JP4381575B2 - 有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物中に含まれるポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」と略す)等の有機ハロゲン化合物を、アルカリ又はアルカリ金属により分解処理して得られる脱ハロゲン化生成物中に含まれる塩類を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物中に含まれるPCB等の有機ハロゲン化合物の環境汚染が問題となっている。そして、これら有機ハロゲン化合物を無害化処理する方法の一つとして、有機ハロゲン化合物をアルカリ又はアルカリ金属と反応させて分解処理(脱ハロゲン化)する方法が知られている(例えば、特開昭49−82570号公報、特開昭59−20179号公報、日本化学会誌(11)p1577−1582(1978)、特開平9−216838号公報、特許第2918542号公報、特開平11−92771号公報等参照。)。
【0003】
かかる有機ハロゲン化合物をアルカリ又はアルカリ金属(以下、「アルカリ等」という)と反応させて分解処理する手順としては、具体的には、PCB等の有機ハロゲン化合物を含むトランス油等の有機溶媒をアルカリ等とともに加熱することにより有機ハロゲン化物のアルカリ分解処理を行った後、有機溶媒中に析出する脱ハロゲン化された反応生成物(以下、「脱ハロゲン化生成物」という)を分離し、焼却(燃料等として用いる)等の処分を行い、回収された有機溶媒はリサイクルに回す等している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アルカリ等による分解反応混合物から分離された脱ハロゲン化生成物は、副生したアルカリハロゲン化物等の塩類を大量に含んでいる。したがって、塩類を含む脱ハロゲン化生成物をそのまま焼却する場合には、燃料として再利用する際の障害となっていた。
そのため、これまでも、脱ハロゲン化生成物の焼却前に水洗浄等を行うことにより、脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する操作を行っていた。
【0005】
しかしながら、焼却処分する前に脱ハロゲン化生成物を水洗浄するだけは含まれる塩類を十分に除去されない場合が多い。この理由の詳細は明らかではないが、例えば、温水による洗浄を複数回行った場合であっても、塩類を十分に除去(99%以上を除去)することはできなかった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、塩類を含む有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から、塩類を簡便かつ確実に除去する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、有機ハロゲン化合物をアルカリ等により脱ハロゲン化処理することによって得られる脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法であって、前記脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とする、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法を提供する。
【0008】
本発明においては、水−アルコール系混合溶媒に添加するアルコールとして、炭素数1〜3のアルコールの1種又は2種以上を用いるのが好ましく、前記水−アルコール系と混合溶媒として、該混合溶媒全体に対して、5重量%〜50重量%の炭素数1〜3のアルコールを含む混合溶媒を用いるのがより好ましい。
【0009】
また本発明においては、前記脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄する工程の前に、前記脱ハロゲン化生成物を炭化水素溶媒で洗浄する工程を有するのがさらに好ましい。
【0010】
さらに本発明においては、前記アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好ましい。また、アルカリ金属としては、アルカリ金属分散体を用いるのが好ましい。
【0011】
また本発明は、有機ハロゲン化合物として、ポリ塩化ビフェニル類等の難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理することによって得られる脱ハロゲン化生成物に含まれる塩類を除去する場合に好ましく適用される。
