JP4382903B2 - プラスチック光ファイバケーブル - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、車載用配線、移動体配線、FA機器配線、パソコン配線などの光信号伝送や、光電センサーなどに使用される、プラスチック光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
芯をポリメチルメタクリレート(PMMA)系樹脂で形成したプラスチック光ファイバの鞘樹脂としては、特公昭62−3401号公報にビニリデンフロライドとテトラフロロエチレンやヘキサフロロプロペンの共重合体などで、鞘樹脂のメルトフローインデックスが、紡糸温度T℃において荷重10kgで、{(5/9)×T−100}g/10分以上のものが提案されている。
【0003】
またビニリデンフロライド系樹脂からなる鞘とPMMA系樹脂からなる芯を有するプラスチック光ファイバは、特許第2583523号公報に記載されているように、芯と鞘の間に0.1μm〜2μm程度にわたり芯樹脂と鞘樹脂が相溶した均質な相が形成され、それによって伝送損失が低くできることが知られている。
【0004】
特開平7−77642号公報にはPMMAプラスチック光ファイバの裸線の周りに含フッ素ポリオレフィン樹脂からなる保護層とその上にナイロン12を被覆することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブルを提案している。この文献において含フッ素ポリオレフィン樹脂はナイロン12の被覆と比較的強く接着していることを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高開口数で曲げによる光ロスが少なく、ガソリンなどの車載薬品などにも耐性があり、かつ高温高湿度でも安定であり、ケーブルの端末部の処理においては、被覆を付けたまま信頼性高い車載用などに好適なプラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の構成をとることにより上記課題を解決したものである。
【0007】
即ち本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、芯と鞘からなるプラスチック光ファイバ裸線の外側に接着層を有し、該接着層の周囲に被覆層を有し、該鞘と該接着層との間に保護層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
上記芯を形成する芯樹脂がメチルメタクリレート50重量%以上と、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸およびスチレンからなる群から選ばれる一種以上の共重合可能な成分との共重合体、またはポリメチルメタクリレートであり、上記鞘を形成する鞘樹脂が、ビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%からなり、ナトリウムD線で20℃で測定した屈折率が1.35〜1.37であり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)が38〜45である樹脂であり、上記保護層が、ビニリデンフロライド65モル%〜100モル%とテトラフロロエチレン及び/又はヘキサフロロプロペン0〜35モル%とからなる重合体で、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)が50〜75のビニリデンフロライド系樹脂からなる厚さ5〜25μmの保護層であり、上記接着層がビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%の接着樹脂からなる厚さ2μm〜50μmの接着層であり、上記被複層が厚さ50〜700μmのナイロン12樹脂であることを特徴とする。
【0009】
また、望ましくは、上記鞘樹脂が、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%からなり、メルトフローインデックスMI(ASTM D1238、荷重10kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmノズルから10分間に流れる樹脂のg数)が紡糸温度T℃において15<MI<(5/9)×T−100であり、上記保護層を形成する保護層樹脂が、ビニリデンフロライド成分が70モル%以上であり、上記接着樹脂が、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%からなり、メルトフローインデックスMI(ASTMD1238、荷重10kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmノズルから10分間に流れる樹脂のg数)が240℃において15〜50である。
