JP4386682B2 - 多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品 - Google Patents

多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】
本発明は新規な構造の鏡面反射層が設置された再帰反射素子が多数設置された鏡面反射型再帰反射物品に関する。
【0003】
詳しくは、集積回路を内蔵する集積回路モジュールと、鏡面反射原理に基づく再帰反射要素と、これらの担持層とからなる再帰反射性集積回路封入製品に用いるのに最適な多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品に関する。
【0004】
より詳しくは,該集積回路モジュールが電波方式認識型集積回路を内蔵しており、該電波方式認識型集積回路に接続された通信用アンテナが、再帰反射要素の鏡面反射層を利用して形成されている再帰反射性集積回路封入製品に用いるのに最適な多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品に関する。
【0005】
より詳しくは、鏡面反射層が設置された再帰反射素子が多数設置された鏡面反射型再帰反射物品において,鏡面反射層が2層以上設置されており,第1鏡面反射層に用いられる金属がアルミニウムであり,第2鏡面反射層に用いられる金属がアルミニウム,銅,銀,ニッケルより選ばれる、再帰反射素子に接する側に設置された第1鏡面反射層の電気抵抗値が,第1鏡面反射層の背面に設置された第2鏡面反射層の電気抵抗値より小さくないことを特徴とする多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品に関する。
【0006】
【従来の技術】
【0007】
従来、鏡面反射層が設置された再帰反射素子が多数設置された鏡面反射型再帰反射物品はよく知られており,鏡面反射層に用いられる金属としてはアルミニウム,銅,銀,ニッケルが用いられ,特に,経済性及びシートの外観が明るくできるためにアルミニウムが一般的に用いられている。
【0008】
ローランド(Rowland)による特表平8−510415には、シートの外観を改善する目的で銀の下地層(本発明における第1鏡面反射層)の上に銅の上層(本発明における第2鏡面反射層)を設置した再帰反射シートが開示されている。
【0009】
その特許請求の範囲の記載によると;
1.後方反射シート材料を生成する方法にして、
(a)透明な本体を備えかつ、平坦な前面と、その他方の面上のプリズムおよび球面から成る群から選定された、接近配置された多数の後方反射形成体を有するシート材料を形成する段階、および
(b)金属Agの下地層と金属Cuの上層とを含む反射性金属付着物を前記他方の面上に形成する段階を含み、高い運動エネルギを有する金属原子として前記Ag層およびCu層が真空中で付着されて前記の他方の面との確実な結合をもたらし、
(c)前記反射性金属付着物上に有機保護被覆を施し、それにより、前記本体の前記前面を通過する光線が前記後方反射形成体に入って前記Ag下地層に突き当たり、そこから後方反射される段階を含み、前記シート材料が、日光の下では明るい白色の外観を、また白熱灯のビームが突き当たる夜間には明るい白色の呈色を明示するようにする、後方反射シート材料を生成する方法。
と記載されている。
【0010】
しかしながら、前記ローランドの発明においては、電子式再帰反射素子に接する側に設置された第1鏡面反射層の電気抵抗値が,第1鏡面反射層の背面に設置された第2鏡面反射層の電気抵抗値より小さくないことや微小ガラス球における実施態様に関しては何ら記載されていないし、ましてや、かかる鏡面反射層が設置された再帰反射シートを再帰反射性集積回路封入製品に応用することは何ら記載されていない。
【0011】
また,バントリによる公表特許公報特表平9−508983には一体形再帰反射式電子表示装置として,視覚及び電磁情報通信用の再帰反射式装置であって、入射光を再帰反射するための、視覚情報を有した再帰反射シートにして、単層の再帰反射式微小球体群を一面に埋め込んで有するベースシートを具備し、該ベースシートか、該微小球体群の下方に透明材料を介して離間配置された光の正反射手段を備えてなる再帰反射シートと、電磁通信のためのアンテナ手段と、前記アンテナ手段への結合を可能にする結合手段、とを具備した装置が開示されている。
【0012】
その公報第9貢の4〜8行目には,”連続蒸着被膜層は、アンテナ網から放射される場を歪曲又は妨害し、再帰反射シートの裏側に配置されたアンテナ網の通信作用を失わせる。したがって、電磁通信可能であるとともに、光学的視認性を向上させる再帰反射面を備えることができる一体形の電子ライセンスプレートが所望されている事が知られている”事が記載されている。
