以下、本発明の実施の形態例を図面に基づき、詳細に説明する。
<参考例1>
図1(a)は本発明の参考例1に係る超音波探傷装置の構成図、図1(b)は前記超音波探傷装置の検査部の構成を示す拡大図(透視図)、図1(c)はプローブ位置の座標変換の説明図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本参考例1の超音波探傷装置は検査部20と、超音波探傷器23と、位置検出処理手段としてのエンコーダ出力装置24とを備えた構成となっている。検査部20は超音波探傷用のプローブ(超音波探触子)21にマウススキャナ22を結合した構成となっており、プローブ21は電気配線25を介して超音波探傷器23に電気的に接続され、マウススキャナ22は電気配線26を介してエンコーダ出力装置24に電気的に接続されている。
プローブ21は圧電素子である振動子27を備えており、超音波探傷器23から電気配線25を介して振動子27に電圧が印加されて振動子27が振動することにより超音波を発生して被検体(図示例では配管28)へ出射するとともに被検体(配管28)からの前記超音波の反射エコーを振動子27で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線25を介して超音波探傷器23へ送出する。
超音波探傷器23はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ21から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器23では探傷データに基づいて被検体(配管28)に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
プローブ21は探傷員が手に持って被検体(配管28)の表面上を移動させる所謂手動式のものである。そして、マウススキャナ22はプローブ21とともに被検体(配管28)の表面上を移動することにより、被検体(配管28)上のプローブ21の位置を検出する。マウススキャナ22はパーソナルコンピュータの入力装置として一般に利用されているボール式マウスと同様の構成のものであり、図1(b)に示すようにボール31の回転をローラ32,33を介してエンコーダ34,35に伝えるボール式の構成となっている。ボール31は自重により被検体(配管28)との間に摩擦力を生じて回転する。ローラ32とローラ33は互いの軸方向が直交するように配置され、それぞれの外周面がボール31の外周面と接することにより、ボール31の回転が伝達される。即ち、マウススキャナ22ではボール31の回転方向をX,Yの2軸に分解することにより、X,Yの2次元の位置情報を検出することができる。
例えばプローブ21とともにマウススキャナ22が、矢印C方向(ローラ32の軸方向と直交する方向)、矢印D方向(ローラ33の軸方向と直交する方向)又は矢印E方向(ローラ32,33の軸方向に対して45度の方向)に被検体(配管28)表面上を移動すると、ボール31が被検体(配管28)の表面上を転動して、矢印C方向への移動の場合にはボール31の回転がローラ32を介してエンコーダ34に伝達され、矢印D方向への移動の場合にはボール31の回転がローラ33を介してエンコーダ35に伝達され、矢印E方向への移動の場合にはボール31の回転がローラ32,33を介してエンコーダ34,35にそれぞれ伝達される。
かくして、各エンコーダ34,35からはマウススキャナ22(即ちプローブ21)の各移動方向に応じたボール31の回転の検出信号が、電気配線26を介してエンコーダ出力装置24へ送出される。エンコーダ出力装置24はマイクロコンピュータなどから構成されており、エンコーダ34,35から送られてくる回転検出信号に基づいて被検体(配管28)の表面上のプローブ21の位置(例えば振動子27の中央位置)を算出する。この場合、探傷員が検査部20(プローブ21及びマウススキャナ22)を被検体(配管28)の表面上に最初に置いた位置を基準位置として設定して、探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)でエンコーダ出力装置24に入力しておく。そして、エンコーダ出力装置24では当該基準位置からのプローブ21の移動距離をエンコーダ34,35からの回転検出信号に基づいて算出することにより、プローブ21の位置を求め、このプローブ21の位置信号を超音波探傷器23へ送出する。従って、超音波探傷器23では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。なお、図示例ではエンコーダ出力装置24をマウススキャナ22とは別に設けているが、これに限定するものではなく、マウススキャナ22にエンコーダ出力装置24を設けてもよい。
ところで、パーソナルコンピュータのマウスを操作する際に手に持ったマウスの向きによっては机上でのマウスの移動方向とモニタ画面上でのポインタの移動方向とが異なってしまうことがあるが、これと同様のことがマウススキャナ22でも生じる。即ち、手に持ったマウススキャナ22(プローブ21)の向きによっては被検体(配管28)の表面上でのマウススキャナ22の移動方向と、エンコーダ34,35の回転検出信号に基づいてエンコーダ出力装置24で認識されるマウススキャナ22の移動方向とが異なってしまい、プローブ21の位置を正確に検出することができないことがある。
そこで、本参考例1の超音波探傷装置では、マウススキャナ22に回転角センサとしてのジャイロ41が設けられている。ジャイロ41は電気配線42を介してエンコーダ出力装置24に電気的に接続されており、被検体の基準軸方向に対するマウススキャナ22の回転角を検出し、この回転角検出信号を電気配線42を介してエンコーダ出力装置24へ送出する。図示例のように配管28の探傷検査を行う場合には例えば配管28の中心軸方向を基準軸方向に設定し、この基準方向に対するマウススキャナ22(プローブ21)の回転角度をジャイロ41によって検出するように設定する。
エンコーダ出力装置24では、エンコーダ34,35から送られてくる回転検出信号に基づいて算出するプローブ21の位置を、ジャイロ41から送られてくる回転角検出信号に基づいて図1(c)に示すようにマウススキャナ22の座標軸(xy座標軸)上の値から被検体(配管28)の座標軸(XY座標軸)上の値に変換する。図示例ではマウススキャナ22の座標軸は矢印C方向がy軸方向、矢印D方向がx軸方向であるのに対し、被検体の配管28の座標軸は配管28の中心軸方向(即ち前記基準軸方向)をY軸方向とし、これと直交する配管28の径方向をX軸方向としている。
