JP4383397B2 - 潤滑構造及び変速機構 - Google Patents

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Description

本発明は、リングギヤとサンギヤ間に配設され、リングギヤ及びサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記保持器とピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造に関するとともに、この種の潤滑構造を好適に採用できる変速機構に関する。
この種の潤滑構造は、代表的には自動車に備えられる多段変速機構に好適に採用される。
近来、出願人らは、特許文献1において、過酷な走行条件においてもピニオンシャフトに摩耗が発生しない自動変速機の潤滑構造を提案している。
この特許文献1に開示の技術では、プラネタリギヤP1に備えられるピニオンシャフトの摩耗が問題とされる。この問題を解決するために、プラネタリギヤP1のキャリアCR1に第1の油孔63を、ピニオンシャフト64に第2の油孔66を設け、さらに、ピニオンシャフト64内に設けられた油孔66からその外周に接続する第3の油孔67を設ける。そして、この第3の油孔67の周方向位置を、ピニオンシャフト64の支持構造等に関係するニードルローラへの負荷状態を考慮して周方向で適切な位相位置に設定することで、良好な潤滑状態を達成する(図2)。
開示の技術では、ピニオンシャフトとピニオンとの間には、複数のニードルローラ及び保持器からなるベアリングが備えられるが、前記第3の油孔67は、ピニオンシャフトの軸方向で、そのほぼ中央位置に単一設けられる。また、ピニオンシャフトの軸方向で中央位置における保持器の断面形状は、ピニオンシャフトに近接されている(図1)。
一方、出願人らは、特許文献2において、コンパクトでありながら、制御性に優れた前進6段変速を可能とする自動変速機を提案している。
この文献2に開示の技術にあっては、入力回転は、変速後、第3プラネタリギヤ5の、出力軸105と一体構成されているキャリアCR3の回転として、出力が取り出される。ここで、この第3プラネタリギヤに備えられるピニオンの回転数は5000rpm以上となる場合がある。
この特許文献2に開示の技術では、第1、第2、第3の油孔(図示のみされている)を設け、ピニオン、ピニオンシャフト間の潤滑を行っている。そして、ピニオン、ピニオンシャフト間に、軸方向で2列のニードルローラを設け、ピニオンシャフトの軸方向におけるほぼ中央部位に第3の油孔(この油孔は、ピニオンシャフト内からピニオン、ニードルローラ側に油を導く孔であるため、以降、導出油孔と呼ぶ)を単一設けている。この文献開示のものにあっては、当該明細書図4等にも示すように、油孔の孔径は、保持器の両端部位のピニオンシャフト軸方向の厚みに対して、2倍以下とされ、その油路中心は軸方向に配設される両保持器の中間とされていた。また、特許文献2に開示のベアリングの保持器の軸方向で中央位置における保持器の断面形状は、特許文献1と同様に、ピニオンシャフトに近接されている。
特開平5−306747号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2003−247612号公報(特許請求の範囲、図4)
この種の潤滑構造にあっては、ピニオンシャフト内への潤滑油の導入・このシャフト内からピニオン側への潤滑油の導出は、ピニオンの公転(キャリアの自転)に伴う遠心力、ピニオンの自転等によることとなる。そして、特許文献1及び2に示すように、ピニオンシャフトの略中央に設けられた油孔から、ニードルローラ、このニードルローラの位置決め用に設けられている保持器、さらには、ピニオン間に導入された潤滑油は、ピニオンの軸方向端部において外径側へ漏出する。しかし、特許文献1及び2に示すように、ピニオンシャフトの潤滑孔の外周に設けられる保持器の特定部位は、ピニオンシャフトに近接しており、そもそも潤滑油が通り難い構造となっている。さらに、特許文献2に開示の技術にあっては、入力回転は、変速後、第3プラネタリギヤ5の、出力軸105と一体構成されているキャリアCR3の回転として、出力が取り出される。ここで、この第3プラネタリギヤに備えられるピニオンの回転数は5000rpm以上となる場合がある。そのような高回転では摩擦等も増加することから、さらなる潤滑量の増大が望まれる。
本発明は、非常な高速回転を強いられる過酷な走行条件においても、ピニオンシャフトに摩耗が発生するのを防止することができる潤滑構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、
リングギヤと、サンギヤと、前記リングギヤとサンギヤ間に配設され、リングギヤ及びサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、該ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記保持器とピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造の第一の特徴構成は、
前記ピニオンシャフトの軸方向に、前記ベアリングを複数備え、
前記保持器が、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有し、
