JP4385939B2 - 樹脂被覆ニグロシン染料(d)の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子複写機、レーザービームプリンター等における静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用乾式トナー特に、帯電性、分散性、環境安全性に優れた、正帯電用トナーに好ましく用いられる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法に関する。
従来、電子写真感光体や静電記録体などの静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像する方法としては、大別して、微細トナーが電気絶縁性液体に分散された液体現像剤を用いる方法(湿式現像法)および結着樹脂中に着色剤あるいは磁性粉体等が分散されたトナーを用いる方法(乾式現像法)の二方法が知られている。乾式現像法では、キャリア粒子とトナーとからなる二成分系現像剤を用いる方法およびトナーのみからなる一成分系現像剤(通常は磁性トナー)を用いる方法が知られている。
これら乾式現像法に用いられる静電荷像現像用乾式トナーは、通常、スチレン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂などを結着樹脂として用い、これに染料、顔料などの着色剤を混練し、冷却した後、粉砕、分級工程を経て製造される。静電荷像現像用乾式トナーの粒径は、通常1〜30μm程度の平均粒径を有する。磁性トナーの場合には更にマグネタイト等の磁性粉体が用いられる。また、二成分系現像剤で用いられるキャリア粒子としては、必要により疎水性樹脂で被覆された、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどが用いられる。
上記の如き静電荷像現像用乾式トナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を保持することが必要とされる。静電荷像現像用乾式トナーに電荷を保持させるには、トナー成分である結着樹脂などの摩擦帯電性を利用することもできるが、これのみでは通常帯電量が小さく、また極性も安定しないため、現像によって得られる画像はカブリが生じ易く、また不鮮明なものとなる。このため、トナーに望ましい帯電特性を付与するため、さらに荷電制御剤と呼ばれる物質がトナーに添加されるのが一般的である。
良好な正帯電性を得るための荷電制御剤として、ニグロシン染料が使用されていることは周知の通りである。ニグロシン染料は安定した正帯電性を有し、多くの正帯電性トナーの荷電制御剤として用いられている。(例えば非特許文献1参照)
またニグロシン染料を乾式で粉砕機にて粉砕することにより、平均粒径5μm以下に粉砕されたニグロシン染料を用いることにより帯電性、画像特性を改善することも検討されて来ている。(例えば特許文献1、2、3等参照)
しかしながら、これまでの乾式粉砕法によるニグロシン染料の粉砕では、粉砕が可能な粒度分布には限界があり、平均粒径1〜2μm程度にすることが限界であった。また粒度分布をシャープに均一にすることは困難であり、3μmを超える粗粒子が残存してしまい、実質的に平均粒径1〜2μmの粒径の効果はなく、トナー中に好ましく分散、配合することは困難であるのが現状である。
また荷電制御剤(具体的にはアゾ系金属錯体)を湿式法により、0.7μm以下に粉砕し、粉砕された粒子をトナー粒子表面に固着させることにより、良好な画像特性が得られることが開示されている。(例えば特許文献4等参照)
しかしながらトナー中に内添する場合は、超微粉(0.2μm以下の粒子)の存在により凝集が生じたり、均一な分散を施すことが困難であった。
また、ニグロシン染料はその製造工程において、原料としてアニリン、ニトロベンゼンを多用するため、製造後もニグロシン染料中にアニリンが残存しているのが現状である。実際に、ニグロシンベース中に2000ppm以上の未反応のアニリンが残存している。
これまでの検討の中で、ニグロシン染料中のアニリンを低減するニグロシン染料をつくり好ましい結果を得てきたが、粒子径を小さくすることが困難であり、トナー用荷電制御剤として必ずしも満足の行く結果とは言えないものであった。(例えば特許文献5、6等参照)
またトナーの小粒径化が検討されていく中で現状以上に小粒径化、微細化された荷電制御剤が求められている。また小粒径トナーでなくとも、荷電制御剤の小粒径化により良好な帯電安定性、帯電減衰を阻止することの効果も期待できるものである。そして添加量を少なくして十分な帯電付与を施すことのできる荷電制御剤を用いることも好ましいことである。
「電子写真技術の基礎と応用」コロナ社、1988年6月15日、P.480 特開昭60−118851号公報 特開平1−219848号公報 特開平3−15767号公報 特開2002−23418号公報 特開平6−230611号公報 特開2002−311652号公報
このように、ニグロシン染料は従来より広く用いられている優れた正帯電用の荷電制御剤であるが、種々の問題も有している。これらの問題を解決し、環境安全性、良好な帯電安定性、帯電保持性、少量の使用で十分な荷電制御効果を有することが要望されている。
このような現状に鑑み、本発明の目的は、良好な帯電安定性、帯電保持性(放置による帯電減衰を起こさない)に優れる乾式トナーに好ましく用いられる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、少量の荷電制御剤の使用で十分な帯電安定性、良好な画像特性を有する乾式トナーに好ましく用いられる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、環境安全性に優れる乾式トナーに好ましく用いられる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、ニグロシン染料(A)を湿式粉砕し、特定の平均粒径の微細化ニグロシン染料のスラリー(B)を得た後、係るスラリー(B)と常温固体の樹脂(C)とを加熱混練しながら溶媒を除去して得られる樹脂被覆ニグロシン染料(D)より、上記目的が達成できることを見い出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、次の(1)〜(6)の発明に関する。
(1)ニグロシン染料(A)を湿式粉砕し、体積平均粒径が0.2〜2.0μmとなるように微細化したニグロシン染料のスラリー(B)を得た後、次いで係るスラリー(B)と常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後、溶媒を除去して得られる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法である。
