JP4384383B2 - 複合ステープル繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、2つの重合体成分が交互に積層した断面形態を有する複合ステープル繊維に関する。特に本発明は、繊維外周面が、繊維を構成する重合体の一重合体成分によって被覆された複合ステープル繊維に関する。より具体的には、不織布製造工程におけるカード処理、ニードルパンチ処理においては積層重合体成分間での剥離・割繊を生ずることがなく、その後の水流処理、バフィングなどの分割・割繊処理によって繊維外周を覆う高分子重合体被膜に亀裂が生じ、かつその内部の積層重合体成分間での剥離・割繊が生じ、該積層重合体成分の極細繊維群からなる繊維構造体となし得る複合ステープル繊維に関する。
また、分割・割繊処理によって複合ステープル繊維の被膜を形成していた部分が一部破壊され、鋭角的なエッジを持つ極細繊維が形成されるため、例えば、ワイパーとした場合に優れた拭き取り性を与えるものである。加えて、繊維構造体は極細繊維を含んでいるので、ソフトで通気性の良好な人工皮革やスパンレース、衛生材料用不織布が得られ、さらに、該繊維構造体の繊維間が緻密なので、毛細管現象により吸水性が良好であり、フィルターやマスクなどとして用いた場合には優れた除塵性能を有する。さらに加えて、該複合ステープル繊維を分割・割繊した後に抄造して得られるシート、または抄造した後に、分割・割繊処理して得られるシートは、割繊により形成される偏平な極細繊維により、独特の光沢を有するシートとなる。
背景技術
単繊維繊度が0.1デニール以下の極細繊維を製造するには、直接紡糸では糸切れが起こりやすくなるために細さに限界があり、複合紡糸手段が用いられている。極細繊維を形成するための複合繊維の断面形態は、(1)2成分が高度に分割相互配列した多層型複合繊維や花弁型複合繊維などの複合形態と、(2)1成分が他成分中に高度に分散した海島型複合繊維とがある。前者の複合繊維においては、その成分相互の剥離によって、鋭い縁のある極細繊維や、異形の極細繊維が形成され、それぞれの極細繊維の形態を利用した種々の用途展開がなされている。
そのような複合繊維としては、主としてナイロン6とポリエチレンテレフタレート(PET)との複合繊維の例が多いが、その両成分の剥離・分割方法には、(1)ベンジルアルコールのような薬液の入った液でナイロン成分を収縮させて、その力で相互に分離させる方法、(2)アルカリ水溶液でPETを少し溶かして相互に分離する方法、(3)何度も湿熱処理と乾燥処理を繰り返して剥離する方法、(4)物理的に擦過したり、もんだりして強制的に分離させる方法、および(5)これらの組み合わせがある。
しかし、繊維の製造工程、例えば、延伸工程において複合成分間での剥離による毛羽の発生をいかに抑制するかが生産性の面では重要である。そこで、例えば、ナイロン6とPETとの組み合わせにおいては、成分相互の接着を向上させるため、PETに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリマーが選ばれることもある。また、紡糸速度を上げて、PETとナイロンの収縮挙動が酷似する領域で紡糸を行ない、製糸工程中の剥離を軽減する試みもある。
しかし、上記のような耐割繊対策を施した場合でも、ステープル繊維を原料として不織布や紡績糸を製造する際に、カード工程で複合繊維の各成分間で剥離が起き、繊度が細化され、ネップが発生するという問題があった。また、繊維を交絡するためにニードルパンチを行なうと、損傷により剥離が起き、単繊維が交絡されにくく、不織布の剥離強度が上がらないといった問題点があった。
上記のような分割型複合繊維のカーディング時での複合成分間での剥離,割繊を,該複合繊維を構成する一方成分によって、その外周部を被覆した複合繊維となすことによって防止することが例えば、特開平4−308224号公報や特開平5−44127号公報で提案されている。
しかしこれら公知技術は、布帛形成後に溶剤によって処理することで、複合繊維の被膜を形成する複合成分を溶出除去するタイプの複合繊維を対象とするものであり、不織布製造工程などにおけるカード処理、ニードルパンチ処理時には被膜が実質的に破壊されず、後の水流処理などの分割・割繊処理によって被膜が始めて破壊し、それによって極細繊維を形成する複合ステープル繊維については何ら開示するものではない。
また上記特開平4−308224号公報においては、複合繊維を構成する一方の成分で他方成分を覆って、該一方成分を後に溶出除去して極細繊維を形成させるため、極細繊維として残る実体部分が少なく極細繊維の生産効率が悪いという課題を有していた。また、両成分の比率設定の変更だけでは被覆厚みを所望の厚さにコントロールすることは困難であり、一方成分を溶剤等で全部除去して極細繊維を形成させる技術としては十分であっても、機械的な処理方法によって両成分とも極細繊維として残すにためは、被膜の厚みが厚すぎて割繊が十分に進まないという問題を有していた。
