JP2020159180A - セグメント用止水部材及びセグメント用止水構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の請求項1記載のセグメント用止水部材11は、セグメント13の内面33に開口して地山29と通じる経路が止水構造で水密シールされる開口部35を包囲して環状に形成され、前記内面33に密着するシール部材17と、
前記シール部材17を挟んで前記内面33の反対側で前記シール部材17に密着し、前記シール部材17より外側に張り出す周縁部43を有して前記開口部35を覆う閉塞部材19と、
前記閉塞部材19の前記周縁部43に周方向の複数箇所で配置されて一端側が前記セグメント13に固着し、他端側が前記周縁部43を貫通して前記閉塞部材19と前記内面33とで前記シール部材17を挟持して前記閉塞部材19を前記内面33に固定する固定部材21と、
を備えることを特徴とする。
シール部材17を挟んで内面33の反対側には、閉塞部材19がシール部材17に密着して設けられる。閉塞部材19は、シール部材17より外側に張り出す周縁部43を有して開口部35を覆う。閉塞部材19の周縁部43には、周方向の複数箇所で固定部材21が配置される。固定部材21は、一端側がセグメント13に固着される。固定部材21の他端側は、周縁部43を貫通して、閉塞部材19をセグメント13の内面33に固定する。つまり、シール部材17は、閉塞部材19と内面33とで挟持される。シール部材17は、閉塞部材19と内面33に密着することで、環状の内側に密閉空間49を形成する。セグメント13の内面33に設けられた開口部35は、この密閉空間49に臨んで配置される。
開口部35は、グラウト孔15等とすることができる。また、地山29と通じる経路を水密シールする止水構造は、グラウト孔15に螺合されるグラウトプラグ31等とすることができる。この場合、グラウトプラグ31は、シール部材17により包囲された密閉空間49に臨んで配置されるので、シール部材17の厚み分、閉塞部材19から離間して配置される。これにより、グラウトプラグ31や止水工等は、閉塞部材19により押圧されなくなる。すなわち、既存の水密シール構造を損ねる(圧壊等する)ことがない。これに加え、新たな密閉空間49を形成し、既存のシール構造にクラック等が発生した場合に生じる漏水を二重の水密シール構造より止水する作用を得ることができる。その結果、漏水をより効果的に抑制することができるようになる。
前記シール部材17が、
水膨張性材料からなる水膨張部75と、
前記水膨張性材料を含まない非水膨張部77と、
からなることを特徴とする。
前記閉塞部材57が、前記内面33に沿う板状部材であることを特徴とする。
前記閉塞部材59が、前記シール部材17の挟持方向における一部分を受け入れる溝部61を有することを特徴とする。
シール部材17は、溝部61に接着等して固定しておくことが好ましい。セグメント用止水部材11は、シール部材17を予め溝部61に固定しておくことにより、シール部材17に位置ずれが生じにくくなる。また、搬送や設置時の作業性を良好にできる。
前記固定部材21が、前記閉塞部材19を介して前記シール部材17を所定の圧力で前記内面33に押し付けることを特徴とする。
前記閉塞部材57が、前記内面33に沿う形状に塑性変形可能な成形材料からなることを特徴とする。
成形材料としては、例えば剛性の高い金属板87が挙げられる。金属板87の素材としては、例えば防錆性、防食性の高いSUSが挙げられる。曲げ加工は、例えばローラーを用いた冷間曲げ加工とすることができる。
前記閉塞部材57の少なくともセグメント対向面が、前記内面33に沿う形状に予め成形されていることを特徴とする。
前記シール部材17の外周に位置するとともに、前記閉塞部材105,111,115,121,131,145,155と前記セグメント13の内面33との間に介設される規制部材103(規制部109,117,123,133,143,151)が設けられることを特徴とする。
前記規制部材103(規制部109,117,123,133,143,151)が、前記シール部材17の外周において、該シール部材17を囲むように連続した環状に形成されていることを特徴とする。
前記規制部材が、前記シール部材17の外周において、該シール部材17を囲み周方向に断続して形成されていることを特徴とする。
前記規制部材が、前記閉塞部材と一体とされ、該閉塞部材のセグメント対向面に突条状に形成されていることを特徴とする。