前記導出油孔が、前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに開口されていることにある。
この構成の潤滑構成にあっては、ピニオンシャフトの軸方向に複数のベアリングを備えることで、比較的短いローラを採用した簡易な構成で、軸方向の比較的長い幅に渡って、ピニオンシャフト側からピニオンを支持できる。結果、汎用性のある比較的安価なケージローラベアリング等を採用することができる。また、保持器の軸方向の断面形状において、シャフト近接部とシャフト離間部とをつなぐリブによって、保持器の強度が高まり、ピニオンの回転数が比較的高回転でも、ピニオンを支持することができる。さらに、ベアリングを複数設けることで、単一のベアリングで支持する場合に比べて、ベアリングへの負荷を分散できる。
さらに本願にあっては、導出油孔からピニオンシャフトとピニオンとの間に形成される空間であって、保持器がピニオン側に位置している部位(本願においてポケットと呼んでいる)に潤滑油が供給される。結果、ピニオンシャフト、ローラ及び保持器、さらにピニオン外へ、ピニオンの公転及び自転により導かれる潤滑油の油量を従来より多くすることが可能となり、良好な潤滑を実現できる。
一方、保持器(ベアリング)が単一であっても、複数のシャフト離間部を備える構成の場合は、以下に示す第二の特徴構成を有するものとすることができる。
即ち、リングギヤとサンギヤ間に配設され、前記リングギヤとサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記ピニオンとピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造の第二の特徴構成は、
前記ベアリングの前記保持器は、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有するとともに、ピニオンシャフトの軸方向において異なる位置に前記シャフト離間部を複数有し、前記複数のシャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成される複数のポケットにそれぞれ開口する前記導出油孔を設けることにある。
このように構成することで複数のポケットを設け、このポケットに導出油孔を介して潤滑油を供給することが可能となり、導出油孔がポケットに開口している構成及び、軸方向の複数箇所に設けられたポケットにそれぞれ潤滑油が供給されるという2つの理由から、ピニオンシャフトの軸方向で比較的均等に、且つ、従来より潤滑油量が増加する良好な状態で潤滑を行うことができる。複数のポケットが設けられる、即ち、シャフト近接部とシャフト離間部との折り返しのリブによって、高い強度を得ることができる。結果、ピニオンの回転数が比較的高回転でも、ピニオンを支持することができる。
この構成の場合は、例えば、軸方向に対して単一のローラに対し、単一の保持器を設けて対応することとなるが、両端近傍に設けられる比較的大型(2列配置の場合よりは大型になる)のシャフト離間部(ポケット)に潤滑油を供給することで、過不足の無い充分な潤滑を実現できる。
保持器の形状としては、ピニオンシャフトの径方向の断面形状に関して、ピニオンシャフトの軸方向において、シャフト近接部が両端部位及び当該両端部位間の少なくとも一の中間部位に設けられ、シャフト離間部が両端部位と前記中間部位との間に設けられていることが好ましい。この種の断面形状としては、M型、U型、W型のものが代表的である。U型、W型のものの形態例を図9に示した。
このような保持器構造を採用することにより、ピニオンシャフト、ピニオン間におけるローラの位置保持を従来通り適切に行いながら、導入・導出される潤滑油の量を増加させて、高速回転に対応することができる。
さて、本願提示の構成を実現するに際しては、第一の特徴構成を有する潤滑構造において、ピニオンシャフトの軸方向に複数備えられる保持器のそれぞれについて、ピニオンシャフトの軸方向中央側に設けたシャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに、潤滑油を導くことが好ましい。
この構成の場合、ローラ及び保持器が、軸方向で複数に設けられることとなるが、異なった保持器に対して、それぞれ、中央側に位置するポケットに潤滑油をスムーズに導入することができる。
また、軸方向中央側とすることで、例えば一対とした場合、導出油孔から導出される油量のバランスがとれ、さらに、ピニオンの中央側から両端側への潤滑油の流れを形成して、ピニオンシャフト周り、ローラ部等を充分に潤滑できる。
また、これまで説明してきた潤滑構造に関し、ピニオンシャフトの軸方向の異なる位置の前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに潤滑油を供給する前記導出油孔を格別に備える構成において、ピニオンシャフトの周方向に関して、導出油孔の周方向位置が導出油孔間で異ならせてあることが好ましい。
本願が対象とするようなプラネタリギヤにあっては、キャリアを介して出力回転を得る場合もあり、ピニオンシャフトは片持ち構造となるとともに、ギヤの使用条件に従って、ピニオン内に収納されるローラへの負荷分布も変わってくる。そして、本願の場合、ピニオンシャフトの軸方向の異なる位置に、その径方向に延びる導出油孔を設けることとなる。結果、潤滑に適した、潤滑油をローラに導き易い油孔の周方向での位置は、その軸方向位置に従って異なることとなる。そこで、先に説明したように周方向位置を異ならせることで、良好な潤滑を実現できることとなる。この位置は、ピニオンの回転方向、ローラの負荷圏、非負荷圏との関係によって決まる。