(2)樹脂被覆ニグロシン染料(D)中のアニリン含有量が500ppm以下であることを特徴とする(1)記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法である。
(3)湿式粉砕を行う装置が、媒体攪拌式ミルであることを特徴とする(1)または(2)いずれかに記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法である。
)ニグロシン染料(A)がニグロシンベースであることを特徴とする(1)〜()いずれかに記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法である
本発明の製造方法で得られた樹脂被覆ニグロシン染料(D)を用いた静電荷像現像用乾式トナーは、荷電制御剤として、湿式粉砕により微細化され、フラッシング法により得られたニグロシン染料を含む樹脂被覆ニグロシン染料を用いているため、トナー粒子中に均一に分散、分配配合され、良好な正帯電性、帯電安定性を得ることができる。また従来用いられているニグロシン染料と比して格段に小粒径のものであることから、少ない添加量でも十分な正帯電性を得ることが可能である。さらに湿式の粉砕処理、フラッシング処理を経ることによりニグロシン粒子は微細化、整粒され均一な粒子として樹脂中に分散することから、トナー中への均一な分散性、配合性に寄与しているものである。
また湿式中で粉砕を行った後、フラッシング処理を行うことにより、ニグロシン中に残存する未反応原料であるアニリンを効率よく除去することができ、環境安全性の観点からも好ましい荷電制御剤となるものである。さらに、微細化され、かつアニリンが低減されることにより、トナーに対して帯電の立ち上がりが速くかつ長期放置による帯電減衰のない安定な正帯電性を付与することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
上記するように、本発明の静電荷像現像用乾式トナーの荷電制御剤である樹脂被覆ニグロシン染料(D)は、ニグロシン染料(A)を原料として、湿式粉砕を行い、体積平均粒径が0.2〜2.0μmとなるように微細化し、得られたスラリー(B)と常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後、溶媒を除去することにより得られるものである。
本発明において湿式粉砕を行うことの大きな目的は、ニグロシン染料を微細化、均質化し荷電制御剤としての帯電付与能力を格段に向上させることにある。またさらに粗大粒子を低減し結着樹脂中への荷電制御剤の分散性、配合性を高めることにもある。そして、更に微細化されたニグロシン染料のスラリーと常温固体の樹脂とを加熱混練し、フラッシングを行い溶媒を除去することにより、微細化ニグロシン染料が好ましく分散された樹脂被覆ニグロシン染料を得るとともに、ニグロシン染料中に残存するアニリンを除去することにある。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーに好ましく用いられる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の原料であるニグロシン染料(A)は、以下の製造法により得られるニグロシンベース或いはニグロシンベースを含有する組成物であるニグロシン染料、または市販のニグロシンベースの製品或いはニグロシンベースを含有する組成物であるニグロシン染料の製品を使用することができる。
本発明においては、湿式粉砕を経てニグロシン染料(A)を微細化することが重要であり、湿式粉砕を行うことから、原料として優れた耐水性、耐油性を有することが必須であるため、ニグロシンベース及びニグロシンベースを含有する組成物を用いる必要がある。ベース化を施していない親水性を有する粗製ニグロシンでは水、低級アルコールに対する溶解性が大きいため、湿式粉砕による微細化が困難であるだけでなく、耐水性、耐油性に劣ることからもトナー用荷電制御剤の用途として好ましいものではない。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーに用いるニグロシン染料(A)は、原料としてアニリン、アニリン塩酸塩を塩化鉄、鉄及び塩酸の存在下にニトロベンゼンで160〜180℃の条件で酸化して反応させることにより粗製ニグロシンを得た後に、アルカリ水溶液を加えて中和し、染料アニリン相を分取し、その後アルカリでベース化処理し、水洗、ろ過し、乾燥、粉砕して製造されるものである。ニグロシン染料はベース化されることにより、水に不溶となり、湿式粉砕を行う上で好ましいものとなる。またベース化処理を行う際は、粗製ニグロシンにアルカリ水溶液とともにアニリンを再度加えるとニグロシン粒子の整粒がなされ好ましい。
ニグロシン染料(A)は効率良く湿式粉砕を行うために体積平均粒径5〜30μmに粉砕されていることが好ましい。また湿式粉砕を行う前のニグロシン染料(A)の平均粒径については、ベックマンコールター社製マルチサイザー(アパチャー100μm)を用いて測定した。
本発明においては、ニグロシン染料(A)として、市販のニグロシンベース、ニグロシン染料を原料として用いることも可能である。具体的にはSolvent Black 7に分類される化合物を含有する、オリエント化学社製ボントロンN−01,N−04,N−07、ニグロシンベースEX、中央合成化学社製CHUO CCA−1、CCA−2、CCA−3等をあげることができる。
微細化されたニグロシン染料のスラリー(B)を得るために使用することのできる湿式粉砕機としては、粉砕媒体を使用するものであり、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌式ミルがあげられる。容器駆動媒体ミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、遠心流動化ミル等があり、また媒体攪拌式ミルとしては、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル(横型、縦型)、アニューラーミル等があげられる。
上記いずれの装置においても、湿式粉砕によるニグロシン染料の微細化は可能であるが、中でも、媒体攪拌式ミルを用いることが生産性、粉砕能力、粒度分布の制御等の点から好ましく、更にはその中でも、密閉型、水平型のマイクロビーズを充填しメディア(媒体)として用いる、横型の流通槽式ミルに分類される湿式粉砕機を用いることが、精密な湿式粉砕、分散を行う上で好ましい。
具体的には、WAB社(シンマルエンタープライゼス社)製、ダイノーミル(DYNO−MILL)等があげられる。これは、水平型の湿式粉砕機は分散メディアが重力の影響をほとんど受けないため、粉砕機内で理想に近い均一な分布を得ることができる。また完全密閉型の構造を有することから泡立ちや溶剤の蒸発による収支の欠損がなく安定した粉砕処理が可能である。
