JP4382192B2 - スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造方法、及びスパークプラグ用セラミック絶縁体 - Google Patents

スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造方法、及びスパークプラグ用セラミック絶縁体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造方法、スパークプラグ用セラミック絶縁体に関する。更に詳しく言えば、スパークプラグを構成するセラミック絶縁体を形成することとなるセラミック成形体の焼成工程において用いられるセラミック容器、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造方法、スパークプラグ用セラミック絶縁体に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパ−クプラグを構成するセラミック絶縁体は、その軸方向に中心電極及び端子電極を挿入するための同軸状の貫通孔を有する。このセラミック絶縁体は、セラミック成形体からなる中間製品を焼成炉に収容し、所定温度で焼成する工程を備える方法により製造される。焼成炉としては、バッチ炉、トンネル台車炉、ローラーハースキルンなど、各種のものが使用される。
【0003】
このセラミック成形体は、通常、アルミナ系セラミックにより構成され、焼成温度は1500〜1650℃にも達する。そこで、生産性を高め、セラミック絶縁体を効率よく製造するため、一般に、底部と、この底部の周縁部に立設される側壁部とを備え、上面側が開口したセラミック容器に、複数のセラミック成形体を収納して、そのまま炉に収容することにより、焼成することが行われている。また、このセラミック容器は、炉の構造等によっては複数が段積みされて炉に収容されることもある。
【0004】
このようなセラミッ容器としては、従来より、多孔質の炭化ケイ素(SiC)からなる容器が用いられている。その理由としては、耐火度が高く、耐スポーリング性、及び高温における曲げ強さ(以下、これを「高温強度」という。)等に優れることが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック絶縁体を構成するアルミナ系セラミックの原料であるアルミナ粉末としては、バイヤー(Bayer)法により製造されたものが使用されている。このバイヤー法は、アルミナ原鉱石であるボーキサイトからアルミナ粉末を湿式抽出する方法であるが、抽出媒として比較的濃度の高い苛性ソーダ水溶液が使用される。そのために、バイヤー法により製造されたアルミナ粉末から得られるアルミナ系セラミックには、ソーダ分(Na成分)が、即ちアルカリ金属成分が不可避的に含有されることが多い。
【0006】
そして、このようにアルカリ金属成分を含有するアルミナ系セラミックよりなるセラミック成形体を、従来からの炭化ケイ素からなるセラミック容器に収納して焼成を行った場合には、焼成温度によっても異なるが、高温下において、セラミック容器がSi成分を主体としてなる(Si成分を多く含有している)ために、そのSi成分が軟化、即ち溶解してしまい、セラミック成形体側のアルカリ金属と反応して、融点の低いアルカリケイ酸ガラス質を形成するといったことが考えられる。このようにガラス質が形成された場合では、セラミック成形体とセラミック容器との間に溶着を起こしてしまう可能性があり、焼成後に所定のセラミック絶縁体が得られないばかりか、セラミック容器自体が不良を起こしてしまう可能性もある。
【0007】
また、多孔質の炭化ケイ素からなるセラミック容器を形成するに際しては、底部と側壁部とを別体で形成した上で、各部を接着材等を用いて接着して製造されるものである。その理由としては、炭化ケイ素を主成分とする原料粉末にあっては、その原料粉末の混練時及び焼成時において酸化される可能性が高く、その酸化を防ぐべく比表面積の小さい粒子よりなる原料粉末を使用せざるを得ないことから、成形性が悪くなりがちであり、一体成形が困難であることが挙げられる。そのために、セラミック容器そのものの生産効率が悪くなりがちであり、また原料粉末も高価であることから、コストの高いセラミック容器となってしまうといった懸念もある。
