JP4385918B2 - スケジュール情報作成用のプログラム、情報処理装置、およびスケジュール情報の作成方法 - Google Patents

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Description

この発明は、コンピュータを制御主体とする情報処理装置において、その装置で送信または受信した電子メールの文書情報を用いてスケジュール情報を自動的に作成する技術に関する。
近年の携帯電話やPDAなどの情報処理装置には、電子メールの送受信用のアプリケーション(メーラー)や、スケジュール管理用のアプリケーション(スケジューラー)が含まれている。また、この種の情報処理装置において、メーラーが送受信したメールの文書情報からスケジュールに関する情報を抽出してスケジュール情報を作成し、作成したスケジュール情報をスケジューラーに入力するようにしたアプリケーションも、既に提案されている(特許文献1参照。)。
特開平11−289568号公報
上記の特許文献1には、電子メールの文書情報を形態素解析などにより解析してスケジュールに関する情報を抽出し、スケジュール情報を作成する。また、作成されたスケジュール情報と元のメールとの間にリンクを設定することにより、スケジュール情報とこれに対応するメールの文書情報とを同じ画面上に表示できるようにしている。
特許文献1には、単一のメールの文書情報からスケジュール情報を作成することしか記載されていないが、現実世界では、当事者の都合でスケジュールが変更されるケースが頻繁に見受けられる。
また、特許文献1では、日時や場所などを具体的に表す表現(この明細書では、「絶対表現」という。)を抽出して、スケジュール情報を組み立てるが、実際にやりとりされるメールでは、絶対表現を使用せずに、代名詞などの抽象的な語を使用したり、『〜前』『〜後』などの相対表現を使用する場合が多い。この明細書では、このように、内容を具体的に把握できないようなスケジュールの表現形態を「抽象表現」という。
図10は、メールのやりとりによりスケジュールの内容が変更されていく例を示す。以下、上から順にメール1,2,3,4,5という。なお、メール1〜5とも、スケジュールの絶対表現に相当する語を枠で囲み、スケジュールの抽象表現に相当する語に網点を施してある。
最初のA氏からB氏に宛てた最初のメール1には、日時および目的を示す絶対情報『9/15』『15:00』『ミーティング』が含まれている。このメール1に対してB氏から返信したメール2には、『2時間前倒し』という抽象表現により、時間の変更を希望する旨が表されている。さらにA氏から返信したメール3には、『時間変更の件、了解』という抽象表現と『103会議室』という絶対表現とが含まれている。このメール3が送信された時点で、スケジュールの主要な3情報(日時、場所、目的)が確定する。さらにこの例では、つぎのB氏からのメール4で、ミーティングの日が『16日に変更』になり、スケジュール情報を確定するためのメールのやりとりがさらに続けられている。
上記したように、スケジュール情報は、メールのやりとりによって種々に変更されるから、スケジュールを作成するアプリケーションでも、この変更に応じて、既に設定されたスケジュール情報を修正できるようにするのが望ましい。しかし、メールの文書情報では、日常会話に近い表現が使用されることが多いため、修正対象のスケジュール情報を特定するのに必要な情報が十分に含まれていない可能性がある。
たとえば、上記図10の例のメール4では、『15日』を『16日』に変更することしか示されておらず、時刻、場所、目的などの情報を直接特定できない。勿論、15日に設定されているスケジュールがミーティングだけであれば、スケジューラー側のスケジュール情報を参照して内容を特定することは可能である。しかし、15日に複数のスケジュールが設定されている場合には、変更対象を特定するのは困難である。また、メール2では、ミーティングの時刻を2時間前に変更する旨が示されているが、15日以外にもミーティングが設定されている場合には、やはり、変更対象のミーティングを特定できない状態となる。
このように、特許文献1のように単一のメールを処理するだけでは、スケジュール情報を修正するのに必要な情報を取得できない場合があり、スケジュール情報の自動作成機能を十分に高められない、という問題が生じる。
この発明は上記の問題点に着目してなされたもので、既に設定されたスケジュールの変更や削除を求める内容のメールが送信または受信されたとき、このメールが求める処理を高い確度で実行することにより、スケジュール情報の自動作成機能を高めることを目的とする。
この発明にかかるスケジュール情報作成用のプログラムは、電子メールの送受信処理を管理するメール管理部およびスケジュール情報を管理するスケジュール管理部を有する情報処理装置に、前記メール管理部が管理するメール情報を用いて前記スケジュール管理部の管理対象となるスケジュール情報を作成する機能を設定するためのものである。なお、メール管理部は前記したメーラーのプログラムにより、スケジュール管理部は前記したスケジューラーのプログラムにより、それぞれ設定することができる。
上記のプログラムは、以下に示す解析手段、スケジュール情報作成手段、スケジュール情報修正手段、情報出力手段の各手段の機能を、コンピュータに付与するためのプログラムを含んでいる。
前記解析手段は、前記メール管理部の管理下に入ったメールを解析して、スケジュールに関わる表現を抽出する。たとえば、形態素解析によりメールの文書情報を単語毎に切り分けた後、固有表現抽出などを用いて、日時、場所、目的などを表す単語を抽出することができる。
スケジュール情報作成手段は、あらかじめ設定された複数のスケジュール項目について、それぞれ解析手段により抽出された表現の中から当該項目にあてはまるものを抽出し、抽出された表現と各スケジュール項目とを対応づけたスケジュール情報を組み立てる。
スケジュール情報修正手段は、スケジュール情報作成手段が組み立てたスケジュール情報のうち、抽象的な表現または空情報が対応づけられたスケジュール項目を修正対象として、メール管理部で設定された引用情報およびメール文書の類似度に基づき、処理対象のメールよりも前に送受信されたメールを順に遡って検索して前記処理対象のメールに関連するメール(以下、「引用元メール」という。)を抽出するステップと、抽出されたメールを前記解析手段により解析するステップと、この解析処理により前記修正対象の項目について具体的な表現が抽出されたとき、その具体的表現を用いて修正対象の項目の情報を修正するステップとを、全ての修正対象項目が具体的表現に修正された状態、または処理対象のメールに関連するメールが抽出されない状態になるまで実行する。