本発明に用いる湿式粉砕機においては、粉砕性を決定づける大きな要因としては、粉砕メディアの種類、粉砕メディアの粒径、粉砕機内の分散メディアの充填率、アジテーターディスクの種類、粉砕される試料の溶液濃度、溶媒の種類等があげられる。中でも粉砕メディアの種類、メディアの粒径が粉砕性に大きく寄与するものである。
粉砕メディアの種類としては、荷電制御剤の粘度、比重及び粉砕、分散の要求粒度に応じて、ガラスビーズ(SiO2 70〜80%、NaO 12〜16%等)、ジルコンビーズ(ZrO2 69%、SiO2 31%)、ジルコニアビーズ(ZrO2 95%以上)、アルミナ(Al23 90%以上)、チタニア(TiO2 77.7%、Al23 17.4%)、スチールボール等が使用可能であるが、中でも良好な粉砕性を得るためには、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズを用いることが好ましい。
また粉砕メディアの粒子径(直径)は0.1mm〜3.0mmの範囲において使用可能であるが、中でも0.3〜1.4mmの範囲であることが好ましい。0.1mmよりも小さいと、粉砕機内の負荷が大きくなり、発熱によりニグロシン染料が溶融してしまい粉砕が困難になってしまい、また3.0mmよりも大きいと、十分な粉砕を行うことができない。分散メディアの充填率は、60〜85%であることが好ましい。85%を超えてしまうと、粉砕機内の負荷が大きくなり、発熱によりニグロシン染料が溶融してしまい粉砕が困難になってしまい、また60%以下になってしまうと、粉砕効率が低下してしまい微細化が困難になってしまう。またスラリー中のニグロシン濃度が高い場合(40〜50%の濃度)は充填率を60〜70重量%とするとよい。
また、本発明に好ましく使用される湿式粉砕機内部のアジテーターディスクも粉砕性を制御する上で重要なものである。ディスクの周速は、4〜16m/sであることが好ましく、4m/sよりも小さいと粉砕に時間がかかってしまい、16m/sよりも大きいと粉砕メディア(媒体)の接触により発熱してしまい、ニグロシン染料が融着してしまい好ましくない。アジテーターディスクの材質としては、焼入鋼、ステンレススチール、アルミナ、ジルコニア、ポリウレタン、ポリエチレン、エンジニアリングプラスティックなどを用いることが可能であるが、中でも、ジルコニアを用いることが好ましい。
また湿式粉砕機内壁のグライディングシリンダーの材質としては、特殊焼入鋼、ステンレススチール、アルミナ、ジルコニア、ZTA、ガラス、ポリエチレン等があげられる。中でもZTAと称されるジルコニア強化アルミナセラミックスを用いることが好ましい。
湿式粉砕において用いる溶媒は、ニグロシン染料に対して不溶性であり、アニリン、ニトロベンゼンを溶解せしめることが可能な溶媒であることが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数3以下の低級アルコールを用いることが好ましい。一方、炭素数4以上のアルコールを用いた場合、ニグロシン染料が溶解してしまう場合があり好ましくない。
さらに湿式粉砕においては、溶媒は粉砕助剤として機能するものであり、粉砕助剤としても炭素数3以下の低級アルコールは好ましいものである。
またニグロシン染料(A)は上記溶媒100重量部に対し、5〜50%程度の割合で添加しスラリーを作製し、粉砕処理を行うことが好ましい。スラリー中のニグロシン染料の濃度が5%よりも小さいと粉砕効率が悪く、また50%を超えると、メディアの充填率を下げたとしても粉砕の負荷が大きくなってしまい、粉砕機内でニグロシン染料の融着が生じてしまう場合がある。
ここでニグロシン染料(A)を分散したスラリーは、湿式粉砕機に投入され粉砕がなされるが、このとき粉砕機における温度は、ニグロシン染料スラリーの粘度の上昇、流動性の低下を防ぐため冷却し40℃以下に抑えることが好ましい。40℃を超える温度で粉砕を行うと粉砕機中のニグロシン染料が凝集してしまい好ましくない。
湿式粉砕においては、粉砕時における液体が粉砕助剤的な役割を果たすものであり、従来行われている乾式の粉砕と比べて非常に優れた粉砕性を有するものである。湿式粉砕を行うことにより、乾式粉砕よりも小粒径化が可能となり、また粒度分布も均一でシャープなものとなる。またさらに整粒作用を有することにより、粒子の形状が均一になり、トナー中へ均一に分散を施すことが可能となる。
湿式粉砕が乾式粉砕と比べてこのような好ましい効果を示す理由は、液体がニグロシン染料粒子の表面を濡らすことによって、粒子表面の表面エネルギーを低下させて粒子強度を低下させることと、液体が粒子相互の凝集作用を抑制して系内で粉砕された粒子が均一な分散状態を保ち、粉砕の効率が向上することの2つの要因がある。
湿式粉砕機を経てニグロシン染料(A)は微粉砕され、微細化されたニグロシン染料のスラリー(B)が得られる。そしてスラリー(B)中の微細化されたニグロシン染料の体積平均粒径は0.2〜2.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.8μmの範囲である。また更に最適な帯電性を得ることを考慮すると0.8〜1.8μmの範囲である。0.2μmよりも小さいと、凝集が生じ分散不良を起こしてしまう。また2.0μmよりも大きいと、良好な均一で安定した帯電特性を得ることが困難になり、効果が得られなくなってしまう。そして実質的に3μmを超える粒子を有しないことが好ましい。湿式粉砕で粉砕を行うことにより、均一な粉砕を行うことができるため粒度分布はシャープなものとなり、乾式で行うような粗大粒子が発生することは極めて少ない。
さらに樹脂被覆ニグロシン染料(D)は、常温固体の樹脂(C)と前記微細化したニグロシン染料のスラリー(B)とをフラッシング法により加熱混練、溶媒除去することにより得ることができる。
このとき、微細化したニグロシン染料のスラリー(B)中に含まれるニグロシン染料の含有量は5〜50%であることが好ましい。5%よりも小さいと溶媒除去の効率が悪く、50%よりも大きいとフラッシングにおいて樹脂中に均一に分散することが困難になってしまう。
本発明における樹脂被覆ニグロシン染料(D)は、一例として以下のようにして得ることができる。微細化したニグロシン染料のスラリー(B)を、ニーダー若しくはスーパーミキサー等の混合分散機に移し、常温固体の樹脂(C)、必要に応じてその他の各種添加剤等を加えて混合攪拌を行う。この時に必要に応じて加熱してもよい。微細化ニグロシン染料分が樹脂に移行した後、分離した溶媒をデカンテーションにより除去し、残った混練物を必要に応じて2本又は3本ロールを使用して溶媒を除去し、樹脂被覆ニグロシン染料(D)を得ればよい。
またフラッシング法を用いることによりニグロシン染料中の残存アニリンを低減することができる。そして樹脂被覆ニグロシン染料(D)中のアニリン含有量としては500ppm以下に抑えることが帯電経時安定性を得る上で好ましい。より好ましくは300ppm以下である。
