本発明に係る映像表示装置は、放送信号を受信し、画面上に映像を表示する装置であって、受信した放送信号からノイズを除去することを可能としたものである。以下、本発明に係る映像表示装置を、図1乃至図8を参照し液晶モジュールを搭載した液晶表示装置を例に挙げて説明する。本発明に係る映像表示装置は、ここで例示する液晶表示装置に限らず、例えば表示メモリへの書き込み時に線順次走査を行う他の表示装置にも適用可能であり、プラズマディスプレイ装置やELD(Electro Luminescent Display)も含まれてもよい。また、本発明に係る映像表示装置としては、表示パネルに映像を表示するものに限らず、液晶プロジェクタ等の投射型の映像表示装置においても適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の一構成例を示すブロック図、図2は、図1の液晶表示装置に適用可能な3D−NR処理回路の一構成例を示すブロック図、図3は、図1の液晶表示装置に適用可能な液晶モジュールの一構成例を示すブロック図、図4は、図3の液晶モジュールに適用可能な画像処理回路の一構成例を示すブロック図である。
図1において、1は液晶表示装置、11はアナログチューナ、12はデジタルチューナ、13は外部入力端子、14はセレクタ、15はバスライン、16はEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、17は中央制御部、18はOSD(On Screen Display)表示部、19は操作部、20は受光部、21はリモートコントローラ(以下、R/Cと略す)、30は、映像処理部、31はデコーダ、32はNR処理部、33はコントローラ、34はクロックバッファ半導体集積回路(以下、クロックバッファICと略す)、35はスケーラ、40は液晶モジュールである。また、図2において、32はNR処理部の一例としての3D−DNR回路、50,59は加算器、51はフレームメモリ、52はアダマール変換回路、53は非線形処理回路、54はアダマール逆変換回路、55は動きエッジ情報抽出回路、56はフィルタリング処理回路、57は帰還量決定回路、58は乗算器である。また、図3において、41は液晶コントローラ、42は表示メモリ、43は画像処理回路、44は液晶ドライバ、45は液晶パネルであり、図4において、61は制御手段、62はラインメモリ、63は検出手段、64は信号拡張手段である。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、映像信号選択手段,映像処理手段,表示制御手段を少なくとも備えるものとする。映像信号選択手段は、受信した放送信号から画面上に表示すべき映像信号を選択する手段で、図1のセレクタ14に対応する。映像処理手段は、映像信号選択手段で選択された映像信号に対し、所定の映像処理を実行する手段で、中央制御部17,映像処理部30,液晶モジュール40を中心とする構成要素が該当する。表示制御手段は、映像処理手段で映像処理した映像信号を画面上に表示するよう制御する手段で、液晶モジュール40,中央制御部17,映像処理部30を中心とする構成要素が該当する。液晶表示装置における表示制御手段では、映像処理手段で映像処理した映像信号を、線順次操作によって画面上に表示するよう制御する。
ここで、所定の映像処理とは、第一のノイズ低減処理、ビット数拡張処理、及び第二のノイズ低減処理を含む処理を指す。第二のノイズ低減処理は、第一のノイズ低減処理の後段に実行される、第一のノイズ低減処理の次元より低次元のノイズ低減処理である。一方、ビット数拡張処理は、第一のノイズ低減処理と第二のノイズ低減処理との間に実行される処理であり、映像信号内の1画素当たりのビット数を拡張して拡張映像信号を生成する処理である。この所定の処理によって、ノイズ低減がなされる上に、ビット数拡張後の1画素単位でビット数の多い拡張映像信号に対しては、メモリを多く必要とする高次元のノイズ低減処理を施さずにメモリを多く必要としない低次元のノイズ低減処理のみを施すことで、メモリを有効的に使用できるようになる。
また、第一のノイズ低減処理を、映像信号のフレーム間又はフィールド間のノイズを除去するための3次元のノイズ低減処理とし、第二のノイズ低減処理を、映像信号の1フレーム内又は1フィールド内におけるノイズを除去するための1次元又は2次元のノイズ低減処理とするようにしてもよい。ここでの第二のノイズ低減処理は、映像信号の一ライン内又は隣り合う複数ライン間のノイズ処理となる。
