JP4387311B2 - ベアリングを形成する領域を備えた回転運動伝達装置 - Google Patents

Description

本発明は、回転運動を伝達するための装置、および同装置を備える自動車シート用の調整システムに関する。

柔軟なシャフトおよびシャフトを収容しているシースを備える回転伝達装置は周知である。
これらの伝達装置、特に自動車のシートを調整するための装置においては、シース内のシャフトの回転速度は、２０００回転／分以上、従来、約３０００回転／分である。

このような速度で回転できるようにするために、シャフトとシースとの間に１ｍｍの１０分の幾つかの隙間が必要である。しかし、このような隙間は、回転中に振幅の小さい振動を起こし、この振動はシャフトに沿って伝搬し、不快なノイズを発生し、身体に不快な感じを与える。

振動のこの問題を解決するために、特許文献１は、そのシースが収縮という形で少なくとも１つの変形を起こす、すなわち、シースの直径が局部的に小さくなる回転伝達装置を提案している。何故なら、シャフトとシースとの間の把握接触によるこのような収縮は振動を制限するからである。しかし、このような接触は、シャフトとシースとの間にかなりの摩擦を生じ、そのため、この用途のためのシャフトの充分な回転速度を得るためには、モータのトルクを増大しなければならない。さらに、この摩擦により、シース上の変形を起こす部位が早く磨耗する。
特開平０７―３１０７３０号公報

本発明の目的は、シースの内径を小さくしないで振動を制限するように配置されているそのシースが永久的な変形を有する回転運動を伝達するための装置を提案することによりこれらの欠点を緩和することにある。

この目的を達成するために、および第１の態様によれば、本発明は、回転運動を伝達するための装置に関する。この装置は、柔軟なシャフトおよびシャフトを収容しているシースを備える。シースは、その内径が、上記シース内で上記シャフトが回転できるように配置されている中空シリンダーにより形成されているコアを備える。シースのコアは、コアの塑性変形により形成されるベアリングを形成する少なくとも１つの領域を有する。この領域は少なくとも３つの部、すなわち２つの外側部および１つの中央部を有する。これらの部は、コアの軸にほぼ平行な軸を有し、コアの直径にほぼ等しい直径を有する。外側部は、ほぼ同軸であり、その軸は中央部およびコアの軸からずれている。

一実施形態によれば、ベアリングを形成している領域の中央部、およびシースのコアはほぼ同軸である。
一実施形態によれば、シースは、５〜１５センチメートルの間隔で相互に分離しているベアリングを形成する幾つかの領域を有する。他の実施形態の場合には、領域はシースに沿って連続的に配置されている。

一実施形態によれば、シースのコアは、フロック・コーティングによりその内面上に設
けられている。
第２の態様によれば、本発明は、自動車の構造体上に装着されている少なくとも１つの調整ランナと、ランナにシートを固定するための調整可能な手段とを備える自動車用の調整システムに関する。システムは、また、少なくとも１つの回転出力を有する駆動モータを備える。システムは、また、出力の回転に応じて調整ランナに沿って固定手段を移動するために、上記駆動モータの出力と上記固定手段との間に配置されている上記タイプの回転運動を伝達するための装置を備える。

添付の図面を参照しながら下記の説明を読めば、本発明をはっきりと理解することができるだろう。

回転運動１を伝達するための装置は、柔軟なシャフト２およびシース３を備える。シャフト２は、シース３内に収容されていて、その内径はシース３内でシャフト２が回転できるように設計されている。

シャフト２の回転速度は、従来、約３０００回転／分である。この速度で回転できるようにするために、１ｍｍの１０分の幾つかの隙間がシャフト２とシース３との間に設けられている。

シース３は、コア４およびコア４を囲んでいる外部管状エンベロープ５を備える。コア４は、例えば、金属材料からできているコイルばねにより形成することができる。このばねは、例えば、螺旋状に巻いた金属ストリップから形成される。ばねの巻きは接触していない。そのためシースは柔軟性を有する。外部エンベロープ５は、押し出し成形したプラスチック材料から作ることができる。