常温固体の樹脂(C)、即ちフラッシングに用いることのできる樹脂として用いることができるものは、ロジン変性マレイン酸樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン・エステル、ロジン等を挙げることが出来る。中でもロジン変性マレイン酸樹脂、キシレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。また後述する結着樹脂と同一の組成の樹脂を用いることも好ましいものである。
また樹脂被覆ニグロシン染料(D)は、未処理のニグロシン染料と比べて微細化され、かつアニリンが低減されることにより、良好な帯電性、帯電の速い立ち上がり、安定性を得られるだけでなく、グロス性があり艶のある黒色を呈し、トナー中の着色剤を補助する如き、着色助剤として働く効果をも有している。これは、湿式粉砕によりニグロシン染料の比表面積が増大することにより、黒色度が高くなることによるものであると考えられ、黒トナーの画質の改善にも寄与するものであり本発明の静電荷像現像用乾式トナーの好ましい特徴でもある。
樹脂被覆ニグロシン染料(D)中に含まれるニグロシン染料の含有量は10〜80重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは30〜70重量%の範囲である。10重量%よりも少ないと荷電制御剤としての効果が得られにくく、また80重量%よりも多くなると樹脂中への分散が困難であるだけでなく、フラッシング時の溶媒除去が困難になり生産性が悪くなってしまい、またニグロシン中の残存物であるアニリンの除去が困難になってしまう。
樹脂被覆ニグロシン染料(D)のトナー中への使用量は、目的とするトナーの性能、樹脂被覆ニグロシン染料(D)中のニグロシンの含有量によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対して0.3〜10重量部で用いられ、0.5〜5重量部が優れた正帯電性を保持させる上で好ましい。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーでは、本発明の目的を損なわない範囲で、ニグロシン染料以外の荷電制御剤を用いることができる。
ニグロシン染料以外の正帯電性荷電制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として公知慣用の第4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルベンジルアンモニウムテトラフルオロボレート)、ジオルガノスズオキサイド(例えば、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド)、ジオルガノスズボレート(ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート)、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物、脂肪酸金属誘導体等が使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性荷電制御剤としてニグロシン染料と併用できる。
また、用途によっては、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電性荷電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性荷電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはスルホニル基を含有する樹脂、等が挙げられる。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーに用いられる結着樹脂は、従来静電荷像現像用乾式トナーの結着樹脂として公知のものであればいずれも用いることができる。使用することのできる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその誘導体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体などのスチレン−スチレン誘導体共重合体;スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などがあげられる。
これらのなかでも、スチレン単重合体、スチレン−スチレン誘導体共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、ポリエステル樹脂が特に好ましいものである。
スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルなどがあげられる。
また架橋されたスチレン系共重合体も好ましく用いることのできる結着樹脂である。架橋されたスチレン系共重合体を製造するためにスチレンと共に用いられるコモノマーとしては、上記スチレン誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチルなどの二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは2種以上用いられる。
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。これら架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度、より好ましくは0.03〜3重量部程度の量で用いられる。
また、結着樹脂は、GPCにより測定される分子量分布で3×103〜5×104の領域に少なくともひとつのピークを有し、105以上の領域に少なくとも一つのピークあるいはショルダーを有するスチレン系共重合体が定着性の点から好ましい。このような分子量分布を有する結着樹脂は、平均分子量が異なる二種以上の樹脂を混合することによって製造することができるし、上記架橋剤を用いて架橋樹脂とすることにより製造することもできる。
なお、上記GPCによる分子量分布は、例えば次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THFに溶解した試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。例えば、昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguar
dcolumnの組み合わせをあげることができる。
また測定用サンプルは以下のようにして作成する。すなわち、試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、充分に振とうし、試料の合一体がなくなるまでTHFと良く混合し、さらに12時間以上静置する。この時、THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製等が利用できる)を通過させたものをGPC測定用サンプルとする。また、サンプル濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
