JP2004226230A - 超音波探傷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波探傷用のプローブの位置及び/又は傾きを正確に検出できる超音波探傷装置を提供する。
【解決手段】超音波探傷用のセンサを備えたプローブ10に固着された発信機11と、この発信機から射出された信号を受信する受信機20と、この受信機20からの信号に基づいてプローブ10の位置を算出する処理装置30とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】超音波探傷用のセンサを備えたプローブ10に固着された発信機11と、この発信機から射出された信号を受信する受信機20と、この受信機20からの信号に基づいてプローブ10の位置を算出する処理装置30とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探傷装置に関し、特に超音波探傷用のセンサを備えたプローブの位置及び傾きを検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラントの配管や容器を超音波を用いて探傷し、以て傷の有無や深さを検出する超音波探傷装置が知られている。この超音波探傷装置を用いた超音波探傷においては、超音波探傷装置からの傷の有無や深さを示す探傷データと同時に、そのプローブの位置を示す位置データを採取することは、検査対象部位の経年変化を調べたり、探傷データを処理することにより傷の有無や深さを検出する際の検出性能を向上させる上で重要である。
【0003】
従来の超音波探傷装置では、プローブの位置の検出は、そのプローブに取り付けられたスキャナと呼ばれる検出装置を用いて行われている。このスキャナとしては、X軸方向だけの走査を行う1軸タイプやX軸及びY軸方向の走査を行う2軸タイプのものが知られている。
【0004】
特許文献1は、2軸タイプの超音波探傷装置を開示している。図9は、公知のその2軸タイプのスキャナの概略的な構成を示す図である。このスキャナは、一般に、プローブ10に取り付けられX軸レール50及びY軸レール51や図示しないガイドケーブル等がエンコーダボックス52に収容されたエンコーダの回転軸(図示しない)に接続され、プローブ10の位置に応じた信号がエンコーダから得られるよう構成されている。
【0005】
しかしながら、上記のように構成されるスキャナでは、プローブにX軸レール及びY軸レールといったレールやガイドケーブル等を取り付ける必要があるので、レールに応じた動きしかできない。そのため、プローブの操作性が悪くなり、プローブの正確な位置情報が得られない。加えて、プローブの倣い性も悪くなり、探傷データ自体に抜けが生じる場合がある。
【0006】
また、手動スキャナを用いて行われる超音波探傷では、多くの場合、プローブを操作する人とスキャナを操作する人の二人がかりで超音波探傷を行う必要があり、手間がかかるという問題がある。更に、エンコーダの回転部をレールや検査対象に押しつけることにより走査が行われるため、グリセリンや水といった接触媒体が回転部に付着すると回転部が空転し、位置情報が得られなかったり、得られた位置情報に誤差が生じるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−54067号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、超音波探傷用のプローブの位置及び/又は傾きを正確に検出できる超音波探傷装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明の第1の態様に係る超音波探傷装置は、上記目的を達成するために、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)に固着された発信機(11)と、この発信機から射出された信号を受信する受信機(20)と、この受信機(20)からの信号に基づいてプローブ(10)の位置を算出する処理装置(30)とを備えている。
【0011】
この場合、受信機(20)は、発信機(11)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、発信機(11)から射出された信号を受信する第2受信機(202)、とから成り、処理装置(30)は、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出するように構成できる。
【0012】
この第1の態様に係る超音波探傷装置によれば、プローブ(10)に取り付けられた発信機(11)から発振される信号に基づいてプローブ(10)の位置を算出するのでプローブ(10)を任意の方向に動かすことができる。従って、プローブ(10)の操作性は良好であり、超音波探傷用のプローブ(10)の位置を正確に検出できる。
【0013】
また、この第1の態様に係る超音波探傷装置は、プローブ(10)に固着されたジャイロ(12)を更に備え、処理装置(30)は、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出し、且つジャイロ(12)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での傾きを算出するように構成できる。この構成によれば、後述するように、2次元平面上での位置及び傾きを検出するために2個の発信機を備える必要がなく、また、2個の発信機を所定距離をおいて配設する必要もないので、プローブを小型化できるという利点がある。
【0014】
また、この超音波探傷装置において、受信機(20)は、発信機(11)から射出された信号を受信する第1〜第n受信機(nは3以上の整数)(201〜20n)から成り、処理装置(30)は、第1〜第n受信機(201〜20n)からの信号の中から選択された2つの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出する処理を、2つの信号の複数の組合せについて行って複数の位置を算出し、該算出された複数の位置を平均することによりプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出するように構成できる。この構成によれば、検出されるプローブ(10)の位置の精度を向上させることができる。
【0015】
また、この超音波探傷装置において、受信機(20)は、可撓性を有する部材に取り付けて構成できる。この構成によれば、曲面を有する被検体に配置することが可能であるので、例えば配管等の超音波検査を行う場合に、その検出精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の第2の態様に係る超音波探傷装置は、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)の第1位置に固着された第1発信機(11a)と、プローブ(10)の第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機(11b)と、第1発信機(11a)及び第2発信機(11b)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、第1発信機(11a)及び第2発信機(11b)から射出された信号を受信する第2受信機(202)と、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置及び2次元平面上での傾きを算出する処理装置(30)とを備えて構成されている。
【0017】
この第2の態様に係る超音波探傷装置によれば、プローブ(10)の2次元位置のみならず、プローブ(10)の2次元傾き(首振り方向)をも検出できるので、探傷用超音波の進行方向を同定できる。その結果、傷の検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様に係る超音波探傷装置は、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)の第1位置に固着された第1発信機(11a)と、プローブ(10)の第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機(11b)と、プローブ(10)の第1位置及び第2位置とは異なる第3位置に固着された第3発信機(11c)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第2受信機(202)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第3受信機(203)と、第1受信機(101)からの信号、第2受信機(202)からの信号及び第3受信機(203)からの信号に基づいてプローブ(10)の3次元空間上での位置及び3次元空間上での傾きを算出する処理装置(30)とを備えている。
【0019】
この第3の態様に係る超音波探傷装置によれば、3次元空間において超音波ビームが入射されている方向及びプローブ(10)の走査面の3次元形状を検出できる。従って、被検体における傷の正確な位置を知ることができる。
