JP3961689B2 - 親水性ポリウレタン系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

親水性ポリウレタン系樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は親水性ポリウレタン系樹脂及びその製造方法に関し、さらに詳しくは各種素材に対する接着性に優れ、かつ吸水性、防曇性、透明性、可撓性、水性インクの筆記性並びに耐水性、耐ブロッキング性に優れた親水性ポリウレタン系樹脂及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン系樹脂は耐磨耗性、接着性、可撓性、耐薬品性等に優れ、且つ各種加工法への適性にも優れることから、各種コーティング剤、塗料、インキ等のバインダー、及びフィルム、シート、その他の成型体として広く使用されており、各々の用途に適したポリウレタン系樹脂が提案されている。このポリウレタン系樹脂とは、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂及びポリウレタン−ポリウレア樹脂を総称するものであり、以下の本発明においても同様である。ポリウレタン系樹脂は、基本的には高分子量ポリオール成分と、有機ポリイソシアネート成分と、更に必要に応じて鎖延長剤成分とを反応させて得られるものであり、これら各成分の種類、組み合わせ等によって種々の物性を有するポリウレタン系樹脂の製造が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリウレタン系樹脂は、用途によっては、例えば、農業用樹脂シートの防曇性塗料や内装用樹脂製壁紙用の表面処理剤、繊維コーティング剤、インクジェット用受像シート用コーティング剤等においては、前記特性とともに親水性や耐ブロッキング性も同時に要求されるのが普通である。親水性ポリウレタン系樹脂を得るために高分子量親水性ポリオール成分としてエチレンオキサイドの開環重合から得られるポリエチレングリコールを使用した場合には、高強度で高弾性、且つ親水性に優れたポリウレタン系樹脂が得られるものの、耐水性が悪いために水分により膨潤、白化、強度低下が起こり、各種塗料、印刷インキのバインダー、成型体、フィルム、シート等には適さないという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、各種素材に対する接着性に優れ、かつ吸水性、防曇性、透明性、可撓性、水性インクの筆記性並びに耐水性、耐ブロッキング性に優れた親水性ポリウレタン系樹脂及びその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリオール又はポリアミンと、少なくとも1個のイソシアネート基を有するポリシロキサン化合物と、少なくとも1個の反応性基と少なくとも1個の加水分解性シリル基を同一分子内に有する化合物とを反応させて得られる、親水性セグメントと、ポリシロキサンセグメントと、加水分解性シリル基を含有するセグメントとからなり、親水性セグメントの含有量が30〜80重量%、ポリシロキサンセグメントの含有量が0.1〜10重量%及び加水分解性シリル基を有するセグメントの含有量が1〜40重量%であり、重量平均分子量が3,000〜800,000であることを特徴とする親水性ポリウレタン系樹脂及び上記の成分を反応させることを特徴とする親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明の親水性ポリウレタン系樹脂は、有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリオール又はポリアミンと、必要に応じて鎖延長剤と、少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物と、少なくとも1個の反応性基と少なくとも1個の加水分解性シリル基とを同一分子内に有する化合物とを共重合させることによって得られる。
【0007】
本発明のポリウレタン系樹脂は、親水性セグメントと、ポリシロキサンセグメントと、加水分解性シリル基含有セグメントとから構成され、該樹脂中の加水分解性シリル基を水分により架橋させることにより、親水性ポリウレタン系樹脂に各種素材に対する優れた接着性、且つ優れた吸水性、防曇性、透明性、可撓性、水性インクの筆記性並びに耐水性、耐ブロッキング性が付与される。
【0008】
本発明においては、親水性ポリウレタン系樹脂の合成方法自体は、従来公知のウレタン系樹脂の合成方法を用いることが出来、特に制限されない。以下に親水性ポリウレタン系樹脂(以下では単に「樹脂」と称することがある。)の合成に使用される原料成分について説明する。
【0009】
(1)加水分解性シリル基(加水分解性シリル基含有セグメント)の導入
加水分解性シリル基が樹脂に導入されると、該基を水分で架橋させることにより、樹脂の耐水性は向上し、且つ架橋による樹脂皮膜の表面強度の向上により耐ブロッキング性も向上する。加水分解性シリル基の導入部位は特に制限されないが、通常樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖である。樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖に導入された加水分解性シリル基の水分による架橋は(I)式及び/又は(II)式で示される。