引用元メールは、各メールのヘッダ部に含まれる引用情報(引用元メールの識別情報など)を参照して抽出することができる。さらに、メールの件名情報や本文情報について、メール間における類似度を求め、類似度が高いメールを引用元メールとして抽出することもできる。スケジュール情報修正手段は、このような方法で抽出した引用元メールから修正対象の項目に関する単語を抽出したり、引用元メールにリンクするスケジュール情報を抽出するなどして、修正対象の項目に係る具体的な表現を抽出することができる。
文書情報の類似度は、各文書情報に含まれる単語の出現頻度、単語の配列状態、単語や文の最終編集距離(一方の語を他の語に書き換えるためのキーの操作回数などで表される。)などにかかる類似度とすることができる。また、ヘッダ部に引用情報を残さないメーラーからのメールを処理する場合には、下記の特許文献2に記載されているように、メール本文中の引用部分を抽出し、その引用部分を含むメールであるかどうかを判別することができる。
特開平10−222438号公報
よって、この発明によれば、メーラーの返信機能を利用して引用元メールを抽出することができる。さらに、文書情報の類似度を用いることにより、返信機能を利用せずに新規作成されたメールや、ヘッダ部に引用情報を記載しないメーラーからの送信メールからも、引用元メールを抽出することができる。
情報出力手段は、処理対象のメールにつきスケジュール情報作成手段により作成されたスケジュール情報がスケジュール情報修正手段により修正されなかった場合には当該スケジュール情報を、当該スケジュール情報がスケジュール修正手段により修正された場合には修正されたスケジュール情報を、それぞれスケジュール管理部に出力する。また、解析手段により処理対象のメールからスケジュールの修正を示す表現が抽出されている場合には、出力されるスケジュール情報に当該情報が既存のスケジュール情報に対する修正情報であることを示す属性情報を設定して出力する。よって、この属性情報が設定されたスケジュール情報を受けたスケジュール管理部は、該当するスケジュール情報を修正することができる。
なお、前記解析手段は、処理対象のメールから『変更』『前』『後』『キャンセル』などの語を抽出したときに、このメールにスケジュールの変更を示す情報が含まれていると判断し、その前後の語の係り受け状態から変更対象のスケジュール項目やその変更の内容を判別することができる。
スケジュール項目としては、日時、場所、目的、約束の相手など、一般的なスケジューラーで管理される項目を設定することができる。スケジュール情報作成手段は、これらの項目が設定されたテンプレートにそれぞれその項目に対応する表現を格納する方法により、規格化された構成のスケジュール情報を作成することができる。なお、日時情報など、データのフォーマットの統一が可能な情報については、抽出された表現を基準のフォーマットに変換してから前記テンプレートに格納するのが望ましい。また、該当する表現が見つからなかった項目については、ブランク状態のままにしてもよい。
上記のプログラムによれば、スケジュールの修正を求めるメールにおいて、スケジュールを特定する上で必要なスケジュール項目が絶対表現で表されていない場合でも、引用元メールを辿ることにより、該当する絶対表現を得ることができるから、スケジュールの修正情報を正しく作成することができる。
上記のプログラムにかかる好ましい態様では、スケジュール情報作成手段は、日付および時刻を含む3種類以上のスケジュール項目を用いてスケジュール情報を組み立てるとともに、日付および時刻の少なくとも一方について、スケジュールの変更を求める相対表現が前記解析手段により抽出されたとき、この相対表現を日数または時間の補正量に変換したものを該当するスケジュール項目に対応づける。またスケジュール情報修正手段は、上記の補正量に対応づけられたスケジュール項目を修正対象とする場合には、第2ステップで修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたことに応じて、その具体的表現が示す日付または時刻を補正量により補正し、この補正後の情報によりスケジュール情報中の修正対象の項目を書き換える。このようにすれば、複数回のメールがやりとりされる間に、相対表現により最初に設定された絶対表現による情報が変更された場合でも、この絶対表現を相対表現に基づく補正量により補正して、正しい情報を得ることができる。
さらに好ましい態様では、スケジュール情報修正手段は、日付および時刻の少なくとも一方に空情報が対応づけられているスケジュール情報を処理する場合に、第2ステップにおいて修正対象の項目につきスケジュールの変更を求める相対表現が抽出されたとき、この相対表現を日数または時間の補正量に変換したものにより修正対象の項目を書き換え、第2ステップにおいて修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたとき、この具体的表現により修正対象の項目を書き換える。
他の好ましい態様では、スケジュール情報修正手段は、日付および時刻以外のスケジュール項目を修正対象とする場合には、第2ステップで修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたことに応じて、その具体的な表現によりスケジュール情報中の修正対象の項目を書き換える。
この発明にかかる情報処理装置は、電子メールの送受信処理を管理するメール管理部と、スケジュール情報を管理するスケジュール管理部と、前記メール管理部が管理するメール情報を用いて前記スケジュール管理部の管理対象となるスケジュール情報を作成するスケジュール作成部とを具備する。メール管理部はメーラー用のプログラムにより、スケジュール管理部はスケジューラー用のプログラムにより、それぞれ設定することができる。前記スケジュール作成部は、上記のスケジュール情報作成用のプログラムにより設定することができる。
上記の情報処理装置は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDAなど、コンピュータを制御主体とし、通信機能を有する装置であるのが望ましい。