また、ピニオンシャフト内に形成された油孔に前記潤滑油を導く導入油孔を備え、前記導入油孔と前記導出油孔とのピニオンシャフト軸方向離間距離に従って、前記導出油孔の径を設定してあることが好ましい。
これまで説明してきたように、本願における潤滑油の移動はピニオンの公転と自転に従ったものとなる。一方、ピニオンシャフトの軸方向においては、それぞれの導出油孔の位置が異なるため、これら導出油孔から導出される潤滑油の量的バランスを取る必要が生じる。よって、例えば、導入油孔に近い導出油孔に対して、遠い油孔の場合は、その孔径を大きく取る等することにより、油量のバランスを位置に応じて取ることができる。
以上の説明では、導出油孔を本願にいう、所謂、ポケットに向けて開口させる構成に関して説明した。このような構成とすることで、十分な潤滑量を確保できるのであるが、導出油孔の一部(例えば、油路壁側部位)がポケットに開口する構成とすることでも本願の目的を達成することができる。
このような構成の提案が、以下に説明する第三の特徴構成である。
この構成は、リングギヤとサンギヤ間に配設され、前記リングギヤとサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持するベアリングを備え、
前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記ピニオンとピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造の第三の特徴構成として、
前記ベアリングの前記保持器が、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有し、
前記導出油孔を構成するに、油路中心が前記シャフト近接部に向けられ、油路壁側部位が前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに向けられているものとする。
この構成の場合、導出油孔の中心は、保持器のシャフト近接部に方向づけられるため、従来程度の潤滑油量を確保することとなるが、導出油孔の油路壁側部位(この油路壁側部位とは、油路をその中心軸に対して直交した断面で見た場合において、路壁側に位置する部位を意味する)がポケットに方向づけられているため、この部位からポケットへ供給される潤滑油量を従来より増加したものとでき、結果的に潤滑油を充分供給できる。即ち、シャフト近接部の大きさと導出油孔の油路径の関係、或はシャフト近接部と、その近接部に対する導出油孔のシャフト軸方向における相対位置関係を適切なものとし、少なくとも導出油孔の一部である油路壁面側部位をポケットに開口するようにすることで、従来より潤滑油量が増加した良好な潤滑状態を実現できる。
また、保持器の軸方向の断面形状において、シャフト近接部とシャフト離間部とをつなぐリブによって、保持器の強度が高まり、ピニオンの回転数が比較的高回転でも、ピニオンを支持することができる。
この特徴構成を採用する場合、前記保持器のピニオンシャフトの軸方向において、前記シャフト近接部が少なくとも両端部位に設けられ、前記シャフト離間部が前記両端部位間に設けられる構成で、
前記ピニオンシャフトの軸方向において、前記ベアリングを隣接して複数備え、隣接される前記保持器の前記両端部位に前記導出油孔の油路中心が向けられていることが好ましい。
この構成を取る場合は、ピニオンシャフトの軸方向にローラ及び保持器を並設することで、小型・汎用性のある機器で高速域に対応することができ、さらに、隣接配置される保持器の隣接境界部位近傍から充分な潤滑油を供給でき、隣接配置される保持器に保持されたローラの潤滑を良好に行える。
この構成を採用する場合、さらに具体的には、前記導出油孔の口径を、前記両端部位のピニオンシャフトの軸方向における厚みに対して、2.6〜5.2倍の範囲内とすることが好ましい。
導出油孔の口径を、前記両端部位のピニオンシャフトの軸方向における厚みに対して、2.6〜5.2倍とすることで、例えば、導出油孔の油路中心が隣接する両端部位間に向けられた状態でも、必ず保持器両端部を導出油孔がまたぐことで、良好な潤滑に寄与できる。ここで、2.6より小さいと、潤滑油量の増加はえられるものの、その効果が限定されたものとなることがある。一方、5.2より大きくしてもさらなる潤滑油量の増加を期待し難い。
参考までに、特許文献2に示す構造と、図4に示す構造との比較を示すと、潤滑油量を約1.5倍にすることが可能である。さらに、図7(イ)に示すものでも、この程度の潤滑油量の増加を認めた。この潤滑油量は、ピニオンの軸方向端から漏れ出す油量として実験的に確認した。
さて、これまで説明してきた潤滑構造を採用する部位としては、リングギヤ、サンギヤ及びピニオンを備えたプラネタリギヤを複数備えて入力回転を変速可能な変速機構に採用することができる。この場合、例えば、ピニオンの回転数が7000〜12000rpmにもなり得る非常に過酷な状態となるプラネタリギヤの寿命を十分に長く保つことができる。当然、これより低い回転数の部位において採用することも可能であるが、この種の高速回転部位に対して、本願構造は特に有効である。
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
