JP2004085606A - 電気光学装置、電気光学装置の駆動方法及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電圧調整回路500は可変抵抗を含んで構成されている。この可変抵抗の抵抗値を利用者が変更した場合、電圧調整回路500はデジタル電圧信号をコントローラ300に出力する。コントローラ300は、電気泳動表示パネルAに対する表示動作に対して割込処理を実行する。ここでは、電気泳動表示パネルAのリセット動作を行ない、データ線の基準駆動電圧の設定指示を行なう。データ線駆動電圧電源510はコントローラ300からの指示に基づいて基準駆動電圧を調整しデータ線駆動回路140に提供する。割込復帰した場合には、新たに設定された基準駆動電圧に基づいて書込動作を再開する。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動粒子を含有する分散系を封入した複数の分割セルから構成された電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非発光型の表示デバイスとして、電気泳動現象を利用した電気泳動表示装置が知られている。ここで、電気泳動現象とは、液体中(分散媒)に微粒子(電気泳動粒子)を分散させた分散系に、電界を印加したときに粒子がクーロン力により泳動する現象である。
【0003】
このような電気泳動表示装置は、一方の電極と他方の電極とを所定の間隔で対向させ、その間に分散系を封入した分割セルを配置して構成されている。そして、電気泳動表示装置は、分散系に電界を印加するための周辺回路を備えている。まず、図15に示す電気泳動表示パネルの部分断面図を用いて説明する。
【0004】
図15に示すように電気泳動表示パネルは、画素電極104等が形成された半導体等の素子基板100と、平面状の共通電極201等が形成された対向基板200とから構成されている。素子基板100と対向基板200とは一定の間隙を保って各々の電極形成面が対向するように貼り合わされている。この間隙には、画像の表示単位である画素に対して所定の大きさに分けられ、分散系10を内包する分割セル15が設けられている。この分割セル15には、マイクロカプセルを用いることも可能である。
【0005】
この分散系10は、分散媒11に電気泳動粒子12を分散させたものである。分散媒11には、界面活性剤等の添加剤が必要に応じて添加されている。分散系10では、電気泳動粒子12の重力による沈降等を避けるため、分散媒11の比重と電気泳動粒子12の比重とがほぼ等しくなるように設定されている。
【0006】
このように分散系10では、電気泳動粒子12の泳動可能な領域が分割セル15の内部に制限される。これにより、分散系10内の電気泳動粒子12の分散が偏ったりする現象や、複数の粒子が結合して大きな塊になったりする凝集を防止することができる。
【0007】
素子基板100の表面には、表示領域と周辺回路を設けた周辺領域とが設けられている。表示領域は上述した画素電極104の他に、後述する走査線、データ線およびスイチッング素子として機能する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと称する)が形成されている。一方、素子基板100の周辺領域には、後述する走査線駆動回路やデータ線駆動回路等が形成されている。
【0008】
次に、画素電極104に電圧を印加した場合の作用を説明する。画素電極104と共通電極201との電極間に電位差を与えると電界が生じる。これにより帯電した電気泳動粒子12はどちらか一方の電極に引き寄せられる。ここで、分散媒11を着色するとともに電気泳動粒子12を着色粒子で構成する。分散媒11の着色は染料でも、顔料でもよい。ここでは染料で着色しているとして説明する。そして、共通電極201および対向基板200として透過性を有する材料を用いた場合、電気泳動粒子12の色または分散媒11の色が見える。これにより、各電極に印加する電圧を制御することによって画像を表示することができる。
【0009】
次に、階調表示の原理を図16、図17を用いて説明する。図16、図17は分割セル15の構造を簡略化して示した断面図である。まず、電気泳動表示装置のリセット動作を行なう。このリセット動作では、電気泳動粒子12が画素電極104側に引き寄せられる。正電荷が帯電した電気泳動粒子12を用いる場合、共通電極201の電圧を基準として負極性の電圧を画素電極104に印加する。この場合、図16に示すように電気泳動粒子12は画素電極104に引き寄せられる。
【0010】
次に、表示すべき階調に応じた正極性の電圧を画素電極104に印加する。すると、図17に示すように電界によって電気泳動粒子12は共通電極201側に移動する。所定時間の経過後に、両電極間の電位差をゼロにすると電界が作用しなくなり、電気泳動粒子12は分散媒11の粘性抵抗によって停止する。この場合、電気泳動粒子12の移動速度は、電界強度、すなわち印加電圧に応じて定まる。そして、電気泳動粒子12の移動距離は、印加電圧と印加時間に応じて定まることになる。したがって、印加時間を一定にすれば、印加電圧を調整することによって、電気泳動粒子12の厚さ方向の位置を制御できる。
