JP4381740B2 - 光記録再生装置、光記録再生方法及び光記録媒体 - Google Patents

光記録再生装置、光記録再生方法及び光記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に対して高密度に情報の記録再生を行う光記録再生装置、光記録再生方法、及びその光記録再生方法を用いて情報の記録再生が行われる光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像などの膨大な量の情報を処理するために、記録媒体への光記録再生の高密度化がより必要とされてきている。そのため、高密度に記録された信号の読み出しに関する技術的検討が盛んに行われている。
【0003】
通常、光源としてレーザビームを用いた読み出し(再生)方法では、光の回折限界によって決まる解像限界が存在する。レーザビームの波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、光の回折限界はλ/2NAとなり、解像限界はλ/4NAとなる。
【0004】
つまり、カットオフ空間周波数は2NA/λなので、記録マークの長さと、隣接する2つの記録マーク間にあるスペースの長さとが同じである記録マーク列は、その空間周波数が2NA/λ以下であれば、読み取り可能となる。この場合、読み取り可能な空間周波数に対応するマーク長(スペース長)は、λ/4NAとなる。すなわち、配列ピッチλ/2NA未満、マーク長λ/4NA未満の記録マーク列を読み出して再生信号を得ることはできない。
【0005】
したがって、高密度に記録された信号を読み出すためには、解像限界をより小さくする、つまり、λを小さくする及び/又はNAを大きくすることが有効であり、これらに関して多くの技術的検討が行われている。
【0006】
一方、解像限界をより小さくしようとする検討とは別に、解像限界よりも小さい記録マークを記録して読み出すための技術として、超解像記録再生技術が提案されている。この超解像記録再生技術としては、例えばレーザ照射によって開口等を生じる機能を有する層を媒体内に設け、媒体内で実質的にNAを高める技術が提案されている。
【0007】
その一例として、特許文献1には基板に成膜された記録膜の変形によって、超解像記録再生を行う方法が提案されている。上記公報では、Ge、Ga、Te、Sn、In、Se、Sb、Asの少なくとも一つの元素を含む合金薄膜層を備えた記録媒体に強い光を照射し、照射部分を変形させて記録を行っている。そして、この変形箇所に弱い光を照射することによって、解像限界以下のサイズの変形によって記録マークを再生している。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−185642号公報(平成8年7月16日公開)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載のような従来例では、再生信号の信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が低いという問題がある。即ち、解像限界よりも小さなサイズのマークを実用的な光ディスクの線速度で読み出すには、十分に高いSNRを必要とする。それにもかかわらず、超解像記録再生においては、マークのサイズが解像限界よりも小さくなればなるほど、読み出される信号量も次第に減少し、SNRが不十分となってしまうのである。また、記録されたマークは、信号読み出しのための度重なる光照射によって、劣化してしまい易いという耐久性の面の問題も有している。これらの理由から、上記の従来例ではSNRおよび耐久性の面で実用的な記録再生を行うことができず、結果として超解像記録再生によって高密度の記録再生を行うことが困難である。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、解像限界よりも小さなサイズのマークでも、十分なSNRと耐久性とが得られる光記録再生装置、光記録再生方法、及びその方法を用いて記録再生が行われる光記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録再生装置は、上記の目的を達成するために、光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、前記光学系は、第1の照射光を照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する補助照射手段と、前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す再生手段とを備え、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴としている。
【0012】
上記光記録再生装置は、半導体レーザなどの光源からレーザビーム(照射光)を発する光源と、このレーザビームを集光する対物レンズ等の集光手段とを有する光学系を備え、金属酸化層を含む記録媒体に対して上記光学系から光を照射することによって記録再生を行うものである。上記光学系は、記録手段によって、所定の光量を有する第1の照射光を照射することによって、光ディスク等の記録媒体に対して変形を形成し、情報の記録を行う。即ち、ここで言う「変形」とは、情報が記録された記録マークと言うこともできる。記録手段によって形成された記録マークとしての変形は、再生手段から照射された第3の照射光の反射光又は透過光に基づいて情報信号として読み取られ、再生される。上記再生手段における第3の照射光は、既に形成されている上記記録マークを読み取れるだけの光量であればよいため、上記第1の照射光と比較して弱い光量に設定されている。これにより、読み取り時に上記記録マークを劣化させることなく情報の読み取りを行うことができる。
【0013】
しかしながら、昨今の光記録の高密度化へ要求を反映して、光の回折限界を超えて記録再生を行うためには、上述のように十分なSNRと耐久性が必要とされる。そこで、本発明の光記録再生装置においては、上記の構成に加え、記録手段が上記第1の照射光を照射して上記変形を形成する直前及び/又は直後に前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する補助照射手段が備えられている。
【0014】
上記の構成によれば、上記補助照射手段が第2の照射光を記録媒体に照射することによって、変形(即ち、情報として記録されたマーク)の形状を安定化させることができる。これによって、第3の照射光による読み出し時にマークの劣化を防止することができる。そして、その結果として、後述の実施の形態においても示されるように、十分なSNRが得られるとともに上記光記録再生装置を用いて記録再生される記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【0015】
なお、「光量」とは一般に光束の時間積分値のことを意味するが、本明細書においては特に光の照射強度のことを言う。従って、光量が強いあるいは弱いとは、照射光の照射強度が強いあるいは弱いことを意味している。また、ここで「変形を形成する直前及び/又は直後に第2の照射光を照射する」とは、第1の照射光が照射されて変形が形成される直前あるいは直後のどちらか一方において、または、変形が形成される直前及び直後の両方において、第1の照射光と第2の照射光とが連続して照射されることを意味する。即ち、「変形を形成する直前に第2の照射光を照射する」とは、第2の照射光の照射に連続して光量の異なる第1の照射光が照射されて変形が形成されることを意味し、「変形を形成する直後に第2の照射光を照射する」とは、第1の照射光が照射されて変形が形成された直後に引き続き光量の異なる第2の照射光が照射されることを意味する。
【0016】
また、光の回折限界を超えて記録再生を行うために、上記光記録再生装置においては、前記光源から発せられる光(照射光)の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さが、λ/4NA(=λ/(4×NA))よりも短いことが好ましい。
【0017】
通常、レーザ光源等の光源の波長がλであり、対物レンズ等の集光手段の開口数がNAの光学系の場合、その解像限界はλ/4NAである。しかしながら、本発明の光記録再生装置は、上述の請求項1のような構成によって、記録媒体に対して十分なSNRと耐久性を付与した状態で、解像限界を超えた高密度な変形を形成することができる。
【0018】
