JP4388638B2 - 農園芸用有害生物防除組成物 - Google Patents

農園芸用有害生物防除組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は殺菌剤と食品添加物との混合により殺菌効果に相乗的な効果を示す農園芸用有害生物防除組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から農作物に発生する有害微生物の防除に関して、多くの農園芸用殺菌剤が提供されているが、防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現を招いたり、植物体や環境への影響の問題から、それらの改良が望まれている。
ストロビルリン系剤は電子伝達系複合体IIIを阻害することが知られている殺菌剤で
あり、うどんこ病、黒星病、べと病他幅広く農園芸有害微生物に効果を示すことが知られている。
ストロビルリン系剤と相乗効果を示す添加剤としては、サリチルヒドロキサム酸との混合により相乗効果が得られることが知られている(HayashiらJ.Pesticide Sci. 21, 399-403 (1996))が、本発明のように安全性の高い食品添加剤との混合による相乗的な効果については知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ストロビルリン系殺菌剤との混合により、人畜および環境に対し安全性が高く、確実な効果の得られる添加化合物を見出し、優れた農園芸用殺菌剤組成物を提供することである。特に、安全性の確認された食品添加物の中から、単に混合した時に得られる相加効果以上の相乗的な効果を得ることが出来、使用する薬剤量の低減と有効スペクトラムを改善しうる混合殺菌剤組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ストロビルリン系殺菌剤から選ばれる少なくとも1種と、相乗効果を示す食品添加物群から選ばれるすくなくとも1種とを活性成分として含有することを特徴とする農園芸用有害生物防除組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、ストロビルリン系殺菌剤と混合して、相乗的な効果を有する食品添加物は、下記食品添加物群から選ばれる化合物である。
【0006】
保存料:安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ジフェニル、オルトフェニルフェノール、プロピオン酸またはその塩等、
殺菌料:次亜塩素酸ナトリウム等、
着色料:食用赤色、食用黄色、食用青色等、
酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、
漂白剤:亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム等、
キレート剤:EDTA等
発色剤:硝酸ナトリウム等
【0007】
ストロビルリン系殺菌剤は、一般にその分子構造中に、−C(=CHMe)COOMe、−C(=NOMe)COOMe、−C(=NOMe)CONHMe、−N(Me)COOMe、または開環してこれらの構造になるヘテロ環基等で置換されたベンゼン環を有することを特徴としており、本発明はそれらの化合物に適用することができるが、クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、トリフォキシストロビン、WO9940076号公報及び特願平11−231174に記載の一般式(I)
【化4】
{式中、Yは下記式(a)、(b)または(c)のいずれかの基を表し、
【化5】
Qは、下記式で表されるチアゾリルまたはピリジルを表し、
【化6】
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子またはC1-6アルキル基を表す。)
Rは、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、 C1-6ハロアルキル基等を表し、nは0または1〜4の整数を表し、nが2以上のときRは同一でも相異なっていても良い。}で表される化合物もしくはその塩から選ばれる1種もしくは2種以上の化合物が好ましいものとして挙げられる
【0008】
本発明の殺菌組成物においては、ストロビルリン系剤と食品添加物との混合割合は食品添加物により広範囲にわたって変えることができる。通常、重量比で1:0.01〜10000であり、安全性、経済性の面から1:1〜100の範囲が好ましい。
特に、食品添加物としてソルビン酸を用いた場合は、1:50〜500の範囲で、オルトフェニルフェノールを用いた場合は、1:1〜50の範囲で優れた相乗効果が得られる。
【0009】
本発明の有害生物防除組成物は、これら2種の成分を含有する製剤、あるいは使用前に各々の成分を混合し組成物として使用するために、各々の成分を別々に含有する独立した製剤にすることができる。
斯かる製剤形態としては乳剤、水和剤、液剤、エマルジョン剤、懸濁液剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、粒剤、エアゾール、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燻煙剤を挙げることができる。これらの製剤中には、前記有効成分化合物をその合計量で、一般に、0.1〜99.9重量%、好ましくは0.2〜80重量%含有される。
【0010】
これらの製剤は公知の方法で製造することができる。斯かる方法は、例えば活性化合物を展開剤、即ち、液体希釈剤、液化ガス希釈剤、固体希釈剤、又は担体、場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤/又は、泡沫形成剤を用いて、混合することによって行われる。展開剤として水を用いる場合には例えば有機溶媒は、また、補助溶剤として使用することができる。