本発明によれば、塩類を含有する有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化物から塩類を簡便かつ確実に除去することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、アルカリ等による分解処理の対象となる有機ハロゲン化合物は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を有する有機化合物であれば特に制限されるものではない。例えば、産業廃棄物中に含まれる芳香族ハロゲン化合物やハロゲン化飽和炭化水素等が挙げられる。芳香族ハロゲン化合物としては、PCB、ダイオキシン類、ポリ塩素化ベンゾフラン類、ポリ塩素化ベンゼン、DDT等が挙げられ、ハロゲン化飽和炭化水素としては、BHC(ヘキサクロロシクロヘキサン)等が挙げられる。これらのうち、本発明は、PCBなどの難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化する場合に好適である。
【0013】
これらの有機ハロゲン化合物はそのままアルカリ分解処理に供してもよいが、有機ハロゲン化合物が有機溶媒に溶解された溶液をアルカリ等による分解処理に供することもできる。かかる有機溶媒としては、沸点150℃以上、好ましくは160℃以上の溶媒、例えば、ケロシン、デカリン、トランス油(JIS C2320−1993に記載のトランス油)、重油(JIS K2205に記載の重油)、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、トランス油に溶解した有機ハロゲン化合物を分解処理の対象とする場合に特に好適である。
【0014】
本発明において、アルカリ等による分解処理に用いられるアルカリ等としては、アルカリ金属分散体、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0015】
アルカリ金属分散体、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩のアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム及びこれらの合金等を例示することが出来る。また、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属炭酸塩のアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
【0016】
また、アルカリ金属はアルカリ金属分散体で用いるのが好ましい。アルカリ金属分散体は、アルカリ金属が溶媒に微粒子状で均一に分散した分散体である。アルカリ金属分散体の調製に用いられる溶媒としては、沸点が150℃以上、好ましくは160℃以上で不活性な脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素が挙げられる。例えば、ケロシン、トランス油(JIS C2320−1993に記載のトランス油)、デカリン、流動パラフィン、重油及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、本発明においてはトランス油を用いるのが特に好ましい。
【0017】
かかるアルカリ金属分散体は公知の方法により調製することが出来る。例えば、Inorganic Syntheses.,Vol.5,p6−p10,”Sodium Dispersions”に記載の方法や、特開平10−110205号公報に記載されたホモジナイザーを用いた方法等が挙げられる。本発明に使用するアルカリ金属分散体においては、保存性及び有機ハロゲン化合物に対する分解処理能力等の観点から、アルカリ金属の80%以上が粒径が30ミクロン以下、好ましくは15ミクロン以下のアルカリ金属微粒子となっているものが好ましい。
【0018】
また、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
有機ハロゲン化合物をアルカリ等により分解処理する方法としては、有機ハロゲン化合物のハロゲン原子をアルカリ等により脱ハロゲン化する方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば次の(1)や(2)方法が挙げられる。
(1)有機ハロゲン化合物又は有機ハロゲン化合物の有機溶媒溶液とアルカリ金属分散体とを、150℃〜200℃、好ましくは155℃〜180℃の温度範囲で反応させる方法(例えば、特許第2918542号公報参照)。
(2)例えば芳香族ハロゲン化合物を含む廃油を、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩等のアルカリ性物質ならびに高沸点オレフィン化合物及び/又は触媒の存在下で、250℃〜400℃に加熱して脱ハロゲン化反応させる方法(特開平11−92771号公報参照)。
【0020】
有機ハロゲン化合物をアルカリ等による分解した脱ハロゲン化生成物は、一般的に有機溶媒に不溶性の高分子(重合体)である場合が多い。また、この反応では、NaX(Xはハロゲン原子を表す。)等の塩類が副生する。
【0021】
アルカリ等による分解反応は、ケロシン、トランス油、デカリン、流動パラフィン、重油等の高沸点炭化水素系溶媒中で行われるので、重合体等の脱ハロゲン化生成物及び塩類は、高沸点炭化水素系溶媒に溶解しない。したがって、反応混合物を遠心分離、ろ過、沈降分離等の固液分離処理を行うことにより、脱ハロゲン化生成物を分離することができる。
【0022】