そのため上記のように、第1の照射光によって記録媒体に記録される変形の最小の長さをλ/4NAよりも短くすれば、より高密度の光記録を適切に行うことができる。なお、解像限界を超えた高密度の変形を記録する方法は、例えば、特許文献1に記載の方法などを用いればいよい。また、上記変形の読み出しには、λ/4NAよりも短い変形の読み出しが可能な再生手段を用いることが望ましいのは言うまでもない。なお、ここで言う「変形の長さ」とは、通常円形の記録媒体上に形成された変形の周方向の長さのことを意味する。そして、本明細書においては、「変形の大きさ」という表現についても、上記「変形の長さ」と同様の意味で用いられる。また、照射光が「照射される時間」とは、照射光の照射が開始されてから終了されるまでの時間のことである。
【0019】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によって前記の最小の長さの変形が形成されるときの照射時間と同じであることが好ましい。
【0020】
これによって、上記変形が形成された領域周辺の温度が過度に上昇することを避けることができ、上記変形が必要以上に大きくなることによって、情報の読み出しに悪影響を及ぼすことを防止することが可能となる。
【0021】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光の光量をP1、前記第2の照射光の光量をP2、前記第3の照射光の光量をP3とすると、各光量の強度の関係は、P1>P2≧P3となることが好ましい。即ち、上記第2の照射光の光量P2は、上記第1の照射光の光量P1よりも弱く、かつ、上記第3の照射光の光量P3以上となる(P1>P2≧P3の関係が成立する)ように、上記各照射光の光量が設定されていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、先ず、上記第1の照射光の光量よりも上記第2の照射光の光量が弱いことによって、上記第1の照射光によって形成された変形の周辺の領域に不必要な変形を形成してしまうことを防止することができる。さらに、上記第2の光量は、上記第3の光量以上であることによって、上記再生手段による情報(即ち、変形)の読み出し時に、該第3の照射光によって上記変形が劣化するのを防止することができる。それゆえ、上記補助照射手段によって、上記変形をより安定化させることができ、記録媒体の耐久性の向上により貢献する。
【0023】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光によって形成された第1の変形と、この第1の変形と隣接して形成された第2の変形との間隔がλ/4NAよりも短い場合は、当該間隔において、前記補助照射手段は、第2の照射光の照射を行わないか、あるいは、前記第2の照射光よりも光量の弱い照射光を照射するという構成であってもよい。
【0024】
ここで、上記「第1の変形と第2の変形との間隔」とは、隣接しあう2つの変形の間の変形領域を含まない部分の長さのことを意味する。上記の構成によれば、ある1つの変形と、それに隣接する変形との間隔がλ/4NAよりも小さい(即ち、解像限界よりも狭い)場合に、余分な過熱を抑えることができる。それゆえ、光の回折限界を超えた高密度の光記録をより適切に行うことができる。
【0025】
また、前記記録媒体に含まれる金属酸化物層は、貴金属酸化物を含んで形成されることが好ましい。すなわち、前記金属酸化物層には、貴金属酸化物が含まれていることが好ましい。これにより、上記金属酸化物層に変形を形成するための空洞やガス球の発生が容易に行われ、より高いSNRが得られるとともに耐久性も向上する。
【0026】
本発明の光記録再生方法は、金属酸化物層を含む記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、光源からの照射光を集光手段によって集光する光学系を使用し、前記記録媒体に第1の照射光を照射して変形を形成する工程と、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する工程と、前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す工程とからなり、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、前記の第2の照射光を照射する工程において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、上記第1の照射光を照射することによって形成された変形が、上記補助照射手段での第2の照射光の照射によって安定化される。そのため、第3の照射光による上記変形の読み出し時に、該第3の照射光によって上記の変形が劣化するのを防止することができ、十分なSNRと耐久性を有する記録再生を実現することが可能となる。
【0028】
上記の光記録再生方法において、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短いことが好ましい。
【0029】
通常、レーザ光源等の光源の波長がλであり、対物レンズ等の集光手段の開口数がNAの光学系の場合、その解像限界はλ/4NAである。しかしながら、本発明の光記録再生方法は、上述のような構成によって、記録媒体に対して十分なSNRと耐久性を備えた状態で、解像限界を超えた高密度な変形を形成することができる。
【0030】
そのため上記のように、第1の照射光によって記録媒体に記録される変形の最小の長さをλ/4NAよりも短くすることによって、より高密度の光記録をおこなうことができる。
【0031】
また、上記の光記録再生方法は、前記の第2の照射光を照射する工程において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によって前記の最小の長さの変形が形成されるときの照射時間と同じであることが好ましい。
【0032】
また、本発明には上記の光記録再生方法を用いて記録再生が行われる光記録媒体であって、前記変形の最小の長さが、λ/4NAよりも短くなっている光記録媒体も含まれる。上記光記録媒体として具体的には、光ディスクを挙げることができる。
【0033】
上記の光記録媒体は、上記の光記録再生方法によって記録再生が行われるため、実用上、十分なSNRと耐久性を有することが可能である。
【0034】
さらに、本発明の光記録再生装置は、光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、前記光学系は、第4の照射光、第5の照射光、および、第6の照射光という光量の異なる照射光をそれぞれ断続的に照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、長さの異なる変形を記録するために、記録情報を符号化する符号化手段とを備え、前記第4の照射光の光量をP4、前記第5の照射光の光量をP5、および、前記第6の照射光の光量をP6とすると、P4>P5>P6となるとともに、前記光源から発せられる照射光の波長をλとし、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記長さの異なる変形のうち、最短の長さの変形を記録する場合は、前記第5の照射光のみを使用して上記変形を形成し、前記最短の長さ以外であり、かつ、λ/4NA以下の長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光及び前記第5の照射光を使用して上記変形を形成し、λ/4NAよりも大きい長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光、前記第5の照射光、及び、前記第6の照射光を使用して上記変形を形成することを特徴としている。
【0035】
また、本発明の光記録再生装置は、上記の構成に加えて、前記のλ/4NAよりも大きい長さの変形のうち、λ/(4×NA)からλ/(2.5×NA)の範囲内の長さの変形を形成するときには、それ以上の長さの変形を形成するときよりも前記第5の照射光の照射時間を長くすることが好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について、図1ないし図4に基づいて以下に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0037】
本発明者等は、光記録媒体に情報信号の記録再生を行う場合に、記録時の照射光の照射方法を工夫することによって、形成された変形の劣化が防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、上記照射方法とは、情報の記録時に照射される第1の照射光が照射される直前及び/又は直後に、第2の照射光を照射するという方法である。
