JP4380143B2 - 電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器 - Google Patents

電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気光学装置において、電気泳動現象を利用した電気泳動表示装置が提案されている。特に、こうした電気泳動現象として、気体若しくは真空中の微粒子(電気泳動粒子)に電界を与えたときに同粒子が泳動(浮遊など)する現象が知られており、特許文献1にはこの現象を利用した電気泳動表示装置が提案されている。
【0003】
すなわち、特許文献1では、基板間に互いに異なる帯電極性(正・負)及び色(白・黒)を有する電気泳動粒子が封入されている。そして、これら基板間に電界を与えると、これら特性の異なる電気泳動粒子が互いに異なる方向に移動(泳動)して当該方向の基板(電極)にそれぞれ付着する。このとき、対向側の基板上に分布する電気泳動粒子が見えることになる。特許文献1では、表示パネルにマトリックス状に配置させたこれら特性の異なる電気泳動粒子について、基板上に分布する電気泳動粒子をそれぞれ個別に制御することで表示濃度を制御し画像を形成している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−312225号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした電気泳動粒子は、基板上での分布を一側若しくは他側に切り替えて表示濃度を濃くしあるいは薄くする場合に、ヒステリシス特性を示す。又、こうした電気泳動粒子は、表示濃度を濃くしあるいは薄くする各場合において、互いに異なる所定の閾値電圧が存在する。
【0006】
従って、これら電気泳動粒子を用いた電気泳動表示装置の駆動では、表示濃度を変更して画像を書き換える際に一旦画像をリセットし、基板上での分布を常に一定の方向から変更するのが一般的である。例えば、こうした電気泳動表示装置の駆動方法として、いわゆる水平期間2分割法を採用したものがある。すなわち、走査線の電極(コモン電極)の選択期間を2等分して、前半で画像をリセットするとともに後半で画像の書き換えを行う。
【0007】
あるいは、こうした電気泳動表示装置の別の駆動方法として、いわゆる2フィールド法を採用したものもある。すなわち、全ての走査線を選択し終えるフィールド期間において、最初のフィールド期間で画像をリセットするとともに次のフィールド期間で画像の書き換えを行う。
【0008】
しかしながら、これら各駆動方法では、画像を書き換える際に一旦画像をリセットすることになるため、画像の変化が不連続となり、フリッカやジッタなどの表示の乱れが生じる。
【0009】
本発明の目的は、画像表示の乱れを抑制できる電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子と、前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給する第1駆動手段と、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給する第2駆動手段とを備え、前記第1駆動手段により供給される第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記第2駆動手段により供給されるデータ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成する。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第1閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を一側に特性変動させることができる。一方、前記第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第2閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を他側に特性変動させることができる。
【0012】
このように電気泳動粒子を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有する電気泳動粒子を備えた電気光学装置であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がないため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れが抑制される。
【0013】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶された直前の画像データに対する今回の画像データの増減判定を行う判定手段とを備え、前記第2駆動手段は、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給するとともに、該第1電極の第1及び第2のいずれか他方の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧を供給する。
【0014】
この態様によれば、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方の選択期間に対応してのみ前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給される。そして、第1電極の第1及び第2のいずれか他方の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧が供給される。従って、画像データの増減に応じた画像の書き換えに必要な第1及び第2のいずれか一方の選択期間においてのみデータ電圧を供給すればよいため、データ電圧の供給に対して閾値電圧(第1若しくは第2閾値電圧)の確保が困難な場合であっても、精度よく画像が表示される。換言すれば、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれか他方の選択期間での閾値電圧の条件が緩和される。
【0015】
本発明の電気光学装置の他の一態様では、前記第1駆動手段は、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給される前記第1電極の第1及び第2のいずれかの選択期間に対応して該第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給を停止する。
【0016】
この態様によれば、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給され、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれかの選択期間では、前記第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給が停止され、低消費電力化が図られる。
【0017】
本発明の電気光学装置は、第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子と、前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の該第1フィールド期間に続く第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給する第1駆動手段と、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給する第2駆動手段とを備え、前記第1駆動手段により供給される第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記第2駆動手段により供給されるデータ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成する。
【0018】
本発明の電気光学装置によれば、前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第1閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を一側に特性変動させることができる。一方、前記第1電極の第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第2閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を他側に特性変動させることができる。