なお、ビニル重合体の製造に当たっては重合開始剤が用いられるが、重合開始剤としては、従来公知のものの何れも用いることができる。重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどが通常好ましく用いられる。開始剤のビニルモノマーに対する使用割合は、0.2〜5重量%が一般的である。重合温度は、使用するモノマーおよび開始剤の種類に応じ適宜選定される。
また、ポリエステル樹脂も本発明の静電荷像現像用乾式トナーの結着樹脂として好ましく使用されるものである。ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェニールA、ビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類が挙げられる。
酸成分としては二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が挙げられ、三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
好ましいアルコール成分は、ビスフェノール誘導体であり、好ましい酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類である。
さらに、加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結着樹脂の使用が可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンなどがあげられる。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーにおいては、着色剤を使用することが好ましい。黒色トナーにおいては、微細化されたニグロシン染料を含むことで黒色のトナーを得ることは可能ではあるが、カーボンブラック等の着色剤を用いることにより、良好な静電荷像現像用乾式トナーを得ることができる。カーボンブラックは着色剤のみならず、トナー中の抵抗を調整する役割をも果たしており、カーボンブラックを用いることにより、画像の品質を改善することができる。即ち、より高濃度の画像を得ること、画像上のカブリを低減すること、トナーの機内飛散を防止すること等があげられる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラックのいずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボンの方が微細化ニグロシン染料とともに用いた場合に、分散性は好ましく、画像のカブリも少なくなるという結果は得られている。
またBET法による比表面積の値が、30〜300m2 /gのものを用いることによりより好ましい画像を得ることができる。特に樹脂被覆ニグロシン染料(D)とともに用いることにより、画像濃度が高く安定し、カブリ、機内飛散の問題のない良好な品質のトナーを得ることができる。
カーボンブラックのBET法による比表面積が300m2 /gを超えるものを用いると、結着樹脂中への分散、分配が困難になり、カブリが増大して、かつトナーの機内飛散が増大して行く傾向があり複写画像の品質が悪化してしまう場合がある。特に高温高湿環境では顕著にかぶりが生じ、機内中のトナー飛散が生じてしまう場合がある。また比表面積が30m2 /gより小さいものを用いると、着色剤の粒子がトナー粒子に十分な着色を行うことが困難になり、トナーとして所望の画像濃度を得ることができなくなる場合がある。
また、本発明の静電荷像現像用乾式トナーを、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉体が内添される。これらトナーに内添される磁性粉体としては、従来磁性トナーの製造において使用されている強磁性の元素を含む合金、酸化物、化合物等の粉体の何れのものも用いることができる。
これら磁性粉体の例としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金の粉体、およびこれら粉体の混合物が挙げられる。これらの磁性粉体は、平均粒径が0.05〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。また、磁性粉体のトナー中の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、約5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部である。また、トナーの飽和磁化としては、15〜35emu/g(測定磁場 1キロエルステッド)が好ましい。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーにおいては、磁性粉体は、着色剤としても機能するものであり、磁性粉体を用いた場合には、他の着色剤を用いなくてもよいが、必要であれば例えば、前記述べたカーボンブラック、銅フタロシアニン、鉄黒などをともに用いてもよい。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーにおいては、離型剤を用いることができる。離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の群の中から選ばれた離型剤が用いられる。
上記離型剤は結着樹脂中に均一に好ましく分散、分配配合することが困難である。このため、これらの離型剤を用いる際は以下のような処理を施した上でトナーを製造することが好ましいものである。
(1)結着樹脂の製造時に予め離型剤を混合し、離型剤含有の結着樹脂を得ること。
(2)離型剤を10μm以下に粉砕した後に、結着樹脂等と混合しトナーを製造する。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーには、さらに必要に応じて滑剤、流動化剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等、トナーの製造にあたり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができる。これら添加剤の例としては、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが、研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムおよびこれらを疎水化処理したものなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどが挙げられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーにおいては、流動化剤として、疎水化処理されたシリカ、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物微粉体を外添剤として含有することが好ましい。