【0010】
Figure 0003961689
Figure 0003961689
樹脂の架橋には水分を添加してもよいが、本発明の樹脂が親水性の為、空気中の水分を利用することもできる。上記式における架橋形成のシラノール縮合を促進させる為に樹脂中に触媒を添加しておくのが好ましい。かかる触媒としては、一般には錫系のカルボン酸塩や酸性触媒及び塩基性触媒が好ましく、樹脂に対して0.0001重量%〜10重量%の範囲で使用される。
【0011】
本発明において親水性ポリウレタン系樹脂に加水分解性シリル基を導入するために使用される化合物は、反応性有機官能基としてイソシアネート基を有するシランカップリング剤及び反応性有機官能基を有するシランカップリング剤と有機ポリイソシアネートとの反応によって得られる少なくとも1個の遊離のイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。
【0012】
本発明で使用する上記イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、例えば次の如き化合物が挙げられる。
〔1〕一般式(1)で表される、少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有するシランカップリング剤。
Figure 0003961689
(式中、R1は低級アルキル基を、R2は低級アルキル基又は低級アルコキシ基を表す。Xは2価の有機基を表し、好ましいものはC0〜C50のアルキレン鎖、芳香族又は脂肪族環であり、これらの基は−N−、−O−、−CO−、−COO−、−NHCO−、−S−、−SO−又は−SO2等の連結基で連結されていてもよい。又、m=0〜3の整数、n=3−mである。)
【0013】
上記遊離イソシアネート基を有するシランカップリング剤の好ましい具体例は下記の通りである。
Figure 0003961689
Figure 0003961689
【0014】
〔2〕反応性有機官能基を有するシランカップリング剤と有機ポリイソシアネートとの反応生成物であり、該生成物が分子中に少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有するもの。
この際に用いられる反応性有機官能基を有するシランカップリング剤としては、下記の一般式(2)のもの等が挙げられる。
Figure 0003961689
(式中、Yは−NH−、−NR3−、−O−、又は−S−を表し、R1、R2、X、m、nは前記定義の通りであり、R3は低級アルキル基を表す。)
【0015】
上記、反応性有機官能基を有するシランカップリング剤の好ましい具体例は下記の通りである。
Figure 0003961689
Figure 0003961689
【0016】
以上のシランカップリング剤は、本発明において使用する好ましいシランカップリング剤の例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。従って、上記の例示の化合物のみならず、その他公知の現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用できる。
【0017】
上記のシランカップリング剤を反応させて親水性ポリウレタン系樹脂 に加水分解性シリル基を導入するが、該基の導入部位は特に制限されないが、通常は樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖である。樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖に加水分解性シリル基を導入する方法の一例を以下に図示する。
1)分子鎖末端への導入
Figure 0003961689
【0018】
2)分子鎖側鎖への導入
Figure 0003961689
(上記式中のR1、R2、X、Yは前記と同じであり、〔P〕は重合体1分子当たり少なくとも2つのウレタン結合及び/又はウレア結合を含有する親水性ポリウレタン、親水性ポリウレア又は親水性ポリウレタン−ポリウレアを表し、Zは、−O−、−S−、−NR3−、又は−NH−であり、R3は低級アルキレン基、m=0〜3の整数、n=3−mである。)
上記以外の方法によっても、親水性樹脂の分子鎖末端及び/又は分子側鎖に加水分解性シリル基を導入することができるが、上記例示以外の方法で該基が導入された親水性樹脂も本発明の親水性樹脂に該当することは勿論である。
【0019】
(2)ポリシロキサンセグメントの導入
