JP4383846B2 - ダンパー - Google Patents
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Description
しかしながら、両係合凸部の係合代を大きく設定することは難しいため、強い付勢力の付勢部材を使用すると、予備巻きした付勢部材の付勢力によって予備巻きが解かれてしまうので、強い付勢力の付勢部材を使用することができなかった。
したがって、キャップに相当するローターの部分をハウジングに溶着すると、予備巻きが行えなくなる。
有底筒状のハウジング内に回動可能に収容されたローターがコイルスプリングの付勢力で前記ハウジングに対して回動するのを、前記ハウジング内に充填された粘性流体のせん断抵抗で制動するダンパーにおいて、前記ハウジング内の底、この底と対向する前記ローターの先端の一方に係止部を設け、前記ハウジング内の底、前記ローターの先端の他方に、前記ハウジングに対して前記ローターが回動することによって前記係止部に衝合する係合部を設けたことを特徴とする。
したがって、ローターをハウジング内へセットした後に、コイルスプリングの付勢力を設定するためにローターを軸方向へ移動させる必要性がなくなることにより、強い付勢力のコイルスプリングを使用することができるとともに、キャップをハウジングに溶着するダンパーにも、係止部と係合部とからなる機構を適用することができる。
図1はこの発明の一実施例であるダンパーの一部を破断した分解斜視図、図2は図1に示したハウジングの左側面図、図3は図2のA−A線による断面図、図4は図1に示したローターの右側面図、図5は図4のB−B線による断面図、図6は図1に示した各部品を組み立てたダンパーの正面図、図7は図6に示したダンパーの正断面図、図8(a),(b),(c)は動作説明図である。
そして、有底筒状部12には、図1〜図3に示すように、開放端側に位置する太径穴13a、この太径穴13aよりも細径で太径穴13aに同心で連なり、底まで達する細径穴13bからなる穴13と、底の中心に位置し、ローター31の有底筒状部32の開放端側が回動可能に係合する円柱状のボス部14と、このボス部14の直径部分に位置し、コイルスプリング51の一端側の第1係合部53が回動不可能に係合する係止溝15と、有底筒状部12(ハウジング11内)の底に、有底筒状部12とボス部14との間を所定の高さで、所定の角度範囲を埋める円弧状をした係止部16と、太径穴13aの内周面に軸対称で位置し、軸方向へ所定長延びた2つの係止突起17と、開放端側に90度間隔で円周方向へ交互に位置し、軸方向へ凹部または凸部となる円弧状凹部18および円弧状凸部19と、各円弧状凸部19に位置し、円周方向へ軸対称で延びた周方向スリット20と、円弧状凹部18と円弧状凸部19との境に位置し、底側へ所定長延びた隔離溝21とが設けられている。
なお、係止突起17の高さ(内側方向への出っ張り)は、図2に示すように、内周が細径穴13bの周面と面一になるように設定されている。
そして、有底筒状部32は、図5に示すように、細径部33aと、この細径部33aの右側に同心で連設された、Oリング受け部を兼ねる太径部33bと、この太径部33bの右側に同心で連設された中径部33cとからなり、中径部33cの右端から太径部33bへ達する円筒状の穴34が設けられている。
また、穴34の底には、図4および図5に示すように、太径部33bの直径部分に位置して細径部33aの右端近傍へ達するコイルスプリング51の他端側の第2係合部54が回動不可能に係合する係止溝35が設けられ、ハウジング11の係止突起17に対応する中径部33cの位置に、図1、図4および図5に示すように、弾性係合突起36が設けられ、中径部33cの開放端(右端)には、図1、図4および図5に示すように、中心角で120度位のハウジング11の有底筒状部12の底に当接または摺接し、ハウジング11の係止部16に衝合する、軸方向へ突出した係合部40が設けられている。
そして、弾性係合突起36は、図1および図5に示すように、円周方向へ開放するコ字状の切欠孔37を中径部33cに設けることによって形成された弾性片38と、この弾性片38の円周方向の先端の外周面に位置し、中径部33cの外周面から突出して中径部33cの軸方向へ延び、ハウジング11の係止突起17に係合する突起(突条)39とで構成されている。
この弾性係合突起36は、ハウジング11の係止突起17に対応させて、軸対称の位置に2つ設けられている。
なお、係合部83および円弧状周方向凸部84の外径は、ハウジング11の有底筒状部12の外径とされている。
まず、有底筒状部12の開放端側を上側にしてハウジング11を直立させ、第1係合部53側を下側にし、第1係合部53側を係止溝15に対応させてコイルスプリング51を穴13内へ挿入し、第1係合部53を係止溝15に係合させた後、シリコーンオイル61を穴13内へ所定量注入する。
そして、有底筒状部32側を下側にし、コイルスプリング51の第2係合部54に係止溝35を対応させ、ローター31を穴13内へ挿入する。
このようにしてローター31を穴13内へ挿入すると、穴13,34内の空気は切欠孔37から抜け出し、コイルスプリング51の第2係合部54は係止溝35に係合する。
そして、軸部41をOリング71内へ挿入させながら、Oリング71を太径部33bに当接させるように、有底筒状部12と有底筒状部32との間に位置させる。
このとき、Oリング71は、隔離溝21の下側に位置する。
そして、筒部82がOリング71に当接、または、Oリング71を押圧、変形させることにより、筒部82が下降して係合部83が周方向スリット20と対向すると、有底筒状部12が自身の弾性で元の筒状に復帰するので、係合部83が周方向スリット20内へ突入して係合し、キャップ81への押圧力を解除しても、係合部83が周方向スリット20に係合した状態を維持することにより、図6および図7に示すように、ダンパーDを組み立てることができる。