【0038】
本実施の形態1においては、本発明に係る光記録再生装置として、記録媒体である光ディスク1にいわゆるマークポジション記録によって情報の記録を行う光ディスク装置を例に挙げて説明する。
【0039】
図2のブロック図には、上記光ディスク1に対して、情報の記録再生を行う光記録再生装置の主要部を示す。図2に示すように、上記光記録再生装置には、光学ピックアップ3、アンプ4、再生回路5、トラッキング回路6、レーザドライバ7、及び記録回路8等が備えられている。
【0040】
情報の記録時には、記録回路8から記録情報が出力され、レーザドライバ7に送られる。レーザドライバ7は、記録情報に応じた駆動電流を光学ピックアップ3(光学系:図2においては「光ピックアップ」と示す)内の半導体レーザ(光源:不図示)へと送る。半導体レーザより出射されるレーザビーム2(照射光)は記録情報によって強度変調され、光ディスク1(記録媒体)に集光されることで、記録が行われる。
【0041】
一方、記録された情報の再生時には、レーザドライバ7は、記録回路8にて制御され、レーザビーム2の光量が記録時よりも弱くなるように、記録時よりも弱い一定の駆動電流を光学ピックアップ3内の半導体レーザに送る。光学ピックアップ3内の半導体レーザからは、この駆動電流に応じたレーザビーム2が光ディスク1に照射され、その反射光が、光学ピックアップ3内の検出器(不図示)で電気信号に変換された後、アンプ4によって増幅される。
【0042】
増幅された信号は、トラッキング回路6と再生回路5とに出力され、トラッキング回路6では、増幅された信号に基づいてトラッキングエラー信号を生成し、これに基づいてレーザビーム2を所望のトラックに追従させる。また、再生回路5では、増幅された信号に基づいて記録された情報の再生を行う。
【0043】
記録回路8は、本光記録再生装置の制御中枢としての役割を担い、かつ、上述したように、レーザドライバ7へ制御信号を出力して、光学ピックアップ3へと出力する半導体レーザを駆動するための駆動電流を調整するものである。記録回路8は、レーザドライバ7の駆動を制御することで、半導体レーザから出射されるレーザパワー(光量あるいは照射光強度とも称する)が、記録時には記録動作に応じたパワーに、再生時には再生動作に応じたパワーに、さらに、後述する補助照射時にはそれに応じたパワーになるように制御している。光学ピックアップ3は上記レーザドライバ7から出力された信号に基づき、場合に応じて種々の強度を有する照射光を光ディスク1に照射することができる。そのため、本光記録再生装置の光学ピックアップ3は、種々の強度を有する照射光を発する記録手段、補助照射手段、再生手段の機能を兼ね備えていると言える。
【0044】
続いて、上記光記録再生装置を用いて光ディスク1に情報信号としての記録マークである変形が形成される方法、および、形成された変形が読み出される方法について説明する。
【0045】
この変形の形成方法等の説明に先立って、先ず、上記光記録再生装置を用いて情報の記録再生が行われる記録媒体としての光ディスク1の構造について図3及び図4を用いて説明する。図3は、光ディスク1における径方向(図2においてy方向)の断面構造を示す断面図であり、図4は、光ディスク1における周方向(図2においてx方向)の断面構造を示す断面図である。
【0046】
該光ディスク1には、図3及び図4に示すように、基板14上に、第1誘電体層15、金属酸化物層16、第2誘電体層17、光吸収層18、及び第3誘電体層19がこの順に形成されている。第1誘電体層15、金属酸化物層16、第2誘電体層17、光吸収層18、及び第3誘電体層19にて、光記録媒体が構成される。なお、光ディスク1の構造は、これに限定されるものではない。
【0047】
光ディスク1における各々の厚さと材料は、基板14が0.6mmのポリカーボネート、第1誘電体層15が130nmのZnS−SiO、金属酸化物層16が4nmの酸化白金、第2誘電体層17が40nmのZnS−SiO、光吸収層18が60nmのAg−In−Sb−Te、第3誘電体層19が100nmのZnS−SiOである。上記金属酸化物層16の材料は、一般に金属酸化物に分類されるものを含んでいれば、特に限定されるものではないが、より高いCNRを得るためには、酸化白金や酸化銀などの貴金属酸化物であることが好ましい。
【0048】
また、光ディスク1には、図3に示すようなグルーブ21・21・21…と、ランド22・22・22…とが同心円状に順次形成されている。ランド22とグルーブ22の幅は、どちらも0.6〜0.7μmである。グルーブ21は、基板14において溝となる部分であり、ランド22は、溝と溝との間の部分である。
【0049】
上述のような構造を有する光ディスク1に、波長λの光を発する半導体レーザ(光源)と開口数がNAの対物レンズ(集光手段)とを備える光学ピックアップ3(光学系)から、強い第1のレーザビーム2(第1の照射光)を集光して照射する。すると、金属酸化物層16の照射部位に爆発が起こり、「変形」が形成される。即ち、この「変形」は、強い第1のレーザビーム2を照射することによって、金属酸化物層16の照射部位が貴金属と酸素とに分解したことによる圧力が生じた結果形成された、空洞あるいはガス球によるものである。この空洞あるいはガス球によって金属酸化物層16が変形し、爆発後もその変形が元に戻らず保持されるために、変形部位が情報の記録マークとなる。上述の方法を用いれば、光学ピックアップ3に備えられた半導体レーザの波長をλ、対物レンズ11の開口数をNAとした場合、λ/(4×NA)で表される解像限界より小さい記録寸法で上記の変形を形成することができる。なお、ここで「記録寸法」とは、上記変形の光ディスク1の周方向(x方向)の長さを意味する。また、「変形の大きさが大きい、あるいは小さい」とは、上記記録寸法がそれぞれ長い、あるいは、短いことを意味する。
【0050】
上記第1のレーザビーム2の照射によって形成された上記変形は、弱い第3のレーザビーム2(第3の照射光)を照射し、その反射光又は透過光から解像限界であるλ/4NA(以下、実施の形態では、λ/(4×NA)と記載する)よりも小さい変形を読み出すことができる。通常、上記第3のレーザビーム2を照射し続けると、変形が次第に劣化し情報が破壊されてしまうという問題が発生する。そこで、上記光記録再生装置においては、待機時あるいはアクセス時に、さらに弱い微弱なレーザビーム2を照射することによって、第3のレーザビーム2の照射による変形の劣化の時間を短く抑えることができる。また、上記微弱なレーザビーム2は、上記変形を含むトラックをトラッキングするのに十分な光量で提供することができる。
【0051】
しかしながら、このようにして変形の劣化の時間を短く抑えても、度重なる再生動作が繰り返されると、第3のレーザビーム2の照射によっていずれは変形が劣化する。これを防ぐために、本発明者等は、上記第3のレーザビーム2の照射に耐え得る変形を形成することを試みた。
【0052】
その結果、記録時のレーザビームの照射方法を工夫することによって、変形の劣化が防止できることを見出した。この方法が、本発明に係る光記録再生方法であり、また、本発明の光記録再生装置に用いられるものである。その具体的な方法とは、第1のレーザビーム2が照射される直前及び/又は直後に、第1のレーザビーム2よりも光量の弱い第2のレーザビーム2(第2の照射光)によって補助照射が行われるというものである。
【0053】
これによって、再生時に第3のレーザビーム2を照射しても、変形の形状が劣化しないことが確認された。記録回路8では、上記変形が劣化することを防止するために、第1のレーザビーム2が照射される直前及び/又は直後に、第2のレーザビーム2の補助照射を行うための記録波形を形成する。この記録波形に基づいて、レーザドライバ7はレーザビームの強度変調を行う。上記記録波形の詳細については、後述する通りである。また、本実施の形態においては、上述の第1から第3のレーザビーム、および上記微弱なレーザビームは、光学ピックアップ3内の同一の半導体レーザから光量を異ならせて出射される。
【0054】
上述のような構造を有する光ディスク1に対して、本発明者等は、波長λ=635nmの半導体レーザと開口数NA=0.6の対物レンズ11とを用いて、情報の記録再生、即ち、上記変形の形成及び読み出しを試みた。なお、記録時のレーザパワー(記録パワー)は8〜12mW、線速度は6m/s、記録周波数は15MHzとした。
【0055】