【0020】
また、上記第1〜第3の態様に係る超音波探傷装置において、処理装置(30)は、受信機(20)から得られる信号を重ね合わせて探傷データを生成するように構成できる。この構成によれば、ランダム走査時の探傷データの抜けを防止して完全な探傷データを得ることができる。
【0021】
更に、上記第1〜第3の態様に係る超音波探傷装置は、ヘッドマウントディスプレイ(2)、を更に備え、処理装置(30)は、受信機(20)から得られる信号に基づいて生成された探傷データを前記ヘッドマウントディスプレイ(2)に表示させるように構成できる。この構成によれば、超音波探傷時に未探傷位置を確認しながら探傷を実施できるので、抜けのない超音波探傷が可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置は、1つの発信機と2つの受信機を用いてプローブの2次元平面上での位置(以下、「2次元位置」と略記する)を検出する。
【0024】
この超音波探傷装置は、図1に示すように、プローブ10、発信機11、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。
【0025】
プローブ10は、超音波を発生する超音波発生器及びこの超音波発生器から射出された超音波のエコーを受信する受信センサ(何れも図示は省略する)を備えている。このプローブ10は、処理装置30からの制御に応答して超音波発生器からの超音波の発生を開始し、この超音波のエコーを受信した受信センサから送られてくる探傷信号を処理装置30に送る。
【0026】
発信機11は、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10に固着されている。この発信機11は、処理装置30からの制御によって超音波を発生する。なお、発信機11としては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。
【0027】
第1受信機201は、発信機11で発生された超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した超音波に応じた第1信号を生成し、処理装置30に送る。同様に、第2受信機202は、発信機11で発生された超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した超音波に応じた第2信号を生成し、処理装置30に送る。
【0028】
第1受信機201及び第2受信機202は所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、発信機11からの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201及び第2受信機202は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。なお、発信機11として、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機が使用される場合は、受信機201及び202として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0029】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0030】
また、処理装置30は、第1受信機201からの第1信号及び第2受信機202からの第2信号に基づいてプローブ10の2次元位置を検出(同定)する。より具体的には、発信機11で超音波が発生されてから第1受信機201から第1信号が得られるまでの時間、発信機11で超音波が発生されてから第2受信機202から第2信号が得られるまでの時間、及びこれらの時間差に基づいて、第1受信機201及び第2受信機202からの距離及び方向が求められ、以てプローブ10の2次元位置が算出される。この算出された位置を表す位置情報は上記探傷データに対応付けられて表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0031】
以上説明したように、この実施の形態1に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10に機械的制約を与えることなくプローブ10の位置を検出できる。また、従来の超音波探傷装置のように、エンコーダを使用しないので、接触媒質等によるエンコーダの回転部の空転も発生しない。従って、超音波探傷における位置決め精度が向上する。
【0032】
なお、上述した実施の形態1では、プローブ10に発信機11を取り付けるように構成したが、プローブ10に受信機を取り付け、第1受信機201及び第2受信機202の代わりに、第1発信機及び第2発信機2をそれぞれ設けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置は、2つの発信機と2つの受信機を用いて、プローブの2次元位置に加え、プローブの2次元平面上での傾き(以下、「2次元傾き」と略記する)を検出するものである。
【0034】
本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置は、図2に示すように、プローブ10、第1発信機11a、第2発信機11b、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。プローブ10は、実施の形態1のそれと同じである。
【0035】
第1発信機11aは、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の一側面に固着されている。この第1発信機11aは、処理装置30からの制御によって所定周波数の第1超音波を発生する。
【0036】
第2発信機11bは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の他側面に固着されている。この第2発信機11bは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11aで発生される周波数とは異なる周波数の第2超音波を発生する。上記第1発信機11a及び第2発信機11bは、位置検出の精度を高めるために、所定以上の距離をおいて配設される。
【0037】
なお、上記では、第1発信機11aで発生する第1超音波と第2発信機11bで発生する第2超音波とは周波数が異なる構成としたが、位相が異なるように構成することができる。また、第1発信機11a及び第2発信機11bとしては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。この場合、受信機201及び202として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0038】
第1受信機201は、第1発信機11aで発生された第1超音波及び第2発信機11bで発生された第2超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した第1超音波に応じた第11信号及び第2超音波に応じた第21信号を生成し、処理装置30に送る。同様に、第2受信機202は、第1発信機11aで発生された第1超音波及び第2発信機11bで発生された第2超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第12信号及び第2超音波に応じた第22信号を生成し、処理装置30に送る。
【0039】
第1受信機201及び第2受信機202は所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、第1発信機11a及び第2発信機11bからの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201及び第2受信機202は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0040】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0041】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第11信号及び第2受信機202からの第12信号に基づいて第1発信機11aの2次元位置を検出(同定)する。同様に、第1受信機201からの第21信号及び第2受信機202からの第22信号に基づいて第2発信機11bの2次元位置を検出(同定)する。
【0042】
そして、処理装置30は、検出された、第1発信機11aの2次元位置と第2発信機11bの2次元位置とを結ぶ線の中点の位置を、プローブ10の2次元位置として検出する。また、処理装置は、第1発信機11aの2次元位置と第2発信機11bの2次元位置とを結ぶ線に直交する方向を、プローブ10の2次元傾き、即ち首振り方向(回転方向)として検出する。
【0043】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0044】
