JP2001514196A - 相乗的除草剤の組み合わせ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 稲作物における雑草の制御は、約５００：１〜約３０：１の重量比でモリナートおよびオキシフルオルフェンを含む除草剤組成物を、作物、雑草、またはいずれかの場所に適用することによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （背景および先行技術） 本発明は、相乗的な除草剤の組み合わせに関し、特に稲作物における雑草を制
御する際に使用するためのそのような組み合わせに関する。

【０００２】 モリナート（Ｓ−エチルヘキサヒドロ−１Ｈ−アゼピン−１−カルボチオエー
ト）は、チオカルバメート除草剤であり、これは長年の間稲作物において雑草を
制御するために使用されてきており、そして商標ＯＲＤＲＡＭ（登録商標）を有
する製品のもとで一般的に販売されている。異なる処方および強度で、モリナー
トは、稲作物において広範な雑草を制御するために、植える前、水を張る前また
は水を張った後に適用され、そして一般的に約５００〜約１１，０００ｇ／ｈａ
の範囲の割合で適用される。しかし、多くの農薬でのように、モリナートのより
低い適用割合を使用しつつ、雑草の制御を達成し得ることが望ましい。このこと
はまた、環境および／またはこの産物を取り扱う労働者に対して少ししか影響を
与えない結果となり得る。

【０００３】 現在、驚くべきことに、ずっとより少量の除草剤オキシフルオルフェンと、モ
リナートとの組み合わせは、同等な雑草の制御がより少ない量および／または適
用割合のモリナートで得られ得るような相乗効果を生じ得ることが見いだされて
いる。

【０００４】 オキシフルオルフェンすなわち２−クロロ−１−（３−エトキシ−４−ニトロ
フェノキシ）−４−（トリフルオロメチルベンゼン）は、商標ＧＯＡＬ（登録商
標）のもとで主に市販されるジフェニルエーテル除草剤である。主に、オキシフ
ルオルフェンは果物、ナッツおよび野菜作物において、ならびに綿花において雑
草を制御するために販売されている。雑草を制御するために必要とされる適用の
割合が稲に受容可能でない傷害を生じる傾向があるために、稲作物における雑草
の制御に対して通常は使用されない。しかし、オキシフルオルフェンが中国にお
いて小規模で使用され、稲における雑草を制御している。しかし、本発明によれ
ば、モリナートとの組み合わせでの（特に通常使用されるよりも少ないモリナー
ト量または低いモリナートの適用割合での）、稲作物に植物毒性が実質的に生じ
ない量のオキシフルオルフェンの使用は、相乗的な効果を生じ、その結果、水を
張る前または水を張った後の適用のいずれにおいても稲作物における雑草の良好
な制御が得られる。

【０００５】 （発明の要旨） 本発明は、除草剤組成物ならびに稲作物における雑草を制御する方法を包含す
る。

【０００６】 １つの局面において、本発明は、モリナートおよびオキシフルオルフェンを含
む相乗的な除草剤組成物に関する。

【０００７】 第２の局面において、本発明は、それぞれ約５００：１〜約３０：１の重量比
でモリナートとオキシフルオルフェンとを含む除草剤組成物を包含する。

【０００８】 別の局面において、本発明は、稲作物における雑草を制御する方法を包含し、
この方法は、上記作物、上記雑草、またはそのいずれかもしくは両方の場所に、
モリナートとオキシフルオルフェンとを含む相乗的な組み合わせ（好ましくは、
それぞれ約５００：１〜約３０：１の重量比で）を適用する工程を含む。

【０００９】 （発明の詳細な説明） 本発明は、稲作物における雑草を制御するためにモリナートとオキシフルオル
フェンとの除草剤の組み合わせの使用に関する。本発明の範囲内のこの組み合わ
せは、相乗効果を示し、この効果は、類似の環境下で同じ雑草に対する２つの個
々の除草剤の性能から予期されない効果である。