さらに、この発明にかかるスケジュール情報の作成方法は、電子メールの送受信処理を管理するメール管理部およびスケジュール情報を管理するスケジュール管理部を有する情報処理装置において、前記メール管理部の管理下に入ったメールを解析して、スケジュールに関わる表現を抽出する第1ステップと、あらかじめ設定された複数のスケジュール項目について、それぞれ第1ステップで抽出された表現の中から当該項目にあてはまるものを抽出し、抽出された表現と各スケジュール項目とを対応づけたスケジュール情報を組み立てる第2ステップと、第2ステップで組み立てられたスケジュール情報のうち、抽象的な表現または空情報が対応づけられたスケジュール項目を修正対象として、前記メール管理部で設定された引用情報およびメール文書の類似度に基づき、処理対象のメールよりも前に送受信されたメールを順に遡って処理対象のメールに関連するメールを抽出するステップと、抽出されたメールを解析してスケジュールに関わる表現を抽出するステップと、この解析処理により前記修正対象の項目について具体的な表現が抽出されたとき、その具体的表現を用いて前記修正対象の項目の情報を修正するステップとを、全ての修正対象項目が具体的表現に修正された状態、または処理対象のメールに関連するメールが抽出されない状態になるまで実行する第3ステップと、処理対象のメールにつき前記第2ステップで作成されたスケジュール情報が第3ステップにより修正されなかった場合には当該スケジュール情報を、当該スケジュール情報が前記第3ステップにより修正された場合には修正されたスケジュール情報を、それぞれスケジュール管理部に出力するとともに、前記第1ステップにより処理対象のメールからスケジュールの修正を示す表現が抽出されている場合には、出力されるスケジュール情報に当該情報が既存のスケジュール情報に対する修正情報であることを示す属性情報を設定して出力する第4ステップとを、実行する。
上記の方法は、スケジュール作成用のプログラムに設定される解析手段、スケジュール情報作成手段、スケジュール情報修正手段、情報出力手段により実行することができる。
この発明によれば、電子メールに記載された情報に基づいてスケジュール情報を自動作成する機能が組み込まれた情報処理装置において、スケジュールの修正を求める内容のメールが送信または受信されたとき、このメールの内容に応じて該当するスケジュール情報を高い確度で修正することができる。よって、スケジュール情報の自動作成機能を高めるができ、情報処理装置の利便性を向上することができる。
図1は、この発明にかかる情報処理装置の機能を示す。
この情報処理装置は、コンピュータを制御主体とし、インターネットに接続するための通信回路、文字入力用の操作部、表示用パネル(いずれも図示せず。)などを具備する。具体的な形態としては、携帯電話やPDAなどの携帯端末を想定しているが、これに限らず、パーソナルコンピュータとして構成することもできる。
この情報処理装置には、メール管理部1、スケジュール管理部2,およびスケジュール情報作成部3が組み込まれる。なお、メール管理部1は、いわゆるメーラーによりコンピュータに付与される機能であり、スケジュール管理部2はいわゆるスケジューラーによりコンピュータに付与される機能である。
メール管理部1には、通信部11、メール編集部12、メール情報表示部13、メール情報管理部14、メール情報ファイル15などが含まれる。通信部11は、前記通信回路を用いて電子メールの送信および受信処理を実行する。メール編集部12は、ユーザーの文字入力操作に応じて送信対象のメールの文書情報を組み立てる。メール情報表示部13は、通信部11が送受信したメールの内容を前記表示用パネルに出力する。
メール情報管理部14は、通信部11から送信済メールおよび受信済メールの電子データを取り込んで、これをメール情報ファイル15に格納する。また、ユーザーのメール呼び出し操作に応じてメール情報ファイル15から指定されたメール情報を呼び出し、メール編集部12やメール情報表示部13に出力することもできる。
スケジュール管理部2には、スケジュール表示部21、スケジュール登録部22、リンク情報管理部23、スケジュール情報ファイル24などが含まれる。スケジュール登録部22は、スケジュール情報ファイル24に新規のスケジュール情報を登録する。スケジュール表示部21は、ユーザーのスケジュール読み出し操作などに応じてスケジュール情報ファイル24から所定のスケジュール情報を読み出し、前記表示用パネルに出力する。リンク情報管理部23は、スケジュール登録部22が新規情報を登録する際に、その登録情報および情報元の電子メールの双方に、両者を対応づけるためのリンク情報を設定する。
スケジュール情報作成部3は、メール管理部1が送受信したメール情報を用いてスケジュール情報を作成する。ここで作成されたスケジュール情報は、前記スケジュール管理部2のスケジュール登録部22に出力される。スケジュール登録部22は、与えられたスケジュール情報に応じて、その情報を前記スケジュール情報ファイル24に新規登録するほか、既存のスケジュール情報を変更する処理や削除する処理を実行することができる。
スケジュール情報作成部3には、解析処理部31、情報管理部32、抽象表現解析部33、メール間関係解析部34などが含められる。解析処理部31は、メール情報ファイル15に新規に格納されたメールを処理対象として、そのメールの本文を構成する情報(以下、「本文情報」という。)や件名情報を形態素解析する。さらに、この形態素解析により分解された単語の中からスケジュールに関わる単語(以下、「スケジュール表現語」という。)を抽出する処理を実行する。
メール間関係解析部34は、抽象表現解析部33の解析処理のために、処理対象のメールの引用元メールを抽出する処理を実行する。この処理の詳細については、後記する。
情報管理部32は、解析処理部31が抽出したスケジュール表現語を用いて、スケジュール情報の作成や出力に関わる制御を実行する。また、抽象表現によるスケジュール表現語が抽出されたり、スケジュール情報の作成に必要なスケジュール表現語が抽出されなかった場合には、情報管理部32は、抽象表現解析部33を起動させる。抽象表現解析部33は、前記抽象表現によるスケジュール表現語または直接示されていないスケジュール表現語を、絶対表現のスケジュール表現語に変換する。なお、この変換処理には、前記メール間関係解析部34のほか、解析処理部31も関与する。
図2は、前記スケジュール情報作成部3で作成されるスケジュール情報のデータ構成例を示す。このスケジュール情報は、あらかじめ規定された様式のテンプレート(以下、「スケジュールテンプレート」または単に「テンプレート」という。)に、メールから抽出したスケジュール表現語をあてはめた構成のものである。この例のテンプレートには、日付、時刻、人名(約束相手の名前)、場所、目的など、一般的なスケジューラで管理される項目毎に記入欄が設定されるとともに、属性データの記入欄が設けられている。この属性データは、テンプレートに記入された情報の種類を示すもので、「新規」「変更」「削除」などを選択することができる。なお、各項目の情報のうち、日時情報、時刻情報については、テンプレートへの格納の前に、規定のフォーマットに変換される。
