることを特徴とする(1)記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(3)酸化剤が酸素、過酸化水素、フェリシアン化カリウム及び過硫酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(4)酸化剤である酸素が、酸素を含有したガスとして供給されることを特徴とする(3)記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(5)酸化剤の濃度が1重量ppm〜10重量%の範囲であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(6)酸化剤を接触させる際の温度が0〜60℃の範囲であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(7)酸化剤を接触させる際のpHが5〜10の範囲であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(8)ニトリルヒドラターゼが分子内にコバルトを含むニトリルヒドラターゼであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(9)遺伝子組換えにより分子内にコバルトを含むニトリルヒドラターゼを発現させた細胞または該細胞の処理物を、細胞の増殖を伴わない条件下で酸化剤と接触させることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(10)細胞がニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体または該微生物菌体の処理物である(1)〜(9)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(11)微生物菌体が遺伝子組換え微生物であることを特徴とする(10)記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(12)遺伝子組換え微生物が遺伝子組換え大腸菌であることを特徴とする(11)記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(13)遺伝子組換え大腸菌の宿主が、Escherichia coli K−12由来W3110株(ATCC27325)、同HB101株(ATCC33694)、同JM109株(ATCC53223)または同WA802株(ATCC33526)であることを特徴とする(12)に記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(14)ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞処理物が、ニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法に使用されることを特徴とする、(1)〜(13)のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
(15)(1)〜(14)のいずれかに記載の方法により得られたニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞処理物を用い、ニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法。
を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について概説する。本発明にいうニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物のニトリル基を水和して対応するアミド化合物を生成する能力をもつ酵素をいう。本発明にいう細胞は微生物、植物細胞、動物細胞の何れであっても構わない。ニトリルヒドラターゼを含有する微生物としては、ニトリル化合物のニトリル基を水和して対応するアミド化合物を生成する能力を産出する微生物であれば、特に制限されるものではない。具体例としては、シュードノカルディア・サーモフィラ(Pseudonocardia thermophila)JCM3095、アクロモバクター・キセロシス(Achromobacter xerosis)IFO12668、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1等を挙げることができる。
【0017】
また該微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体も含まれる。ここでいう任意の宿主としては、大腸菌(Escherichia coli)の他、枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属細菌、酵母や放線菌、糸状菌等が挙げられる。遺伝子組換え大腸菌の宿主としては、例えばEscherichia coli K−12由来W3110株(ATCC27325)、同HB101株(ATCC33694)、同JM109株(ATCC53223)、同WA802株(ATCC33526)株を挙げることができる。そのようなものの具体例として、MT−10822(本菌株は1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−5785として、特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブタペスト条約に基づいて寄託されている。)が挙げられる。
【0018】