【0010】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、被覆層の剥離強度が7kg以上に形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルにおいては、芯樹脂としてあらゆる透明な樹脂を用いることが可能であるが、特に好ましいのはPMMA系樹脂である。即ちメチルメタクリレートを50重量%以上含んだ共重合体で、共重合可能な成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、イソプロピルマレイミドのようなマレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンなどがあり、これらの中から一種以上適宜選択して共重合させたものなどであり、その分子量が重量平均分子量として8万〜20万程度のものが好ましく、特に10万〜12万が好ましい。
【0012】
本発明に用いる鞘樹脂としては、ビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%の範囲からなる共重合体でナトリウムD線で20℃で測定した屈折率が1.35〜1.37の範囲にあり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が38〜45の樹脂である。尚、以下に記載する「ショアD硬度」とは全て上記23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)を意味する。
【0013】
従来のPMMA系樹脂からなる芯とビニリデンフロライド系樹脂からなる鞘とから構成されるプラスチック光ファイバにおいては、鞘樹脂として用いられているビニリデンフロライド系樹脂からなる鞘は、それ自信はやや濁っているが、PMMA系樹脂からなる芯と相溶して透明な相溶相を形成することにより低い伝送損失を確保していた。しかしながら、この従来のファイバを高温高湿度環境下に放置した場合には、上記相溶相が濁りを生じ、その結果、ファイバの開口数が下がるということがわかった。
【0014】
一方本発明において、芯樹脂としてPMMA系樹脂を用い、鞘樹脂として上記特定の組成の3元共重合体を用いる場合には、プラスチック光ファイバの芯と鞘の境界面に芯樹脂と鞘樹脂が互いに混じり合った相溶相を全く形成させない。従って、鞘樹脂単独で十分な透明性を有することが必須である。
【0015】
このようなPMMA系樹脂からなる芯と特定の3元共重合体からなる鞘とを有する構成においては、PMMA系樹脂からなる芯に軟らかで透明な鞘が吸盤のようにしっとり貼り付いている状態にあり、両者は相互に融け合っていない。このような鞘樹脂はある程度軟らかである必要がある。即ち、上記特定の組成範囲のビニリデンフロライドとテトラフロロエチレンとヘキサフロロプロペンとからなる3元共重合体を鞘樹脂として用いる場合、該鞘樹脂は、ショアD硬度が38〜45と、非常に軟らかく設定しなければならない。
【0016】
本発明において用いられる鞘樹脂としてより好ましくは、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%である。このような鞘樹脂のメルトフローインデックスを、ASTM D1238、荷重10kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmノズルから10分間に流れる樹脂のg数、と定義したとき、紡糸温度T℃において、15〜200g/10分のものが使用できるが、前述のように、芯に貼り付き接着をしていることから、本鞘樹脂としては、ファイバの繰り返し曲や引張りなどの時に生じるずれに対する耐力が必要なことから、比較的メルトフローインデックスの低目の高分子の強度の強いものが好ましい。具体的には、上記メルトフローインデックスMIが紡糸温度T℃において15<MI<(5/9)×T−100なる関係のある領域である。尚、以下に記載する「メルトフローインデックスMI」とは、全てASTM D1238、荷重10kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmノズルから10分間に流れる樹脂のg数を意味する。
【0017】
本発明に用いる鞘樹脂の各成分の含有量は、NMRにより測定することができる。具体的には、鞘樹脂試料の適量をアセトン−d6とα,α,α−トリフロロトルエンとの混合溶媒に溶解してなる試料溶液を用意し、観測周波数は1Hが400MHz、19Fが376MHzとし、化学シフトの基準物として、1H−NMRはテトラメチルシランを基準に換算し、19F−NMRはトリクロロフロロメタンを基準に換算した。スペクトルからの各成分濃度の算出は次式により求めた重量%組成を、モル%換算する。
【0018】
【数1】
【0019】
尚、上記式中、
A:試料溶液中のトリフロロトルエンmmol数
B:1H−NMRで2.2〜2.7ppmと3.0〜3.8ppmの積分値合計C:1H−NMRで7.0〜8.5ppmの積分値
