JP3788665B2 - 記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気記録媒体に外部磁界を加える事によって、該媒体上に光ビームのスポット面積よりも小さいアパーチャ(開口部)が生じる磁気的超解像を利用した光磁気記録媒体に対して、最適な記録条件を求めるためのテストライトを行う記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光ディスクに情報を記録する場合、再生時の読取誤差などを軽減するためには、安定した大きさの記録マークを記録する必要があるが、ディスクの特性ばらつきや環境温度の変化によって、該記録マークの大きさは変動する。そのため、例えば特開平7−249226号公報に開示されたテストライト方法では、あらかじめ光量や磁界強度などの記録条件を変化させながらテストデータを記録し、このテストデータを再生して、安定した記録マークを記録するための最適な記録条件を探す方法、いわゆるテストライトが行われていた。
【0003】
また、最近では記録密度の向上のために、光ビームのスポット面積よりも小さいアパーチャ(開口部)が生じる光磁気記録媒体の開発が行われている。例えば、特開平3−93056号公報に開示された光磁気記録媒体は、記録マークを記録するための記録層と、前記アパーチャを生じる再生層と、記録層と再生層の交換結合力を切断する切断層による多層構造を有しており、通常は、記録層に磁気記録されている情報が、切断層を介した交換結合力によって再生層に転写されている。このような光磁気記録媒体を再生する再生装置は、該光磁気記録媒体に再生磁界を加えながら、再生層に光ビームを照射してデータの再生を行う。
【0004】
このとき、上記光磁気記録媒体に照射される光ビームのスポットは温度分布を有しており、ある所定温度以上の高温部分においては、上記切断層の磁界が消滅する。切断層の磁界が消滅すると、上記記録層と再生層の交換結合力による磁界の転写が無くなり、この時の再生層の磁界は上記再生磁界の向きに揃えられる。すなわち、光ビームの全スポット面のうち、ある所定温度以上の高温部分においては、記録層から再生層に転写されるべき情報がマスクされることになる。このため、上記光ビームの読み取り部は、光ビームのスポット面積よりも小さいアパーチャ(全スポット面積より上記高温部分を除いた開口部)となり、分解能が向上し、光ビームのスポット面積よりも小さい記録マークを再生することができる。尚、上記の現象を磁気的超解像と呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の磁気的超解像を生じる光磁気記録媒体に従来のテストライト方法を用いると、テストデータの再生時に一定の光量の再生ビームを照射したにもかかわらず、環境温度の変動や光ディスクのばらつきによってアパーチャの大きさが変化するため、再生信号のレベルが変動し、正確なテストライトが行えない。
【0006】
すなわち、上記テストライトは、光磁気記録媒体に対してテストデータを記録し、そのテストデータを再生することで、最適な記録条件を探すわけであるが、このとき、テストデータを再生するときの光ビームが一定の光量の再生ビームでなければならない。しかしながら、上記の磁気的超解像を生じる光磁気記録媒体は、アパーチャによって再生が行われるものであり、該アパーチャは環境温度の変動や光ディスクのばらつきによってその大きさが変化する。したがって、上記の磁気的超解像を生じる光磁気記録媒体では、テストライトが行えないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、磁気的超解像を生じる光磁気記録媒体に対して、環境温度の変動等の影響を受けることなく、最適記録条件を求めるテストライトを行うことができる記録再生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録再生装置は、記録マークを記録するための記録層と、記録層に磁気記録されている情報が切断層を介した交換結合力によって転写される再生層と、光ビームが照射されたときに所定の温度以上となる領域で記録層と再生層の交換結合力を切断する切断層とによる多層構造を有している光磁気記録媒体に対して、該光磁気記録媒体に外部磁界を加えながら、再生層に光ビームを照射して情報の再生を行うものであり、上記の課題を解決するために、光磁気記録媒体に対し情報の記録または再生を行う場合に、光磁気記録媒体に光ビームを照射する光ビーム照射手段と、光磁気記録媒体に外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、上記光ビーム照射手段から上記光磁気記録媒体に照射される光ビームの反射光より得られる再生信号の信号レベルを検出する