さらに、特開平5−44127号公報には、複合仮撚加工糸を構成する複合長繊維として、ポリアミドとポリエステルとの貼り合わせ型複合長繊維の表面をポリエステルで覆い、仮撚工程での摩擦に起因するフィブリル化の発生を抑制する技術が提案されているが、該複合仮撚加工糸から織編物を作成した後に、アルカリ処理により表面のポリエステル被膜を溶解除去して、複合成分間の分割処理を行なうことが記載されているに止まり、不織布製造工程などにおけるカード処理、ニードルパンチ処理時には複合成分間の剥離が生じず、後の水流処理など機械的処理によって剥離・分割が生じ、それによって極細繊維が形成される複合ステープル繊維については記載されていない。
発明の開示
本発明の目的は、不織布製造工程などにおけるカード処理、ニードルパンチ処理等によっては複合繊維を構成する成分間の剥離・割繊が実質上おこらず、後の水流噴射処理等の物理的分割処理によって初めて複合成分間での剥離、割繊が生ずる複合ステープル繊維とその製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記の複合ステープル繊維を含み、ワイパーとして使用した場合に優れた拭取り性能を有する繊維構造体を提供することであり、さらに、上記の複合ステープル繊維を含み、人工皮革とした場合に、手触りがよく、しかも発色性が良好な繊維構造体を提供することである。
即ち、本発明の第一の態様は、高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)とが繊維横断面において交互に配置された貼り合わせ型の複合形態を有するステープル繊維であって、成分(B)は成分(A)によって完全に被覆されており、かつ成分(B)と被覆部以外の成分(A)は実質的に偏平形状を呈し、かつ前記繊維横断面において、成分(B)の長辺方向の先端部は繊維表面から内側0.05μm〜1.5μmに位置し、成分(A)と成分(B)の重量比が90/10〜10/90であることを特徴とする複合ステープル繊維である。
本発明の第二の態様は、高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)とが繊維横断面において交互に配置された貼り合わせ型の複合形態を有するステープル繊維を製造するに際し、成分(A)と成分(B)の溶解度パラメーター(SP値)と紡糸時の溶融粘度が、下記(1)式を満たすように溶融紡糸することを特徴とする複合ステープル繊維の製造方法である。
η−η≦−200×(SP−SP) (1)
η ;成分(A)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
η ;成分(B)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
SP;成分(A)の溶解度パラメーター
SP;成分(B)の溶解度パラメーター
発明を実施するための最良の形態
本発明の複合ステープル繊維は、例えば、図1に示すように高分子重合体成分(B)が完全に高分子重合体成分(A)で覆われ、繊維横断面の外周全体に成分(A)が存在していることが重要である。成分(A)によって成分(B)が覆われていない場合には、例えば、不織布製造工程等におけるカード処理やニードルパンチ処理において、繊維の長手方向に複合成分の界面間で剥離・割繊が生じてしまう。
繊維表面付近で被膜を形成させるためには、高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)の重量比を90/10〜10/90の範囲とする必要があり、さらには85/15〜15/85の範囲にすることが好ましい。成分(B)の重量比が10%未満の場合には、紡糸パック内で成分(A)と成分(B)とを交互に配列させ目的とする断面を形成することが難しくなる。また、逆に成分(B)の重量比が90%を超える場合、成分(A)の量が少ないために目的とする断面を得られにくくなると同時に、繊維表面全体を覆うことが困難となったり、被膜の厚さが薄くなりすぎたりする。
また、本発明において、成分(B)と被覆部を除いた成分(A)(二つの成分(B)に挟まれた部分)は繊維横断面で見て実質的に偏平形状を呈しており、しかも繊維横断面において、成分(B)の長辺方向の先端部は成分(A)からなる被膜の存在によって繊維表面から0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.1〜1.0μmに位置していることが重要である。
繊維表面と成分(B)との間に形成された成分(A)の被覆の厚さが0.05μmより薄い場合には、カード工程やニードルパンチ工程において、被膜が擦過されて、成分(A)と成分(B)とが剥離、割繊してしまい、不織布の製造工程通過性が悪くなる。一方、厚みが1.5μmを越えると、カード工程やニードルパンチ工程での剥離、割繊は十分に阻止できるが、後の水流絡合処理などによって剥離、割繊させて極細化する際に、割繊しにくくなる。
