JP4387380B2 - アンカー補修方法とアンカー頭部及び頭部背面機構 - Google Patents
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係る止水処理として、従来は、止水ゴムに鋼線1本を通し、充填材であるグリースの圧力によってグラウンドアンカーの被覆材であるシース材を押し広げて水密効果を発揮せしめている。或いは、止水壁として止水ゴムを用いてその中に止水剤を注入している。
或いは、グリースの充填量が十分に調節できず、グリースの量が不足して十分な防錆が行われず、或いは、グリースを浪費してしまうという問題も有している。
しかし、特許文献1は、上述した様な問題に対処するものではない。
また、前記第1の筒状部材(6)は、地上側端部にはフランジが形成され、地中側の端部(62)がコ字状またはJ字状に折り返されており、当該折り返されたコ字状またはJ字状の端部(62)に前記可撓性止水部材(7)の地中側端部が係止されるように構成されているのが好ましい。
すなわち、可撓性止水部材(7)を鞘状部材(シース材5)の外周面に密着する力は、テンドンに付加される緊張力(T)であり、その力は非常に大きい。
そのため、可撓性止水部材(7)が鞘状部材(シース材5)の外周面に密着している部分から、湧水が浸入してしまうことが防止される。
すなわち、第2の筒状部材(8)がより地中側へ位置するように雄ネジ(81A)と雌ネジ(20B)とを螺合すれば、可撓性止水部材(7)を圧縮する力が増加する。一方、第2の筒状部材(8)がより地上側へ位置するように雄ネジ(81A)と雌ネジ(20B)とを螺合すれば、可撓性止水部材(7)を圧縮する力が減少するのである。
図1〜図8は、本発明の第1実施形態を示している。ここで、図1は第1実施形態に係るアンカー頭部及び頭部背面機構の全体構成を説明する断面図であり、図2は可撓性止水部材の自由時の断面、当該止水部材を係止する第1の筒状部材、及び止水部材の端部を押圧する第2の筒状部材を示した部分断面図である。そして、図3〜図8は、図1及び図2で示すアンカー頭部及び頭部背面機構を用いた場合における第1実施形態に係るアンカー補修方法の施工を説明する工程図である。
図1において、張力支持部材(テンドン)1と、第1実施形態に係るアンカー頭部及び頭部背面機構とが示されており、アンカー頭部及び頭部背面機構は、支圧板(アンカープレート)2と、定着ナット3と、ヘッドキャップ4とを有している。
ここで、テンドン1の引張力(緊張力)は、図示しないジャッキ等の緊張力付加装置により付加される。そして、マンション1aに定着ナット3を螺合させ、定着ナット3がアンカープレート2に当接するまで締め付けることによって、図示しない緊張力付加装置により付加された緊張力Tが維持される。換言すれば、マンション1aと定着ナット3は緊張力保持機構を構成する。
図1において、アンカープレート2に形成された座グリ21には、ガイドパイプ8(第2の筒状部材)の地上側端部81が、例えば溶接その他の手法によって固着されている。
座グリ21の深さは、スリーブ管6(第1の筒状部材)のフランジ61の厚みに等しくなるように設定されている。
アンカープレート2における地上側の面、すなわち座グリ21が形成されているのとは反対側の面には、溝23が形成されている。溝23の長さは定着ナット3の最大径よりも長く、溝23の幅は定着ナット3の最小径よりも狭い。
断面コ字状または断面J字状に折り返された先端部62には、後述する(可撓性止水部材)の地中側端部が嵌合しており、止水ゴム7の当該端部が外れて地中側(矢印D側)が自由端となってしまうことが防止される。
止水ゴム7の軸方向(図1及び図2において、スリーブ管6及びガイドパイプ8の軸方向と同じ)に押圧力が作用していない場合(図2で示す場合)には、図2において点線で示す円内に示されている様に、軸方向の中央部7cが、概略V字状に、半径方向内方に突出して内径寸法が小さくなるように構成されている。
図1で示す様に変形した状態の止水ゴム7は、シース材5の外周面に圧密して、止水壁7Sを構成する(図5参照)。後述する様に、止水壁7Sは、ガイドパイプ8とシース材5との間の環状の領域からグリースMが地中側へ漏出してしまうのを防止すると共に、当該環状の領域内に湧水が浸入するのを防止する。
ガイドパイプ8の地中側の先端部82は、図2で示す様に、肩部82Sが形成されている。