【0019】
このように電気泳動粒子を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有する電気泳動粒子を備えた電気光学装置であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がないため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れが抑制される。
【0020】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶された直前の画像データに対する今回の画像データの増減判定を行う判定手段とを備え、前記第2駆動手段は、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給するとともに、該第1電極の第1及び第2のいずれか他方のフィールド期間の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧を供給する。
【0021】
この態様によれば、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間に対応してのみ前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給される。そして、第1電極の第1及び第2のいずれか他方のフィールド期間の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧が供給される。従って、画像データの増減に応じた画像の書き換えに必要な第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間においてのみデータ電圧を供給すればよいため、データ電圧の供給に対して閾値電圧(第1若しくは第2閾値電圧)の確保が困難な場合であっても、精度よく画像が表示される。換言すれば、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれか他方のフィールド期間の選択期間での閾値電圧の条件が緩和される。
【0022】
本発明の電気光学装置の他の一態様では、前記第1駆動手段は、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給される前記第1電極の第1及び第2のいずれかのフィールド期間の選択期間に対応して該第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給を停止する。
【0023】
この態様によれば、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給され、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれかのフィールド期間の選択期間では、前記第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給が停止され、低消費電力化が図られる。
【0024】
本発明の電気光学装置の駆動方法は、第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子を備えた電気光学装置の駆動方法であって、前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給し、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給し、前記第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記データ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成する。
【0025】
本発明の電気光学装置の駆動方法によれば、前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第1閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を一側に特性変動させることができる。一方、前記第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第2閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を他側に特性変動させることができる。
【0026】
このように電気泳動粒子を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有する電気泳動粒子を備えた電気光学装置の駆動方法であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がないため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れが抑制される。
【0027】
本発明の電気光学装置の駆動方法は、第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子を備えた電気光学装置の駆動方法であって、前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の該第1フィールド期間に続く第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給し、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給し、前記第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記データ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成することを要旨とする。
【0028】
本発明の電気光学装置の駆動方法によれば、前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第1閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を一側に特性変動させることができる。一方、前記第1電極の第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧が供給される。このとき、前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧が供給され、前記第1電極及び第2電極間の印加電圧が上記第2閾値電圧を跨げば、前記電気泳動粒子を他側に特性変動させることができる。
【0029】
このように電気泳動粒子を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有する電気泳動粒子を備えた電気光学装置であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がないため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れが抑制される。
【0030】
本発明の電子機器は、上述の本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、表示品質の高い画像表示を実現することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を電気光学装置としての電気泳動表示装置に具体化した第1実施形態について図1〜図6に従って説明する。
【0032】
図1において、電気泳動表示装置は電気泳動表示パネル2を備えている。その電気泳動表示パネル2は、コモン基板3とセグメント基板4と有している。コモン基板3は、ガラスや半導体、有機等の材料からなり、そのコモン基板3上には碁盤目状の隔壁5が形成されている。詳述すると、電気泳動表示パネル2には、表示領域Z1が設けられている。そして、表示領域Z1に対応するコモン基板3上に、碁盤目状の隔壁5が形成されている。この碁盤目状の隔壁5上に、セグメント基板4が形成されている。
【0033】