また、組換えDNA技術を用いて該酵素の構成アミノ酸の1個または2個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、薬剤耐性、温度耐性等を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体も本発明の微生物に含まれる。
【0019】
本発明の微生物は通常、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において、公知の一般的な方法を利用して調製される。例えば、LB培地やM9培地等の通常液体培地に該微生物を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でもよい。)で生育させ、続いて該微生物を遠心分離等によって培養液より分離することにより得られる。
【0020】
本発明における細胞処理物は、上記菌体の抽出物や磨砕物、該抽出物や磨砕物のニトリルヒドラターゼ活性画分を分離精製して得られる後分離物、該細胞や該細胞の抽出物、磨砕物、後分離物を適当な担体を用いて固定化した固定化物等を指し、これらはニトリルヒドラターゼの活性を有している限りは本発明の細胞処理物に相当するものである。これらは単一の種類を用いてもよいし、2種類以上の異なる形態のものを同時あるいは交互に用いてもよい。
【0021】
本発明における細胞の増殖しない条件としては、例えば、該細胞または該細胞の処理物を水、生理食塩水、またはリン酸塩等の緩衝剤、硫酸塩や炭酸塩等の無機塩、アルカリ金属の水酸化物、アミド化合物等を適当な濃度で溶解させた水溶液などに溶解ないし懸濁させた条件があげられる。また該細胞または該細胞処理物を用いてニトリル化合物からアミド化合物を製造するときの反応液もあげられる。あるいは、該微生物を培養によって生育させるとき、微生物の増殖における静止期以降や培養を停止させた培養液も含まれる。あるいは薬剤または熱により殺菌された培養液も含まれる。
【0022】
本発明で使用される酸化剤は標準電極電位が標準水素電極に対して0.1〜2.1Vの範囲にある有機物質及び無機物質である。0.1V未満の物質には酸化剤としての能力が弱いため、ニトリルヒドラターゼ活性の維持及び活性化の効果が乏しい。また2.1Vを超える物質の場合、酸化剤としての能力が強すぎるため、ニトリルヒドラターゼが大きく変質してしまい、ニトリルヒドラターゼ活性をむしろ低下させるので好ましくない。そのような物質の例としては、化学便覧(日本化学会編)に一覧が記載されており、それらの中から単一の種類を用いてもよいし、2種類以上の物質を同時あるいは交互に用いてもよい。例えば、酸素、過酸化水素、フェリシアン化カリウム、過硫酸塩、過マンガン酸塩、過ヨウ素酸塩、過塩素酸及び過塩素酸塩、硝酸及び硝酸塩、セリウム(IV)塩などがあげられる。好ましくは、酸素、過酸化水素、フェリシアン化カリウム、過硫酸アンモニウムを酸化剤として用いるのがよい。さらに好ましくは、純酸素または酸素を空気として供給するのがよい。
【0023】
本発明で使用される酸化剤は、該細胞または該細胞の処理物と一括して接触させてもよいし、逐次的に接触させてもよい。
【0024】
酸化剤として酸素と接触させる場合には、酸素を含有したガスを供給する。供給源は空気、純酸素、空気と窒素またはその他のガスを一定割合で混合したガス、酸素と窒素またはその他のガスを一定割合で混合したガス、いずれを供給してもよい。ここでいうその他のガスとは窒素やアルゴン、ヘリウムなどの単一の種類を用いてもよいし、2種類以上のガスを混合して用いてもよいし、反応を阻害しないガスであれば特に制限はない。例えば撹拌槽で細胞または該細胞の処理物を水性媒体に懸濁する場合、ガスを撹拌槽の気相部に供給、パージしながら撹拌によって酸素を溶解させて供給することができる。あるいはガスをスパージャー分散させてガスを拡散させ、さらに撹拌により気液接触面積を増加させて供給することもできる。ここで供給するガスは、懸濁液中に雑菌が混入して腐敗することを防止するために除菌フィルターで除菌してから供給することが好ましい。
【0025】
本発明において該細胞または該細胞の処理物をそのまま酸化剤と接触させてもよいが、通常、水性媒体に懸濁させた状態で酸化剤と接触させる。ここでいう水性媒体とは水を含む媒体であり、生理食塩水、またはリン酸塩等の緩衝剤、硫酸塩や炭酸塩等の無機塩、アルカリ金属の水酸化物、アミド化合物等を適当な濃度で溶解させた水溶液、あるいはニトリル化合物からアミド化合物を製造するときの反応液、及び静止期以降の培養液などを示す。
【0026】
該細胞または該細胞の処理物の水性媒体に懸濁するときの濃度に特に制限はないが、通常は該細胞乾燥重量換算で、該水性媒体に対し0.1〜30重量%の範囲とすればよい。
【0027】
本発明でニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞の処理物に酸化剤を接触させる時の酸化剤の濃度は、ニトリルヒドラターゼ活性が維持または向上できる濃度であれば特に制限はないが、通常は該水性媒体に対し1重量ppm〜10重量%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明におけるニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞の処理物と酸化剤との接触温度は通常0〜60℃である。好ましくは0〜50℃、さらに好ましくは5〜40℃である。また接触時のpHは通常5〜10である。好ましくはpH5〜9、さらに好ましくは6〜8である。
【0029】
本発明によれば、ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞処理物を、細胞の増殖を伴わない条件下で、酸化剤との接触によりニトリルヒドラターゼ活性の維持が可能であるだけでなく、一旦、ニトリルヒドラターゼ活性が低下した細胞または該細胞処理物であっても、それらを反応開始前または反応途中に酸化剤と接触させることにより、ニトリルヒドラターゼ活性を向上させることが可能である。従って、ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞処理物とこれら酸化剤との接触は、ニトリル水和反応の終了以前の任意の時点で行うことができる。