所定の映像処理としては、第二のノイズ低減処理の後に表示パネル補正処理を実行するようにすることが好ましい。表示パネル補正処理とは、映像信号と表示パネルの表示性能の差分を補うために最適な階調に補正するための処理とする。表示パネル補正処理としては、本来CRTの性能に応じた放送信号の階調特性(γ特性)に対して逆補正をかける逆γ補正処理を実行するようにしてもよい。
また、表示パネル補正処理としては、逆γ補正処理に加え、或いは逆γ補正処理の代わりに、クイックシュート駆動処理を実行するようにしてもよい。クイックシュート駆動処理(オーバーシュート駆動処理ともいう)は、動き検出や温度変化に応じ、液晶材に印加する信号電圧において本来の階調電圧よりも比較的高い階調電圧を始動時に供給する処理で、表示パネルを液晶セルで形成した液晶表示装置で液晶セルの動作応答性を改善する処理であり、全ての映像表示装置に適用できるものではない。このクイックシュート駆動処理では、図4で後述する画像処理回路43の出力として記載の拡張画像信号及び制御信号に基づいて、拡張画像信号から温度変化やフレーム(/フィールド)内又はフレーム(/フィールド)間で検出した移動量に応じて書込階調を強調するよう変換し、液晶ドライバ44へ画像信号及び制御信号を送出する。
逆γ補正処理やクイックシュート駆動処理などの表示パネル補正処理は、液晶モジュール40の内部に設けられることが多く、従って3D−NR処理の後段で行われる補正処理となり、喩え、ビット数拡張処理を表示パネル補正処理の前に行ったとしても、表示パネル補正処理の前に実行する第二のノイズ低減処理によって、中間調の階調において階調差が著しく発生してしまうようなことも生じない。勿論、一フレーム当りの実行処理速度が遅れてしまい、例えばチャンネル切り替え或いは入力切換時に要するユーザの待機時間が長くなることから、ユーザに不快感を与えるようなことも生じない。
また、他の形態において、所定の映像処理とは、第一のノイズ低減処理、及び第一のノイズ低減処理の後段に実行される第二のノイズ低減処理としてのビット数拡張処理を含む処理とする。ここで、第一のノイズ低減処理は2次元以上のノイズ低減処理であり、ビット数拡張処理は上述したように映像信号内の1画素当たりのビット数を拡張して拡張映像信号を生成する処理である。この形態にあっても、所定の処理によって、ノイズ低減がなされる上に、メモリを多く必要とする高次元のノイズ低減処理を施してから、ビット数拡張して1画素単位でビット数の多い拡張映像信号に変換するので、メモリを有効的に使用できるようになる。また、第一のノイズ低減処理を、映像信号のフレーム間又はフィールド間のノイズを除去するための3次元のノイズ低減処理としてもよい。
以下の例では、所定の処理が、第一のノイズ低減処理、及び第二のノイズ低減処理としてのビット数拡張処理を順次実行する処理である形態のみを対象にして説明するが、所定の映像処理が、第一のノイズ低減処理、ビット数拡張処理、及び第二のノイズ低減処理を順次実行する処理である形態であっても同様に説明できる。また、本実施形態では、液晶モジュールに設けられた画像処理回路が1D−NR処理によってスムージング機能を実現する例を示すが、本発明に係る映像表示装置における第二のノイズ低減処理は、ラインメモリ1ライン分で構成される1D−NR処理に限定される必要はなく、複数の(例えば3ライン分以上の)ラインメモリで構成される2D−NR処理を行う構成であってもよい。勿論、第一のノイズ低減処理及び第二のノイズ低減処理は、以下で例示するものに限定されるものではなく、第一のノイズ低減処理と第二のノイズ低減処理との上述した関係を満たせばどのようなノイズ低減処理であってもよい。
図1で例示する液晶表示装置1は、放送信号を受信し、液晶パネルの画面上に映像を表示する装置である。液晶表示装置1の主な構成として、例えば、地上波のアナログ放送を受信するためのアナログチューナ11、BSデジタル放送等で規格化されたコンポーネントビデオ信号を受信するためのデジタルチューナ12、これら2つのチューナ11,12と他の外部入力端子13とから画面上に表示するべき映像信号を選択するためのセレクタ14、選択した映像信号に対し各種信号フォーマットに応じて信号処理するための映像処理部30、映像処理部30で各種画像処理をされた映像情報を出力するための液晶モジュール40、そしてこれらの各ブロックに対してバスライン15を用いて制御処理を行うための制御信号を送出することにより各種ブロックの処理を実行させるための制御部(中央制御部)17で構成される。液晶表示装置1は、さらに、ユーザによる各種操作が可能な操作部19やR/C21及びR/C受光部20で構成される遠隔操作手段を備える。中央制御部17は、この遠隔操作手段や操作部19から発信される操作信号によって、各種操作信号に応じた制御信号を生成して各ブロックに対しユーザの操作に応じた各種処理を実行させる。