その結果、金属酸化物層16には、記録パワーのレーザビームの照射位置に対応して、空洞或いはガス球よりなる変形(記録マーク)20が形成された。透過型電子顕微鏡にて観察を行った結果、上記変形の長さは記録パワーがオンされた長さに一致しており(即ち、記録パワーのレーザビームの照射時間に対応しており)、200nmであった。図4には、この変形20が形成された光ディスク1の周方向(図2においてx方向)の断面構造を示す。図4に示すように、金属酸化物層16に変形20が形成されることによって、他の層17・18・19にも変形が生じた。なお、ここで用いた半導体レーザの波長λと対物レンズの開口数NAとより、回折限界による変形20の解像限界(λ/(4×NA))は260nmとなる。従って、ここで形成された変形20は、解像限界以下の寸法であることがわかる。なお、説明の便宜上、図4には一つの変形20のみ図示したが、記録周波数15MHzの信号により記録すると、図示してはいないが、変形を伴わないスペースを挟んで変形20が繰り返し記録される。
【0056】
次に、上記半導体レーザのパワーを4mW(再生パワー)にして、金属酸化物層16に形成した変形20の再生を試みた。その結果、この変形20は解像限界以下の記録ピッチであるにもかかわらず、40dBもの高いCNR(Carrier to Noise Ratio)が得られ、実用上、十分なSNRを得られることが確認された。また、レーザパワー4mWにて連続再生を行うと、1万回前後の繰り返し再生が可能であることが確認された。
【0057】
さらに、金属酸化物層16に使用した材料を酸化白金から同じく貴金属酸化物である酸化銀に代えた光ディスク1を作成し、同様に記録再生を試みた。その結果、酸化白金を用いたときと同様に変形20が形成され、高いCNRが得られた。しかしながら、金属酸化物層16を酸化銀により形成した光ディスク1では、金属酸化物層16に酸化白金を用いた上記光ディスク1に比べて、再生信号の劣化の速度、つまり、変形20に再生のために照射されるレーザビームにて、変形20にて記録された情報が劣化する速度が速いことが確認された。従って、上記金属酸化物層16には、酸化銀よりも酸化白金を使用する方がより好ましく、これによって、より高いSNRと耐久性が得られることが確認された。
【0058】
なお、記録時のレーザパワーが上述の8〜12mWの範囲よりも低い場合、上述のような変形20の形成は見られない。そして、このようなレーザパワーで記録が行われた場合に、その光ディスクを再生時のレーザパワーで読み出すと、30〜40dBのCNRが得られるが、数分で信号が劣化してしまった。即ち、実用に耐え得るマークを記録することができなかった。これについて、本発明者等は、特開2000−348377号公報(平成12年12月15日公開)に酸化銀における結果を開示している。この条件では、変形の形成は起こらなかったが、上述のように、記録レーザパワーを適切な値に調整することによって、上記変形を記録することができることが確認された。しかも、酸化銀に比べて酸化白金の方がはるかに耐久性が優れていることも確認された。
【0059】
しかしながら、上述のような1万回前後という再生限度では、情報の保存などに用途が限定され、使用範囲が狭められてしまい、繰り返して何回も情報を再生して利用する用途に使用することができない。そこで、本発明においては、記録時のレーザパルスの波形(記録波形)に工夫を施すことによって、さらに再生回数を増加させ、実用上十分な耐久性が得られるようにしている。本光記録再生装置において用いられる上記の記録時のレーザパルスの波形について、図1を用いて以下に説明する。
【0060】
図1において、M1からM6は、光ディスク1上に形成された記録マークとしての個々の変形20を示し、S1からS7は、この記録マークに挟まれたスペースを示している。また、図1において、上記記録マークM1〜M6及び、スペースS1〜S7の下側には、それぞれの記録マークおよびスペースを形成するときの各光量(レーザパワー)P1、P2、P3を模式的に波形として示している。なお、上記の波形では、各光量P1、P2、P3の強度の差をその高さによって表している。また、上記波形の横方向の長さは、光ディスク1の周方向(図2に示すx方向)の長さを表しており、この長さは各レーザパワーでの照射時間に比例する。
【0061】
図1に示すように、記録マークM1〜M6を記録するときには、光学ピックアップ3から照射されるレーザビームは、強い第1のレーザビーム2であり、その光量はP1である。スペースS1〜S7を置くときには、光学ピックアップ3から照射されるレーザビームは、弱い第3のレーザビーム2であり、その光量はP3である。さらに、上記記録マークM1〜M6形成の直前および直後には、光量がP2の第2のレーザビーム2の補助照射が行われる。この補助照射によって、記録マークとしての変形20の形状が安定化し、光量がP3である第3のレーザビーム2による読み出し時に上記記録マークM1〜M6が劣化することを防止することができる。このように、記録マークの形状が安定すれば、読み出し時に十分なSNRを得ることができるとともに、繰り返し再生における耐久性を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、上記スペースS1〜S7を置くときの光量P3を読み出し時の光量と同じにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されることはなく、P3よりも低くしても構わない。
【0063】
上記第2のレーザビームによって補助照射が行われる時間は、解像限界(λ/(4×NA))よりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間に設定することが好ましく、本実施の形態においては、上述の最短マークの長さ(200nm)形成される時の照射時間と同じ時間とした。これによって、記録マークM1〜M6周辺の温度が過度に上昇するのを避けることができ、変形領域である記録マークが必要以上に大きくなってしまうことを防止することができた。
【0064】
また、本実施の形態においては、第1、第2、第3のレーザビーム2の各光量の適切な値は、P1=8〜12mW、P2=6〜8mW、P3=1〜4mWであった。即ち、上記各光量の大きさは、P1>P2≧P3となることが好ましい。これによって、光量P2である第2のレーザビーム2による補助照射が適切に行われ、耐久性をより向上させることができる。
【0065】
さらに、S3、S4、S6のように、上記スペースの長さ(即ち、隣接する記録マークの間隔)が解像限界(λ/(4×NA))よりも短い場合は、補助照射を行わず、光量をP3(あるいは光量=0)とすると、再生時に高いSNRを得ることができた。即ち、図1に示すように、T1〜T6においては補助照射(光量=P2)を行い、T7〜T9においては補助照射を行わない(即ち、光量=P3)ようにすると、再生時に高いSNRを得られることが確認された。これによって、隣接する2つの記録マークの間隔が、λ/(4×NA)よりも短い場合の余分な過熱を抑えることができ、より適切な記録マーク形成を実現することができる。
【0066】
また、本発明は、上述のような記録方法を用いる光記録再生装置に限定されるものではなく、この記録方法によって適切な記録がなされる光ディスクなどの光記録媒体も含まれる。
【0067】
また、本発明の補助照射によれば、耐久性だけではなく、マーク(変形)を均一に記録できることが実験によって判った。たとえば、図1においてマークM2を記録する場合に、直前のスペースS2が長いため、マークM1を記録したときの熱拡散の影響を受けにくい。直後のスペースS3は短いため、マークM3を記録したときの熱拡散の影響を受けやすい。したがって、マークM2を記録する場合はマークM3を記録したときの熱拡散の影響だけを受け、その分だけ温度が上がりやすい。
【0068】
マークM4を記録する場合は、逆に直前のスペースS4が短く、直後のスペースS5が長い。したがって、マークM4を記録する場合はマークM3を記録したときの熱拡散の影響だけを受け、その分だけ温度が上がりやすい。
【0069】
しかし、マークM3を記録する場合は、直前のスペースS3も、直後のスペースS4も短い。したがって、マークM3を記録する場合はマークM2とマークM3を記録したときの両方の熱拡散の影響を受け、マークM2やマークM4を記録する場合よりも、さらに温度が上がりやすい。
【0070】
つまり、マークM2やマークM4に比べてマークM3が大きく変形しやすい。しかしながら、本発明によれば、補助照射T3とT4によって、マークM2やマークM4を記録する場合の熱を補えるため、マークM3と同一の変形を記録できる。
【0071】
また、本発明においては、上記金属酸化物層16が貴金属酸化物である場合に補助照射の効果が大きかった。特に、上記貴金属酸化物層16が酸化銀あるいは酸化白金の場合に補助照射の効果がより大きかった。
