JP4383784B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置、静電記録装置、磁気記録装置などに用いられる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成法としては、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られている。例えば、電子写真法は、一般には光導電性物質を利用した感光体などの像担持体の上に、種々の手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像のトナー像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0003】
こういった方法では一般に、転写後に像担持体上に記録媒体に転写せずに残余したトナーが、種々の方法でクリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄えられるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返される画像形成法が用いられてきた。ただ、この画像形成方法には廃トナー容器が必須のため、現在の市場ニーズの1つである装置の小型化には不利となる。
【0004】
これに対し、廃トナーの発生しないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されており、装置の小型化にはかなり有効な手段と期待される。このクリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等があるが、詳細かつ具体的なシステム全体の構成については言及されていない。
【0005】
本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、好ましく適用される現像方法として、トナー或いはトナーが像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いはトナーが像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、像担持体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。
【0006】
対して、接触現像系のみならず非接触現像系での現像同時クリーニングも可能とし、さらにオゾンなどの活性イオンが発生せず環境的に好ましい新しい技術として、直接注入帯電機構が提案されている。
【0007】
この直接注入帯電機構について簡単に説明する。
【0008】
直接注入帯電機構とは、接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する機構である。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。但し、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触点数及び接触面積が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材へより密な接触点を持たせる、被帯電体との接触時間を長く維持する等の構成が必要となる。
【0009】
そのうち帯電部材と被帯電体との接触点の密度を大きくする手法としては、帯電部材と被帯電体、いわゆる像担持体との当接部に導電性を有する帯電促進粒子を存在させ、高効率な注入帯電性を確保する方法が提案されている。
【0010】
例えば、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0011】
更にまた、特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粒子を外部添加し、少なくとも可撓性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粒子が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0012】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性微粒子を含む現像剤を直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用し導電性微粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0013】
更に、特開平10−307455号公報では、導電性微粒子の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及び、より良好な帯電均一性を得るために金属化合物微粒子の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0014】
特開平10−307457号公報では、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性微粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0015】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粒子の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、あるいは現像バイアスが導電性微粒子を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粒子の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粒子が埋め込まれ露光光を遮光する弊害も解決し、優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0016】
また、特開2001−235891号公報においては、導電性微粉末を含有する現像剤の粒度分布を厳密に制御し、直接注入帯電性のみならず画像特性も改良する技術が開示されている。
【0017】
しかしながら、これらいずれの手法においても、帯電部材と像担持体との当接部、所謂帯電ニップ部をある程度の幅以上(好ましくは1mm以上)確保する必要がある。そのため帯電部材としては弾性材料を用い、帯電部材及び像担持体共に径の大きなものを使用する必要があり、装置の小型化には限界がある。
【0018】
一方、外部添加剤として導電性微粉末を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粉末としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するため、或いはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着或いは固着するための外部添加剤として用いることが広く知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粉末を外部添加することが開示されている。また、特開昭56−142540号公報では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粉末を添加し、導電性磁性粉末に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立するトナーが提案されている。更に、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平02−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粉末、ポリアニリン導電性粉末を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粉末をトナーに添加することが知られている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−307456号公報、特開平10−307421号公報、特開平10−307455号公報、特開平10−307457号公報、特開平10−307458号公報においては、導電性微粉末の好ましい粒径についてはある程度記載されているものの、粒度分布あるいは構成要素については記載されておらず、常に安定な性能を得るためには更なる改良の余地がある。
【0020】
特開2001−235891号公報についても、常に十分な性能を得られるとは限らず、これまでとは別の尺度での材料の見方が必要であり、やはり改良の余地がある。
【0021】
また、これらの提案では均一かつ十分な帯電性の確保のためには帯電部材と像担持体とがより高い頻度で接触する構成が好ましいとされており、両者の相対移動速度比を高く設定する、あるいは両者の当接部における導電性粒子の介在量を多くするなどの手法が説明されている。
【0022】
しかしながら、接触帯電機構におけるこういった手法は帯電部材と像担持体との磨耗を促進させる方向であり、装置の短寿命化が避けがたい。特に帯電ニップ幅の確保は装置の小型化の障害となる。
【0023】
このように直接注入帯電機構も含めた接触帯電方法においては、均一かつ十分な帯電性の確保と装置の長寿命化、更には装置の小型化まで含めた全てを成立させるという観点でも、未だ十分なレベルとは言いにくい。
【0024】
また、トナーに外部添加剤として導電性微粒子を添加し、画像特性を改良する場合、主に平均粒径に着目して添加剤が選択されることが多い。しかしながら、トナー粒子とこれらの導電性微粒子との相互作用を顧みると、両者の接触点の密度が実は大きな意味を持ち、直接注入帯電機構の場合と同様に、画像特性に多大な影響を及ぼすことは容易に類推されるが、この点に関し詳しく検討された例は数少ない。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための、以下の内容の構成を特徴とする画像形成方法に関する。
【0026】
すなわち本発明は、回転可能な像担持体とニップ部を形成して接触し回転可能でかつ表面に導電粒子を担持した帯電部材による該像担持体の帯電工程と、該導電粒子が前記像担持体に担持されて前記ニップ部へ搬送される工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
前記像担持体の直径をLD(mm)とした時、
LD≦28(mm)
であり、前記帯電部材は多孔体表面を有する弾性体であり、該多孔体表面のセル径が30〜300μmであり、該帯電部材の表面粗さをRa(μm)、前記像担持体に対する侵入量をδ(μm)、前記導電粒子の体積基準の90%径をD90(μm)とした時、2×D90<Ra≦δ
であり、該D90が6.0μm以下であり、該導電粒子の体積基準のメジアン径D50が0.4μm以上4.0μm以下であり、該導電粒子は、少なくとも酸化スズを含有していることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、該導電粒子の比表面積(cm/cm)が5×10以上100×10以下であることを特徴とする。
【0028】
より好ましくは、該導電粒子の比表面積(cm/cm)が10×10以上80×10以下であることを特徴とする。
【0029】
さらに好ましくは、該導電粒子の比表面積(cm/cm)が12×10以上40×10以下であることを特徴とする。
【0030】
好ましくは、該導電粒子の体積抵抗が1×10−1〜1×10Ωcmであることを特徴とする。
【0031】
好ましくは、該導電粒子の体積基準のメジアン径D50が0.4μm以上4.0μm以下であることを特徴とする。
【0032】
より好ましくは、該導電粒子の体積基準のメジアン径D50が0.5μm以上3.5μm以下であることを特徴とする。
好ましくは、該導電粒子の体積基準のD90が6.0μm以下であることを特徴とする。
【0033】
より好ましくは、該導電粒子の体積基準のD90が4.0μm以下であることを特徴とする。
【0034】
好ましくは、該導電粒子の体積基準のD10が0.3μm以上であることを特徴とする。
【0035】
より好ましくは、該導電粒子の体積基準のD10が0.4μm以上であることを特徴とする。
【0036】
好ましくは、該導電粒子は、少なくとも酸化スズを含有していることを特徴とする。
【0037】
好ましくは、該導電粒子はシラン化合物によって表面処理を施したものであることを特徴とする。
【0038】
好ましくは、前記帯電部材は多孔体表面を有することを特徴とする。
【0039】
好ましくは、前記帯電部材はアスカーC硬度が5度乃至40度のローラー部材であることを特徴とする。
【0040】
好ましくは、前記像担持体の直径LD(mm)、と帯電部材の直径LC(mm)とがLC≦LDであることを特徴とする。
【0041】
好ましくは、前記像担持体へ導電粒子を供給する供給工程が前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像工程であり、現像剤は、少なくともトナー粒子と前記導電粒子とを有し、さらに、前記像担持体に残留するトナー粒子を現像工程で回収可能であることを特徴とする。
【0042】