以上のように本参考例1の超音波探傷装置によれば、プローブ位置情報を採取する手段が、プローブ21に結合され、ボール31の回転をローラ32,33を介してエンコーダ34,35に伝えるボール式のものであってプローブ21が被検体(配管28)の表面上を移動するときにプローブ21とともに移動してボール31が被検体(配管28)の表面上を転動することによりエンコーダ34,35がボール31の回転検出信号を出力する構成のマウススキャナ22と、マウススキャナ22に設けられ又はマウススキャナ22とは別に設けられ、エンコーダ34,35の回転検出信号に基づいて被検体(配管28)の表面上のプローブ21の位置を求めるエンコーダ出力装置23とを備えた構成であることから、プローブ21の走査(被検体表面上の移動)に対して従来のようなスキャナ側の制約(リジッドなレールの制限など)がなく、プローブ21の操作性がよいため、確実にプローブ21の位置情報を採取することができる。また、エルボ管などの形状変化のある被検体にも対応することができる。また、従来のようなスキャナの取り付け作業が実質的に不要となるため、従来のようなスキャナの取り付け場所の制限もなく、更に原子力発電所においては被爆低減が可能となる。また、従来のように発信機と受信機の間に無意識に障害物が入ってプローブ位置の誤検出を招くということもない。
また、本参考例1の超音波探傷装置によれば、マウススキャナ22には被検体(配管28)の基準軸方向に対するマウススキャナ22の回転角を検出するジャイロ41を備え、エンコーダ出力装置24ではジャイロ41の回転角検出信号に基づいて、プローブ21の位置をマウススキャナ22の座標軸上の値から被検体(配管28)の座標軸上の値に変換するため、手動走査において探傷員が無意識のうちにマウススキャナ22を回転させてしまっても、常に被検体(配管28)の座標軸上の値を得ることができる。例えば配管28が被検体である場合には配管28の中心軸方向などに対応したプローブ21の位置を常に得ることができる。
<参考例2>
パーソナルコンピュータの入力装置として用いられるマウスは机上での使用を想定しているため、ボールは自重により机との間に摩擦力を生じて回転するものであっても特に問題はない。しかし、マウススキャナ22の場合には、例えば配管28の下面側を検査しようとするときにはマウススキャナ22(検査部20)を裏返さなければならないため、ボール31がマウススキャナ22内に落ち込んでボール31と配管28との間に摩擦力が発生せずにボール31が回転しなくなってしまう。また、被検体表面に塗布されるグリセリンや水などの接触媒質の影響などによる摩擦力の低下によってボール31の回転が不安定(回転しないなど)になることもある。そこで、詳細は後述するが、このような問題点を解決するために本参考例2ではマウススキャナ22に押圧支持手段を備えている。
図2は本発明の参考例2に係る超音波探傷装置の要部構成図(透視図)である。同図に示すように本参考例2の超音波探傷装置では、マウススキャナ22に押圧支持手段としてのボールプランジャ51が設けられている。ボールプランジャ51は周知のように回転自在のボール53とばね52とを有するものである。そして、このボールプランジャ51のばね52のばね力がボール53を介してボール31に付与され、且つ、ボール53はボール31とともに回転可能となっている。即ち、ボール31はボールプランジャ51によって回転可能に支持され且つ被検体(配管28)の表面に押圧される。
なお、本超音波探傷装置のその他の構成については上記参考例1(図1参照)の超音波探傷装置と同様であるため、ここでの詳細な説明及び図示は省略する。
以上のように本参考例2の超音波探傷装置によれば、マウススキャナ22はボール31が、ボールプランジャ51によって回転可能に支持され且つ被検体(配管28)の表面に押圧される構成であるため、被検体(配管28)の下面側を探傷検査する場合でも、ボール31がマウススキャナ22内に落ち込まずに被検体(配管28)の表面に接して回転することができるため、プローブ21の位置を検出することができる。また、接触媒質の影響などによる摩擦力の低下によってボール31の回転が不安定(回転しないなど)になることも防止することができるため、確実にプローブ21の位置を検出することができる。
<参考例3>
図3(a)は本発明の参考例3に係る超音波探傷装置の構成図、図3(b)は前記超音波探傷装置の検査部の構成図(透視図)である。
これらの図に示すように、本参考例3の超音波探傷装置は検査部61と、超音波探傷器68とを備えた構成となっている。検査部61は超音波探傷用のプローブ(超音波探触子)62にマウススキャナ63を結合した構成となっており、プローブ62は電気配線64を介して超音波探傷器68に電気的に接続され、マウススキャナ63も電気配線65を介して超音波探傷器68に電気的に接続されている。
プローブ62は圧電素子である振動子66を備えており、超音波探傷器68から電気配線64を介して振動子66に電圧が印加されて振動子66が振動することにより超音波を発生して被検体(図示例では配管67)へ出射するとともに被検体(配管67)からの前記超音波の反射エコーを振動子66で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線64を介して超音波探傷器68へ送出する。
超音波探傷器68はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ62から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器68では探傷データに基づいて被検体(配管67)に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
プローブ62は探傷員が手に持って被検体(配管67)の表面上を移動させる所謂手動式のものである。そして、マウススキャナ63はプローブ62とともに被検体(配管67)の表面上を移動することにより、被検体(配管67)上のプローブ62の位置を検出する。マウススキャナ63はパーソナルコンピュータの入力装置として一般に利用されている光学式マウスと同様の構成のものであり、図3(b)に示すように撮像手段としての撮像装置71(例えばイメージセンサを備えたものなど)と、画像処理手段としての画像処理装置72(例えばDSP(Digital Signal Processor)と呼ばれる専用のプロセッサを備えたものなど)とを有する光学式の構成となっている。