【0011】
共通電極201側から入射した光は電気泳動粒子12によって反射され、この反射光が共通電極201を通過して観測される。入射光と反射光は分散媒11によって吸収され、その吸収の程度は光路長に比例する。したがって、共通電極201から観察した場合、電気泳動粒子12の位置によって階調を定めることができる。上述したように、印加時間を一定にしたとき電気泳動粒子12の位置は印加電圧に応じて定まるから、印加電圧を調整することにより所望の階調表示を行なうことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、階調表示は様々な照明環境のもとで見え方が異なる。このため、人間の目の特性を考慮して、一定の見やすさ(表示品質)を確保する必要がある。例えば、晴天の外部等の明るい場所では表示が眩しくなる場合もある。透過型LCDや自発光型表示素子のように能動的に光を発する表示装置では表示素子の発光強度を調節することが可能である。しかし、電気泳動表示装置においては表示品質を改善するために、これらの表示装置とは異なる手段を採用する必要がある。
【0013】
また、周囲温度の変化は表示品質を低下させる原因になる可能性がある。例えば、分散媒11の粘性抵抗が周囲温度により変化することがある。すなわち、電気泳動粒子12の分散媒11中の移動速度は主として印加電圧によって決まるが、分散媒11には粘性抵抗があるため、その影響を受けることになる。この粘性抵抗には温度依存性があるため、周囲温度が変化すると電気泳動粒子12の移動速度や移動距離が変化し、所望の階調表示を得ることができなくなることもある。したがって、階調表示を正確に行なうためには、温度変化に応じて何らかの温度補正を行なう必要がある。
【0014】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、より高い表示品質を維持する電気光学装置、電気光学装置の駆動方法および電子機器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明における電気光学装置は、共通電極と、前記共通電極に対向した画素電極と、各画素電極に接続されたスイッチング素子とを有し、前記共通電極と前記画素電極との間に電気泳動粒子を含有する分散系を備え、前記共通電極と前記画素電極との間の電位差とこの印加時間とを乗算した基準値を用いて、前記電気泳動粒子を移動させて表示させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、センサとを有する電気光学装置であって、前記制御手段が、前記センサからの出力に応じて前記基準値を変更するための処理を実行する。
【0016】
これによれば、センサからの出力に応じて、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。その結果、センサが感知した状況に応じて、より適した表示状態に変更できる。
【0017】
この電気光学装置において、前記センサは温度センサであり、前記制御手段は、前記温度センサの出力変化に基づいて前記基準値を変更するための処理を実行する。
【0018】
これによれば、温度により基準値が変更され、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。例えば、気温の変化が大きい場所でも見やすい表示を行なうことができる。
【0019】
この電気光学装置において、前記制御手段は、前記温度センサの出力と前記基準値との変換表を有し、この変換表を用いて基準値を変更するための処理を実行する。
【0020】
これによれば、温度に関する変換表により基準値が変更され、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。
この電気光学装置において、さらに前記基準値に対して、予め設定された割合でパターン生成した基準表示を出力する。
【0021】
これによれば、基準表示を用いて、効率的に電気泳動粒子の移動状態を把握することができる。
この電気光学装置において、前記センサは、表示濃度を測定するための光学センサであり、前記制御手段は、前記基準表示に対する光学センサからの出力に基づいて基準値を変更するための処理を実行する。
【0022】
これによれば、実際の表示濃度を測定して基準値が変更される。従って、表示状態に基づいて、より的確に電気泳動粒子の移動状態を変更することができる。この電気光学装置において、前記基準値は前記スイッチング素子に印加される基準駆動電圧である。
【0023】
これによれば、共通電極と画素電極との間の電位差に関する基準値を変更できる。また、ゲート電圧を変更することによっても基準値を変更できる。従って、より的確に電気泳動粒子の移動状態を変更することができる。
【0024】