好ましくは、該トナー粒子が少なくとも結着樹脂と着色剤から形成されており、該現像剤の質量平均粒径が3μm以上12μm以下であり、該導電粒子のメジアン径(D50)が現像剤の質量平均粒径未満であることを特徴とする。
【0043】
好ましくは、該トナー粒子に、少なくともシリカ、酸化チタン、アルミナ、又はそれらの複合体またはそれらの混合物の中から選ばれ、平均一次粒径が4nm以上80nm以下である無機微粉体が外添されていることを特徴とする。
【0044】
好ましくは、該現像剤のCarrの噴流性指数が80より大きい値であることを特徴とする。
【0045】
好ましくは、前記帯電部材により前記像担持体を帯電させ、像露光装置により前記像担持体の像担持面を像露光して静電像を形成し、前記像担持体上の静電像を前記現像手段により前記現像剤で現像し、その後前記像担持体上の現像剤像を被転写体へ転写する各工程を含む作像プロセスにより画像を形成し、転写工程後の前記像担持体表面に残留する現像剤を少なくとも前記帯電部材に一時担持し、再び像担持体表面に転移させて前記現像手段に回収することを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0047】
<導電粒子の体積基準のD10、D50、D90、帯電部材>
本発明の画像形成方法における導電粒子の主要な役割は、帯電工程における帯電補助剤と、現像工程における現像補助剤である。
【0048】
本発明の画像形成方法における帯電工程では,帯電部材として弾性体を用いる。これにより像担持体、所謂感光体と当接させた場合適正な接触面積を確保することができ、均一な帯電が可能となる。
【0049】
また、帯電補助剤でもある導電粒子を高密度に担持する必要から、ある程度の粗さも必要となる。ここで帯電部材の表面粗さをRa(μm)とし、導電粒子の体積基準の90%径をD90(μm)としたとき、
2×D90<Ra
と設定する必要がある。
【0050】
上記設定とすることで、帯電部材表面の1つの凹に帯電補助剤である導電粒子がほぼ複数個存在することになり、帯電部材と感光体との接触点が飛躍的に増大して、帯電均一性が大きく向上する。さらに加えて、凹内部での粒子の回転が容易となるため、接触部、所謂ニップ部において帯電部材による感光体の削れが抑えられる。この効果は、帯電部材が感光体と速度差を持って回転している場合により顕著となる。
【0051】
一方、感光体に対する帯電部材の侵入量をδ(μm)とした時、
Ra≦δ
の関係を満たさないと、凹内部の導電粒子が確実に感光体に接触できず、帯電性の大幅な向上は見込めない。
【0052】
即ち、
2×D90<Ra≦δ
の関係を満たすことにより、帯電部材表面の導電粒子担持量が適正となり、ニップ部における感光体の削れが抑制され、かつ感光体と緻密な接触が可能となって帯電均一性が安定化する。
【0053】
こういう意味では、本発明に係る帯電部材は導電粒子を担持するための多孔体表面を有することが好ましい構成である。
【0054】
また、感光体の磨耗を抑制しつつニップ幅を維持するために、本発明に係る帯電部材はアスカーC硬度が40度以下のローラー部材であることが好ましい。硬度が高すぎると感光体との間に帯電ニップ部を確保できないだけでなく、感光体表面へのミクロな接触性が悪くなる。なお、ローラー部材の硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、安定した帯電性が得られないため、アスカーC硬度で10度から40度が好ましい範囲である。
【0055】
ここで、ドラム径をLD(mm)とすると、本発明ではLD≦28(mm)とすることで、現像、露光、転写の配置の自由度を広げたままで、装置の小型化が容易に達成できた。また、帯電ローラ径をLC(mm)とすると、LC≦LDであることがより好ましい。但し、LC<0.2×LDであると帯電性に十分なニップ幅を確保することが難しくなるため、0.2×LD≦LCであることが好ましい。更には、LD≦25とすれば、コスト削減と装置の小型化を一層無理なく設計でき、それでも本発明の構成であれば帯電均一性の向上と感光体磨耗抑制の効果が十分見込まれる。
【0056】
上述の導電粒子は、体積基準のメジアン径(D50)が0.4μm以上4.0μm以下が好ましく、0.5μm以上3.5μm以下がより好ましく、トナーの質量平均粒径未満であることが一層好ましい。更にはD90が6.0μm以下が好ましく、4.0μm以下がより好ましい。
【0057】
一般に粒子同士の相互作用による付着力は、粒子同士の粒径差が大きいほど強い。上述の如く、本発明に係る導電粒子が帯電補助剤として作用するには、転写工程後にトナー粒子と分離して導電粒子のみを積極的に帯電部材へと搬送する必要があり、導電粒子とトナー粒子との相互作用が強すぎてはそれが困難となる。加えて本発明に係る導電粒子の主要な役割の一つとして、現像工程においてトナー粒子との接触摩擦における摩擦帯電特性の改良からの現像補助効果も挙げられ、導電粒子とトナー粒子とが強く付着してはその効果が発現されにくい。これらを加味すると、本発明に係る導電粒子の好ましいD50は0.4μm以上であり、0.5μm以上であれば一層好ましい。D50が0.4μm未満の導電粒子はトナー粒子と分離しにくく、帯電補助剤さらには現像補助剤としての作用が不十分となる。
【0058】
一方、D50が大きくなるとトナーとの相互作用が弱くなり、摩擦帯電特性などの改良効果が低下する。特に導電粒子のD50が現像剤の質量平均粒径以上となると、相互作用の効果がほとんど見られなくなることに加え、現像電界下では電極として作用してしまい、トナーの動きをむしろ阻害するようになるため、カブリが悪化したり、解像力が低下したりする。カブリの悪化は帯電部材の汚染につながり、帯電性の低下を招く。従って導電粒子のD50は現像剤の質量平均粒径未満で、かつ4.0μm以下が好ましく、3.5μm以下がより好ましい。この理由から導電粒子中には粒径の大きい粒子も少ないことが好ましく、粗粉側の分布の指標としてD90を用いれば、導電粒子のD90は6.0μm以下が好ましく、4.0μm以下ならより好ましいと言える。
【0059】
こういった意味では、導電粒子の粒度分布において、粒径の細かい粒子も少ない方が好ましい。粒度分布における微粉側の分布の指標としては体積基準でのD10を用いることができ、このD10としては0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましい。
【0060】
ここで、導電粒子のD10、D50、D90は以下のようにして測定する。
【0061】
レーザ回折式粒度分布測定装置「LS−230型」(コールター社製)にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布により粒子のD10、D50、D90を算出する。測定は、メタノール10mlに粒子を約10mg加え、超音波分散機で2分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条件で測定を行う。
【0062】
<導電粒子の比表面積>
さらに上記導電粒子は、比表面積が5E5(cm/cm)以上100E5以下が好ましい。
【0063】
本発明者等は、接触帯電法において帯電性の確保と装置の長寿命化の両立に関し、これまで開示されている技術に改良を重ねるべく種々検討を行ったところ、導電粒子のD10、D50、D90のみを制御しただけでは帯電性能にバラツキが見られ、帯電性能を一定に維持した場合装置寿命にバラツキが発生することが明らかとなった。そこで、接触帯電性に必要かつこれまでは見逃されている物性があるはずとの考えで様々な粒子物性に着目して検討を重ねてきた結果、導電粒子の比表面積が重要な物性パラメータがあることが分かり、その値を制御すれば帯電性能及び装置寿命の安定化、さらには両立化が可能となることが明らかとなった。
【0064】
ここで、導電粒子とトナー粒子、及び導電粒子と感光体表面との接触密度について考察し、比表面積の制御という技術ポイントに到達した経緯を説明する。
【0065】
一般に球形と仮定される粒子がほぼ平面と仮定される部材と接触する場合、接点数は1である。これは本発明に係る導電粒子と、感光体やトナー粒子との接触についても当てはまる。そこで帯電性向上のために導電粒子と感光体との接点数を増やすには、接触部に多数の凹凸を形成すれば接触する凸が増加し、接触点を増やすことができる。但し、例えば感光体の表面に多数の凹凸を形成させることは、感光体表面への潜像形成を光露光で行う場合は散乱効果により画質が低下するため好ましくない。さらに転写工程後に感光体表面上に残る転写残トナーをクリーニングする装置を使用する場合には転写残トナーのすり抜けが発生してしまうためやはり好ましくない。これに対し、導電粒子表面に凹凸を形成すれば、感光体との接触点が増加するため帯電性向上が見込まれるうえに、上述のような問題は発生しない。
【0066】
こうして本発明者等は導電粒子表面の凹凸に着目し、帯電性向上の検討を継続した。
【0067】
この粒子表面の凹凸の数の指標としては、粒子粉末の比表面積が通常用いられる。但し、一般に用いられる比表面積はその単位「cm/g」からも分かるように、単位質量当たりの表面積であり、この数値を用いる議論では比重の異なる材料での比較あるいは最適化が容易ではない。
【0068】
そこで本発明者らは比表面積として、粒子1個当たりの表面積に対応する物性である、「cm/cm」単位を採用し、導電粒子と、感光体及びトナーとの接触点数と、帯電性及び画像特性との関係を鋭意検討した。
【0069】
その結果、接触帯電工程を含む画像形成方法において、使用現像剤に含有される導電粒子の比表面積(cm/cm)を5×10以上100×10以下に制御すれば、帯電性並びに画像特性が大きく改善され、加えてこの良好な帯電性を再現良く維持できることが判明した。さらには、帯電部材と感光体との接触による磨耗も軽減されることも明らかになった。
【0070】
この帯電性向上効果は導電粒子と感光体との接触点数を増加させた効果のみならず、導電粒子とトナーとの接触点の増加による接触面積の低下でトナーとの分離性が上がるため、転写工程後帯電部材へ搬送される導電粒子数が増加する効果も含まれると思われる。また画像特性向上効果は、導電粒子とトナーとの接触点の増加で相互作用が増大したためとも思われる。
【0071】
一方、感光体の磨耗の軽減効果の理由に関しては不明な部分が多いが、導電粒子同士の接触面積の低下により帯電部材表面凹部内での個々の粒子が独立に動き易くなり、感光体表面の動きに合わせて転がり易くなるため、接触点数を維持したまま摩擦による磨耗が軽減された可能性がある。
【0072】
但し、比表面積が大きすぎる場合、即ち表面凸部が多すぎる場合は粒子同士の凝集性が強くなって帯電部材表面凹部内での個々の粒子が独立に転がりにくくなるためか、磨耗軽減効果が低下してしまった。より好ましくは10×10以上80×10以下とすることで、より一層好ましくは12×10以上40×10以下とすることで、帯電性向上効果と感光体表面の磨耗軽減効果が同時にかつ大きく発現する。
【0073】
ここで、導電粒子の比表面積は以下のようにして求めた。
【0074】
まず、BET法に従い、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Vre.5.0」(島津製作所社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いてBET比表面積(cm/g)を算出する。
【0075】
次に、乾式自動密度計「Accupyc 1330」(島津製作所社製)を用いて真密度(g/cm)を求める。この際、10cmの試料容器を用い、試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自動測定する。測定は5回行い、その平均値を求め、真密度とする。
【0076】
ここで、粉体の比表面積は以下のようにして求まる。
【0077】
比表面積(cm/cm)=BET比表面積(cm/g)×真密度(g/cm
<導電粒子の抵抗>
本発明に係る導電粒子の好ましい体積抵抗は、1×10−1〜1×10Ωcmである。1×10Ωcmを超えると、接触帯電工程を含む画像形成方法において用いた場合帯電性の改良効果が見込まれない。一方、1×10−1Ωcm未満の場合は高湿下でのトナーの摩擦帯電特性を阻害してしまい、現像性の低下に加えてカブリや転写性の悪化が見られる。
【0078】
ここで、導電粒子の抵抗の測定は以下のようにして行う。
【0079】
円筒形の金属製セルに試料を充填し、試料に接するように上下に電極を配し、上部電極には荷重686kPa(7kgf/cm)を加える。この状態で電極間に電圧Vを印加し、その時に流れる電流I(A)から本発明の抵抗(体積抵抗率RV)を測定する。この時電極面積をS(cm)、試料厚みをM(cm)とすると
RV(Ωcm)=100V×S(cm)/I(A)/M(cm)である。
【0080】
本発明では、電極と試料の接触面積2.26cmとし、電圧V=100Vで測定した。
【0081】
<導電粒子の材質>
本発明における導電粒子としては、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などの導電性微粉末が使用できる。
【0082】
これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが、導電粒子の抵抗を低く設定できること、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電粒子がカブリとして目立たないこと、という点で好ましい。