図3は、上記スケジュール情報を作成する処理の流れを示す。この処理は、原則として、前記メール情報ファイル15に新規のメールが格納されたときに、その新規のメールを最初の処理対象にして実行される。ただし、新規以外のメールを指定する操作に応じて、その指定されたメールを処理対象として、この手順を実行することもできる。
まず、最初のST1(STは「ステップ」の略である。以下も同じ。)では、注目メールの本文情報および件名情報を対象として、形態素解析を実行する。つぎのST2では、形態素解析により切り分けられた単語の中からスケジュール表現語を抽出し、前記スケジュールテンプレートにこれらのスケジュール表現語を格納する。
つぎに、ST3〜5では、日時、人名、場所の各情報にかかるスケジュール表現語が絶対表現による語であるかどうかをチェックする。なお、日時情報は、前記スケジュールテンプレートの日付情報および時刻情報を合わせたもので、双方の情報とも絶対表現で表されている場合のみ、ST3が「YES」となる。
日付情報および時刻情報の少なくとも一方が抽象表現により表されているか、該当する語が存在しなかった場合には、ST6の日時情報変換処理を実行する。人名情報についても同様に、抽象表現による語が抽出された場合や該当する語が抽出されなかった場合には、ST7の人名情報変換処理を実行する。場所情報についても同様に、抽象表現による語が抽出された場合や該当する語が抽出されなかった場合には、ST8の場所情報変換処理を実行する。
この後は、ST9において、前記注目メールが既存のスケジュールの変更または削除を求めるメールであるか否かを判別する。この判別処理は、前記ST1の形態素解析でスケジュールの変更や削除を示す語(『変更』『修正』『キャンセル』など)が抽出されたかどうかや、前記ST6,7,8のいずれかの変換処理が実行されたかどうかに基づいて行われる。なお、形態素解析の結果を用いて判別を行う場合には、単に『変更』などの語があるか否かを見るのではなく、これらの語とスケジュール表現語との係り受け関係などもチェックする。
注目メールがスケジュールの変更や削除を求めるメールではないと判断すると、ST9が「NO」となってST10に進み、前記テンプレートの属性を「新規」に設定する。一方、前記注目メールがスケジュールの変更または削除を求めるメールであると判断すると、ST9からST11に進み、前記テンプレートの属性を「変更」または「削除」に設定する。
このようにしてスケジュールテンプレートの属性が設定されると、ST12に進み、設定後のスケジュールテンプレートをスケジュール管理部2に出力する。
スケジュール管理部2では、受け取ったスケジュールテンプレートの属性が「新規」であれば、このテンプレートによる各項目の情報を新規情報としてスケジュール情報ファイル24に登録する。一方、前記スケジュールテンプレートの属性が「変更」または「削除」である場合には、そのテンプレートの各項目の情報によりスケジュール情報ファイル24を検索して対応する情報を抽出する。そして、対応情報が抽出されると、前記属性に基づいてその対応情報をテンプレートにより書き換える処理、または前記抽出した情報を削除する処理を実行する。
上記のST6,7,8の変換処理では、前記抽象表現解析部33、解析処理部31、メール間関係解析部34により、前記メール情報ファイル15に格納されたメールの中から注目メールの引用元となるメールを抽出し、この引用元メールに含まれるスケジュール表現語により注目メールの抽象表現または欠如している表現を絶対表現に置き換える処理を実行する。
ST7の人名情報変換処理やST8の場所情報変換処理では、原則として、該当する情報を絶対表現で表した引用元メールが見つかるまでメール情報ファイル15を過去に遡って検索する。そして、絶対表現によるスケジュール表現語が見つかると、このスケジュール表現語を前記スケジュールテンプレートに格納することにより、変換処理を終了する。
なお、人名情報変換処理では、絶対表現が抽出できない場合には、ヘッダ部のメールアドレスによりメール管理部1内のアドレス帳を検索するなどして、人名を特定することができる。一方、場所情報変換処理において絶対表現が見つからない場合には、テンプレートをブランク状態にしてもよい。
ST6の日時情報変換処理についても、絶対表現を含むメールが見つかるまでメール情報ファイルを過去に遡って検索する点は同様である。ただし、日時情報の抽象表現には、前出の『2時間前倒し』のように、設定されている日時を基準にした相対的な値を示した表現(以下、これを「相対表現」という。)が含まれることがある。このようなケースに対応するために、この実施例では、抽出された相対表現をあらかじめ設定されたフォーマットによる補正量に変換し、最終的に抽出した絶対表現が示す値を前記補正量により修正する処理を実行する。詳細については後述する。
つぎに、前記ST6,7,8の各変換処理で共通に実施される引用元メールの抽出処理について説明する。この実施例では、各メールのヘッダ情報に含まれる引用情報を参照する方法と、メール間の文書内容の類似度を算出する方法とを併用して、引用元メールを抽出するようにしている。
一般的なメーラーでは、ユーザーの返信操作や転送操作に応じて、引用元メールの識別情報をヘッダ情報に書き込む処理を実行する。この識別情報により引用されたメールを上位に位置づけ、引用した側のメールを下位に位置づけると、図4に示すように、各メールの引用関係をツリー構造にして表すことができる。ヘッダ情報を参照する場合には、このツリー構造を下位から上位に向けて順に辿っていくことになる。
一方、文書の類似度を使用する場合には、本文情報や件名情報を形態素解析し、その抽出結果に自然言語処理において提案されている類似度算出方法を適用して、類似度を求めることができる。たとえば、文書間に共通する固有名詞の数、意味を持つ単語の分布状態の類似度などを算出する(非特許文献1参照。)。
金明哲ほか著、「統計科学のフロンティア(第10巻) 言語と心理の統計−ことばと行動の確率モデルによる分析」 岩波書店、2003年3月12日、p91
あるメールに対する応答メールであるのに、メーラーの引用機能を使用せずに送信されたメールや、ヘッダ情報に引用情報を残さないメーラーから送信されたメールに対しては、ヘッダ情報から引用元メールを特定するのが困難となる。しかし、この実施例では、引用情報を参照する方法に加えて、メール間の文書の類似度に基づいて引用元メールを抽出する処理を実行するので、引用情報がないメールについても、引用関係を明らかにすることができる。したがって、図5に示すように、メール情報ファイル15内に引用元が明らかなメール群と引用元が不明のメール群とが含まれる場合でも、各メールを同一案件にかかるグループ(図中、G1,G2,G3として示す。)に分類し、グループ毎に上位−下位の関係を明らかにすることができる。