本発明においては、複合ステープル繊維を含む不織布などの繊維構造体に水流絡合等の物理的手段で割繊処理を施すことによって、繊維構造体内に成分(A)からなる極細繊維と成分(B)からなる極細繊維が形成されるが、例えば、ワイパーとしての性能や人工皮革とした場合の風合いや発色性を考慮すると、成分(A)及び成分(B)共に偏平断面となっていることが重要である。
例えば、本発明の複合ステープル繊維を用いて高品質の人工皮革を得るにあたり、スエード調やヌバック調などの起毛品では、単繊維の太さが細いほど手触り感がよく、0.1デシテックスより細い繊維、つまり直径約3μmより細い繊維を使うことが好ましい。したがって、複合ステープル繊維を分割処理した後の成分(A)と成分(B)のそれぞれからなる極細偏平繊維の単繊維は、図2a及び2bに示した短辺方向の厚さ(D)が3μm以下であることが好ましい。3μmより厚い場合は、手触り感が悪くなる場合がある。
さらに、人工皮革用として用いる場合には、発色性が良好であることが重要である。そのためには、図2a及び2bに示した、分割後に形成された偏平極細繊維の長辺方向の長さ(L)と短辺方向の厚さ(D)との比(L/D、偏平度)が2以上であることが望ましい。該比が2未満の場合は、発色性が上がらないために、染料を多量に用いて染めなければならず、染色コストが高くなるので好ましくない。
さらに、分割後の偏平極細繊維の短辺方向の厚さ(D)が薄いほど手触り感が良好で、偏平比も高い方が染色による発色性もよいが、厚さ(D)が薄くて繊度が小さくなりすぎても発色性が上がらなくなる。そこで、手触り感がよく、発色性をよくするためには分割後の各偏平極細繊維の単繊維繊度は、0.02デシテックス以上であることが好ましい。単繊維繊度の上限は極細繊維としての効果を発揮できる範囲であればよく、特に限定されないが、0.6デシテックス以下であることが好ましい。
本発明の複合ステープル繊維の分割・割繊は、主に高圧水流処理、バフィングなどの物理的手段によって行われるが、この分割・割繊は、横断面における、成分(B)の長辺方向の両先端の略円弧状になっている頂点、即ち、成分(A)からなる被膜の最も薄い箇所から発生しやすい。そして割繊によって形成される成分(A)の断面は、図2aに示すようにアルファベットの大文字の「I」の字のような形態を呈しており、その長辺方向のそれぞれの両端部には、先細形状を有する2個の突起構造が長辺方向とほぼ直交(60〜120°)する方向に延びて形成されている。この先細状の突起構造は、成分(A)からなる被膜の厚さが最も薄い箇所で割繊された被膜の残部に由来する構造である。
本発明においては、この先細状の突起構造が鋭角エッジとして機能し、例えば、ワイパーとした場合に鋭角エッジ構造によって汚れ等が除去されやすく、良好な拭き取り性を示す。また、分割・剥離によって形成された成分(A)からなる偏平極細繊維と成分(B)からなる偏平極細繊維との繊維間空隙に汚れが取り込まれることでさらに拭取り性が向上するものである。
次に、本発明の複合ステープル繊維の製造法について述べる。
本発明においては、高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)とをそれぞれ別々の溶融押出し機で溶融し、これを常法により交互に配列させた状態で紡糸口金に導き吐出させるものであるが、特に、紡糸パックの内部において、成分(B)と紡糸パック内の壁面とが接触する部分において、成分(B)の表面張力によりその端部が丸みをおび、その隙間へ成分(A)が流れ込むことにより、成分(A)によって繊維断面の外周全体が被覆された形態の本発明の複合ステープル繊維が得られるものである。
そして、複合ステープル繊維の横断面において成分(B)の端部が丸みをおびるためには、紡糸パック内における成分(A)と成分(B)の溶解度パラメーター(SP値)ならびにそれぞれの紡糸温度での溶融粘度が下記式(1)に示す特定の関係を満たす必要がある。
η−η≦−200×(SP−SP) (1)
η ;成分(A)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
η ;成分(B)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
SP;成分(A)の溶解度パラメーター
SP;成分(B)の溶解度パラメーター
なお、本発明における、成分(A)と成分(B)のSP値はP.A.J.Smallが提唱している方法により算出することができる(P.A.J.Small:J.Appl.Chem.,3,71(1953))。
SP値が高い場合には、高分子重合体の極性基がお互いの距離をできるだけ離れるように位置しようとするために表面張力により端部が丸くなりやすい。よって、成分(B)のSP値が成分(A)のSP値より高い方が、その端部がより丸くなり、成分(B)と口金内部の壁面との隙間に成分(A)が流れ込みやすく、該成分(A)が繊維断面の周囲全体を覆い被膜を形成しやすい。しかし、成分(B)のSP値が成分(A)のSP値より高くても、紡糸温度での成分(A)の溶融粘度が成分(B)の溶融粘度よりも高すぎる場合には、SP値の効果よりも溶融粘度の効果の方が勝り、成分(A)の端部が丸くなりやすく被膜を形成しにくくなる。そこで、成分(B)のSP値が成分(A)のSP値より高い場合でも、成分(A)の溶融粘度を成分(B)の溶融粘度よりも、SP値の差の200倍よりも大きくしないことが重要である。