【0083】
また、導電粒子の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させた金属酸化物の微粒子、導電性材料を表面に有する微粒子なども導電粒子として使用できる。例えば、アルミニウム元素を含有する酸化亜鉛微粒子、アンチモン元素を含有する酸化スズ微粒子などである。
【0084】
但し、一般にアンチモン元素の導入による抵抗制御は粉末の青黒色性が増すため好ましくない。
【0085】
なお、本発明においては導電粒子として酸化錫を含有する粒子を用いた場合に、感光体の磨耗軽減効果が増幅された。この理由は不明だが、酸化錫の硬度、付着性及び表面凹凸形状が感光体表面への負荷の少ない条件に適度に合っていたためとも考えられる。従って、該導電粒子が少なくとも酸化スズを含有していることが好ましく、その含有量が多い方が良い。
【0086】
但し、通常の酸化錫がほぼ100質量%の導電粒子では抵抗制御が不十分である。
【0087】
そこで本発明では、色味も淡色で適正な抵抗制御が可能な、還元処理型酸化スズを導電粒子として用いることがより好ましい。
また導電粒子は実質上非磁性であることが好ましい。
【0088】
磁性をもつ粒子であると、例えば磁性トナーに添加した際、トナーから遊離した粒子がトナー担持体に付着して汚染する場合が多々あり、トナーの摩擦帯電特性、そしてそのまま画像特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0089】
一方、導電粒子に適正な表面処理を施して使用することは、感光体の磨耗軽減及び高湿環境下の特性改良の観点から好ましい。離型性の高い処理剤で表面処理を行えば、帯電部材と感光体との摩擦力を導電粒子により低減できるため感光体寿命が一層延命される。また、撥水性処理により導電粒子の吸湿性を抑えれば、導電粒子の摩擦帯電特性が改良され、クーロン力により帯電部材から脱離しにくくなり、帯電性改良効果が向上する。そういう意味では、表面処理の処理剤としてはケイ素化合物が離型性及び撥水性が高く好ましい。
【0090】
<現像剤粒径>
本発明に係る現像剤は質量平均粒径が3μm以上12μm以下であることが好ましい。3μm未満であると転写性の低下やカブリの悪化を伴い、例えば直接注入帯電機構を採用する現像同時クリーニングにおいては、転写残トナーでの帯電部材の汚染による帯電性の低下は避けられない。一方、質量平均粒径が12μmを超えてしまうと画像上の解像性が低下してしまう。
【0091】
現像剤の質量平均粒径及び粒度分布はコールターカウンター法を用いて行うが、例えばコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることが可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上の磁性トナー粒子の体積・個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を算出する。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
【0092】
<現像剤の外添剤>
本発明で使用する上記現像剤には、流動化剤及び転写助剤として平均一次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されるのが好ましい。無機微粉体は、現像剤の流動性改良、トナー粒子の摩擦帯電量均一化、及び転写性の向上のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によって現像剤の摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0093】
無機微粉体の平均一次粒径が80nmよりも大きい場合は、画像濃度が低下し、安定して良好な画像を得ることが困難である。また、良好な現像剤の流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、転写残トナーが多くなる。さらに後述するように現像剤の噴流性指数が低めとなり、クリーナレスシステムにおいては帯電部材の汚染が顕著となるため、本発明に係る導電粒子を用いても帯電性や画像特性の改良が難しい。一方、無機微粉体の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像や、感光体または現像剤担持体等を傷つけることなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の摩擦帯電量分布をより均一とするためには無機微粉体の平均一次粒径は6〜70nmであることが更に好ましい。
【0094】
本発明において、無機微粉体の平均一次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされた現像剤の写真を対照しつつ、トナー表面に付着または遊離して存在している無機微粉体の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径として求めることが出来る。
【0095】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、あるいはそれらの複合酸化物などが使用できる。
【0096】
例えば、シリカ、所謂ケイ酸微粉末としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉末の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO3−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0097】
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナーに対して0.1から3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%を超えると定着性が悪くなる。
【0098】
ここで無機微粉体は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナーと混合された無機微粉体が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量が著しく低下し、カブリや転写性の悪化、さらにはトナー飛散が起こり易くなる。
【0099】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独でまたは併用して処理しても良い。
【0100】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時または処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナーの摩擦帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0101】
無機微粉体の疎水化処理条件としては、以下のとおりである。例えば第一段反応としてシラン化合物でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する。
【0102】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm/sのものが、さらには3,000〜80,000mm/sのものが好ましい。10mm/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0103】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0104】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。
【0105】
あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0106】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉体100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる。
【0107】
次に、現像剤が帯電部材に付着した場合の挙動について考察する。
【0108】
接触帯電部材に現像剤が付着した場合、排除されずに付着したままの状態が継続すると、帯電部材への融着や感光体磨耗などの問題が引き起こされる。現像剤が融着してしまった帯電部材はそれ自身の表面が高抵抗化してしまうため、本発明の画像形成方法の効果だけでは十分とは言い難い。より好ましい状況としては、接触帯電部材が駆動する際の振動などで汚染した現像剤と帯電部材表面との付着力が緩み、帯電部材表面と感光体との電位差などによる電界で汚染した現像剤が感光体上に排除されることである。そのためには、静止状態から流動状態への移行がスムーズな現像剤を用いることが好ましい。
【0109】
現像剤の特性の一つである流動性を評価する方法は数多くあるが、流動性の関係するいくつかの現象・特性のデータを基に、粉体の流動性を総合的に評価する指標としてCarrの噴流性指数がある。
【0110】
噴流性指数はフラッシング現象の起こりやすさの目安である。フラッシングとは、静止された状態で流動性が低下していたものが、振動されて流動し始めると液体のような流動状態になることである。
【0111】
この、噴流性指数値が高くなればなるほど、現像剤の噴流性が高くなることを意味している。
【0112】
本発明において、噴流性指数については、以下の方法で測定した。
【0113】
パウダテスタP−100(ホソカワミクロン社製)を使用し、安息角、崩潰角、差角、圧縮度、凝集度、スパチュラ角、分散度の各パラメーターを測定する。それぞれについて求められた値をCarrの噴流性指数表に当てはめ、各25以下のそれぞれの指数に換算し、各パラメーターから求められた指数の合計を流動性指数・噴流性指数として算出した。以下に各パラメーターの測定方法を示す。
【0114】
▲1▼安息角
現像剤150gを目開き710μmのメッシュを通して直系8cmの円形テーブルの上に現像剤を堆積させる。このとき、テーブルの端部から現像剤があふれる程度に堆積させる。このときのテーブル上に堆積した現像剤の稜線と円形テーブル面との間に形成された角度をレーザー光で測定することで安息角とした。
【0115】
▲2▼圧縮度
疎充填かさ密度(緩み見かけ比重 A)と、タッピングかさ密度(固め見かけ比重 P)から圧縮度を求めることができる。
【0116】
圧縮度(%)=100×(P−A)/P
○緩み見かけ比重測定法 直径5cm、高さ5.2cm、容量100ccのカップに現像剤150gを静かに流し込む。測定用カップに現像剤が山盛りに充填されたところで、現像剤表面をすりきり、カップに充填されている現像剤の量から、緩み見かけ比重を算出する。
【0117】
○固め見かけ比重測定法 緩み見かけ比重で使用した測定用カップに、付属のキャップを継ぎ足す。現像剤をカップに充填し、カップを180回タップさせる。タッピングが終了した時点でキャップを外し、カップに山盛りになっている余分な現像剤をすりきる。カップに充填されている現像剤の量から固め見かけ比重を算出する。
【0118】
両見かけ比重値を圧縮度の式に挿入し、圧縮度を求める。
【0119】
▲3▼スパチュラ角
10cm×15cmのバットの底が3cm×8cmのスパチュラに接するように置く。スパチュラの上に現像剤を堆積させる。このとき、現像剤がスパチュラの上に盛り上がるように堆積させる。そのご、バットだけを静かに下ろし、スパチュラ上に残った現像剤側面の傾斜角をレーザー光により測定する。その後、スパチュラに取り付けたショッカーで一回衝撃を加えた後、再度スパチュラ角を測定する。この測定値と衝撃を与える前の測定値の平均をスパチュラ角として算出した。
【0120】
▲4▼凝集度
振動台の上に、上から目開き250μm、150μm、75μmの順でふるいをセットする。振動振り幅を1mm、振動時間を20秒とし、現像剤5gを静かにのせて振動させる。振動停止後、それぞれのふるいに残った重量を測定する。
(上段のふるいに残った現像剤量)÷5(g)×100…………………a
(中段のふるいに残った現像剤量)÷5(g)×100×0.6………b
(下段のふるいに残った現像剤量)÷5(g)×100×0.2………c
a+b+c=凝集度(%)として算出する。
【0121】
パラメーターから求められた値をCarrの流動性指数、噴流性指数の表(Chemical Engineering.Jan.18.1965)により25以下の指数に換算し、それらの値の合計すればCarrの流動性指数となる。
【0122】
▲1▼+▲2▼+▲3▼+▲4▼=(Carrの流動性指数)
▲5▼崩潰角
安息角測定後,測定用円形テーブルを乗せているバットにショッカーで3回衝撃を加える。その後、テーブルに残った現像剤の角度をレーザー光を用いて測定し、崩潰角とする。
【0123】
▲6▼差角
安息角と崩潰角の差が差角となる。
【0124】
▲7▼分散度
現像剤10gを約60cmの高さから直径10cmのウォッチグラス上に一塊として落とす。そして、ウォッチグラス上に残った現像剤を測り、次の式により分散度を求める。