【0011】
液体希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類( 例えばシクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分等)) 、アルコール類(例えば、 ブタノール、グリコール及びそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)そして水も挙げることができる。
【0012】
液化ガス希釈剤は常温常圧でガスであり、その例としては、例えばブタン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、そしてハロゲン化炭化水素類のようなエアゾール噴射剤を挙げることができる。固体希釈剤としては、土壌天然鉱物(例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト、又は珪藻土等)、土壌合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)を挙げることができる。
【0013】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、非イオン及び陰イオン乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル類(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アリールスルホン酸塩類等))、アルブミン加水分解生成物を挙げることができる。
【0014】
分散剤としては、例えばリグニンサルファイト廃液そしてメチルセルロースを包含する。固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、斯かる固着剤としては、カルボキシメチルセルロースそして天然及び合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコールそしてポリビニルアセテート等)を挙げることができる。
【0015】
着色剤を使用することもでき、斯かる着色剤としては、無機顔料(例えば酸化鉄、酸化チタンそしてプルシアンブルー)、そしてアリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料、そして更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛のそれらの塩のように、微量要素を挙げることができる。
【0016】
本発明の有害生物防除組成物は、それらの商業上、有用な製剤及び、それらの製剤によって調整された使用形態で、他の有効成分、例えば殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調整剤又は除草剤との混合剤として存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては例えばカーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、微生物より生産される殺虫性物質を挙げることができる。
【0017】
更に、本発明の有害生物防除組成物は共力剤との混合剤としても存在することができ、かかる製剤及び使用形態は商業用有用なものを挙げることができる。該共力剤は、それ自体活性である必要はなく、活性化合物の使用を増幅する化合物である。
【0018】
製剤化された本発明の殺菌剤組成物は、そのままで、または水などで希釈して植物体、水面または土壌に施用されるか、または種子に処理することにより使用される。また、他の殺菌剤,殺虫剤,除草剤,肥料,土壌改良剤などと併用することもできる。本発明の殺菌殺虫剤組成物の施用量は、有効成分化合物であるストロビルリン系剤と食品添加物との混合比、気象条件、製剤形態、施用方法、施用場所、防除対象病害、対象作物などにより異なるが、通常、1ヘクタール当たり有効成分化合物量にして1〜1000g、好ましくは10〜100gであり、種子処理する場合は、種子1kgに対し gである。乳剤,水和剤,懸濁剤,液剤などを水で希釈して施用する場合、その施用濃度は、1〜1000ppm、好ましくは、10〜250ppmであり、粒剤,粉剤などは、通常、希釈することなくそのまま施用する。
【0019】
【実施例】
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。製剤実施例中の部は重量部を示す。
(製剤の実施例)
【0020】
実施例1 乳剤
クレソキシムメチル 8部
オルトフェニルフェノール 32部
キシレン 30部
ジメチルホルムアミド 23部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 7部
以上を混合溶解して、有効成分が40%の乳剤を得た。
【0021】
実施例2 乳剤
アゾキシストロビン 8部
ソルビン酸 32部
キシレン 30部
ジメチルホルムアミド 23部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 7部
以上を混合溶解して、有効成分が40%の乳剤を得た。
【0022】
実施例3水和剤
WO9940076記載の化合物 4部
硝酸ナトリウム 16部
珪藻土 73部
高級アルコール硫酸エステル 4部
アルキルナフタレンスルホン酸塩 3部