以上説明したように、この実施の形態2に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10の2次元位置のみならず、プローブ10の2次元傾き(首振り方向)をも検出できるので、探傷用超音波の進行方向を同定できる。その結果、傷の検出精度を向上させることができる。
【0045】
なお、上述した実施の形態2では、プローブ10に第1発信機11a及び第2発信機11bを取り付けるように構成したが、第1受信機201及び第2受信機202の代わりに第1発信機11a及び第2発信機11bを配置し、プローブ10に第1受信機201及び第2受信機202を取り付けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置は、1つの発信機と2つの受信機を用いてプローブの2次元位置を検出し、ジャイロを用いてプローブの2次元傾きを検出するものである。
【0047】
本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置は、図3に示すように、プローブ10、発信機11、ジャイロ12、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。プローブ10、発信機11、第1受信機201及び第2受信機202は、実施の形態1のそれらと同じである。
【0048】
ジャイロ12は、回転角を検出する周知のものである。このジャイロ12で検出された回転角を表す信号は処理装置30に送られる。なお、ジャイロ12と処理装置30との間は、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。
【0049】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0050】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第1信号及び第2受信機202からの第2信号に基づいてプローブ10の位置を検出(同定)する。また、処理装置30は、ジャイロ12からの信号に基づいて、プローブ10の2次元傾き、即ち首振り方向(回転方向)として検出する。
【0051】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0052】
以上説明したように、この実施の形態3に係る超音波探傷装置によれば、プローブの2次元傾きをジャイロ12で検出するように構成したので、実施の形態2に係る超音波探傷装置のように、2個の発信機を備える必要がなく、また、2個の発信機を所定距離をおいて配設する必要もない。その結果、プローブを小型化できるという利点がある。
【0053】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置は、3つの発信機と3つの受信機を用いて、プローブの3次元空間上の位置(以下、「3次元位置」という)及びプローブの3次元空間上での傾き(以下、「3次元傾き」と略記する)を検出するものである。
【0054】
本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置は、図4に示すように、プローブ10、第1発信機11a、第2発信機11b、第3発信機11c、第1受信機201、第2受信機202、第3受信機203及び処理装置30から構成されている。プローブ10は、実施の形態1のそれと同じである。
【0055】
第1発信機11aは、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の一側面に固着されている。この第1発信機11aは、処理装置30からの制御によって所定周波数の第1超音波を発生する。
【0056】
第2発信機11bは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の他側面に固着されている。この第2発信機11bは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11aで発生される周波数とは異なる周波数の第2超音波を発生する。
【0057】
第3発信機11cは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)方向の一側面に固着されている。この第3発信機11cは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11a及び第2発信機11bで発生される周波数とは異なる周波数の第3超音波を発生する。上記第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cは、位置検出の精度を高めるために、相互に所定以上の距離をおいて配設される。
【0058】
なお、上記では、第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cでそれぞれ発生される第1超音波、第2超音波及び第3超音波は、周波数が相互に異なる構成としたが、位相が相互に異なるように構成することができる。また、第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cとしては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。この場合、受信機201、202及び203として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0059】
第1受信機201は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した第1超音波に応じた第11信号、第2超音波に応じた第21信号及び第2超音波に応じた第31信号を生成し、処理装置30に送る。
【0060】
同様に、第2受信機202は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第12信号、第2超音波に応じた第22信号及び第3超音波に応じた第32信号を生成し、処理装置30に送る。
【0061】
同様に、第3受信機203は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第13信号、第2超音波に応じた第23信号及び第3超音波に応じた第33信号を生成し、処理装置30に送る。
【0062】
第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機203は、同一直線上にならないように所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、第1発信機11a、第2発信機11b、第3発信機11cからの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201、第2受信機202、第3受信機203は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0063】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0064】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第11信号、第2受信機202からの第12信号及び第3受信機203からの第13信号に基づいて第1発信機11aの3次元位置を検出(同定)する。同様に、第1受信機201からの第21信号、第2受信機202からの第22信号及び第3受信機203からの第23信号に基づいて第3発信機11cの3次元位置を検出(同定)する。
【0065】
そして、処理装置30は、検出された、第1発信機11aの3次元位置、第2発信機11bの3次元位置及び第3発信機11cの3次元位置とで形成される三角形の中心の位置を、プローブ10の3次元位置として検出する。また、処理装置は、第1発信機11aの3次元位置、第2発信機11bの3次元位置及び第3発信機11cの3次元位置とで形成される平面の法線の向きを、プローブ10の3次元傾きとして検出する。
【0066】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0067】
以上説明したように、この実施の形態4に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10の傾きが検出されるので、3次元空間において超音波ビームが入射されている方向及びプローブ10の走査面の3次元形状を検出できる。従って、被検体における傷の正確な位置を知ることができる。
【0068】