【0030】
すなわち、該菌体または菌体処理物を反応に供する前に酸化剤と接触させてもよいし、あるいは該菌体または菌体処理物を反応に供したのちに、反応に酸化剤も供して該菌体または菌体処理物と酸化剤を接触させてもよい。しかしながら、反応に酸化剤を供した場合、ニトリル化合物の水和反応とは異なる副反応、例えばニトリル化合物が(メタ)アクリロニトリルの場合、ニトリル化合物自身、あるいは対応する生成物である(メタ)アクリルアミドが重合する可能性などがあるので、好ましくは該菌体または菌体処理物を反応に供する前に酸化剤と接触させるのがよい。
【0031】
培養の終了した微生物の菌体もしくは菌体処理物を酸化剤と接触させて、ニトリルヒドラターゼに基づくニトリル水和活性を向上させたのち、該菌体もしくは菌体処理物をそのまま反応に供することができるが、必要に応じてこれらを洗浄した後、反応に供することもできる。例えば、該菌体もしくは菌体処理物を水性媒体へ懸濁させた状態で、酸化剤として酸素を接触させた場合には、ニトリル水和活性の向上が確認された後、窒素通気などで水性媒体中の溶存酸素を除去しても、ニトリル水和活性は保持されるので、その状態で反応に供することができる。
【0032】
本発明において、ニトリル化合物の種類については特に限定されるものではなく、具体的には炭素数が2〜20程度のニトリル化合物であり、広い範囲のニトリル、例えば脂肪族ニトリル、芳香族ニトリルなどが含まれる。脂肪族ニトリルとしては、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレルニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリルなどの脂肪族飽和モノニトリル類;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリルなどの脂肪族飽和ジニトリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリルなどの脂肪族不飽和ニトリルなどが挙げられる。
【0033】
芳香族ニトリルとしては、ベンゾニトリル、o−,m−,及びp−クロロベンゾニトリル、o−,m−,及びp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−,及びp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−,及びp−トルニトリル、ベンジルシアナイドなどが挙げられる。中でもアクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びクロトンニトリル等が好適な例として挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。以下において、反応液のHPLC分析は、HPLCカラムとしてULTRON 80HG(50×8φmm)を用い、10mMリン酸水溶液を展開液として使用した。アクリルアミド及びアクリロニトリルは220nmの吸光度により検出し、濃度を測定した。また溶存酸素濃度は、酸素電極(InPro6800/12/320 メトラー・トレド社製)と溶存酸素濃度指示計(4050e型 メトラー・トレド社製)によって測定したが、予め5%亜硫酸ナトリウム水溶液でゼロを、さらに予め十分に空気が飽和した10℃の純水で飽和酸素濃度が10.92ppmを指示するように校正してから測定した。
【0035】
実施例1
本実施例に使用するニトリルヒドラターゼを含有する細胞は、ニトリルヒドラターゼ遺伝子が大腸菌HB101株に導入され、三井化学株式会社が寄託しているMT−10822株(FERM BP−5785、特開平11−253168号公報参照)を用いた。
【0036】
本菌株の培養は30Lの培養槽に下記の組成の培地15.0Lを調整し、121℃、20分間の高圧蒸気より滅菌した。この培地に終濃度が50μg/mlとなるようにアンシピリンを添加した後、上記菌株を一白菌耳植菌し、37℃、700rpmにて20時間培養した。また、この際、培養開始約15時間後にIPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を終濃度100μmol/Lになるよう添加し培養する。
【0037】
Figure 0004389064
【0038】
培養が終了し、菌体の増殖が停止した菌体懸濁液500mLを、酸素電極と温度計が取りつけられた1Lフラスコに移液した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に空気を400N−ml/min通気、排気し撹拌した。保存0、24時間後に菌体懸濁液の一部を取りだした。その間、該菌体懸濁液の溶存酸素濃度は10.0〜10.9ppmを指示していた。
【0039】
予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、該菌体懸濁液23.0mgを10.0gの予め脱酸素された50mMトリス塩酸塩水溶液(pH8.1)に懸濁し、この懸濁液に予め脱酸素されたアクリロニトリルをその終濃度が19重量%になるように添加し、20℃にて撹拌を行いながら2時間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を80g添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反応終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。続いて該菌体懸濁液の乾燥菌体重量濃度をもとめ、単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。保存0時間目の生成量を1とすると、24時間目で1.1であり、この間ニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が安定に保持されていた。