【0013】
さらに,同公報の第12貢の13〜15行目には,”連続する反射被膜36は、蒸着アルミニウムであることが好ましい。実質的に連続する金属製の反射被膜36は、導電面として作用する。電子ライセンスプレートに使用した場合、反射被膜36は、その背後に配置されたあらゆるアンテナ網の通信作用を失わせる”と記載されている。
【0014】
しかしながら,同公報の第14貢の10〜22行目には,”図7は、915MHz の共振周波数で動作する一組のマイクロストリップアンテナに関するアンテナパターンを示す。繰り返すが、アンテナパターン200は、妨害されないアンテナ網のものである。アンテナパターン206は、不連続蒸着被膜層を有する再帰反射シートを前方に配置した同じアンテナ網のものである。図7に示すように、アンテナパターンの劣化が本質的に無く、このアンテナ網を指向性アンテナとしてもなお有効とすることができる。これは、蒸着被膜層が約70%の金属を含んでいるので、驚くべきことである。金属層の存在にも関わらず、蒸着被膜層の不連続性により、再帰反射シートは、半球状反射被膜の構造に一致する周波数のアンテナと共に使用できる。図6に示すように、金属反射被膜が各微小球体42の背後にあるので、各半球状反射被膜46が信号波長に比べて小さく、かつ微小球体42の間の距離が充分に大きい限り、劣化は本質的に生じない。この場合、金属により幾らかのエネルギが散乱するが、エネルギの大部分は不連続蒸着被膜層を通過する”と記載されている。
【0015】
従って,バントリの発明においては従来公知の鏡面反射型再帰反射シートにおいては連続的な蒸着層(鏡面反射層)が存在しておらず,その性質を利用して鏡面反射層の背面に設置されたアンテナへ電磁波エネルギーが到達することを記載している。
【0016】
一方、本発明の発明者は集積回路を内蔵する集積回路モジュールと、光の再帰反射要素と、これらの担持層とからなることを特徴とする再帰反射性集積回路封入製品に関して国際公開出願WO 02/103629A1に詳細に開示を行っている。
【0017】
上記発明によれば、集積回路モジュールが電波方式認識型集積回路を内蔵しており電波方式認識型集積回路に接続された通信用アンテナが設置されている再帰反射性集積回路封入製品において、通信用アンテナが再帰反射要素の反射面上に形成されている再帰反射性集積回路封入製品を開示している。
【0018】
【発明が解決すべき課題】
【0019】
本発明の目的は、集積回路モジュールが電波方式認識型集積回路を内蔵しており電波方式認識型集積回路に接続された通信用アンテナが設置されている再帰反射性集積回路封入製品において、通信用アンテナが再帰反射要素の反射面上に形成されている再帰反射性集積回路封入製品の製造にあたり、電気抵抗値の小さな鏡面反射層を再帰反射素子に採用することにより電波方式認識の良好な再帰反射性集積回路封入製品を供給することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、上記電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において優れた再帰反射性能を保持した多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品の供給することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、上記電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において優れた昼間におけるシートの白色度を維持した多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品の供給することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、上記電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において、エッチング加工によりアンテナを形成の容易な多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品を供給することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明における多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品は、鏡面反射層が設置された再帰反射素子が多数設置された鏡面反射型再帰反射物品において,鏡面反射層が2層以上設置されており,再帰反射素子に接する側に設置された第1鏡面反射層の電気抵抗値が,第1鏡面反射層の背面に設置された第2鏡面反射層の電気抵抗値より小さくないことを特徴とする多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品が、本発明の目的である電波方式認識の良好な再帰反射性集積回路封入製品を作成するのに適している。