この実施例で引用元メールを抽出する際には、前記メール情報ファイル15内に2種類のポインタを設定する。1つは、処理対象のメールを表す「メインポインタ」である。他方は、このメインポインタの付されたメールに対する比較対象のメールを表す「サブポインタ」である。前記図4には、このメインポインタおよびサブポインタの設定例が示してある。サブポインタは、メインポインタの付されたメールの1つ前に格納されたメールに設定された後、過去の方向に向かって1つずつ移動する。なお、このサブポインタは、メール情報ファイル15の最も古いメールにまで移動させてもよいが、これに限らず、所定日数分の範囲をサーチ範囲として、その範囲内で動かすようにしてもよい。
図6は、引用元メールの抽出にかかる基本的な処理手順を示す。なお、この例では、ST101より開始されるものとし、前記サブポインタを所定のサーチ範囲内で移動させるものとする。
まず、ST101では、メインポインタが付されたメールのヘッダ情報を解析し、引用情報があるか否かを判別する。ここで引用情報が見つかれば、ST102が「YES」となってST112に進み、その引用情報により前記メール情報ファイルを検索して引用元メールを抽出する。これで処理は終了となる。
一方、前記ヘッダ情報に引用情報が含まれていない場合には、ST102が「NO」となってST103に進み、メインポインタの1つ前に格納されたメールにサブポインタを設定する。
つぎのST104では、前記解析処理部31の機能を用いて、メインポインタが付されたメールの件名情報や本文情報を構成する単語を抽出する。続くST105では、サブポインタが付されたメールについて同様に形態素解析を行って、件名情報や本文情報を構成する単語を抽出する。
つぎに、ST106では、各メール間の本文における引用関係(一方のメールに他方のメールの文章の大半が含まれており、さらに前者のメールに後者にはない文章が存在する関係)や、本文中に含まれる日時情報などに基づき、2つのメールの作成時刻の先後関係を判別する。ここで、メインポインタ付きのメールの情報がサブポインタ付きのメールの情報よりも後に作成されたものであると確認すると、ST107が「YES」となってST108に進み、前記ST104,105で抽出された情報を用いて、メール間の類似度を算出する。
なお、メインポインタ付きのメールがサブポインタ付きのメールより以前に作成されたメールを引用している場合、このメールの方がサブポインタ付きのメールよりも過去に作成されたと判断されることがある。この場合には、ST107が「NO」となり、ST108はスキップされる。
以下、ST109,110において、サブポインタを1つずつ前に動かしながら、ST105〜108を実行することにより、各ポインタ位置において、サブポインタ付きのメールの内容を解析し、メインポインタ付きのメールとの類似度を算出する。算出された類似度は、その時点でのポインタの設定位置を対応づけた状態でメモリに一時保存される。
サブポインタが前記サーチ範囲の先頭に到達すると、ST111に進み、前記一時保存された類似度の中の最大値に対応する位置のメールを、引用元メールとして特定する。
つぎに、前記ST6の日時情報の変換処理の詳細について説明する。
前記したように、日時情報は、スケジュールテンプレートの日付情報および時刻情報を組み合わせたものである。スケジュール情報としては、これら2つの情報とも絶対表現で表されているのが望ましいが、実際にやりとりされるメールには、日付情報または時刻情報の一方しか示されていないものが多く存在する。そこで、この変換処理では、日付情報と時刻情報とを個別に処理して、双方が絶対表現に変換されるまで引用元メールの抽出処理を実行するようにしている。
以下、日時情報変換処理の詳細な手順を、図7および図8に沿って説明する。なお、この処理はST201から開始されるものとする。
まず、最初のST201では、前記スケジュールテンプレートの日付および時刻の欄に書き込まれている相対表現を補正量に変更する。たとえば、『次の日』は『+1日』に、『2時間前』は『−2時間』に、それぞれ変換することができる。
なお、前記テンプレートに、『その日』『その時間』など、補正量を導き出せないような表現のみが書き込まれている場合には、ST201はスキップされる。
ST202では、注目メール(前記テンプレートの抽出元のメール)にメインポインタを設定し、つぎのST203で前記した引用元メールの抽出処理を実行する。ここで引用元メールが抽出されると、ST204が「YES」となってST205に進み、この引用元メールにリンクするスケジュール情報があるかどうかをチェックする。
ここで引用元メールにリンク情報が設定されている場合には、ST205が「YES」となってST206に進む。ST206では、前記リンク情報に基づき引用元メールに対応するスケジュール情報を特定し、前記スケジュール情報ファイル24からその特定したスケジュール情報の日付情報および時刻情報を読み出す。
つぎのST207では、前記テンプレートの日付欄または時刻欄に補正量が格納されているかどうかをチェックする。この判定が「YES」であれば、ST208に進み、前記ST206で抽出した情報のうち補正量が設定されている方の情報を、前記補正量により修正する。さらに、ST209では、修正処理後の日付情報(日付および時刻の両方を含む。)によりテンプレートの情報を書き換える。
一方、前記日付欄、時刻欄のいずれにも補正量が格納されていない場合には、ST207が「NO」となる。この場合には、ST210〜213において、テンプレートの日付欄および時刻欄に絶対表現の情報が格納されているかどうかを個別にチェックし、格納されていなければ、ST206で抽出した情報をその欄に格納する処理を実行する。なお、日付欄または時刻欄に絶対表現による情報が格納されている場合には、その絶対表現が維持される。
つぎに、前記ST203で抽出された引用元メールにリンク情報が設定されていない場合には、前記ST205が「NO」となり、ST215に進む。このST215では、引用元メールを対象として、その本文情報や件名情報の形態素解析を実行し、日時に関するスケジュール表現語を抽出する。
以下のST216〜225では、日付情報に対する処理を実行する。まずST216では、テンプレートの日付欄に絶対表現が格納されているかどうかを判別する。ここで絶対表現が格納されている場合には、ST217以下の処理をスキップしてST226に進む。