又、図2に併せ示すように、X方向に伸びる各隔壁5の略中間部におけるコモン基板3の上面には、それぞれ走査線Y1〜Ym(図3参照)の第1電極としてのコモン電極6が形成されている。さらに、Y方向に伸びる各隔壁5の略中間部におけるセグメント基板4の下面には、それぞれデータ線X1〜Xn(図3参照)の第2電極としてのセグメント電極7が形成されている。セグメント基板4及びセグメント電極7は、それぞれ透明の材料で形成されている。
【0034】
尚、碁盤目状に形成された隔壁5に囲まれた各空間によって分割セル10を形成している。そして、碁盤目状に形成された隔壁5、コモン基板3(コモン電極6)及びセグメント基板4(セグメント電極7)によって形成される各閉空間内には、黒色の第1電気泳動粒子8及び白色の第2電気泳動粒子9が封入されて、画素部11を形成している。従って、各画素部11は、各走査線Y1〜Ymのコモン電極6と各データ線X1〜Xnのセグメント電極7とが略直角に交差する部分に形成されている。分割セル10は、隔壁5によって区画形成しているが、例えばマイクロカプセルによって区画形成してもよい。また電気泳動粒子の均一性が保たれれば、区画はなくして同一空間にしてもよい。尚、第1電気泳動粒子8は例えば負の電荷が帯電されており、第2電気泳動粒子9は例えば正の電荷が帯電されている。
【0035】
図5は、表示領域Z1上に形成された各画素部11において、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧と表示濃度(階調)との関係を示すグラフである。又、図6は、各画素部11におけるコモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧に応じた第1電気泳動粒子8及び第2電気泳動粒子9の動作を概略的に示す説明図である。尚、図6(a)〜(d)では簡略化のために各3つずつの第1及び第2電気泳動粒子8,9でその動作を説明している。
【0036】
ここで、人が認識する階調は、セグメント基板4側であるセグメント電極7に付着する第1及び第2電気泳動粒子8,9の割合によって決定されることになる。つまり、黒色である第1電気泳動粒子8がセグメント電極7に付着する割合が大きいほど黒く、反対に白色である第2電気泳動粒子9がセグメント電極7に付着する割合が大きいほど白く見えることになる。以下、表示領域Z1上に形成された各画素部11の電気光学特性の概略について説明する。
【0037】
まず、図5において階調の最も小さい(薄い)状態Oから印加電圧をプラス側に増加すると仮定してその推移を説明する。このとき、大部分の第1電気泳動粒子8がコモン電極6に付着しており、大部分の第2電気泳動粒子9がセグメント基板4側であるセグメント電極7に付着している。この状態に対応して図示した図6(a)では、全ての第1電気泳動粒子8がコモン電極6に付着し、全ての第2電気泳動粒子9がセグメント電極7に付着する状態で表している。
【0038】
状態Oから印加電圧をプラス側に第2閾値電圧Vth2までの範囲で増加する間では、階調に変化は生じず第1及び第2電気泳動粒子8,9は図6(a)の状態を維持する。そして、第2閾値電圧Vth2を超えて印加電圧を更にプラス側に電圧Vaまで増加すると、同電圧の増加に伴って階調が増加した状態Aに移行する。このとき、図6(b)(c)に示すように電界の作用によってセグメント電極7に付着する第1電気泳動粒子8、コモン電極6に付着する第2電気泳動粒子9が徐々に増加する。反対に、コモン電極6に付着する第1電気泳動粒子8、セグメント電極7に付着する第2電気泳動粒子9が徐々に減少する。状態Aから印加電圧を更にプラス側に電圧Vbまで増加すると、階調がより大きい状態Bに移行する。
【0039】
そして、最大電圧Vmaxまで印加電圧をプラス側に更に増加すると、大部分の第1電気泳動粒子8がセグメント基板4側であるセグメント電極7に付着し、大部分の第2電気泳動粒子9がコモン電極6に付着する。この階調の最も大きい(濃い)状態に対応して図示した図6(d)では、全ての第1電気泳動粒子8がセグメント電極7に付着し、全ての第2電気泳動粒子9がコモン電極6に付着する状態で表している。
【0040】
一方、状態Aから印加電圧をマイナス側に第1閾値電圧Vth1までの範囲で減少する間では、階調に変化は生じず第1及び第2電気泳動粒子8,9はそのときの状態を維持する。そして、第1閾値電圧Vth1を下回って印加電圧を更にマイナス側に電圧Vcまで減少すると、同電圧の減少に伴って階調が減少した状態Cに移行する。このとき、上記に準じた電界の作用によってセグメント電極7に付着する第1電気泳動粒子8、コモン電極6に付着する第2電気泳動粒子9が徐々に減少する。反対に、コモン電極6に付着する第1電気泳動粒子8、セグメント電極7に付着する第2電気泳動粒子9が徐々に増加する。そして、最小電圧Vminまで印加電圧をマイナス側に更に減少すると、大部分の第1電気泳動粒子8がコモン電極6に付着し、大部分の第2電気泳動粒子9がセグメント基板4側であるセグメント電極7に付着する(図6(a)参照)。
【0041】
従って、状態Aから階調がより大きな状態Bへと移行させる場合には、第2閾値電圧Vth2を超える電圧Vbまで印加電圧を増加させる。又、状態Aから階調がより小さな状態Cへと移行させる場合には、第1閾値電圧Vth1を下回る電圧Vcまで印加電圧を減少させる。さらに、少なくとも第1閾値電圧Vth1〜第2閾値電圧Vth2の範囲で印加電圧が保持される場合には、当該状態での階調が維持される。このように、第1及び第2電気泳動粒子8,9は、第1及び第2閾値電圧Vth1,Vth2を有するヒステリシス特性を有している。尚、第1及び第2電気泳動粒子8,9の図6(d)の状態から図6(a)の状態への推移を特に一側への特性変動という。又、第1及び第2電気泳動粒子8,9の図6(a)の状態から図6(d)の状態への推移を特に他側への特性変動という。各画素部11のこのような電気光学特性を鑑みて、電気泳動表示装置の電気的な構成を以下に説明する。
【0042】
図3において、電気泳動表示装置は、表示パネル部21、走査線駆動回路22、データ線駆動回路23及び制御回路24を備えている。
表示パネル部21は、前記したその列方向(Y方向)に沿ってのびる各データ線X1〜Xnと、各行方向(X方向)に沿ってのびる走査線Y1〜Ymを有する。又、表示パネル部21は、各データ線X1〜Xnと走査線Y1〜Ymとの交差部に対応してそれぞれ単位回路21aが配置されている。各単位回路21aは、前記した第1及び第2電気泳動粒子8,9から構成されている。従って、各単位回路21aの一側及び他側の端子は、第1及び第2電気泳動粒子8,9を挟んだコモン電極6及びセグメント電極7にそれぞれ接続されている。
【0043】
走査線駆動回路22は、図示しない電源回路にて電圧供給されており、前記複数の走査線Y1〜Ymの中の1本を選択、即ち走査信号を出力してその選択された走査線に接続された単位回路21a群を駆動するための回路である。走査線駆動回路22は、本実施形態では、図1中では図示していないが、よく知られている単純マトリックスパネルの構成として、走査線駆動回路22は、前記電気泳動表示パネル2と別部品として構成し異方性導電膜等で実装している。
【0044】
走査線駆動回路22は、制御回路24からの各種信号に基づいて各走査線Y1〜Ym(コモン電極6)に対して所定のタイミングで走査信号VY1〜VYmをそれぞれ出力する。各走査信号VY1〜VYmは、当該走査線Y1〜Ym(コモン電極6)の選択期間を2等分する第1選択期間及び第2選択期間においてその電位がそれぞれ第2所定レベルとしてのVL及び第1所定レベルとしてのVHに切り換えられる。又、各走査信号VY1〜VYmは、当該走査線Y1〜Ymの非選択期間(保持期間)においてその電位がVoに切り換えられる。尚、各走査線の選択期間とは、当該走査線の一水平走査期間1Hである。そして、第1選択期間及び第2選択期間は、それぞれ半分の水平走査期間1/2Hである。
【0045】
データ線駆動回路23は、図示しない電源回路にて電圧供給されている。そして、データ線駆動回路23は、各データ線X1〜Xn(セグメント電極7)に対してデータ信号VX1〜VXnをそれぞれ出力し、そのデータ線上に接続された単位回路21aであって走査線によって選択された単位回路21aに前記データ信号を出力するための回路である。データ線駆動回路23は、本実施形態では、図1中では図示していないが、データ線駆動回路23は、前記電気泳動表示パネル2と別部品として構成し異方性導電膜等で実装している。
【0046】