本来、疎水性(撥水性)であるポリシロキサンセグメントを樹脂構造中に導入することは、吸水性及び親水性に対して良好な結果を得ることは期待できないが、ポリシロキサンセグメント含有量の少ない樹脂からなる膜表面は、乾燥状態では完全にポリシロキサン成分で覆われるが、水中に浸漬した場合にはポリシロキサン成分が樹脂中に埋没してしまう現象、つまり環境応答性があることが知られている(高分子論文集、第48巻、[第4号]、227頁(1991)他)。本発明はこの現象を利用したものであり、樹脂中におけるポリシロキサン含有量を適度にコントロールすることにより、高湿度又は水性インク等による印字の際は、環境応答によりその表面は親水性を示し、乾燥時又は乾燥後の表面はポリシロキサン成分で覆われて、優れた耐水性、耐ブロッキング性、滑性等が発現される。
【0020】
本発明において親水性ポリウレタン系樹脂を構成する分子鎖中にポリシロキサンセグメントを導入するために使用するポリシロキサン化合物は、分子中に1個又は2個以上の反応性基、例えば、アミノ基、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基等を有するポリシロキサン化合物である。反応性基を有するポリシロキサン化合物の好ましい例としては、例えば、下記の如き化合物が挙げられる。
【0021】
(1)アミノ変性ポリシロキサン化合物
Figure 0003961689
Figure 0003961689
Figure 0003961689
【0022】
Figure 0003961689
【0023】
(2)エポキシ変性ポリシロキサン化合物
Figure 0003961689
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【0024】
(3)アルコール変性ポリシロキサン化合物
Figure 0003961689
【0025】
Figure 0003961689
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【0026】
Figure 0003961689
【0027】
(4)メルカプト変性ポリシロキサン化合物
Figure 0003961689
Figure 0003961689
【0028】
(5)カルボキシル変性ポリシロキサン化合物
Figure 0003961689
Figure 0003961689
【0029】
Figure 0003961689
【0030】
(3)親水性セグメントの導入
本発明で親水性ポリウレタン系樹脂中に親水性セグメントを導入するために使用する高分子量親水性ポリオール又はポリアミンとしては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有する、重量平均分子量が400乃至8,000の範囲のものが好ましい。末端が水酸基で親水性を有するものとしては、例えば、
ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコールアジペート
ポリエチレングリコールサクシネート
ポリエチレングリコール/ポリ−ε−ラクトン共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリ−バレロラクトン共重合ポリオール
末端がアミノ基で親水性を有するものとしては
ポリエチレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドトリアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドトリアミン
その他、カルボキシル基やビニル基を有したエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。又、本発明においては、他の性能を付与する為、親水性鎖を有しない他のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸等を共重合することも可能である。
【0031】
本発明で使用される有機ポリイソシアネートとしては、従来公知のいずれのものも使用できる。例えば、好ましいものとして、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添加MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等があり、或いはこれらの有機ポリイソシアネートと低分子量のポリオールやポリアミンを末端イソシアネートとなる様に反応させて得られるポリウレタンプレポリマー等も当然使用することができる。
【0032】
本発明においては、分子鎖末端及び/又は分子側鎖に加水分解性シリル基を有し、分子鎖中にポリシロキサンセグメントと親水性セグメントとを有する親水性ポリウレタン系樹脂、即ち、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂及び親水性ポリウレア−ポリウレタン樹脂は、従来の公知の方法に準じて、無溶剤あるいは水溶液や溶剤中で合成することができる。各成分の使用量は、以下に示す樹脂中の加水分解性シリル基含有セグメント量、ポリシロキサンセグメント量及び親水性セグメント量となる量である。かくして得られる、分子鎖中にポリシロキサンセグメント、加水分解性シリル基を有するセグメント及び親水性セグメントからなる本発明の親水性ポリウレタン系樹脂の好ましい重量平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算の)は、3,000乃至800,000であり、更に好ましい重量平均分子量は5,000〜500,000である。