分離された脱ハロゲン化生成物は塩類を大量に含んでいる。脱ハロゲン化生成物は通常焼却されるが、塩類を含んだ状態で焼却を行うと、燃料として再利用する際に障害となる場合がある。したがって、脱ハロゲン化物から塩類を十分に除去する必要がある。
【0023】
本発明においては、分離した脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄することによって、脱ハロゲン化生成物から塩類の除去を行う。水−アルコール系混合溶媒としては、少なくとも水及びアルコールを含む混合溶媒が用いられるが、水及びアルコール以外に、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒等の水と相溶性のある有機溶媒を含有させることもできる。本発明においては、水とアルコールとからなる混合溶媒の使用が好ましい。
【0024】
前記水−アルコール系混合溶媒に含められるアルコールとしては、水と相溶性のある炭素数1〜3のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。水−アルコール系混合溶媒中のアルコールの含有量は、混合溶媒全体に対してアルコール含油量が5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲である。アルコール含有量が50重量%を越える場合や5重量%未満の場合には、塩類の洗浄効果が不十分となる。
【0025】
脱ハロゲン化生成物の水−アルコール系混合溶媒による洗浄法としては、例えば、水−アルコール系混合溶媒中に脱ハロゲン化生成物を懸濁させて、十分に攪拌した後、混合物を遠心分離、ろ過、沈降分離等の固液分離処理を行う方法が挙げられる。水−アルコール系混合溶媒の使用量は、脱ハロゲン化生成物10gに対し、通常10ml〜1000ml、好ましくは、30ml〜500mlの範囲である。洗浄回数には特に制限はなく、回数が多いほど塩類の除去効果を高めることができるが、通常1回〜20回、好ましくは3回〜10回の範囲である。また、洗浄水は回収して、同一又は異なる脱ハロゲン化生成物の洗浄に用いることができる。洗浄時の温度には格別の制限はないが、通常、室温〜100℃、好ましくは30℃〜80℃の温度範囲である。
【0026】
また本発明においては、脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄する前に、炭化水素系溶媒でプレ洗浄を行ったり、水−アルコール系混合溶媒で洗浄した後に、水でリンス洗浄を行うことにより塩類の除去効果をさらに高めることが出来る。プレ洗浄に用いられる炭化水素系溶媒としては、脱ハロゲン化生成物を溶解しないものであれば、特に制限されず、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン等が挙げられる。また、プレ洗浄に用いられる炭化水素系溶媒及びリンス洗浄に用いられる水の使用量は、通常脱ハロゲン化生成物10gに対し、10ml〜1000mlの範囲である。プレ洗浄やリンス洗浄の回数は、通常1回〜5回程度である。
【0027】
なお、アルカリ金属分散体を用いる場合には、未反応のアルカリ金属を失活させた後に洗浄作業を行う必要がある。アルカリ金属を失活させる方法としては、反応混合物中に、アルコール及び/又は水を滴下する方法が挙げられる。アルカリ金属が失活すると、アルカリ金属水酸化物が生成する。また、アルカリ分解処理終了後の反応混合物中には、未反応のアルカリが残存している場合がある。これら未反応のアルカリやアルカリ金属が失活して生成したアルカリは、塩類と共に洗浄除去することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、有機ハロゲン化合物やアルカリ、洗浄溶媒の種類等を自由に変更することができる。
【0029】
なお、以下の実施例及び比較例において、重合体中に含まれる塩化ナトリウム(塩類)の量は、水−アルコール系混合溶媒による洗浄の前後の塩素イオン濃度をそれぞれ測定し、得られた測定値から塩素イオン除去率を算出して評価した。また、塩素イオン除去率(%)は、次のようにして測定した。
【0030】
(塩素イオン除去率の測定方法)
PCBのアルカリ等による分解処理後の反応混合物及び塩類の除去処理後の反応混合物に、所定量の蒸留水をそれぞれ加え、十分に混合撹拌した後、水層を分液した。水層を分取し、得られた水層の10〜20gを精秤し,硝酸水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和し、メスアップして、これらを測定試料溶液とした。
次いで、測定試料溶液に二重内管外側の液を飽和硝酸カリウム溶液で置換した基準電極と銀電極を差し込み、そこへ0.01規定の硝酸銀水溶液を滴下した。硝酸銀水溶液の消費量と電位差をそれぞれ測定し、測定値をプロットし、得られた滴定曲線から終点を求め、硝酸銀溶液の消費量から塩素濃度を算出した。塩類除去処理前の反応混合物に含まれる塩素原子モル数に対する得られた塩素イオンの比率から、塩素イオン除去率を算出した。
【0031】
(実施例1)