前記セグメント13の内面33に開口して地山29と通じる経路が止水構造で水密シールされる開口部35と、
前記開口部35を包囲して環状に形成され前記内面33に密着するシール部材17と、
前記シール部材17を挟んで前記内面33の反対側で前記シール部材17に密着し、前記シール部材17より外側に張り出す周縁部43を有して前記開口部35を覆う閉塞部材19と、
前記閉塞部材19の前記周縁部43に周方向の複数箇所で配置されて一端側が前記セグメント13に固着し、他端側が前記周縁部43を貫通して前記閉塞部材19と前記内面33とで前記シール部材17を挟持して前記閉塞部材19を前記内面33に固定する固定部材21と、
を備えることを特徴とする。
開口部35としては、例えばグラウトプラグ31が螺合したグラウト孔15や、セグメント同士を連結するめのボルトを収容し、モルタル23で覆われたボルトボックス51等が挙げられる。地山29と通じる経路を水密シールする止水構造とは、例えばグラウト孔15を塞ぐグラウトプラグ31等が挙げられる。
シール部材17を挟んで内面33の反対側には、閉塞部材19がシール部材17に密着して設けられる。閉塞部材19は、シール部材17より外側に張り出す周縁部43を有して開口部35を覆う。閉塞部材19の周縁部43には、周方向の複数箇所で固定部材21が配置される。固定部材21は、一端側がセグメント13に固着される。固定部材21の他端側は、周縁部43を貫通して、閉塞部材19をセグメント13の内面33に固定する。つまり、シール部材17は、閉塞部材19と内面33とで挟持される。シール部材17は、閉塞部材19と内面33に密着することで、環状の内側に密閉空間49を形成する。セグメント13の内面33に設けられた開口部35は、この密閉空間49に臨んで配置される。
開口部35は、グラウト孔15等とすることができる。また、地山29と通じる経路を水密シールする止水構造は、グラウト孔15に螺合されるグラウトプラグ31等とすることができる。この場合、グラウトプラグ31は、シール部材17により包囲された密閉空間49に臨んで配置されるので、シール部材17の厚み分、閉塞部材19から離間して配置される。これにより、グラウトプラグ31や止水工等は、閉塞部材19により押圧されなくなる。すなわち、既存の水密シール構造を損ねる(圧壊等する)ことがない。これに加え、新たな密閉空間49を形成し、既存のシール構造にクラック等が発生した場合に生じる漏水を二重の水密シール構造より止水する作用を得ることができる。その結果、漏水をより効果的に抑制することができるようになる。
図1は本発明の実施形態に係るセグメント用止水構造に用いられるセグメント用止水部材11をセグメント13と共に表した分解斜視図である。
本実施形態に係るセグメント用止水部材11を用いたセグメント用止水構造は、シールドトンネル用のセグメント13のグラウト孔15に適用した場合の一例を説明する。セグメント用止水部材11を用いたセグメント用止水構造は、この他、セグメント13において止水性能を維持したい部分、例えば、セグメント同士を連結固定するためのボルトが貫通するボルトボックス等にも好適に用いることができる。
本実施形態に係るセグメント用止水部材11は、シール部材17と、閉塞部材19と、固定部材21と、を主要な構成として有する。
シールドトンネル25は、構築する際に、掘削後にセグメント13を組み込み、セグメント同士を連結させて組み立て、その後、トンネル坑内27からセグメント13に形成されているグラウト孔15を通じてグラウトの注入作業を行う。これにより、地山29とセグメント外周面との隙間を塞ぐ。その後、グラウト孔15に、グラウトプラグ31が螺合される。グラウト孔15には、グラウトプラグ31を覆うモルタル23がさらに充填される。セグメント用止水部材11は、このモルタル23を覆って設けられる。
変形例1に係るセグメント用止水部材55は、閉塞部材57が、内面33に沿う板状部材である。
変形例2に係るセグメント用止水部材63は、閉塞部材59が、シール部材17の挟持方向における一部分を受け入れる溝部61を有する。
変形例3に係るセグメント用止水部材65は、実施形態で用いた平坦な閉塞部材19と、変形例1で用いた閉塞部材57とを、重ねた二重プレート構造としてもよい。この場合、閉塞部材57を挟んで内面33の反対側に、閉塞部材19が配置される。二重プレート構造では、閉塞部材19を締結用プレートとし、閉塞部材57をシール用プレートとすることができる。この場合、シール用プレートとして使用する閉塞部材57は、樹脂製としてもよい。