【0072】
〔実施の形態2〕
続いて、本発明の実施の形態2について、図5ないし図14に基づいて以下に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0073】
上述の実施の形態1では、いわゆるマークポジション記録における光ディスク装置について説明したが、本実施の形態2では、本発明の光記録再生装置の一例として、いわゆるマークエッジ記録における光ディスク装置について説明する。
【0074】
なお、本実施の形態2に係る光ディスク装置は、記録回路8の内部の構成が、実施の形態1に係る光ディスク装置とは異なっており、それ以外の構成については、上述の実施の形態1において説明した光ディスク装置(図2参照)と同じである。そこで、本実施の形態2に係る光ディスク装置においては、実施の形態1に係る光ディスク装置と便宜上同じ部材番号を付すとともに、その説明を省略する。
【0075】
上記光ディスク装置を用いて光ディスク1に情報信号としての記録マークである変形が形成される方法、および、形成された変形が読み出される方法について説明する。ここで、情報の記録および再生が行われる光ディスク1についても、上記の実施の形態1において説明したものと同じものを用いることができる。
【0076】
波長λの光を発する半導体レーザ(光源)と開口数がNAの対物レンズ(集光手段)とを備える光学ピックアップ3(光学系)から、強い第4のレーザビーム2(第4の照射光)、上記第4のレーザビームよりも光量の弱い第5のレーザビーム(第5の照射光)、上記第5のレーザビームよりも光量の弱い第6のレーザビーム(第6の照射光)を、上記光ディスク1(記録媒体)に集光して照射する。すると、光ディスク1の金属酸化物層16の照射部位に爆発が起こり、「変形」形成される。
【0077】
この「変形」は、実施の形態1で説明したように、金属酸化物層16の照射部位が貴金属と酸素とに分解したことによる圧力が生じた結果形成された、空洞あるいはガス球によるものであり、この空洞あるいはガス球によって金属酸化物層16が変形し、爆発後もその変形が元に戻らず保持されるために、変形部位が情報の記録マークとなる。
【0078】
このように、本実施の形態に係る光ディスク装置の光学ピックアップ3内には、光量の異なる上記第4から第6のレーザビームを出射することのできる半導体レーザと、記録回路8内にはこの半導体レーザに上記第4から第6のレーザビームに対応した駆動信号を出力する記録手段が備えられている。さらに、上記記録回路8内には、マークエッジ記録を行うために、記録情報を符号化する符号化手段と、上記第6のレーザビームよりもさらに光量の弱い第7のレーザビーム(第7の照射光)を照射することによって、変形を読み出す再生手段とが備えられている。
【0079】
ここで、上記第4、第5、第6、第7のレーザビームの光量をそれぞれ、P4、P5、P6、P7(Pread)とすると、これらの光量の間には、P4>P5>P6>P7(Pread)の関係が成り立つ。
【0080】
続いて、上記光ディスク装置において、マークエッジ記録によって記録されるマークの長さについて、図5を用いて説明する。例えば、符号化方式としてよく知られている(1,7)RLLコードを使用してマークエッジ記録を行うと、図5に示すように、長さ2T〜8Tの各記録マーク52〜58がそれぞれ記録される。図5には、説明の便宜上、長さの短い順に左からマークを並べた例を示す。
【0081】
ここで、この長さ2T〜8Tの各マークを記録する場合のマークエッジ記録の記録波形の第1の例として、2Tの長さが200nmの場合について説明する。2Tの長さが200nmの場合は、3T、4T、5T、6T、7T、8Tの長さは、それぞれ300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、となる。ここで、照射されるレーザ光の波長λが635nm、対物レンズの開口数NAが0.6の場合、解像限界をλ/(4×NA)とすると、その数値は265nmとなる。従って、2Tの長さのマークは解像限界以下となり、それ以外の長さのマークは解像限界よりも長くなる。
【0082】
本実施の形態2の光ディスク装置においては、記録のためのレーザ光量である第4、第5および第6のレーザビームの光量の相対関係は、P4>P5>P6である。また、最短の長さの変形である2Tの長さの記録マークについては、第5のレーザビームのみを照射することによって記録する。そして、それ以外の長さの変形である3T〜8Tの長さの記録マークについては、少なくとも第4のレーザビームを照射するとともに、記録マークの長さに応じて第5および第6のレーザビームを適宜断続的に照射して記録する。
【0083】
このときの各記録マークの記録波形の第1の例を図6、7に示す。なお、図6、7においては、縦に引いた破線の各間隔をTとする。この第1の例においては、第4、第5および第6のレーザビームの具体的な光量は、P4=12.5mW、P5=10mW、P6=8mWである。最短マークである2Tの長さのマークは、レーザ光量のうちP5のみを使用して記録する。
【0084】
すなわち、この第1の例では、解像限界以下の長さのマークを記録する場合はP5を使用する。それ以外の長さである、長さ3T〜8Tの記録マークは、主にP4を断続的に使用して記録する(図6、7参照)。光量P4の第4のレーザビームは、最も大きい光量であるため、記録中に過度の温度が上がらないように、マークの長さに応じて断続的に光量P6を挿入する。光量P6の挿入の量や箇所は、記録媒体1の感度や記録線速度に応じて調整すればよい。
【0085】
また、場合によっては、光量P5をさらに挿入することによって、微調整を行ってもよい。この微調整は、記録マークの長さが解像限界に近いほど、たとえば長さ3Tや4Tの場合に、実施されることが好ましい。この場合の記録マークの長さは、およそ265nm〜420nmの範囲であり、λ/(4×NA)〜λ/(2.5×NA)の範囲に相当する。また、長さ2T以上の記録マークについては、記録波形の最初のT〜2Tの長さはP4の光量とし、その後に光量P6を挿入する傾向にある。特に、λ/(2.5×NA)以上の長さである6T〜8Tではこの傾向が強い。なお、これらの微調整P6は記録媒体の感度、線速度、光量が上記の条件から大きくずれる場合は、不要となる場合もある。
【0086】
例えば、最短のマークの長さ2Tが200nmであり、次の長さが3Tではなく、6T=600nmとなるような符号化方式を採用した場合は、図6および図8からわかるように、光量P6による微調整は不要である。また、符号化方式の符号化方法を工夫することによって、(具体的な方法は省略するが)最短のマークとその次の第2番目に短いマークの長さが回折限界以下(<265nm)となり、さらに第3番目に短いマークの長さが600nm以上とすることも可能である。この場合は、最短マークだけでなく、解像限界以下のマークは光量P4とし、解像限界を超える長さのマークでは光量P4とP5によって記録することになる。しかし、通常では上記のような複雑な符号化規則を使う可能性は低く、最短マークだけが回折限界以下となるような符号化方式を使う場合が多い。
【0087】
つまり、解像限界付近の領域、それよりも短い超解像領域と、逆に長い通常解像領域の3つに分けると、解像限界付近ではP6を使用した微調整を行うことが好ましい。これは、解像限界付近の領域は通常解像領域から超解像領域へ遷移する領域であり、通常解像領域で使用する光量やレーザパルス波形と、超解像領域で使用する光量やレーザパルスの両方を複雑に混合した記録が必要になるためである。
【0088】
図12には、第1の例として示した記録波形を使用して、線速度6m/sにて2T〜8Tの長さのマークおよびスペースを記録した後、再生光量4mWにて読み出したときのアイパターンを示す。この場合、図12に示すようにアイが開いており、全ての長さのマークにて良好な記録を行うことができることが確認された。
【0089】
次に、記録マークの記録波形の第2の例として、記録密度を上げて、2T〜8Tのマークの長さを短くした場合の記録波形を、図8および図9に示す。なお、図8、9において、縦に引いた破線の各間隔をTとする。この第2の例では、2T、3T、4T、5T、6T、7T、8Tの長さは、それぞれ170nm、255nm、340nm、425nm、510nm、595nm、680nm、となる。第1の例と同様に、照射されるレーザ光の波長λは635nm、対物レンズの開口数NAは0.6であり、解像限界は265nmとなる。従って、2Tおよび3Tの長さのマークは解像限界以下となり、それ以外の長さのマークは解像限界よりも長くなる。
【0090】