コモン電極6の電位−セグメント電極7の電位の差電圧が相対的に印加される電圧として以降は説明する。各データ信号VX1〜VXnは、各画素部11の階調に応じてその信号レベルとしての電位VDが制御される。詳述すると、図5に併せ示すように走査信号の電位がVHであるときにデータ信号の電位VDが−VDmax(VDmax>0)になると、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧(VH+VDmax)が前記最大電圧Vmaxに一致するようになっている。そして、走査信号の電位がVHであってデータ信号の電位VDが−VDmaxまでの範囲で減少する間は、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第2閾値電圧Vth2を超える段階で電位VDの減少(コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧の増加)に伴って階調を増加しうるようになっている。一方、走査信号の電位がVLであるときにデータ信号の電位VDが−VDmin(VDmin<0)になると、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧(VL+VDmin)が前記最小電圧Vminに一致するようになっている。そして、走査信号の電位がVLであってデータ信号の電位VDが−VDminまでの範囲で増加する間は、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第1閾値電圧Vth1を下回る段階で電位VDの増加(コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧の減少)に伴って階調を低下しうるようになっている。
【0047】
以上により、走査信号の電位がVLである期間(第1選択期間)及びVHである期間(第2選択期間)において、階調(表示データ)に応じた電位VDを有するデータ信号を出力することで同階調を変化させることができる。換言すると、画素部11における階調に応じてデータ信号を振幅変調するいわゆる振幅変調(AM)方式を採用している。
【0048】
尚、走査信号の電位がVoであるときにデータ信号の電位VDが−VDminになるときのコモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧(Vo+VDmin)は、第1閾値電圧Vth1よりも大きくなるように下式(1)を満たすように設定されている。
【0049】
Vo+VDmin>Vth1 …(1)
従って、走査信号の電位がVoであるときに電位VDが−VDminとなるデータ信号が出力され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が最小となっても、これによって階調に変化(低下)が生じることはない。当然ながら、走査信号の電位がVH(>Vo)であるときに電位VDが−VDminとなるデータ信号が出力されても、これによって階調に変化(低下)が生じることはない。
【0050】
又、走査信号の電位がVoであるときにデータ信号の電位VDが−VDmaxになるときのコモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧(Vo+VDmax)は、第2閾値電圧Vth2よりも小さくなるように下式(2)を満たすように設定されている。
【0051】
Vo+VDmax<Vth2 …(2)
従って、走査信号の電位がVoであるときに電位VDが−VDmaxとなるデータ信号が出力され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が最大となっても、これによって階調に変化(増加)が生じることはない。当然ながら、走査信号の電位がVL(<Vo)であるときに電位VDが−VDmaxとなるデータ信号が出力されても、これによって階調に変化(増加)が生じることはない。
【0052】
前記走査線駆動回路22及びデータ線駆動回路23を制御する制御回路24は、図示しない外部装置から入力画像信号VID及び基本クロックCLKを入力する。制御回路24は、入力画像信号VIDに基づいて画像データDを生成し、その画像データDを前記データ線駆動回路23に出力する。この画像データDは、データ線駆動回路23においてデータ信号の電位VDの設定に供される。又、制御回路24は、前記基本クロックCLKに基づいてデータ信号を出力するタイミングを決定するためのデータ線側制御クロック信号CLKXをデータ線駆動回路23に出力する。さらに、制御回路24は、前記基本クロックCLKに基づいて前記走査信号VY1〜VYmを出力するタイミングを決定するための走査線側制御クロック信号CLKYを走査線駆動回路22に出力するようになっている。
【0053】
次に、図4のタイムチャートに基づきこの電気泳動表示装置の動作について説明する。尚、本実施形態では、電気泳動表示装置の駆動方法として、いわゆる水平期間2分割法を採用したものとして説明を行う。ただし、電気泳動表示装置の駆動方法として、その他種々の駆動方法を採用してもよいことは言うまでもない。
【0054】
図4は、水平期間2分割法において、1行目及び2行目の走査線Y1,Y2に印加される走査信号VY1,VY2、1列目のデータ線X1に印加されるデータ信号VX1、1行1列の画素部11に印加される電圧V(X1、Y1)の波形例を示すタイムチャートである。尚、任意のi行(1≦i≦mを満たす整数)目の走査線Yi、j列(1≦j≦nを満たす整数)目のデータ線Xjに当てはめた場合についても以下の説明が同様に成り立つのはいうまでもない。
【0055】
図4において、選択期間の第1選択期間にある走査線Y1(コモン電極6)に対し、走査線駆動回路22は走査信号VY1の電位がVLとなる第1選択電圧を供給する。又、選択期間の第2選択期間にある走査線Y1(コモン電極6)に対し、走査線駆動回路22は走査信号VY1の電位がVHとなる第2選択電圧を供給する。そして、当該走査線Y1が非選択期間(保持期間)に移行すると、走査線駆動回路22は同走査線Y1に対して走査信号VY1の電位がVoとなる非選択電圧(保持電圧)を供給する。
【0056】
又、走査線Y1が非選択期間(保持期間)に移行すると、次の走査線Y2が選択期間に移行して、上記と同様に走査信号VY2が推移する。以降、全ての走査線について同様に走査信号が推移する。尚、全ての走査線Y1〜Ymが一巡して選択され終わる期間を1フィールド期間1F(一垂直走査期間)という。当該走査線Y1の前回の選択から1フィールド期間を経過すると、同走査線は新たな選択期間に移行し、上記と同様に走査信号が推移する。
【0057】
一方、データ線駆動回路23は、データ線X1(セグメント電極7)に対し、走査線Y1,Y2の各選択期間においてデータ信号VX1の電位(振幅)がそれぞれVD11、VD12となるデータ電圧を供給する。これらデータ電圧は、前記制御回路24からの画像データDに基づく各画素部11の階調に応じて制御されるものである。
【0058】
コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧である電圧V(X1,Y1)は、第2閾値電圧Vth2を超えたときに画素部11の階調を増加させ、第1閾値電圧Vth1を下回ったときに画素部11の階調を低下させる。従って、図4において走査線Y1の最初の選択期間では、第1選択期間において画素部11の階調が変化(減少)する。又、走査線Y1の次の選択期間では、第2選択期間において画素部11の階調が変化(増加)する。いうまでもなく、画素部11の階調は、第2閾値電圧Vth2を超える電圧若しくは第1閾値電圧Vth1を下回る電圧の程度に応じて段階的に変化する(図5参照)。すなわち、画像データDに基づくデータ信号VX1の電位(振幅)に応じて、画素部11において中間調での表示が可能となっている。換言すれば、画素部11に与えるべき階調を大きく増加するほど電圧V(X1,Y1)の第2閾値電圧Vth2を超える程度が大きくなり、同大きく低下するほど電圧V(X1,Y1)の第1閾値電圧Vth1を下回る程度が大きくなるように、データ信号VX1の電位が設定されている。
【0059】