変形例4に係るセグメント用止水部材67は、開口部35が、ボルトボックス51の坑内側開口部となる。この場合、「地山29と通じる経路を水密シールする止水構造」とは、セグメント13の連結対向面に設けられて、セグメント同士の間に挟まれるパッキン53となる。隣接するセグメント13では、連結部でそれぞれのボルトボックス51が連続して、矩形状や長円形状の開口部35となる。シール部材17は、これら矩形状や長円形状の開口部35を包囲する長円形状で形成される。また、閉塞部材69もこれら矩形状や長円形状の開口部35よりも大きい矩形状で形成される。
隣接するセグメント13は、それぞれのボルトボックス51の一方から他方へ挿通された連結用ボルト71の先端に、連結用ナット73が締結されて連結されて行く。締結の完了したボルトボックス51には、モルタル23が充填される。セグメント用止水部材67は、このモルタル23が充填されたボルトボックス51の開口部35を包囲してシール部材17及び閉塞部材69が、固定部材21により内面33に固定される。
変形例5に係るセグメント用止水部材101は、規制部材103を具備する。
変形例6に係るセグメント用止水部材107は、規制部材109が閉塞部材111と一体に構成されている。
変形例7に係るセグメント用止水部材113は、図12(a)に示すように、閉塞部材115を厚みのある板材で構成し、セグメント内面33に対向する面に円形の凹部を形成して、この凹部の内周面部分を規制部材としての規制部117として構成している。
変形例8に係るセグメント用止水部材119は、図13(a)に示すように、閉塞部材121のセグメント内面33に対向する面に無端環状の突条を形成し、この突条を規制部材としての規制部123として構成するとともに、規制部123の内側に規制部123に沿って溝部125が形成されている。
変形例9に係るセグメント用止水部材129は、上述した変形例7のセグメント用止水部材113と変形例8のセグメント用止水部材119とを合わせた構成とされ、閉塞部材131を厚みのある板材で構成し、セグメント内面33に対向する面に円形の凹部を形成して、この凹部の内周面部分を規制部材としての規制部133として構成し、凹部内となる規制部133の内側に規制部133に沿って溝部135が形成された構成となっている。
上述した変形例5〜9においては、規制部材(103,109,117,123,133)を閉塞部材(105,111,115,121,131)と一体に構成した例として示したが、規制部材をセグメント13の内面33に構成させ、すなわちセグメント13と一体構造としてもよい。
シール部材17は、図16(a)に示すように、水膨張性材料からなる線状部材を、断面円形状の中実の水膨張部75で形成することができる。この場合、シール部材17を安価に製造できる。
また、シール部材17は、図17(a)に示すように、線状部材における断面形状の外側を水膨張部75で形成し、断面形状の内側を非水膨張部77で形成する。非水膨張部77には、中空部79を設ける。中空部79の内周面には、スプライン状の複数の凹凸部81を形成する。また、外側の水膨張部75には、線状部材の延在方向に沿う凸条83(リップ)を、線状部材の円周方向に複数等間隔で設けてもよい。
[試験方法]
試験方法は、2枚の金属板87,89に、上記のシール部材17に相当する止水リング試料91を挟み込み、中央の密閉空間49に一定水圧をかけ、漏水するか否かを確認した。
止水リング試料91は、サンプル品番:No.1、No.2、No.3の3種類を使用した。
No.1は、図16(a)に示した中実の水膨張部75を有する構造、
No.2は、図16(b)に示した中実の内側に非水膨張部77、外側に水膨張部75を有する構造、
No.3は、図16(c)に示した中空の内側に非水膨張部77、外側に水膨張部75を有する構造、とした。
ストリップの径:16mm、
非膨張部の径(No.2、No.3):10mm、
リング径:(内径)180mm、(外径)212mm、
圧縮率:(端部)5mm圧縮、(中央部)3mm圧縮、
水圧:0.5MPa、とした。
No.1は、漏水せず、
No.2は、漏水せず、
No.3は、密閉空間49の内部圧力が0.2MPaまで止水できることで知見できた。