再生信号検出手段と、上記光ビーム照射手段および外部磁界印加手段を制御して光磁気記録媒体への情報の記録および再生を行うと共に、記録条件設定時に上記再生信号検出手段により再生信号の信号レベルを検出する場合には、光ビームの光量を、光磁気記録媒体の切断層で記録層と再生層の交換結合力が切断される所定の温度以上となる領域が発生しないレベルまで下げるように上記光ビーム照射手段を制御する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、通常の情報再生時において、情報の読み出しを行う場合、すなわち通常の再生時において、外部磁界印加手段によって外部磁界を印加しながら光ビーム照射手段による光ビームを照射することによって、光記録媒体の再生層にアパーチャを生じさせて高分解能の再生を行うことができる。
【0010】
同時に、上記光磁気記録媒体に記録されている情報を再生する場合の再生信号のレベルを検出したい場合には、光ビームの光量が、光磁気記録媒体の切断層で記録層と再生層の交換結合力が切断される所定の温度以上となる領域が発生しないレベルまで下げられるので、この場合は、再生層にアパーチャを発生させずに情報の再生を行い、この再生信号のレベルを再生信号検出手段で検出することによって、環境温度の変動やディスクのばらつきに影響されずに、光記録媒体上の記録マークの記録状態を安定して検出できる。
【0011】
本発明の記録再生装置は、さらに、テストデータを発生するテストデータ発生手段と、光磁気記録媒体に情報を記録する時の記録条件を設定する記録条件設定手段とを備え、上記制御手段は、上記記録条件設定手段によって設定された記録条件に基づき、上記光ビーム照射手段と外部磁界印加手段とを制御して、上記光磁気記録媒体に、上記テストデータ発生手段が発生するテストデータを記録させ、再生信号検出手段によって上記テストデータの再生信号のレベルが検出されると、該再生信号のレベルに基づいて記録条件の制御を行い、最適な記録条件を求めることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、テストライト時には、上記制御手段は、記録条件設定手段を制御して、上記光ビーム照射手段あるいは外部磁界印加手段に、例えばある適当な範囲内の特定の記録条件を設定させる。ここで、上記記録条件とは、例えば記録時に光磁気記録媒体に照射される光ビームの光量や、あるいは光磁気記録媒体に印加される磁界強度のことである。
【0013】
そして、上記制御手段は、光ビーム照射手段および外部磁界印加手段を制御して、上記光磁気記録媒体にテストデータを記録させ、記録されたテストデータを再生させ、再生信号のレベルを検出する。このとき、光磁気記録媒体に照射される光ビームの光量は、光磁気記録媒体の切断層で記録層と再生層の交換結合力が切断される所定の温度以上となる領域が発生しないレベルまで下げられている。上記再生信号検出手段が、この再生によって得られた再生信号のレベルを検出し、制御手段に伝達する。このように、制御手段は、上記範囲内における複数の記録条件に対応した再生信号のレベルを取得することができる。そして、制御手段は、これら取得した再生条件のレベルを比較して、最適な再生信号を記録した記録条件を、最適な記録条件として決定する。
【0014】
これにより、光磁気記録媒体の再生層にアパーチャを発生させて再生を行う記録再生装置における最適な記録条件を、環境温度の変動やディスクのばらつきに影響されずに正確に求めることが可能となる。従って、この記録条件を用いて上記光磁気記録媒体に記録を行えば、最適な条件で記録を行うことが可能となる。このため、エラーの少ない情報の記録を行うことが可能である。
【0015】
本発明の記録再生装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記テストデータが、該テストデータを再生する時に、隣あう2つの記録マークからの再生信号が波形干渉を生じないような間隔をもって記録されるように設定されていることを特徴としている。
【0016】
上記の構成により、上記テストデータは、テストデータを再生する時に、隣あう2つの記録マークからの再生信号が波形干渉を生じないような間隔をもって記録されるので、該テストデータを再生する場合に、信号量を増加させることができ、高いS/N比によって記録状態を検出しながら、テストライトを行うことができる。
【0017】
本発明の記録再生装置は、上記の課題を解決するために、さらにまた、上記テストデータが、光磁気記録媒体に記録される記録マークの長さが前記光ビームのスポット径以上となるように設定されていることを特徴としている。
【0018】