尚、走査信号が非選択電圧(Vo)であるときに電位VDが−VDminとなるデータ信号が出力され、電圧V(X1,Y1)が最小となっても、これによって階調に変化(低下)が生じることがないことは既述のとおりである。又、走査信号が非選択電圧(Vo)であるときに電位VDが−VDmaxとなるデータ信号が出力され、電圧V(X1,Y1)が最大となっても、これによって階調に変化(増加)が生じることがないことも既述のとおりである。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、コモン電極6(走査線)の選択期間を2分した一方の第1選択期間においてコモン電極6に対し第1閾値電圧Vth1に応じたVLの電位を有する第1選択電圧が供給される。このとき、コモン電極6の選択期間に対応して前記セグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第1閾値電圧Vth1を下回れば、第1及び第2電気泳動粒子8,9を一側に特性変動させることができる。一方、コモン電極6の選択期間を2分した他方の第2選択期間においてコモン電極6に対し第2閾値電圧Vth2に応じたVHの電位を有する第2選択電圧が供給される。このとき、コモン電極6の選択期間に対応してセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第2閾値電圧Vth2を超えれば、第1及び第2電気泳動粒子8,9を他側に特性変動させることができる。
【0061】
このように第1及び第2電気泳動粒子8,9を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1及び第2閾値電圧Vth1,Vth2を有するヒステリシス特性を有する第1及び第2電気泳動粒子8,9を備えた電気光学装置であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がない。このため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れを抑制できる。
【0062】
(2)本実施形態では、セグメント電極7へのデータ電圧の供給は、コモン電極6の第1及び第2選択期間を区別することなく行えばよいため、データ線駆動回路23の回路構成を簡易化できる。
【0063】
(第2実施形態)
以下、本発明を電気泳動表示装置に具体化した第2実施形態について図7に従って説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態における画素部11の駆動態様を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0064】
図7は、水平期間2分割法において、1行目及び2行目の走査線Y1,Y2に印加される走査信号VY1,VY2、1列目のデータ線X1に印加されるデータ信号VX1、1行1列の画素部11に印加される電圧V(X1、Y1)の波形例を示すタイムチャートである。尚、任意のi行(1≦i≦mを満たす整数)目の走査線Yi、j列(1≦j≦nを満たす整数)目のデータ線Xjに当てはめた場合についても以下の説明が同様に成り立つのはいうまでもない。
【0065】
図7において、走査線Y1,Y2は、その選択期間(第1及び第2選択期間)及び非選択期間(保持期間)に応じて第1実施形態と同様に推移する。
一方、本実施形態におけるデータ線駆動回路23は、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調(表示データ)が前回のフィールド期間での同階調よりも低下する場合のみ、データ電圧を供給する。すなわち、データ線駆動回路23は、走査線Y1の第1選択期間に対応してデータ線X1(セグメント電極7)に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVD11となるデータ電圧を供給する。そして、データ線駆動回路23は、走査線Y1の第2選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)が所定レベルとしてのVoとなるホールド電圧を供給する。
【0066】
又、データ線駆動回路23は、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調(表示データ)が前回のフィールド期間での同階調よりも増加する場合のみ、走査線Y1の第2選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVD11となるデータ電圧を供給する。そして、データ線駆動回路23は、走査線Y1の第1選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧を供給する。尚、このような前回及び今回のフィールド期間における階調(表示データ)の増減判定は、前回のフィールド期間における各画素部11の階調(表示データ)を記憶手段としてのメモリに格納しておいて、例えば判定手段としての比較回路にて比較することで容易に実現しうる。
【0067】
図7では、上記階調の増減判定に応じたデータ信号VX1の推移を、便宜的に縦線及び横線を付して図示している。即ち、走査線Y1の第1選択期間に対応して縦線の付された期間では、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間での同階調よりも低下する場合のみ、データ線X1に対してデータ電圧が供給される。
【0068】
ここでは、走査線Y1の最初の選択期間の第1選択期間において、データ信号VX1の電位(振幅)がVD11(n)となるデータ電圧が供給される例を示している。このデータ電圧は、前記制御回路24からの画像データDに基づく各画素部11の階調に応じて制御されることはいうまでもない。一方、この縦線の付された期間では、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間での同階調よりも増加するとき、データ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧が供給される。
【0069】
又、走査線Y1の第2選択期間に対応して横線の付された期間では、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間での同階調よりも増加する場合のみ、データ線X1に対してデータ電圧が供給される。
【0070】
ここでは、走査線Y1の次の選択期間の第2選択期間において、データ信号VX1の電位(振幅)がVD11(n+1)となるデータ電圧が供給される例を示している。このデータ電圧は、前記制御回路24からの画像データDに基づく各画素部11の階調に応じて制御されることはいうまでもない。一方、この横線の付された期間では、今回のフィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間での同階調よりも低下するとき、データ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧が供給される。
【0071】
特に、前回及び今回のフィールド期間における階調が変化しないとき、走査線Y1の選択期間に対応して縦線及び横線の付された両期間を通じて、データ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧が供給される。
【0072】
コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧である電圧V(X1,Y1)は、第2閾値電圧Vth2を超えたときに画素部11の階調を増加させ、第1閾値電圧Vth1を下回ったときに画素部11の階調を低下させる。従って、図7において走査線Y1の最初の選択期間では、第1選択期間において画素部11の階調が変化(減少)する。又、走査線Y1の次の選択期間では、第2選択期間において画素部11の階調が変化(増加)する。いうまでもなく、画素部11の階調は、第2閾値電圧Vth2を超える電圧若しくは第1閾値電圧Vth1を下回る電圧の程度に応じて段階的に変化する(図5参照)。すなわち、画像データDに基づくデータ信号VX1の電位(振幅)に応じて、画素部11において中間調での表示が可能となっている。画素部11の階調を変化させる場合にのみ、前回及び今回のフィールド期間における階調の増減判定に応じて第1若しくは第2のいずれかの選択期間にデータ信号VX1の電位(振幅)を変化させるのは既述のとおりである。
【0073】