テンプレートの日付欄が空の場合、または抽象表現の情報もしくは前記補正量が格納されている場合には、ST216が「NO」となってST217に進む。ST217では、前記ST215で絶対表現の日付情報を抽出したかどうかを判別する。ここで絶対表現の日付情報が抽出されている場合には、ST217からST218に進み、前記テンプレートの日付欄に補正量が格納されているかどうかを判別する。補正量が格納されている場合には、ST219に進み、引用元メールから抽出した絶対表現の日付情報を補正量により修正する。さらに、つぎのST220において、テンプレートの日付情報(すなわち前記補正量)を修正後の絶対表現に書き換える。
一方、前記テンプレートの日付欄に補正量が格納されていない場合には、ST218からST221に進み、テンプレートの日付情報を引用元メールから抽出した絶対表現に書き換える。
つぎに、前記ST215において、絶対表現の日付情報が抽出されず、相対表現の日付情報が抽出された場合には、ST216およびST217が「NO」、ST222が「YES」となって、ST223に進み、テンプレートの日付欄に補正量が格納されているかどうかを判別する。補正量が格納されていない場合には、つぎのST224,225において、前記引用元メールから抽出した相対表現を補正量に変換し、テンプレートの日付情報を変換後の補正量により書き換える。
上記に対し、テンプレートの日付欄に既に補正量が格納されている場合には、ST223が「YES」となり、前記ST224,225はスキップされる。また、ST215において、絶対表現の日付情報も、相対表現の日付情報も抽出されなかった場合(該当する語なし/または補正量に置き換えられない抽象表現が抽出された場合)には、ST217,222がともに「NO」となり、同様にテンプレートの書換処理を行わずにつぎに進む。
ST226〜235では、時刻情報について、上記ST215〜225と同様の処理を実行する。すなわち、テンプレートの時刻欄に絶対表現が格納されておらず、引用元メールに絶対表現の時刻情報が含まれている場合には、その絶対表現に基づく情報が前記時刻欄に格納される。また、テンプレートの時刻欄に補正量が格納されておらず、引用元メールに相対表現の時刻情報が含まれている場合には、その相対表現から変換した補正量が前記時刻欄に格納される。
上記ST215〜235の処理によれば、日付情報または時刻情報の少なくとも一方について、引用元メールに絶対表現の情報が含まれている場合には、テンプレートの対応する欄の情報を絶対表現に確定することができる。また、注目中のメールまたは所定の引用元メールに相対表現の情報が含まれている場合には、その相対表現に基づき、絶対表現を修正するための補正量を得ることができる。
ST215〜235を実行した後は、ST236において、テンプレートの日付欄および時刻欄に、絶対表現の情報(補正量を除く。)が格納されたかどうかを判別する。この判定が「YES」であれば、この時点で処理を終了するが、判定が「NO」の場合には、ST237に進み、前記ST203で抽出した引用元メールにメインポインタを移動させる。この後は、ST203に戻り、新たにメインポインタを付したメール(すなわち前回の引用元メール)に対する引用元メールを抽出する。
以下、上述した流れを繰り返すことにより、引用関係にあるメールを時間の流れの逆順に抽出しながら、抽出したメール毎に日時に関するスケジュール情報を抽出する処理や、その抽出結果を用いてテンプレートを書き換える処理を実行する。なお、所定の時点でスケジュール情報にリンクする引用元メールが抽出された場合には、ST205が「YES」となり、前記したST206〜213の処理により、日付、時刻が絶対表現の情報に確定される。
また、前記メール情報ファイル15内のすべてのメールをサーチしても引用元メールを抽出できない状態になると、ST204からST214に進む。このST214では、前記メインポインタが付されているメールの送信時刻または受信時刻を、日時情報として抽出する。この後は、ST207に進み、以下、前記スケジュール情報から日時情報を抽出した場合と同じ処理を実行する。
図9は、友人A,B間でやりとりされた7件のメールM1〜M7を用いて、スケジュール情報の作成処理を行った具体例を示す。なお、この例では、説明を簡単にするために、日時情報の作成についてのみ説明することにし、日付または時刻の絶対表現に該当する語に白抜き枠を、抽象表現に該当する語に網点枠を、その他のスケジュールに関係する語に二重線を、それぞれ付してある。また、テンプレートについても、日付欄および時刻欄のみを示す(上段が日付欄、下段が時刻欄である。)。
この例では、いずれのメールM1〜M7も、スケジュール情報にリンクしていないものとする。最初のメールM1には、食事をする予定の日時について、『9月10日』『午後7時』という絶対表現が含まれている。このメールM1から新規のスケジュール情報を作成する場合、前記『9月10日』が日付情報として、『午後7時』が時刻情報として、それぞれ抽出され、テンプレートに格納される。なお、時刻情報は、あらかじめ設定されたフォーマットに基づき、テンプレートの格納に先立ち、『19:00』に変換される。
メールM1から作成されたテンプレートの属性データは『新規』となる。スケジュール登録部22は、この属性データに基づき、前記テンプレートをスケジュール情報ファイル24に新規登録する。以下、この登録情報を「元データ」という。
つぎに、最新のメールM7を処理対象として、このメールから前記元データを修正するためのスケジュール情報を作成する場合の処理の流れを、前記図7および図8に沿って説明する。
メールM7には、『1時間前』という相対表現の時刻情報が含まれているだけであるため、前記日時情報の変換処理により、日付および時刻の絶対情報を得る必要がある。この場合の日時情報変換処理では、まず、前記図7のST201において、メールM7から抽出された『1時間前』が補正量『−1.0時間』に置き換えられ、テンプレートの時刻欄に書き込まれる(図中の(a)参照。)。
この後、引用元メールの抽出処理により、各メールが順に遡って抽出される。最初に抽出されるメールM6には、『1時間前』という相対表現の時刻情報が含まれているが、日付情報は含まれていない。したがって、このメールM6が引用元メールとして抽出された後は、前記図8のST216,217,222がすべて「NO」となってST226に移行し、ST226が「NO」、ST227が「NO」、ST232が「YES」となって、ST233に進む。ST233では、テンプレートの時刻欄がチェックされるが、この時点の時刻欄には既に補正量が格納されているため、判定は「YES」となる。このため、メールM6によるテンプレートの書換は行われずに、つぎの引用元メールの抽出処理に進む。