D:試料溶液中の試料mg数
E:19F−NMRで−67〜−78ppmの積分値
F:19F−NMRで−62〜−66ppmの積分値
【0020】
本発明の用途は主に車載用途やFA用途であるが、このような用途では、薬品に対する対策が特に必要である。ナイロン12はかなりの薬品に対して侵入を防ぐ有益な樹脂ではあるが、万能ではない。特にガソリンなどに対しては別の樹脂で多層構造で防御しなければならない。そのようなナイロン12と組合せ、ナイロン12で防ぎ切れない薬品に対して防御性能の強い樹脂として、ビニリデンフロライド系樹脂からなる保護層を鞘の外側に配置するのが効果的である。
【0021】
上記保護層を形成する保護層樹脂としては、ビニリデンフロライド成分が65モル%以上でショアD硬度が50〜75のビニリデンフロライド系樹脂であり、例えばビニリデンフロライドとテトラフロロエチレンとの共重合体、ビニリデンフロライドとヘキサフロロプロペンとの共重合体、ビニリデンフロライドとテトラフロロエチレンとヘキサフロロプロペンの共重合体、などである。この保護層は複合紡糸により裸線を製造するときに同時に紡糸するのが便利であるが、電線被覆のように、裸線に後被覆することも可能である。保護層の厚さは5〜25μmであり、この層にはカーボンブラックなどを加えてもよい。
【0022】
本発明において、芯・鞘からなるプラスチック光ファイバ裸線或いは芯・鞘・保護層からなるプラスチック光ファイバ第1素線に直接ナイロン12の被覆を施した場合、密着強度は4〜5kgで比較的強いのではあるが、それ以上強くしてファイバの端末処理に該ナイロン12被覆を残して使用する場合にはもう少し密着強度が必要である。本発明ではこの密着強度を引き抜き強度で示し、下記のように定義する。
【0023】
まず50mmの長さのプラスチック光ファイバケーブルをとり、片端から5mmずつ注意深く被覆をはぎとり、合計長さ20mmの被覆をはぎとり、30mmについては被覆を残す。被覆を取り除いたプラスチック光ファイバ素線部を1.1mmの孔を明けた5mmのアクリル板に貫通させ、その素線を引きながら、ナイロン被覆とプラスチック光ファイバ素線が引き抜かれる強度を測定した値を引き抜き強度とし、該値を超えるとプラスチック光ファイバ素線(或いは裸線)が伸びはじめるような強度である。本発明は7kg以上の引き抜き強度を確保することを目的にしている。
【0024】
そこで、本発明では芯・鞘からなる裸線或いは芯・鞘・保護層からなる第1素線の上に、さらに一層接着層を配置し第2素線とする。この接着層はビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%の範囲からなる接着樹脂で形成される。好ましくは、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%であり、メルトフローインデックスMIが240℃において15〜50の樹脂である。本発明にかかる接着層の厚さは2〜50μmである。
【0025】
本発明においては、上記接着樹脂がナイロン12の被覆層と非常に強固に接着することが本発明の主たる特徴である。そのため本接着層の上にナイロン12を被覆した場合、その引き抜き強度は7kgを超える。これは、プラスチック光ファイバ裸線とナイロン被覆を一体として、端末のコネクター固定などの端末処理ができることになり端末処理の信頼性を大きく向上させるものである。ナイロン12樹脂は十分な剛性と寸法安定性があり、コネクターの固定方法でも、ナイロン12の被覆層を締め付けて固定することも十分可能になる。
【0026】
上記のような接着層の被覆は、一つは、裸線或いは第1素線を得た後電線被覆法で行う方法で、もう一つは、芯・鞘・接着層を同時に3層複合紡糸ダイで、或いは、芯・鞘・保護層・接着層を同時に4層複合紡糸ダイで一気に紡糸する方法で得ることができる。
【0027】
本発明のプラスチック光ファイバ裸線の直径は900μm〜1100μm程度であり、そのうち芯の直径はプラスチック光ファイバの直径の90.0%〜99.4%であり、鞘の厚さはプラスチック光ファイバの直径の0.3%〜5.0%である。このようなプラスチック光ファイバ裸線に対し、ナイロン12の被覆層の厚さは50μm〜700μm必要である。50μm未満では被覆が困難であり、700μmを超えるとケーブルが剛直になりすぎるからである。より好ましい厚さは100μm〜300μmであり、このようなケーブルはプラスチック光ファイバとナイロン12被覆が一体となった光ファイバとして端末処理が容易に行える。
【0028】
端末処理としては、ナイロン12の被覆が比較的強固に密着しているため、ファイバ端面は切断したまま、或いは研磨して用いることができる。この場合、コネクターとの固定は、フェルールとナイロン12被覆の間に接着剤で固定したり、フェルールを圧着したり、或いはナイロン12層に止め歯を打ち込んだりして行うことができる。さらに好ましくは、特許第2834811号公報にあるように、先端部を熱板処理し皿状に膨大化する方法等を組み合わせれば、ピストニングによる、問題も完全に防止できるというメリットがある。