以上を混合溶解して、有効成分が20%の水和剤を得た。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る活性成分の混合物は、広範囲な農業上の病害菌の防除に利用できる。その代表例として、下記のものが挙げられる。
イネ いもち病 (Pyricularia oryzae
紋枯病 (Rhizoctonia solani
馬鹿苗病 (Gibberella fujikuroi
ごま葉枯病 (Cochliobolus miyabeanus)
オオムギ 裸黒穂病 (Ustilago nuda
コムギ 赤かび病 (Gibberella zeae
赤さび病 (Puccinia recondita
眼紋病 (Pseudocercosporella herpotrichoides)
ふ枯病 (Leptosphaeria nodorum)
うどんこ病 (Erysiphegraminis f.sp.tritici)
紅色雪腐病 (Micronectriella nivalis)
ジャガイモ 疫病 (Phytophthora infestans
ラッカセイ 褐斑病 (Mycosphaerella arachidis
テンサイ 褐斑病 (Cercospora beticola
キュウリ うどんこ病 (Sphaerotheca fuliginea
菌核病 (Sclerotinia sclerotiorum
灰色かび病 (Botrytis cinerea)
べと病 (Pseudoperonospora cubensis
トマト 葉かび病 (Cladosporium fulvum
疫病 (Phytophthora infestans
ナス 黒枯病 (Corynespora melongenae
タマネギ 灰色腐敗病 (Botrytis allii
イチゴ うどんこ病 (Sohaerotheca humuli
リンゴ うどんこ病 (Podosphaera leucotricha
黒星病 (Venturia inaequalis
モニリア病 (Monilinia mali)
カキ 炭そ病 (Gloeosporium kaki
モモ 灰星病 (Monilinia fructicola
ブドウ うどんこ病 (Uncinula necator
べと病 (Plasmopara viticola
ナシ 赤星病 (Gymnosporangium asiaticum
黒斑病 (Alternaria kikuchiana
チャ 輪斑病 (Pestalotia theae
炭そ病 (Colletotrichumtheae-sinensis
カンキツ そうか病 (Elisinoe fawcettii
青かび病 (Pennisillium italicum
西洋シバ 雪腐大粒菌核病 (Sclerotinia borealis
【0024】
次に試験例を挙げて、本発明の組成物の効果について説明する。
(試験例1)インゲン灰色かび病(室内試験)
育苗バットで栽培したインゲン(品種「ながうずら」)の花を切除し、本発明化合物の乳剤を所定濃度に調製した薬液に浸漬した。浸漬後、風乾し、インゲン灰色かび病菌(Botrytis cinerea)を噴霧接種した。接種した花を無処理のインゲン葉に乗せ、恒温室(20℃)に7日間保持した。葉上の病斑直径を無処理と比較調査し、防除価を求めた。
【0025】
【数1】
防除価(%)=[1−(処理区の病斑直径/無処理区の病斑直径)]×100
【0026】
本発明の期待される有効度Eをコルビーの式(Weed.,15,20−22,
1996.)から算出し、観察結果を比較した。
【0027】
【数2】
【0028】
Eは有効物質AおよびBを濃度mおよびnで使用した場合に期待される有効度を%で示したものであり、Xは有効物質Aを濃度mで使用した場合の有効度を%で示し、Yは有効物質Bを濃度nで使用した場合の有効度を%で示した。
試験で用いたWO9940076号記載の化合物は以下の構造式で示される。
【0029】
【化7】
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
本試験結果から判るように、本発明の殺菌剤組成物は、各有効成分化合物をそれぞれ単独で使用した場合に比し、混合使用することによりコルビーの式から予想される相加的効果以上の相乗効果を示す。
本発明による有害生物防除組成物を施用することにより、単に混合した時に得られる相加効果以上の相乗効果を得ることが出来、使用する薬剤を低減することが可能である。

Claims (1)

  1. クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、又は、式(I’
    (式中、RはC 1−6 アルキル基を表す)
    で表される化合物もしくはその塩から選ばれる1種もしくは2種以上であるストロビルリン系化合物と、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ジフェニル、オルトフェニルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、食用黄色、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及びEDTAからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(但し、クレソキシムメチル及びアゾキシストロビンは、ソルビン酸及びオルトフェニルフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との併用に限る)を活性成分として含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物。
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