上記の構成により、上記テストデータは、光磁気記録媒体に記録される記録マークの長さが前記光ビームのスポット径以上となるように記録されるので、該テストデータを再生する場合に、アパーチャを生じさせないことによる光量の低下を大きな信号量で補うことができ、高いS/N比によって記録状態を検出しながら、テストライトを行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0020】
図1は、本実施の形態にかかる記録再生装置(以下、本装置とする)の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本装置は、光ビーム照射手段としての光ピックアップ2と、送りモータ3と、レーザドライバ4と、外部磁界印加手段としての磁気ヘッド5と、磁気ヘッドドライバ6と、再生信号検出手段としての再生信号チェック回路7と、制御手段および記録条件設定手段としての制御回路8と、テストデータ発生手段としてのテストデータ発生回路9とから構成されており、光磁気記録媒体である光磁気ディスク1に対して記録再生を行うものである。
【0021】
光ピックアップ2は、光磁気ディスク1に光ビームbを照射することによって、光磁気ディスク1に記録されている情報を読み取るためのものである。さらに光ピックアップ2は、読み取った情報を再生信号hとして再生信号チェック回路7に送出する。
【0022】
送りモータ3は、制御回路8の指示により、光ピックアップ2を移動させ、光磁気ディスク1の所定部分に光ビームbが照射されるようにするためのものである。また、レーザドライバ4は、制御回路8の指示により、光ピックアップ2に光ピックアップ駆動信号eを伝達することによって、光ピックアップ2が照射する光ビームのパワーを制御するためのものである。
【0023】
磁気ヘッド5は、情報を記録するために光磁気ディスク1に磁界を印加するためのものである。また、磁気ヘッドドライバ6は、制御回路8の指示により、磁気ヘッド5に磁気ヘッド駆動信号dを伝達することによって、この磁気ヘッド5が印加する磁界の強度を制御するためのものである。
【0024】
また、再生信号チェック回路7は、光ピックアップ2によって読み出された再生信号hのレベルを検出して、信号レベルデータiとして制御回路8に伝達するためのものである。ここで、再生信号hのレベルとは、再生信号hの振幅の大きさのことである。
【0025】
制御回路8は、送りモータ3に移動制御信号aを伝達することによって、送りモータ3を制御するためのものである。また、制御回路8は、光量制御信号gをレーザドライバ4に伝達することによって、このレーザドライバ4を制御する。さらに、制御回路8は、磁気ヘッドドライバ6に外部磁界制御信号fを伝達することによって、この磁気ヘッドドライバ6を制御する。
【0026】
テストデータ発生回路9は、後述する記録条件の制御のためのテストデータを、テストデータcとしてレーザドライバ4および磁気ヘッドドライバ6に伝達するためのものである。
【0027】
本装置で用いられる光磁気ディスク1は、例えば、図2に示すように、その外周部に、テストライト時においてテストデータを書き込むテストライト領域11が形成されており、その内側に通常の記録情報を書き込む情報記録領域12が形成されている。なお、上記光磁気ディスク1の構成は、これに限らず、図3に示すように、テストライト領域をディスクの周方向の周期的部分に設け、この領域にテストデータを記録再生することによりテストライトを行ってもよい。
【0028】
図4は、上記の磁気ヘッドドライバ6およびレーザドライバ4における、制御回路8からの外部磁界制御信号fおよび光量制御信号gの処理のための構成を示すブロック図である。
【0029】
図4(a)に示すように、磁気ヘッドドライバ6は、磁気ヘッド駆動回路21と、D/Aコンバータ22とを備えている。制御回路8から送られてくる外部磁界制御信号fは、例えば8ビットのバイナリデータであり、D/Aコンバータ22は、この外部磁界制御信号fを受け取り、アナログ信号に変換し、磁気ヘッド駆動回路21に送る。磁気ヘッド駆動回路21は、このアナログ信号に基づいた磁気ヘッド駆動信号dを磁気ヘッド5に送り、磁気ヘッド5の発生する磁界を制御する。このようにして、磁気ヘッドドライバ6は、制御回路8の指示に基づいて、磁気ヘッド5の発生する外部磁界を正確に制御することができる。これにより、制御回路8の指示に基づいて外部磁界の強度を変化させながらテストライトを行うことができる。
【0030】