【0008】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するものであり、セラミック成形体を焼成する際の高温下の繰り返し使用においても、溶解等を生じず、その結果セラミック成形体と溶着することがなく、また、底部と側壁部とを一体に形成することができ、生産効率の向上及びコストの低下に寄与することができるスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器は、底部と、該底部の周縁部に立設される側壁部とを有し、底部上面に、複数のスパークプラグ用セラミック成形体が、その軸が上下方向となるように載置される、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器であって、ムライトを含有するアルミナ質焼結体からなり、SiOに換算したSi成分と、Alに換算したAl成分との重量比が5/95〜20/80であり、上記アルミナ質焼結体が、平均粒径0.5〜2mmのアルミナ粗粒子、平均粒径1〜10μmのアルミナ微粒子、及び平均粒径1〜10μmのムライト微粒子を含有することを特徴とする。
【0010】
スパークプラグは、セラミックからなる、詳細にはアルミナ質焼結体からなる絶縁体部を有する。この絶縁体部を構成するセラミック絶縁体は以下のようにして形成される。
先ず、アルミナ粉末に、焼結助剤として、Si、Ca、Mg等の金属元素の酸化物粉末、或いは炭酸塩等の化合物粉末を配合した後、ポリビニルアルコール等のバインダ、及び水等の溶媒を添加し、湿式混合により坏土とする。次いで、この坏土を乾燥し、造粒し、整粒した後、軸方向に長い形状のセラミック成形体とし、その外周面を切削して仕上げる。その後、この成形体をセラミック容器に収納して、1500〜1600℃の焼成温度にて1〜3時間保持して焼成する。
【0011】
尚、上記アルミナ粉末には、前述したようにアルミナ抽出工程(バイヤー法)にて混入するソーダ分(Na分)、即ちアルカリ金属成分が不可避的に含有されていることが多い。
【0012】
ここで本発明にあっては、このスパークプラグのセラミック絶縁体部の形成に用いられる上記「セラミック容器」はアルミナ質焼結体からなり、このアルミナ質焼結体は、「Si成分」と「Al成分」とを主成分とする。この「主成分」とは、アルミナ質焼結体を100重量部とした場合に、Si成分とAl成分との合計量が97重量部以上、特に99重量部以上であることを意味する。
【0013】
また、アルミナ質焼結体により構成される本発明のセラミック容器において、SiO2に換算したSi成分と、Al23に換算したAl成分との重量比は、「5/95〜20/80」であり、特に10/90〜15/85、更には11/89〜13/87であることが好ましい。Si成分が過多である場合は、容器の耐火度が低下し、更に、高温下の繰り返し使用においてSi成分が溶解してしまうことがあり、スパークプラグのセラミック絶縁体部を構成することとなるセラミック成形体に含まれるアルカリ金属成分と反応して、溶着してしまうため実用に供することができない。一方、Si成分が過少であると、耐スポーリング性が低下し、容器の寿命が短くなる傾向にある。
【0014】
即ち、セラミック容器を構成するアルミナ質焼結体におけるSi成分とAl成分との重量比が、特に、上記の好ましい範囲にあれば、高温下の繰り返し使用においてもセラミック成形体に含有されるアルカリ金属成分と反応して溶着することがなく、十分な高温強度を有し、耐スポーリング性も良好であり、且つ繰り返しの使用に耐える寿命の長い優れた性能のセラミック容器とすることができる。ここで、上記重量比については、セラミック容器のある一部分をもって算出することにより、セラミック容器全体を代表するものとする。尚、後述する第2発明〜第8発明についてもセラミック容器のある一部分をもって、セラミック容器全体を代表するものとする。
【0015】
ところで、軸方向に長い形状を有するセラミック成形体は、セラミック容器に密に複数立てた状態で収納された上で焼成されるものである。しかしながら、そのセラミック成形体は、その焼成過程において収縮を起こすために、密に収納された焼成前の状態と比較して、セラミック成形体の座り(安定性)が少々悪くなるものである。そのために、セラミック成形体が傾いたり、或いは倒れたりといったことが生じないように、セラミック容器には、高温強度及び耐スポーリング性といった特性が必要とされる。
【0016】
その理由としては、セラミック容器がある程度の高温強度を満たさなければ、高温下でセラミック容器自体が変形してしまい、密に複数立てた状態で収納されたセラミック成形体の一部、或いは全部が、その焼成過程において収縮している際に、容易に傾いたり、倒れたりしてしまい、所定の絶縁体形状をしたセラミック絶縁体が得られないからである。また、セラミック絶縁体に形成される同軸状の貫通孔が屈曲して、中心電極及び端子電極が挿入できないといった不具合を起こしてしまうからでもある。更に、セラミック容器がある程度の耐スポーリング性を満たさなければ、セラミック成形体の焼成過程において、セラミック容器が割れを起こし、セラミック成形体が焼成炉内へ落下してしまって、焼成炉の耐久性等にも悪影響を及ぼしてしまうおそれもある。