【0033】
本発明の親水性ポリウレタン系樹脂中の加水分解性シリル基は、側鎖(ペンダント)及び主鎖中のいずれか一方、又は両方に含有されていてもよく、樹脂中の含有量は原料である加水分解性シリル基を有する化合物として、即ち、該基含有セグメント量として1〜40重量%の範囲が好ましい。更に好ましくは1〜10重量%である。
【0034】
加水分解性シリル基の含有量が上記範囲未満では本発明の所期の目的である耐ブロッキング性、耐水性、耐湿性といった特性の発現が不十分となり、一方、上記範囲を超えると樹脂中の親水性部分が減少し、又、樹脂の架橋構造により耐水性が強くなり、吸水性能や防曇性に劣るようになり好ましくない。
【0035】
樹脂中のポリシロキサンセグメントは樹脂の主鎖中あるいは側鎖中に、又は両方に含有されていてもよく、含有量としては、親水性ポリウレタン系樹脂中0.1〜10重量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量%である。ポリシロキサンセグメントの含有量が0.1重量%未満では、本発明の目的である耐水性、耐ブロッキング性、滑性といった表面特性の発現が不十分となり、一方、10重量%を越えるとポリシロキサンセグメントによる撥水性が強くなるとともに、本発明が利用する環境応答性に乏しくなり、吸水性、防曇性や透明性に劣るようになるので好ましくない。
【0036】
樹脂中の親水性セグメントは樹脂の主鎖中に含まれ、樹脂中の含有量は30〜80重量%が好ましく、更に好ましくは50〜75重量%である。親水性セグメントとの含有量が上記の範囲未満では吸水性、防曇性に劣るようになり、上記の範囲を超えると耐水性、耐ブロッキング性に劣るようになり好ましくない。
【0037】
本発明で得られる親水性ポリウレタン系樹脂は、上記の各セグメントがランダムにウレタン結合、ウレア結合及びウレタン−ウレア結合(鎖延長剤を使用しない場合)の少なくとも一種の結合で連結されている。鎖延長剤を使用する場合にはこれらの結合とともにこれらの結合の間に鎖延長剤の残基である短鎖が存在する結合も存在する。以上の結合も本発明の樹脂の構成成分であり、結合部分と総称する。上記の全セグメントの含有量の残部が樹脂中の結合部分の含有量である。
【0038】
以上の如き本発明の親水性ポリウレタン系樹脂は、各種素材に対する接着性に優れ、且つ吸水性、防曇性、透明性、可とう性、水性インクの筆記性並びに耐水性、耐ブロッキング性に優れ、インクジェット受像シートの受像層用コーティング剤として、各種フィルムの防曇性の塗料として、内装用樹脂製壁紙の結露防止用表面処理剤として、吸水性の衣料用コーティング剤として、合成皮革用材料、合成紙の水性インク筆記用処理剤等として非常に有用である。
【0039】
【実施例】
次に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下における部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
【0040】
実施例1
(分子側鎖型加水分解性シリル基−シリコーンポリウレタン樹脂の製造)
Figure 0003961689
上記構造を有しているポリジメチルシロキサンポリオール(分子量3,200)5部と、ポリエチレングリコール(分子量2,040)145部と、1,3−ブチレングリコール15部とを、トルエン125部と100部のメチルエチルケトンとの混合溶剤中に溶解し、70℃でよく攪拌しながら、ジフェニルメタンジイソシアネート58部を添加する。加終了後、更にメチルエチルケトン100部を加え、80℃で6時間反応させた。
【0041】
得られた樹脂の赤外吸収スペクトルには水酸基の吸収は認められず、又、ピリジン法(JISK−0070 2.5)による定量によっても水酸基は確認されなかった。次にイソシアネート基を有するシランカップリング剤((C25O)3Si(CH23NCO)8部を加え、80℃で8時間反応させ、イソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し、本発明の親水性ポリウレタン樹脂の溶液を得た。この溶液は390dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0042】
参考
(分子末端型加水分解性シリル基−シリコーンポリウレア樹脂の製造)
Figure 0003961689
37部の水添加MDIを100部のジメチルホルムアミドに溶解し、内温を20℃に保ち、よく攪拌しながら、150部のジメチルホルムアミドに溶解した、ポリエチレンオキサイドジアミン(ジェファーミンED:テキサコケミカル社製、分子量2,000)145部と上記構造を有しているポリジメチルシロキサンジアミン(分子量:3,880)5部とを徐々に滴下し、滴下終了後50℃で1時間反応させイソシアネート末端ポリウレア樹脂を得た。内温を再び20℃にして、50部のメチルエチルケトンに溶解した2.8部の1,4−ジアミノブタンを徐々に滴下し、滴下終了後同温度で1時間反応させた。更に100部のメチルエチルケトンに溶解した15.5部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを徐々に滴下して、30℃で1時間反応させ、イソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し、本発明の親水性ポリウレア樹脂の溶液を得た。この溶液は250dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0043】