また、図4(b)に示すように、レーザドライバ4は、光ピックアップ駆動回路23とD/Aコンバータ24とを備えている。また、光ピックアップ2は、光ビームbを発するための半導体レーザ25を備えている。制御回路8から送られてくる光量制御信号gは、外部磁界制御信号fと同様に、例えば8ビットのバイナリデータであり、D/Aコンバータ24は、この光量制御信号gを受け取り、アナログ信号に変換して光ピックアップ駆動回路23に送る。光ピックアップ駆動回路23は、このアナログ信号に基づいた光ピックアップ駆動信号eを光ピックアップ2に備えられている半導体レーザ25に送り、半導体レーザ25の発生する光ビームbの光量を制御する。このようにして、レーザドライバ4は、制御回路8の指示に基づいて、光ピックアップ2の発生する光ビームbの光量を正確に制御することができる。
【0031】
図5は、再生信号チェック回路7の構成を示すブロック図である。図5に示すように、再生信号チェック回路7は、アンプ31と、ローパスフィルタ32と、振幅検出回路33と、A/Dコンバータ34とから構成されている。
【0032】
光ピックアップ2から送られてくる再生信号hはアナログ信号であり、アンプ31は、この再生信号hを受け取り、増幅してローパスフィルタ32に送る。ローパスフィルタ32は、この増幅された再生信号hのS/N比を向上させ、振幅検出回路33に送る。振幅検出回路33は、この増幅され、S/N比が向上された再生信号hの信号レベルを検出し、A/Dコンバータ34に送る。A/Dコンバータ34は、この信号レベルを、例えば8ビットのバイナリデータに変換し、信号レベルデータiとして制御回路8に伝達する。このようにして、再生信号チェック回路7は、正確な再生信号hのレベルを制御回路8に伝達することができる。
【0033】
上記構成の本装置によって、光磁気ディスク1上の記録情報を読み出す場合を図6を用いて以下に説明する。
【0034】
先ず、通常の情報再生時における光量の光ビームbによって、記録情報を読み出す場合を図6(a)に示す。上記光磁気ディスク1は、再生層41、切断層42、および記録層43を有する多層構造となっており、記録層43に磁気記録されたデータが交換結合によって切断層42を介して再生層41に転写されている。
【0035】
上記光磁気ディスク1に記録された情報の読み出し時には、該光磁気ディスク1の再生層41に光スポットpが照射される。上記光スポットpの前方、すなわち、記録媒体の移動方向(図6中のx方向)側には、高温部q(図6中の斜線部)が発生する。高温部qの領域では、切断層42の温度がキュリー温度以上に上昇し、切断層42の磁界が消滅する。したがって、記録層43と再生層41との交換結合が切断される。尚、上記の説明は、FAD方式の場合を例示している。
【0036】
このとき、上記光磁気ディスク1に、磁気ヘッド5によって外部磁界Hexが加えられると、高温部qの再生層41では該外部磁界Hexの方向へ磁化がそろえられる。このため、高温部qでは記録層43に記録された記録マークがマスクされることとなる。したがって、この場合には、光スポットpから高温部qを除いた低温部分がアパーチャとなり、該アパーチャが読み出し領域(図6(a)中の横線部)となる。このように、光ビームbが通常の情報再生時における光量を有する場合には、光スポットpよりもアパーチャが小さくなるため、光磁気ディスク1に対して高密度に記録された情報を再生できる。
【0037】
一方、テストデータの再生時における光量の光ビームbによって、記録情報を読み出す場合を図6(b)に示す。この場合、光磁気ディスク1の再生層41に照射される光スポットpの温度分布は、通常の情報再生時における光スポットpの温度分布に比べて全体的に低く、最も高温となる領域においても切断層42の温度はキュリー温度に達しない。このため、切断層42の磁界は消滅せず、再生層41には記録層43の記録データが転写されたままとなる。したがって、通常の情報再生時のように、高温部qによるマスクは生じず、光スポットpの照射領域のすべてがそのまま読み出し領域(図6(b)中の横線部)となり、環境温度の変化等に関係なく記録マークを再生することができる。つまり、テストライト動作においてテストデータを再生する場合の光量を、通常再生時の光量よりも小さくすれば環境温度の変動などに影響されない安定した記録状態のチェックが可能となる。
【0038】
ところで、図6(b)に示すように、再生光量を下げてテストデータを再生する場合には、光スポットpの照射領域のすべてがそのまま読み出し領域となるので、記録マークが高密度で、すなわち狭い間隔で記録されていれば、該光スポットpの中に隣接する記録マークm3およびm4が入ってしまう。そのため、記録マークm3からの読み出し波形と記録マークm4からの読み出し波形とが干渉し、信号量の低下が生じてテストデータのS/N比が低下する。これを、解決するためには、図6(c)に示すように、テストデータの記録時には、記録マークと記録マークとの間隔を広げて、干渉が生じないようにする。これによって、信号量が増加し、S/N比の高いテストデータのチェックを行うことができる。
【0039】