なお、No.2においては、非膨張部を中実状態で内側に備えることで、周長方向で膨張することが無く、試験の前後におけるリング状態を保ち、断面積が増大する方向にのみ膨張、すなわち金属板87,89間に対して密着面が増えて止水することとなることが知見できた。
13…セグメント
17…シール部材
19,57,59,69…閉塞部材
21…固定部材
25…シールドトンネル
29…地山
33…内面
35…開口部
43…周縁部
61…溝部
55,63,65,67…セグメント用止水部材
75…水膨張部
77…非水膨張部
101,107,113,119,129,141,149…セグメント用止水部材
103…規制部材
105,111,115,121,131,145,155…閉塞部材
109,117,123,133,143,151…規制部(規制部材)
125,135,153…溝部
Claims (12)
- セグメントの内面に開口して地山と通じる経路が止水構造で水密シールされる開口部を包囲して環状に形成され、前記内面に密着するシール部材と、
前記シール部材を挟んで前記内面の反対側で前記シール部材に密着し、前記シール部材より外側に張り出す周縁部を有して前記開口部を覆う閉塞部材と、
前記閉塞部材の前記周縁部に周方向の複数箇所で配置されて一端側が前記セグメントに固着し、他端側が前記周縁部を貫通して前記閉塞部材と前記内面とで前記シール部材を挟持して前記閉塞部材を前記内面に固定する固定部材と、
を備えることを特徴とするセグメント用止水部材。 - 前記シール部材が、
水膨張性材料からなる水膨張部と、
前記水膨張性材料を含まない非水膨張部と、
からなることを特徴とする請求項1に記載のセグメント用止水部材。 - 前記閉塞部材が、前記内面に沿う板状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載のセグメント用止水部材。
- 前記閉塞部材が、前記シール部材の挟持方向における一部分を受け入れる溝部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のセグメント用止水部材。
- 前記固定部材が、前記閉塞部材を介して前記シール部材を所定の圧力で前記内面に押し付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のセグメント用止水部材。
- 前記閉塞部材が、前記内面に沿う形状に塑性変形可能な成形材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のセグメント用止水部材。
- 前記閉塞部材の少なくともセグメント対向面が、前記内面に沿う形状に予め成形されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のセグメント用止水部材。
- 前記シール部材の外周に位置するとともに、前記閉塞部材と前記セグメントの内面との間に介設される規制部材が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のセグメント用止水部材。
- 前記規制部材が、前記シール部材の外周において、該シール部材を囲むように連続した環状に形成されていることを特徴とする請求項8記載のセグメント用止水部材。
- 前記規制部材が、前記シール部材の外周において、該シール部材を囲み周方向に断続して形成されていることを特徴とする請求項8記載のセグメント用止水部材。
- 前記規制部材が、前記閉塞部材と一体とされ、該閉塞部材のセグメント対向面に突条状に形成されていることを特徴とする請求項9または10記載のセグメント用止水部材。
- シールドトンネルの内壁面を構成するセグメントと、
前記セグメントの内面に開口して地山と通じる経路が止水構造で水密シールされる開口部と、
前記開口部を包囲して環状に形成され前記内面に密着するシール部材と、
前記シール部材を挟んで前記内面の反対側で前記シール部材に密着し前記シール部材より外側に張り出す周縁部を有して前記開口部を覆う閉塞部材と、
前記閉塞部材の前記周縁部に周方向の複数箇所で配置され一端側が前記セグメントに固着し他端側が前記周縁部を貫通して前記閉塞部材と前記内面とで前記シール部材を挟持して前記閉塞部材を前記内面に固定する固定部材と、
を備えることを特徴とするセグメント用止水構造。
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