説明に際しては、まず、本願に係る潤滑構造が採用される自動変速機の全体構成の概略を説明するとともに、導出油孔の全体がポケットに向けて開口している主実施形態を説明し、次に別実施形態としての、導出油孔の油路壁側部位がポケットに向けられて開口している実施形態に関して主に説明する。
図1は、本発明に係る自動変速機の全体構成の概略を示す断面図であり、図4は本願潤滑構造を備えたプラネタリギヤPGを第3プラネタリギヤPG3として備えた出力軸O近傍の構成を示す図である。さらに、図2は図1に示す変速機1の作動表を、図3は同変速機1の速度線図である。図1、図4において、左側を前側と呼び、右側を後側又は背面と呼ぶ。
〔変速機の概略構成〕
図1に示すように、自動変速機1は、トルクコンバータTCと、3個のプラネタリギヤ(第1プラネタリギヤPG1,第2プラネタリギヤPG2,第3プラネタリギヤPG3)を有する多段変速機構2とを備えており、これらトルクコンバータTC及び多段変速機構2が1軸上に直列的に配置されている。そして、その全体がコンバータハウジングCH及びミッションケースMCからなる一体ケーシング3に収納されている。
多段変速機構2は、前面側となる前半部(トルクコンバータTC側)がクラッチ部CPとして、背面側となる後半分(出力軸O側)がギヤ部GPとして構成されている。
クラッチ部CPには、3個のクラッチ、すなわち第1クラッチC1,第2クラッチC2,第3クラッチC3が、これらの油圧アクチュエータ(図示省略)とともにまとめて配置されている。
これら3個のクラッチのうち第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2が前面側に、また第3クラッチC3がその背面側に配置されている。すなわち、第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2の背面側と第3クラッチC3の前面側とが対面するように、軸方向に略々整列されて配置されている。
これら第2,第3クラッチC2,C3の内径側に第1クラッチC1が配置されている。
ギヤ部GPは、前方である入力軸I側から、第3スリーブ軸s3に形成されたサンギヤS1を有する第1プラネタリギヤPG1、第2スリーブ軸s2に連結されるキャリアCR2を有する第2プラネタリギヤPG2、そして中間軸Mに形成されたサンギヤS3を有する第3プラネタリギヤPG3が順次に配設されている。
さらに、クラッチ部CPと第1プラネタリギヤPG1との軸方向間部分に第3ブレーキB3、第1ワンウェイクラッチF1、及び第2ワンウェイクラッチF2が配設されており、また第2プラネタリギヤPG2と第3プラネタリギヤPG3との軸方向間部分に第3ワンウェイクラッチF3が配設されている。
第1ブレーキB1は、第1プラネタリギヤPG1のキャリアCR1に対して、ミッションケケースMCとの間でブレーキ動作可能とされており、第2ブレーキB2は、第1プラネタギヤPG1及び第2プラネタリギヤPG2のリングギヤR1,R2に対して夫々、ブレーキ動作可能に構成されている。さらに第3ブレーキB3は、第1ワンウェイクラッチF1とともに働いて、第1プラネタリギヤPG1のキャリアCR1に正転のみを許容する動作を可能としている。第2ワンウェイクラッチF2は第3スリーブ軸s3の正回転を確保するように、さらに第3ワンウェイクラッチF3は第2スリーブ軸s2の正回転を確保するように備えられている。
〔多段変速〕
自動変速機構1の多段変速状態の概略を、その作動表である図2及び同じく速度線図である図3に沿って説明する。
多段変速機構2は、第1プラネタリギヤPG1からなるフロントギヤユニットFGU、第2プラネタリギヤPG2及び第3プラネタリギヤPG3からなるリヤギヤユニットRGUとにその機能上分かれており、かつリヤギヤユニットRGUは、中間軸Mを介して連結されている両サンギヤS2,S3からなる第1の回転要素RM1と、連結部材CLを介して連結されているキャリアCR2及びリングギヤR3からなる第2の回転要素RM2と、相互に連結されているリングギヤR1,R2からなる第3の回転要素RM3と、出力軸Oに連結されているキャリアCR3からなる第4の回転要素RM4の、合計4個の回転要素RMから構成される。ここで、第4の回転要素RM4は、実質的に出力回転要素として働く。
第1の回転要素RM1は、中間軸Mを介して第1クラッチC1に、また第2の回転要素RM2は第2スリーブ軸s2を介して第2クラッチC2に、さらに第1プラネタリギヤPG1の入力要素であるサンギヤS1は第3スリーブ軸s3を介して第3クラッチC3にそれぞれ連結されている。
前進段の1速(1速段:1ST)では、図2に示すように、第1クラッチC1が係合し、第3ワンウェイクラッチF3が作動し、入力軸IとサンギヤS2,S3(第1の回転要素RM1)が連結されるとともに、キャリアCR2及びリングギヤR3(第2の回転要素RM2)の逆転が第3ワンウェイクラッチF3により阻止されて、入力軸Iの回転は、第1クラッチC1を介して直接、第3プラネタリギヤPG3のサンギヤS3に入力される。
結果、第3ワンウェイクラッチF3の作動に基づき停止状態にあるリングギヤR3により、図2の速度線図において、線図L1に示す状態となり、出力軸Oが接続されたキャリアCR3からは、正回転の1速が取り出される。なお、第2プラネタリギヤPG2は、サンギヤS2が回転するが、空転状態となっている。
