JP4381604B2 - 相乗的な除草剤の組み合わせ - Google Patents

Description

【０００１】
（発明の背景）
本発明は、相乗的な除草剤の組み合わせに関し、特にイネ作物中の雑草を防除する際に使用するためのそのような組み合わせに関する。
【０００２】
モリネート（Ｓ−エチルヘキサヒドロ−１Ｈ−アゼピン−１−カルボチオエート）は、チオカルバメート除草剤であり、これは長年の間イネ作物において雑草を防除するために使用されてきており、そして商標ＯＲＤＲＡＭ（登録商標）を有する製品のもとで一般的に販売されている。異なる処方および強度で、モリネートは、イネ作物において広範な雑草を防除するために、移植前（ｐｒｅ−ｐｌａｎｔ）、湛水前または湛水後に施用され、そして一般的に約５００〜約１１，０００ｇ／ｈａの範囲の割合で施用される。しかし、多くの農薬を用いる場合と同様に、モリネートのより低い施用割合を使用しつつ、雑草の防除を達成し得ることが望ましい。このことはまた、環境および／またはこの製品を取り扱う労働者に対する影響がより少なくなる結果となり得る。モリネートはまた、商標ＡＲＲＯＳＯＬＯ（登録商標）を有する製品において、プロパニル（Ｎ−３，４−（ジクロロフェニル）プロパンアミド）と混合されて販売されている。
【０００３】
カルフェントラゾン（ｃａｒｆｅｎｔｒａｚｏｎｅ）−エチル、すなわちエチル２−クロロ−３−［２−クロロ−５−（４−ジフルオロメチル−４，５−ジヒドロ−３−メチル−５−オキソ−１Ｈ−１，２，４−トリアゾール−１−イル）フェニル］プロピオネート（Ｆ８４２６としても公知）は、穀類作物中の広葉雑草の防除のための選択的除草剤として公知であり、そしてＶａｎ Ｓａｕｎら、Ｐｒｏｃ．Ｂｒｉｔ．Ｃｒｏｐ Ｐｒｏｔｅｃｔｉｏｎ Ｃｏｎｆ．Ｗｅｅｄｓ，１９頁（１９９３）に記載される。その調製は、Ｔｈｅｏｄｏｒｉｄｉｓら、Ｓｙｎｔｈｅｓｉｓ ａｎｄ Ｃｈｅｍｉｓｔｒｙ ｏｆ Ａｇｒｏｃｈｅｍｉｃａｌｓ ＩＶ（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｓｏｃｉｅｔｙ，１９９５，Ｄｏｎ Ｒ．Ｂａｋｅｒら、編者）９０頁による文献中に記載される。
【０００４】
（発明の要旨）
本発明は、除草剤組成物ならびにイネ作物中の雑草を防除する方法を包含する。
【０００５】
１つの局面において、本発明は、モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルを含む相乗的な除草剤組成物に関する。
【０００６】
第２の局面において、本発明は、約６０：１〜約６：１の重量比でモリネートとカルフェントラゾン−エチルとをそれぞれ含む除草剤組成物を包含する。
【０００７】
別の局面において、本発明は、イネ作物中の雑草を防除する方法を包含し、この方法は、上記作物、上記雑草、またはそのいずれかまたは両方の場所に、モリネートとカルフェントラゾン−エチルとをそれぞれ含む相乗的な組み合わせ（特に約６０：１〜約６：１の重量比で）を施用する工程を含む。
【０００８】
現在、驚くべきことに、より少量の除草剤カルフェントラゾン−エチルと、モリネートとの組み合わせは、同等な雑草の防除がより少ない量および／または施用割合のモリネートで得られ得るような相乗効果を生じ得ることが見いだされている。
【０００９】
（発明の詳細な説明）
本発明は、イネ作物中の雑草を防除するための、除草剤のモリネートとカルフェントラゾン−エチルとの組み合わせの使用に関する。本発明の範囲内のこの組み合わせは、相乗効果、すなわち、類似の環境下で同じ雑草に対して２つの個々の除草剤の性能から予期されなかった効果を示す。
【００１０】
本発明によれば、雑草は、イネ作物の存在下で除草有効量の除草剤の、モリネートとカルフェントラゾン−エチルとの相乗的な組み合わせを用いて、作物、雑草またはそのいずれかまたは両方の場所を処理することによって防除される。一般に、本発明者らは、この組み合わせがそれぞれ、約６０：１〜約６：１、好ましくは約２０：１〜約６：１の重量比においてこれら２つの除草剤を含む場合、相乗作用が示されることを見いだした。しかし、本発明者らの発見は、モリネートとカルフェントラゾン−エチルとの間の相乗効果であり、そして相乗効果が他のものにおいても存在し得る場合、これらの重量比内のこれらの除草剤の組み合わせに必ずしも限定されない。