つぎに抽出されるメールM5には、日付、時刻に関する表現が全く含まれていないため、日付について、ST216,217,222の各ステップが「NO」となった後、時刻について、ST226,227,232の各ステップが「NO」となる。よって、このメールM5によるテンプレートの書換も実行されることなく、つぎの引用元メールの抽出処理に移行する。
つぎに抽出されるメールM4には、時刻について、『7時半』という絶対表現が含まれている。したがって、ST216,217,222がすべて「NO」となってST226に移行した後、ST226が「NO」、ST227が「YES」となって、ST228に進む。
ST228では、テンプレートの時刻欄をチェックするが、この時点での時刻欄には既に『−1.0時間』という補正量が含まれている。これによりST228が「YES」となってST229に進み、抽出した絶対表現『7時半』を補正量『−1.0時間』により修正する処理が行われる。なお、この修正は、絶対表現を基準のフォーマット(この例では19:30)に変換してから行われる。ST230では、図中の(b)に示すように、修正後の絶対表現『18:30』により前記テンプレートの時刻欄が書き換えられる。
つぎに抽出されるメールM3には、『時刻』という抽象表現しか含まれていないため、テンプレートの更新はなされない。
つぎに抽出されるメールM2には、日付について、『次の日』という相対表現が含まれている。これにより、ST216およびST217が「NO」、ST222が「YES」となる。また、テンプレートの日付欄はブランク状態であるから、ST223は「NO」となってST224に進み、前記相対表現が補正量『+1日』に変換される。さらに、つぎのST225で、この補正量がテンプレートの日付欄に格納される。この結果、テンプレートは、図中の(c)に示すような内容に更新される。
この後、最後の引用元メールとしてメールM1が抽出されると、絶対表現の日付情報『9月10日』および『午後7時』が抽出される。これにより、日付について、ST216が「NO」、ST217が「YES」となった後、前記テンプレートの日付欄に補正量『+1日』が格納されていることからST218が「YES」となる。よってST219に進んで、前記絶対表現が補正量により修正され、つぎのST220において、修正後の日付情報『9月11日』が、テンプレートの日付欄に格納される。
一方、時刻については、既にテンプレートの時刻欄に『18:30』という絶対表現が格納されているので、ST226が「YES」となり、前記『午後7時』を用いた処理は行われない。よって、テンプレートは、図中の(d)に示すような内容に更新される。
メールM1によるテンプレートの更新が終了すると、ST236が「YES」となり、日時情報の変換にかかる一連の処理が終了する。なお、メールM7には、『変更』という語が含まれているので、テンプレートの属性データは『変更』に設定される。よって、このテンプレートを受け取ったスケジュール管理部2では、前記属性データに基づき、元データの日付欄および時刻欄を書き換えることができる。
さらに上記の例では、人名情報については受信メールの差出人(AまたはB)を設定することができる。また場所情報については、具体的な表現を抽出できないものの、メールM1中の『ごはん』という語を絶対表現として採用することができる。また、メール1に具体的な場所を示す引用元メールがある場合には、元データを作成する際に、その引用元メールから場所情報を特定することができる。
なお、上記に示した実施例では、注目中のメールの内容に関わらず、絶対表現による日付情報が得られなかった場合に日時情報変換処理を実行するようにしたが、これに代えて、形態素解析によりメール中に日時の変更や削除を求める表現があるかどうかを判別し、この表現があると判別したときに日時情報変換処理を実行するようにしてもよい。
この発明の一実施例にかかる情報処理装置の機能ブロック図である。 スケジュールテンプレートのデータ構成を示す説明図である。 スケジュール情報の作成処理手順を示すフローチャートである。 送受信メールの引用関係をツリー構造にして示した説明図である。 メール情報ファイル内のメールを引用関係に基づいてグループ分けした例を示す説明図である。 引用元メールの抽出処理手順を示すフローチャートである。 日時情報変換処理の手順を示すフローチャートである。 日時情報変換処理の手順を示すフローチャートである。 引用関係にある複数のメールを用いてスケジュール情報を作成する具体例を示す説明図である。 メールのやりとりによりスケジュールが調整される例を示す説明図である。
1 メール管理部
2 スケジュール管理部
3 スケジュール情報作成部
31 解析処理部
32 情報管理部
33 抽象表現解析部
34 メール間関係解析部

Claims (6)

  1. 電子メールの送受信処理を管理するメール管理部およびスケジュール情報を管理するスケジュール管理部を有する情報処理装置に、前記メール管理部が管理するメール情報を用いて前記スケジュール管理部の管理対象となるスケジュール情報を作成する機能を設定するためのプログラムであって、
    前記メール管理部の管理下に入ったメールを解析して、スケジュールに関わる表現を抽出する解析手段;
    あらかじめ設定された複数のスケジュール項目について、それぞれ前記解析手段により抽出された表現の中から当該項目にあてはまるものを抽出し、抽出された表現と各スケジュール項目とを対応づけたスケジュール情報を組み立てるスケジュール情報作成手段;
    前記スケジュール情報作成手段が組み立てたスケジュール情報のうち、抽象的な表現または空情報が対応づけられたスケジュール項目を修正対象として、前記メール管理部で設定された引用情報およびメール文書の類似度に基づき、処理対象のメールよりも前に送受信されたメールを順に遡って前記処理対象のメールに関連するメールを抽出するステップと、抽出されたメールを前記解析手段により解析するステップと、この解析処理により前記修正対象の項目について具体的な表現が抽出されたとき、その具体的表現を用いて前記修正対象の項目の情報を修正するステップとを、全ての修正対象項目が具体的表現に修正された状態、または処理対象のメールに関連するメールが抽出されない状態になるまで実行するスケジュール情報修正手段;
    処理対象のメールにつきスケジュール情報作成手段により作成されたスケジュール情報が前記スケジュール情報修正手段により修正されなかった場合には当該スケジュール情報を、当該スケジュール情報が前記スケジュール修正手段により修正された場合には修正されたスケジュール情報を、それぞれスケジュール管理部に出力するとともに、前記解析手段により処理対象のメールからスケジュールの修正を示す表現が抽出されている場合には、出力されるスケジュール情報に当該情報が既存のスケジュール情報に対する修正情報であることを示す属性情報を設定して出力する情報出力手段;