また、液晶表示装置1は、これらのユーザ操作によって各ブロックに実行された処理(例えば、選局,音量調整等)によって保存するべき設定値を保存するために設けられた書き換え可能なEEPROM16などの記憶部が搭載されており、常に中央制御部17から読み出し処理又は書き込み処理が可能な構成を有している。
映像処理部30は、セレクタ14から送られた所定フォーマットの映像信号の解読作業を行うためのデコーダ31、デコード処理を行った映像信号に対しノイズリダクション処理を行うためのNR処理部32、解読処理が行われた映像情報に対し各種設定値に基づいて映像処理を行うためのコントローラ33、この映像処理がなされた映像情報を、接続された液晶モジュールの表示サイズに対し設定された大きさ、アスペクト比で出力する処理を行うスケーラ35、そしてこれらの映像処理を順次流れてくる映像信号に対し継続的に実行させるために、一定周波数のクロック信号を送信するためのクロックバッファIC34から構成される。また、映像処理部30は、映像信号内にある垂直同期信号を検出する垂直同期信号検出手段(図示せず)、垂直或いは水平同期信号を映像信号から抽出するための同期分離回路(図示せず)などから構成される。
ここで、NR処理部32では、例えばフレーム間の動きボケを補正するための輪郭補正手段として、DNRによる3次元補正技術を用いたNR処理が実行される。図2を参照して、NR処理部32の一例として3D−DNR回路を説明する。ここで例示する3D−DNR回路32は、コンポーネントビデオ信号におけるNR処理回路の一例であり、直交変換技術の1つであるアダマール変換を用いたNR処理を実行する回路である。
3D−DNR回路32は、主として、映像信号をフレーム又はフィールド単位ごとに記憶するために設けられたフレームメモリ51、前フレームと現フレームとの差分信号に対し直交変換(アダマール変換)処理するためのアダマール変換回路52、この直交変換処理により任意に分割された周波数成分に対して非線形処理を行うための非線形処理回路53、ノイズ抽出された各周波数成分に対し帰還の是非を判定するための帰還量決定回路57で構成される。そして、帰還量決定回路57における帰還量決定のために、直交変換処理された周波数成分に対し動きエッジを検出抽出するための動きエッジ情報抽出回路55、動きエッジ情報として得られた任意の周波数成分に対して一定閾値を設けたフィルタリング処理回路56を備えている。3D−DNR回路32は、さらに、アダマール変換され非線形処理された信号に対して、アダマール逆変換を施すアダマール逆変換回路54、アダマール逆変換を施した信号と帰還量決定回路57からの出力信号とを乗算する乗算器58、入力された映像信号から乗算器58の出力信号を減算し、出力端子へ出力すると共にフレームメモリ51へも出力する加算器59、入力端子から入力された映像信号(現フレーム又は現フィールドの映像信号)から、フレームメモリ51で1フレーム分だけ遅延された映像信号(前フレーム、或いは1つ前の奇フィールド又は偶フィールド))を減算する加算器50で構成される。
アダマール変換を用いたNR処理では、前フレームと現フレームの差分を取るために、通常のフレーム巡回型NR処理と同様、その差分信号を直交変換の一つであるアダマール変換を施して実空間データから周波数領域のデータへ変換する。この変換によって得られる変換データは、以下のような特徴を持っている。
(1)ノイズ成分は隣接位置同士で相関が無いため、全ての周波数領域に平均化して表れる。(2)動き成分は隣接位置同士で相関が高いため、特性の周波数領域に集中して表れる。