前進段の2速(2速段:2ND)では、図2に示すように、1速時の第1クラッチC1の係合に加えて、第3ブレーキB3が係合するとともに、第3ワンウェイクラッチF3の作動が解除され、第1,第2ワンウェイクラッチF1,F2が作動する。この状態では、第1プラネタリギヤPG1は、ロック状態の第1ワンウェイクラッチF1により停止状態のキャリアCR1、及び第3ブレーキB3の係止によりロック状態の第2ワンウェイクラッチF2により停止状態のサンギヤS1に基づき、停止状態にあり、したがってそのリングギヤR1に連結している第2プラネタリギヤPG2のリングギヤR2も停止状態にある。
そして、入力軸Iの回転は、第1クラッチC1を介してサンギヤS2から第2プラネタリギヤPG2に入力されるとともに、サンギヤS3を介して第3プラネタリギヤPG3に入力される。第2プラネタリギヤPG2は、前述したようにリングギヤR2の回転が阻止され(速度=0)、図3の速度線図において、線図L2に示す状態となり、出力軸Oが接続されたキャリアCR3から、正回転の2速回転が取り出される。
前進段の3速(3速段:3RD)では、図2に示すように、1,2速時の第1クラッチC1の係合に加えて、第3クラッチC3が係合され、第3ブレーキB3の係合が維持されるとともに、第2ワンウェイクラッチF2の作動が解除され、第1ワンウェイクラッチF1の作動が維持される。この状態では、入力軸Iの回転は、それまでの第1クラッチC1を介したリヤギヤユニットRGUへの入力に加えて、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニットFGUのサンギヤS1にも入力され、かつキャリアCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係止される。
結果、第1プラネタリギヤPG1は、サンギヤS1に入力軸Iの回転が入力され、キャリアCR1が係止されることから、図3の速度線図において、線図L3に示す状態となり、フロントギヤユニットFGUの出力要素としてのリングギヤR1から、正回転RV1がリヤギヤユニットRGUの入力要素としての第2プラネタリギヤPG2のリングギヤR2に出力される。一方、リヤギヤユニットRGUには、サンギヤS2,S3に入力軸Iの回転が入力されているので、上述のリングギヤR2へ入力される回転RV1は、図3の線図L4に示すように合成され、出力軸Oに連結されるキャリアCR3からは、3速回転が取り出される。
前進段の4速(4速段:4TH)では、図2に示すように、1,2,3速時の第1クラッチC1の係合及び3速時の第3クラッチC3の係合に加えて、第2クラッチC2が係合されるとともに、第1ワンウェイクラッチF1の作動が解除される。この状態では、入力軸Iの回転は、それまでの第1クラッチC1を介したリヤギヤユニットRGUのサンギヤS2、S3への入力に加えて、第2クラッチC2を介してキャリアCR2及びリングギヤR3にも入力され、リヤギヤユニットRGU、すなわち第2,第3プラネタリギヤPG2,PG3全体が直結回転となり、図3の線図L5に示す状態となり、出力軸Oに連結されるキャリアCR3から、4速回転が取り出される。
前進段の5速(5速段:5TH)では、図2に示すように、第1クラッチC1の係合が解除されるとともに、第2,第3クラッチC2,C3がそのまま係合状態を維持し、かつ第1ブレーキB1が係合される。この状態では、入力軸Iの回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニットRGUである第2プラネタリギヤPG2のキャリアCR2及び第3プラネタリギヤPG3のリングギヤR3に入力されるとともに、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニットFGUである第1プラネタリギヤPG1のサンギヤS1に入力される。すると、キャリアCR1が第1ブレーキB1により係止されているので、フロントギヤユニットFGUは、図3の線図L3で示す状態となり、リングギヤR1からは、減速された正回転RV1がリヤギヤユニットRGUのリングギヤR2に出力される。一方、前述したように、リヤギヤユニットRGUのキャリアCR2及びリングギヤR3には、入力軸Iの回転が入力されるので、速度線図は、図3の線図L6となり、キャリアCR3から出力軸Oへ、5速回転が取り出される。
前進段の6速(6速段:6TH)では、図2に示すように、第2,第3クラッチC2,C3がそのまま係合状態を維持され、かつ第1ブレーキB1が解放され、第2ブレーキB2が係合されるとともに、第3ブレーキB3が解放される。
この状態では、入力軸Iの回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニットRGUである第2プラネタリギヤPG2のキャリアCR2及び第3プラネタリギヤPG3のリングギヤR3に入力される。一方、リングギヤR2が第2ブレーキB2により係止されているので、上述のキャリアCR2の回転により、サンギヤS2,S3が上述の5速のときよりも高速で正回転する。上述のリングギヤR3の回転とこのサンギヤS3の高速回転とにより、キャリアCR3から出力軸Oには、5速よりもさらに高速の6速回転が取り出される。
この6速は、図3の速度線図のL7に対応する。この際、第1,第3ブレーキB1,B3は、図2に示すように、解放状態となっているので、何ら変速に関与しない。また、第3クラッチC3は係合状態を維持するが、第2ワンウェイクラッチF2の作動が解除されており、また第1プラネタリギヤPG1のキャリアCR1がフリー状態となっているので、変速には何等寄与しない。