また、紡糸時の成分(B)の溶融粘度は、成分(A)の溶融粘度より高い方が、成分(B)の端部がより丸くなり、成分(B)と口金内部の壁面との隙間に成分(A)が流れ込みやすく、繊維の断面の周囲全体を覆う被膜を形成しやすい。しかし、成分(B)の溶融粘度が成分(A)の溶融粘度より高くても、紡糸時の成分(A)のSP値が成分(B)のSP値よりも高すぎる場合には、溶融粘度よりSP値の効果の方が勝り、成分(A)の端部が丸くなりやすく被膜を形成しにくくなる。したがって、成分(A)のSP値が成分(B)のSP値より高い場合には、成分(B)の溶融粘度を成分(A)の溶融粘度よりも、SP値の差の200倍より大きくすることが重要である。
上述のように、成分(A)と成分(B)とのSP値のバランス、または溶融粘度のバランスを特定の条件を満たすように設定するによって、成分(B)の端部が丸くなり、成分(B)の端部と口金内部の壁面との隙間に成分(A)が流れ込むようにすることができるが、さらに本発明においては、紡糸パック内で成分(A)及び成分(B)を溶融状態で交互に配列させた後にノズル孔から吐出させるまでの時間を長くすることが好ましい。すなわち、吐出までの時間が長いので、その間にノズル孔の壁面との接触によるずり効果によって、成分(A)が成分(B)にまわり込みやすくなり、被膜が形成され易いのである。具体的には、通常紡糸するために必要な構造の紡糸パックを用いた場合の時間に対して、1.5倍から8倍長い時間にすることが好ましい。さらには2倍から5倍の範囲にあることが好ましい。1.5倍より短い場合には接触によるずり効果が起こりにくく、被膜を形成することができない。また、8倍よりも長い場合には、紡糸パック内での滞留時間が長くなり、成分(A)または成分(B)の高分子重合体が熱劣化してしまうために、紡糸時に糸切れを起こすようになり、工程調子が悪化する。
紡糸口金から吐出された後は、従来公知の複合紡糸繊維の製造技術により、延伸、捲縮、乾燥、カットなどの工程を経て本発明の複合ステープル繊維とすることができる。
本発明における複合ステープル繊維を構成する成分(A)及び成分(B)としては、SP値、溶融粘度のバランスを考慮して組み合わせれば、その用途、性能に応じて任意に選ぶことができる。但し、成分(A)と成分(B)の組み合わせとしては、それぞれのSP値の差が1以上であることが望ましい。SP値の差が1未満の場合には、高分子重合体同士の相溶性が高いために、接合面での接着性が高く、カード処理やニードルパンチ処理の工程通過性は良好であるが、その後の分割、割繊が起こりにくくなってしまう。
この点を考慮すれば次のような高分子重合体の中から、その目的、用途に応じて成分(A)と成分(B)を選ぶことができる。その例としては、ポリエチレンテレフタレート系やポリブチレンテレフタレート系などのポリエステル系重合体、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系重合体、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系重合体、その他にポリスチレン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などを挙げることができ、各成分には1種、または2種以上が用いられる。
ポリエチレンテレフタレート系重合体および/またはポリブチレンテレフタレート系重合体は、必要に応じて他のジカルボン酸成分、オキシカルボン酸成分、他のジオール成分の1種または2種以上を共重合単位として有していてもよい。その場合に、他のジカルボン酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体;5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)などの金属スルホネート基含有芳香族カルボン酸誘導体;シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。また、オキシカルボン酸成分の例としては、p−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸またはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。ジオール成分としてはジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール;1,4−ビス(β−オキシエトキシ)ベンゼン、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールなどを挙げることができる。