なお、上述した実施の形態4では、プローブ10に第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cを取り付けるように構成したが、第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機203の代わりに第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cを配置し、プローブ10に第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機3を取り付けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0069】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置は、1つの発信機とn個(nは3以上の整数)の受信機を用いてプローブの2次元位置を検出するものである。
【0070】
この超音波探傷装置は、図5に示すように、プローブ10、発信機11、n個の受信機201〜20n(以下、符号20で代表する)及び処理装置30から構成されている。なお、図面の煩雑さを避けるために、処理装置30と、プローブ10、発信機11及びn個の受信機20との間の配線は図示を省略しているが、これらの間は図1に示すように接続されている。プローブ10及び発信機11は、実施の形態1のそれらと同じである。
【0071】
n個の受信機20は、一列に配設されており、発信機11で発生された超音波を受信する。n個の受信機20の各々は、受信した超音波に応じた信号を生成して処理装置30に送る。
【0072】
n個の受信機20は相互に所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、発信機11からの超音波が届く範囲であれば任意である。n個の受信機20は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0073】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0074】
また、処理装置30は、実施の形態1で説明した方法により、n個の受信機20から選ばれた2つの受信機からの信号に基づいてプローブ10の2次元位置を検出(同定)する。同様にして、複数の受信機の組合せについてプローブ10の2次元位置を検出(同定)し、それらの平均を算出する。この算出された位置を表す位置情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0075】
以上説明したように、この実施の形態5に係る超音波探傷装置によれば、複数のプローブ10の2次元位置を検出し、これらの平均をとって最終的な2次元位置とするので、プローブ10の位置精度を向上させることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態5では、プローブ10に発信機11を取り付けるように構成したが、プローブ10に受信機を取り付け、n個の受信機20の代わりに、n個の発信機を設けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0077】
また、上述した実施の形態3と同様に、プローブ10にジャイロ12を固着し、プローブ10の2次元傾きを検出するように構成することもできる。
【0078】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態5におけるn個の受信機を、可撓性を有するテープ(フレキシブルテープ)に配置したものである。
【0079】
この超音波探傷装置は、実施の形態5に係る超音波探傷装置におけるn個の受信機20を、フレキシブルテープに相互に所定の距離をおいて一列に取り付けることにより構成されている。このn個の受信機20は、図6に示すように、配管等の被検体に巻き回されて配置される。
【0080】
この実施の形態6に係る超音波探傷装置によれば、曲面を有する被検体に配置することが可能である。従って、配管等の超音波検査を行う場合に、その検出精度を向上させることができる。
【0081】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置において、完全な探傷データが得られるようにしたものである。
【0082】
上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いることにより、スキャナを用いてランダム走査が可能になる。しかしながら、上述したように構成される超音波探傷装置では、プローブ10からの超音波は所定方向にしか射出されないので、ランダム走査を行う場合に、図7(B)に示すように、プローブ10から得られる探傷データに抜けが生じることがある。
【0083】
この実施の形態7に係る超音波探傷装置では、超音波探傷は、フェーズドアレイを用いて多屈折角や多首振り角探傷を組み合わせて行われる。処理装置30は、受信機20から送られてくる複数の屈折角のデータを重ね合わせて最終的な探傷データを生成する。
【0084】
この実施の形態7に係る超音波探傷装置によれば、多屈折角や多首振り角探傷を組み合わせて行われる超音波探傷が行われ、得られた探傷データが重ねあわされて最終的な探傷データとされるので、図7(A)に示すように、ランダム走査時の探傷データの抜けが防止され、完全な探傷データを得ることができる。
【0085】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いて超音波探傷を行う場合の探傷データの視認を容易にするものである。
【0086】
上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いて行う超音波探傷では、被検体の探傷範囲を適切に探傷しているかどうかを、超音波探傷装置の本体1に設けられた表示器に表示された波形を確認しながら行う必要がある。しかしながら、図8(B)に示すように、探傷部位によっては、表示器を探傷員の視界内に置くことができない場合がある。
【0087】
このような状態に対処するために、実施の形態8に係る超音波探傷装置は、本体1に接続されたヘッドマウントディスプレイ2を備えている。このヘッドマウントディスプレイ2は、探傷員が片方の目を覆うように装着することにより、本体1から送られてくる画像を見ることができるように構成されている。本体1に内蔵される処理装置30は、探傷データに基づいて生成した探傷波形等の画像を表示器に送ると共に、ヘッドマウントディスプレイ2に送る。
【0088】
これにより、探傷員が表示器に表示された波形を確認できないような場所であっても、ヘッドマウントディスプレイ2に表示された波形を見ながら超音波探傷を行うことができる。また、探傷員の視線の移動も少ないためプローブ10の浮きのない適切な探傷が可能になり、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いた超音波探傷時に未探傷位置を確認しながら超音波探傷を実施できる。その結果、抜けのない超音波探傷が可能になる。
【0089】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、超音波探傷用のプローブの位置及び/又は傾きを正確に検出できる超音波探傷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図9】従来の超音波探傷装置の構成及び動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 超音波探傷装置の本体
2 ヘッドマウントディスプレイ
10 プローブ
11 発信機
11a 第1発信機
11b 第2発信機
11c 第3発信機
12 ジャイロ
20、201〜20n 受信機
20a 第1受信機
20b 第2受信機
20c 第3受信機
30 処理装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探傷装置に関し、特に超音波探傷用のセンサを備えたプローブの位置及び傾きを検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラントの配管や容器を超音波を用いて探傷し、以て傷の有無や深さを検出する超音波探傷装置が知られている。この超音波探傷装置を用いた超音波探傷においては、超音波探傷装置からの傷の有無や深さを示す探傷データと同時に、そのプローブの位置を示す位置データを採取することは、検査対象部位の経年変化を調べたり、探傷データを処理することにより傷の有無や深さを検出する際の検出性能を向上させる上で重要である。
【0003】
従来の超音波探傷装置では、プローブの位置の検出は、そのプローブに取り付けられたスキャナと呼ばれる検出装置を用いて行われている。このスキャナとしては、X軸方向だけの走査を行う1軸タイプやX軸及びY軸方向の走査を行う2軸タイプのものが知られている。
【0004】
特許文献1は、2軸タイプの超音波探傷装置を開示している。図9は、公知のその2軸タイプのスキャナの概略的な構成を示す図である。このスキャナは、一般に、プローブ10に取り付けられX軸レール50及びY軸レール51や図示しないガイドケーブル等がエンコーダボックス52に収容されたエンコーダの回転軸(図示しない)に接続され、プローブ10の位置に応じた信号がエンコーダから得られるよう構成されている。
【0005】