また、再生光量を下げてテストデータを再生する場合には、再生光量の低下に伴って同じく記録マークからの読み出し信号量が低下する。これも同様に、テストデータのS/N比の低下を招く。これを、解決するためには、図6(d)に示すように、記録マークの長さが光スポットpの径以上となるようにテストデータを記録する。これによって、同様に信号量が増加し、S/N比の高いテストデータのチェックを行うことができる。
【0040】
これより、本装置による光磁気ディスク1の記録再生動作を詳細に説明する。図7は、上記記録再生動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、本装置が光磁気ディスク1への記録動作を行う前には、該光磁気ディスク1に照射する光ビームbの光量を適切に調節するためにテストライトを行う。そのため、光ピックアップ2が光磁気ディスク1のテストライト領域11へ移動させられ(S1)、記録光量や記録磁界強度等の記録条件を変化させながらテストライトを行う(S2)。上記テストライトが終了し、光ビームbの光量が調節されると、光ピックアップ2が光磁気ディスク1の情報記録領域12へ移動させられ(S3)、最適化された記録条件を使用しての情報の記録が行われる(S4)。上記記録動作に続き、再生エラーの少ない情報の再生が行われる(S5)。
【0042】
図7におけるテストライトの動作を、以下に詳細に説明する。図1に示すように、まず、テストライトを行う時には、制御回路8から送りモータ3に移動制御信号aが出力され、光ピックアップ2が、図2に示す光磁気ディスク1の例えば外周部に設けたテストライト領域11へ移動させられる。
【0043】
上記テストライトでは、光ビームbの記録光量、もしくは外部磁界Hexの磁界強度を最適化することができる。光ビームbの記録光量を最適化する場合には、制御回路8から光量制御信号gが発せられ、レーザドライバ4に送出される。そして、テストデータ発生回路9からは、テストライト時に記録されるテストデータcが発せられ、磁気ヘッドドライバ6へ送出される。
【0044】
レーザドライバ4は、上記光量制御信号gに基づいて光ピックアップ駆動信号eを光ピックアップ2に送出し、該光ピックアップ2は光ピックアップ駆動信号eに基づいて一定光量の光ビームbを光磁気ディスク1に照射する。同時に、磁気ヘッドドライバ6は、上記テストデータcに基づいて磁気ヘッド駆動振動dを磁気ヘッド5に送出し、該磁気ヘッド5は磁気変調記録によって光磁気ディスク1にテストデータcを記録する。また、上記テストデータcを、磁気ヘッドドライバ6ではなくレーザドライバ4に与え、光変調記録によって光磁気ディスク1にテストデータcを記録してもよい。
【0045】
上述のように、ある一定光量の光ビームbのもとで、テストデータcが記録されると、レーザドライバ4から発せられる光ピックアップ駆動信号eに基づいて光ビームbの記録光量を所定量だけ増加させられる。そして、増加した記録光量の光ビームbのもとで、再びテストデータcの記録が行われる。こうして、上記の動作を繰り返し行うことにより、光磁気ディスク1のテストライト領域11に、記録光量の異なる複数のテストデータcが記録される。
【0046】
尚、上述の説明では、レーザドライバ4から発せられる光ピックアップ駆動信号eに基づいて光ビームbの記録光量を変化させながら、記録光量の異なる複数のテストデータcが記録している。しかしながら、これ以外に、上記光量制御信号gに代わり、外部磁界制御信号fを磁気ヘッドドライバ6に与え、該磁気ヘッドドライバ6からの磁気ヘッド駆動信号dに基づいて外部磁界強度Hexを変化させながら、外部磁界強度Hexの異なる複数のテストデータcが記録してもよい。ただし、この場合のテストライトでは、光ビームbの記録光量ではなく、外部磁界強度Hexが最適化される。
【0047】
記録されたテストデータcを読み出す場合は、光ビームの光量を情報再生時の光量よりも下げる。これにより超解像の発生が停止させられ、光スポットの全面積によりテストデータcが再生されるため、環境温度の変動に影響されない記録状態のチェックが可能となる。このとき、光ピックアップ2にてテストデータcが読み出され、再生されたテストデータ(すなわち、再生信号h)が再生信号チェック回路7に送られる。再生信号チェック回路7では、再生信号hの信号レベルデータiを検出して制御回路8へ送りながら、後述の最適記録条件の制御を行う。
【0048】
最適記録条件の制御が終了すると、光ピックアップ2を図2における情報記録領域12に戻し、情報の記録や再生が行われる。
【0049】
情報の再生時は、制御回路8から光量制御信号gが発せられ、レーザドライバ4から発せられる光ピックアップ駆動信号eに基づいて光ビームbの光量を通常の再生光量に戻される。これにより磁気的超解像が発生し、光スポットpの面積よりも小さいアパーチャによって高密度の信号再生ができる。
【0050】