この第2の例においては、第4、第5および第6のレーザビームの具体的な光量は、P4=12.5mW、P5=11.5mW、P6=10.5mWである。この時の記録波形も、上記第1の例と同様の傾向がある。つまり、最短マークである2Tの長さのマークは、各レーザ光量のうちP5のみを使用して記録する。
【0091】
また、3Tの長さのマークについてもP5を一部使用するが、主にP4を断続的に照射し、P5は調整のために使用している。このマークの長さは、ちょうど解像限界付近にあり、P4あるいはP5のどちらを主に使用しても構わないが、本第2の例ではP4を主に使用している。すなわち、最短マークではP5を使用し、それ以外(最短の長さ以外)の解像限界(λ/(4×NA))以下の長さのマークを記録する場合は、P4およびP5を使用する。このような微調整をすることによって、最短ではないが解像限界以下の記録マークについても、正確に記録することができる。
【0092】
解像限界より大きな長さ4T〜8Tのマークは、主にP4を使用し、マークの長さに応じて断続的に光量P5やP6を挿入する。挿入の量や箇所は、記録媒体の感度や記録線速度に応じて調整される。また、光量P5の第5のレーザビームによって微調整を行うことができるが、マークの長さが解像限界に近い3T、4T、5Tの長さでは、それ以上の長さの記録マークを記録する場合よりも、この第5のレーザビームを多く(長時間)使用して微調整を行うことが好ましい。この場合の記録マークの長さは、およそ265nm〜420nmの範囲であり、λ/(4×NA)〜λ/(2.5×NA)の範囲に相当する。
【0093】
λ/(2.5×NA)以上の長さである6T〜8Tでは、記録波形の最初の2Tの長さについてはP4の光量を使用し、その後に光量P6を挿入する傾向にある。なお、これらの微調整は記録媒体の感度、線速度、光量が上記の条件から大きくずれる場合は、不要となる場合もある。
【0094】
図13には、第2の例として示した記録波形を使用して、線速度6m/sにて2T〜8Tの長さのマークおよびスペースを記録した後、再生光量4mWにて読み出したときのアイパターンを示す。この場合も第1の例と同様にアイが開いており、全ての長さのマークにて良好な記録を行うことができることが確認された。
【0095】
次に、記録マークの記録波形の第3の例として、記録密度をさらに上げて、2T〜8Tのマークの長さをさらに短くした場合の記録波形を、図10および図11に示す。なお、図10、11において、縦に引いた破線の各間隔をTとする。この第3の例では、2T、3T、4T、5T、6T、7T、8Tの長さは、それぞれ150nm、225nm、300nm、375nm、450nm、525nm、600nm、となる。第1の例と同様に、照射されるレーザ光の波長λは635nm、対物レンズの開口数NAは0.6であり、解像限界は265nmとなる。従って、2Tおよび3Tの長さのマークは解像限界以下となり、それ以外の長さのマークは解像限界よりも長くなる。
【0096】
この第3の例においては、第4、第5および第6のレーザビームの具体的な光量は、P4=14mW、P5=12mW、P6=9mWである。なお、以上の第1〜第3の例では、光量P4とP6は、P5に対してそれぞれ上下におよそ10〜30%の範囲となる傾向にある。この時の記録波形も、上記第1、第2の例と同様の傾向がある。つまり、最短マークである2Tの長さのマークは、各レーザ光量のうちP5のみを使用して記録する。
【0097】
また、3Tの長さのマークについてもP5を一部使用するが、主にP4を断続的に照射し、P5は調整のために使用している。このマークの長さも、上記第2の例の3Tと同じようにちょうど解像限界に近く、P4あるいはP5のどちらを主に使用しても構わないが、本第3の例ではP4を主に使用している。すなわち、最短マークではP5を使用し、それ以外(最短の長さ以外)の解像限界(λ/(4×NA))以下の長さのマークを記録する場合は、P4およびP5を使用する。このような微調整をすることによって、最短ではないが解像限界以下の記録マークについても、正確に記録することができる。
【0098】
解像限界より大きな長さ4T〜8Tのマークは、主にP4を使用し、マークの長さに応じて断続的に光量P5やP6を挿入する。挿入の量や箇所は、記録媒体の感度や記録線速度に応じて調整される。また、光量P5の第5のレーザビームによって微調整を行うことができるが、マークの長さが解像限界に近い3T、4T、5Tの長さでは、それ以上の長さの記録マークを記録する場合よりも、この第5のレーザビームを多く(長時間)使用して微調整を行うことが好ましい。また、4T、5Tの長さでは、P5を使用した微調整を複数箇所で行っている。この場合の記録マークの長さは、およそ265nm〜420nmの範囲であり、λ/(4×NA)〜λ/(2.5×NA)の範囲に相当する。
【0099】
λ/(2.5×NA)以上の長さである6T〜8Tでは、記録波形の最初の2Tの長さについてはP4の光量を使用し、その後に光量P6を挿入する傾向にある。なお、これらの微調整は記録媒体の感度、線速度、光量が上記の条件から大きくずれる場合は、不要となる場合もある。
【0100】
図14には、第3の例として示した記録波形を使用して、線速度6m/sにて2T〜8Tの長さのマークおよびスペースを記録した後、再生光量4mWにて読み出したときのアイパターンを示す。この場合も第1、第2の例と同様にアイが開いており、全ての長さのマークにて良好な記録を行うことができることが確認された。
【0101】
このように、上述の第1から第3の例において示した記録波形を用いれば、解像限界よりも小さい、最短の長さ(2T)のマーク、さらには最短ではないが解像限界よりも小さな長さのマークについても、マーク(変形)の形状を安定化し、マークの劣化を防止することができる。
【0102】
以上の例における、記録波形の光量について言い換えると、最短マークから最長マークまでの様々なマークにおいて、マークの長さに関係なく、そのマークの先頭から解像限界以下の長さにおける前半部分と、同じマークのそれ以後のマークの後尾までの後半部分とに分けると、前半部分の平均光量をPmf、後半部分の平均光量をPmrとおくと、Pmf>Pmrの関係がある。したがって、上述の実施例では、レーザパルスの並べ方でこの関係を満たす記録波形を示したが、これに限らずこの関係を満たす記録波形であっても構わない。
【0103】
なお、ここでは、記録波形の具体的な例として第1〜第3の例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で、各光量の第4、第5、第6のレーザビームを用いて記録波形を種々に変更することができ、これによって記録マークの長さに応じて最適な記録波形を得ることができる。
【0104】
そして、上記光ディスク装置において、記録媒体1上に記録された変形を読み出す場合には、P6よりもさらに弱い光量Preadが記録媒体1上に照射されるため、読み取り時にも記録マークを劣化させることなく情報の読み取りを行うことができる。それゆえ、本実施の形態2にかかる光記録再生装置によれば、記録媒体に対して十分なSNRと耐久性を付与した状態で、解像限界を超えた高密度な情報の記録と、その情報の再生とが実現できる。
【0105】
さらに、上記の光記録再生装置は、光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、前記光学系は、第4の照射光、第5の照射光という光量の異なる照射光をそれぞれ断続的に照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、長さの異なる変形を記録するために、記録情報を符号化する符号化手段とを備え、前記第4の照射光の光量をP4、前記第5の照射光の光量をP5とすると、P4>P5となるとともに、前記長さの異なる変形のうち、最短の長さの変形を記録する場合は、前記第5の照射光のみを照射し、前記最短の長さ以外の長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光を少なくとも照射するものであってもよい。
【0106】
なお、ここで言う「変形の長さ」とは、通常円形の記録媒体上に形成された変形の周方向の長さのことを意味する。
【0107】
上記の構成によれば、記録マークである変形を正確に記録するための記録波形を得ることができるとともに、複数の長さの記録マークごとに最適な記録波形を得ることができる。そして、この記録波形によって記録されたマークを再生するとアイパターンが得られ、良好なデータの記録再生を行うことができる。さらに、上記の構成によれば、最短の長さの変形が解像限界よりも小さなサイズのマークである場合にも、第4の照射光よりも光量の小さい第5の照射光のみを利用して変形を形成するため、変形の形状を安定化させることができる。これによって、情報の再生時(すなわち、変形の読み出し時)に変形の劣化を防止することができる。