尚、走査信号の電位がVoであるとき、第1実施形態における(1)(2)式を満たす必要があるのはいうまでもない。第2実施例では、ホールド電圧に関しても同様な条件が必要とされる。詳細に説明すると、走査線Y1の第1選択期間においてデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧が供給されると、電圧V(X1,Y1)は(VL−Vo)となる。このときに階調に変化(減少)が生じることがないように、下式(3)を満たすように設定されている。
【0074】
VL−Vo>Vth1 …(3)
又、走査線Y1の第2選択期間においてデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧が供給されると、電圧V(X1,Y1)は(VH−Vo)となる。このときに階調に変化(増加)が生じることがないように、下式(4)を満たすように設定されている。
【0075】
VH−Vo<Vth2 …(4)
ちなみに、データ信号VX1のホールド電圧の電位は、走査信号VY1の非選択電圧(保持電圧)の電位であるVoに限定されるものではなく、電位VL,VH間の任意の電位Vholdであればよい。特に、データ電圧の供給は、第1及び第2選択期間において選択的に行われるため、各選択期間におけるホールド電圧の電位を第1及び第2閾値電圧Vth1,Vth2の制約に応じて個別に設定してもよい。要は、上記両条件式においてVoをVholdに置き換えた場合に同条件式が成立すればよい。
【0076】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、画像データの増減に応じて、コモン電極6の第1及び第2のいずれか一方の選択期間に対応してのみセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給される。そして、コモン電極6の第1及び第2のいずれか他方の選択期間に対応してセグメント電極7に対し電位がVoとなるホールド電圧が供給される。従って、画像データの増減に応じた画像の書き換えに必要な第1及び第2のいずれか一方の選択期間においてのみデータ電圧を供給することによって、データ電圧の供給に対して閾値電圧(第1若しくは第2閾値電圧Vth1,Vth2)の確保が困難な場合であっても、精度よく画像を表示できる。換言すれば、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれか他方の選択期間での第1若しくは第2閾値電圧Vth1,Vth2の条件を緩和できる。
【0077】
(第3実施形態)
以下、本発明を電気泳動表示装置に具体化した第3実施形態について図8に従って説明する。尚、第3実施形態は、第1及び第2実施形態における画素部11の駆動態様を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。本実施形態では、電気泳動表示装置の駆動方法として、いわゆる2フィールド法を採用している。
【0078】
図8は、2フィールド法において、1行目及び2行目の走査線Y1,Y2に印加される走査信号VY1,VY2、1列目のデータ線X1に印加されるデータ信号VX1、1行1列の画素部11に印加される電圧V(X1、Y1)の波形例を示すタイムチャートである。尚、任意のi行(1≦i≦mを満たす整数)目の走査線Yi、j列(1≦j≦nを満たす整数)目のデータ線Xjに当てはめた場合についても以下の説明が同様に成り立つのはいうまでもない。
【0079】
図8において、最初のフィールド期間(以下、第1フィールド期間という)の選択期間にある走査線Y1(コモン電極6)に対し、走査線駆動回路22は走査信号VY1の電位がVLとなる第1選択電圧を供給する。そして、当該走査線Y1が非選択期間(保持期間)に移行すると、走査線駆動回路22は同走査線Y1に対して走査信号VY1の電位がVoとなる非選択電圧(保持電圧)を供給する。又、走査線Y1が非選択期間(保持期間)に移行すると、次の走査線Y2が選択期間に移行して、上記と同様に走査信号VY2が推移する。以降、全ての走査線について同様に走査信号が推移する。
【0080】
第1フィールド期間を終了した次のフィールド期間(以下、第2フィールド期間という)の選択期間にある走査線Y1(コモン電極6)に対し、走査線駆動回路22は走査信号VY1の電位がVHとなる第2選択電圧を供給する。
【0081】
一方、本実施形態におけるデータ線駆動回路23は、第1フィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間(直前の第2フィールド期間)での同階調よりも低下する場合のみ、データ電圧を供給する。すなわち、データ線駆動回路23は、走査線Y1の選択期間に対応してデータ線X1(セグメント電極7)に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVD11となるデータ電圧を供給する。
【0082】
ここでは、走査線Y1の第1フィールド期間の選択期間において、データ信号VX1の電位(振幅)がVD11(n)となるデータ電圧が供給される例を示している。このデータ電圧は、前記制御回路24からの画像データDに基づく各画素部11の階調に応じて制御されることはいうまでもない。又、第1フィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間(直前の第2フィールド期間)での同階調よりも減少しない場合、データ線駆動回路23は、走査線Y1の選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧を供給する。
【0083】
又、データ線駆動回路23は、第1フィールド期間を終了した次のフィールド期間(第2フィールド期間)において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間(直前の第1フィールド期間)での同階調よりも増加する場合のみ、データ電圧を供給する。すなわち、データ線駆動回路23は、走査線Y1の選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVD11となるデータ電圧を供給する。
【0084】
ここでは、走査線Y1の第2フィールド期間の選択期間において、データ信号VX1の電位(振幅)がVD11(n+1)となるデータ電圧が供給される例を示している。このデータ電圧は、前記制御回路24からの画像データDに基づく各画素部11の階調に応じて制御されることはいうまでもない。又、第2フィールド期間において当該画素部11の階調が前回のフィールド期間(直前の第1フィールド期間)での同階調よりも増加しない場合、データ線駆動回路23は、走査線Y1の選択期間に対応してデータ線X1に対してデータ信号VX1の電位(振幅)がVoとなるホールド電圧を供給する。尚、このような前回及び今回のフィールド期間における階調(表示データ)の増減判定は、前回のフィールド期間における各画素部11の階調(表示データ)をメモリに格納しておいて、例えば比較回路にて比較することで容易に実現しうる。
【0085】
コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧である電圧V(X1,Y1)は、第2閾値電圧Vth2を超えたときに画素部11の階調を増加させ、第1閾値電圧Vth1を下回ったときに画素部11の階調を低下させる。従って、図8において走査線Y1の第1フィールド期間の選択期間において画素部11の階調が変化(減少)する。又、走査線Y1の当該第1フィールド期間を終了した次のフィールド期間(第2フィールド期間)の選択期間において画素部11の階調が変化(増加)する。いうまでもなく、画素部11の階調は、第2閾値電圧Vth2を超える電圧若しくは第1閾値電圧Vth1を下回る電圧の程度に応じて段階的に変化する(図5参照)。すなわち、画像データDに基づくデータ信号VX1の電位(振幅)に応じて、画素部11において中間調での表示が可能となっている。画素部11の階調を変化させる場合にのみ、前回及び今回のフィールド期間における階調の増減判定に応じて第1若しくは第2のいずれかのフィールド期間の選択期間にデータ信号VX1の電位(振幅)を変化させるのは既述のとおりである。
【0086】
尚、走査信号の電位がVoであるとき、第1実施形態における(1)(2)式、第2実施形態における(3)(4)式を満たす必要があるのはいうまでもない。