これら微粉体の疎水化処理は、シリコンオイルやテトラメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシランなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。疎水化処理されたシリカなど疎水化微粉体の使用量は、現像剤重量当り、0.01〜20%、好ましくは0.03〜5%である。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーの粒径は、体積平均粒径が1〜30μm、好ましくは3〜15μmであることが望ましい。樹脂被覆ニグロシン染料(D)中には、従来用いられているニグロシン染料よりも細かい粒子が存在しているため、小粒径トナーにおいても非常に好ましい分散性、分配、配合性を得ることができるものである。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンター(マルチサイザー)を用いて測定することができる。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーは、従来から公知のトナーの製造方法を用いて製造することができる。一般的には、上述したようなトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合したのち、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機を用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法が好ましい。しかし、トナーの製造法はこの方法に限られるものではなく、結着樹脂溶液中に他のトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥する方法、所謂マイクロカプセル法によりトナーを製造する方法、結着樹脂を形成する単量体に所定材料を混合し、乳化あるいは懸濁重合を行いトナーを得る重合法トナー製造法など他の方法も任意に採用することができる。
さらに、必要に応じ、分級されたトナーと外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分に混合し、篩い工程を経て、本発明の静電荷現像用乾式トナーを製造することができる。
本発明の静電荷像現像用乾式トナーは、キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。本発明の乾式トナーとともに用いることのできるキャリアとしては、従来公知のキャリアであればいずれであってもよい。使用することができるキャリアとしては、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体等、あるいはこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物があげられる。これらのなかでは、スペントトナーの形成が少ないためフッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂が特に好ましい。またキャリアの重量平均粒径は30〜100μmの範囲であることが好ましい。
荷電制御剤製造例
[ニグロシン染料(A)ニグロシンベースの製造例]
アニリン、アニリン塩酸塩を塩化鉄、鉄及び塩酸の存在下にニトロベンゼンで160〜180℃の条件で酸化、反応させることにより粗製ニグロシンを得た。さらに粗製ニグロシンを中和した後にアニリン、水酸化ナトリウム溶液を加えベース化処理を行い、スクリューデカンタの遠心分離によりニグロシンと水酸化鉄の沈殿物に分離し、水酸化鉄の沈殿物を除去した後、得られた液を水洗した。水洗後、残存するニトロベンゼン、アニリンを除去するために、さらにメタノールを添加して60℃に加熱しながら攪拌、洗浄した後、ろ過、乾燥を行い、ジェットミルにて体積平均粒径7μmに粉砕を行いニグロシンベースAを得た。またこのときのアニリンの含有量は2500ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例1]
上記得られたニグロシンベースA(アニリン量2500ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースAを分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースAを分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を15分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 1.25mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
15分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー1を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が1.28μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー1 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
ロジン変性マレイン酸樹脂 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料1(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は150ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例2]
上記得られたニグロシンベースA(アニリン量2500ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースAを分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースAを分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を8分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 1.25mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