【0040】
実施例2
実施例1と同様にして得られた菌体の増殖が停止した菌体懸濁液500mLを、酸素電極と温度計が取りつけられた1Lフラスコに移液した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に空気を400N−ml/minと窒素4000N−ml/minを混合通気、排気し撹拌した。保存0、24時間後に菌体懸濁液の一部を取りだした。その間、該菌体懸濁液の溶存酸素濃度は1.0〜1.5ppmを指示していた。実施例1と同様にして該菌体懸濁液の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。保存0時間目の生成量を1とすると、24時間目で1.0であり、この間ニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が安定に保持されていた。
【0041】
比較例1
実施例1と同様にして得られた菌体の増殖が停止した菌体懸濁液500mLを、酸素電極と温度計が取りつけられた1Lフラスコに移液した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に窒素を400N−ml/minを通気、排気し撹拌し該菌体懸濁液を脱酸素した。保存0、1、3時間後に菌体懸濁液の一部を取りだした。その間、該菌体懸濁液の溶存酸素濃度は0.0ppmを指示していた。実施例1と同様にして該菌体懸濁液の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。保存0時間の生成量を1とすると、1時間目で0.45、3時間目で0.20であり、この間にニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が経時的に低下した。
【0042】
比較例2
実施例1と同様にして得られた菌体の増殖が停止した菌体懸濁液500mLを、酸素電極と温度計が取りつけられた1Lフラスコに移液した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に窒素を400N−ml/minを通気、排気し撹拌した。実施例1と同様にして保存0時間後の該菌体懸濁液の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。保存1時間後に菌体懸濁液の一部を取りだし、菌体懸濁液を窒素雰囲気下で遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを懸濁液より分離し、湿菌体を得た。
【0043】
予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、上記で得られた湿菌体0.20gを予め脱酸素された純水に懸濁し、総量20.00gになるように調整した。該菌体懸濁液を、内温20℃を維持しながら15分間撹拌した。
【0044】
予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、該菌体懸濁液66.0mgを10.0gの予め脱酸素された50mMトリス塩酸塩水溶液(pH8.1)に懸濁し、この懸濁液に予め脱酸素されたアクリロニトリルをその終濃度が19重量%になるように添加し、20℃にて撹拌を行いながら4時間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を80g添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反応終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。続いて該菌体懸濁液の乾燥菌体重量濃度をもとめ、単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。保存1時間後に遠心分離によって得られた湿菌体の生成量を1.0とすると、保存0時間の生成量は2.9あり、比較例2で得た湿菌体はニトリルヒドラターゼ活性が低下したものであることを確認した。
【0045】
実施例3〜9
実施例1と同様にして得られた菌体の増殖が停止した菌体懸濁液を遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを懸濁液より分離し、湿菌体を得た。得られた湿菌体0.20gを、予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、予め脱酸素された純水に懸濁し、さらに酸化剤としてフェリシアン化カリウムを下表1に示すような終濃度になるように添加、懸濁し、総量20.00gになるように調整した。一方、酸化剤を添加しない菌体懸濁液も同様にして調整した。該菌体懸濁液を、内温20℃を維持しながら15分間撹拌した。
【0046】