アダマール変換回路52の出力であるアダマール変換した各成分に対し、非線形処理回路53にて、特定の周波数領域の振幅の大きい値を閾値とした非線形処理を施すことにより、ノイズ成分を抽出し、アダマール逆変換回路54によって逆変換を施して元の実空間データへ戻す。そして、実空間に戻したデータをノイズ成分とし、適切な帰還量を乗算器58で乗算し、現フレームから減算しNR処理する。なお、動きエッジ情報抽出回路55以降の処理ではアダマール変換した周波数成分の中から任意に選択した周波数成分の絶対値が閾値(非線形処理の閾値とは別に与えられる閾値)以上の時には、帰還量を0としノイズ成分として帰還しないようにして、エッジ部分の動きボケを低減している。
また、3D−DNR回路32において、直交変換手段としてアダマール変換を採用しているが別段これに限定されることはなく、例えばDCT(離散コサイン変換)による直交変換を用いてもよい。また、3D−DNR回路32において8ビットのデジタル画像信号に対してNR処理を施すことを前提として、後述の拡張デジタル映像信号について説明するが、このビット数としては、後述の拡張デジタル画像信号におけるビット数よりも少ないように設計されていればよい。
一方、液晶モジュール40は、図3で例示するように、主として、液晶コントローラ41、表示メモリ42、画像処理回路43、液晶ドライバ44、及び液晶パネル45とによって構成されている。ここで例示する画像処理回路43は、液晶コントローラ41が出力する8ビットの画像データに対して所定の処理を行うことにより、10ビットの拡張画像信号に変換して液晶ドライバ44に出力できるように、液晶コントローラ41と液晶ドライバ44との間に配置されている。
液晶コントローラ41は、データバス(図示せず)を介して中央処理部17等からなるマイクロコンピュータや映像処理部30などに接続されている。そして、液晶コントローラ41は、表示メモリ42にも接続されており、表示メモリ42に記憶された表示情報及び制御情報に基づいて、画像処理回路43に画像信号及び制御信号を出力制御する。画像処理回路43は、液晶コントローラ41からの画像信号及び制御信号を入力し、制御信号及び画像信号に対して所定の処理を行なうことにより、生成される拡張画像信号を液晶ドライバ44に出力する。液晶ドライバ44は、画像処理回路43からの拡張画像信号及び制御信号に基づいて、液晶パネル45に画像を表示させる。
画像処理回路43は、図4に示すように、例えば、制御手段61、ラインメモリ62、検出手段63、及び信号拡張手段64とから構成される。そして、この液晶モジュール40には、1次元NR処理であるスムーサが画像処理回路43に搭載されている。このスムーサとは、液晶パネル45が持つ画像表示データの表現性能を出し切るように、入力映像信号を1ラインごとに拡張補正する技術であって、ラインメモリ62内で輪郭補正を行うための1D−NR処理に関する手法である。
制御手段61には、液晶コントローラ41が出力する8ビットの画像信号及び制御信号が入力される。入力された制御信号は、ラインメモリ62、検出手段63、信号拡張手段64、及び液晶ドライバ44にそれぞれ出力される。また、入力された8ビットの画像信号は、ラインメモリ62に出力される。制御手段61は、ラインメモリ62、検出手段63、及び信号拡張手段64のそれぞれにて処理された画像データを、それぞれ、制御信号に同期させて液晶ドライバ44に出力されるように制御する。
ラインメモリ62は、制御手段61から入力された8ビットの画像信号を、1ラインの画素数分づつ、順次、制御信号に同期して読み込み、その拡張画像信号を液晶ドライバ44に出力する。
検出手段63は、ラインメモリ62から出力された8ビットの画像信号を読み込み、ビット数が不足することにより、画像の品質を低下させる擬似輪郭となって表示される画像信号の不連続な部分を検出する。擬似輪郭は、自然画像では、本来、滑らかに階調変化するはずの部分が、画像データのビット数が不足することにより色の差になって見える階段状の縞(輪郭)である。
検出手段63は、具体的には、まず、8ビットで表される画像信号に対して同じレベルL(L:0〜63の任意の整数)の信号が連続して2画素以上続き、このレベルLの信号が連続する画素に引き続いて、更に、(L+1)又は(L−1)の信号が2画素以上連続して続く画像パターンを検出するとともに、同じ画像データが続く最初の画素の位置及び同じ画像データが続く幅(画素数)を保持し、これらの位置及び幅を、信号拡張手段64へ出力する。