従って、例えばプローブ62とともにマウススキャナ63が、矢印C方向、矢印D方向又は矢印E方向に被検体(配管67)表面上を移動すると、撮像装置71が被検体(配管67)の表面を撮像し、画像処理装置72がこの撮像装置71で撮像した画像を処理して被検体(配管67)の表面上のプローブ62の位置(例えば振動子27の中央位置)を求める。この場合、探傷員が検査部61(プローブ62及びマウススキャナ63)を被検体(配管67)の表面上に最初に置いた位置を基準位置として設定して、探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)で画像処理装置72に入力しておく。そして、画像処理装置72では当該基準位置からのプローブ62の移動距離を撮像装置71で撮像した画像に基づいて求めることにより、プローブ62の位置を求め、超音波探傷器68へ送出する。従って、超音波探傷器687では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。なお、図示例では画像処理装置72をマウススキャナ63に設けているが、これに限定するものではなく、画像処理装置72をマウススキャナ63とは別に設けてもよい。
以上のように本参考例3の超音波探傷装置によれば、プローブ位置情報を採取する手段が、プローブ62に結合され、撮像装置71を有する光学式のものであってプローブ62が被検体(配管67)の表面上を移動するときにプローブ62とともに移動して撮像装置71が被検体(配管67)の表面を撮像する構成のマウススキャナ63と、マウススキャナ63に設けられ又はマウススキャナ63とは別に設けられ、撮像装置71で撮像した画像を処理して被検体(配管67)の表面上のプローブ62の位置を求める画像処理装置72とを有する構成であることから、プローブ62の走査(被検体表面上の移動)に対して従来のようなスキャナ側の制約(リジッドなレールの制限など)がなく、プローブ62の操作性がよいため、確実にプローブ62の位置情報を採取することができる。また、エルボ管などの形状変化のある被検体にも対応することができる。また、従来のようなスキャナの取り付け作業が実質的に不要となるため、従来のようなスキャナの取り付け場所の制限もなく、更に原子力発電所においては被爆低減が可能となる。また、従来のように発信機と受信機の間に無意識に障害物が入ってプローブ位置の誤検出を招くということもない。そして、更には光学式のマウススキャナ63はボール式のマウススキャナ22に比べて、接触媒質の影響などによりボール31やローラ32,33の回転が不安定(回転しないなど)になることもないため、より確実にプローブ62の位置を検出することができる。
なお、光学式のマウススキャナ63を用いた場合にも、上記参考例1と同様にマウススキャナ63には被検体(配管67)の基準軸方向に対するマウススキャナ63の回転角を検出する回転角センサ(ジャイロ)を備え、画像処理装置72では回転角センサ(ジャイロ)の回転角検出信号に基づいて、プローブ62の位置をマウススキャナ63の座標軸上の値から被検体(配管67)の座標軸上の値に変換するようにすれば、手動走査において探傷員が無意識のうちにマウススキャナ63を回転させてしまっても、常に被検体(配管67)の座標軸上の値を得ることができる。例えば配管67が被検体である場合には配管67の中心軸方向などに対応したプローブ62の位置を常に得ることができる。
<参考例4>
図4(a)は本発明の参考例4に係る超音波探傷装置の構成図、図4(b)は図4(a)のF−F線矢視断面図である。
これらの図に示すように、本参考例4の超音波探傷装置はプローブ83と、第1ワイヤエンコーダ81と、第2ワイヤエンコーダ82と、超音波探傷器84と、位置検出処理手段としてのエンコーダ出力装置85とを備えた構成となっている。プローブ83は電気配線88を介して超音波探傷器84に電気的に接続され、第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82はそれぞれ電気配線89,90を介してエンコーダ出力装置85に電気的に接続されている。
プローブ83は圧電素子である振動子91を備えており、超音波探傷器84から電気配線88を介して振動子91に電圧が印加されて振動子91が振動することにより超音波を発生して被検体(図示例では平板92)へ出射するとともに被検体(平板92)からの前記超音波の反射エコーを振動子91で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線88を介して超音波探傷器84へ送出する。
超音波探傷器84はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ83から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器84では探傷データに基づいて被検体(平板92)に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
プローブ83は探傷員が手に持って被検体(平板92)の表面上を移動させる所謂手動式のものである。第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82は周知のワイヤエンコーダであり、それぞれのワイヤ86,87が伸縮したとき(繰り出されたとき又は巻き取られたとき)のワイヤ86,87の伸縮長さをエンコーダで検出することができる構成のものである。そして、第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82はそれぞれのワイヤ86,87が何れもプローブ83に接続されている。
エンコーダ出力装置84はマイクロコンピュータなどから構成されており、第1ワイヤエンコーダ81と第2ワイヤエンコーダ82から送られてくる検出信号に基づいて被検体(平板92)の表面上のプローブ83の位置(例えば振動子91の中央位置)を2次元平面上の位置として算出し、このプローブ83の位置信号を超音波探傷器84へ送出する。従って、超音波探傷器84では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。なお、この場合、第1ワイヤエンコーダ81と第2ワイヤエンコーダ82の設置位置及び距離Lは既知のデータとしてエンコーダ出力装置85へ予め入力しておく。