予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、該菌体懸濁液66.0mgを10.0gの予め脱酸素された50mMトリス塩酸塩水溶液(pH8.1)に懸濁し、この懸濁液に予め脱酸素されたアクリロニトリルをその終濃度が19重量%になるように添加し、20℃にて撹拌を行いながら4時間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を80g添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反応終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。続いて該菌体懸濁液の乾燥重量濃度をもとめ、単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。酸化剤を添加しない場合の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1.0として、実施例3〜9の生成量を相対値で下表1に示す。
【0047】
実施例10〜11
実施例3でフェリシアン化カリウムを使用する代わりに、酸化剤として過硫酸アンモニウムを下表1に示すような終濃度になるように添加、懸濁した以外は同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。酸化剤を添加しない場合の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1.0として、実施例10〜11の生成量を相対値で下表1に示す。
【0048】
実施例12
実施例3でフェリシアン化カリウムを使用する代わりに、酸化剤として過酸化水素が下表1に示すような終濃度になるように30重量%過酸化水素水を添加、懸濁した以外は同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。酸化剤を添加しない場合の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1.0として、実施例12の生成量を相対値で下表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004389064
【0050】
上記の結果から、微生物菌体をフェリシアン化カリウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウムのような酸化剤と接触させると、ニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が向上することがわかる。
【0051】
実施例13
実施例3と同様にして得られた湿菌体0.20gを、予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、予め脱酸素された純水に懸濁し、さらに酸化剤としてフェリシアン化カリウムを終濃度0.77重量%になるように添加、懸濁し、総量20.00gになるように調整した。該菌体懸濁液を、内温20℃を維持しながら撹拌した。撹拌開始後0時間、10分間、2時間、24時間経過した時点で、該菌体懸濁液を少量採取し、実施例3と同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。撹拌開始0時間目の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1として、撹拌開始後10分間、2時間、24時間目の生成量を相対値で下表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 0004389064
【0053】
上記の結果から、微生物菌体をフェリシアン化カリウムのような酸化剤と接触させるとき、接触時間によってニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が向上するとともに向上した活性が維持されることがわかる。
【0054】
実施例14
実施例3と同様にして湿菌体を得た。続いて酸素電極と温度計が取りつけられた100mlフラスコで、上記で得られた湿菌体1.5gを48.5gの純水に懸濁した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に空気を40N−ml/min通気、排気し撹拌した。保存0、1、2、3、7、19日後に菌体懸濁液の一部を採取した。その間、該菌体懸濁液の溶存酸素濃度は10.0〜10.9ppmを指示していた。採取した該菌体懸濁液は実施例3と同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。保存0日目の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1として、保存1、2、3、7、19日目の生成量を相対値で下表3に示す。
【0055】
実施例15
実施例3と同様にして湿菌体を得た。続いて酸素電極と温度計が取りつけられた100mlフラスコで、上記で得られた湿菌体1.5gを48.5gの純水に懸濁した。内温10℃を維持しながら、フラスコ気相部に空気を40N−ml/minと窒素400N−ml/minを混合通気、排気し撹拌した。保存0、1、2、3、7、19日後に菌体懸濁液の一部を採取した。その間、該菌体懸濁液の溶存酸素濃度は1.0〜1.5ppmを指示していた。採取した該菌体懸濁液は実施例3と同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を求めた。保存0日目の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1として、保存1、2、3、7、19日目の生成量を相対値で下表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 0004389064
【0057】
上記の結果から、微生物菌体に酸化剤として酸素を接触させると、接触時間によってニトリルヒドラターゼのニトリル水和活性が向上し、ある経過時間以降はニトリル水和活性が高い状態で安定に保持されることがわかる。
【0058】
実施例16〜18