しかしながら、上記のように構成されるスキャナでは、プローブにX軸レール及びY軸レールといったレールやガイドケーブル等を取り付ける必要があるので、レールに応じた動きしかできない。そのため、プローブの操作性が悪くなり、プローブの正確な位置情報が得られない。加えて、プローブの倣い性も悪くなり、探傷データ自体に抜けが生じる場合がある。
【0006】
また、手動スキャナを用いて行われる超音波探傷では、多くの場合、プローブを操作する人とスキャナを操作する人の二人がかりで超音波探傷を行う必要があり、手間がかかるという問題がある。更に、エンコーダの回転部をレールや検査対象に押しつけることにより走査が行われるため、グリセリンや水といった接触媒体が回転部に付着すると回転部が空転し、位置情報が得られなかったり、得られた位置情報に誤差が生じるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−54067号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、超音波探傷用のプローブの位置及び/又は傾きを正確に検出できる超音波探傷装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明の第1の態様に係る超音波探傷装置は、上記目的を達成するために、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)に固着された発信機(11)と、この発信機から射出された信号を受信する受信機(20)と、この受信機(20)からの信号に基づいてプローブ(10)の位置を算出する処理装置(30)とを備えている。
【0011】
この場合、受信機(20)は、発信機(11)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、発信機(11)から射出された信号を受信する第2受信機(202)、とから成り、処理装置(30)は、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出するように構成できる。
【0012】
この第1の態様に係る超音波探傷装置によれば、プローブ(10)に取り付けられた発信機(11)から発振される信号に基づいてプローブ(10)の位置を算出するのでプローブ(10)を任意の方向に動かすことができる。従って、プローブ(10)の操作性は良好であり、超音波探傷用のプローブ(10)の位置を正確に検出できる。
【0013】
また、この第1の態様に係る超音波探傷装置は、プローブ(10)に固着されたジャイロ(12)を更に備え、処理装置(30)は、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出し、且つジャイロ(12)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での傾きを算出するように構成できる。この構成によれば、後述するように、2次元平面上での位置及び傾きを検出するために2個の発信機を備える必要がなく、また、2個の発信機を所定距離をおいて配設する必要もないので、プローブを小型化できるという利点がある。
【0014】
また、この超音波探傷装置において、受信機(20)は、発信機(11)から射出された信号を受信する第1〜第n受信機(nは3以上の整数)(201〜20n)から成り、処理装置(30)は、第1〜第n受信機(201〜20n)からの信号の中から選択された2つの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出する処理を、2つの信号の複数の組合せについて行って複数の位置を算出し、該算出された複数の位置を平均することによりプローブ(10)の2次元平面上での位置を算出するように構成できる。この構成によれば、検出されるプローブ(10)の位置の精度を向上させることができる。
【0015】
また、この超音波探傷装置において、受信機(20)は、可撓性を有する部材に取り付けて構成できる。この構成によれば、曲面を有する被検体に配置することが可能であるので、例えば配管等の超音波検査を行う場合に、その検出精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の第2の態様に係る超音波探傷装置は、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)の第1位置に固着された第1発信機(11a)と、プローブ(10)の第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機(11b)と、第1発信機(11a)及び第2発信機(11b)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、第1発信機(11a)及び第2発信機(11b)から射出された信号を受信する第2受信機(202)と、第1受信機(201)からの信号及び第2受信機(202)からの信号に基づいてプローブ(10)の2次元平面上での位置及び2次元平面上での傾きを算出する処理装置(30)とを備えて構成されている。
【0017】
この第2の態様に係る超音波探傷装置によれば、プローブ(10)の2次元位置のみならず、プローブ(10)の2次元傾き(首振り方向)をも検出できるので、探傷用超音波の進行方向を同定できる。その結果、傷の検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様に係る超音波探傷装置は、超音波探傷用のセンサを備えたプローブ(10)の第1位置に固着された第1発信機(11a)と、プローブ(10)の第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機(11b)と、プローブ(10)の第1位置及び第2位置とは異なる第3位置に固着された第3発信機(11c)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第1受信機(201)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第2受信機(202)と、第1発信機(11a)、第2発信機(11b)及び第3発信機(11c)から射出された信号を受信する第3受信機(203)と、第1受信機(101)からの信号、第2受信機(202)からの信号及び第3受信機(203)からの信号に基づいてプローブ(10)の3次元空間上での位置及び3次元空間上での傾きを算出する処理装置(30)とを備えている。
【0019】
この第3の態様に係る超音波探傷装置によれば、3次元空間において超音波ビームが入射されている方向及びプローブ(10)の走査面の3次元形状を検出できる。従って、被検体における傷の正確な位置を知ることができる。
【0020】
また、上記第1〜第3の態様に係る超音波探傷装置において、処理装置(30)は、受信機(20)から得られる信号を重ね合わせて探傷データを生成するように構成できる。この構成によれば、ランダム走査時の探傷データの抜けを防止して完全な探傷データを得ることができる。
【0021】
更に、上記第1〜第3の態様に係る超音波探傷装置は、ヘッドマウントディスプレイ(2)、を更に備え、処理装置(30)は、受信機(20)から得られる信号に基づいて生成された探傷データを前記ヘッドマウントディスプレイ(2)に表示させるように構成できる。この構成によれば、超音波探傷時に未探傷位置を確認しながら探傷を実施できるので、抜けのない超音波探傷が可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置は、1つの発信機と2つの受信機を用いてプローブの2次元平面上での位置(以下、「2次元位置」と略記する)を検出する。
【0024】
この超音波探傷装置は、図1に示すように、プローブ10、発信機11、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。
【0025】
プローブ10は、超音波を発生する超音波発生器及びこの超音波発生器から射出された超音波のエコーを受信する受信センサ(何れも図示は省略する)を備えている。このプローブ10は、処理装置30からの制御に応答して超音波発生器からの超音波の発生を開始し、この超音波のエコーを受信した受信センサから送られてくる探傷信号を処理装置30に送る。
【0026】
発信機11は、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10に固着されている。この発信機11は、処理装置30からの制御によって超音波を発生する。なお、発信機11としては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。
【0027】
第1受信機201は、発信機11で発生された超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した超音波に応じた第1信号を生成し、処理装置30に送る。同様に、第2受信機202は、発信機11で発生された超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した超音波に応じた第2信号を生成し、処理装置30に送る。