詳述すると、探傷検査を行う際には、まず、第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82を、被検体(平板92)の表面上に磁石や吸盤などの適宜の取り付け手段によって取り付ける。そして、第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82の被検体(平板92)の表面上の設置位置や両ワイヤエンコーダ81,82の距離Lをエンコーダ出力装置84に探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)で入力しておく。なお、第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82の設置場所は、必ずしも被検体(平板92)の表面に限定するものではなく、被検体(平板92)との位置関係が明確な場所であれば被検体(平板92)の表面以外の場所に設置することも可能である。
第1ワイヤエンコーダ81及び第2ワイヤエンコーダ82を被検体(平板92)の表面などに設置した後、探傷員がプローブ83を手に取って移動させると、このプローブ83の移動にともなってワイヤ86,87が伸縮する(繰り出される又は巻き取られる)。その結果、第1ワイヤエンコーダ81からはワイヤ86の伸縮長さの検出信号が電気配線89を介してエンコーダ出力装置85へ送出され、第2ワイヤエンコーダ82からはワイヤ87の伸縮長さの検出信号が電気配線90を介してエンコーダ出力装置85へ送出される。
そして、エンコーダ出力装置85では、第1ワイヤエンコーダ81と第2ワイヤエンコーダ82から送られてくる検出信号と、両ワイヤエンコーダ81,82の距離Lや設置位置とに基づいて被検体(平板92)表面上のプローブ83の位置(例えば振動子91の中央位置)を、2次元平面上の位置として算出する。つまり、ワイヤ86,87の長さと両ワイヤエンコーダ81,82の距離Lとが分かれば、両ワイヤエンコーダ81,82に対するプローブ83の相対位置を算出することができる。更に、両ワイヤエンコーダ81,82の設置位置が分かれば、この設置位置を基準位置としてプローブ83の被検体(平板92)の表面上のプローブ83の位置(2次元平面上の位置)を算出することができる。
以上のように本参考例4の超音波探傷装置によれば、プローブ位置情報を採取する手段が、プローブ83にワイヤ86が接続され、このワイヤ86がプローブ83の被検体(平板92)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第1ワイヤエンコーダ81と、プローブ83にワイヤ87が接続され、このワイヤ87がプローブ83の被検体(平板92)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第2ワイヤエンコーダ82と、第1ワイヤエンコーダ81から出力される検出信号及び第2ワイヤエンコーダ82から出力される検出信号とに基づいて、被検体(平板92)の表面上のプローブ83の位置を2次元平面上の位置として求めるエンコーダ出力装置85とを有する構成であることから、プローブ83の走査(被検体表面上の移動)に対して従来のようなスキャナ側の制約(リジッドなレールの制限など)がなく、プローブ83の操作性がよいため、確実にプローブ83の位置情報を採取することができる。また、エルボ管などの形状変化のある被検体にも対応することができる。また、従来に比べて取り付け作業も容易であり、取り付け場所の制限もなく、原子力発電所においては被爆低減が可能となる。また、ワイヤエンコーダ81,82は有線であるため、従来のように発信機と受信機の間に無意識に障害物が入ってプローブ位置の誤検出を招くということもない。更に、空中超音波では分解能を挙げるために周波数を上げると指向性が高くなってプローブ位置の検出範囲が狭くなってしまうが、ワイヤエンコーダ81,82を用いることにより、指向性の問題はなく、ワイヤ86,87の届く範囲でプローブ位置の検出が可能である。
しかしながら、本参考例4の超音波探傷装置は平板92の表面ような2次元平面上の探傷検査(プローブ位置検出)には有効であるが、配管の表面のような3次元曲面(3次元空間)上の探傷検査(プローブ位置検出)には適用困難である。そこで、次の実施の形態例と参考例5では3次元曲面(3次元空間)上の探傷検査(プローブ位置検出)に適用可能な超音波探傷装置について説明する。
<実施の形態例>
図5は本発明の実施の形態例に係る超音波探傷装置の構成図である。同図に示すように、本実施の形態例の超音波探傷装置はプローブ101と、第1ワイヤエンコーダ102と、第2ワイヤエンコーダ103と、超音波探傷器104と、位置検出処理手段としてのエンコーダ出力装置105とを備えた構成となっている。プローブ101は電気配線106を介して超音波探傷器104に電気的に接続され、第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103はそれぞれ電気配線107,108を介してエンコーダ出力装置105に電気的に接続されている。
プローブ101は圧電素子である振動子109を備えており、超音波探傷器104から電気配線106を介して振動子109に電圧が印加されて振動子109が振動することにより超音波を発生して被検体(図示例では配管110)へ出射するとともに被検体(配管110)からの前記超音波の反射エコーを振動子109で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線106を介して超音波探傷器104へ送出する。
超音波探傷器104はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ101から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器104では探傷データに基づいて被検体(配管110)に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
プローブ101は探傷員が手に持って被検体(配管110)の表面上を移動させる所謂手動式のものである。第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103は周知のワイヤエンコーダであり、それぞれのワイヤ111,112が伸縮したとき(繰り出されたとき又は巻き取られたとき)のワイヤ111,112の伸縮長さをエンコーダで検出することができる構成のものである。第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103のワイヤ111,112は何れもプローブ101に接続されている。