【0025】
本発明に用いることのできる鏡面反射層に用いることのできる金属としては、アルミニウム,銅が好ましい。これらの金属は真空蒸着法、化学メッキ法などの公知の方法で再帰反射素子に設置することができる。
【0026】
鏡面反射層が2層以上設置することができ、その際に、再帰反射素子に接する側に設置された第1鏡面反射層の電気抵抗値が,第1鏡面反射層の背面に設置された第2鏡面反射層の電気抵抗値より小さくないことが好ましい。第2鏡面反射層の電気抵抗値が第1鏡面反射層の電気抵抗値より大きい場合には、反射層をアンテナとして回路を形成した場合に電気抵抗が増大して電波方式認識の良好な再帰反射性集積回路封入製品を供給することが困難となる。また、形成されたアンテナと集積回路との接合も困難となりやすい。
【0027】
また、第1鏡面反射層と第2鏡面反射層とが同じ金属であっても同様の効果が得られる。これは、通常の真空蒸着法などで設置される鏡面反射層は均一な連続した層として設置されず、不連続な層として形成される場合が多いからである。かかる不連続な金属鏡面層は電気抵抗の増大をきたす。
【0028】
しかるに、1つの層で2倍の厚さの鏡面反射層を設置するよりも、第1鏡面反射層と第2鏡面反射層と2層で設置されることにより、不連続な金属鏡面層がより均一な連続した層として形成されやすいからである。これは、再帰反射物品のごとき微細構造をもった構造においては特に重要である。
【0029】
さらに、電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において優れた再帰反射性能を保持した多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品の供給するためには、再帰反射素子に接して設置された第1鏡面反射層がアルミニウムである場合に優れた再帰反射性能と優れた昼間におけるシートの白色度を得るため特に好ましい。
【0030】
本発明に用いることのできる再帰反射素子としては、鏡面反射原理に基づく再帰反射素子が微小ガラス球型およびマイクロプリズム型再帰反射素子を用いることができ、また、鏡面反射原理に基づく微小ガラス球型再帰反射素子が封入型再帰反射素子またはカプセルレンズ型再帰反射素子を用いることができる。
【0031】
本発明の好ましい形態の再帰反射素子であるマイクロプリズム型再帰反射素子は、互いに垂直な3つの反射面をもったマイクロプリズム型再帰反射素子、例えば、三角錐型マイクロプリズム型再帰反射素子、六角形マイクロプリズム型再帰反射素子、テント型マイクロプリズム型再帰反射素子などを用いる事ができる。なかでも、三角錐型マイクロプリズム型再帰反射素子が微小な再帰反射要素を形成しやすく、薄い製品を形成することが容易なために好ましい。
【0032】
これらマイクロプリズム型再帰反射素子は微小ガラス球型再帰反射素子のように金属薄膜層を設置して光をプリズム反射面上で反射する鏡面反射型マイクロプリズム型再帰反射素子が好ましい。
【0033】
微小ガラス球型再帰反射素子は好ましくは直径が30〜500μmで屈折率が1.4〜2.5の微小なガラス球に、焦点距離を調整する樹脂の薄膜層を必要に応じて設置した後に、再帰反射効率を高めるために微小ガラス球の40〜70%の表面面積をたとえばアルミニウムや銀などの金属を真空蒸着法や化学メッキ法などの手段で金属薄膜層を設置して作成することが出来る封入レンズ型を用いることができる。
【0034】
封入型の再帰反射素子の例としては,再帰反射部分を構成する再帰反射素子の直径が30〜500μmの微小ガラス球型再帰反射素子よりなる再帰反射物品が好ましく,表面が平滑で透明な表面保護層により覆われている。30μm未満の直径の反射素子においては,回折効果による光の発散が過大となり再帰反射性能が低下し好ましくなく,500μmを超える直径の反射素子においてはシートの厚さが過大となり好ましくない。
【0035】
さらに、他の微小ガラス球型再帰反射要素としてはカプセルレンズ型再帰反射素子を用いることができる。再帰反射部分を構成する再帰反射素子の直径が30〜500μmの微小ガラス球型再帰反射素子よりなる再帰反射物品が好ましく,表面保護層を構成するプラスチックフイルムは表面が平滑で透明である。封入レンズ型再帰反射物品と同様に30μm未満の直径の反射素子においては,回折効果による光の発散が過大となり再帰反射性能が低下し好ましくなく,500μmを超える直径の反射素子においてはシートの厚さが過大となり,また,形成される像の鮮明度が低下するので好ましくない。