【0028】
第1受信機201及び第2受信機202は所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、発信機11からの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201及び第2受信機202は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。なお、発信機11として、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機が使用される場合は、受信機201及び202として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0029】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0030】
また、処理装置30は、第1受信機201からの第1信号及び第2受信機202からの第2信号に基づいてプローブ10の2次元位置を検出(同定)する。より具体的には、発信機11で超音波が発生されてから第1受信機201から第1信号が得られるまでの時間、発信機11で超音波が発生されてから第2受信機202から第2信号が得られるまでの時間、及びこれらの時間差に基づいて、第1受信機201及び第2受信機202からの距離及び方向が求められ、以てプローブ10の2次元位置が算出される。この算出された位置を表す位置情報は上記探傷データに対応付けられて表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0031】
以上説明したように、この実施の形態1に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10に機械的制約を与えることなくプローブ10の位置を検出できる。また、従来の超音波探傷装置のように、エンコーダを使用しないので、接触媒質等によるエンコーダの回転部の空転も発生しない。従って、超音波探傷における位置決め精度が向上する。
【0032】
なお、上述した実施の形態1では、プローブ10に発信機11を取り付けるように構成したが、プローブ10に受信機を取り付け、第1受信機201及び第2受信機202の代わりに、第1発信機及び第2発信機2をそれぞれ設けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置は、2つの発信機と2つの受信機を用いて、プローブの2次元位置に加え、プローブの2次元平面上での傾き(以下、「2次元傾き」と略記する)を検出するものである。
【0034】
本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置は、図2に示すように、プローブ10、第1発信機11a、第2発信機11b、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。プローブ10は、実施の形態1のそれと同じである。
【0035】
第1発信機11aは、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の一側面に固着されている。この第1発信機11aは、処理装置30からの制御によって所定周波数の第1超音波を発生する。
【0036】
第2発信機11bは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の他側面に固着されている。この第2発信機11bは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11aで発生される周波数とは異なる周波数の第2超音波を発生する。上記第1発信機11a及び第2発信機11bは、位置検出の精度を高めるために、所定以上の距離をおいて配設される。
【0037】
なお、上記では、第1発信機11aで発生する第1超音波と第2発信機11bで発生する第2超音波とは周波数が異なる構成としたが、位相が異なるように構成することができる。また、第1発信機11a及び第2発信機11bとしては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。この場合、受信機201及び202として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0038】
第1受信機201は、第1発信機11aで発生された第1超音波及び第2発信機11bで発生された第2超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した第1超音波に応じた第11信号及び第2超音波に応じた第21信号を生成し、処理装置30に送る。同様に、第2受信機202は、第1発信機11aで発生された第1超音波及び第2発信機11bで発生された第2超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第12信号及び第2超音波に応じた第22信号を生成し、処理装置30に送る。
【0039】
第1受信機201及び第2受信機202は所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、第1発信機11a及び第2発信機11bからの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201及び第2受信機202は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0040】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0041】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第11信号及び第2受信機202からの第12信号に基づいて第1発信機11aの2次元位置を検出(同定)する。同様に、第1受信機201からの第21信号及び第2受信機202からの第22信号に基づいて第2発信機11bの2次元位置を検出(同定)する。
【0042】
そして、処理装置30は、検出された、第1発信機11aの2次元位置と第2発信機11bの2次元位置とを結ぶ線の中点の位置を、プローブ10の2次元位置として検出する。また、処理装置は、第1発信機11aの2次元位置と第2発信機11bの2次元位置とを結ぶ線に直交する方向を、プローブ10の2次元傾き、即ち首振り方向(回転方向)として検出する。
【0043】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0044】
以上説明したように、この実施の形態2に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10の2次元位置のみならず、プローブ10の2次元傾き(首振り方向)をも検出できるので、探傷用超音波の進行方向を同定できる。その結果、傷の検出精度を向上させることができる。
【0045】
なお、上述した実施の形態2では、プローブ10に第1発信機11a及び第2発信機11bを取り付けるように構成したが、第1受信機201及び第2受信機202の代わりに第1発信機11a及び第2発信機11bを配置し、プローブ10に第1受信機201及び第2受信機202を取り付けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置は、1つの発信機と2つの受信機を用いてプローブの2次元位置を検出し、ジャイロを用いてプローブの2次元傾きを検出するものである。
【0047】
本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置は、図3に示すように、プローブ10、発信機11、ジャイロ12、第1受信機201、第2受信機202及び処理装置30から構成されている。プローブ10、発信機11、第1受信機201及び第2受信機202は、実施の形態1のそれらと同じである。
【0048】
ジャイロ12は、回転角を検出する周知のものである。このジャイロ12で検出された回転角を表す信号は処理装置30に送られる。なお、ジャイロ12と処理装置30との間は、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。
【0049】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0050】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第1信号及び第2受信機202からの第2信号に基づいてプローブ10の位置を検出(同定)する。また、処理装置30は、ジャイロ12からの信号に基づいて、プローブ10の2次元傾き、即ち首振り方向(回転方向)として検出する。
【0051】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0052】