そして、エンコーダ出力装置105はマイクロコンピュータなどから構成されており、第1ワイヤエンコーダ81と第2ワイヤエンコーダ82から送られてくる検出信号と、予め設定(入力)された第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103の検出値と被検体(配管110)の表面上の位置との関係を表すデータ関数とに基づいて、被検体(配管110)の表面上の前記プローブの位置を、3次元空間(3次元曲面)上の位置として求め、超音波探傷器104へ送出する。従って、超音波探傷器104では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。
通常探傷検査を行う配管のサイズは既知であるため、予め2つのワイヤエンコーダ102,103の検出値と配管サイズごとの配管表面(曲面)上の位置との関係を表すデータ関数を求めておくことができる。従って、例えば配管110の探傷検査時には当該配管110のサイズに応じたデータ関数を参照することによって、配管110の表面(3次元曲面)上のプローブ101の位置を算出することができる。なお、この場合の被検体としては配管に限らず、予め2つのワイヤエンコーダ102,103の検出値と被検体の表面(曲面)上の位置との関係を表すデータ関数を求めておくことができるものであればよい。また、この場合にも、第1ワイヤエンコーダ102と第2ワイヤエンコーダ103の設置位置及び距離は既知のデータとしてエンコーダ出力装置105へ予め入力しておく。
詳述すると、探傷検査を行う際には、まず、第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103を、被検体(配管110)の表面上に磁石や吸盤などの適宜の取り付け手段によって取り付ける。そして、第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103の被検体(配管110)の表面上の設置位置や両ワイヤエンコーダ102,103の距離を探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)でエンコーダ出力装置105に入力しておく。なお、第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ104の設置場所は、必ずしも被検体(配管110)の表面に限定するものではなく、被検体(配管110)との位置関係が明確な場所であれば被検体(配管110)の表面以外の場所に設置することも可能である。
第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103を被検体(配管110)の表面などに設置した後、探傷員がプローブ101を手に取って移動させると、このプローブ101の移動にともなってワイヤ111,112が伸縮する(繰り出される又は巻き取られる)。その結果、第1ワイヤエンコーダ102からはワイヤ111の伸縮長さの検出信号が電気配線107を介してエンコーダ出力装置105へ送出され、第2ワイヤエンコーダ103からはワイヤ112の伸縮長さの検出信号が電気配線108を介してエンコーダ出力装置105へ送出される。
そして、エンコーダ出力装置85では、第1ワイヤエンコーダ81と第2ワイヤエンコーダ82から送られてくる検出信号と、予め設定された第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103の検出値と被検体(配管110)の表面上の位置との関係を表すデータ関数と、両ワイヤエンコーダ81,82の距離や設置位置とに基づいて被検体(配管110)表面上のプローブ101の位置(例えば振動子91の中央位置)を、3次元空間(3次元曲面)上の位置として算出する。つまり、ワイヤ111,112の長さと両ワイヤエンコーダ102,103の距離とが分かれば、前記データ関数を参照して両ワイヤエンコーダ102,103に対するプローブ101の相対位置を算出することができる。更に、両ワイヤエンコーダ102,103の設置位置が分かれば、この設置位置を基準位置としてプローブ101の被検体(配管110)表面上のプローブ101の位置を、3次元空間(3次元曲面)上の位置として算出することができる。
以上のように本実施の形態例の超音波探傷装置によれば、プローブ位置情報を採取する手段が、プローブ101にワイヤ111が接続され、このワイヤ111がプローブ101の被検体(配管110)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第1ワイヤエンコーダ102と、プローブ101にワイヤ112が接続され、このワイヤ112がプローブ101の被検体(配管110)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第2ワイヤエンコーダ103と、第1ワイヤエンコーダ102から出力される検出信号及び第2ワイヤエンコーダ103から出力される検出信号と、予め設定された第1ワイヤエンコーダ102及び第2ワイヤエンコーダ103の検出値と被検体(配管110)の表面上の位置との関係を表すデータ関数とに基づいて、被検体(配管110)の表面上のプローブ101の位置を3次元空間上の位置として求めるエンコーダ出力装置105とを有する構成であることから、プローブ101の走査(被検体表面上の移動)に対して従来のようなスキャナ側の制約(リジッドなレールの制限など)がなく、プローブ101の操作性がよいため、確実にプローブ101の位置情報を採取することができる。また、エルボ管などの形状変化のある被検体にも対応することができる。また、従来に比べて取り付け作業も容易であり、取り付け場所の制限もなく、原子力発電所においては被爆低減が可能となる。また、ワイヤエンコーダ102,103は有線であるため、従来のように発信機と受信機の間に無意識に障害物が入ってプローブ位置の誤検出を招くということもない。また、空中超音波では分解能を挙げるために周波数を上げると指向性が高くなってプローブ位置の検出範囲が狭くなってしまうが、ワイヤエンコーダ102,103を用いることにより、指向性の問題はなく、ワイヤ111,112の届く範囲でプローブ位置の検出が可能である。そして、更には2つのワイヤエンコーダ102,103を用いるだけで、配管110の表面のような3次元曲面(3次元空間)上のプローブ101の位置を検出することができる。