特に本発明では、成分(A)としてポリエチレンテレフタレート等のポリエステルを用い、成分(B)としてナイロン6などのポリアミドを用い、これらのSP値と溶融粘度とのバランスを上記式(1)を満たすように選択することが好ましい。ポリエチレンテレフタレートのSP値は10.5であり、ナイロン6のSP値は13.5であるからこれらの値を式(1)に代入すると、η−η≦−200×(10.5−13.5)=600となり、両重合体の紡糸時の溶融粘度差が本式を満たすようにそれぞれの重合体の重合度や、紡糸条件を決定すればよい。例えば、極限粘度〔η〕が0.5〜0.8dl/g(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの等量混合溶媒中、30℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを用いて紡糸温度を275〜310℃の範囲で、また96%硫酸に対する相対粘度(濃度:1g/100ml、測定温度:25℃)が1.5〜4.0のナイロン6を用いて紡糸温度を235〜300℃の範囲のなかから上記式(1)を満たすような組み合わせのポリマーを選択すればよい。
本発明の複合ステープル繊維の複合断面形態としては、用途、性能に応じて多層型、中空多層型、花弁型、中空花弁型にすることができるが、ワイピング用途及び人工皮革用途においては、成分(A)と成分(B)とが交互に積層した多層型の貼り合わせ型複合断面形態の繊維とすることが好ましい。また、丸形断面に限らず異形断面繊維であっても差し支えない。
複合ステープル繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、例えば、0.5〜30デシテックスの範囲で用途に応じて任意に選ぶことができる。また、カット長もその用途により、1mm〜20cmの範囲で任意に選ぶことができる。
さらに、本発明の複合ステープル繊維には、必要に応じて各種添加剤を配合し使用することができる。例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子などが含まれてもよい。また、添加剤の配合は成分(A)、成分(B)のいずれか一方でもよいし、または両方であってもよい。
次に、本発明の複合ステープル繊維を含む繊維構造体の製造方法について説明する。基本的には、用途毎に求められる物性に応じて各種の最適な製造方法を採用すればよいが、例えば、複合ステープル繊維を20重量%以上と他の繊維とからなる原綿を用い、これをカード処理して得られるウエッブを、ウォータージェットにて割繊、絡合させることによって繊維構造体を得ることができる。また、複合ステープル繊維を20重量%以上用いてカード処理してできたウエッブを、ニードルパンチ処理して絡合させた後に、バフィングなどの物理的方法により割繊させて繊維構造体を得ることもできる。
また、複合ステープル繊維を20重量%以上含む紙料を用いて抄造することによってシート状繊維構造物を得、これをウォータージェットによって割繊、絡合させることによって繊維構造体を得ることができ、さらにシート状繊維構造物を、ニードルパンチ処理して絡合させた後に、バフィングなどの物理的方法により、割繊させて繊維構造体を得ることもできる。さらにまた、複合ステープル繊維を予め物理的方法により割繊させた紙料を20重量%以上用いて抄造することによっても繊維構造物を製造することができる。
繊維構造物の複合ステープル繊維含有量が20重量%未満の場合には、分割後の成分(A)からなる極細偏平繊維の鋭角エッジ断面による効果が発現しにくく、例えば、ワイパーとしての拭き取り性能が十分でなく、また、シート状構造物の場合、偏平断面による光沢が現れにくくなる。
本発明の複合ステープル繊維と混ぜて使用する他の繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維などの合成繊維、また、パルプ、綿、麻などの天然繊維などの繊維を選ぶことができる。また、2種類以上の繊維を用いても良い。
本発明においては、さらに、複合ステープル繊維を含む各種の繊維構造物を、織物、編物などの他の繊維構造体に積層・交絡させることもできる。また、交絡された後の繊維構造物に対して物理的処理を施して複合ステープル繊維を割繊させることもできる。
本発明は、複合ステープル繊維の分割処理方法として、水流絡合処理やバフィング処理などを採用した場合に最大の効果を発現するものであるが、成分(A)がポリエステルである場合は、アルカリ減量処理で分割処理を行なうことを妨げるものではない。
上記繊維構造体は、種々の用途に使用することができ、例えば、繊維構造体をそのままで、または必要に応じて、繊維構造体に各種の樹脂を含浸させてワイパーとして使用することもできる。
さらには、繊維構造体を目的に応じた方法により加工して人工皮革を得ることが可能である。例えば、カード処理、ニードルパンチ処理後に水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ減量などの化学的な方法により割繊させて得られた繊維構造体に、ポリウレタン樹脂を含浸させた後に表面を染色して人工皮革を得ることができる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれによって何ら限定されるものではない。