【0125】
分散度(%)=((10−(皿上に残った現像剤量))×10
▲5▼、▲6▼、▲7▼の値から換算できる指数を、上記で求めた流動性指数値が対応する指数との合計を前述のCarrの表により噴流性指数として求めることができる。
【0126】
この測定を行った時、噴流性指数が80よりも大きい値を示すような噴流性の良い現像剤であれば、接触帯電工程を含むクリーナレスシステムにおいても帯電部材への現像剤の融着が起こり難いため、本発明の画像形成方法による帯電性維持効果及び感光体磨耗軽減効果が十分発揮される。
【0127】
噴流性指数が80以下の場合、帯電部材表面に何層もの現像剤の層が積層されてしまうと力を加えてもなかなか流動しにくいため、そのままプリンタを使用し続けると現像剤は融着してしまい、感光体磨耗が促進されると共に帯電性の維持が難しくなる。
【0128】
上記した現像剤の噴流性指数を達成するためには、現像剤に添加する流動化剤の粒径、添加時に使用する混合装置の処理条件(混合時間など)を変えることで、噴流性指数を変化させることができる。
【0129】
外添処理用の装置としては、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
【0130】
本発明に係る現像剤について更に説明する。
【0131】
本発明に係る現像剤は、保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃、好ましくは50〜70℃である。Tgが45℃より低いと高温雰囲気下での現像剤の劣化や定着時でのオフセットの原因となる。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下する傾向にある。
【0132】
現像剤のガラス転移温度を測定する方法として、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)や、EXSTAR6000、SSC/5200(セイコーインスツルメンツ社製)、DSC2920MDSC(TAインスツルメンツ社製)等を用い、下記の条件にて測定することができる。
【0133】
<現像剤のガラス転移温度測定方法>
試料:0.5〜2mg、好ましくは1mg
温度曲線:昇温I(20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
測定法:試料をアルミパン中にいれ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。吸熱ピークが出る前と出た後のべースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点Tgとした。
【0134】
現像剤材料に用いる結着樹脂成分は、現像剤のTHF可溶成分のGPCにより測定される分子量において、Mn(数平均分子量)が3000〜20000、また、Mw(重量平均分子量)が50,000〜500,000の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば定着性と耐久性のバランスが非常に良い。
【0135】
これらの結着樹脂成分は、現像剤の製造に際し、予めワックス成分を混合、分散させておくこともできる。予めワックス成分を混合しておくことで、ミクロ領域での相分離が緩和され、良好な分散状態が得られる。
【0136】
上記の、現像剤のTHF可溶成分の、THF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0137】
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料のTHF溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製、或いは昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HHXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0138】
試料は以下のようにして作製する。
【0139】
試料をTHFに入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への試料の放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製等が利用できる)を通過させたものを、GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0140】
上述の結着樹脂の種類としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
【0141】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;塩化ビニル;酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0142】
本発明における結着樹脂は、1〜100mgKOH/gの範囲で酸価を有することが好ましい。とくに好ましくは、1〜70mgKOH/gの酸価を有する樹脂である。70mgKOH/gより大きくなると、高湿下での摩擦帯電量が不十分となり、1mgKOH/gより小さいと、低湿下での摩擦帯電速度が遅くなる。
【0143】
結着樹脂の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合し、他のモノマーと共重合させることにより所望の重合体を作ることができる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価値をコントロールする上で好ましい。
【0144】
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類などが挙げられる。
【0145】
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂を構成している全モノマー100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部添加すればよい。
【0146】
結着樹脂の合成方法として本発明に係る現像剤に用いることの出来る重合法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0147】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0148】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都合である。
【0149】
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0150】
また、結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0151】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
【0152】
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0153】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間の分解温度を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0154】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
【0155】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0156】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
【0157】
結着樹脂は架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
【0158】
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0159】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0160】
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0161】
その他の合成方法としては、塊状重合方法、溶液重合方法を用いることができる。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法は、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで、所望の分子量の重合体を温和な条件で容易に得ることができるので好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、開始剤が残留することによる影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
【0162】
本発明に係る現像剤に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0163】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(E)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0164】
【化1】
Figure 0004383784
【0165】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)又(F)式で示されるジオール類;
【0166】
【化2】
Figure 0004383784
【0167】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0168】
また架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0169】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0170】
また、三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
【0171】
【化3】
Figure 0004383784
【0172】
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0173】
アルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0174】
該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0175】
本発明に係る現像剤に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0176】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0177】
本発明に係る現像剤の着色剤としては磁性酸化鉄を用いても良く、その場合磁性現像剤として用いることが出来、磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄が用いられ、その磁性酸化鉄表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0178】
本発明の画像形成方法に磁性現像剤を適用する場合には、そこに使用される磁性酸化鉄は、鉄元素基準で異種元素を0.05〜10質量%含有することが好ましい。とくに好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0179】
また、これら磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部含有されていることが好ましい。更に好ましくは、50〜120質量部含有されていることが好ましい。
【0180】
異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウから選択される元素であることが好ましい。また、以下の、リチウム,ベリリウム,ボロン,ゲルマニウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウム,インジウム,銀元素,パラジウム,金,水銀,白金,タングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロンチウム,イットリウム,テクネチウム等の金属も挙げられる。
【0181】
これらの磁性酸化鉄は個数平均粒径が0.05〜1.0μmが好ましく、更には0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性酸化鉄はBET比表面積は2〜40m/g(より好ましくは、4〜20m/g)のものが好ましく用いられる。形状には特に制限はなく、任意の形状のものが用いられる。磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am/kg(より好ましくは、70〜100Am/kg)、残留磁化が1〜100Am/kg(より好ましくは、2〜20Am/kg)、抗磁力が1〜30kA/m(より好ましくは、2〜15kA/m)であるものが好ましく用いられる。