そして、ローター31の係合部40がハウジング11の係止部16に衝合することにより、ローター31の回動が停止し、予備巻きの付勢力が設定される。
したがって、ローター31をハウジング11内へセットした状態で、係合部40を係止部16に衝合することにより、予備巻きが完了する。
なお、ハウジング11が電子機器の本体に係合脚片22を利用して回らないように取り付けられ、軸部41が電子機器の扉に平坦部42で一体的に回るように取り付けられ、コイルスプリング51に巻き解く付勢力が蓄積され、その付勢力で本体に対して扉を閉成方向へ付勢しているものとする。
そして、扉が閉じられている状態の、ハウジング11とローター31との位置関係は、図8(a)に示す状態であるものとする。
このようにして扉を開けると、ローター31が反時計方向へ回動することによってコイルスプリング51が巻き込まれ、コイルスプリング51に巻き解く付勢力が蓄積される。
そして、扉から手を離すと、コイルスプリング51に巻き解く付勢力が蓄積さているので、この付勢力によって扉が時計方向へ回動し、閉じられる。
このようにしてコイルスプリング51の巻き解く付勢力で扉が閉じるとき、ハウジング11の有底筒状部12内で回動するローター31の有底筒状部32がシリコーンオイル61のせん断抵抗で制動されることにより、扉の閉じる動作が制動され、扉はゆっくりと閉じることになる。
しかし、弾性片38を弾性変形させて突起39が係止突起17を乗り越える力に対応する回動トルクでローター31を反時計方向へ回動させると、図8(b)に示すように、弾性片38が弾性変形して突起39が係止突起17に乗り上がることにより、ローター31を反時計方向へさらに回動させることができる。
なお、突起39が係止突起17を乗り越えると、突起39は弾性片38の弾性によって元の状態、すなわち、係止突起17に衝合する状態に復帰する。
したがって、突起39が係止突起17に衝合する角度以上に扉を開けることができる。
そして、扉から手を離すと、コイルスプリング51に巻き戻す付勢力が蓄積さているので、この付勢力によって扉が時計方向へ回動し、閉じられる。
このようにしてコイルスプリング51の巻き解く付勢力で扉が閉じるとき、ハウジング11の有底筒状部12内で回動するローター31の有底筒状部32がシリコーンオイル61のせん断抵抗で制動されることにより、扉の閉じる動作が制動され、扉はゆっくりと閉じることになる。
なお、開放位置にロックされた扉を閉じる場合は、扉を手で押すことにより、突起39が係止突起17を乗り越えると、コイルスプリング51の巻き解く付勢力によって扉がゆっくりと閉じる。
したがって、ローター31をハウジング11内へセットした後に、コイルスプリング51の付勢力を設定するためにローター31を軸方向へ移動させる必要性がなくなることにより、強い付勢力のコイルスプリング51を使用することができるとともに、キャップをハウジングに溶着するダンパーにも、係止部16と係合部40とからなる予備巻き設定機構Pを適用することができる。
また、開放位置ロック機構Lを設けたので、扉(または蓋)を所定の開放位置にロックすることができる。
したがって、扉(または蓋)を閉じる方向へコイルスプリング51の付勢力で付勢している場合、開放位置ロック機構Lを動作させて扉(または蓋)を開放位置にロックすることにより、扉(または蓋)から手を離した状態で所望の操作、作業を行うことができる。
そして、弾性片38に突起39を設けた弾性係合突起36の例を示したが、有底筒状部12,32の弾性変形を利用することにより、双方を係止突起としても、同様に動作させることができる。
また、付勢部材としてコイルスプリング51を用いた例を示したが、同様に機能する他の付勢部材であってもよい。
さらに、粘性流体としてシリコーンオイル61を用いた例を示したが、同様に機能する他の粘性流体、例えば、グリースなどであってもよい。
そして、キャップ81を備えたダンパーDの例を示したが、キャップのないダンパーにも適用することができる。
11 ハウジング
12 有底筒状部
13 穴
13a 太径穴
13b 細径穴
14 ボス部
15 係止溝
16 係止部(予備巻き設定機構)
17 係止突起(開放位置ロック機構)
18 円弧状凹部
19 円弧状凸部
20 周方向スリット
21 隔離溝
22 係合脚片
31 ローター
32 有底筒状部
33a 細径部
33b 太径部
33c 中径部
34 穴
35 係止溝
36 弾性係合突起(開放位置ロック機構)
37 切欠孔
38 弾性片
39 突起(突条)
40 係合部(予備巻き設定機構)
41 軸部
42 平坦部
51 コイルスプリング(付勢部材)
52 コイル部
53 第1係合部
54 第2係合部
61 シリコーンオイル(粘性流体)
71 Oリング(封止部材)
81 キャップ
82 筒部
83 係合部
84 円弧状周方向凸部
P 予備巻き設定機構
L 開放位置ロック機構
Claims (1)
- 有底筒状のハウジング内に回動可能に収容されたローターがコイルスプリングの付勢力で前記ハウジングに対して回動するのを、前記ハウジング内に充填された粘性流体のせん断抵抗で制動するダンパーにおいて、
前記ハウジング内の底、この底と対向する前記ローターの先端の一方に係止部を設け、
前記ハウジング内の底、前記ローターの先端の他方に、前記ハウジングに対して前記ローターが回動することによって前記係止部に衝合する係合部を設けた、
ことを特徴とするダンパー。
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