【0017】
尚、本発明のセラミック容器は、アルミナ粉末やシリカ粉末、ムライト粉末等からなる原料粉末を所定の量比で配合し、これに適量の有機バインダ、溶媒等を添加して混合粉末を調製した後、この混合粉末を、底部と該底部の周縁部に立設される側壁部とを有し、上面側が開口した成形体となるように成形し、この成形体を1700〜1750℃の焼成温度にて5〜10時間保持して焼成することにより製造することができる。
【0018】
これらの原料粉末は炭化ケイ素と比較して安価であり、また、アルミナ質焼結体からなるセラミック容器では、全ての原料粉末が安定な酸化物から構成されるものであり、その原料粉末は混練時及び焼成時において酸化することがないことから、微粒な原料粉末を使用することができる。それにより、底部と側壁部とを一体成形することが可能となり、生産効率が向上するとともに容器のコストを低くすることが可能となる。更に、原料粉末の量比を変化させることにより、容器の組成を容易に調整することができ、耐火度、高温強度、耐スポーリング性等、優れた所要特性を有するセラミック容器とすることができる。
【0019】
ここで、セラミック容器を製造するための上述した原料粉末は特に限定されず、各種のアルミナ粉末やシリカ粉末等を使用することができる。例えば、これらの粉末としては、電融品、或いは化成品等が挙げられ、その粒径も数μmから2〜3mm程度まで各種のものがある。その中でも、特にこの原料粉末としては、アルミナ粉末とムライト粉末とを使用することが好ましく、それらを使用することにより、第2発明のように、セラミック容器が、少なくとも「ムライト」を含有するアルミナ質焼結体から構成されることとなる。このようにアルミナ粉末とムライト粉末とを使用してセラミック容器を構成することにより、セラミック容器を構成するアルミナ質焼結体中に、融点が1900℃近傍といった非常に高いムライトが少なくとも含有されるので、上述した耐火度や耐スポーリング性等に優れた性能を有するセラミック容器とすることができる。
【0020】
更に、第発明のように、セラミック容器を構成するアルミナ質焼結体の見かけ気孔率は、15〜25%、特に17〜23%であることが好ましく、第発明のように、セラミック容器を構成するアルミナ質焼結体のかさ比重は、2.5〜3.2、特に2.8〜3.0であることが好ましい。このような見かけ気孔率、或いはかさ比重を有しておれば、耐火度が高く、優れた高温強度と耐スポーリング性とを併せ有するセラミック容器とすることができる。見かけ気孔率が15%未満であり、又はかさ比重が3.2を超える場合は、焼結体が緻密になり過ぎ、耐スポーリング性が損なわれ、容器に割れが発生し易くなる。一方、見かけ気孔率が25%を超え、又はかさ比重が2.5未満である場合は、多孔質に過ぎ、高温強度が低下するとともに、繰り返し使用にともなう容器の変形を生じ易くなる。
【0021】
また、アルミナ粉末としては、粒径の大きい電融アルミナ粉末と、粒径の小さいアルミナ粉末及びムライト粉末とを併用して使用する。このような原料粉末を用いることにより、第発明のように、電融アルミナ粉末から生成する平均粒径0.5〜2mm、特に0.5〜1.5mmのアルミナ粗粒子、粒径の小さいアルミナ粉末から生成する平均粒径1〜10μm、特に1〜7μm、更には2〜5μmのアルミナ微粒子、及び粒径の小さいムライト粉末から生成する平均粒径1〜10μm、特に1〜7μm、更には2〜5μmのムライト微粒子を含有するアルミナ質焼結体からなるセラミック容器とすることができる。尚、上記各平均粒径については、セラミック容器のある一部分の断面を倍率15倍の電子顕微鏡写真をもって観察、算出し、その一部分をもってセラミック容器全体を代表するものとする。
【0022】
また、第発明のように、本発明のセラミック容器では、アルミナ質焼結体を100重量部とした場合に、アルミナ粗粒子は5〜40重量部、特に5〜20重量部であることが好ましい。また、アルミナ微粒子は20〜55重量部、特に30〜40重量部、ムライト微粒子は40〜75重量部、特に50〜60重量部であることが好ましい。
【0023】