【0182】
また、本発明の画像形成方法に磁性現像剤を用いる場合は該磁性現像剤の密度が、1.3〜2.2g/cmであることが望ましい。更には、1.5〜2.0g/cmの範囲であることが好ましい。磁性現像剤の質量(密度)は磁性トナー粒子に働く磁気力、静電気力、重力の作用に相関があり、磁性現像剤の密度がこの範囲である場合磁性酸化鉄の作用が適正であるため、帯電と磁気力とのバランスが良く、優れた現像力を示すことが出来る。
【0183】
また、磁性現像剤の密度が1.3g/cm未満の場合、磁性トナー粒子に対する磁性酸化鉄の作用が弱いため、磁気力が低くなる。このため、現像時に感光体へ飛翔するための静電気力が勝り、現像過多の状態となり、かぶりや、消費量の増加につながる。反対に磁性現像剤密度が2.2g/cm超である場合、磁性トナー粒子に対する磁性酸化鉄の作用が強くなり磁気力が静電気力に勝るようになり、その強い磁気力作用が大きく比重も重くなるため、現像時にスリーブから飛翔しにくく、現像不足の状態となり、画像濃度薄や画像劣化につながる。
【0184】
また、上記の磁性酸化鉄は、場合により、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン等で処理しても良い。
【0185】
現像剤は荷電制御剤を含有することが好ましい。
【0186】
現像剤を負荷電性に制御するものとして下記化合物が挙げられる。
【0187】
有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0188】
中でも、下記式(I)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0189】
【化4】
Figure 0004383784
【0190】
〔式中、Mは配位中心金属を表し、Sc,Ti,V,Cr,Co,Ni,Mn又はFe等が挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基及び炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基がある。X,X’,Y及びY’は−O−,−CO−,−NH−,−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。Cはカウンターイオンを示し、水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウム或いはそれらの混合イオンを示す。〕
特に中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基又はアニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムが好ましい。カウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0191】
現像剤を正荷電性に制御するものとして下記の化合物がある。
【0192】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。下記式(II)
【0193】
【化5】
Figure 0004383784
【0194】
〔式中RはH又はCHを示し、R及びRは置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を示す〕
で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合、この単重合体及び共重合体は荷電制御剤としての機能と、結着樹脂(の全部または一部)としての機能を有する。
【0195】
荷電制御剤を現像剤に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0196】
現像剤を製造する方法としては、上述したような現像剤の構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級することによってトナーを得る方法が好ましい。他には、結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法;コア材及びシェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法が挙げられる。更に必要に応じ所望の添加剤とトナーとを混合機により前述した各種方法を用いて十分に混合し、現像剤を製造することができる。
【0197】
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0198】
(実施例)
以下、本発明に係る帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0199】
図1は、本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の概略構成を示す。この画像形成装置100は、転写式電子写真プロセスを利用した、直接注入帯電方式、トナーリサイクルプロセス(クリーナレスシステム)のレーザビームプリンタである。
【0200】
(1)画像形成装置100の全体的な構成
画像形成装置100は、感光体として、回転ドラム型の負極性OPC感光体(ネガ感光体;以下、「感光ドラム」と呼ぶ。)1を有する。感光ドラム1は図中矢印の時計方向に一定速度をもって回転駆動される。感光ドラム1についてはさらに別項で詳述する。
【0201】
そして、画像形成装置100は、本発明に従う粒子帯電型(粉末塗布型)の接触帯電部材である帯電ローラ2と、この帯電ローラ2に対する帯電バイアス印加電源S1とを備える帯電装置2Aを有している。
【0202】
帯電ローラ2は、芯金2aと、この芯金2aの外周に同心一体にローラ状に形成したゴム或いは発泡体の弾性・中抵抗層(以下、「弾性層」と呼ぶ。)2bからなり、更に、弾性層2bの外周面に導電粒子mを担持させて構成される。本実施例では、ローラ外径φ18mm、芯金径φ6mmである。この帯電ローラ2は感光ドラム1に所定の侵入量をもって押圧当接させて、所定幅の帯電接触部(帯電ニップ部)nを形成させている。帯電ローラ2に担持させた導電粒子mが、帯電ニップ部nにおいて感光ドラム1の表面に接触する。帯電ローラの当接条件については、さらに別項で詳述する。
【0203】
帯電ローラ2は、感光ドラム1と同じ図中矢印の時計方向に回転駆動され、帯電ニップ部nにおいて感光ドラム1の回転方向と逆方向(カウンター)で回転することで、導電粒子mを介して感光ドラム1の表面に対して速度差をもって接触する。本実施例では、感光ドラム1と帯電ローラ2とは、帯電ニップ部nにおいて、互いに逆方向に等速(周速度)で回転駆動される。本実施例では、帯電ローラ2と感光ドラム1とを、感光ドラム1の周速度を100%として、帯電ローラ2を70%の周速度にて回転駆動している。周速度については、さらに別項で詳述する。
【0204】
画像形成装置100の画像形成時には、帯電ローラ2の芯金2aに帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアス電圧が印加される。これにより、感光ドラム1の周面が直接注入帯電方式で、所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。本実施例では帯電ローラ2の芯金2aに帯電バイアス印加電源S1から−640Vの帯電バイアスを印加して、感光ドラム1の表面にその印加帯電バイアスとほぼ同じ帯電電位(−620V)を得た。
【0205】
帯電ローラ2の外周面に塗布されている導電粒子mは、帯電ローラ2による感光ドラム1の帯電とともに感光ドラム1の表面に付着して持ち去られる。そして、一部は転写材Pに転写される。従って、それを補うために帯電ローラ2に対する導電粒子の供給手段を必要とする。後述するように、本実施例では、現像装置4が導電粒子mの供給手段として機能する。
【0206】
画像形成装置100は、像露光を行う露光装置(光学系)として、レーザダイオード、ポリゴンミラーなどを備えるレーザビームスキャナ3を有する。このレーザビームスキャナ3は、目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光Lを出力し、このレーザ光Lで感光ドラム1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により感光ドラム1の表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0207】
感光ドラム1上に形成された静電潜像は、次いで現像装置4によって現像される。本実施例では、現像装置4は、負帯電性の一成分磁性現像剤を用いた反転現像装置である。現像装置4の現像容器(現像装置本体)4e内には、詳しくは後述するように、現像剤としてのトナーt(無機微粉体も含む)と導電粒子mとの混合剤t+mを収容させてある。
【0208】
現像装置4は、現像剤担持体として、マグネットロール4bを内包させた、非磁性回転現像スリーブで構成される現像ローラ4aを有する。現像容器4e内に備える混合剤t+m内のトナーtは、現像ローラ4a上を搬送される過程において、現像剤層厚規制部材である現像ブレード4eで層厚規制及び電荷付与を受ける。又、現像装置4は、現像容器4e内の混合剤t+mの循環を行い、順次現像ローラ4aの周辺に混合剤t+mを搬送する攪拌部材4dを有する。
【0209】
現像ローラ4aにコートされたトナーtは、現像ローラ4aの回転により、感光ドラム1と現像ローラ4aとの対向部である現像部位(現像領域)aに搬送される。又、現像ローラ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。本実施例では、現像バイアス電圧は、DC電圧とAC電圧の重畳電圧とした。これにより、感光ドラム1に形成された静電潜像がトナーtにより反転現像される。
【0210】
図2に現像ローラ4aから感光ドラム1に導電性粒子mを供給する電位の関係を示す。例えば現像ローラ4aに現像バイアスとして直流電圧Vdc=−400Vに交流電圧1.2kVを重畳印加した場合、トナーtから離脱した導電性粒子mでポジ性のものは、非画像部(露光暗部)電位VD(−620V)に対し、交流電圧のVminにより820V(|Vmin−VD|=|200−(−620)|)のコントラストをもって現像ローラ4aから感光ドラム1へ飛翔する。
【0211】
又、導電性粒子mでトナーtに付着しているものもあり、感光ドラム1上の画像部(露光明部)電位VLに対し、交流電圧のVmaxにより900V(|VL−Vmax|=|−100−(−1000)|)のコントラストをもって現像ローラ4aから感光ドラム1へ飛翔する。このようにして、現像ローラ4a上から感光ドラム1へ導電性粒子mの供給を行う。
【0212】
感光ドラム1に形成されたトナー像は、次いで接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ6により被記録材としての転写材Pに転写される。転写ローラ6は、感光ドラム1に所定の押圧力で圧接させて転写ニップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに給紙部(図示せず)から所定のタイミングで転写材Pが給紙され、且つ、転写ローラ6に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム1に形成されたトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの表面に順次に転写されていく。
【0213】
本実施例で使用した転写ローラ6は、芯金6aに中抵抗発砲層6bを形成した、ローラ抵抗値5×10Ωのものであり、+2.0kVの電圧を芯金6aに印加して転写を行った。転写ニップ部bに導入された転写材Pは、この転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に感光ドラム1の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0214】
転写ニップ部bに給紙されて感光ドラム1からトナー像の転写を受けた転写材Pは、感光ドラム1の表面から分離されて、本実施例では熱定着方式とされる定着装置7に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0215】
そして、感光ドラム1は再度帯電ローラ2により帯電され、繰り返して画像形成に用いられる。
【0216】
本実施例では、導電粒子mは現像装置4のトナーtに添加してあり、感光ドラム1上の静電潜像の現像時にトナーtと共に感光ドラム1の表面に付着し、感光ドラム1の回転で帯電ニップ部nに持ち運ばれる。つまり、導電粒子mは、感光ドラム1を介して帯電ローラ2に供給される。
【0217】