実施例
(分子末端・側鎖型加水分解性シリル基−シリコーンポリウレタン−ポリウレア樹脂の製造)
(1)イソシアネート末端シランカップリング剤の製造
ヘキサメチレンジイソシアネートと水との付加物(ジュラネート24A−100;旭化成社製、NCO%=23.5)270部を25℃でよく攪拌しながら、この中にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン111部を徐々に滴下して反応させ、無色透明な液状生成物(I)が得られた。得られた生成物は、遊離のイソシアネート基は10.5%[理論値(100%反応した場合に化学量論的に生成する反応物中の該基の量):11.2%]であり、理論的には下記構造と思われる。
Figure 0003961689
【0044】
(2)分子末端・側鎖型加水分解性シリル基−シリコーンポリウレタン−ポリウレア樹脂の製造
Figure 0003961689
前記液状生成物(I)8部とトルエンジイソシアネート46部とを200部のジメチルホルムアミドに溶解し、100部のメチルエチルケトンに溶解したポリエチレングリコール(分子量2,040)145部と上記構造を有するエチレンオキサイド付加型ポリジメチルシロキサン(分子量4,500)5部と、更に6部の1,3−ブチレングリコールとを添加し、80℃で6時間反応させてイソシアネート末端ポリウレタン−ポリウレア樹脂を得た。内温を20℃にして、50部のメチルエチルケトンに溶解した7部の1,4−ジアミノブタンを徐々に滴下し、滴下終了後同温度で1時間反応させた。更に100部のメチルエチルケトンに溶解した16部のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを徐々に滴下して、30℃で1時間反応させイソシアネート基が消失していることを確認した後、固形分濃度を35%に調整し、本発明のポリウレタン−ポリウレア樹脂の溶液を得た。この溶液は320dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0045】
比較例1
ポリジメチルシロキサンポリオール及びイソシアネート基を有するシランカップリング剤を使用しない他は実施例1と同じ材料と処方によりポリウレタン樹脂の溶液を得た。この溶液は固形分35%で、540dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0046】
比較例2
ポリジメチルシロキサンジアミン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用しない他は参考と同じ材料と処方によりポリウレア樹脂の溶液を得た。この溶液は固形分35%で260dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0047】
比較例3
ポリジメチルシロキサンポリオール、イソシアネート末端シランカップリング剤とγ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用しない他は実施例と同じ材料と処方によりポリウレタン−ポリウレア樹脂の溶液を得た。この溶液は固形分35%で、220dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
【0048】
参考例
鹸化度98.5%のポリビニルアルコール(重合度550)の5%水溶液を調製した。
【0049】
以上で得られた実施例1、2、参考例1及び比較例1〜3の樹脂の重量平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算の)、親水性セグメント、加水分解性シリル基含有セグメント及びシロキサンセグメントの含有量(%)は表1の通りであった。
【0050】
Figure 0003961689
【0051】
実施例1、2、参考例1、比較例1〜3で得られた樹脂及び参考例の樹脂の評価結果を次に示す。
(1)インクジェット用受像層への応用
実施例1、2、参考例1、比較例1〜3で得られた樹脂溶液及び参考例の樹脂溶液を100μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工し、透明シートを作製し、カラーインクジェトプリンター(セイコーエプソン社;PM−750C)で印字記録を行い、以下の項目の評価を行った。
(1)耐ブロッキング性
樹脂コーテング面に未処理PETフィルムを重ね、荷重0.29Mpaを掛け、温度40℃で1日放置後のブロッキング性の評価を行った。結果を下記で表示する。
○:ブロッキング性なし