このアルミナ粗粒子は融点の高いアルミナにより構成されており、その含有量が5重量部未満では、セラミック容器の耐火度が低下し、含有量が40重量部を超える場合は、焼結性が低下して高温強度等が小さくなるため好ましくない。一方、アルミナ微粒子及びムライト微粒子は、焼結に寄与しており、これらが下限値未満であると、緻密性が損なわれ、容器の耐スポーリング性等が低下するため好ましくなく、逆に上限値を超えると容器の高温強度等が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明のセラミック容器を構成するアルミナ質焼結体は、上記のように粗粒子と微粒子とを含有することが好ましいが、これらの粒子は、第発明のように、微粒子を基体とし、この基体に粗粒子が分散した状態であることが好ましい。この粗粒子はより均一に分散していることが好ましく、そのような構成であれば、第発明の見かけ気孔率、或いは第発明のかさ比重を有し、耐火度が高く、且つ高温強度、耐スポーリング性等に優れ、長寿命のセラミック容器とすることができる。尚、アルミナ粉末、ムライト粉末等の原料粉末として、粒径範囲の異なる2種以上の粉末を併用することもできる。
【0025】
このセラミック容器の高温強度は、第発明のように、JIS R 221に準じ、1400℃で測定した場合に、6〜10MPa、特に7〜10MPa、更には8〜10MPaとすることができる。また、前記の方法によって測定した耐スポーリング性は18〜28サイクル、特に20〜28サイクル、更には22〜28サイクルとすることができる。更に、このように優れた高温強度及び耐スポーリング性を有するセラミック容器とすることにより、以下の実験例における方法によって評価した場合の耐用回数が20〜28回、特に22〜28回、更には24〜28回の長寿命の容器とすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
実験例1〜19
SiO2に換算したSi成分と、Al23に換算したAl成分とのSiO2/Al23の重量比及びアルミナ粗粒子の含有量が表1に記載のようになるように原料粉末を混合し、以下の方法によって図1に示す方形のセラミック容器1を製造した。この容器1は、内部の深さが95mmとなるような高さを有する側壁部11と、内側寸法が100×100mm、厚さが10mmである底部12とを有し、上面側が開口した構造よりなる。
【0027】
【表1】
Figure 0004382192
この表1において、*は第1発明の範囲外であり、**は第発明及び第発明の範囲外であることを表す。
【0028】
(1)セラミック容器の製造
平均粒径1.3mmの電融アルミナ粉末、平均粒径2.0μmのアルミナ粉末及び平均粒径2.0μmのムライト粉末を所定の量比で混合し、バインダとしてポリビニルアルコールを、及び溶媒として水を添加し、湿式混合して坏土を調製した。その後、この坏土を用いて金型プレスによって図1に示す方形の成形体を作製し、得られた成形体を1750℃の焼成温度にて5時間保持して焼成し、表1の実験例1〜17のセラミック容器を製造した。
【0029】
尚、得られたセラミック容器を構成するアルミナ質焼結体におけるSiO2/Al23の重量比、及びアルミナ粗粒子の含有量を以下のようにして測定した。
▲1▼SiO2/Al23の重量比;JIS R 2216に規定された蛍光X線による分析方法によってSiO2とAl23とを定量し、これらの合計量に対するSiO2とAl23の重量比を算出した。但し、蛍光X線分析に供した試料はセラミック容器の一部を乳鉢ですり潰して調製した。
▲2▼アルミナ粗粒子の含有量;セラミック容器の一部を軽く乳鉢ですり潰し、850μmのふるいによって分級することによって測定した。
【0030】
図2は、実験例6のセラミック容器の断面の倍率15倍の電子顕微鏡写真である。この図2のセラミック容器は、粒径0.8〜7μmのアルミナ微粒子及び粒径0.8〜7μmのムライト微粒子からなる基体に、粒径0.6〜2mmのアルミナ粗粒子が均一に分散したアルミナ質焼結体により構成されていることが分かる。
【0031】
(2)スパークプラグのセラミック絶縁体部を形成するためのセラミック成形体の作製
平均粒径2μmのアルミナ粉末95重量%、平均粒径1.5μm、純度99.5%のシリカ粉末2.1重量%、平均粒径2μm、純度99.9%のカルシア粉末2.5重量%、平均粒径2μm、純度99.5%のマグネシア0.2重量%、及び平均粒径1.5μm、純度99.5%の炭酸バリウム0.2重量%をアルミナ製ポットによって混合した。その後、この混合粉末100重量部に対して、バインダとしてポリビニルアルコールを3重量部、及び溶媒として水を103重量部添加し、湿式混合して坏土を調製した。
【0032】
次いで、この坏土をスプレードライヤ法により乾燥し、球状に造粒し、ふるいによって粒径50〜100μmに整粒した。その後、この整粒物をラバープレス法により圧力50MPaで成形し、外周面を切削して、図3に示すような中心電極及び端子電極を挿入するための同軸状の貫通孔21を有し、軸方向に長い絶縁体と略同形状のセラミック成形体2に仕上げた。尚、セラミック成形体2の各部の寸法は、l1=75mm、r1=10mm、r2=8mm、r3=15mm、δ1=4.7mm及びδ2=3.2mmである。