信号拡張手段64は、検出手段63によって検出された信号拡張の対象となる画素の8ビットの画像信号の下位に2ビットを追加して10ビットの画像信号にする。この追加された2ビットの信号によって、8ビットの画像信号によるビット不足により生じた画像上の不連続な部分が解消されて、滑らかに連続する画像が形成されるように拡張する。また、信号拡張の対象とはならない画素の信号の下位には、2ビットのデータ‘00’を追加して、10ビットの画像信号にする。これにより、8ビットの画像信号が全て10ビットの画像信号に拡張される。信号拡張手段64によって拡張された10ビットの拡張画像信号は、ラインメモリ62に書き込まれる。その後で、検出手段63から送られた同じ画素データが続く最初の画素の位置と同じ画素データが続く幅(画素数)のデータから、拡張映像信号の下位2ビットの階調数に対しスムージング処理が施される。
ここで、スムージング処理の過程について以下に説明する。今、nを0から始まる1ライン分の整数として、各画素の画像データ値をそれぞれD1,D2,・・・,Dnで表記し、またiは同じ画像データが2画素以上続いた部分毎に、それぞれ、一端から順番に付与された番号(1<=Si<n)を表している。Siは、同じ画像データが連続する部分の最初の画素位置を表し、Wiは、連続する画素数を表している。例えば、画像データ値が、D1=D2=D3、D4=D5となっている場合は、S1=1、W1=3、S2=4、W2=2と与えられる。
そして、同じ画像データが連続するスタート位置Siと,同じ画素値の画像データが連続する画素数Wiを用いて、拡張処理を施す部分であるか否かを判定し、信号拡張する処理を行っている。つまり、Siでの画像データ値をLiとして、Si+1−S1=Wi、且つ、Li+1−Li=±1であるときに、信号拡張処理を行うように判断条件を与え、そのスタート位置SiからSi+Wi−1の間においてスムージング処理を行う。
従って、まず信号拡張手段64によってSiの画像データ数Li(8bit表記)は10ビット表現で4Liとなり、連続する画素数Wiの間で4Li+1、4Li+2、4Li+3と信号レベルが順次変化するように、下位2bitを追加して拡張補正を行う。このような拡張補正により、滑らかに線形的に変化するように階調補正することが可能になる。
また、検出手段61及び信号拡張手段64にそれぞれについて行われる各処理は、R(赤),G(緑),B(青)のそれぞれの画像信号について独立に行われる。また、これらの一連の処理が一ライン分終了すると、次のラインに対しても同じ処理が順次行なわれ、最終的に垂直ライン数分の処理をおこなうことにより1つの画像が表示される。
以上の構成により、フレーム又はフィールド間における3D−NR処理を比較的低ビット数の画像信号に対して行い、その後行った信号拡張処理によって新たに生じた階段状の縞に対してはスムージング処理(1D−NR処理)を行うことにより、比較的大容量が必要とされる3D−NR処理用のメモリを極力少なくし、且つ、フレーム又はフィールド内でのNR処理については極力少ないメモリ容量で受信した放送信号に対するNR処理を実行することが可能になる。つまり、メモリの利用効率を高めることができる。
また、本発明に係る映像表示装置は、上述のごとき3次元及び1次元のNR処理といった複数種のNR処理による画像調整時に、一方の映像NR処理による画像調整操作に連動して他の映像NR処理による画像調整操作を実行するよう構成してもよい。例えば、前述のスムーサ等に代表される1D−NR処理による画像調整操作があったとき、その操作に連動して、例えば3D−NR処理による画像調整の調整値が同時に変更されるように制御するとよい。
また、複数のNR処理の各調整値がユーザの操作に対し互いに連動して調整される調整方式において、互いのビデオ信号の種別に応じてその調整値の連動関係を異ならしめることが好ましい。
つまり、表示しようとしている映像信号が例えばデジタル放送等に用いられるコンポーネント信号であるか否かの判別に応じた例えば上記1次元NR処理及び3次元NR処理に関する調整値の間に関連付けされたルックアップテーブル(LUT)をROMに個別に有し、各種コンポーネント信号を表示する際にその信号に応じたLUTをEEPROMに書き込み処理を施し、ユーザのNR処理操作によって書き込まれたLUTデータに基づいた1次元NR処理と3次元NR処理に関する調整値を互いに連動して読み出し、その読み出した調整値に基づいて1次元NR処理と3次元NR処理を同時に行うことを特徴とする。その結果、各種映像信号に対し必要十分なNR処理をユーザのNR処理操作に基づいて制御することが可能になり、各種映像信号の形式毎にユーザ好みに必要且つ十分なNR処理を施すことができる。