【0036】
本発明に用いるアンテナを形成する方法としては、部分的に金属薄膜層を設置する部分的設置法、金属薄膜層を部分的に除去する部分的除去法および機械的加工法を採用することができる。
【0037】
部分的設置法としては、印刷法、マスク法やリソグラフィー法により、マスクをアンテナを設置するシートの層の上に設置した後に、真空蒸着法、スパッタリング法、電気メッキ法あるいは化学メッキ法などの手段で金属薄膜層を所望するアンテナ形状に多層設置する方法をとることができる。
【0038】
再帰反射物品に部分的設置法によりアンテナを設置する際には、微小ガラス球型再帰反射物品においては微小ガラス球を埋め込み、必要に応じて微小ガラス球型素子及びその上に樹脂の薄膜層を介して設ける微小ガラス球の金属薄膜層を設置する側にマスクを設置した後にアルミニウムを真空蒸着法によって、アンテナと金属薄膜層とを同時に同一の層に設置することができる。この様にして形成したアンテナは再帰反射性能を有している。また、プリズム型再帰反射物品においても同様にプリズムの反射側面にアンテナと金属薄膜層とを同時に同一の層に設置することができる。
【0039】
部分的除去法としては、アンテナを設置するシートの上に真空蒸着法、スパッタリング法、電気メッキ法あるいは化学メッキ法などの手段であらかじめ金属薄膜層を設置した後に、化学エッチング法、ドライエッチング法、レーザー法およびサンドブラストなどの機械的な除去法により、所望するアンテナ形状に金属薄膜層を部分的に除去をする方法をとることができる。
【0040】
再帰反射物品に部分的除去法によりアンテナを設置する際には、微小ガラス球型再帰反射物品やプリズム型再帰反射物品に従来公知の方法でアルミニウム等を真空蒸着法によって金属薄膜層として全面に設置した後に、たとえば、印刷法によりエッチング液をアンテナの形状に部分的に塗布して化学エッチング法によりアンテナを形成し、その後に、エッチング液を中和、水洗する方法をとることが好ましい。
【0041】
化学エッチング液に用いることのできる薬剤としては、各種の酸やアルカリ類を用いることができる。用いることのできる酸類の例としては、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸の水溶液、アルカリ類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液を用いることができる。化学エッチング液の濃度は酸やアルカリの種類、金属薄膜層の厚さやエッチング処理の速度により適宜選択されなければならないが、5〜40重量%が例示できる。
【0042】
化学エッチング処理を印刷法で行う際には、印刷性を改善する目的で粘度調節剤として各種の高分子化合物、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸塩、ポリビニ−ルアルコールおよびヒドロキシエチルセルロース、カルボキシル化メチルセルロースやメチルセルロースなどの各種セルロース誘導体などを加えることが好ましいが、用いることのできる粘度調節剤の種類と濃度は印刷方法や速度により適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0043】
さらに、化学エッチング液には金属薄層との濡れや浸透性を改善する目的で各種の界面活性剤をくわえることが好ましい。用いることのできる界面活性剤の種類は特に制限されるものではないが、アミンタイプ、アンモニウム塩タイプ、ピリジン誘導体などの陽イオン系界面活性剤、また硫酸化油、脂肪酸塩、硫酸化エステル油、アルキル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、さらに多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物などの非イオン系活性剤が好ましい。
【0044】
印刷方法は特に制限されるものではないが、グラビア印刷法、スクリーン印刷法およびインクジェット法が好ましい。また、他の除去法としてドライエッチング法、レーザー法およびサンドブラスト法などの機械的な除去法も採用することが可能である。
【0045】
金属鏡面反射層の連続蒸着処理装置は、真空度が7〜9×10−4mmHg程度に維持できる真空容器、その中に設置された基体シート及びその光入射側表面上に積層された表面保護層からなるプリズム原反シートを繰り出す巻き出し装置、蒸着処理されたプリズム原反シートを巻き取る巻き取り装置、並びにそれらの間にあって、電熱ヒーターで黒鉛坩堝中に置かれたアルミニウムを溶融させることが可能な加熱装置よりなっている。黒鉛坩堝中には純度が99.99重量%以上の純アルミニウムペレットあるいは純銅ペレットが投入され、例えば、交流電圧350〜360V、電流が115〜120A、処理速度が30〜70m/分の条件で、溶融され蒸気化された金属原子によって再帰反射素子の表面に金属薄膜層を例えば0.2〜2μmの厚さでおのおの蒸着処理することができる。