8分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー2を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が1.75μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー2 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
ロジン変性マレイン酸樹脂 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料2(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は100ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例3]
上記得られたニグロシンベースA(アニリン量2500ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースAを分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースAを分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を15分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 0.5mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
15分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー3を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が0.30μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー3 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
ロジン変性マレイン酸樹脂 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料3(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は250ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例4]
市販のニグロシンベースCHUO CCA−1(中央合成化学社製、アニリン量2000ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースCCA−1を分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースCCA−1を分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を15分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 1.25mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
15分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー4を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が1.35μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー4 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
スチレン−アクリル酸ブチル共重合体 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料4(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は100ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例5]
上記得られたニグロシンベースA(アニリン量2500ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースAを分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースAを分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を30分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 0.5mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
30分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー5を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が0.15μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー5 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
ロジン変性マレイン酸樹脂 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料5(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は350ppmであった。
[樹脂被覆ニグロシン染料製造例6]
上記得られたニグロシンベースA(アニリン量2500ppm)800g、メタノール2000gをビーカーに秤量し、十分に攪拌、混合し、メタノール溶液中にニグロシンベースAを分散させた。(スラリー濃度は28.5wt.%)このニグロシンベースAを分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を8分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 1.5mm,充填率 60%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
8分間湿式粉砕を行った後、微細化ニグロシン染料のスラリー6を得た。粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が2.50μmであった。
次いで、フラッシング工程に移る。
微細化ニグロシン染料のスラリー6 100重量部
(ニグロシン濃度 28.5wt.%)
ロジン変性マレイン酸樹脂 30重量部
上記原料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃に加熱しながら混合したところ、約10分でニグロシン染料が樹脂に移行(フラッシング)した。分離したメタノールをニーダーから除去した後、樹脂被覆ニグロシン染料6(ニグロシン含有量48.7%)を得た。またこのときのアニリンの含有量は110ppmであった。