図5は、図1の液晶表示装置における各種NR調整項目に関するルックアップテーブルの一例を示す図で、図6及び図7は、図1の液晶表示装置におけるNR処理の調整値設定処理例を説明するための一連のフロー図で、図8は、図6及び図7の調整値設定処理における設定操作時の画面表示例を示す図である。
液晶表示装置1におけるNR処理の調整値を設定するユーザ操作例としては、まず、電源をONして液晶表示装置1を起動する。この起動に伴って液晶表示装置1は、EEPROM16に記憶された各種設定値の読み出しを行い(ステップS1)、その読みだし結果に基づいて、次に説明するように、液晶表示装置1の各種表示状態を中央制御部17が制御する。
まず、表示中の映像信号のフォーマットがコンポーネントビデオ信号(D3/D4/D5)のいずれかに属するか否かを判別し(ステップS2)、この判別条件に属する場合は、ステップS3に進み、属さない場合にはステップS4に進む。
ここで、ステップS2における表示中の映像信号のフォーマットがコンポーネントビデオ信号(D3/D4/D5)のいずれかに属するか否かを判別するための判断手段としては、例えばコンポーネントビデオ信号の1系統として構成され、信号フォーマットであるD1〜D5に応じた情報を出力するための信号フォーマット制御信号を元に表示中の映像情報に関する信号フォーマットの有無又は種別を判断するようにすればよい。また、映像信号の水平又は垂直周波数を検出することによって映像信号の種別を判断してもよい。また、ここでの判別は、セレクタ14によって自動判別することで行ってもよい。
ステップS3では、中央制御部17のROM等に記憶された1次元NR処理であるスムージング機能の調整値と、3D−DNRの調整値との関連性をまとめたルックアップテーブル(LUT1(71)とする)を選択して、EEPROM16における書き込み領域70に書き込み処理するように、中央制御部17が制御信号をEEPROM16に送出する。
一方、ステップS4では、上述の判別条件に属しない場合、例えばコンポーネントビデオ信号(D1/D2)又はアナログ信号の場合の処理でとなるが、ステップS3と同様に、中央制御部17のROM等に記憶されたLUT1とは別のルックアップテーブルであって、1次元NR処理であるスムージング機能の調整値と、3D−DNRの調整値との関連性をまとめたルックアップテーブル(LUT2(72)とする)を選択して、同じくEEPROM16における書き込み領域70に書き込み処理するように、中央制御部17がEEPROM16に制御信号を送る。
ステップS3,S4等に関し、デコーダ31等でノイズレベルの検出を行い、その結果に基づいて複数のLUTの中から好適なLUTを自動選択或いはユーザに推奨するために自動的に提示するようにしてもよい。
ステップS3でLUT1を選択した場合においては、OSDメニュー表示信号を映像信号に重畳して表示するように指示するために、操作部19又はR/C21に設けられたメニューキーの押下操作があったか否かを判断し(ステップS5)、メニューキーが押されたと判断された場合はOSD表示部18のマイクロコンピュータによってOSDメニューの表示処理がなされる(ステップS6)。このとき、メインメニューとして記憶された各種項目を表示するためにメニュー画面の表示位置等の画面表示状態を設定登録するためのレジスタと、表示されたメニュー画面上の項目選択状態を示すカーソルの表示位置及び表示色を設定登録するためのレジスタとを初期化して、画面上に初期状態の設定でメインメニューとカーソルを同時表示する。
続いて、操作部19やR/C21の上下左右各方向にカーソルキー及びカーソルに位置する項目を選択するための決定キーによって、メインメニューに対して下位層に位置するサブメニューとして記憶された項目名「ノイズリダクション」という項目を選択処理することにより(ステップS7)、NR処理に関する各種項目(「DNR」等)を、図8のように項目名「DNR」及び現在のDNR調整値(「強」/「中」/「OFF」のいずれか)を表示する処理を行う(ステップS8)。図8では、調整値設定処理における設定操作時の画面表示例を表しているが、表示画面80上に「ノイズリダクション」に関する調整値設定処理のメニュー画面81が表示され、さらにサブメニューとして、「DNR」,「輪郭補正」,「NR処理信号」,「NR機能連動」の各種項目82と、各種項目82に対するデフォルト又は現在の調整値83が表示され、選択項目から選択可能となっている。また、図8の例では、「DNR」=「強」、「輪郭補正」=「強」、「NR処理信号」=「D3」、「NR機能連動」=「する」として表示している。