<参考例5>
図6(a)は本発明の参考例5に係る超音波探傷装置の構成図、図6(b)は図6(a)のG−G線矢視断面図である。
これらの図に示すように、本参考例5の超音波探傷装置はプローブ121と、第1ワイヤエンコーダ122と、第2ワイヤエンコーダ123と、第3ワイヤエンコーダ124と、超音波探傷器125と、位置検出処理手段としてのエンコーダ出力装置126とを備えた構成となっている。プローブ121は電気配線130を介して超音波探傷器125に電気的に接続され、第1ワイヤエンコーダ122、第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124はそれぞれ電気配線134,135,136を介してエンコーダ出力装置126に電気的に接続されている。
プローブ121は圧電素子である振動子137を備えており、超音波探傷器125から電気配線130を介して振動子137に電圧が印加されて振動子137が振動することにより超音波を発生して被検体(図示例では配管138)へ出射するとともに被検体(配管138)からの前記超音波の反射エコーを振動子137で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線130を介して超音波探傷器125へ送出する。
超音波探傷器125はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ121から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器125では探傷データに基づいて被検体(配管138)に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
プローブ121は探傷員が手に持って被検体(配管138)の表面上を移動させる所謂手動式のものである。第1ワイヤエンコーダ122、第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124は周知のワイヤエンコーダであり、それぞれのワイヤ127,128,129が伸縮したとき(繰り出されたとき又は巻き取られたとき)のワイヤ127,128,129の伸縮長さをエンコーダで検出することができる構成のものである。そして、第1ワイヤエンコーダ122,第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124はそれぞれのワイヤ127,128,129が何れもプローブ121に接続されている。
エンコーダ出力装置126はマイクロコンピュータなどから構成されており、第1ワイヤエンコーダ122と第2ワイヤエンコーダ123と第3ワイヤエンコーダ124から送られてくる検出信号に基づいて被検体(配管138)の表面(曲面)上のプローブ121の位置(例えば振動子121の中央位置)を3次元空間(3次元曲面)上の位置として算出し、このプローブ121の位置信号を超音波探傷器125へ送出する。従って、超音波探傷器125では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。なお、この場合、第1ワイヤエンコーダ122と第2ワイヤエンコーダ123と第3ワイヤエンコーダ124の設置位置及び相互の距離は既知のデータとしてエンコーダ出力装置126へ予め入力しておく。
詳述すると、探傷検査を行う際には、まず、第1ワイヤエンコーダ122,第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124を、被検体(配管138)の表面上に磁石や吸盤などの適宜の取り付け手段によって取り付ける。そして、第1ワイヤエンコーダ122、第2のワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124の被検体(配管138)の表面上の設置位置や相互の距離を探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)でエンコーダ出力装置126に入力しておく。なお、第1ワイヤエンコーダ127、第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124の設置場所は、必ずしも被検体(配管138)の表面に限定するものではなく、被検体(配管138)との位置関係が明確な場所であれば被検体(配管138)の表面以外の場所に設置することも可能である。
第1ワイヤエンコーダ122、第2ワイヤエンコーダ123及び第3ワイヤエンコーダ124を被検体(配管138)の表面などに設置した後、探傷員がプローブ121を手に取って移動させると、このプローブ121の移動にともなってワイヤ127,128,129が伸縮する(繰り出される又は巻き取られる)。その結果、第1ワイヤエンコーダ122からはワイヤ127の伸縮長さの検出信号が電気配線134を介してエンコーダ出力装置126へ送出され、第2ワイヤエンコーダ123からはワイヤ128の伸縮長さの検出信号が電気配線135を介してエンコーダ出力装置126へ送出され、第3ワイヤエンコーダ124からはワイヤ129の伸縮長さの検出信号が電気配線136を介してエンコーダ出力装置126へ送出される。
そして、エンコーダ出力装置126では、第1ワイヤエンコーダ122と第2ワイヤエンコーダ123と第3ワイヤエンコーダ124から送られてくる検出信号と、これらのワイヤエンコーダ122,123,124の相互の距離や設置位置とに基づいて被検体(配管138)の表面上のプローブ121の位置(例えば振動子137の中央位置)を、3次元空間(3次元曲面)上の位置として算出する。つまり、ワイヤ127,128,129の長さとワイヤエンコーダ122,123,124の相互の距離とが分かれば、ワイヤエンコーダ122,123,124に対するプローブ121の相対位置(3次元空間上の相対位置)を算出することができる。更に、ワイヤエンコーダ122,123,124の設置位置が分かれば、この設置位置を基準位置としてプローブ121の被検体(配管138)の表面上のプローブ83の位置、即ち、3次元空間(3次元曲面)上の位置を算出することができる。