上記テストライトの動作を、図8のフローチャートを用いてさらに詳しく説明する。ただし、以下の説明では、最適記録条件として光ビームbの記録光量を最適化する場合を例示する。
【0051】
テストライトの動作命令が出され、テストライトが開始されると、先ず、記録光量の初期値が設定される(S11)。尚、記録磁界強度を最適化する場合は、これに代えて記録磁界強度の初期値が設定される。
【0052】
次に、図9(a)に示すトラックT0 にテストデータcを磁界変調記録する(S12)。このとき、上記トラックT0 には、図9(a)に示すように、記録マークm1が記録される。続いて、光ビームbの光量をテストライトにおける低い再生光量に設定して(S13)、上記トラックT0 を再生する(S14)。このとき、図9(d)において実線で示される再生信号の振幅V0 が検出される(S15)。
【0053】
上記振幅V0 が検出されれば、光ビームbの光量がS11(2回目のルーチン以降はS23)で設定された記録光量に戻される(S16)。そして、上記記録光量を有する光ビームbの光スポットpにより、図9(b)に示すように、隣接トラックT1 が消去され、続いて同様に反対側の隣接トラックT-1が消去される(S17)。
【0054】
再び、光ビームbの光量がS13で設定された低い再生光量に戻され(S18)、図9(c)に示すようにトラックT0 が再生され(S19)。図9(d)において破線で示される再生信号の振幅V1 が検出される(S20)。ここで、記録光量が大きすぎると、図9(c)に示すように、トラックT1 およびT-1が消去された後の記録マークm2は、消去前の記録マークm1に比べてマークの両脇が消去されて小さくなる。このため、記録マークm2の再生信号の振幅V1 は、記録マークm1の再生信号の振幅V0 に比べて小さくなる。逆に、記録光量が小さいと、記録マークm2の両脇は消去されないため、振幅V0 と振幅V1 は等しくなる。ここで、検出された2つの振幅V0 およびV1 より振幅減少量V0 −V1 を算出し、これを現在の記録光量と共にメモリに記憶する(S21)。
【0055】
つづいて、S11(または、S23)およびS16で設定された記録光量が、あらかじめ決められた範囲の記録光量内で全て設定終了したかどうかが判断される(S22)。終了していなければ記録光量を所定の変化分だけ変更し(S23)、トラックT0 への記録動作(S12)へ戻る。終了していれば、設定範囲の記録光量の中から、振幅減少量V0 −V1 <δVであって、かつ最も高い記録光量を最適な記録光量Pw0として選択する(S24)。ここで、上記δVはノイズによる検出誤差である。
【0056】
尚、最適な記録光量の選択方法としては、S21において振幅減少量V0 −V1 の代わりに振幅V1 を記憶しておき、振幅V1 が最も高い記録光量を最適記録光量としてもよい。この場合は、S13ないしS16のステップを省略することができる。S24における上記の選択方法で、最適な記録光量が選択される理由については後述する。
【0057】
また、図9(c)では、トラックT1 とT-1の両方を消去したが、どちらか一方だけ消去しても同様な効果を得ることができる。しかし、トラックT1 とT-1の両方を消去した方が、図9(d)に示した振幅減少量V0 −V1 が大きくなり、検出感度を高くすることができる。
【0058】
テストライトが終了して最適な記録光量が選択されれば、最適化された記録光量を使用して情報の記録動作が行われる。
【0059】
図10は上記テストライト時における、記録光量、振幅減少量V0 −V1 およびS/N比の関係を示す図である。記録光量を徐々に上げていった場合、最初のうちは記録マークの両脇が消去されないので、既に説明したように、振幅V0 と振幅V1 とは等しくなり、しばらく振幅減少量V0 −V1 は変化せずノイズによる検出誤差δVの範囲内に収まっている。ところが、ある記録光量を越えると記録マークの両脇が消去され始め、徐々に振幅減少量V0 −V1 が増加し始める。この増加を始める直前の記録光量Pw0においては、記録マークの両脇が消去されず、しかも最も大きな記録マークを記録できる。つまり、最適記録光量Pw0では、記録マークのS/N比を最も大きくすることができ、エラーの少ない高密度な記録再生を行うことが可能となる。
【0060】
また、隣接するトラックを消去された後の記録マークm2を再生して得られる再生信号の振幅V1 のみに注目した場合、記録光量を徐々に上げていくと、最初のうちは記録マークの両脇が消去されないので、該振幅V1 は記録光量の増加に伴って上昇する。そして、ある記録光量を越えると記録マークの両脇が消去され始めるので、徐々に振幅V1 が減少し始める。ここで、上記振幅V1 が最大の値を示すときの記録光量Pw0においては、記録マークの両脇が消去されず、しかも最も大きな記録マークを記録できるので、記録マークのS/N比を最も大きくすることができ、エラーの少ない高密度な記録再生を行うことが可能となる。