図１および図２を参照すると、シース３は、ベアリング６を形成している領域の形をした永久変形を有する。ベアリングは、装置の縦方向に延びる。
ベアリングを形成している領域は、３つの部分、すなわち２つの外側部７および８、および１つの中央部９を備える。これら各部の軸は、コア４の軸に対してほぼ平行である。外側部７および８も同軸になっていて、これらの軸はコア４の軸からずれている。説明中、軸は、図１および図２に示すように、シースの安定している直線位置に形成される。

各部７〜９は、またコア４の内径にほぼ等しい内径を有し、連続している巻きの全数を有する。
図１の本発明の実施形態によれば、伝達装置１のベアリング６を形成している領域は、２つの外側部７、８および１回の巻きで形成されている１つの中央部９を有する。各部の軸は、コアの軸からずれていて、そのため外側部７および８の共通の軸および中央部９の軸は、コア４の軸に対してほぼ対称である。

図２の本発明の実施形態によれば、伝達装置１のベアリング６を形成している領域は、１回の巻きにより形成された２つの外側部７、８、および２回の巻きにより形成された中央部９を備える。中央部９はシースのコア４と同軸になっている。

本発明によれば、ベアリングを形成している幾つかの領域を、シースに沿って配置することができる。一実施形態の場合には、２つの領域の間の間隔は通常５〜１５センチメートルである。他の実施形態の場合には、領域はシースに沿って連続して配置される。

ベアリング６を形成している領域により、上記巻きの内径を小さくしないでシース３の金属の巻きがずれることになる。そのため、シースの軸に対向していて、この軸の両方に
交互に位置するシース３とシャフト２の間に幾つかの接触点を有する少し曲がりくねった経路がシース３内に形成される。これらの接触点により、すべての運動を制限しないで、運動中にシャフトが振動する恐れが全くなくなる。それ故、モータのトルクは、変形していないシースを使用した場合のトルクにほぼ等しいものになり、シースが変形しているところで早く磨耗する傾向がなくなる。さらに、シース３と柔軟なシャフト２との間の自由空間は、シャフト２を潤滑するためのグリース２１のリザーブ・タンクを形成することができる。

シース３の変形は、例えば、その顎が巻きを半径方向にずらすように配置されているプレスを使用して、シースの塑性変形により与えられる。それ故、これらの変形は、永久的なものであり、装置を装着するのにこれらの変形を維持するための追加の部材を必要としない。

図１および図２を参照しながら本発明の特定の実施形態について説明すると、シース３のコア４の内面、すなわちシャフト２の方を向いている面はフロック・コーティング１０されている。

何故なら、シースの内面がフロック・コーティングされているこのような装置の場合に、ノイズが最適に小さくなることを観察することができたからである。フロック・ライニングによりシャフトとシースとの間が機械的に隔離される。変形６と共に、シース上にこのフロック・コーティングを行うことにより、音響的な見地から見て優れた結果が得られる。

コア４の内面は、例えば、静電気の使用のように任意の周知の方法により、ポリアミド６．６ファイバを有することができるフロック・コーティング１０でカバーされる。
回転運動を伝達するためのこのような装置は、図３に示すように、自動車のシート２０を調整するためのシステムで使用することができる。

この目的のために、２つのランナ１１および１２が、自動車の構造体（図示せず）に任意の適切な手段により固定される。これらのランナは調整ノッチを有しているが、その機能については以下に説明する。

ランナ１１および１２は、自動車のシート（これも図示せず）のフレームワークを支持する。ランナに対するその運動および固定は、ランナ１１および１２上の上記ノッチと協力するそれぞれが歯車を備えるギア１３および１４により行われる。

電気モータ１５は、自動車の構造体に固定されるが、別の方法としてはシートのフレームワークに固定される。このモータ１５は、２つの回転出力１６および１７を有する。これらの出力１６および１７は、本発明による回転運動１を伝達するための装置により、それぞれギア１３および１４に接続している。

伝達装置１のベアリングを形成している領域は、調整システム２０内に装着する際にほぼ直線状であるシース上の数カ所に設けられる。何故なら、振動が発生し、最も広い範囲に伝搬するのはこのような場所であることが分かっているからである。