以上のように本参考例5の超音波探傷装置によれば、プローブ位置情報を採取する手段が、プローブ121にワイヤ127が接続され、このワイヤ127がプローブ121の被検体(配管138)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第1ワイヤエンコーダ122と、プローブ121にワイヤ128が接続され、このワイヤ128がプローブ121の被検体(配管138)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第2ワイヤエンコーダ123と、プローブ121にワイヤ129が接続され、このワイヤ129がプローブ121の被検体(配管138)の表面上の移動にともなって伸縮することにより検出信号を出力する第3ワイヤエンコーダ124と、第1ワイヤエンコーダ122から出力される検出信号、第2ワイヤエンコーダ123から出力される検出信号及び第3ワイヤエンコーダ124から出力される検出信号に基づいて、被検体(配管138)の表面上のプローブ121の位置を3次元空間上の位置として求めるエンコーダ出力装置126とを有する構成であることから、プローブ121の走査(被検体表面上の移動)に対して従来のようなスキャナ側の制約(リジッドなレールの制限など)がなく、プローブ121の操作性がよいため、確実にプローブ121の位置情報を採取することができる。また、エルボ管などの形状変化のある被検体にも対応することができる。また、従来に比べて取り付け作業も容易であり、取り付け場所の制限もなく、原子力発電所においては被爆低減が可能となる。また、ワイヤエンコーダ122,123,124は有線であるため、従来のように発信機と受信機の間に無意識に障害物が入ってプローブ位置の誤検出を招くということもない。また、空中超音波では分解能を挙げるために周波数を上げると指向性が高くなってプローブ位置の検出範囲が狭くなってしまうが、ワイヤエンコーダ122,123,124を用いることにより、指向性の問題はなく、ワイヤ127,128,129の届く範囲でプローブ位置の検出が可能である。そして、更には3つのワイヤエンコーダ102,103を用いることにより、配管110の表面のような3次元曲面(3次元空間)上のプローブ101の位置を検出することができる。
<参考例6>
図7(a)は本発明の参考例6に係る超音波探傷装置の構成図、図7(b)は前記超音波探傷装置のプローブ駆動機構部の構成を示す拡大図(透視図)である。
これらの図に示すように、本参考例6の超音波探傷装置はプローブ141と、プローブ駆動装置142と、超音波探傷器143と、エンコーダ出力装置144とを備えた構成となっている。
プローブ駆動装置142はプローブ駆動機構145と、プローブ駆動源としての電動モータ146,147と、動力伝達手段としてのユニバーサルジョイント148,149とを有してなるものである。プローブ駆動機構145はケース150内に設けられてケース50に回転自在に支持されたピニオン151,152と、ピニオン151に噛合し且つ長手方向に移動自在に支持されたラック153と、ピニオン152に噛合し且つ平板などの被検体の表面に磁石や吸盤などの適宜の取り付け手段によって取り付けられるラック154とを有してなるものである。ラック153とラック154は互いの長手方向が直交するように設けられている。なお、ラック154を被検体の配管に取り付ける場合には配管の外周に巻き付けるようにしてもよい。プローブ141は第1ラック153の先端に取り付けられている。
かかるプローブ駆動機構145では、ピニオン151が回転すると、プローブ141はラック153とともにラック153の長手方向(矢印H方向)に移動し、ピニオン152が回転すると、プローブ141はラック153、ピニオン151、ケース150及びピニオン152とともにラック154の長手方向(矢印I方向)に移動する。
そして、電動モータ146,147は被検体から離れた位置に配置されており、ユニバーサルジョイント148,149を介してケース15内のピニオン151,152にそれぞれ接続されている。従って、ピニオン151はユニバーサルジョイント148を介して伝達される電動モータ146の駆動力(回転力)によって回転駆動され、ピニオン152はユニバーサルジョイント149を介して伝達される電動モータ147の駆動力(回転力)によって回転駆動される。なお、この場合、動力伝達手段としてはユニバーサルジョイントに限定するものでなく、例えばワイヤなどでもよい。また、プローブ駆動機構の構成としては図示例のようなラック&ピニオンの構成に限定するものではなく、ボールネジを用いた構成やレール上を車輪が転動する構成など適宜の構成を適用することができる。
また、電動モータ146,147(ピニオン151,152)の回転はエンコーダ155,156によってそれぞれ検出されるようになっている。エンコーダ155,156はそれぞれ電気配線157,158を介してエンコーダ出力装置144に電気的に接続されている。プローブ141は電気配線159を介して超音波探傷器143に電気的に接続されている。
プローブ141は圧電素子である振動子160を備えており、超音波探傷器143から電気配線159を介して振動子160に電圧が印加されて振動子160が振動することにより超音波を発生して被検体へ出射するとともに被検体からの前記超音波の反射エコーを振動子160で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線159を介して超音波探傷器143へ送出する。
超音波探傷器143はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ141から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器143では探傷データに基づいて被検体に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
電動モータ146,147でピニオン151,152を回転駆動してプローブ141を移動させると、エンコーダ155,156では、このときの電動モータ146,147(ピニオン151,152)の回転を検出し、これらの回転検出信号を電気配線157,158を介してエンコーダ出力装置144へ送出する。エンコーダ出力装置144はマイクロコンピュータなどから構成されており、エンコーダ155,156から送られてくる回転検出信号に基づいて被検体の表面上のプローブ141の位置(例えば振動子160の中央位置)を算出する。この場合、探傷員がプローブ駆動機構145を被検体に取り付けたときの最初のプローブ141の位置を基準位置として設定してエンコーダ出力装置144に探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)で入力しておく。そして、エンコーダ出力装置144では当該基準位置からのプローブ141の移動距離をエンコーダ155,156からの回転検出信号に基づいて算出することにより、被検体表面上のプローブ21の位置を求める。このプローブ141の位置信号は超音波探傷器143へ送出される。従って、超音波探傷器143では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。