    の各手段の機能を、前記情報処理装置に付与するためのプログラムが含まれたスケジュール情報作成用のプログラム。
  2. 前記スケジュール情報作成手段は、日付および時刻を含む3種類以上のスケジュール項目を用いてスケジュール情報を組み立てるとともに、日付および時刻の少なくとも一方について、スケジュールの変更を求める相対表現が前記解析手段により抽出されたとき、この相対表現を日数または時間の補正量に変換したものを該当するスケジュール項目に対応づけし、
    前記スケジュール情報修正手段は、前記補正量に対応づけられたスケジュール項目を修正対象とする場合には、第2ステップで修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたことに応じて、その具体的表現が示す日付または時刻を前記補正量により補正し、この補正後の情報によりスケジュール情報中の修正対象の項目を書き換える請求項1に記載されたスケジュール情報作成用のプログラム。
  3. 前記スケジュール情報修正手段は、日付および時刻の少なくとも一方に空の情報が対応づけられているスケジュール情報を処理する場合に、第2ステップにおいて修正対象の項目につきスケジュールの変更を求める相対表現が抽出されたとき、この相対表現を日数または時間の補正量に変換したものにより前記修正対象の項目を書き換え、第2ステップにおいて修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたとき、この具体的表現により前記修正対象の項目を書き換える請求項2に記載されたスケジュール情報作成用のプログラム。
  4. 前記スケジュール情報修正手段は、日付および時刻以外のスケジュール項目を修正対象とする場合には、第2ステップで修正対象の項目につき具体的な表現が抽出されたことに応じて、その具体的な表現によりスケジュール情報中の修正対象の項目を書き換える請求項2に記載されたスケジュール情報作成用のプログラム。
  5. 電子メールの送受信処理を管理するメール管理部と、スケジュール情報を管理するスケジュール管理部と、前記メール管理部が管理するメール情報を用いて前記スケジュール管理部の管理対象となるスケジュール情報を作成するスケジュール作成部とを具備する情報処理装置であって、
    前記スケジュール作成部は、
    前記メール管理部の管理下に入ったメールを解析して、スケジュールに関わる表現を抽出する解析手段;
    あらかじめ設定された複数のスケジュール項目について、それぞれ前記解析手段により抽出された表現の中から当該項目にあてはまるものを抽出し、抽出された表現と各スケジュール項目とを対応づけたスケジュール情報を組み立てるスケジュール情報作成手段;
    前記スケジュール情報作成手段が組み立てたスケジュール情報のうち、抽象的な表現または空情報が対応づけられたスケジュール項目を修正対象として、前記メール管理部で設定された引用情報およびメール文書の類似度に基づき、処理対象のメールよりも前に送受信されたメールを順に遡って前記処理対象のメールに関連するメールを抽出するステップと、抽出されたメールを前記解析手段により解析するステップと、この解析処理により前記修正対象の項目について具体的な表現が抽出されたとき、その具体的表現を用いて前記修正対象の項目の情報を修正するステップとを、全ての修正対象項目が具体的表現に修正された状態、または処理対象のメールに関連するメールが抽出されない状態になるまで実行するスケジュール情報修正手段;
    処理対象のメールにつきスケジュール情報作成手段により作成されたスケジュール情報が前記スケジュール情報修正手段により修正されなかった場合には当該スケジュール情報を、当該スケジュール情報が前記スケジュール修正手段により修正された場合には修正されたスケジュール情報を、それぞれスケジュール管理部に出力するとともに、前記解析手段により処理対象のメールからスケジュールの修正を示す表現が抽出されている場合には、出力されるスケジュール情報に当該情報が既存のスケジュール情報に対する修正情報であることを示す属性情報を設定して出力する情報出力手段;
    の各手段を具備している情報処理装置。
  6. 電子メールの送受信処理を管理するメール管理部およびスケジュール情報を管理するスケジュール管理部を有する情報処理装置において、前記メール管理部が管理するメール情報を用いて前記スケジュール管理部の管理対象となるスケジュール情報を作成する方法であって、
    前記メール管理部の管理下に入ったメールを解析して、スケジュールに関わる表現を抽出する第1ステップと、
    あらかじめ設定された複数のスケジュール項目について、それぞれ第1ステップで抽出された表現の中から当該項目にあてはまるものを抽出し、抽出された表現と各スケジュール項目とを対応づけたスケジュール情報を組み立てる第2ステップと、
    前記第2ステップで組み立てられたスケジュール情報のうち、抽象的な表現または空情報が対応づけられたスケジュール項目を修正対象として、前記メール管理部で設定された引用情報およびメール文書の類似度に基づき、処理対象のメールよりも前に送受信されたメールを順に遡って前記処理対象のメールに関連するメールを抽出するステップと、抽出されたメールを解析してスケジュールに関わる表現を抽出するステップと、この解析処理により前記修正対象の項目について具体的な表現が抽出されたとき、その具体的表現を用いて前記修正対象の項目の情報を修正するステップとを、全ての修正対象項目が具体的表現に修正された状態、または処理対象のメールに関連するメールが抽出されない状態になるまで実行する第3ステップと、
    処理対象のメールにつき前記第2ステップで作成されたスケジュール情報が第3ステップにより修正されなかった場合には当該スケジュール情報を、当該スケジュール情報が前記第3ステップにより修正された場合には修正されたスケジュール情報を、それぞれスケジュール管理部に出力するとともに、前記第1ステップにより処理対象のメールからスケジュールの修正を示す表現が抽出されている場合には、出力されるスケジュール情報に当該情報が既存のスケジュール情報に対する修正情報であることを示す属性情報を設定して出力する第4ステップとを、実行することを特徴とするスケジュール情報の作成方法。
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