図2において、ガイドパイプ8の先端部82における外径寸法82φは、止水ゴム7の地上側(図2では左側)端部の内径7dに略々等しい。そして、ガイドパイプ8により止水ゴム7を押圧した場合に、止水ゴム7の地上側端部(図2の左端部)が、スリーブ管6の内壁6iとガイドパイプ8の先端部82とによって形成される隙間82Gに嵌合するように構成されている。
テンドン1に緊張力を付与した際に、ガイドパイプ8の先端部82により、止水ゴム7を軸方向へ確実に圧縮するためである。詳細については、図4、図5を参照して、後述する。
スリーブ管6は、フランジ61が地表Gfに接するまで挿入される。
ガイドパイプ8を挿入すると、ガイドパイプ8の先端部82とスリーブ管6の内周とによって形成される環状の空間に、止水ゴム7の地上側端部が嵌合する。図4では、止水ゴム7の地上側端部が当該環状空間に嵌合した状態を示している。
なお、アンカープレート2は、必要に応じて未使用のものを使用する。
上述した様に、アンカープレート2と地表Gfとの距離或いはストロークS1は、止水ゴム7のストロークS2よりも長いので、止水ゴム7のストロークがゼロになっても、アンカープレート2と地表Gfとは距離ΔS(=S1−S2)だけ隔たっている。
ここで、定着ナット3をマンション1aに螺合させてアンカープレート2と当接させるまで締め付けることにより、付加された緊張力Tが保持される。
ここで、上述した距離ΔS(=S1−S2)が長いほど、止水ゴム7がテンドン1を締め付ける力は強くなる。
なお、アンカープレート2定着ナット3についても、必要に応じて、未使用のナットを使用する。
その結果、マンション1aの地上側端部、定着ナット3が、ヘッドキャップ4により覆われる。
ヘッドキャップ4内にグリースMを充填すると、アンカープレート2に形成された溝23及び貫通孔22を介して、アンカープレート2よりも地中側(図7では右側)の領域、より詳細にはシース材5とガイドパイプ8との間における円筒形状の空間にグリースMが充填される。
そして、グリースMが充填された領域には、湧水が浸入することが出来ないので、アンカーの頭部及び頭部背面が劣化することを防止して、その寿命を長くすることが出来る。
図9〜図15の第2実施形態では、止水ゴム7が十分に変形せず、テンドン1を十分に締め込めない場合に、図11、図15で示す様に、ガイドパイプ8の先端と嵌合可能な延長部材であるアタッチメント9を付加することにより、止水ゴム7を十分に変形して、テンドン1を締め込む所望の力を獲得している。
以下、第2実施形態に係るアンカー頭部及び頭部背面機構を用いてアンカー補修方法を施工する手順を説明しつつ、第2実施形態について説明する。
図9において、アンカープレート2に固定されているガイドパイプ8を、スリーブ管6の内部に挿入する。そして、ガイドパイプ8の先端部82とスリーブ管6の内周とによって形成される環状の空間に、止水ゴム7の地上側端部を嵌合させる。
しかし、第2実施形態は、図9において、アンカープレート2と地表Gfとの距離或いはストロークS3が、止水ゴム7の軸方向における変形量或いはストロークS2と概略等しいか、或いはストロークS3がストロークS2よりも短い場合が対象である。
すなわち、図9におけるストロークS3がストロークS2(図9参照)よりも長くなり、図示しない緊張力付加装置により緊張力Tを付加した際に、第1実施形態における図5及び図6と同様な作用により、止水ゴム7はスリーブ管6内で拘束された状態で圧縮変形して、シース材5を締め付けるのである(図11)。
図12、図13で示すように、アタッチメント9は、止水ゴム7を押圧する側(図12、図13において右側)の先端部92には肩部92Sが設けられている。
アタッチメント9のガイドパイプ8側(図12、図13において左側)は、ガイドパイプ8の先端82Aと相補的な形状となっている。アタッチメント9のガイドパイプ8側の先端の端面91Sは、ガイドパイプ8の肩部82Sと当接する様に形成されており、アタッチメント9のガイドパイプ8側先端の半径方向内側の領域には、ガイドパイプ8の先端が嵌合されるように、段付孔91が形成されている。
アタッチメント9が止水ゴム7に当接すると、止水ゴム7の地上側端部がアタッチメント9の先端部92における肩部92Sと当接する。
この状態において、上述したように緊張力Tが付加されると、ガイドパイプ8は地中側へさらに押し込まれて、止水ゴム7が軸方向に圧縮変形するのである。
そして、図15で示す様に、ヘッドキャップ4を被せ、グリースMを充填する。