【0033】
(3)セラミック絶縁体の製造
(1)において製造した実験例1〜17のそれぞれのセラミック容器に、(2)において作製したセラミック成形体2を図4に示すように、セラミック容器1の底部12上面に複数、具体的には各80本収納し、この状態の各セラミック容器を4段に段積みし、これらをトンネル炉に収容し、1650℃の焼成温度にて1時間保持して焼成し、スパークプラグを構成するためのアルミナ質焼結体からなるセラミック絶縁体を製造した。
【0034】
(4)セラミック容器の性能評価
以下の方法によって、実験例1〜19のセラミック容器の見かけ気孔率、かさ比重、高温強度、耐スポーリング性、耐用回数及びセラミック成形体との溶着の有無を評価した。
▲1▼見かけ気孔率及びかさ比重;JIS R 2205に準じて測定した。但し、セラミック容器の底部から切り出した30×30mm(厚さ;10mm)の試片を使用した。
結果を表1に併記する。
【0035】
▲2▼高温強度;JIS R 2213に準じて測定した。但し、セラミック容器から150×50mmの試片を切り出し、スパン100mmとして測定した。また、測定温度は1400℃±10℃の加熱雰囲気とした。
▲3▼耐スポーリング性;セラミック容器を電気炉に収容して500℃に加熱し、全体が十分に均一に加熱された時点で、直ちに電気炉から25℃の室温雰囲気へ移す操作を繰り返し、容器に亀裂が生じるのを目視により確認した。亀裂が生ずるまでの繰り返し数を耐スポ−リング性としてサイクル数で表す。
【0036】
▲4▼耐用回数;セラミック容器に(2)において作製されたセラミック成形体からなる中間製品80本を収納し、この容器を4段に段積みして最高温度1600℃のトンネル台車炉ヘ通炉し、割れの発生或いは底部、側壁部の変形などを目視で観察し、実用上、継続して使用することができないと判断されるまでの使用回数を評価した。
【0037】
▲5▼セラミック成形体との溶着;セラミック容器に(2)において作製されたセラミック成形体からなる中間製品80本を収納し、この容器を最高温度1600℃のトンネル台車炉へ通炉し、セラミック成形体(セラミック絶縁体)とセラミック容器との溶着の発生を目視で観察して、その発生の有無を評価した。尚、セラミック容器の耐用回数内において、セラミック成形体との溶着の発生がみられなかった時を○、逆に発生がみられた時を×として評価した。
以上、高温強度、耐スポーリング性、耐用回数及びセラミック成形体との溶着の評価結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004382192
【0039】
表2の結果によれば、実験例1〜11では、高温強度は6.5〜9.1MPaであり、耐スポーリング性は20〜25サイクルであって、耐用回数は21〜26回となっており、強度が大きく、耐熱性が高く、寿命の長いセラミック容器が得られていることが分かる。特に、SiO2/Al23の重量比が11/89〜13/87である実験例4〜6では、各特性のバランスのよい優れた性能のセラミック容器が得られている。また、表1及び表2の結果によれば、実験例1〜11において、アルミナ粗粒子の含有量が8〜12重量部である実験例2、3、6、8、9及び11では、見かけ気孔率が15〜20%であってより優れた性能のセラミック容器が得られていることが分かる。
【0040】
一方、表1及び表2の結果によれば、SiO2の量比が第1発明の下限値未満である実験例15及び16では、高温強度は問題ないものの、耐スポーリング性及び耐用回数が劣っている。また、この量比が第1発明の上限値を超えている、即ちSi成分が比較的多く含有されている実験例17、18及び19では、セラミック成形体とセラミック容器との溶着が確認された。更に、SiO2の量比が第1発明の範囲内であっても、見かけ気孔率が低く、かさ比重の大きい実験例12及び見かけ気孔率が低い13では、耐スポーリング性に劣り、耐用回数もやや劣っている。逆に見かけ気孔率が高く、かさ比重の小さい実験例14では、高温強度に劣る。
【0041】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、セラミック容器の形状及び寸法は、前記のようなものに限られず、焼成炉の形状、スパークプラグの寸法等により適宜最適な形状及び寸法とすることができる。但し、容器が大き過ぎると取り扱いが容易ではなく、一方、小さ過ぎると生産性が低下するため、図1に示す形状及び前記の寸法に近似の方形の容器とすることが好ましい。
【0042】