実施例3と同様にして得られた湿菌体0.20gを、予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、予め脱酸素された純水に懸濁し、さらに酸化剤としてフェリシアン化カリウムを終濃度2.0重量%になるように添加、次いで水酸化ナトリウム水溶液または硫酸で下表5に示すようなpHになるように調整し、総量20.00gになるように調整した。一方、酸化剤の添加、pH調整をしない菌体懸濁液も同様にして調整した。該菌体懸濁液を、内温20℃を維持しながら15分間撹拌した。実施例3と同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。酸化剤の添加、pH調整をしない場合の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1として、実施例16〜18の生成量を相対値で下表4に示す。
【0059】
【表4】
Figure 0004389064
【0060】
実施例19〜21
実施例3と同様にして得られた湿菌体0.20gを、予め内部を十分に窒素で置換された100mlの密栓可能なガラス容器で、予め脱酸素された純水に懸濁し、さらに酸化剤としてフェリシアン化カリウムを終濃度2.0重量%になるように添加、懸濁し、総量20.00gになるように調整した。一方、酸化剤を添加しない菌体懸濁液も同様にして調整した。該菌体懸濁液を、内温が下表6の温度を維持するように15分間撹拌した。実施例3と同様にして単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を算出した。酸化剤を添加せず内温20℃で懸濁させた場合の単位乾燥菌体重量あたりのアクリルアミド生成量を1として、実施例19〜21の生成量を相対値で下表5に示す。
【0061】
【表5】
Figure 0004389064
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、ニトリルヒドラターゼを含有する細胞または該細胞の処理物を、簡便な方法で、細胞の増殖を伴わない条件下でニトリルヒドラターゼ活性を維持するだけでなく、一旦、低下したニトリルヒドラターゼ活性を向上することができるので、工業的にも有利である。

Claims (13)

  1. ニトリルヒドラターゼを含有する細胞を、培養終了後、過酸化水素、フェリシアン化カリウム及び過硫酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の酸化剤と接触させニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  2. 培養終了後のニトリルヒドラターゼを含有する細胞を含む水性媒体に、酸素を含有したガスを供給することによって酸化剤となる酸素を溶解し、その酸素とニトリルヒドラターゼを含有する細胞とを接触させニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  3. 酸化剤の濃度が1重量ppm〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  4. 酸化剤を接触させる際の温度が0〜60℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  5. 酸化剤を接触させる際のpHが5〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  6. ニトリルヒドラターゼが分子内にコバルトを含むニトリルヒドラターゼであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  7. 遺伝子組換えにより分子内にコバルトを含むニトリルヒドラターゼを発現させた細胞を、培養終了後、酸化剤と接触させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  8. 細胞がニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体である請求項1〜7のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  9. 微生物菌体が遺伝子組換え微生物であることを特徴とする請求項8記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  10. 遺伝子組換え微生物が遺伝子組換え大腸菌であることを特徴とする請求項9記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  11. 遺伝子組換え大腸菌の宿主が、Escherichia coli K−12由来W3110株(ATCC27325)、同HB101株(ATCC33694)、同JM109株(ATCC53223)または同WA802株(ATCC33526)であることを特徴とする請求項10に記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  12. ニトリルヒドラターゼを含有する細胞が、ニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法に使用されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のニトリルヒドラターゼ活性を維持または向上させる方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の方法により得られたニトリルヒドラターゼを含有する細胞を用い、ニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法。
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