微細化したニグロシン染料のスラリー(B)の粒度分布は、マイクロトラック粒度分析計UPA150(日機装社製)を用いて行った。このときの測定条件は以下の通りであった。
Transparent Particles : Yes
Spherical Particles : Yes
Part Reflective Index : 1.50
Part. Density : 1.00 g/cm3
Fluid : Methanol
Fluid Refractive Index: 1.33
測定時間 : 180s
また平均粒径についてはD50、累積50パーセント径(体積分布)を平均粒径の指標とした。
樹脂被覆ニグロシン染料(D)中に含まれるアニリン含有量の分析は、ガスクロマトグラフ アジレント(ヒューレットパッカード)6890型を用いて行った。その際の条件は、カラム HP−INNOWAX、温度 50〜240℃(15℃/min)であり、試料をエタノールに溶解、10mlに定容し、試料液をそのままGC中に注入した。また基準試料として、アニリン10ppmの標準溶液を調整し、アニリンの含有量を定量した。
スチレン−アクリル酸nブチル共重合体 56重量部
磁性酸化鉄 40重量部
樹脂被覆ニグロシン染料1 2重量部
低分子量ポリプロピレンワックス(平均粒径8μm) 2重量部
をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸加熱混練機にて、溶融混練を行い、冷却後チップを得、サンプルミルにて1mm以下に粗砕しチップを得た。次いで、ジェットミル粉砕機にて微粉砕し、分級した後、体積平均粒径10.5μmのトナー母粒子を得た。このトナー母粒子100重量部に対し、疎水性シリカ(アエロジルR972)0.3重量部、タングステンカーバイト(日本新金属社製WC−10)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合した後、篩工程を経て正帯電性磁性トナーを得た。
さらにこの正帯電性磁性トナーを用いて、市販のアナログ複写機(キヤノン社製NP−2120)を用いて実写テストを行い、画像濃度(初期及び50000枚後の値)、カブリ(初期及び50000枚後の値)、機内飛散の評価を行ったところ良好な結果が得られた。更に50000枚後の状態で14日間放置した後の画像確認を行ったところ帯電減衰による画像濃度低下、カブリの増大等も見られず良好な結果であった。このときの結果を表1に示す。
ここで、画像濃度はマクべス光度計を用いて行った。1.35以上の濃度であればよい。カブリについては、フォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.5%以下が良好な値である。また、トナーの機内飛散は、複写機の転写チャージャー上に飛散トナーが存在するか否かを確認することにより行った。転写チャージャー上にトナー飛散がみられる場合、これに伴う画像汚れが発生する。
[実施例2〜4,比較例1〜2]
表1に記載の樹脂被覆ニグロシン染料2〜6を用いる以外は実施例1と同様に正帯電性磁性トナーを得て、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004385939
[実施例5]
スチレン−アクリル酸nブチル共重合体 89重量部
カーボンブラック(ファーネスカーボン,比表面積45m2/g) 7重量部
樹脂被覆ニグロシン染料1 2重量部
低分子量ポリプロピレンワックス(平均粒径8μm) 2重量部
をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸加熱混練機にて、溶融混練を行い、冷却後チップを得、サンプルミルにて1mm以下に粗砕しチップを得た。次いで、ジェットミル粉砕機にて微粉砕し、分級した後、体積平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得た。このトナー母粒子100重量部に対し、疎水性シリカ(アエロジルRA200HS)0.3重量部、タングステンカーバイト(日本新金属社製WC−10)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合した後、篩工程を経て正帯電性非磁性トナーを得た。
さらにストレートシリコーン樹脂(東レダウコーニング社SR2411)で被覆したCu−Znフェライトキャリア(同和鉄粉社製DFC−100)を用いて、トナー濃度4.5%で現像剤を作製し、市販のアナログ複写機(シャープ社製SF−2030)を用いてこの現像剤と上記正帯電性非磁性トナーの画像試験を用いて実写テストを行い、画像濃度(初期及び80000枚後の値)、カブリ(初期及び80000枚後の値)、機内飛散の評価を行ったところ良好な結果が得られた。更に80000枚後の状態で、14日間放置した後の画像確認を行ったところ帯電減衰によるカブリの増大、機内飛散等も見られず良好な結果であった。このときの結果を表2に示す。
Figure 0004385939
[実施例6〜8,比較例3〜4]
表2記載の荷電制御剤2〜6を用いる以外は実施例5と同様に正帯電性非磁性トナーを得て、評価を行った。結果を表2に示す。
本発明の樹脂被覆ニグロシン染料は、電子写真方式の乾式現像剤、トナーを用いる複写機、プリンター等において好ましく利用でき、またトナー中のニグロシン染料が微細化されているため少量の添加で好ましい帯電コントロールができること、残存するアニリンの含有量が低減されていることから、環境対策トナーとして好ましく利用されるものである。

Claims (4)

  1. ニグロシン染料(A)を、炭素数3以下の低級アルコールである溶媒中で湿式粉砕し、体積平均粒径が0.2〜2.0μmとなるように微細化したニグロシン染料のスラリー(B)を得た後、次いで係るスラリー(B)と常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後、溶媒を除去して得られる樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法
  2. 樹脂被覆ニグロシン染料(D)中のアニリン含有量が、500ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法
  3. 湿式粉砕を行う装置が、媒体攪拌式ミルであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法
  4. ニグロシン染料(A)が、ニグロシンベースであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の樹脂被覆ニグロシン染料(D)の製造方法
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