JP4382568B2 - 親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
樹脂中の加水分解性シリル基の導入部位は特に制限されないが、通常は樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖である。分子鎖末端及び/又は分子側鎖に導入された加水分解性シリル基を下記の(I)式及び/又は(II)式に示すように水分で架橋させることにより、樹脂は耐水性が向上し、且つ架橋による樹脂被膜の表面強度の向上により、耐ブロッキング性も向上する。
[1]反応性有機官能基を有するシランカップリング剤と有機ポリイソシアネートとの反応生成物であり、該生成物が分子中に少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有するものである。
この際に用いられる反応性有機官能基を有するシランカップリング剤としては、下記の一般式(1)のもの等が挙げられる。
(式中のYは、−NH−、−NR3−、−O−、−S−であり、R1、R2、X、m、nは前記定義の通りである。R3は低級アルキル基である。)
ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコールアジペート
ポリエチレングリコールサクシネート
ポリエチレングリコール/ポリ−ε−ラクトン共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリ−バレロラクトン共重合ポリオール
ポリエチレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドトリアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドトリアミン
その他、カルボキシル基やビニル基を有したエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。但し、他の性能を付与する為、親水性鎖を有しない他のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸等を共重合することも可能である。
(分子側鎖型加水分解性シリル基−ポリウレタン樹脂の製造例)
ポリエチレングリコール(分子量2,040)150部、1,3−ブチレングリコール15部を、トルエン125部と100部のメチルエチルケトンとの混合溶剤中に溶解し、70℃でよく攪拌しながら、ジフェニルメタンジイソシアネート58部を添加する。添加終了後、更にメチルエチルケトン100部を加え、80℃で6時間反応させた。得られた樹脂の赤外吸収スペクトルには水酸基の吸収は認められず、又、ピリジン法(JISK−0070 2.5)による定量によっても水酸基は確認されなかった。次にイソシアネート基を有するシランカップリング剤(C2H5O)3Si(CH2)3NCOの8部を加え、80℃で8時間反応させ、イソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し親水性ポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液は380dPa・s(25℃)の粘度を有していた。該樹脂の重量平均分子量、親水性セグメント含有量、加水分解性シリル基含有セグメントの含有量を表1に示す。他の参考例、実施例及び比較例についても同様である。
(分子末端型加水分解性シリル基−ポリウレア樹脂の製造例)
38部の水素添加MDIを100部のジメチルホルムアミドに溶解し、内温を20℃に保ち、よく攪拌しながら、50部のジメチルホルムアミドに溶解した、ポリエチレンオキサイドジアミン(ジェファーミンED:テキサコケミカル社製、分子量2,000)150部を徐々に滴下し、滴下終了後50℃で3時間反応させ、イソシアネート末端ポリウレア樹脂を得た。内温を再び20℃にして、50部のメチルエチルケトンに溶解した2.8部の1,4−ジアミノブタンを徐々に滴下し、滴下終了後同温度で1時間反応させた。更に100部のメチルエチルケトンに溶解した14部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを徐々に滴下して、30℃で1時間反応させ、イソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し親水性ポリウレア樹脂を得た。この溶液は230dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
(分子末端・側鎖型加水分解性シリル基−ポリウレタン−ポリウレア樹脂の製造例)
(1)イソシアネート末端シランカップリング剤の製造
ヘキサメチレンジイソシアネートと水との付加物(ジュラネート24A−100:旭化成社製、NCO%=23.5)270部を25℃でよく攪拌しながら、この中にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン111部を徐々に滴下して反応させ、無色透明な液状生成物(I)が得られた。得られた生成物は、遊離のイソシアネート基は10.5%[理論値(100%反応した場合に化学量論的に生成する反応物中の該基の量):11.2%]であり、理論的には下記構造と思われる。