【0108】
その結果、十分なSNRが得られるとともに上記光記録再生装置を用いて記録再生される記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【0109】
また、上記の光記録再生装置は、光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、前記光学系は、第4の照射光、第5の照射光という光量の異なる照射光をそれぞれ断続的に照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、長さの異なる変形を記録するために、記録情報を符号化する符号化手段とを備え、前記第4の照射光の光量をP4、前記第5の照射光の光量をP5とすると、P4>P5となるとともに、前記光源から発せられる照射光の波長をλとし、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記長さの異なる変形のうち、λ/4NA以下の長さの変形を記録する場合は、前記第5の照射光のみを照射し、前記λ/4NA以下の長さ以外の長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光を少なくとも照射するものであってもよい。
【0110】
上記の構成によれば、記録マークである変形を正確に記録するための記録波形を得ることができ、記録されたマークを再生するとアイパターンが得られ、良好なデータの記録再生を行うことができる。また、第4の照射光と第5の照射光を使用して記録波形を微調整することによって、解像限界以下の記録マークであるλ/4NA以下の長さの変形を正確に記録することができるため、記録マークである変形の長さに応じて、最適な記録波形を得ることができる。
【0111】
また、上記の光記録再生装置では、前記光学系は、さらに第6の照射光を照射する記録手段を備え、前記第6の照射光の光量をP6とすると、P4>P5>P6となるとともに、前記λ/4NA以下の長さ以外の長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光と第6の照射光を照射することが好ましい。
【0112】
上記の構成によれば、第4の照射光と第5の照射光に加えてさらに第6の照射光を使用して、記録波形をさらに微調整することによって、記録マークである変形を正確に記録することができる。
【0113】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光記録再生装置は、光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、前記光学系は、第1の照射光を照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する補助照射手段と、前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す再生手段とを備ええ、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであるという構成である。
【0114】
上記の構成によれば、上記補助照射手段が第2の照射光を記録媒体に照射することによって、変形(即ち、情報として記録されたマーク)の形状を安定化させることができる。第3の照射光による読み出し時にマークの劣化を防止することができる。そして、その結果として、後述の実施の形態においても示されるように、十分SNRが得られるとともに上記光記録再生装置を用いて記録再生される記録媒体の耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
【0115】
上記光記録再生装置においては、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。
【0116】
上記の構成によれば、第1の照射光によって記録媒体に記録される変形の最小の長さをλ/4NAよりも短くすることによって、より高密度の光記録をおこなうことができる。また、上記変形の読み出しには、λ/4NAよりも短い変形の読み出しが可能な再生手段を用いることが望ましいのは言うまでもない。
【0117】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によって前記の最小の長さの変形が形成されるときの照射時間と同じであることが好ましい。
【0118】
これによって、上記変形が形成された領域周辺の温度が過度に上昇することを避けることができ、上記変形が必要以上に大きくなることによって、情報の読み出しに悪影響を及ぼすことを防止することができるという効果を奏する。
【0119】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光の光量をP1、前記第2の照射光の光量をP2、前記第3の照射光の光量をP3とすると、各光量の強度の関係は、P1>P2≧P3となることが好ましい。即ち、上記第2の照射光の光量は、上記第1の照射光の光量よりも弱く、かつ、上記第3の照射光の光量以上であることが好ましい。
【0120】
上記の構成によれば、先ず、上記第1の照射光の光量よりも上記第2の照射光の光量が弱いことによって、上記第1の照射こうによって形成された変形の周辺の領域に不必要な変形を形成してしまうことを防止することができる。さらに、上記第2の光量は、上記第3の光量以上であることによって、上記再生手段による情報(即ち、変形)の読み出し時に、該第3の照射光によって上記変形が劣化するのを防止することができる。それゆえ、上記補助照射手段によって、上記変形をより安定化させることができ、記録媒体の耐久性の向上により貢献する。
【0121】
上記の光記録再生装置において、前記第1の照射光によって形成された第1の変形と、この第1の変形と隣接して形成された第2の変形との間隔がλ/4NAよりも短い場合は、当該間隔において、前記補助照射手段は、第2の照射光の照射を行わないか、あるいは、前記第2の照射光よりも光量の弱い照射光を照射するという構成であってもよい。
【0122】
上記の構成によれば、ある1つの変形と、それに隣接する変形との間隔がλ/4NAよりも小さい(即ち、解像限界よりも狭い)場合に、余分な過熱を抑えることができる。それゆえ、光の回折限界を超えた高密度の光記録をより適切に行うことができる。
【0123】
前記記録媒体に含まれる前記金属酸化物層は、貴金属酸化物を含んで形成されることが好ましい。これにより、上記金属酸化物層に変形を形成するための空洞やガス球の発生が容易に行われ、より高いSNRが得られるとともに耐久性も向上するという効果を奏する。
【0124】
また、本発明の光記録再生方法は、金属酸化物層を含む記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、光源からの照射光を集光手段によって集光する光学系を使用し、前記記録媒体に第1の照射光を照射して変形を形成する工程と、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する工程と、前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す工程とからなり、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、前記の第2の照射光を照射する工程において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴としている。
【0125】
そして、上記の光記録再生方法において、前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短いことが好ましい。
【0126】
上記の構成によれば、上記第1の照射光を照射することによって形成された変形が、上記補助照射手段での第2の照射光の照射によって安定化される。そのため、第3の照射光による上記変形の読み出し時に、該第3の照射光によって上記の変形が劣化するのを防止することができ、十分なSNRと耐久性を有する記録再生を実現することができるという効果を奏する。
【0127】
また、本発明には上記の光記録再生方法を用いて記録再生が行われる光記録媒体も含まれる。上記の光記録媒体は、上記の光記録再生方法によって記録再生が行われるため、実用上、十分なSNRと耐久性を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態1に係る光記録再生装置における記録時のレーザパルス波形を示す模式図である。