【0046】
また,銀,ニッケルに関しては上記で説明したエッチング法に基づくアンテナ形成方法は適さないが,特に第2鏡面反射層に化学メッキなどで部分的に層を形成する場合には導電性や耐腐食性に優れているので適している。
【0047】
つぎに、本発明による多層鏡面反射層が設置された反射物品に関して図を参照しつつより詳しく説明を行う。
【0048】
図1は本発明による封入型再帰反射物品の断面図を示す。シート上面よりシートを保護する透明な表面層(1)、微小ガラス球(4)を保持する保持層(3)、および表面層と保持層の間に設置された印刷層(2)を示しており、微小ガラス球の背面には再帰反射性能を改善するための焦点調節層(5)が設置されている。これら微小ガラス球と焦点調節層とは再帰反射素子として作用し、焦点調節層の背面には再帰反射を効率的に行うための第1鏡面反射層(6)と第2鏡面反射層(7)とが設置されている。
【0049】
これらの鏡面反射層はアンテナを形成するために露出した形として製品化されてもいいが、上述した部分的鏡面反射層の設置法によりアンテナ回路をあらかじめ設置し回路形成を終えた後に、樹脂製の保護層や接着剤層を設けてもよい。
【0050】
図2は本発明によるカプセルレンズ型再帰反射物品の断面図を示す。シート上面よりシートを保護する透明な表面層(10)、空気層(11)、微小ガラス球(12)、微小ガラス球背面に設置された第1鏡面反射層(13)と第2鏡面反射層(14)、それらを保持する結合剤層(15)、結合剤層を支持する支持層(16)、および接着剤層(17)と剥離剤層(18)が示されている。このカプセルレンズ型再帰反射物品の場合には、微小ガラス球(12)、微小ガラス球背面に設置された第1鏡面反射層(13)と第2鏡面反射層(14)は結合剤層(15)に埋め込まれる必要があるために、あらかじめアンテナ回路が形成された後に結合剤層に埋め込む必要がある。
【0051】
図3は本発明によるマイクロプリズム型再帰反射物品の断面図を示す。シート上面よりシートを保護する透明な表面層(20)、キューブコーナー再帰反射層(22)、その間に設置された印刷層(21)、およびキューブコーナー再帰反射素子の背面に設置された第1鏡面反射層(23)と第2鏡面反射層(24)が示されている。
【0052】
これらの再帰反射物品に用いることのできる樹脂に関しては、国際公開出願WO 02/103629A1に詳細に開示されておりこの公開公報の引用を持って説明にかえる。
【0053】
【発明の効果】
【0054】
本発明の効果は、集積回路モジュールが電波方式認識型集積回路を内蔵しており電波方式認識型集積回路に接続された通信用アンテナが設置されている再帰反射性集積回路封入製品において、通信用アンテナが再帰反射要素の反射面上に形成されている再帰反射性集積回路封入製品の製造にあたり、電気抵抗値の小さな鏡面反射層を再帰反射素子に採用することにより電波方式認識の良好な再帰反射性集積回路封入製品を供給に適した再帰反射物品が得られることにある。
【0055】
本発明の他の効果は、上記電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において優れた再帰反射性能を保持した多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品が得られることにある。
【0056】
本発明のさらなる効果は、上記電気抵抗値の小さな鏡面反射層を保持した反射物品において優れた昼間におけるシートの白色度を維持した多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品が得られることにある。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本発明の詳細を更に具体的に説明するが、本発明は実施例にのみ限定されるものでないことはいうまでもない。
【0058】
<鏡面反射層の厚さの測定>
本発明における鏡面反射層の厚さは,微小ガラス球やマイクロプリズム層のような微細構造上では測定が困難なために,鏡面反射層を設置する際に,厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを層を設置する試料の上において同時に鏡面反射層を設置して,渦電流式膜厚計を用いて測定した。
【0059】