図2に示すパーキング(P)、ニュートラル(N)及び逆転状態(REV)に関しては、説明を省略する。図3において、REVは逆転速度を示している。
〔主実施形態〕
以下、本願の潤滑構造が好適に適応されている第3プラネタリギヤPG3のピニオンP3周りの構成に関して、詳細に説明する。
図4に示されるように、第3ワンウェイクラッチF3に対してその後方側に第3プラネタリギヤPG3が配設されている。この第3プラネタリギヤPG3はシンプルプラネタリギヤであり、そのリングギヤR3が、先に説明した連結部材CLのフランジCLa外周面に係合して、第2プラネタリギヤPG2のキャリアCR2に連結されている。
一方、サンギヤS3は、中間軸Mの後方端部にあって、この中間軸Mに一体形成されており、またピニオンP3を支持するキャリアCR3は出力軸Oに一体に形成されている。中間軸MはサンギヤS3部分を最も大径として、前方に向かって順次に小径となる段付き構造とされている。キャリアCR3は出力軸Oが鍔状に拡がって形成されている。
出力軸Oは、中間軸Mの後端突出部Maと出力軸Oの前端中空部Oaとが嵌合して回転自在にかつ軸方向移動不能に支持されている。なお、中間軸Mは、その両端部位をそれぞれ入力軸I及び出力軸Oを介してミッションケースMCに間接支持されており、入力軸I及び出力軸Oは、ミッションケースMCに支持されている(図示省略)。
上述の第3プラネタリギヤPG3の外径側には、第4ブレーキB4が配設されており、この第4ブレーキB4により、第2の回転要素RM2に対してブレーキ動作が可能とされている。
図4に示すように、中間軸M内には潤滑用の油路f1が形成されており、この油路f1内に潤滑油が供給される構成が採用されている。この中間軸M内の油路f1から、ピニオンシャフトps内に潤滑油を導くための第1油孔h1が中間軸Mに設けられるとともに、キャリアCR3に第2油孔h2が設けられている。さらに、ピニオンシャフトpsには、前記第2油孔h2に連通するように、本願にいう導入油孔hiが形成されている。
さらに、ピニオンシャフトps内には、その軸方向に穿たれた軸方向油孔haを設け、軸方向油孔haから径方向に、本願にいう導出油孔hoが設けられている。従って、これらの油孔h1,h2,hi,ha,hoを介して、回転に伴って発生する遠心力により、潤滑油がニードルローラn、保持器r側へ導かれる。
図5(イ)、図6は、ピニオンシャフトpsにおける導出油孔hoの形成状態を示す図であり、図5(イ)、図6(イ)は、ピニオンシャフトpsの軸方向において、異なった位置に一対設けられる、各油孔ho1,ho2の位置を示したものであり、図6(ロ)は、ピニオンシャフトpsの周方向における、一対の油孔ho1,ho2の位置関係を示したものである。図5(ロ)は、保持器rによるローラnの保持状態を示している。
本願は、ピニオンシャフトpsにおける導出油孔ho1,ho2の配置構成に特徴があり、図4に示すように、2列配置のニードルローラnにそれぞれ対応して設けられるM型の保持器rに対して、導出油孔ho1,ho2は,シャフト離間部rrとピニオンシャフトpsとの間に形成される空間(本願にあっては、この空間をポケットpと呼んでいる)に、導かれるように開口されている。即ち、所謂、ケージローラベアリングが2列配置で、ピニオンシャフトps、ピニオンP3間に設けられている。
図5に示されるように、保持器rは、ピニオンシャフトpsの径方向の断面形状がM型形状とされ、ピニオンシャフトpsの軸方向において、シャフト近接部rnが両端部位e及び中央部位mに設けられ、シャフト離間部rrが前記両端部位eと前記中央部位mとの間に設けられる構造が採用されている。シャフト離間部rr及び、これらシャフト離間部rr間に設けられる中央側のシャフト近接部rnは、それぞれ、シャフト軸方向に平行に延びる一定幅の部位として構成されている。従って、シャフト離間部rrと、ピニオンシャフトpsの表面との間には、一定の容量の空間であるポケットpが形成されている。本願構造にあっては、このポケットpに向けて、潤滑油が流れ込むこととなる。
さらに、図5,6に示すように、2列配置構成を採用していることで、ピニオンシャフトpsの軸方向において、軸方向中央側に位置する異なる保持器rのシャフト離間部rr(ポケットp)に向けた、潤滑油が導かれる構成が採用されている。従って、異なった保持器r1,r2のそれぞれに対して、軸方向中央側から両端側へ潤滑油が導かれることとなる。
図6に示すように、これら異なった保持器r1,r2に対応する導出油孔ho1,ho2に関して、その周方向配置に関しても独特の構造が採用されている。
即ち、ピニオンシャフトpsの片持ち構造、伝導トルク、回転数等を考慮すると、シャフトps周りで、どの位相に位置するニードルローラnに負荷が掛かるかが判明する。そこで、負荷圏と非負荷圏とのほぼ境界に導出油孔ho1,ho2が設けられている。図6(ロ)には、導出油孔ho2に関して、実線で、その負荷圏と非負荷圏とを示している。
従って、本願構成のように、出力軸O側から異なった距離にある導出油孔ho1,ho2の配置構成にあっては、出力軸O側に位置する導出油孔ho1、ho2の位相が、図4の上下方向である図6(ロ)にVで示す方向から,反時計周り(キャリアのDレンジ回転方向に対して逆方向)に、夫々、90±3度、40±3度と、異ならせてある。このようにすることで、導出油孔ho1,ho2の軸方向開口位置に対応した好ましい潤滑が実行できる。