300mlの反応容器に、トランス油129.3gに平均塩素付加数が4のPCB(商品名:カネクロール400、鐘淵化学工業(株)製)10.8gを溶解させた溶液を入れた。反応容器内を窒素置換した後、該溶液を150℃まで加熱した。そこへ、トランス油を分散媒とした20重量%の金属ナトリウム分散体20.5gを攪拌しながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応温度を160℃〜165℃に維持し2時間反応させた。反応液の一部を抜き取り、固形分を沈降させて得た上澄み液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分析したところ、PCB濃度は検出限界(0.5ppm)以下であった。
【0032】
次いで、反応液に水を攪拌しながら少量滴下して、未反応の金属ナトリウムを完全に分解させ、反応混合物をろ過した。得られた固形物(得量14.0g)は、塩化ナトリウムを含むPCBの脱塩素化重合体(以下、「重合体混合物」という)である。
【0033】
次に、得られた塩化ナトリウムを含む重合体の塩化ナトリウムの除去を行った。この除去工程のフローチャートを図1に示す。
(1)プレ洗浄
先ず、得られた重合体混合物14.0gを水240ml中に懸濁させ、70℃で3時間攪拌し、懸濁液をろ過した。この操作を2回繰り返した後、ろ過物を水25mlで2回洗浄した。
(2)水−アルコール系混合溶媒による洗浄
次いで、得られたろ過物を、水−アルコール系混合溶媒として水とアルコールとからなる混合溶媒(メタノール含有量:20.8重量%)189.5g中に懸濁させ、50℃で1時間攪拌した後、懸濁液をろ過した。この操作を4回繰り返した。
【0034】
プレ洗浄前の重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度及び水−アルコール系混合溶媒による洗浄を1回〜4回行った後のそれぞれの場合の重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度を測定し、水−アルコール系混合溶媒で洗浄前に対する塩素イオン除去率(%)を求めた。測定結果及び塩素イオン除去率を第1表に示す。
【0035】
(実施例2)
300mlの反応容器に、トランス油129.3gに平均塩素付加数が4のPCB(商品名:カネクロール400、鐘淵化学工業(株)製)10.8gを溶解させた溶液を入れた。反応容器内を窒素置換した後、該溶液を150℃まで加熱した。そこへ、トランス油を分散溶媒とした20重量%の金属ナトリウム分散体20.5gを攪拌しながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応温度を160℃〜165℃に維持し2時間反応させた。反応液の一部を抜き取り、固形分を沈降させて得た上澄み液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分析したところ、PCB濃度は検出限界(0.5ppm)以下であった。
【0036】
次いで、反応液に水を攪拌しながら少量滴下して、未反応の金属ナトリウムを完全に分解させ、反応混合物をろ過した。得られた固形物(得量14.0g)は、塩化ナトリウムを含む重合体混合物である。
【0037】
次に、得られた塩化ナトリウムを含む重合体混合物の塩化ナトリウムの除去を行った。この除去工程のフローチャートを図2に示す。
(1)プレ洗浄
先ず、得られた重合体混合物14.0gをn−ヘキサン140ml中に懸濁させ、室温で1時間攪拌した。懸濁液をろ過して、ろ過物を再度n−ヘキサン55mlに懸濁させ、1時間攪拌し、懸濁液をろ過した。
(2)水−アルコール系混合溶媒による洗浄
次に、得られたろ過物を、水−アルコール系混合溶媒として水とアルコールとからなる混合溶媒(メタノール含有量:8重量%)140mlに懸濁させ、50℃で1時間攪拌した後、懸濁液をろ過し、この操作を4回繰り返した。さらに、ろ過物を再度水30mlに懸濁させ、懸濁液をろ過した(リンス洗浄)。この操作をもう一度繰り返し、懸濁液をろ過して、ろ過物を乾燥させて、塩類を除去した重合体混合物を得た。
【0038】
プレ洗浄前の重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度及び水−アルコール混合溶媒による洗浄を1回〜4回行った後のそれぞれの場合の重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度を測定し、水−アルコール混合溶媒で洗浄前に対する塩素イオン除去率(%)を求めた。測定結果及び塩素イオン除去率を第1表に示す。
【0039】
比較例1
300mlの反応容器に、トランス油129.3gに平均塩素付加数が4のPCB(商品名:カネクロール400、鐘淵化学工業(株)製)10.8gを溶解させた溶液を入れた。反応容器内を窒素置換した後、該溶液を150℃まで加熱した。そこへ、トランス油を分散溶媒とした20重量%の金属ナトリウム分散体20.5gを攪拌しながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応温度を160℃〜165℃に維持し2時間反応させた。反応液の一部を抜き取り、固形分を沈降させて得た上澄み液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分析したところ、PCB濃度は検出限界(0.5ppm)以下であった。