以下の例において、各種高分子重合体を組み合わせた複合ステープル繊維と形成された被膜の厚さ、分割後の偏平繊維の断面の厚さDと長さLの割合である偏平比L/D、該複合ステープル繊維を用いてのカード通過性、ニードルパンチ通過性、水流絡合による割繊性、人工皮革用基布にした後の手触り感、染色時の発色性を示す。また、得られたウェッブを用いての拭き取り性の評価を行った。また、実施例中のポリエステルの極限粘度〔η〕はフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの等量混合溶媒を用いて30℃で測定したものであり、ナイロンの相対粘度は硫酸96%に対する相対粘度(濃度:1g/100ml、測定温度:25℃)を示すものである。
尚、被膜の厚さの測定方法、分割後の偏平繊維の断面の厚さDと長さLの割合である偏平比L/Dの測定方法、カード、ニードルパンチ、水流絡合の処理方法、人工皮革用基布にした後の染色時の発色性の測定方法は下記の通りである。また、ウェッブを用いての拭き取り性の評価方法は下記の通りである。
[複合ステープル繊維の被膜の厚さ測定]
繊維の両端を固定し、緊張させた状態で、100℃の湯浴に10分間入れて、成分(A)と成分(B)の収縮差によって接合面に亀裂を生じさせた後に、断面をカットし、走査型電子顕微鏡にて被膜の厚さを測定した。
[分割後の偏平繊維の断面の厚さDと長さLの偏平比L/Dの測定]
上記の被膜の厚さ測定に用いたサンプルにおいて、接合面に亀裂が生じた断面上の高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)それぞれから成る偏平状繊維の厚さDと長さLを走査型電子顕微鏡にて測定し、偏平度L/Dを計算した。
[分割後の偏平繊維の単繊維繊度]
上記で求めた偏平繊維の厚さDと長さLから繊維の断面積を計算し、各重合体の密度を掛けて繊度を計算した。
[カード処理]
50g/mの目付になるように、複合ステープル繊維を用いてミニチュアカードを通してウエッブを作成し、ネップの有無、またカード処理後の繊維の側面状態を光学顕微鏡にて観察した。
[ニードルパンチ処理]
カード、クロスラッパーの工程を経て、目付重量が180g/mであるウエッブを作成し、1000本/cmのニードルパンチ処理を行なった後に、ウエッブの内部の状態を走査型電子顕微鏡により複合ステープル繊維が剥離、割繊しているか観察した。
[水流絡合処理]
カード工程を経て、目付50g/mのウエッブを作成し、30〜60kg/cmの水圧で水流処理を行なった後に、ウエッブの内部の状態を走査型電子顕微鏡により複合ステープル繊維が剥離、割繊しているか観察した。
[人工皮革用基布の染色時の発色性]
上記のニードルパンチ処理したウエッブの表面をバフィングして、割繊させた後に下記の方法により染色し、このウエッブの反射率によって、Kubelka−MunkのK/S値を求め、3段階評価した。
染色条件
1.プレセット;170℃
2.分散染色 ;染料(CI Disperse Red183)を用いて、
125℃で40分間処理
3.リラックス処理;85℃で20分間処理
4.酸性染色 ;染料(CI Acid Red215)を用いて、98℃
で40分間処理
5.ソーピング;アミラジンD(第一工業製薬(株)製)を用い、70℃で
20分間処理
6.ファイナルセット;160℃
発色性評価
A;極めて良い(K/S値;16以上)
B;良好 (K/S値;14〜16)
C;普通 (K/S値;12〜14)
D;悪い (K/S値;12以下)
[人工皮革用基布の手触り感]
上記方法により染色された基布の手触り感を以下の4段階にて評価した。
A;極めてソフトで滑らか
B;ソフトで滑らか
C;やや硬い
D;硬くてザラつく
[拭き取り性評価方法]
ガラス板の上に市販の墨汁で直径2cmの円を描いてよく乾かす。乾いた後に5×5cmのウェッブ試料を置き、さらにその上に500gの荷重を置く。この荷重を載せたウェッブをガラスの上で、一定速度で往復させて、ガラスの上に描いた墨汁の円が何往復で消えるかを調べた。
実施例1
高分子重合体成分(A)としてポリエチレンテレフタレート(SP値;10.5、〔η〕=0.58dl/g)を用い、高分子重合体成分(B)としてナイロン6(SP値;13.5、相対粘度=2.45)を用いて、両者の重量比(前者/後者)を75/25の割合で、合計11層に交互に配列させた後に285℃で口金より吐出させ紡糸した。紡糸時の見かけの溶融粘度はそれぞれ1000ポイズ、1200ポイズであった。紡糸後、延伸し、機械捲縮を付与し、その後51mmにカットし、図1の断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維は単繊維繊度3,3デシテックスで、5mmおきに切断した5個の切断面での繊維外周面を包む成分(A)の被膜の平均厚さは、0.5μmであった。この複合ステープル繊維を用い、カード処理、水流絡合処理を行なってウエッブを作成したところ、カード処理後では繊維の割繊は見られなかったが、その後の水流絡合処理により繊維は割繊し、極細繊維からなるウエッブを得ることができた。