【発明の効果】
第1発明によれば、セラミック成形体を焼成する際の高温下においても、溶解等を生じず、その結果セラミック成形体と溶着することがなく、所定のセラミック絶縁体を提供することが可能なスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器を得ることができる。また、第発明及び第発明のように、特定の見かけ気孔率或いはかさ比重を有する容器とすることにより、高温強度が大きく、耐熱に優れ、耐用回数を更に安定して長くすることができる。更に、第発明乃至第発明の特定の構成のアルミナ質焼結体からなる容器とすることにより、第発明のように、高温強度、耐スポーリング性等、より優れた性能のセラミック容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、各実験例において製造したスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器の平面図である。(B)は、(A)のX−X’における縦断面図である。
【図2】実験例6において製造したスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器の断面の電子顕微鏡写真である。
【図3】セラミック成形体の縦断面図である。
【図4】(A)は、各実験例において製造したスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器に、セラミック成形体を収納した状態を表す平面図である。(B)は、(A)のY−Y’における縦断面図である。
【符号の説明】
1;セラミック容器、11;側壁部、12;底部、2;セラミック成形体、21;貫通孔。

Claims (8)

  1. 底部と、該底部の周縁部に立設される側壁部とを有し、底部上面に、複数のスパークプラグ用セラミック成形体が、その軸が上下方向となるように載置される、スパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器であって、
    ムライトを含有するアルミナ質焼結体からなり、SiOに換算したSi成分と、Alに換算したAl成分との重量比が5/95〜20/80であり、
    上記アルミナ質焼結体が、平均粒径0.5〜2mmのアルミナ粗粒子、平均粒径1〜10μmのアルミナ微粒子、及び平均粒径1〜10μmのムライト微粒子を含有することを特徴とするスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
  2. 上記アルミナ質焼結体の見かけ気孔率が15〜25%である請求項1に記載のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
  3. 上記アルミナ質焼結体のかさ比重が2.5〜3.2である請求項1又は2に記載のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
  4. 上記アルミナ質焼結体を100重量部とした場合に、上記アルミナ粗粒子は5〜40重量部、上記アルミナ微粒子は20〜55重量部、上記ムライト微粒子は40〜75重量部である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
  5. 上記アルミナ微粒子と上記ムライト微粒子が基体を構成し、上記アルミナ粗粒子が該基体に分散している請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
  6. JIS R 2213に準じ、1400℃で測定した曲げ強さが6〜10MPaであり、下記の方法によって測定した耐スポーリング性が18〜28サイクルである請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造に用いられるセラミック容器。
    耐スポーリング性の測定方法;セラミック容器を500℃に加熱した後、25℃で自然放冷する操作を繰り返し、亀裂が生ずるまでの繰り返し数により評価する。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のセラミック容器を用いて、スパークプラグ用セラミック絶縁体を製造することを特徴とするスパークプラグ用セラミック絶縁体の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のセラミック容器を用いて製造されたことを特徴とするスパークプラグ用セラミック絶縁体。
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