<鏡面反射層の電気抵抗値>
本発明における電気抵抗値は鏡面反射層に用いる金属の固有抵抗値の文献値を採用した。代表的な金属の固有抵抗値(Ωm)は以下の通りであった。
アルミニウム:2.8×10−8
銅:1.7×10−8
銀:1.6×10−8
ニッケル:6.9×10−8
【0060】
<再帰反射係数の測定>
実施例をはじめ本明細書に記載の再帰反射係数は以下で述べる方法で測定されたものである。再帰反射係数測定器として、ガンマーサイエンティフィック社製「モデル920」を用い100mm×100mmの再帰反射物品の再帰反射係数をASTM E810−91に準じて、観測角0.2°、入射角5°の角度条件で、適宜の5個所について測定し、その平均値をもって再帰反射物品の再帰反射係数とした。
【0061】
<色度の測定>
反射シート面の色の測定法としては,JIS Z8722の4.3.1貢の条件aに示される条件,即ち,試料を45度の方向から照射して垂直方向の反射光を受光する照明と受光の幾何学的条件によって行い,標準の光D65下の色をXYZ表色系によって測定した。
【0062】
<比較例1>
日本カーバイド工業株式会社製封入型再帰反射物品”ニッカライトEGグレード”を比較品1として用いた。なお,この比較品1における(第1)鏡面反射層は0.8μmの厚さのアルミニウムを真空蒸着法で設置した。また,後の工程でエッチング法によりアンテナを形成するために鏡面反射層の背面には接着剤を設置せず鏡面反射層が露出したものを比較品1とした。設置した鏡面反射層に用いた固有抵抗値は2.8×10−8である。
【0063】
<実施例1>
比較例1で作成した比較品1を用いて,第1鏡面反射層の背面にさらに真空蒸着法によってさらに厚さ0.8μmの厚さのアルミニウムの第2鏡面反射層を設置した。また,後の工程でエッチング法によりアンテナを形成するために第2鏡面反射層の背面には接着剤を設置せず第2鏡面反射層が露出したものを発明品1とした。第1鏡面反射層と第2鏡面反射層に用いた金属の固有抵抗値は等しく2.8×10−8である。
【0064】
<実施例2>
比較例1で作成した比較品1を用いて,第1鏡面反射層の背面にさらに真空蒸着法によってさらに厚さ0.8μmの厚さの銅の第2鏡面反射層を設置した。また,後の工程でエッチング法によりアンテナを形成するために第2鏡面反射層の背面には接着剤を設置せず第2鏡面反射層が露出したものを発明品2とした。第1鏡面反射層に用いた金属の固有の抵抗値は2.8×10−8,第2鏡面反射層に用いた金属の固有抵抗値は1.7×10−8である。
【0067】
表1に、各試料の性能をまとめて示した。実施例1と実施例2による発明品はシートの外観を示す色度(Y値)が比較品1に比べて大きく、固有抵抗値も小さかった。
【0068】
Figure 0004386682

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による封入型再帰反射物品の断面図
【図2】 本発明によるカプセルレンズ型再帰反射物品の断面図
【図3】 本発明によるマイクロプリズム型再帰反射物品の断面図
【符号の説明】
1 表面層
2 印刷層
3 保持層
4 微小ガラス球
5 焦点調節層
6 第1鏡面反射層
7 第2鏡面反射層
10 表面保護層
11 空気層
12 微小ガラス球
13 第1鏡面反射層
14 第2鏡面反射層
15 結合材層
16 支持体層
17 接着剤層
18 剥離材層
20 表面保護層
21 印刷層
22 キューブコーナー再帰反射層
23 第1鏡面反射層
24 第2鏡面反射層

Claims (3)

  1. 鏡面反射層が設置された再帰反射素子が多数設置された鏡面反射型再帰反射物品において,鏡面反射層が2層以上設置されており,第1鏡面反射層に用いられる金属がアルミニウムであり,第2鏡面反射層に用いられる金属がアルミニウム,銅,銀,ニッケルより選ばれる、再帰反射素子に接する側に設置された第1鏡面反射層の電気抵抗値が,第1鏡面反射層の背面に設置された第2鏡面反射層の電気抵抗値より小さくないことを特徴とする多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品。
  2. 鏡面反射原理に基づく再帰反射素子が微小ガラス球型およびマイクロプリズム型再帰反射素子である請求項に記載の多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品。
  3. 鏡面反射原理に基づく微小ガラス球型再帰反射素子が封入型再帰反射素子またはカプセルレンズ型再帰反射素子である請求項1または2に記載の多層鏡面反射層が設置された再帰反射物品。
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