以上説明したように、この実施の形態3に係る超音波探傷装置によれば、プローブの2次元傾きをジャイロ12で検出するように構成したので、実施の形態2に係る超音波探傷装置のように、2個の発信機を備える必要がなく、また、2個の発信機を所定距離をおいて配設する必要もない。その結果、プローブを小型化できるという利点がある。
【0053】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置は、3つの発信機と3つの受信機を用いて、プローブの3次元空間上の位置(以下、「3次元位置」という)及びプローブの3次元空間上での傾き(以下、「3次元傾き」と略記する)を検出するものである。
【0054】
本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置は、図4に示すように、プローブ10、第1発信機11a、第2発信機11b、第3発信機11c、第1受信機201、第2受信機202、第3受信機203及び処理装置30から構成されている。プローブ10は、実施の形態1のそれと同じである。
【0055】
第1発信機11aは、プローブ10の操作性を害しない程度の小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の一側面に固着されている。この第1発信機11aは、処理装置30からの制御によって所定周波数の第1超音波を発生する。
【0056】
第2発信機11bは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)に直交する方向の他側面に固着されている。この第2発信機11bは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11aで発生される周波数とは異なる周波数の第2超音波を発生する。
【0057】
第3発信機11cは、第1発信機11aと同様に小型に構成されており、プローブ10の、探傷方向(矢印A方向)方向の一側面に固着されている。この第3発信機11cは、処理装置30からの制御によって、第1発信機11a及び第2発信機11bで発生される周波数とは異なる周波数の第3超音波を発生する。上記第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cは、位置検出の精度を高めるために、相互に所定以上の距離をおいて配設される。
【0058】
なお、上記では、第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cでそれぞれ発生される第1超音波、第2超音波及び第3超音波は、周波数が相互に異なる構成としたが、位相が相互に異なるように構成することができる。また、第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cとしては、超音波を発生する発信機に限らず、赤外線を発生する発信機、レーザーを発生する発信機を使用することもできる。この場合、受信機201、202及び203として、赤外線を受信する受信機、レーザーを受信する受信機がそれぞれ使用される。
【0059】
第1受信機201は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第1受信機201は、受信した第1超音波に応じた第11信号、第2超音波に応じた第21信号及び第2超音波に応じた第31信号を生成し、処理装置30に送る。
【0060】
同様に、第2受信機202は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第12信号、第2超音波に応じた第22信号及び第3超音波に応じた第32信号を生成し、処理装置30に送る。
【0061】
同様に、第3受信機203は、第1発信機11aで発生された第1超音波、第2発信機11bで発生された第2超音波及び第3発信機11cで発生された第3超音波を受信する。この第2受信機202は、受信した第1超音波に応じた第13信号、第2超音波に応じた第23信号及び第3超音波に応じた第33信号を生成し、処理装置30に送る。
【0062】
第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機203は、同一直線上にならないように所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、第1発信機11a、第2発信機11b、第3発信機11cからの超音波が届く範囲であれば任意である。第1受信機201、第2受信機202、第3受信機203は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0063】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0064】
また、処理装置30は、上述した実施の形態1の場合と同様にして、第1受信機201からの第11信号、第2受信機202からの第12信号及び第3受信機203からの第13信号に基づいて第1発信機11aの3次元位置を検出(同定)する。同様に、第1受信機201からの第21信号、第2受信機202からの第22信号及び第3受信機203からの第23信号に基づいて第3発信機11cの3次元位置を検出(同定)する。
【0065】
そして、処理装置30は、検出された、第1発信機11aの3次元位置、第2発信機11bの3次元位置及び第3発信機11cの3次元位置とで形成される三角形の中心の位置を、プローブ10の3次元位置として検出する。また、処理装置は、第1発信機11aの3次元位置、第2発信機11bの3次元位置及び第3発信機11cの3次元位置とで形成される平面の法線の向きを、プローブ10の3次元傾きとして検出する。
【0066】
この検出されたプローブ10の位置を表す位置情報及びプローブ10の傾きを表す傾き情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置における或る方向の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0067】
以上説明したように、この実施の形態4に係る超音波探傷装置によれば、プローブ10の傾きが検出されるので、3次元空間において超音波ビームが入射されている方向及びプローブ10の走査面の3次元形状を検出できる。従って、被検体における傷の正確な位置を知ることができる。
【0068】
なお、上述した実施の形態4では、プローブ10に第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cを取り付けるように構成したが、第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機203の代わりに第1発信機11a、第2発信機11b及び第3発信機11cを配置し、プローブ10に第1受信機201、第2受信機202及び第3受信機3を取り付けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0069】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置は、1つの発信機とn個(nは3以上の整数)の受信機を用いてプローブの2次元位置を検出するものである。
【0070】
この超音波探傷装置は、図5に示すように、プローブ10、発信機11、n個の受信機201〜20n(以下、符号20で代表する)及び処理装置30から構成されている。なお、図面の煩雑さを避けるために、処理装置30と、プローブ10、発信機11及びn個の受信機20との間の配線は図示を省略しているが、これらの間は図1に示すように接続されている。プローブ10及び発信機11は、実施の形態1のそれらと同じである。
【0071】
n個の受信機20は、一列に配設されており、発信機11で発生された超音波を受信する。n個の受信機20の各々は、受信した超音波に応じた信号を生成して処理装置30に送る。
【0072】
n個の受信機20は相互に所定の距離をおいて配置され、その取り付け位置は、発信機11からの超音波が届く範囲であれば任意である。n個の受信機20は、配管や容器といった被検体そのものに取り付けることもできるし、被検体の近傍の構造物、例えば天井等に取り付けることもできる。
【0073】
処理装置30は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、プローブ10から送られてくる探傷信号を処理することによって探傷データを生成し、例えばBスコープの画像として図示しない表示器に表示する。この場合、探傷データに基づいて被検体に傷があることを検出すると、その傷の大きさや深さを算出し、傷を含む画像を生成して表示器に表示する。
【0074】
また、処理装置30は、実施の形態1で説明した方法により、n個の受信機20から選ばれた2つの受信機からの信号に基づいてプローブ10の2次元位置を検出(同定)する。同様にして、複数の受信機の組合せについてプローブ10の2次元位置を検出(同定)し、それらの平均を算出する。この算出された位置を表す位置情報は上記探傷データに対応付けられ、被検体の或る位置の探傷データとして表示器に表示されると共に、図示しない記憶装置に記憶される。