ここで、「DNR」は、3D−DNR処理を行うデジタルノイズリダクション機能に関する調整値を設定するための項目で、設定中の調整値に対応したノイズ処理の度合いを同時に画面表示している。選択項目として「強」,「中」,「弱」,「OFF」がそれぞれ用意されている。
また、「輪郭補正」は、1次元NR処理を行うためのスムーサ機能に関する調整値を設定するための項目で、設定中の調整値に対応したノイズ処理の度合いを同時に画面表示している。選択項目として「強」,「中」,「弱」,「OFF」がそれぞれ用意されている。
「NR処理信号」は、現在画面表示している映像信号形式がいずれに帰属するものかを判定し、その結果にもとづいて帰属する信号形式をユーザに認識できるように表示処理を行う。「NR機能連動」は、項目「DNR」と項目「輪郭補正」の各調整値間に関連性の有無を判定するための調整値に対応した状態を表示するための項目であり、この項目が「する」という選択肢を選択することによって、3次元NR処理と1次元NR処理との間に一定の関連性を有した各種LUT(例えばLUT1(71),LUT2(72))をEEPROM16に書き込む作業を行う。以下、この項目が「する」という状態で選択されていることを前提に引き続き処理の流れを説明する。
まず、例えば項目「DNR」の調整値が「OFF」になっているか否かを判断する(ステップS9)。項目「DNR」の調整値が「OFF」になっている場合は、現在選択しているLUTはLUT1(71)であり、図5に示した項目「輪郭補正」と項目「DNR」との調整値の対応関係より、項目「輪郭補正」に関する調整値は「弱」に対応するので、項目「輪郭補正」の調整値(設定値)を「弱」に設定する(ステップS10)。この設定値を反映するために、項目「DNR」の調整値変更に伴って、項目「輪郭補正」の調整値の変更書換処理も同時に行なわれ、その書き換えられた調整値を元に中央制御部17からの読み出しが行なわれ、選択した設定値応じた各種NR処理がNR処理部32で実行される。そしてこれと同様に、LUT1(71)の対応関係に基づいて、項目「DNR」の調整値が「中」の時(ステップS11でYESの時)は、項目「輪郭補正」の調整値を「中」にするよう調整値の変更書換処理がなされ(ステップS12)、項目「DNR」の調整値が「強」の時(ステップS13でYESの時)は、項目「輪郭補正」の調整値を「強」にするよう調整値の変更書換処理が行なわれる(ステップS14)。
また一方で、ステップS4を経た過程以降の処理についても、ステップS3以降の処理と同様に、OSDのメニュー表示過程と選択過程、調整値変更過程を経て、ユーザの嗜好に応じた調整値設定操作を行うことが可能になる。なお、ステップS4を経た処理は、図7にステップS21〜ステップS30として示しているが、これらはそれぞれ、図6におけるステップS5〜S14に対応しており、LUTがLUT2(72)である点、及びステップS24で表示するDNR調整値が「強」,「中」,「弱」のいずれかである点が異なるだけで、同様の処理となっている。
上述のごとき調整値の連動を行うことで、各種NR処理に対して各種映像信号及びユーザの嗜好に応じたNR操作が実行でき、またユーザの行ったNR操作に応じて、各種NR処理の調整状態を画面上で認識することも可能となる。
1…液晶表示装置、11…アナログチューナ、12…デジタルチューナ、13…外部入力端子、14…セレクタ、15…バスライン、16…EEPROM、17…中央制御部、18…OSD表示部、19…操作部、20…受光部、21…リモートコントローラ(R/C)、30…、映像処理部、31…デコーダ、32…NR処理部(3D−DNR回路)、33…コントローラ、34…クロックバッファ半導体集積回路(クロックバッファIC)、35…スケーラ、40…液晶モジュール、41…液晶コントローラ、42…表示メモリ、43…画像処理回路、44…液晶ドライバ、45…液晶パネル、50,59…加算器、51…フレームメモリ、52…アダマール変換回路、53…非線形処理回路、54…アダマール逆変換回路、55…動きエッジ情報抽出回路、56…フィルタリング処理回路、57…帰還量決定回路、58…乗算器、61…制御手段、62…ラインメモリ、63…検出手段、64…信号拡張手段。