以上のように本参考例6の超音波探傷装置によれば、プローブ駆動装置142は、被検体から離れた位置に配置される電動モータ146,147の回転駆動力を、ユニバーサルジョイント148,149などの動力伝達手段を介して、前記被検体に装着されるプローブ駆動機構145へと伝達する構成であるため、装置の小型化が図られ、適用範囲が広がる。また、電動モータ146,147をプローブ141から遠ざけることができるため、ノイズの影響を受けにくい。
<参考例7>
図8(a)は本発明の参考例7に係る超音波探傷装置の構成図、図8(b)は前記超音波探傷装置のプローブ駆動機構部の構成を示す拡大図(透視図)である。
これらの図に示すように、本参考例7の超音波探傷装置はプローブ171と、プローブ駆動装置172と、超音波探傷器173と、エンコーダ出力装置174とを備えた構成となっている。
プローブ駆動装置172はプローブ駆動機構175と、プローブ駆動源としてのエアーモータ176,177とを有してなるものである。プローブ駆動機構175はケース178内に設けられてケース178に回転自在に支持された2ピニオン179,180と、ピニオン179に噛合し且つ長手方向に移動自在に支持されたラック181と、ピニオン180に噛合し且つ平板などの被検体の表面に磁石や吸盤などの適宜の取り付け手段によって取り付けられるラック182とを有してなるものである。ラック181とラック182は互いの長手方向が直交するように設けられている。なお、ラック182を配管(被検体)に取り付ける場合には配管の外周に巻き付けるようにしてもよい。プローブ171はラック181の先端に取り付けられている。そして、ピニオン181はケース178内に設けたエアーモータ176によって回転駆動され、ピニオン182はケース178内に設けたエアーモータ177によって回転駆動されるようになっている。また、図示は省略するが、エアーモータ176,177はエア供給ホースを介して圧縮機から供給される高圧空気(圧縮空気)によって回転駆動されるようになっている。
かかるプローブ駆動機構175では、エアーモータ176によってピニオン179が回転駆動されると、プローブ171はラック181とともにラック181の長手方向(矢印J方向)に移動し、エアーモータ177によってピニオン180が回転駆動されると、プローブ171はラック181、ピニオン179、エアーモータ176、ケース178、ピニオン180及びエアーモータ177とともにラック182の長手方向(矢印K方向)に移動する。
また、エアーモータ176,177(ピニオン181,182)の回転はエンコーダ183,184によってそれぞれ検出されるようになっている。エンコーダ183,184はそれぞれ電気配線185,186を介してエンコーダ出力装置174に電気的に接続されている。プローブ171は電気配線187を介して超音波探傷器173に電気的に接続されている。
エアーモータ176,177でピニオン181,182を回転駆動してプローブ171を移動させると、エンコーダ183,184では、このときのエアーモータ176,177(ピニオン181,182)の回転を検出し、これらの回転検出信号を電気配線185,186を介してエンコーダ出力装置174へ送出する。エンコーダ出力装置174はマイクロコンピュータなどから構成されており、エンコーダ183,184から送られてくる回転検出信号に基づいて被検体の表面上のプローブ171の位置(例えば振動子188の中央位置)を算出する。この場合、探傷員がプローブ駆動装置172を被検体に取り付けたときの最初のプローブ171の位置を基準位置として設定してエンコーダ出力装置174に探傷員が図示しない入力装置(キーボードなど)で入力しておく。そして、エンコーダ出力装置174では当該基準位置からのプローブ171の移動距離をエンコーダ183,184からの回転検出信号に基づいて算出することにより、被検体表面上のプローブ71の位置を求める。このプローブ171の位置信号は超音波探傷器173へ送出される。
プローブ171は圧電素子である振動子188を備えており、超音波探傷器173から電気配線187を介して振動子188に電圧が印加されて振動子188が振動することにより超音波を発生して被検体へ出射するとともに被検体からの前記超音波の反射エコーを振動子188で検知し、この検知信号(探傷信号)を電気配線187を介して超音波探傷器143へ送出する。
超音波探傷器173はマイクロコンピュータなどから構成されており、プローブ171から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、超音波探傷器173では探傷データに基づいて被検体に傷があることを検知すると、その傷の大きさや深さなどを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。また、前述のようにエンコーダ出力装置174からはプローブ171の位置信号も送られてくるため、超音波探傷器173では探傷データと同時にプローブ位置情報も採取することができる。
以上のように本参考例7の超音波探傷装置では、プローブ駆動装置172のプローブ駆動源を、エアーモータ176,177としたことにより、電気を使わないため、ノイズが発生しない。また、エアーモータ176,177は電動モータよりも大きなトルクが得られるため、プローブ171の走査が容易になる。
なお、プローブ駆動機構の構成としては図示例のようなラック&ピニオンの構成に限定するものではなく、ボールネジを用いた構成やレール上を車輪が転動する構成など適宜の構成を適用することができる。
また、上記参考例6と同様にエアーモータ176,177を被検体から離れた位置に配置し、このエアーモータ176,177の回転駆動力を、ユニバーサルジョイントなどの動力伝達手段を介して、前記被検体に装着されるプローブ駆動機構へと伝達する構成とすれば、装置の小型化が図られ、適用範囲が広がる。
また、本発明は上記のように超音波探傷装置に適用した場合に特に有用であるが、必ずしもこれに限定するものではなく、渦流探傷装置において、検出コイルを備えた渦流探傷用のプローブの位置を探傷データと同時に採取する場合にも適用することができる。