【0029】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルはそのまま使用されることもあるし、その上にポリエチレンやポリ塩化ビニルやポリウレタン、ナイロン12、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂の外ジャケットを施してより補強したケーブルとして用いることもできる。これらの被覆材には難燃剤としてメラミン系のものや赤燐、水酸化マグネシウムなどを加えることも当然可能である。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
芯樹脂として屈折率nd20が1.492のポリメチルメタクリレート樹脂で重量平均分子量が10万の樹脂を用いた。鞘樹脂としては、ビニリデンフロライド57モル%、テトロフロロエチレン32%、ヘキサフロロプロペン11%からなる、メルトフローインデックスMIが27(g/10分)、屈折率が1.364でショアD硬度が41の樹脂を用いた。保護層に用いるビニリデンフロライド系樹脂として、ビニリデンフロライド80モル%とテトラフロロエチレン20モル%からなる共重合体で、ショアD硬度が60でカーボンブラック入りの樹脂を用いた。
【0031】
上記芯樹脂、鞘樹脂、保護層樹脂の三つの樹脂を3層複合紡糸ダイに導入し、ダイの温度を240℃で紡糸した。ダイから吐出されたストランドを2倍に延伸し熱処理して、芯径970μm、鞘厚み7.5μm、保護層厚み7.5μmの直径1000μmのプラスチック光ファイバ第1素線を得た。次いで、このプラスチック光ファイバ第1素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、230℃の温度で接着樹脂を被覆した。接着樹脂としては、上記鞘樹脂と同じ樹脂を用いた。該接着層の厚さは20μmであり、結果として直径が1040μmの第2素線を得た。次いでこの第2素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、210℃の温度で、ナイロン12を180μmの厚さに被覆し、直径が1400μmのケーブルを得た。
【0032】
上記プラスチック光ファイバケーブルの伝送損失を測定した。650nmの単色光で、射NA0.15で50mの長さで測定した伝送損失値は150dB/kmであった。
【0033】
本プラスチック光ファイバケーブルのナイロン12被覆と、第2素線の引き抜き強度を測定した。まず50mmの長さのプラスチック光ファイバケーブルをとり、片端から5mmずつ注意深く被覆をはぎとり、合計長さ20mmの被覆をはぎとり、30mmについては被覆を残した。被覆を取り除いたプラスチック光ファイバ第2素線部を1.1mmの孔を明けた5mmのアクリル板に貫通させ、該第2素線を引きながら、ナイロン被覆からプラスチック光ファイバ第2素線が引き抜かれる強度を測定した。その結果、第2素線が伸び始める7kg以上の強度を有していた。
【0034】
次にこの直径が1.4mmのケーブルを用いて、クロスヘッドダイ経由で更にナイロン12を外被覆し、外径2.2mmのプラスチック光ファイバケーブルを得た。
【0035】
このナイロン12は難燃剤としてメラミンシアヌール酸系含有物を用いて難燃性を付与した。その断面構造を図1に示す。図中、1は芯、2は鞘、3は保護層、4は接着層、5は被覆層、6は外被覆層、7は裸線、8は第1素線、9は第2素線である。このケーブルを用いて耐熱性を評価した。
【0036】
伝送特性は650nmLEDを用いて、ファイバの長さ10mの光量の経時変化を測定した。LEDの出力は、標準ファイバを保管し、測定毎にそのファイバの出力が一定となるようにLEDの出力を調整して行った。
【0037】
ケーブルの端末は直径が2.2mmのナイロン外被覆を剥がし、残りの直径が1.4mmのケーブルを内径が1.45mmのフェルールに挿入し、先端は180℃の熱板に押しつけ先端部がT型になるように処理して用いた。この時、ナイロン12の被覆層がプラスチック光ファイバの芯と鞘を皿状に支えており、ピストニングにより引っ込みも完璧に防止できる。
【0038】
その結果、室内保管品では10mの光パワーが−16.3dBmであるのに対し、85℃、95%湿度条件で1000時間放置したものは−16.6dBmで高温湿度下でも安定していた。さらにこのケーブルの耐薬品性を調べた。このケーブルを3mとり、そのうち中央部の1mを室温で200時間ガソリンに浸漬したがそれによる光パワーの変化は0.3dBmであった。
【0039】
他の車の薬品として不凍液に対する安定性を調べた。同様のファイバサンプルで85℃で200時間浸漬した時の光パワー変化は0.3dBmであった。
【0040】
(比較例1)
実施例1で得られた芯、鞘、保護層からなる素線に、接着層を付ける事無くクロスヘッドダイを用いて、ナイロン12を200μmの厚さに被覆し、直径が1.4mmのプラスチック光ファイバケーブルを得た。本プラスチック光ファイバケーブルについても実施例1と同様の引き抜き強度を測定した。引き抜き強度は4.5〜5.5kgであった。