即ち、本実施例の画像形成装置100はトナーリサイクルプロセスを採用しており、画像転写後の感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーtは専用のクリーニング装置(クリーナ)で除去されることなく、感光ドラム1の回転に伴い帯電ニップ部nに持ち運ばれて、帯電ニップ部nにおいて感光ドラム1の回転に対してカウンター回転する帯電ローラ2に一時的に回収される。そして、このトナーtは、帯電ローラ2の外周を周回するにつれて、反転したトナー電荷が正規化(本実施例では負極性に)され、順次に感光ドラム1に吐き出される。そして、このトナーtは、感光ドラム1の回転に伴って現像部位aに至り、現像装置4により現像同時クリーニングにて回収・再利用される。つまり、次工程以降の現像時、即ち、引き続き感光ドラム1を帯電ローラ2によって帯電し、露光して潜像を形成し、この潜像を現像する時に、かぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する。本実施例のように反転現像方式の場合では、この現像同時クリーニングは、感光ドラム1の暗部電位から現像ローラ4aにトナーを回収する電界と、現像ローラ4aから感光ドラム1の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0218】
(2)感光ドラム1
感光ドラム1について更に詳しく説明する。図3は感光ドラム1の層構成の模式図である。図3(a)は電荷注入層付きの感光ドラム1a、図3(b)は電荷注入層のない感光ドラム1bの層構成の模式図である。
【0219】
図3(b)に示す電荷注入層のない感光ドラム1bは、アルミドラム基体(Alドラム基体)11上に、下引き層12、電荷発生層13、電荷輸送層14の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムである。
【0220】
図3(a)に示す電荷注入層付きの感光ドラム1aは、上記の図3(b)に示す感光ドラム1bに、更に電荷注入層15を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。
【0221】
後に説明するが、本実施例における電荷注入層15は、バインダーとしての硬化型のフェノール樹脂に、導電性粒子(導電フィラー、例えば粒径約0.03μmのSnO超微粒子)15a、重合開始剤などを混合分散し、塗工後、光硬化法により膜形成したものである。
【0222】
又、加えて4フッ化エチレン樹脂などの滑剤も内包させることにより、感光ドラム1の表面の表面エネルギーを抑えて、導電粒子mの付着を全般的に抑える効果がある。その表面エネルギーは、水の接触角で表すと、好ましくは85度以上、更に好ましくは90度以上とする。
【0223】
又、帯電性能の観点から表層の抵抗は重要なファクターとなる。直接注入帯電方式においては、感光体側の抵抗を下げることで、1つの注入ポイント(接触ポイント)あたり、帯電できる感光体表面の面積が広くなると考えられる。従って、帯電ローラ2が同じ接触状態であっても、感光体表面の抵抗が低い場合、効率よく電荷の授受が可能となる。一方、感光体としては、静電潜像を一定時間保持する必要があるため、電荷注入層15の体積抵抗値としては1×10〜1×1014(Ω・cm)の範囲が適当である。
【0224】
(3)帯電ローラ2
本実施例にて用いる帯電ローラ2は、次の特性を有する。
【0225】
(3)−1表面構造及び粗さ特性
本実施例にて接触帯電部材として用いた帯電ローラ2は、導電粒子mを高密度に担持する必要から、ある程度の粗さが要求される。平均粗さRaにして、1μm〜500μmが好ましい。さらに、粒子の保持量を最適にして、ドラム表面に緻密に接触させて帯電均一性を安定化するには、15μm〜150μmが最適である。
【0226】
なお、例えば現像剤のような絶縁物などが帯電ローラ2の表面に付着した場合にはその周辺が浮いてしまい感光ドラム1に接触できなくなり、帯電性能が低下する。こういった現像剤の異物混入の害を減らすには、用いる現像剤の質量平均粒径よりも大きいRaが好ましい。
【0227】
逆に、上記平均粗さRaが500μmよりも大きいと、帯電ローラ2の表面の凹凸が、像担持体表面内の帯電均一性を低下させることになる。
【0228】
尚、平均粗さRaの測定には、キーエンス社製表面形状測定顕微鏡VF−7500、VF7510を用い、対物レンズ250倍から1250倍を用いた。そして、非接触にて帯電ローラ2の表面の形状及びRaの測定を行った。
【0229】
(3)−2抵抗特性
直接注入帯電方式においては、低電圧による帯電を可能とするため、接触帯電部材の表層を高抵抗にする必要がなく、帯電ローラ2を単層で構成することができる。
【0230】
体積抵抗については、10〜10Ωの範囲であることが好ましい。10Ωよりも小さい場合は、ピンホールリークによる電源の電圧降下を生じ易くなる。一方、10Ωよりも大きい場合は、帯電に必要な電流が確保できなくなり、帯電電圧が低下する。
【0231】
(3)−3帯電ローラの材質、構造、寸法
帯電ローラ2の弾性層2bの材質としては、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、IRなどに抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化物などの導電性物質を分散したゴム材があげられる。導電性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。その後必要に応じて表面の粗さ調整、研磨などによる成型を行う。又、機能分離した複数層による構成も可能である。
【0232】
しかし、帯電ローラ2の弾性層2bの形態としては、先述したように多孔体構造が好ましい。前述の表面粗さをローラの成型と同時に得られるという点で製造的にも有利である。発泡体のセル径としては、1〜500μmが適切である。更には、30〜300μmが望ましい。発泡成形した後に、その表面を研磨することにより多孔体表面を露出させ、前述の粗さを持った表面構造を作製することができる。
【0233】
(3)−4その他のローラ特性
直接注入帯電方式において、接触帯電部材は柔軟な電極として機能することが重要である。本実施例においては、帯電ローラ2の弾性層2bの弾性特性を調整して達成している。アスカーC硬度としては50度以下が好ましく、5〜40度がより好ましい範囲である。4度以下ではセットが悪化する場合がある。一方、50度を越えると適正なニップ幅の確保が難しくなり、帯電性が低下する場合がある。
【0234】
硬度が高すぎると、加圧力を大きくしないと必要な侵入量が得られず、像担持体との間に帯電ニップ部nを確保できないため、帯電性能が低下する。
【0235】
一方、硬度が低すぎると、形状が安定しないために、像担持体との接触圧にムラを生じ、帯電ムラを生じる。或いは、長期放置による帯電ローラ2の永久ひずみによる帯電不良を生じる。
【0236】
(3)−5ローラのドラムに対する当接構成
図5は帯電ローラ2と感光ドラム1の当接構成を示したものである。(a)は側面図、(b)は途中部分省略の正面図である。
【0237】
帯電ローラ2は、その芯金2aの両端部の芯金2aをそれぞれフォーク状軸受2dに回転自由に軸受させて感光ドラム1に並行に配列するとともに、両側のフォーク状軸受2dをそれぞれ加圧ばね2eにより感光ドラム方向に加圧することで、感光ドラム1に圧接した状態に保持させている。
【0238】
帯電ローラ2の感光ドラム1ヘの侵入量は、感光ドラム、帯電ローラの径を固定すると、加圧バネの圧力と帯電ローラの硬度との関係から決まり、所定幅の帯電接触部nが形成される。両端部のフォーク状軸受2dはそれぞれ不図示の装置側板に設けたガイド溝に嵌め込まれていて、感光ドラム1方向にスライド移動自由である。Gは帯電ローラ2の芯金2aの一端側に固着したドライブギヤであり、このドライブギヤGに不図示の駆動系から回転力が伝達されて帯電ローラ2の回転駆動がなされる。
【0239】
(4)導電粒子担持量
帯電部材の表面粗さと感光体に対する侵入量、並びに導電粒子mのD90、より好ましくはD10、D50、及びBETを厳密に制御することにより帯電性能は向上するが、比較的小径の導電粒子mを用いているため感光ドラム1への脱落は顕著になる。帯電ローラ2上に導電粒子mを保持し得る力は弱い付着力であるので、多くの粒子を供給しても、粒子を拘束することは困難であり、感光ドラム1に脱落して、その後の現像工程や転写材P上への転写工程において、画像不良の影響を与える。従って、理想的には、帯電ローラ2の表層に一層、均一に塗布することが望ましい。しかし、実際には担持量を調整することにより、帯電性を確保するとともに、付着する粒子を弊害のないレベルで減らすことが可能となる。
【0240】
導電粒子mの担持量は、帯電ローラ2の表面の平均粗さRaにより適切に保つ必要がある。つまり、担持量を平均粗さRaで除した値(以下、単に「担持量/Ra」という。)が1mg/cm/μm以下、更に好ましくは0.3mg/cm/μm以下であるようにすると良好な結果が得られる。
【0241】
(粒子担持量及び抵抗測定)
帯電ローラ2に担持している粒子を洗浄し、粒子の重量及び抵抗の測定を行った。超音波洗浄機内にエタノールと水(1:2)によりなる洗浄液を調合し、その中に帯電ローラ2を浸し洗浄を行った。帯電ローラ2の表面を光学顕微鏡などで確認しながら、又必要に応じて帯電ローラ2の表面をブレードなどにより摺擦しながら洗浄を繰り返し行うことにより、帯電ローラ2上の付着物を除去することができる。
【0242】
得られた洗浄液は1〜2時間静置し、明らかに上澄みと分離できる場合は、上澄みを除去する。その後、105℃で充分乾燥して帯電ローラ2の担持物を抽出した。
【0243】
粒子抵抗の測定は先述した方法に従う。
【0244】
担持量は、得られた粒子の総重量と帯電ローラ8の表面積(帯電ローラ8の長手長さ及び外径から算出される)から、単位面積当たりの担持量として求める。
【0245】
(5)導電粒子被覆率
更に、導電粒子mの帯電における実効的な存在量を把握するために、導電粒子mの被覆率を調整することが更に重要となる。導電粒子mが白色に近ければ、通常のトナーの色と区別可能である。顕微鏡での観察において、白色を呈している領域を面積率として求める。被覆率が0.1以下の場合は、帯電ローラ2の周速度を高めても帯電性能としては不十分であることから、導電粒子mの被覆率を0.2〜1の範囲に保つことが重要となる。
【0246】
担持量の調整は、基本的には導電粒子mのトナーtへの添加量の調整により行うことができる。
【0247】
(被覆率の測定)
被覆率の測定に関しては、帯電ローラ2の当接条件に近い状態で顕微鏡観察し、導電粒子mに覆われている面積を計測した。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光ドラム1及び帯電ローラ2の回転を停止し、感光ドラム1及び帯電ローラ2の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTS製SR−3100)で撮影した。帯電ローラ2については、帯電ローラ2を感光ドラム1に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接させ、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにてその接触面を1000倍の対物レンズで撮影した。その後、事前に計測した導電粒子mの色或いは輝度をもって、粒子で被覆されている領域を分離し、面積率を求めて被覆率とした。又、色による判別が困難な場合は、帯電ローラ2の最表面の物質を蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)により行った。先ず、初期状態において導電粒子mに覆われた帯電ローラ2と感光ドラム1との間に、ポリエステルテープ(ニチバン製No.550(#25))の粘着面を帯電ローラ2に向けてはさみ、感光ドラム1と帯電ローラ2を従動回転させて、帯電ローラ2と感光ドラム1との帯電ニップ部nを一度通過させる。このとき、テープ面には、帯電ローラ2の最表面の粒子を一層サンプリングすることになる。一方、印字テストを終えた帯電ローラ2についても同様にサンプリングを行う。導電粒子m中に含まれる特定の元素について、含有量を定量することにより、被覆率を求めることができる。つまり、導電粒子mのみを担持した初期状態の帯電ローラ2のテープ試料の含有量を1として、印字テスト後の試料の含有量の割合を算出し、その比より被覆率を求めることが可能となる。
【0248】
以下、本発明に係る現像剤、感光体、帯電部材の製造例、転写部材、現像装置の説明を行い、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0249】
[導電粒子の製造例1]
塩化スズと塩化アンチモンを、スズとアンチモンのモル比が100:7となるよう混合溶解したpH約1の塩酸水溶液を80℃とし、そこに水酸化ナトリウム水溶液を添加して、共沈物を生成させ、ろ過、洗浄して導電性微粒子のスラリーを得た。得られたスラリーを乾燥、解砕した後、500℃で3時間焼成し、再度解砕して導電粒子1を得た。得られた導電粒子1の物性は、比表面積16×10cm/cm、体積抵抗6×10Ωcm、D50=1.9μm、D90=3.6μm、D10=0.7μmであり、酸化スズの含有量は93質量%であった。
【0250】
[現像剤の製造例1]
Figure 0004383784