この実施形態にあっては、導出油孔ho1,ho2の径はそれぞれ同一とされている。
〔別実施形態〕
本願の別実施の形態に関して、以下説明する。
(1) 以上説明した構成は、本願にいうポケットに向けて導出油孔を設ける例であるが、先に説明したように、導出油孔hoの一部が前記ポケットに接続して開口している構成としてもよい。
図7に示す別実施の形態は、その代表例であり、導出油孔hoの油路中心hocは、保持器rのシャフト近接部rnに向けられるものでありながら、その開口径を大きくすることで、油路hoの一部壁面側部位howが、ポケットpに開口している例である。
この例の構成を、図7(イ)に示した。
この例にあっては、ニードルローラnとこれを保持する保持器rとからなるケージローラベアリングを2列に備え、ピニオンシャフトpsの周方向に複数配設されるニードルローラnは、断面がM型をした保持器rに保持されている。
図示する例において、この保持器rは、2列のニードルローラnに対応して、それぞれ備えられており、そのシャフトpsに近接する近接部rnが両端部位e及び中央部位mに設けられ、そのシャフトpsから離間する離間部rrが両端部位eと中央部位mとの間に、一対形成されている。
一方、導出油孔hoに関しては、2列配置の保持器r(ニードルローラn)に対して、ピニオンシャフトpsの軸方向で、ほぼ中央部位に単一設けられており、この孔の開口は、一対の保持器rの両端に設けられたシャフト近接部rnの厚みより大きいものとする。そして、隣接配置される異なった保持器rの両端部位e間に、導出油孔hoの油路中心hocが向けられるとともに、導出油孔hoの口径を、前記両端部位eのピニオンシャフトpsの軸方向における厚みに対して、2.6〜5.2倍の範囲内としている。結果、図7(イ)に矢印で示すように、導出油孔hoからポケットへの潤滑油の流れを確保することができ、良好な潤滑状態を実現できた。
以上説明してきた別実施形態においては、ピニオンシャフトpsの軸方向に、一対のローラnを配設する例を示したが、さらに多くのローラnが配設される構造においてもこの構造は採用できる。
この様な例を図7(ロ)に示した。この例は、軸方向に3配設されるローラn及び保持器rに対して、それぞれ隣接することとなる保持器rの隣接境界位置に油中心hocを備え、保持器rの両端部位eの厚みより大きな孔径を有する導出油孔hoを一対設けた例である。
(2) 以上説明してきた実施形態にあっては、本願の潤滑構造を自動変速機に備えられる第3プラネタリギヤPG3のピニオンシャフトpsに使用する構成を説明したが、本願の潤滑構造は、過酷な高速回転を強いられる第2プラネタリギヤPG2等の部位に採用することもできる。さらに、シングルプラネタリギヤ、ダブルプラネタリギヤ等との関係に係りなく、リングギヤ、サンギヤ間に備えられ、これらとともにプラネタリ機構を構成するピニオン、さらにはキャリアに固定されるピニオンシャフトを備えた機構に採用できる。
(3) 上記の実施の形態にあっては、保持器rの形状として、概略、M型を成す構成の保持器rの径方向内側に形成される空間(ポケットp)に、潤滑油を供給する例を示したが、保持器rとしては、M型の他、U型(中央部位が弧を成してピニオンシャフトに近接しているもの)、W型(中央側に2つのV字状のシャフト近接部があるもの)等も採用できる(図9参照)。
(4)上記の実施の形態にあっては、導出油孔hoは、プラネタリシャフトpsの径方向に設けられる例を示したが、本願にあっては、開口又はその一部が、所謂、ポケットpに向いていればよく、その潤滑油流入開口位置を問うものではない。
(5)上記の主実施形態にあっては、ニードルローラnを2列配置とし、保持器rも一対設けられる構成を示したが、導出油孔hoの全体をポケットpに開口する構成において、比較的長いニードルローラnを単一列備える構成としてもよい。
この場合は、保持器rをこれまで説明してきたようにM型とする場合は、図8(イ)に示すように、ピニオンシャフトpsの軸方向において異なる位置に設けられたシャフト離間部rrに向けて、導出油孔ho3,ho4を設け、それぞれ潤滑油を導く構造を採用できる。
この構成の場合も、図8(ロ)に示すように、出力軸Oからの距離等に応じて、その周方向形成位相を異ならせることとなる。
さらに、この構成の場合は、導入油孔hiからのピニオン軸方向における離間距離が比較的大きくなるため、その距離に応じて、導出油孔ho3,ho4の径を異ならせることが、好ましい。
図8に示す例では、導入油孔hiに近接する導出油孔ho3を、導入油孔hiから離間する導出油孔ho4に対して小径としている。
(6)上記の主実施形態にあっては、ニードルローラnを2列配置とし、保持器rも一対設けられる構成を示したが、3列、4列のように多数配列されるものとしてもよい。
(7)上記の実施の形態にあっては、多段変速機構を構成するプラネタリギヤに本願に係る潤滑構造を採用したが、多段構造のものに本願は限定されるものではなく、当然に無断変速構造のものにあっても、適切な潤滑を行う必要がある部位に採用できる。
非常な高速回転を強いられる過酷な走行条件においても、ピニオンシャフトに摩耗が発生するのを防止することができる潤滑構造を提供することができた。