【0087】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)の効果に加えて(2)に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、コモン電極6の第1フィールド期間の選択期間においてコモン電極6に対し第2閾値電圧Vth2に応じたVHの電位を有する第1選択電圧が供給される。このとき、コモン電極6の選択期間に対応してセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第2閾値電圧Vth2を超えれば、第1及び第2電気泳動粒子8,9を他側に特性変動させることができる。一方、コモン電極6の第2フィールド期間の選択期間においてコモン電極6に対し第1閾値電圧Vth1に応じたVLの電位を有する第2選択電圧が供給される。このとき、コモン電極6の選択期間に対応してセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給され、コモン電極6及びセグメント電極7間の印加電圧が第1閾値電圧Vth1を下回れば、第1及び第2電気泳動粒子8,9を一側に特性変動させることができる。
【0088】
このように第1及び第2電気泳動粒子8,9を一側及び他側のいずれにも特性変動させることで、当該特性変動に対応した画像を形成できる。すなわち、上記印加電圧に対し第1及び第2閾値電圧Vth1,Vth2を有するヒステリシス特性を有する第1及び第2電気泳動粒子8,9を備えた電気光学装置であっても、画像の書き換えの都度、リセット処理をする必要がない。このため、画像の変化が不連続となることによるフリッカやジッタなどの表示の乱れを抑制できる。
【0089】
(2)本実施形態では、画像データの増減に応じて、コモン電極6の第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間に対応してのみセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧が供給される。そして、コモン電極6の第1及び第2のいずれか他方のフィールド期間の選択期間に対応してセグメント電極7に対し電位がVoとなるホールド電圧が供給される。従って、画像データの増減に応じた画像の書き換えに必要な第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間においてのみデータ電圧を供給することによって、データ電圧の供給に対して閾値電圧(第1若しくは第2閾値電圧Vth1,Vth2)の確保が困難な場合であっても、精度よく画像を表示できる。換言すれば、画像の書き換えに不要な第1及び第2のいずれか他方の選択期間での第1若しくは第2閾値電圧Vth1,Vth2の条件を緩和できる。
【0090】
(電子機器)
次に、上述した各実施形態に係る電気光学装置を電子機器に用いた例について説明する。こうした電気光学装置は、パーソナルコンピュータ、モバイル型コンピュータ、屋外の標識、広告板、カーナビゲーション装置、携帯電話、デジタルスチルカメラ、投射型表示装置、テレビ、ページャ、電子手帳、電子書籍、電卓、ワードプロセッサ、ビューファインダー型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の種々の電子機器に適用可能である。電気泳動表示装置では、透過型・半透過型の液晶表示装置で必要とされるバックライトが不要であるため、各電子機器を小型軽量化することができる。そして、その消費電力を大幅に削減することが可能である。その結果、各機器は、低消費電力と十分な表示品位の両立を実現することができる。
【0091】
<モバイル型コンピュータ>
まず、上述し電気光学装置を、パーソナルコンピュータの表示部に適用した例について説明する。図9は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。この図において、コンピュータ60は、キーボード61を備えた本体部62と、上述した電気光学装置を用いた表示装置63とを備えている。
【0092】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
【0093】
・前記第1及び第2実施形態においては、各走査線Y1〜Ymを順番に選択して対応する選択期間(第1若しくは第2選択期間)に画像の書き換え(階調の変更)を行った。これに対し、各フィールド期間において前回のフィールド期間から階調が変化する画素部11の走査線若しくは走査線のブロックのみを選択して画像の書き換え(階調の変更)を行う、いわゆるブロック(パーシャル)水平期間法を電気泳動表示装置の駆動方法として採用してもよい。この場合、1フィールド期間を一定として選択される走査線数に応じて各走査線の選択期間を等分してもよい。あるいは、各走査線の選択期間を一定として選択される走査線数に応じて1フィールド期間を伸縮してもよい。
【0094】
・前記第2実施形態において、走査線の選択期間であってデータ線(セグメント電極7)にデータ電圧を供給しない(ホールド電圧を供給する)間(第1及び第2のいずれかの選択期間)には、対応する選択電圧(第1若しくは第2選択電圧)の供給を停止してもよい。この場合、選択電圧の供給を停止する分、低消費電力化を図ることができる。
【0095】
・前記第3実施形態において、走査線の選択期間であってデータ線(セグメント電極7)にデータ電圧を供給しない(ホールド電圧を供給する)間(第1及び第2のいずれかのフィールド期間の選択期間)には、対応する選択電圧(第1若しくは第2選択電圧)の供給を停止してもよい。この場合、選択電圧の供給を停止する分、低消費電力化を図ることができる。
【0096】
・前記第3実施形態においては、画像データの増減に応じて、コモン電極6の第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間に対応してのみセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧を供給するようにした。これに対し、画像データの増減判定をすることなく、第1及び第2フィールド期間の両選択期間に対応してセグメント電極7に対し画像データに応じた電位VDを有するデータ電圧を供給するようにしてもよい。この場合、セグメント電極7へのデータ電圧の供給は、コモン電極6の第1及び第2フィールド期間の選択期間を区別することなく行えばよいため、データ線駆動回路23の回路構成を簡易化できる。
【0097】
・前記第3実施形態においては、第1及び第2フィールド期間において、各走査線Y1〜Ymを順番に選択して対応するフィールド期間の選択期間に画像の書き換え(階調の変更)を行った。これに対し、各フィールド期間において前回のフィールド期間から諧調が変化する画素部11の走査線若しくは走査線のブロックのみを選択して画像の書き換え(階調の変更)を行う、いわゆるブロック(パーシャル)水平期間法を電気泳動表示装置の駆動方法として採用してもよい。この場合、階調を減少させる第1フィールド期間、階調を増加させる第2フィールド期間において、選択される走査線は同じであってもよいし、異なっていてもよい。又、第1若しくは第2フィールド期間を一定として選択される走査線数に応じて各走査線の選択期間を等分してもよい。あるいは、各走査線の選択期間を一定として選択される走査線数に応じて第1若しくは第2フィールド期間をそれぞれ伸縮してもよい。
【0098】
・前記各実施形態においては、電気泳動粒子の特性変動として、印加電圧に応じてコモン電極6及びセグメント電極7に付着する第1及び第2電気泳動粒子8,9の分布の変動を利用した。このような特性変動の前提となる第1及び第2電気泳動粒子8,9の帯電極性は一例であって、例えば第1電気泳動粒子8に正の電荷が帯電し、第2電気泳動粒子9に負の電荷が帯電する材料を採用していてもよい。このような極性の逆転は、印加電圧の極性に対する表示濃度の逆転が生じるのみである。
【0099】
・前記各実施形態においては、電気泳動粒子の特性変動として、印加電圧に応じてコモン電極6及びセグメント電極7に付着する第1及び第2電気泳動粒子8,9の分布の変動を利用した。こうした印加電圧による電気泳動粒子の特性変動としては、これに限定されるものではなくその他の空間的な状態変動を利用してもよい。例えば、印加電圧により電気泳動粒子を浮遊状態にしたときのカサ密度の変動を利用してもよい。このときの電気泳動粒子の特性変動は、粒子同士の支持力によって保持されるものである。こうした電気泳動粒子の特性変動は、単に材料的な特性変動態様の相違に過ぎず、電気光学効果の観点からは本発明を何ら逸脱するものではない。
【0100】