【図2】 本実施の形態1、2に係る光記録再生装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示す光記録再生装置に使用される光ディスクの径方向の断面構造を示す模式図である。
【図4】 図2に示す光記録再生装置に使用される光ディスクの周方向の断面構造を示す模式図である。
【図5】 本実施の形態2にかかる光ディスク装置において、マークエッジ記録されるマークの長さを示す模式図である。
【図6】 本実施の形態2において、2T〜5Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第1の例を示す模式図である。
【図7】 本実施の形態2において、6T〜8Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第1の例を示す模式図である。
【図8】 本実施の形態2において、2T〜5Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第2の例を示す模式図である。
【図9】 本実施の形態2において、6T〜8Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第2の例を示す模式図である。
【図10】 本実施の形態2において、2T〜5Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第3の例を示す模式図である。
【図11】 本実施の形態2において、6T〜8Tの長さのマークを記録する際のマークエッジ記録の記録波形の第3の例を示す模式図である。
【図12】 図6および図7の記録波形を用いて記録した場合のアイパターンを示す模式図である。
【図13】 図8および図9の記録波形を用いて記録した場合のアイパターンを示す模式図である。
【図14】 図10および図11の記録波形を用いて記録した場合のアイパターンを示す模式図である。
【符号の説明】
1 光ディスク(記録媒体)
2 レーザビーム(照射光、第1の照射光、第2の照射光、第3の照射光)
3 光学ピックアップ(光学系)
4 アンプ
5 再生回路
6 トラッキング回路
7 レーザドライバ
8 記録回路
11 対物レンズ
M1〜M6 記録マーク(変形)
S1〜S7 スペース
52〜58 記録マーク(変形)
2T〜8T マーク(変形)の長さ
P1 記録光量(第1の照射光の光量)
P2 補助光量(第2の照射光の光量)
P3 再生光量(第3の照射光の光量)
P4 第4の照射光の光量
P5 第5の照射光の光量
P6 第6の照射光の光量
Pread 第7の照射光の光量

Claims (10)

  1. 光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、
    前記光学系は、第1の照射光を照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、
    前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する補助照射手段と、
    前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す再生手段とを備え、
    前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、
    前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴とする光記録再生装置。
  2. 前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記補助照射手段によって前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によって前記の最小の長さの変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴とする請求項1に記載の光記録再生装置。
  3. 前記第1の照射光の光量をP1、前記第2の照射光の光量をP2、前記第3の照射光の光量をP3とすると、
    P1>P2≧P3となることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録再生装置。
  4. 前記第1の照射光によって形成された第1の変形と、この第1の変形と隣接して形成された第2の変形との間隔がλ/4NAよりも短い場合は、
    当該間隔において、前記補助照射手段は、第2の照射光の照射を行わないか、あるいは、前記第2の照射光よりも光量の弱い照射光を照射することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の光記録再生装置。
  5. 上記の光記録再生装置において、前記金属酸化物層は、貴金属酸化物を含んで形成されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の光記録再生装置。
  6. 金属酸化物層を含む記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、
    光源からの照射光を集光手段によって集光する光学系を使用し、前記記録媒体に第1の照射光を照射して変形を形成する工程と、
    前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに、前記第1の照射光よりも光量の弱い第2の照射光を照射する工程と、
    前記第1の照射光よりも光量の弱い第3の照射光を照射することによって前記変形を読み出す工程とからなり、
    前記光源から発せられる光の波長をλ、前記集光手段の開口数をNAとすると、前記第1の照射光によって記録媒体に記録される前記変形の最小の長さは、λ/4NAよりも短く、かつ、
    前記の第2の照射光を照射する工程において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によってλ/4NAよりも長さの短い変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴とする光記録再生方法。
  7. 前記の第2の照射光を照射する工程において、前記第1の照射光を照射する直前及び直後の少なくとも何れかに前記第2の照射光が照射される時間は、前記第1の照射光によって前記の最小の長さの変形が形成されるときの照射時間と同じであることを特徴とする請求項6に記載の光記録再生方法。
  8. 請求項6または7に記載の光記録再生方法を用いて記録再生が行われる光記録媒体であって、
    前記変形の最小の長さが、λ/4NAよりも短くなっている光記録媒体
  9. 光源からの光を集光手段によって集光した後、金属酸化物層を含む記録媒体に対して照射して情報の記録再生を行う光学系を備えた光記録再生装置において、
    前記光学系は、第4の照射光、第5の照射光、および、第6の照射光という光量の異なる照射光をそれぞれ断続的に照射することによって前記記録媒体に変形を形成する記録手段と、
    長さの異なる変形を記録するために、記録情報を符号化する符号化手段とを備え、
    前記第4の照射光の光量をP4、前記第5の照射光の光量をP5、および、前記第6の照射光の光量をP6とすると、P4>P5>P6となるとともに、
    前記光源から発せられる照射光の波長をλとし、前記集光手段の開口数をNAとすると、
    前記長さの異なる変形のうち、最短の長さの変形を記録する場合は、前記第5の照射光のみを使用して前記変形を形成し、
    前記最短の長さ以外であり、かつ、λ/4NA以下の長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光及び前記第5の照射光を使用して前記変形を形成し、
    λ/4NAよりも大きい長さの変形を記録する場合は、前記第4の照射光、前記第5の照射光、及び、前記第6の照射光を使用して前記変形を形成することを特徴とする光記録再生装置。
  10. 前記のλ/4NAよりも大きい長さの変形のうち、λ/(4×NA)からλ/(2.5×NA)の範囲内の長さの変形を形成するときには、それ以上の長さの変形を形成するときよりも前記第5の照射光の照射時間を長くすることを特徴とする請求項9に記載の光記録再生装置。
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