本願に係る潤滑構造が採用される多段変速機構の概略構成を示す図 図1に示す多段変速機構の作動を示す図 図1に示す多段変速機構の速度線図 第3プラネタリギヤ近傍の詳細構造を示す図 図4に示すピニオンシャフト周りの構成及びローラの保持器による保持構成を示す図 ピニオンシャフトに於ける導出油孔の配置を示す図 導出油孔を大径化した別実施形態を示す図 更なる別実施の形態を示す図 保持器の別断面形態を示す図
符号の説明
1 自動変速機
2 多段変速機構
CR キャリア
PG プラネタリギヤ
P ピニオン
S サンギヤ
R リングギヤ
f1 中間軸内の油路
h1 第1油孔
h2 第2油孔
hi 導入油孔
ha 軸方向油孔
ho 導出油孔
n ニードルローラ
r 保持器
rn シャフト近接部
rr シャフト離間部
p ポケット

Claims (10)

  1. リングギヤとサンギヤ間に配設され、前記リングギヤとサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記ピニオンとピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造であって、
    前記ピニオンシャフトの軸方向に、前記ベアリングを複数備え、
    前記保持器が、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有し、
    前記導出油孔が、前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに開口されている潤滑構造。
  2. リングギヤとサンギヤ間に配設され、前記リングギヤとサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記ピニオンとピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造であって、
    前記ベアリングの前記保持器は、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有するとともに、ピニオンシャフトの軸方向において異なる位置に前記シャフト離間部を複数有し、
    前記複数のシャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成される複数のポケットにそれぞれ開口する導出油孔が設けられている潤滑構造。
  3. 前記保持器のピニオンシャフト径方向の断面形状に関して、ピニオンシャフトの軸方向において、前記シャフト近接部が両端部位及び当該両端部位間の少なくとも一の中間部位に設けられ、前記シャフト離間部が前記両端部位と前記中間部位との間に設けられている請求項1又は2記載の潤滑構造。
  4. ピニオンシャフトの軸方向に複数備えられる各保持器のそれぞれについて、ピニオンシャフトの軸方向中央側に設けた前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに潤滑油を導く請求項1記載の潤滑構造。
  5. ピニオンシャフトの軸方向の異なる位置に設けた前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに潤滑油を供給する前記導出油孔を格別に備え、
    ピニオンシャフトの周方向に関して、前記導出油孔の周方向位置が導出油孔間で異ならせてある請求項1〜4のいずれか1項記載の潤滑構造。
  6. ピニオンシャフト内に形成された油孔に前記潤滑油を導く導入油孔を備え、
    前記導入油孔と前記導出油孔とのピニオンシャフト軸方向離間距離に従って、前記導出油孔の径を設定してある請求項1〜5のいずれか1項記載の潤滑構造。
  7. リングギヤとサンギヤ間に配設され、前記リングギヤとサンギヤとともにプラネタリ機構を構成するピニオンと、キャリアに固定されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの外周とピニオンの内周間に配設され、ピニオンを回転自在に支持するローラ及び前記ローラを保持する保持器とからなるベアリングを備え、前記ピニオンシャフト内から導出油孔を介して前記ピニオンとピニオンシャフトとの間に潤滑油を導く潤滑構造であって、
    前記保持器が、前記ピニオンシャフト側に位置されるシャフト近接部と、前記ピニオンシャフトから離間して位置されるシャフト離間部とを有し、
    前記導出油孔を構成するに、油路中心が前記シャフト近接部に向けられ、油路壁側部位が前記シャフト離間部と前記ピニオンシャフトの表面との間に形成されるポケットに向けられている潤滑構造。
  8. 前記保持器のピニオンシャフト径方向の断面形状に関して、ピニオンシャフトの軸方向において、前記シャフト近接部が少なくとも両端部位に設けられ、前記シャフト離間部が前記両端部位間に設けられる構成で、
    前記ピニオンシャフトの軸方向に、前記ベアリングを隣接して複数備え、隣接される前記保持器の前記両端部位に前記導出油孔の油路中心が向けられている請求項7記載の潤滑構造。
  9. 前記導出油孔の口径を、前記両端部位のピニオンシャフトの軸方向における厚みに対して、2.6〜5.2倍の範囲内とする請求項8記載の潤滑構造。
  10. リングギヤ、サンギヤ及びピニオンを備えたプラネタリギヤを複数備え、入力回転を変速可能な変速機構であって、
    請求項1から9のいずれか一項記載の潤滑構造を少なくとも1の前記プラネタリギヤに備えた変速機構。
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