【0041】
(比較例2)
実施例1の芯樹脂と鞘樹脂を用い、2層複合紡糸ダイにより芯径980μm、鞘外径1000μmのプラスチック光ファイバ裸線を得た。この裸線を直接電線被覆用クロスヘッドダイに導入してナイロン12樹脂を200μmの厚さに被覆し、直径が1.4mmのプラスチック光ファイバケーブルを得た。本プラスチック光ファイバケーブルについても実施例1と同様の引き抜き強度を測定した。引き抜き強度は7kg以上であった。
【0042】
次にこの直径が1.4mmケーブルを用いて、クロスヘッドダイ経由で更にナイロン12を外被覆し、外径が2.2mmのプラスチック光ファイバケーブルを得て、更なる評価を行った。85℃、95%の高温湿度条件下では1000時間でも全く安定であったが、ガソリン浸漬テストにおいては200時間で1.2dBmの光量変化が観測された。実施例1と同様に不凍液に対する安定性を調べたところ、同様のファイバサンプルで85℃で200時間浸漬した時の光パワー変化は3.0dBmであった。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラスチック光ファイバは、ガソリンなどの車載薬品などに対する耐性に優れ、さらに高温高湿度環境にも安定であり、引き抜き強度に優れ、ナイロン12被覆を剥がさずにそのまま端末処理を行うことができるため、取扱いが容易であり、特に車載用配線などとして好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で作製したプラスチック光ファイバケーブルの断面模式図である。
【符号の説明】
1 芯
2 鞘
3 保護層
4 接着層
5 被覆層
6 外被覆層
7 裸線
8 第1素線
9 第2素線
Claims (3)
- 芯と鞘からなるプラスチック光ファイバ裸線の外側に接着層を有し、該接着層の周囲に被覆層を有し、該鞘と該接着層との間に保護層を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
上記芯を形成する芯樹脂がメチルメタクリレート50重量%以上と、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸およびスチレンからなる群から選ばれる一種以上の共重合可能な成分との共重合体、またはポリメチルメタクリレートであり、上記鞘を形成する鞘樹脂が、ビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%からなり、ナトリウムD線で20℃で測定した屈折率が1.35〜1.37であり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)が38〜45である樹脂であり、上記保護層が、ビニリデンフロライド65モル%〜100モル%とテトラフロロエチレン及び/又はヘキサフロロプロペン0〜35モル%とからなる重合体で、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)が50〜75のビニリデンフロライド系樹脂からなる厚さ5〜25μmの保護層であり、上記接着層がビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサフロロプロペン成分が8〜22モル%の接着樹脂からなる厚さ2μm〜50μmの接着層であり、上記被複層が厚さ50〜700μmのナイロン12樹脂であることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。 - 上記鞘樹脂が、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%からなり、メルトフローインデックスMIが紡糸温度T℃において15<MI<(5/9)×T−100であり、上記保護層を形成する保護層樹脂が、ビニリデンフロライド成分が70モル%以上であり、上記接着樹脂が、ビニリデンフロライド成分が52〜60モル%、テトラフロロエチレン成分が28〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が9〜13モル%からなり、メルトフローインデックスMI(ASTM D1238、荷重10kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmノズルから10分間に流れる樹脂のg数)が240℃において15〜50である請求項1記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 上記被覆層の引き抜き強度が7kg以上である請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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