【００１０】 本発明によれば、雑草は、稲作物の存在下で除草作用有効量の農薬モリナート
とオキシフルオルフェンとの相乗的な組み合わせを用いて、作物、雑草またはそ
のいずれかもしくは両方の場所を処理することによって制御される。一般に、本
発明者らは、この組み合わせがそれぞれ、約５００：１〜約３０：１、好ましく
は約２５０：１〜約４０：１の重量比においてこれら２つの除草剤を含む場合、
相乗効果が示されることを見いだした。しかし、本出願人らの発見は、モリナー
トとオキシフルオルフェンとの間の相乗作用であり、そして相乗効果が他に存在
し得る場合、これらの重量比内のこれらの除草剤の組み合わせに必ずしも限定さ
れない。

【００１１】 この組み合わせは、種々の時点で、そして異なる様式で植えられた稲に対して
適用される場合、稲における雑草の相乗的または予期されない制御を生じる。雑
草を制御するために、この組み合わせは、植える前に、植えた後であるが水を張
る前（水を張る前、苗から成熟するまで）または稲が発芽した後であり水を張っ
た後（水張後、苗から成熟するまで）に適用され得、そして直接種まきされたま
たは移植された稲のいずれかに適用され得る。

【００１２】 組み合わせにおいて使用されるためには、２つの除草剤であるモリナートおよ
びオキシフルオルフェンが物理的に合わされた形態で、または同時にすら適用さ
れる必要が必ずしもない。この組み合わせの効果は、いつそれらが適用されるか
に関係なく、２つの除草剤が稲作物において同時に存在する限り得られる。従っ
て、たとえば、２つの除草剤の物理的組み合わせが適用され得るか、または一方
が他方より早く適用され得る。たとえば、２つの除草剤のうち１つが、マイクロ
カプセル化処方物のような制御放出処方物中で稲を植える前にさえ適用され得、
他方は、第二のものが適用されるとき、より早く適用された除草剤が未だ土壌に
存在している限り、そして利用できる除草剤の重量比が、本明細書中で開示され
そして特許請求される範囲内にある限り、続いて従来の液体または固体処方物で
適用され得る。

【００１３】 それ故、どちらの除草剤も、液体または固体形態で適用され得るか、または両
方の除草剤を含有する組み合わせた生成物が、再び液体または固体形態のいずれ
かで生成され得る。代表的な液体処方物には、乳濁液、懸濁液（マイクロカプセ
ルを含有する懸濁液を含む）、溶液、乳濁可能な濃縮物、および浮遊可能物（ｆ
ｌｏｗａｂｌｅ）が挙げられる。固体生成物は、たとえば、顆粒、水和性粉末、
水分散可能固体生成物（マイクロカプセル化農薬を含有する水分散可能顆粒を含
む）または粉塵の形態を含む。両方のタイプの組成物は、一般に活性除草剤に加
えて、他の成分（たとえば、溶媒、湿潤剤、懸濁剤、凝結防止剤、分散剤、乳化
剤、凍結防止剤、消泡剤および他の添加物）を含む。

【００１４】 いずれの除草剤または両方は、制御放出組成物の多くの公知の形態のうちの１
つで利用され得る。このような組成物は、環境中に活性成分の比較的遅いまたは
制御された放出を提供し、そしてたとえばカプセル化、マクロカプセル化、およ
び種々の形態の制御された放出の顆粒を含む。