上記液状生成物(I)8部とトルエンジイソシアネート46部を150部のジメチルホルムアミドに溶解し、100部のメチルエチルケトンに溶解したポリエチレングリコール(分子量2,040)150部を添加し更に、6部の1,3−ブチレングリコールを添加し、80℃で5時間反応させてイソシアネート末端ポリウレタン樹脂を得た。内温を20℃にして、50部のメチルエチルケトンに溶解した7部の1,4−ジアミノブタンを徐々に滴下し、滴下終了後同温度で1時間反応させた。更に100部のメチルエチルケトンに溶解した16部のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを徐々に滴下して、30℃で1時間反応させイソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し本発明の親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂溶液を得た。この溶液は330dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤を使用しない他は参考例1と同じ材料と処方により親水性ポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液は固形分35%で、540dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
γ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用しない他は参考例2と同じ材料と処方により親水性ポリウレア樹脂溶液を得た。この溶液は固形分35%で、260dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
イソシアネート末端シランカップリング剤とγ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用しない他は実施例1と同じ材料と処方により親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂溶液を得た。この溶液は固形分35%で、220dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
鹸化度98.5%のポリビニルアルコール(重合度550)の5%水溶液を調整した。
(1)インクジェット用受像層への応用
参考例1、2、実施例1及び比較例1〜3で得られた樹脂及び参考例3の樹脂の溶液をそれぞれ100μm厚のPETフィルムに乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して透明シートを作製し、カラーインクジェットプリンター(セイコーエプソン社;PM−750C)で印字記録を行い、以下の項目の評価を行った。
(1)耐ブロッキング性
樹脂コーティング面に未処理PETフィルムを重ね、荷重0.29Mpaを掛け、温度40℃で1日放置後のブロッキング性の評価を行った。結果の表示は以下の通りである。
○:ブロッキング性なし
△:ややブロッキング性あり
×:ブロッキング性あり
(2)プリンター搬送性
インクジェットプリンターでの印字記録の際のプリンター搬送性を評価した。
○:搬送性良好
△:わずかに異音を生じる
×:搬送性不良
(3)発色鮮明性
インクジェットプリンターでカラー画像を印字後、得られたカラー画像の発色鮮明性を目視により観察した。
○:良好
△:普通
×:不良
(4)印字画像の耐水性
インクジェットプリンターでカラー印字後、記録シートを水中に漬け(20℃、24時間)、その後室温で乾燥した際の、記録画像の滲み、発色の変化を目視により観察。
○:変化なし
△:変色が認められる
×:完全に溶解してなくなる
以上の評価結果を表2に示す。
比較例1で得られた樹脂に非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:日本油脂社製)を固形分質量比で95:5に混合した。
ポリビニルブチラール(重合度700、積水化学(株)製)100部、トリオクチルフォスフェート50部及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬社製)3部をエタノール400部に混合溶解した。
参考例1、2、実施例1、比較例1、4で得られた樹脂溶液及び参考例4の樹脂溶液を透明なアクリル樹脂板に刷毛塗りして試料とし、防曇性、帯電防止性の評価を行った。
(1)防曇性
沸騰水浴上、5cmのところに試料板をセットして50℃の水蒸気に10分間曝した時の塗料の曇りを評価した。結果の表示は下記の通りである。
○:曇りなし
△:部分的に曇り
×:曇り
(2)耐水性
沸騰水浴上、5cmのところに試料板をセットして50℃の水蒸気に10分間曝した時の塗膜の状態を評価した。
○:変化なし
△:少し状態の変化あり
×:塗膜の剥離又は溶解
(3)帯電防止性
ダストチェンバーテストにより帯電カーボンの付着性を評価した。
○:カーボンの付着なし
△:一部カーボンの付着あり
×:カーボン付着あり
Claims (4)
- 加水分解性シリル基の含有量が、樹脂の分子量1,000当たり約0.001〜10個である請求項1に記載の親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法。
- 高分子量親水性ポリオール又はポリアミンの使用量が、生成親水性ポリウレタン系樹脂中のこれらからなるセグメントの含有量が30〜80質量%となる量である請求項1に記載の親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法。
- 前記の構造式で表される化合物の使用量が、生成親水性ポリウレタン系樹脂中の該化合物からなるセグメントの含有量が1〜40質量%となる量である請求項1に記載の親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法。
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