【0061】
さらに、上述のテストライトでは、テストデータ記録時の外部磁界強度を固定し、記録光量を最適化する例を示しているが、これ以外に、記録光量を固定とし、図8のS23において、上記記録光量の代わりに外部磁界強度を増加させてもよい。これにより記録時の外部磁界強度を最適化することができる。すなわち、図9では、説明を簡単にするため、光スポットpを完全な円で示し、該光スポットpが照射された全領域で記録マークの転写が生じるようになっているが、実際には、上記光スポットは例えばガウス分布のような温度分布を有しており、記録マークの転写領域は上記光スポットの温度分布と外部磁界強度によって決定される。したがって、記録光量を固定とした場合でも外部磁界強度が変化すれば記録マークの大きさも変化し、外部磁界強度を増加させ続ければ振幅減少量V0 −V1 が0から増加に転じるような外部磁界強度が発生する。このため、記録光量を最適化する場合と同様の方法で、記録時の外部磁界強度の最適値を求めることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の記録再生装置は、以上のように、光磁気記録媒体に対し情報の記録または再生を行う場合に、光磁気記録媒体に光ビームを照射する光ビーム照射手段と、光磁気記録媒体に外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、上記光ビーム照射手段から上記光磁気記録媒体に照射される光ビームの反射光より得られる再生信号の信号レベルを検出する再生信号検出手段と、上記光ビーム照射手段および外部磁界印加手段を制御して光磁気記録媒体への情報の記録および再生を行うと共に、記録条件設定時に上記再生信号検出手段により再生信号の信号レベルを検出する場合には、光ビームの光量を、光磁気記録媒体の切断層で記録層と再生層の交換結合力が切断される所定の温度以上となる領域が発生しないレベルまで下げるように上記光ビーム照射手段を制御する制御手段を備えている構成である。
【0063】
それゆえ、再生層にアパーチャを発生させることのできる磁気的超解像の光磁気記録媒体に対し、通常の情報再生時における高分解能の再生を行うことができると同時に、上記光磁気記録媒体に記録されている情報を再生する場合の再生信号のレベルを検出したい場合には、光ビームの光量を下げることにより、環境温度の変動やディスクのばらつきに影響されずに、光記録媒体上の記録マークの記録状態を安定して検出することができるという効果を奏する。
【0064】
本発明の記録再生装置は、上記構成に加えて、テストデータを発生するテストデータ発生手段と、光磁気記録媒体に情報を記録する時の記録条件を設定する記録条件設定手段とを備え、上記制御手段は、上記記録条件設定手段によって設定された記録条件に基づき、上記光ビーム照射手段と外部磁界印加手段とを制御して、上記光磁気記録媒体に、上記テストデータ発生手段が発生するテストデータを記録させ、再生信号検出手段によって上記テストデータの再生信号のレベルが検出されると、該再生信号のレベルに基づいて記録条件の制御を行い、最適な記録条件を求める構成である。
【0065】
それゆえ、上記効果に加えて、光磁気記録媒体の再生層にアパーチャを発生させて再生を行う記録再生装置における最適な記録条件を、環境温度の変動やディスクのばらつきに影響されずに正確に求めることが可能となる。従って、この記録条件を用いて上記光磁気記録媒体に記録を行えば、最適な条件で記録を行うことができるという効果を奏する。
【0066】
本発明の記録再生装置は、上記構成に加えて、さらに該テストデータを再生する時に、隣あう2つの記録マークからの再生信号が波形干渉を生じないような間隔をもって記録されるように設定されている構成である。
【0067】
それゆえ、上記効果に加えて、上記テストデータを再生する場合に、隣あう2つの記録マークからの再生信号が波形干渉を生じないので、信号量を増加させることができ、高いS/N比によって記録状態を検出しながら、テストライトを行うことができるという効果を奏する。
【0068】
本発明の記録再生装置は、上記構成に加えて、さらに上記テストデータが、光磁気記録媒体に記録される記録マークの長さが前記光ビームのスポット径以上となるように設定されている構成である。
【0069】
それゆえ、上記効果に加えて、上記テストデータは、光磁気記録媒体に記録される記録マークの長さが前記光ビームのスポット径以上となるように記録されるので、該テストデータを再生する場合に、光量の低下を大きな信号量で補うことができ、高いS/N比によって記録状態を検出しながら、テストライトを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記記録再生装置で用いられる光記録媒体の構成を示す斜視図である。