・前記各実施形態においては、互いに色の異なる2種類の電気泳動粒子を用いて画像形成した。これに対し、電気泳動粒子の色と背景色との区別を明確にできるのであれば、1種類の電気泳動粒子のみを用いて画像形成してもよい。
【0101】
・前記各実施形態においては、隔壁5により分割セル10を形成した画素部11を形成した。こうした分割セルをマイクロカプセルにて形成した画素部を採用してもよい。あるいは、こうした分割セルの形成を割愛してもよい。
【0102】
・前記各実施形態において、第1及び第2電気泳動粒子8,9をコモン電極6及びセグメント電極7で挟んだ形状とは、単にサンドイッチ状に挟んだ形状に限定されるものではない。例えばコモン電極6の一部若しくは全部が隔壁5内に埋設される形状や、コモン電極6の一部が隔壁5に沿ってセグメント電極7側に屈曲される形状であってもよい。或いは、セグメント電極7の一部若しくは全部が隔壁5内に埋設される形状や、セグメント電極7の一部が隔壁5に沿ってコモン電極6側に屈曲される形状であってもよい。要は、電気泳動粒子が特性変動を生じうるような方向性を有して電界を作用できるのであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示パネルを示す分解斜視図。
【図2】電気泳動表示パネルの要部断面図。
【図3】電気泳動表示装置の電気的構成を示す回路図。
【図4】電気泳動表示装置の駆動態様を示すタイムチャート。
【図5】電気泳動粒子の電気光学特性を示すグラフ。
【図6】電気泳動粒子の電気光学特性を示す模式図。
【図7】第2実施形態の駆動態様を示すタイムチャート。
【図8】第3実施形態の駆動態様を示すタイムチャート。
【図9】モバイル型コンピュータの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
21…表示パネル部、6…第1電極としてのコモン電極、7…第2電極としてのセグメント電極、8…電気泳動粒子としての第1電気泳動粒子、9…電気泳動粒子としての第2電気泳動粒子、22…第1駆動手段としての走査線駆動回路、23…第2駆動手段としてのデータ線駆動回路。

Claims (9)

  1. 第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子と、
    前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給する第1駆動手段と、
    前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給する第2駆動手段とを備え、
    前記第1駆動手段により供給される第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記第2駆動手段により供給されるデータ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成することを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記画像データを記憶する記憶手段と、
    前記記憶された直前の画像データに対する今回の画像データの増減判定を行う判定手段とを備え、
    前記第2駆動手段は、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給するとともに、該第1電極の第1及び第2のいずれか他方の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧を供給することを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
  3. 前記第1駆動手段は、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給される前記第1電極の第1及び第2のいずれかの選択期間に対応して該第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給を停止することを特徴とする請求項2記載の電気光学装置。
  4. 第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子と、
    前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の該第1フィールド期間に続く第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給する第1駆動手段と、
    前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給する第2駆動手段とを備え、
    前記第1駆動手段により供給される第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記第2駆動手段により供給されるデータ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成することを特徴とする電気光学装置。
  5. 前記画像データを記憶する記憶手段と、
    前記記憶された直前の画像データに対する今回の画像データの増減判定を行う判定手段とを備え、
    前記第2駆動手段は、前記判定された画像データの増減に応じて、前記第1電極の第1及び第2のいずれか一方のフィールド期間の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給するとともに、該第1電極の第1及び第2のいずれか他方のフィールド期間の選択期間に対応して前記第2電極に対し所定レベルを有するホールド電圧を供給することを特徴とする請求項4記載の電気光学装置。
  6. 前記第1駆動手段は、前記第2電極に対して前記ホールド電圧が供給される前記第1電極の第1及び第2のいずれかのフィールド期間の選択期間に対応して該第1電極に対する前記第1及び第2のいずれかの選択電圧の供給を停止することを特徴とする請求項5記載の電気光学装置。
  7. 第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子を備えた電気光学装置の駆動方法であって、
    前記第1電極の選択期間を2分した一方の第1選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の選択期間を2分した他方の第2選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給し、
    前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給し、
    前記第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記データ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成することを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
  8. 第1電極と第2電極との間に挟まれ、該第1電極及び第2電極間の印加電圧に対し第1閾値電圧及び第2閾値電圧を有するヒステリシス特性を有して一側及び他側にそれぞれ特性変動する電気泳動粒子を備えた電気光学装置の駆動方法であって、
    前記第1電極の第1フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第1閾値電圧に応じた第1所定レベルを有する第1選択電圧を供給するとともに、該第1電極の該第1フィールド期間に続く第2フィールド期間の選択期間において該第1電極に対し前記第2閾値電圧に応じた第2所定レベルを有する第2選択電圧を供給し、
    前記第1電極の選択期間に対応して前記第2電極に対し画像データに応じた信号レベルを有するデータ電圧を供給し、
    前記第1及び第2のいずれかの選択電圧と前記データ電圧とに基づく前記第1電極及び第2電極間の印加電圧に基づき前記電気泳動粒子の特性変動を制御して画像形成することを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
  9. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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