【0075】
以上説明したように、この実施の形態5に係る超音波探傷装置によれば、複数のプローブ10の2次元位置を検出し、これらの平均をとって最終的な2次元位置とするので、プローブ10の位置精度を向上させることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態5では、プローブ10に発信機11を取り付けるように構成したが、プローブ10に受信機を取り付け、n個の受信機20の代わりに、n個の発信機を設けるように構成することができる。この構成の場合も、上記と同様の作用及び効果を奏する。
【0077】
また、上述した実施の形態3と同様に、プローブ10にジャイロ12を固着し、プローブ10の2次元傾きを検出するように構成することもできる。
【0078】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態5におけるn個の受信機を、可撓性を有するテープ(フレキシブルテープ)に配置したものである。
【0079】
この超音波探傷装置は、実施の形態5に係る超音波探傷装置におけるn個の受信機20を、フレキシブルテープに相互に所定の距離をおいて一列に取り付けることにより構成されている。このn個の受信機20は、図6に示すように、配管等の被検体に巻き回されて配置される。
【0080】
この実施の形態6に係る超音波探傷装置によれば、曲面を有する被検体に配置することが可能である。従って、配管等の超音波検査を行う場合に、その検出精度を向上させることができる。
【0081】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置において、完全な探傷データが得られるようにしたものである。
【0082】
上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いることにより、スキャナを用いてランダム走査が可能になる。しかしながら、上述したように構成される超音波探傷装置では、プローブ10からの超音波は所定方向にしか射出されないので、ランダム走査を行う場合に、図7(B)に示すように、プローブ10から得られる探傷データに抜けが生じることがある。
【0083】
この実施の形態7に係る超音波探傷装置では、超音波探傷は、フェーズドアレイを用いて多屈折角や多首振り角探傷を組み合わせて行われる。処理装置30は、受信機20から送られてくる複数の屈折角のデータを重ね合わせて最終的な探傷データを生成する。
【0084】
この実施の形態7に係る超音波探傷装置によれば、多屈折角や多首振り角探傷を組み合わせて行われる超音波探傷が行われ、得られた探傷データが重ねあわされて最終的な探傷データとされるので、図7(A)に示すように、ランダム走査時の探傷データの抜けが防止され、完全な探傷データを得ることができる。
【0085】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る超音波探傷装置は、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いて超音波探傷を行う場合の探傷データの視認を容易にするものである。
【0086】
上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いて行う超音波探傷では、被検体の探傷範囲を適切に探傷しているかどうかを、超音波探傷装置の本体1に設けられた表示器に表示された波形を確認しながら行う必要がある。しかしながら、図8(B)に示すように、探傷部位によっては、表示器を探傷員の視界内に置くことができない場合がある。
【0087】
このような状態に対処するために、実施の形態8に係る超音波探傷装置は、本体1に接続されたヘッドマウントディスプレイ2を備えている。このヘッドマウントディスプレイ2は、探傷員が片方の目を覆うように装着することにより、本体1から送られてくる画像を見ることができるように構成されている。本体1に内蔵される処理装置30は、探傷データに基づいて生成した探傷波形等の画像を表示器に送ると共に、ヘッドマウントディスプレイ2に送る。
【0088】
これにより、探傷員が表示器に表示された波形を確認できないような場所であっても、ヘッドマウントディスプレイ2に表示された波形を見ながら超音波探傷を行うことができる。また、探傷員の視線の移動も少ないためプローブ10の浮きのない適切な探傷が可能になり、上述した実施の形態1〜6に係る超音波探傷装置を用いた超音波探傷時に未探傷位置を確認しながら超音波探傷を実施できる。その結果、抜けのない超音波探傷が可能になる。
【0089】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、超音波探傷用のプローブの位置及び/又は傾きを正確に検出できる超音波探傷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係る超音波探傷装置の動作を説明するための図である。
【図9】従来の超音波探傷装置の構成及び動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 超音波探傷装置の本体
2 ヘッドマウントディスプレイ
10 プローブ
11 発信機
11a 第1発信機
11b 第2発信機
11c 第3発信機
12 ジャイロ
20、201〜20n 受信機
20a 第1受信機
20b 第2受信機
20c 第3受信機
30 処理装置
Claims (9)
- 超音波探傷用のセンサを備えたプローブに固着された発信機と、
前記発信機から射出された信号を受信する受信機と、
前記受信機からの信号に基づいて前記プローブの位置を算出する処理装置、
とを備えた超音波探傷装置。 - 前記受信機は、
前記発信機から射出された信号を受信する第1受信機と、
前記発信機から射出された信号を受信する第2受信機、とから成り、
前記処理装置は、前記第1受信機からの信号及び前記第2受信機からの信号に基づいて前記プローブの2次元平面上での位置を算出する、請求項1に記載の超音波探傷装置。 - 前記プローブに固着されたジャイロを更に備え、
前記処理装置は、前記第1受信機からの信号及び前記第2受信機からの信号に基づいて前記プローブの2次元平面上での位置を算出し、且つ前記ジャイロからの信号に基づいて前記プローブの2次元平面上での傾きを算出する、請求項2に記載の超音波探傷装置。 - 前記受信機は、
前記発信機から射出された信号を受信する第1〜第n受信機(nは3以上の整数)から成り、
前記処理装置は、前記第1〜第n受信機からの信号の中から選択された2つの信号に基づいて前記プローブの2次元平面上での位置を算出する処理を、前記2つの信号の複数の組合せについて行って複数の位置を算出し、該算出された複数の位置を平均することにより前記プローブの2次元平面上での位置を算出する、請求項1に記載の超音波探傷装置。 - 前記受信機は、可撓性を有する部材に取り付けられている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波探傷装置。
- 超音波探傷用のセンサを備えたプローブの第1位置に固着された第1発信機と、
前記プローブの前記第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機と、前記第1発信機及び前記第2発信機から射出された信号を受信する第1受信機と、
前記第1発信機及び前記第2発信機から射出された信号を受信する第2受信機と、
前記第1受信機からの信号及び前記第2受信機からの信号に基づいて前記プローブの2次元平面上での位置及び2次元平面上での傾きを算出する処理装置、
とを備えた超音波探傷装置。 - 超音波探傷用のセンサを備えたプローブの第1位置に固着された第1発信機と、
前記プローブの前記第1位置とは異なる第2位置に固着された第2発信機と、前記プローブの前記第1位置及び第2位置とは異なる第3位置に固着された第3発信機と、
前記第1発信機、前記第2発信機及び前記第3発信機から射出された信号を受信する第1受信機と、
前記第1発信機、前記第2発信機及び前記第3発信機から射出された信号を受信する第2受信機と、
前記第1発信機、前記第2発信機及び前記第3発信機から射出された信号を受信する第3受信機と、
前記第1受信機からの信号、前記第2受信機からの信号及び前記第3受信機からの信号に基づいて前記プローブの3次元空間上での位置及び3次元空間上での傾きを算出する処理装置、
とを備えた超音波探傷装置。 - 前記処理装置は、
前記受信機から得られる信号を重ね合わせて探傷データを生成する、請求項1乃至7の何れか1項に記載の超音波探傷装置。 - ヘッドマウントディスプレイ、を更に備え、
前記処理装置は、前記受信機から得られる信号に基づいて生成された探傷データを前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる、請求項1乃至8の何れか1項に記載の超音波探傷装置。
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