【００１５】 本発明に従う組み合わせ生成物または組成物は、多数の異なる物理的形態でこ
れら２つの除草剤を含み得る。ある場合において、組み合わせ生成物は、これら
の活性除草剤を含有する市販の製品（たとえば、これらの除草剤を含有する２つ
の乳濁可能濃縮物）を、この２つの製品の成分すべてが比較的適合性である限り
、単に物理的に混合する（「タンク混合」）ことによって生成され得る。あるい
は、パッケージは、別個の容器中に全体として２つの除草剤を含んで、製造され
そして販売され得るが、ともにパッケージされ、通常「ツインパック（ｔｗｉｎ
−ｐａｃｋ）」と呼ばれる。ツインパックは、特に本明細書中の除草剤組成物に
適切であり、というのは、モリナートの量がオキシフルオルフェンの量より実質
的に多く、全体としての生成物のパッケージは、オキシフルオルフェン含有除草
剤生成物の比較的小さい容器と一緒にモリナート含有除草剤生成物の比較的大き
い容器を備えて製造され得る。

【００１６】 あるいは、これら２つの除草剤を含有する先に調製された組成物（「プレミッ
クス（ｐｒｅｍｉｘ）」）が生成され得る。モリナートは液体であり、オキシフ
ルオルフェンは多くの有機溶媒に溶解する固体である。この理由のため、液体組
成物がこの２つの除草剤を含む生成物に対して好ましいようである。代表的な液
体組成物は、両方の除草剤を含有する乳濁可能濃縮物、または各相に１つの除草
剤を有する２相乳濁液（または微小乳濁液）を含む。

【００１７】 しかし、実際には、両方の除草剤はまた、現在、固体処方物、すなわち、含浸
顆粒として販売されており、両方の除草剤を含む同様の固体生成物が含浸顆粒と
して同様に生成され得る。同様に、水和性粉末または粉塵のような他の固体処方
物が調製され得る。

【００１８】 再び同様に、適切な成分および条件を使用して、一方または両方の除草剤がマ
イクロカプセル内に含まれるマイクロカプセル化生成物を調製することが可能で
あり、上記マイクロカプセル化生成物は液体形態（すなわち、カプセル懸濁液）
または固体形態（すなわち、マイクロカプセル懸濁液を乾燥することによって生
成される水−分散可能顆粒）のいずれかで販売され得る。液体形態の１つのタイ
プは、マイクロカプセル懸濁液であり、これにおいて除草剤の一方はカプセル内
に含まれるが、他方は、連続した液相に非カプセル化形態で存在する。別のタイ
プは、別個にカプセル化されたモリナートおよびオキシフルオルフェンを含む懸
濁液である。これら２つの除草剤を含み得る処方物または組成物のタイプは、他
のタイプの処方物が当業者によって同様に認識されるので、本明細書中で列挙し
たものによって限定されない。

【００１９】 オキシフルオルフェンおよびモリナートの組み合わせによって雑草を制御する
ことは、以下の実施例によって例示される。

【００２０】 （実施例１） この実施例は、移植した稲において水を張る前で苗が成熟するまでに適用され
た雑草の制御についてのモリナートとオキシフルオルフェンとの組み合わせ適用
を示す。稲を試験たらいから分離されて２〜４葉段階まで成長させた。たらいに
おける土壌は、水を張られ、ブレンドが達成されるまで耕される（混ぜてこね土
にされる）。次いで、上記稲植物を、このブレンドに移植した。雑草（２葉段階
）は、別々に成長されてブレンドした土壌のたらいに移植したかまたはブレンド
された土壌のたらいで成長させたかのいずれかである。除草剤の適用は、典型的
には、水を張った後の薬品の注入または全面散布により行う。モリナートおよび
オキシフルオルフェンの指示された量における組み合わせは、稲（Ｋｏｓｈｉｋ
ａｒｉ変種）および雑草の稗（？）（Ｅｃｈｉｎｏｃｈｌｏａ ｃｒｕｓｇａｌ
ｌｉ、ＥＣＨＣＧ）、小さい花の平坦なスゲ（ｓｍａｌｌｆｌｏｗｅｒ ｆｌａ
ｔｓｅｄｇｅ）（Ｃｙｐｅｒｕｓ ｄｉｆｆｏｒｍｉｓ、ＣＹＰＤＩ）およびｍ
ｏｎｏｃｈｏｒｉａ（Ｍｏｎｏｃｈｏｒｉａ ｖａｇｉｎａｌｉｓ、ＭＯＯＶＡ
）を含む平地に水を張った後の苗から成熟するまでの段階で、（除草剤（単数ま
たは複数）の１ヘクタール当たりのｇ数の点で）示される適用割合で温室中で適
用された。適用の時点で、稲は３葉段階であり、稗は２葉段階であり、および他
の２つの雑草は２−および３−葉段階の中間であった。これらの試験の結果は、
以下の表１に未処理のチェック平地と比較して制御または傷害のパーセントに換
算して示される。