【００１１】
この組み合わせは、種々の時点で、そして異なる様式で植えられたイネに対して施用される場合、イネにおける雑草の相乗的または予期されない防除を生じる。雑草を防除するために、この組み合わせは、植える前に、植えた後であるが湛水前（湛水前、出芽後）またはイネが出芽した後であり湛水後（湛水後、出芽後）に施用され得、そして直播きされたか、または移植されたイネのいずれかに施用され得る。
【００１２】
組み合わせで使用されるためには、２つの除草剤であるモリネートおよびカルフェントラゾン−エチルが物理的に合わされた形態で施用される必要はなく、または同時に施用される必要すらない。この組み合わせの効果は、いつそれらが施用されるかに関係なく、２つの除草剤がイネ作物中に同時に存在する限り得られる。従って、例えば、２つの除草剤の物理的組み合わせが施用され得るか、または一方が他方より早く施用され得る。例えば、２つの除草剤のうち１つが、たとえマイクロカプセル化処方物のような制御された放出処方物中でイネを植える前にすら施用され得、そして２番目のものが施用されたときに先に施用された除草剤が未だ土壌に存在している限り、および利用可能な除草剤の重量比が、本明細書中で開示されそして特許請求される範囲内にある限り、他方は引き続いて従来的な液体または固体処方物で施用され得る。
【００１３】
それ故、いずれかの除草剤が、液体または固体形態で施用され得るか、または両方の除草剤を含有する組み合わせた製品が、再度、液体または固体形態のいずれかで生産され得る。典型的な液体処方物には、乳化物、懸濁物（マイクロカプセルを含有する懸濁物を含む）、液剤（ｓｏｌｕｔｉｏｎｓ）、乳剤（ｅｍｕｌｓｉｆｉａｂｌｅ ｃｏｎｃｅｎｔｒａｔｅｓ）、およびフロアブル剤が挙げられる。固体製品には、たとえば、粒剤、水和剤（ｗｅｔｔａｂｌｅ ｐｏｗｄｅｒ）、水拡散性固体製品（マイクロカプセル化農薬を含有する水拡散性粒剤を含む）または粉剤の形態を含む。両方のタイプの組成物は、一般に活性な除草剤に加えて、他の成分（例えば、溶媒、湿潤剤、懸濁剤、凝結防止剤、分散剤、乳化剤、凍結防止剤、消泡剤および他の添加物）を含む。
【００１４】
いずれかの除草剤または両方は、制御放出組成物の多くの公知の形態のうちの１つで利用され得る。このような組成物は、環境中に有効成分の比較的遅いまたは制御された放出を提供し、そしてたとえばカプセル化、マクロカプセル化、および種々の形態の放出制御粒剤を含む。
【００１５】
本発明に従う組み合わせ製品または組成物は、多数の異なる物理的形態で２つの除草剤を含み得る。いくつかの場合において、組み合わせ製品は、活性除草剤（例えば、除草剤を含有する２つの乳剤）を含有する市販の製品を、２つの製品の成分すべてが比較的適合性である限り、単に物理的に混合する（「タンク混合」）ことによって生産され得る。あるいは、別個の容器中に、全体として２つの除草剤を含むパッケージが、製造され、そして販売され得るが、共にパッケージされ、通常「ツインパック（ｔｗｉｎ−ｐａｃｋ）」と呼ばれる。ツインパックは、特に本明細書中の除草剤組成物に適切である。なぜならば、モリネートの量がカルフェントラゾン−エチルの量より実質的に多く、その結果、カルフェントラゾン−エチル含有除草剤生成物の比較的小さい容器と一緒にモリネート含有除草剤生成物の比較的大きい容器を備える全体としての製品のパッケージが、製造され得る。
【００１６】
あるいは、これら２つの除草剤を含有する先に調製された組成物（「プレミックス（ｐｒｅｍｉｘ）」）が生成され得る。モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルの両方が標準状態で液体であるので、液体プレミックスが好ましい傾向にある。典型的な液体組成物は、両方の除草剤を含有する乳剤、および各相に１つの除草剤を有する２相乳濁化液（または微小乳濁化液）を含む。
【００１７】
しかし、両方の除草剤を含有する類似の固体製品が、例えば、インプレ粒剤（ｉｍｐｒｅｇｎａｔｅｄ ｇｒａｎｕｌｅｓ）として、同様に製造される。同様に、水和剤または粉剤のような他の固体処方物が調製され得る。
【００１８】