△:ややブロッキング性あり
×:ブロッキング性あり
(2)プリンター搬送性
インクジェットプリンターでの印字記録の際のプリンター搬送性を評価した。
○:搬送性良好
△:わずかに異音を生じる
×:搬送性不良
(3)発色鮮明性
インクジェットプリンターでカラー画像を印字後、得られたカラー画像の発色鮮明性を目視により観察した。
○:良好
△:普通
×:不良
(4)印字画像の耐水性
インクジェットプリンターでカラー印字後、記録シートを水中に漬け(20℃、24時間)、その後室温で乾燥した際の、記録画像の滲み、発色の変化を目視により観察。
○:変化なし
△:変色が認められる
×:完全に溶解してなくなる
以上の結果を表2に示す。
【0052】
Figure 0003961689
【0053】
比較例4
比較例1で得られた樹脂に非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;日本油脂社製)を固形分重量比で95:5に混合した。
【0054】
参考例
ポリビニルブチラール(重合度700、積水化学社製)100部、トリオクチルフォスフェート50部及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製)3部をエタノール400部に混合溶解した。
【0055】
(2)防曇・帯電防止塗料への応用
実施例1、2、参考例1、比較例1、4及び参考例で得られた樹脂溶液を透明なアクリル樹脂板に刷毛塗りして試料とし、防曇性、帯電防止性の評価を行った。
(1)防曇性
沸騰水浴上、5cmのところに試料板をセットして50℃の水蒸気に10分間曝した時の塗料の曇りを評価した。
○:曇りなし
△:部分的に曇り
×:曇り
(2)耐水性
沸騰水浴上、5cmのところに試料板をセットして50℃の水蒸気に10分間曝した時の塗料状態を評価した。
○:変化なし
△:少し状態の変化あり
×:塗膜の剥離又は溶解
(3)帯電防止性
ダストチェンバーテストにより帯電カーボンの付着性を評価した。
○:カーボンの付着なし
△:一部カーボンの付着あり
×:カーボン付着あり
以上の結果を表3に示す。
【0056】
Figure 0003961689
【0057】
【発明の効果】
上記のように、本発明で得られる親水性ポリウレタン系樹脂は、各種素材に対する接着性に優れ、且つ吸水性、防曇性、透明性、可撓性、水性インクの筆記性並びに耐水性、耐ブロッキング性、滑性に優れ、インクジェット受像シートの受像層用コーティング剤として、各種フィルムの防曇性の塗料として、内装用樹脂製壁紙の結露防止用表面処理剤として、吸水性の衣料用コーティング剤として、合成擬革用材料として非常に有用である。

Claims (4)

  1. 有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリオール又はポリアミンと、少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物と、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の加水分解性シリル基を同一分子内に有する化合物とを反応させて得られる、親水性セグメントと、ポリシロキサンセグメントと、加水分解性シリル基を含有するセグメントとからなり、親水性セグメントの含有量が30〜80重量%、ポリシロキサンセグメントの含有量が0.1〜10重量%及び加水分解性シリル基を有するセグメントの含有量が1〜40重量%であり、重量平均分子量が3,000〜800,000であることを特徴とする親水性ポリウレタン系樹脂。
  2. 親水性セグメントがポリエチレンオキサイドから構成されるセグメントである請求項1に記載の親水性ポリウレタン系樹脂。
  3. 加水分解性シリル基を有するセグメントが、親水性ポリウレタン系樹脂の分子鎖末端及び/又は側鎖にある請求項1又は2に記載の親水性ポリウレタン系樹脂。
  4. 有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリオール又はポリアミンと、少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物と、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の加水分解性シリル基を同一分子内に有する化合物とを反応させることからなり、前記高分子量親水性ポリオール又はポリアミンの使用量が、親水性ポリウレタン系樹脂中のこれらの物質から構成されるセグメントの含有量が30〜80重量%となる量であり、前記ポリシロキサン化合物の使用量が、親水性ポリウレタン系樹脂中の該化合物から構成されるセグメントの含有量が0.1〜10重量%となる量であり、前記加水分解性シリル基を同一分子内に有する化合物の使用量が、親水性ポリウレタン系樹脂中の該化合物から構成されるセグメントの含有量が1〜40重量%となる量であり、重量平均分子量が3,000〜800,000であることを特徴とする親水性ポリウレタン系樹脂の製造方法。
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