【0040】
次いで、反応液に水を攪拌しながら少量滴下して、未反応の金属ナトリウムを完全に分解させ、反応混合物をろ過した。得られた固形物(得量14.1g)は、塩化ナトリウムを含む重合体混合物である。
【0041】
次に、得られた塩化ナトリウムを含む重合体混合物の塩化ナトリウムの除去を行った。この除去工程のフローチャートを図3に示す。本比較例は水で洗浄を6回行った例である。
【0042】
先ず、反応混合物をろ過して得られた重合体混合物14.1gを水240ml中に懸濁させ、約70℃で3時間攪拌し、懸濁液をろ過して、ろ過物を水25mlで2回洗浄した。この操作を6回繰り返した。
水洗浄前の重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度及び水洗浄を1回〜6回行った後のそれぞれの場合の、重合体混合物中に含まれる塩素イオン濃度を測定し、水洗浄前に対する塩素イオン除去率(%)を求めた。測定結果及び塩素イオン除去率を第1表に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004381575
【0044】
第1表から明らかなように、水−アルコール系混合溶媒で洗浄した場合(実施例1,2)では、99%以上の塩素イオンが除去されたのに対し、水のみで洗浄を行った場合(比較例)では塩素イオン除去率が98.37%であって、2%弱の塩素イオンが重合体混合物中に残存していた。この塩化ナトリウム(塩素イオン)残存量は、アルカリ分解処理するPCBの量は大量であるので無視できない量である。一方、本実施例1,2、特に実施例2の場合には、塩化物イオンはほぼ完全に除去されることがわかった。したがって、実施例で得られた塩類除去処理後の重合体混合物(脱ハロゲン化生成物)は、燃料として再利用しても問題が生じることがない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、塩類を含む有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から、簡便かつ確実に塩類を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(実施例1)の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去するフローチャート図である。
【図2】本発明(実施例2)の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去するフローチャート図である。
【図3】従来(比較例)の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去するフローチャート図である。

Claims (6)

  1. 有機ハロゲン化合物を、アルカリ又はアルカリ金属により脱ハロゲン化処理することによって得られる脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法であって、
    前記脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とする、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
  2. 前記アルコールとして、炭素数1〜3のアルコールの1種又は2種以上を用いる
    請求項1記載の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
  3. 前記水−アルコール系混合溶媒として、該混合溶媒全体に対して、5重量%〜50重量%の炭素数1〜3のアルコールを含む混合溶媒を用いる
    請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
  4. 前記脱ハロゲン化生成物を水−アルコール系混合溶媒で洗浄する工程の前に、前記脱ハロゲン化生成物を炭化水素溶媒で洗浄する工程を有する
    請求項1〜3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
  5. 前記アルカリは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記アルカリ金属はアルカリ金属分散体である
    請求項1〜4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
  6. 前記有機ハロゲン化合物は、ポリ塩化ビフェニル類の難分解性ハロゲン化合物である
    請求項1〜5のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化生成物から塩類を除去する方法。
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