上記化合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで祖粉砕した。粉砕はターボミル(ターボ工業社製)を用い、機械式粉砕を行った。得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で、超微粉および粗粉を厳密に分級除去して黒色粉1を得た。得られた黒色粉1の重量平均径は7.8μmであった。
【0251】
次に、
・上記黒色粉1 100質量部
・一次粒径8nmの疎水性シリカ
(ジメチルシリコーンオイルとヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された、B
ET100m/gのもの) 1.0質量部
・導電粒子1 0.4質量部
上記の材料をヘンシェルミキサーFM10C/l(三井鉱山株式会社製)にて180秒間混合処理を行い、現像剤1を得た。得られた現像剤1の噴流性指数は86であった。
【0252】
[感光体の製造例1]
φ24mm×260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂のメタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を設けた。
【0253】
オキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂2部及びシクロヘキサノン80部を、サンドミル装置で4時間ほど分散した。この分散液を前記下引き層上に塗布し、0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0254】
次いで、トリフェニルアミン化合物10部、及びポリカーボネート樹脂10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、熱風乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0255】
次に、電荷注入層として、シリコーンオイルで表面処理したアンチモンドープ酸化スズ微粒子50部をエタノール150部中に分散し、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子20部を加えて分散した。その後、レゾール型熱硬化型フェノール樹脂を樹脂成分として150部を溶解し、調合液とした。
【0256】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成し、熱風乾燥して電荷注入層を形成して感光体1得た。この時、感光体1の電荷注入層の膜厚測定は、薄膜のため光の干渉による瞬間マルチ測光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定し、その膜厚は2μmであった。その他の膜厚測定法としては、感光体の膜の断面をSEM等で直接観察測定することもできる。
【0257】
[帯電部材の製造例1]
直径6mm、長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性物質としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材として直径18mm、長さ220mmの帯電部材1を作製した。
【0258】
得られた帯電部材1は、抵抗値が10Ωcmであり、硬度がアスカーC硬度で22度であった。また、セル径は150μm、表面粗さRaは50μmであった。
【0259】
<実施例1>
本例の画像形成装置の全体的な概略構成を図1に示す。先述したように、図1は転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニング手段を除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては現像剤1を使用し、現像剤担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像法を用いる。
【0260】
像担持体としての、前記感光体1は、回転ドラム型OPC感光体であり、矢印の方向に94mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0261】
帯電部材としては、上記帯電部材の製造例1で得られた帯電部材1が帯電ローラ2として用いられ、図に示すように帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラ2の当接部である帯電当接部である。本実施例では、バネ加圧力500〜1000g、帯電ローラの単位長手長当りf=2.25〜4.5g/mmの圧力が好適であった。帯電ローラの硬度が15〜40゜の場合に、ニップ巾約2〜4mmに設定できた。
【0262】
本例では、帯電ローラ2は感光体1との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(矢印方向)に60%の周速で回転駆動されている。帯電ローラ2の表面は感光体1の表面に対して、相対移動速度比160%の相対速度差を有している。また、本実施例では、導電粒子mの担持量は凡そ2mg/cmで、Raは40μmであり、担持量/Raは0.05mg/cm/μmであった。
【0263】
また帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−640Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体1の表面は帯電ローラ2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−620V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。
【0264】
露光手段であるレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)3は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光Lを出力し、該レーザ光Lで上記感光体1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。現像手段としての現像装置4により、感光体1の表面の静電潜像はトナー像として現像される。
【0265】
本例の現像装置4は、現像剤として現像剤1を用いた、非接触型の反転現像装置である。
【0266】
現像剤担持体として、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径12mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブ4aを使用し、現像磁極80mT(800ガウス)のマグネットロールを内包し、現像剤層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.5mmのウレタン製の弾性ブレード4cを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。感光体1と現像スリーブ4aとの間隙は290μmとした。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(体積平均粒径約7μm) 90部
・カーボンブラック 10部
また、現像スリーブ4aは、感光体1との対向部である現像部a(現像領域部)にて感光体1の回転方向と順方向(矢印方向)に感光体1の周速の120%の周速で回転させる。
【0267】
この現像スリーブ4aに弾性ブレード4cで現像剤が薄層にコートされる。現像剤は弾性ブレード4cで現像スリーブ4aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ4aにコートされた現像剤量は、16g/mであった。
【0268】
現像スリーブ4aにコートされた現像剤は、現像スリーブ4aの回転により、感光体1と現像スリーブ4aの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−440Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×10V/m)の矩形の交流電圧を重畳したものを用い、現像スリーブ4aと感光体1の間、現像部aで1成分ジャンピング現像を行わせた。
【0269】
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ5は、感光体1に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写当接部bを形成させてある。この転写当接部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ5に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側のトナー像が転写当接部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0270】
本例では転写ローラ5の体積抵抗値は5×10Ωcmのものを用い、+1800Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写当接部bに導入された転写材Pはこの転写当接部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。転写当接部bに給紙されて感光体1側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体の表面から分離されて、定着手段である熱定着方式等の定着装置6に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0271】
本例の画像形成装置はクリーニング手段を除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体1の表面に残留の転写残トナーはクリーナで除去されることなく、感光体1の回転にともない帯電当接部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0272】
従来、トナーは絶縁体であるため帯電当接部nへの転写残トナーの混入は感光体の帯電において帯電不良を生じさせる因子である。しかしながら本発明においては、帯電部材の表面粗さと感光体への侵入量及び導電粒子のD90の関係を適正に制御しているため、帯電ローラ2の感光体1への緻密な接触性と接触抵抗を維持でき、帯電ローラ2の転写残トナーによる汚染にかかわらず、均一な帯電性を長期に渡り安定に維持させることができ、さらに感光体の磨耗量も低減される。
【0273】
本実施例では、上記画像形成装置に120gの現像剤1を充填して、印字面積比率2%の横ラインのみからなる画像パターンにより、一枚間欠で2000枚のプリントを行った。転写材としては75g/mのA4コピー紙を用いた。
【0274】
[評価]
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。転写効率は80%以上であれば実用上問題の無い画像である。
【0275】
転写効率(%)=(D−C/D−E)×100
耐久終了時の解像力は、静電潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい600dpiにおける小径孤立1ドットの再現性によって評価した。
◎:非常に良好、100個中の欠損が5個以下
○:良好、100個中の欠損が6〜10個
△:実用可、100個中の欠損が11〜20個
×:実用不可、100個中の欠損が20個以上
紙上カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODELTC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。カブリの数値は、べた白画像で下記の式より算出した。紙上カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0276】
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
画像濃度はマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。初期濃度は画だし20枚目の濃度とした。
【0277】
帯電性は、2000枚のプリント後に次のような画像により評価した。上端部(画像先端部から3cm幅)がベタ画像及び非画像の混合画像で、画像先端部から3cm以降が均一な中間調である画像パターン、即ち帯電ゴーストの発生しやすいゴースト画像を印字して評価した。中間調部において、非画像対応部の画像濃度と、帯電性が不良でより濃く現像されるベタ画像対応部の画像濃度を測定し、両者の差を求めた。帯電性が良好なほど、両者の差が小さい。また、両者の濃度差が0.20を超えるとゴースト画像が顕著となり、実用上問題がある。
【0278】
実験は低温低湿(15℃/10%)環境で、まずプリント耐久試験を行ったが、2000枚プリント後も画質の低下は見られなかった。
【0279】
次に、2000枚のプリント終了後、前述のゴースト画像を連続して5枚印字し、5枚目の画像で帯電性を評価した。その結果、ゴースト部の濃度差が0.05という良好な帯電性が得られた。