図9〜図15の第2実施形態によれば、アタッチメント9を介装することにより、止水ゴム7を圧縮する力を増加して、止水ゴム7が半径方向内方に突出し且つ膨張してシース材5の外周面に密着する力(圧力)を増加せしめることが出来る。
この第3実施形態は、図1〜図15の実施形態に対して、ガイドパイプに関連する構成が異なっている。
それに対して、図16〜図19の第3実施形態では、ガイドパイプ8がアンカープレート2に固定されていない。第3実施形態では、雌ネジ20Bを設けた貫通孔20Aが形成された補剛板20を設け、且つ、ガイドパイプ8の一方の端部に雄ネジ81Aを形成している。
図16において、ガイドパイプ8の地上側端部近傍の領域における外周に形成されている雄ネジ81Aが、補剛板20の貫通孔20Aの内周面に形成された雌ネジ20Bと螺合している。
図16の状態では、ガイドパイプ8の雄ネジ81Aと補剛板20の雌ネジ20Bとは、ガイドパイプ8の地上側端面81Eと補剛板20の地上側端面20Eとが面一になる様に螺合している。
すなわち、図16におけるストロークS4がストロークS2よりも長くなり、図示しない緊張力付加装置により緊張力Tを付加した際に、第1実施形態における図5及び図6と同様な作用により、図18で示す様に、止水ゴム7はスリーブ管6内で拘束された状態で圧縮変形して、シース材5を締め付ける。
これにより、テンドン1に付加された緊張力Tが保持される。すなわち、当該緊張力Tは、定着ナット3、アンカープレート2、補剛板20を経由して、補剛板20と当接している地表Gfの領域(受圧面)により支持される。
そして、グリースMを充填する。
図16〜図19の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図15の第1及び第2実施形態と同様である。
そして、図16〜図19の第3実施形態においても、図22で示す様に、複数本(図示の例では3本)のPC鋼より線からなるテンドン100を地上側端部まで延在し、アンカーヘッド102及び定着くさび104を用いて緊張力を保持することが出来る。
1a・・・マンション
2・・・支圧板/アンカープレート
3・・・定着ナット
4・・・ヘッドキャップ/ヘッドキャップ
5・・・シース材
6・・・第1の筒状部材/スリーブ管
7・・・可撓性止水部材/止水ゴム
8・・・第2の筒状部材/ガイドパイプ
9・・・延長部材/アタッチメント
20・・・補剛板
20A・・・補剛板の貫通孔
20B・・・補剛板の雌ネジ
20E・・・補剛板の端面
21・・・座グリ
22・・・貫通孔
23・・・溝
61・・・フランジ
62・・・先端部
81A・・・ガイドパイプの雄ネジ
81A・・・ガイドパイプの端面
82・・・先端部
T・・・緊張力
S・・・緊張力の反力
Claims (6)
- 地中側の端部に形成された断面コ字状の折り返し部が、全体が一定厚さの板体で形成された円筒状であり軸方向の中央部が半径方向内方に突出した断面略V字状の突出部を有する可撓性止水部材の地中側端部を係止している第1の筒状部材を鞘状部材で覆われたテンドンが配置されたボーリング孔に挿入する第1の筒状部材の挿入工程と、第1の筒状部材の地上側端部に設けたフランジを地表面に設置する設置工程と、支圧板を取り付けた第2の筒状部材を第1の筒状部材の中に押込む第2の筒状部材の押込み工程と、緊張力付加機構によりテンドンに緊張力を付加する緊張力付加工程とを備え、その緊張力付加工程において第1の筒状部材の断面コ字状の折り返し部に地中側端部が係止された可撓性止水部材の地上側端部を第2の筒状部材の先端部の隙間に嵌合させるとともに肩部を押圧して可撓性止水部材の軸方向中央部の突出部を半径方向内方に突出させてテンドンを覆う鞘状部材の外周部と密着する様にI字状に圧縮変形させ、さらに支圧板を地表面に設置して付加された緊張力を保持する緊張力保持工程と、ヘッドキャップを支圧板に取り付けて支圧板よりも地上側の領域をヘッドキャップで覆うヘッドキャップ取付工程と、ヘッドキャップに覆われた領域及び第2の筒状部材と可撓性止水部材とテンドンとによって形成される空間に充填材を充填する充填材充填工程とを備えることを特徴とするアンカー補修方法。
- 前記第2の筒状部材の押込工程に先立って第1の筒状部材の内部に延長部材を挿入する延長部材挿入工程と、支圧板に取り付けた第2の筒状部材を前記第1の筒状部材の内部に挿入して第2の筒状部材の地中側先端と可撓性止水部材との間に延長部材を介装する延長部材介装工程とを有し、延長部材の地上側端部を第2の筒状部材の地中側先端と嵌合させ、かつ、延長部材の地中側端部の外周部を環状に削除して形成された肩部に可撓性止水部材を当接させて、可撓性止水部材を圧縮させる力を増加させる請求項1記載のアンカー補修方法。