【図3】上記記録再生装置で用いられる光記録媒体の他の例を示す斜視図である。
【図4】上記記録再生装置における磁気ヘッドドライバおよびレーザドライバの構成の一部を示すブロック図である。
【図5】上記記録再生装置における再生信号チェック回路の構成を示すブロック図である。
【図6】上記記録再生装置において、図6(a)は、光ビームの光量を通常の再生時におけるレベルにした場合の再生動作を示す説明図であり、図6(b)は、光ビームの光量を通常の再生時よりも下げ、アパーチャが生じないレベルにした場合の再生動作を示す説明図であり、図6(c)は、光磁気ディスクの記録マークの間隔を広げた場合を示す説明図であり、図6(d)は、光磁気ディスクの記録マークの大きさを大きくした場合を示す説明図である。
【図7】上記記録再生装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】上記記録再生装置の動作のうち、テストライトに関する動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9(a)は、図2に示した光記録媒体のトラックに記録マークが記録された様子を示す説明図であり、図9(b)は、上記トラックに隣接したトラックが消去された様子を示す説明図であり、図9(c)は、上記トラックに記録された記録マークが再生される様子を示す説明図であり、図9(d)は、上記記録マークを再生して得られた信号レベルデータを示すグラフである。
【図10】図1に示した記録再生装置による記録条件の制御によって得られた、光ビームの記録光量と振幅減少量およびS/N比との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 光磁気ディスク(光磁気記録媒体)
2 光ピックアップ(光ビーム照射手段)
5 磁気ヘッド(外部磁界印加手段)
7 再生信号チェック回路(再生信号検出手段)
8 制御回路(制御手段・記録条件設定手段)
9 テストデータ発生回路(テストデータ発生手段)
41 再生層
42 切断層
43 記録層
Claims (3)
- 記録マークを記録するための記録層と、記録層に磁気記録されている情報が切断層を介した交換結合力によって転写される再生層と、光ビームが照射されたときに所定の温度以上となる領域で記録層と再生層の交換結合力を切断する切断層とによる多層構造を有している光磁気記録媒体に対して、該光磁気記録媒体に外部磁界を加えながら、再生層に光ビームを照射して情報の再生を行う記録再生装置において、
光磁気記録媒体に対し情報の記録または再生を行う場合に、光磁気記録媒体に光ビームを照射する光ビーム照射手段と、
光磁気記録媒体に外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、
上記光ビーム照射手段から上記光磁気記録媒体に照射される光ビームの反射光より得られる再生信号の信号レベルを検出する再生信号検出手段と、
上記光ビーム照射手段および外部磁界印加手段を制御して光磁気記録媒体への情報の記録および再生を行うと共に、記録条件設定時に上記再生信号検出手段により再生信号の信号レベルを検出する場合には、光ビームの光量を、光磁気記録媒体の切断層で記録層と再生層の交換結合力が切断される所定の温度以上となる領域が発生しないレベルまで下げるように上記光ビーム照射手段を制御する制御手段と、
テストデータを発生するテストデータ発生手段と、
光磁気記録媒体に情報を記録する時の記録条件を設定する記録条件設定手段とを備え、
上記制御手段は、上記記録条件設定手段によって設定された記録条件に基づき、上記光ビーム照射手段と外部磁界印加手段とを制御して、上記光磁気記録媒体に、上記テストデータ発生手段が発生するテストデータを記録させ、再生信号検出手段によって上記テストデータの再生信号のレベルが検出されると、該再生信号のレベルに基づいて記録条件の制御を行い、最適な記録条件を求めることを特徴とする記録再生装置。 - 上記テストデータが、該テストデータを再生する時に、隣あう2つの記録マークからの再生信号が波形干渉を生じないような間隔をもって記録されるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の記録再生装置。
- 上記テストデータが、光磁気記録媒体に記録される記録マークの長さが前記光ビームのスポット径以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の記録再生装置。
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