ここで得られた極細繊維の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、成分(A)からなる極細繊維は、アルファベットの大文字の「I」の字のような形態を呈しており、その長辺方向の両端部には、先細形状を有する突起構造が長辺方向とほぼ直交する方向に延びて形成されていた。
このウエッブをワイパーとして汚れの拭き取り性を調べたところ、従来の丸断面の繊維を用いたワイパーに比べ良好な拭き取り性を示した。
更に、複合ステープル繊維をカード処理、クロスラッパー処理、次いでニードルパンチ処理してウエッブを作成した。ウエッブ作成工程でトラブルは発生せず、良好な通過性を示した。またこのウエッブの内部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、割繊は見られなかった。
比較例1
高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)との重量比を5/95の割合に変更すること以外は実施例1と同様にして繊維化を行なったが、繊維外周面への成分(A)の被膜は形成されておらず不満足なものであった。この複合ステープル繊維を用い、一つはカード処理、水流処理を行なってウエッブを作成し、また一つはカード処理、クロスラッパー処理を経てニードルパンチ処理を行ないウエッブを作成しようとしたが、いずれもカード処理工程でネップが発生し、実用に供し得ないウエッブとなった。また該ウエッブの内部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、繊維が大多数の点で割繊していた。
比較例2
高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)との重量比を95/5の割合に変更すること以外は実施例1と同様にして繊維化を行なったが、複合ステープル繊維の断面を見たところ11層が形成されておらず、目的とする繊維を得ることができなかった。
比較例3
高分子重合体成分(A)としてポリエチレンテレフタレート(SP値;10.5、〔η〕=0.55dl/g)、高分子重合体成分(B)としてナイロン6(SP値;13.5、相対粘度=3.00)を用いて、両者の重量比(前者/後者)を90/10の割合で、合計11層に交互に配列させた後に285℃で口金より吐出させ紡糸した。紡糸時の見かけの溶融粘度はそれぞれ500ポイズ、2000ポイズであった。紡糸後、延伸し、機械捲縮を付与し、51mmにカットした。得られた複合ステープル繊維は単繊維繊度3.3デシテックスで、5mmおきに切断した5個の切断面での繊維外周面を包む成分(A)の被膜の平均厚さは、2.1μmであった。この複合ステープル繊維を用い、カード処理、水流絡合処理を行なってウエッブを作成したところ、カード処理後では繊維の割繊は見られなかった。その後の水流絡合処理によっても成分(A)の被膜が厚いために繊維は絡合したが、割繊しておらず、目的とする極細繊維のウエッブを得ることができなかった。また、このウエッブをワイパーとして汚れの拭き取り性を調べたところ従来の丸断面の繊維を用いたワイパーと拭き取り性に差が見られなかった。
実施例2〜6、比較例4〜6
表1に示すように、成分(A)と成分(B)の重量比率、SP値の組み合わせ、溶融粘度の組み合わせを様々に変化させること以外は実施例1と同様に11層の多層貼り合わせ型の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維を用い、前記実施例1と同様に各ウエッブを形成した。各複合ステープル繊維での、繊維外表面を覆う成分(A)の厚さ、各ウエッブでのカード処理、ニードルパンチ処理、水流絡合処理の結果を表1に示した。
また、割繊後の繊維の断面を走査型電子顕微鏡で確認したところ、本発明のものについて、実施例1と同様の突起状構造を有する成分(A)からなる特異的な断面形態が観察された。
Figure 0004384383
Figure 0004384383
Figure 0004384383
Figure 0004384383
実施例7〜8、比較例7
実施例2で得られた複合ステープル繊維と、ポリエチレンテレフタレートからなる丸断面の1.1デシテックス、51mmの繊維を重量比で50/50(実施例7)、20/80(実施例8)、15/85(比較例7)で混合した後に、カード処理をし、水流絡合処理をして50g/mのウェッブを得た。これを用いて拭き取り性の評価を行ったが、実施例7と8は良好であったが、比較例7は拭き取り性が十分ではなかった。
比較例8