- 地中側の端部に形成された折り返し部が、全体が円筒状であり軸方向の中央部が半径方向内方に突出した断面略V字状の突出部を有する可撓性止水部材を係止している第1の筒状部材を鞘状部材で覆われたテンドンが配置されたボーリング孔に挿入する第1の筒状部材挿入工程と、第1の筒状部材の地上側端部に設けたフランジを地表面に設置する設置工程と、支圧板の地中側に配置されそして第2の筒状部材が取り付けられている第2の板状部材に形成した貫通孔の雌ネジと第2の筒状部材の地上側端部に形成された雄ネジ部との螺合状態を調節し、第2の筒状部材の地上側端面と第2の板状部材の地上側端面との軸方向相対変位を設定して可撓性止水部材を圧縮する力を調節する調節工程と、第2の板状部材に取り付けられた第2の筒状部材を前記第1の筒状部材の内部に挿入する第2の筒状部材の挿入工程と、緊張力付加機構によりテンドンに緊張力を付加し、第1の筒状部材に係止された可撓性止水部材を第2の筒状部材の先端部で押圧し、可撓性止水部材の軸方向中央部の突出部を半径方向内方に突出させてテンドンを覆う鞘状部材と密着する様に圧縮変形させる圧縮変形工程と、第2の板状部材に支圧板を設置し、テンドンに付加された緊張力を緊張力保持機構により保持する緊張力保持工程と、ヘッドキャップを支圧板に取り付けて支圧板よりも地上側の領域をヘッドキャップで覆うヘッドキャップ取付工程と、ヘッドキャップに覆われた領域及び第2の筒状部材と可撓性止水部材とテンドンとによって形成される空間に充填材を充填する充填材充填工程とを備えることを特徴とするアンカー補修方法。
- テンドンと、テンドンに作用する緊張力を支持する支圧板と、テンドンに付加された緊張力を保持する緊張力保持機構と、支圧板よりも上方の領域に被せられたヘッドキャップと、地中側の端部に形成された断面コ字状の折り返し部が全体が一定厚さの板体で形成された円筒状であり軸方向の中央部が半径方向内方に突出した断面略V字状の突出部を有する可撓性止水部材の地中側端部を係止し且つ地上側の端部に設けたフランジの上面が支圧板に当接しフランジの下面が地表面に設置されている第1の筒状部材と、支圧板に取り付けられ且つ前記第1の筒状部材の内側に配置され地中側の先端に隙間及び肩部を有している第2の筒状部材とを備え、前記可撓性止水部材の地上側端部を第2の筒状部材の先端の隙間に嵌合するとともに肩部で押圧しており、該可撓性止水部材は軸方向に圧縮されてその軸方向中央部の突出部を半径方向内方に突出させてテンドンを被覆する鞘状部材の外周面に密着する様にI字状に圧縮変形していることを特徴とするアンカー頭部及び頭部背面機構。
- 第2の筒状部材の地中側先端と可撓性止水部材との間に延長部材を設け、延長部材の地上側端部は第2の筒状部材の地中側先端と嵌合可能に構成され、且つ、延長部材の地中側端部の外周部を環状に削除して形成された肩部に可撓性止水部材を当接可能に構成されている請求項4のアンカー頭部及び頭部背面機構。
- テンドンと、テンドンに作用する緊張力を支持する支圧板と、テンドンに付加された緊張力を保持する緊張力保持機構と、支圧板よりも上方の領域に被せられたヘッドキャップと、地中側の端部に形成された折り返し部が全体が円筒状であり軸方向の中央部が半径方向に突出した断面略V字状の突出部を有する可撓性止水部材を係止し、且つ地上側の端部に設けたフランジの上面が第2の板状部材に当接し、フランジの下面が地表面に設置されている第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の内側に配置されている第2の筒状部材とを備え、前記第2の板状部材は支圧板の地中側に配置され且つ第2の筒状部材が取り付けられており、第2の筒状部材の地上側端部に雄ネジ部が形成され、第2の板状部材にはテンドンが貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔には雌ネジが形成されており、第2の筒状部材の雄ネジが第2の板状部材の雌ネジと螺合しており、第2の筒状部材の地中側の先端が前記可撓性止水部材を押圧しており、該可撓性止水部材は軸方向に圧縮されて半径方向内方へ突出してテンドンを被覆する鞘状部材の外周面に密着する様に圧縮変形していることを特徴とするアンカー頭部及び頭部背面機構。
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