【００２１】

【表１】

【００２２】 上述の実施例から、以下のことが注目され得る： （１）７２６ｇ／ｈａで稗に対して噴霧したモリナートは制御を示さなかった
。また、３ｇ／ｈａのオキシフルオルフェン（これはまた制御を示さなかった）
のみを添加した場合、制御は９９％であった。より高い適用割合において、モリ
ナート単独は、ある程度まで稗を制御した。また、３〜６ｇ／ｈａのオキシフル
オルフェンのみを添加した場合、完全な制御が達成された。

【００２３】 （２）予期されない結果はｍｏｎｏｃｈｏｒｉａにおいて得られず、そしてオ
キシフルオルフェンのより高い適用割合（２５ｇ／ｈａ）で小さい花の平坦なス
ゲに対してのみ得られた。しかし、これらのより高い割合の組み合わせは、本発
明の範囲内である。

【００２４】 （３）いくつかの試験において、相乗効果が、所定の範囲内またはすべて雑草
に対する除草剤の組み合わせのすべての可能性について通常は示されないので、
モリナートおよびオキシフルオルフェンの本明細書中に記載される範囲内の組み
合わせは、相乗効果を示さず、そしてこのことは意外なことではない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ) ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，Ｄ Ｋ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＵ ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，Ｍ Ｄ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ， ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，Ｖ Ｎ，ＹＵ，ＺＷ (72)発明者 コダヤリ， コスロ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94804 −4610， リッチモンド， サウス 47テ ィーエイチ ストリート 1200 Ｆターム(参考） 4H011 AB01 AB02 BA06 BB03 BB13 DA02 DA06 DA12 DD01 DD03 DD04 DF02

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 約５００：１〜約３０：１の重量比でモリナートとオキシフ
   ルオルフェンとを含む、除草剤組成物。
2. 【請求項２】 前記重量比が約２５０：３．２５〜約５：１である、請求項
   １に記載の除草剤組成物。
3. 【請求項３】 前記重量比が約２５０：１〜約４０：１である、請求項１に
   記載の除草剤組成物。
4. 【請求項４】 請求項１に記載の液体除草剤組成物。
5. 【請求項５】 請求項１に記載の固体除草剤組成物。
6. 【請求項６】 請求項１に記載の制御放出除草剤組成物。
7. 【請求項７】 モリナートおよびオキシフルオルフェンのうち少なくとも１
   つがマイクロカプセルに包含される、請求項６に記載の除草剤組成物。
8. 【請求項８】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該方
   法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作
   用有効量の請求項１に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
9. 【請求項９】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該方
   法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草作
   用有効量の請求項２に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
10. 【請求項１０】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該
    方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草
    作用有効量の請求項３に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
11. 【請求項１１】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該
    方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草
    作用有効量の請求項４に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
12. 【請求項１２】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該
    方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草
    作用有効量の請求項５に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
13. 【請求項１３】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該
    方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草
    作用有効量の請求項６に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。
14. 【請求項１４】 稲作物の存在下において雑草を制御する方法であって、該
    方法は、該作物、該雑草、または該作物および／もしくは該雑草の場所に、除草
    作用有効量の請求項７に記載の組成物を適用する工程を包含する、方法。