再び同様に、適切な成分および条件を使用して、一方または両方の除草剤がマイクロカプセル内に含まれるマイクロカプセル化製品を調製することが可能であり、上記マイクロカプセル化製品は液体形態（すなわち、カプセル懸濁剤）または固体形態（すなわち、マイクロカプセル懸濁液を乾燥することによって生成される水−拡散性粒剤）のいずれかで販売され得る。液体形態の１つのタイプは、マイクロカプセル懸濁剤であり、これにおいて除草剤の一方はカプセル内に含まれるが、他方は、連続した液相に非カプセル化形態で存在する。別のタイプは、別個にカプセル化されたモリネートおよびカルフェントラゾン−エチルを含む懸濁剤である。これら２つの除草剤を含み得る処方物または化合物のタイプは、他のタイプの処方物が当業者によって同様に認識されるので、本明細書中で列挙したものによって限定されない。
【００１９】
さらに、他の生物学的に有効成分または組成物は、本発明の除草剤組成物と合わせられ得、そして本発明の方法で使用され得る。モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルに加えて、本発明の除草剤組成物はまた、殺虫剤、抗真菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤または他の除草剤、特にイネ作物中の雑草を防除するために有用であることが公知の除草剤を含み得る。例えば、モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルに加えて、本発明の除草剤組成物はまた、プロパニルを含み得る。プロパニルは市販されており、そしてまた、商標ＡＲＲＯＳＯＬＯ（登録商標）のもとで販売されている製品中でモリネートと混合されて得られ得、これは本発明の除草剤組成物中で使用され得る。ＡＲＲＯＳＯＬＯ製品中において、モリネートおよびプロパニルは１：１の重量比で存在する。モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルに関連して上で議論したように、さらなる殺生物学的に活性な成分または組成物がモリネートまたはカルフェントラゾン−エチルと物理的に合わせられた形態で施用されるか、または同時にさえ、施用されることは必要ではない。
【００２０】
カルフェントラゾン−エチルおよびモリネートの組み合わせによって雑草を防除することは、以下の実施例によって例示される。
【００２１】
（実施例１）
この実施例は、アメリカの典型的な条件のもとで直播イネ栽培におけるモリネートおよびカルフェントラゾン−エチルの組み合わせの施用を模倣する。指示量のモリネートおよびカルフェントラゾン−エチルの組み合わせを、湛水前の出芽後の段階および稗の２葉期で、イネ（Ｏｒｙｚａ ｓａｔｉｖａ、品種Ｋａｔｙ）および雑草であるヒエ（Ｅｃｈｉｎｏｃｈｌｏａ ｃｒｕｓｇａｌｌｉ、ＥＣＨＣＧ）、アサガオ（Ｉｐｏｍｏｅａ ｗｒｉｇｈｔｉｉ、ＩＰＯＷＲ）および平坦なスゲ（ｆｌａｔｓｅｄｇｅ）（Ｃｙｐｅｒｕｓ ｉｒｉａ、ＣＹＰＩＲ）を含む平地に、表１で示された施用割合（除草剤（単数または複数）の１ヘクタールにおけるグラムに換算して）で温室中において施用した。雑草は２葉期まで別々に成長させ、次いでイネ平地に移植された。これらの試験の結果は、処理後３０日目に、処理していない観察平地（ｃｈｅｃｋ ｆｌａｔ）と比較した場合の防除または損傷のパーセントに換算して以下の表１に示す。１００％の評価は完全な防除を示し、０％の評価は効果のないことを示す。
【００２２】
相乗的除草活性は、Ｃｏｌｂｙ法に従って算出され得る（Ｓ．Ｒ．Ｃｏｌｂｙ，「Ｃａｌｃｕｌａｔｉｎｇ Ｓｙｎｅｒｇｉｓｔｉｃ ａｎｄ Ａｎｔａｇｏｎｉｓｔｉｃ Ｒｅｓｐｏｎｓｅ Ｏｆ Ｈｅｒｂｉｃｉｄｅ Ｃｏｍｂｉｎａｔｉｏｎｓ」Ｗｅｅｄｓ，１５（１）：２０〜２３、１９６７）。Ｃｏｌｂｙ法は、２つの除草剤の相乗的な活性の測定に対する直接的なアプローチを表す。Ｃｏｌｂｙ法によると、Ｅ＝Ｘ＋Ｙ−（ＸＹ／１００）、ここで、Ｅは、ｐ＋ｑ ｇ／ｈａの施用割合での第１の除草剤Ｈ１と第２の除草剤Ｈ２の組み合わせに対する期待％の雑草防除であり；Ｘは施用割合ｐ ｇ／ｈａでのＨ１について観察された％雑草防除であり；そしてＹは施用割合ｑ ｇ／ｈａでのＨ２について観察された％雑草防除である。
【００２３】
Ｃｏｌｂｙ法に従って算出した相乗的除草剤活性は、相乗的活性がＥｃｈｉｎｏｌｏｃｈｉａ ｃｒｕｓｇａｌｌｉ（ＥＣＨＣＧ）で見出されることを示す。
【００２４】
【表１】

（実施例２）