【0280】
この後、感光体1の電荷注入層の膜厚を測定した。プリント前の未使用段階での膜厚が2μmであるのに対し、2000枚印字後の膜厚は1.2μmであり、感光体の磨耗量は2.0―1.2=0.8(μm)であった。
【0281】
得られた結果を表3に示す。
【0282】
[導電粒子の製造例2〜17]
導電粒子の製造例1において、塩化スズ濃度、スズとアンチモンのモル比、水酸化ナトリウム水溶液の添加速度、焼成温度及び焼成時間を適宜調整して導電粒子2〜17を製造した。得られた粒子の諸物性を表1に示す。
【0283】
[金属化合物微粒子の製造例18]
酸性の塩化スズ水溶液を60〜80℃に制御し、そこにアンモニア水溶液を添加して沈殿物を生成させ、ろ過、洗浄して導電性微粒子のスラリーを得た。得られたスラリーを乾燥、解砕した後、窒素雰囲気下で500℃で2時間、さらに窒素/水素混合ガス雰囲気下で500℃で1時間焼成し、再度解砕して導電粒子17を得た。得られた導電粒子17の物性は、比表面積31×10cm/cm、体積抵抗7×10Ωcm、D50=1.2μm、D90=2.6μm、D10=0.7μmであり、酸化スズの含有量は100質量%であった。
【0284】
[導電粒子の製造例19]
炭酸アンモニウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液を混合し、酸化亜鉛を分散した水溶液中に入れて60℃にて1時間撹拌後、ろ過して水洗し、スラリーを得た。このスラリーをイオン交換水中に分散して30℃に保ちながら炭酸ガスを4時間吹き込んだ。しばらく静置した後、上澄みを捨て、残ったスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥し、乾燥粉体を得た。この粉体を250℃で5時間加熱分解し、導電性酸化亜鉛微粒子からなる導電粒子19を得た。
【0285】
[導電粒子の製造例20]
加熱型混合機中、100質量部の導電粒子1に対し、エタノール100部に変性シリコーンオイル2部を加えた溶液を噴霧しながら80℃で撹拌混合し、噴霧終了後さらに150℃に昇温して30分間の加熱処理を行った。取り出し後、室温まで冷却し、解砕して表面処理を施した導電粒子20を得た。
【0286】
[現像剤の製造例2〜20]
黒色粉体1を用い、現像剤の製造例1において導電粒子1に代えて導電粒子2〜20を使用して、現像剤2〜20を製造した。得られた現像剤の物性を表2に示す。
【0287】
[現像剤の製造例21、22]
現像剤の製造例1において、疎水性シリカ代えてiso−ブチルトリメトキシシランで表面処理された一次粒径50nm、BET100の酸化チタン、及び、iso−ブチルトリメトキシシランで表面処理された一次粒径7nm、BET110の酸化アルミナを用いて、現像剤21、22を製造した。得られた現像剤の物性を表2に示す。
【0288】
[現像剤の製造例23]
現像剤の製造例1において、一次粒径8nmの疎水性シリカに代えて一次粒径90nmの疎水性シリカを用いて、現像剤23を製造した。得られた現像剤の物性を表2に示す。
【0289】
[現像剤の製造例24]
現像剤の製造例1において、ヘンシェルミキサーFM10C/l(三井鉱山株式会社製)での混合処理時間を300秒間とし、現像剤24を得た。得られた現像剤の物性を表2に示す。
【0290】
<比較例1>
トナー14を用い、実施例1と同様の条件で評価を行ったところ、ゴースト部の濃度差が0.34と帯電性が悪く、感光体の磨耗量は2μmで電荷注入層が無くなっていた。
2×導電粒子のD90<帯電部材の表面粗さRa
という条件を満たしていないため、帯電性及び感光体磨耗性が悪化したものと考えられる。転写性やカブリも良くなかった。
【0291】
<実施例2>
トナー14を用い、セル径120μm、表面粗さRa40μmの帯電部材を用いる以外は実施例1と同様の条件で評価を行った。その結果、ゴースト部の濃度差は0.20と実用に耐えうるレベルであり、感光体の磨耗量は1..8μmで電荷注入層が0.2μm残っていた。これは帯電部材の表面粗さRaを変更して
2×導電粒子のD90<帯電部材の表面粗さRa
という条件を満たしたため、レベルが改良されたものと思われる。
【0292】
<実施例3〜18、20〜23、参考例1
現像剤2〜13、15〜23を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表3に示す。
【0293】
<比較例2>
現像剤1を用い、帯電部材の感光体への侵入量δを40μと変更する以外は実施例1と同様の条件で評価を行ったところ、ゴースト部の濃度差が0.31と帯電性が悪かった。
帯電部材の表面粗さRa≦δ
という条件を満たしていないため、帯電性が悪化したものと考えられる。
【0294】
実施例1、2、及び比較例1、2の結果より、直径が28mm以下の小径感光体を用いた接触帯電の場合でも、
2×導電粒子のD90<帯電部材の表面粗さRa≦感光体に対する侵入量δ
の設定とすれば、帯電性の向上と感光体の磨耗軽減が両立できる。
【0295】
実施例1、5、10、13、14の結果より、使用する導電粒子のD50及びD10が小さいと画像濃度が低く帯電性も低下気味の傾向が見られる。D50は0.4μm以上が好ましく、0.5μm以上なら一層好ましいことが分かる。またD10は0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上が一層好ましい範囲であることが分かる。一方、実施例1、2、3、7、8、9、16、17の結果より、D50及びD90が大きいとカブリが悪化し解像力が低下する傾向が見られ、D50は4.0μm以下が好ましく、3.5μm以下が一層好ましいことが分かる。また、D90については6.0μm以下が好ましく、4.0μm以下が一層好ましい範囲であることが分かる。
【0296】
実施例1、2、3、4、11、12の結果より、使用する導電粒子の比表面積が5×10cm/cm以上であれば良好な帯電性を維持できることが分かる。好ましくは10×10以上であり、より好ましくは12×10以上であることも分かる。一方、実施例1、5、6、10、14の結果より、使用する導電粒子の比表面積が大きくなるにつれ感光体表面の磨耗量が増加気味となっており、好ましくは80×10cm/cm以下、より好ましくは40×10以下であることも分かる。なお、磨耗量が1.5μm以下であれば、耐久性に余裕があると判断できる。
【0297】
実施例1、15の結果より、導電粒子の抵抗が高くなると帯電性が低下する傾向となるが、1×10以下であれば十分であることも分かる。
【0298】
実施例1、18、参考例1の結果より、導電粒子中に酸化スズが含有されていない場合、感光体の磨耗量が増加気味となることが分かる。
【0299】
実施例1と20の結果より、導電粒子はシラン化合物によって表面処理を施した方が帯電性と感光体磨耗軽減、さらには画像特性にも良い結果をもたらすことが分かる。
【0300】
実施例1、23、24の結果より、トナーの噴流性指数が低くなると帯電性が低下する傾向が見られるが、74%を下回らなければ良好であることが分かる。また、そのようなトナーを得るためには、流動化剤として平均一次粒径が90nmを超える無機微粉体を用いることは好ましくないことも分かる。
実施例21、22の結果より、無機微粉体として酸化チタンやアルミナも使用可能であることが分かる。
【0301】
【表1】
Figure 0004383784
【0302】
【表2】
Figure 0004383784
【0303】
【表3】
Figure 0004383784
【0304】
[現像剤の製造例25〜28]
現像剤の製造例1と同様にして、平均粒径2.8μm、3.0μm、12.0μm、12.5μmの黒色粉体を製造した。得られたそれぞれの黒色粉体に1次粒径8nmの疎水性シリカを、2.8μm及び3.0μmの粉体には2.5部、12.0μm及び12.5μmの粉体には0.7部処理し、現像剤25〜28を製造した。導電粒子として、いずれの現像剤にも導電粒子1を0.4部混合した。現像剤の処方を表4に示す。
【0305】
<実施例25〜28>
トナー25〜28を用い、実施例1と同様の条件で評価を行った。結果を表5に示す。
【0306】
実施例25、26の結果より、トナーの質量平均粒径が小さくなると転写性やカブリと共に帯電性が低下し、感光体磨耗量が増加することが分かるが、質量平均粒径が3μm以上であれば、ゴースト部の濃度差は0.20以下に抑えられることが分かる。
【0307】
実施例27、28結果より、トナーの質量平均粒径が大きくなると解像力が低下することが分かるが、質量平均粒径が12μm以下であれば、解像力に問題は無いことが分かる。
【0308】
【表4】
Figure 0004383784
【0309】
【表5】
Figure 0004383784
【0310】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型化のために小径の像担持体を採用した接触帯電工程を含む画像形成方法において、帯電部材の表面粗さ(μm)、該像担持体に対する侵入量δ(μm)、帯電ニップ部に存在する導電粒子の体積基準の90%径D90(μm)を適正に設定することにより、良好な帯電性を長期に渡って維持でき、さらに感光体表面の磨耗量が低減される。また、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニングシステムにおいても、帯電性と装置寿命の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される画像形成装置の一例の概略図を示す。
【図2】現像ローラ4aから感光ドラム1に導電性粒子mを供給する電位の関係を示す図。
【図3】感光ドラム1の層構成の模式図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電ローラ
2a 帯電ローラ芯金
2b 可撓性層
3 露光器
4 現像装置
4a 現像スリーブ
4b マグネットロール
4c 弾性ブレード
4d トナー
6 転写ローラ
7 定着装置
S1 帯電部材用電源
S2 現像用電源
S3 転写用電源

Claims (9)

  1. 回転可能な像担持体とニップ部を形成して接触し回転可能でかつ表面に導電粒子を担持した帯電部材による該像担持体の帯電工程と、該導電粒子が前記像担持体に担持されて前記ニップ部へ搬送される工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
    前記像担持体の直径をLD(mm)とした時、
    LD≦28(mm)
    であり、前記帯電部材は多孔体表面を有する弾性体であり、該多孔体表面のセル径が30〜300μmであり、該帯電部材の表面粗さをRa(μm)、前記像担持体に対する侵入量をδ(μm)、前記導電粒子の体積基準の90%径をD90(μm)とした時、2×D90<Ra≦δ
    であり、該D90が6.0μm以下であり、該導電粒子の体積基準のメジアン径D50が0.4μm以上4.0μm以下であり、該導電粒子は少なくとも酸化スズを含有していることを特徴とする画像形成方法。
  2. 該導電粒子の比表面積(cm/cm)が5×10以上100×10以下であることを特徴とする請求項1の画像形成方法。
  3. 該導電粒子の体積抵抗が1×10−1〜1×10Ωcmであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 該導電粒子の体積基準のメジアン径D50が0.5μm以上3.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 該導電粒子の体積基準のD90が4.0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 該導電粒子はシラン化合物によって表面処理を施したものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記帯電部材はアスカーC硬度が5度乃至40度のローラー部材であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 前記像担持体へ導電粒子を供給する供給工程が前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像工程であり、現像剤は、少なくともトナー粒子と前記導電粒子とを有し、さらに、前記像担持体に残留するトナー粒子を現像工程で回収可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 前記帯電部材により前記像担持体を帯電させ、像露光装置により前記像担持体の像担持面を像露光して静電像を形成し、前記像担持体上の静電像を前記現像手段により前記現像剤で現像し、その後前記像担持体上の現像剤像を被転写体へ転写する各工程を含む作像プロセスにより画像を形成し、転写工程後の前記像担持体表面に残留する現像剤を少なくとも前記帯電部材に一時担持し、再び像担持体表面に転移させて前記現像手段に回収することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
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