ポリエチレンテレフタレートからなる丸断面の2.2デシテックス、51mmの原綿をカード処理した後に、水流絡合処理をして50g/mのウェッブを得た。これを用いて拭き取り性の評価を行ったが、拭き取り性が十分ではなかった。
比較例9
ポリエチレンテレフタレートからなる丸断面の1.1デシテックス、51mmの原綿をカード処理した後に、水流絡合処理をして50g/mのウェッブを得た。これを用いて拭き取り性の評価を行ったが、拭き取り性が十分ではなかった。
<評価>
実施例1と2、7と8で得られた水流絡合ウェッブと、比較例7〜9で得られたウェッブを用いてワイパーとしての拭き取り性及び人工皮革用基布としての評価を行ない、その結果を表2に示した。
Figure 0004384383
産業上の利用の可能性
本発明によれば、不織布製造工程におけるカード処理、ニードルパンチ処理によっては繊維が分割・剥離することがなく、最終的な水流絡合処理などの物理的処理時にのみ分割剥離を生じる、繊維の外周全体が高分子重合体成分(A)で覆われた複合ステープル繊維を得ることができる。また、そのようにして得られた偏平極細繊維は、鋭いエッジ構造を有しているため良好なワイピング性能を示し、また、特定の偏平構造を有することで、手触り感や発色性に優れた人工皮革用の基布を与える。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の複合ステープル繊維の一例を示す断面図であり、
図2aは複合ステープル繊維を分割処理して形成された高分子重合体成分(A)からなる偏平極細繊維の断面図であり、
図2bは複合ステープル繊維を分割処理して形成された高分子重合体成分(B)からなる偏平極細繊維の断面図である。

Claims (8)

  1. 高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)とが繊維横断面において交互に配置された貼り合わせ型の複合形態を有するステープル繊維であって、
    高分子重合体成分(B)は高分子重合体成分(A)によって完全に被覆されており;
    高分子重合体成分(B)と被覆部以外の高分子重合体成分(A)は実質的に偏平形状を呈し;
    高分子重合体成分(B)の長辺方向の先端部は横断面における形状が円弧状で、繊維表面から内側0.05μm〜1.5μmに位置し、かつ、
    高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)の重量比が90/10〜10/90であり、
    前記繊維横断面において、高分子重合体成分(A)及び高分子重合体成分(B)の短辺方向の厚さ(D)がそれぞれ0.5μm〜2.7μmの範囲及び0.4μm〜2.9μmの範囲であり、高分子重合体成分(A)、(B)両成分における長辺方向の長さ(L)と短辺方向の厚さ(D)との比(L/D)がそれぞれ2以上であることを特徴とする複合ステープル繊維。
  2. 高分子重合体成分(A)がポリエステルであり、高分子重合体成分(B)がポリアミドである請求項に記載の複合ステープル繊維。
  3. 請求項1又は2に記載の複合ステープル繊維の製造方法であって、
    高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)とが繊維横断面において交互に配置された貼り合わせ型の複合形態を有するステープル繊維を製造するに際し、高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)の溶解度パラメーター(SP値)と紡糸時の溶融粘度が、下記(1)式を満たすように溶融紡糸することを特徴とする複合ステープル繊維の製造方法。
    ηA−ηB≦−200×(SPA−SPB) (1)
    ηA ;成分(A)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
    ηB ;成分(B)の紡糸時の溶融粘度(ポイズ)
    SPA;成分(A)の溶解度パラメーター
    SPB;成分(B)の溶解度パラメーター
  4. 請求項1又は2に記載の複合ステープル繊維を20重量%以上含む繊維構造体であって、該複合ステープル繊維の高分子重合体成分(A)と高分子重合体成分(B)との界面が少なくとも一部剥離して、高分子重合体成分(A)の長辺方向の端部に横断面における形状が突起状の鋭角なエッジ構造が形成され、かつ不織布を構成する繊維同士が絡合されてなる繊維構造体。
  5. 繊維構造体が乾式不織布又は湿式不織布である請求項に記載の繊維構造体。
  6. 織物又は編物と交絡一体化されてなる請求項4又は5に記載の繊維構造体。
  7. ワイパー材である請求項4〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  8. 人工皮革用の基布である請求項4〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
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