この実施例は、典型的な米国南部の条件下で直播イネ栽培に対してモリネートおよびカルフェントラゾン−エチルの湛水前の出芽後の施用を実証する。乾燥イネ種子（Ｋａｙｂｏｎｎｅｔ品種）を１ｃｍの深さで植え、次いで、湿らせそして３葉期まで成長させた。使用した雑草は、先と同様にＥＣＨＣＧ、ＩＰＯＷＲおよびＣＹＰＩＲであった。雑草を、２葉成長期まで別個に成長させ、そしてタブへ加えた。除草剤の施用は、化学物質の噴霧および散布（ｂｒｏａｄｃａｓｔｉｎｇ）によって行った。施用後１週間以上タブに水を張った。これらの結果を以下の表２に示す。評価は施用後２８日目に行った。
【００２５】
相乗的除草活性は実施例１に記載のＣｏｌｂｙ法を使用して算出した。相乗的除草活性は、Ｅｃｈｉｎｏｌｏｃｈｉａ ｃｒｕｓｇａｌｌｉ（ＥＣＨＣＧ）およびＩｐｏｍｏｅａ ｗｒｉｇｈｔｉｉ（ＩＰＯＷＲ）で見出される。
【００２６】
【表２】

（実施例３）
この実施例は、移植したイネの品種Ｋｏｓｈｉｈｉｋａｒｉにおいて湛水後、出芽後の施用（ヒエの２葉期で）に使用して行われた試験に関する。イネは試験タブから分離して２〜４葉期まで成長させた。タブにおける土壌は、混和が達成されるまで混ぜてこね土にした。次いで、上記イネ植物を、このブレンドに移植した。使用される雑草は、ＥＣＨＣＧ、小さい花の平坦なスゲ（ｓｍａｌｌｆｌｏｗｅｒ ｆｌａｔｓｅｄｇｅ）（Ｃｙｐｅｒｕｓ ｄｉｆｆｏｒｍｉｓ、ＣＹＰＤＩ）、わい性オモダカ属植物（Ｓａｇｉｔｔａｒｉａ ｐｙｇｍａｅ、ＳＡＧＰＹ）およびコナギ（Ｍｏｎｏｃｈｏｒｉａ ｖａｇｉｎａｌｉｓ、ＭＯＯＶＡ）であった。雑草（２葉期）を別々に成長させ、そして混和した土壌のタブに移植するか、または混和した土壌のタブで成長させるかのいずれかであった。除草剤の施用は、典型的には、湛水後の薬品の注入または全面散布により行った。評価は、施用後２９日目に行い、そして４点の平均を表す。この結果を以下の表３に示す。
【００２７】
相乗的除草剤活性は実施例１に記載のＣｏｌｂｙ法を使用して算出した。相乗的除草剤活性は、Ｅｃｈｉｎｏｌｏｃｈｉａ ｃｒｕｓｇａｌｌｉ（ＥＣＨＣＧ）、Ｍｏｎｏｃｈｏｒｉａ ｖａｇｉｎａｌｉｓ（ＭＯＯＶＡ）、Ｓａｇｉｔｔａｒｉａ ｐｙｇｍａｅ（ＳＡＧＰＹ）およびＣｙｐｅｒｕｓ ｄｉｆｆｏｒｍｉｓ（ＣＹＰＤＩ）で見出される。
【００２８】
【表３】

Claims (12)

1. ６０：１〜６：１の重量比でモリネートとカルフェントラゾン−エチルとをそれぞれ含む、除草剤組成物。
2. 前記重量比が２０：１〜６：１である、請求項１に記載の除草剤組成物。
3. 請求項１に記載の液体除草剤組成物。
4. 請求項１に記載の固体除草剤組成物。
5. 請求項１に記載の制御放出除草剤組成物。
6. モリネートおよびカルフェントラゾン−エチルのうち少なくとも１つがマイクロカプセルに含まれる、請求項５に記載の除草剤組成物。
7. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項１に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。
8. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項２に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。
9. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項３に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。
10. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項４に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。
11. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項５に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。
12. イネ作物の存在下において雑草を防除する方法であって、該方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作用有効量の請求項６に記載の組成物を施用する工程を包含する、方法。