モータ１５が設置されると、このモータはそのシース内で回転する際に伝達装置１のシャフトを駆動する。これらのシャフトは、今度はランナ１１および１２に沿ってシートを移動することができるギア１３および１４を駆動する。

本発明の一実施形態によるベアリングを形成している領域を示す回転伝達装置の部縦断面図。 本発明の第２の実施形態によるベアリングを形成している領域を示す回転伝達装置の部縦断面図。 本発明による自動車のシート用の調整システムの斜視図。

Claims (14)

1. 柔軟なシャフト（２）と、同シャフト（２）を収容しているシース（３）とを備え、前記シース（３）はシース（３）内でシャフト（２）が回転できるような内径を有する中空シリンダーにより形成されているコア（４）を備える回転運動の伝達装置（１）において、前記コア（４）はその塑性変形によりベアリング（６）を形成する少なくとも１つの領域を有し、同領域は２つの外側部（７，８）および１つの中央部（９）を備え、これら外側部及び中央部はコア（４）の軸にほぼ平行な軸を有するとともに、コアの直径にほぼ等しい直径を有し、両外側部（７，８）はほぼ同軸上に配置され、かつ前記中央部（９）および前記コア（４）の軸からは偏移していることを特徴とする伝達装置。
2. ベアリング（６）を形成している前記領域の前記中央部（９）および前記シース（３）のコア（４）が、ほぼ同軸上に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の伝達装置（１）。
3. 前記シース（３）のコア（４）は金属材料から形成されているコイルばねよりなることを特徴とする請求項１または２に記載の伝達装置（１）。
4. ベアリング（６）を形成している領域の各部（７，８、９）がコイルばねを形成する環状部の全数を有することを特徴とする請求項３に記載の伝達装置（１）。
5. ベアリング（６）を形成している前記領域の各部（７，８，９）上の環状部が連続していることを特徴とする請求項３または４に記載の伝達装置（１）。
6. ベアリング（６）を形成している前記領域の外側部（７，８）がそれぞれ１つの環状部よりなることと、前記中央部（９）が２つの環状部よりなることとを特徴とする請求項３〜５のいずれか１項に記載の伝達装置（１）。
7. 前記シース（３）が、ベアリング（６）を形成している複数の領域を備え、前記領域が５〜１０センチメートルの間隔で相互に離間していることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の伝達装置（１）。
8. 前記シース（３）が、ベアリング（６）を形成している複数の領域を備え、前記領域がシースに沿って連続して配置されることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項に記載の伝達装置（１）。
9. 前記装置（１）のシース（３）がコア（４）を包囲するプラスチック材料から形成される外部管状エンベロープ（５）を備えることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載の伝達装置（１）。
10. 前記コアの内面上にフロック・コーティング（１０）が施されていることを特徴とする請求項１〜９のいずれか１項に記載の伝達装置（１）。
11. 前記コイルばねが、非接触の螺旋状に巻回された金属バンドから形成され、同金属バンドの内面が、前記フロック・コーティング（１０）が施されたシースの軸に対向することを特徴とする請求項３に従属する請求項１０に記載の伝達装置（１）。
12. 前記フロック・コーティング（１０）がポリアミド６．６から形成されたファイバを含むことを特徴とする請求項１０または１１に記載の伝達装置（１）。
13. 自動車の構造体上に装着されている少なくとも１つの調整ランナ（１１，１２）と、シートを前記ランナ（１１，１２）に固定するための調整可能な手段（１３，１４）とを備え、更に少なくとも１つの回転出力軸（１６，１７）を有する駆動モータ（１５）を備える自動車用のシート調整システム（２０）において、前記調整システム（２０）が回転出力軸（１６，１７）の回転に応答して調整ランナ（１１，１２）に沿って固定手段（１３，１４）を移動させるべく、駆動モータ（１５）の回転出力軸（１６，１７）と固定手段（１３，１４）との間に配置されている、請求項１〜１２のいずれか１項に記載の伝達装置（１）を備えることを特徴とする調整システム（２０）。
14. ベアリング（６）を形成している前記領域がほぼ直線状をなすシース（３）上の数カ所に設けられていることを特徴とする請求項１３に記載の調整システム（２０）。

Images