この電気光学装置において、前記基準値を変更する場合には、前記制御手段は、表示のためのデータを保持し、前記表示のリセットを行ない、変更された前記基準値と、保持したデータとを用いて、再度表示するための処理を実行する。
【0025】
これによれば、表示のリセットを行なうことにより、電気泳動粒子を初期状態に戻され、保持したデータを用いて表示を行なう。これにより、より的確な階調表示を行なうことができる。
【0026】
本発明における電気光学装置の駆動方法は、共通電極と、前記共通電極に対向した画素電極と、各画素電極に接続されたスイッチング素子とを有し、前記共通電極と前記画素電極との間に電気泳動粒子を含有する分散系を備え、前記共通電極と前記画素電極との間の電位差とこの印加時間とを乗算した基準値を用いて、前記電気泳動粒子を移動させて表示させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とセンサとを有する電気光学装置の駆動方法であって、前記制御手段が、前記センサからの出力に応じて前記基準値を変更するための処理を実行する。
【0027】
これによれば、センサからの出力に応じて、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。その結果、センサが感知した状況に応じて、より適した表示状態を変更できる。
【0028】
この電気光学装置の駆動方法において、前記センサは温度センサであり、前記制御手段は、前記温度センサの出力変化に基づいて基準値を変更するための処理を実行する。
【0029】
これによれば、温度により基準値が変更され、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。例えば、気温の変化が大きい場所でも見やすい表示を行なうことができる。
【0030】
この電気光学装置の駆動方法において、前記制御手段は、前記温度センサの出力と前記基準値との変換表を有し、この変換表を用いて基準値を変更するための処理を実行する。
【0031】
これによれば、温度に関する変換表により基準値が変更され、電気泳動粒子の移動状態を変えることができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記制御手段は、さらに前記基準値に対して、予め設定された割合でパターン生成した基準表示を出力する。
【0032】
これによれば、基準表示を用いて、効率的に電気泳動粒子の移動状態を把握することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記センサは、表示濃度を測定するための光学センサであり、前記制御手段は、前記基準表示に対する光学センサからの出力に基づいて基準値を変更するための処理を実行する。
【0033】
これによれば、実際の表示濃度を測定して基準値が変更される。従って、表示状態に基づいて、より的確に電気泳動粒子の移動状態を変更することができる。この電気光学装置の駆動方法において、前記基準値は前記スイッチング素子に印加される基準駆動電圧である。
【0034】
これによれば、共通電極と画素電極との間の電位差に関する基準値を変更できる。また、ゲート電圧を変更することによっても基準値を変更できる。従って、より的確に電気泳動粒子の移動状態を変更することができる。
【0035】
この電気光学装置の駆動方法において、前記基準値を変更する場合には、前記制御手段は、表示のためのデータを保持し、前記表示のリセットを行ない、変更された前記基準値と、保持したデータとを用いて、再度表示するための処理を実行する。
【0036】
これによれば、表示のリセットを行なうことにより、電気泳動粒子を初期状態に戻され、保持したデータを用いて表示を行なう。これにより、より的確な階調表示を行なうことができる。
【0037】
本発明における電子機器は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の電気光学装置を実装した。
これによれば、電子機器は低消費電力と十分な表示品位を両立することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を、図1〜図8に従って説明する。本実施形態における電気光学装置としての電気泳動表示装置は電気泳動表示パネルと周辺回路とを備えている。
【0039】
図1は電気泳動表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。素子基板100の表面には、電気泳動表示パネルAとその周辺領域とが設けられている。この図は、移動度の高い素子(低温ポリシリコン等)を想定して周辺領域にある駆動回路を一体としているが、もちろん移動度の低い素子(アモルファスシリコン等)でも本発明は適用できる。その場合の駆動回路は、移動度の高い素子(単結晶シリコン等)で構成されて、電気泳動表示パネルAとデータ線駆動回路140や走査線駆動回路130は別部品となる。この例の電気泳動表示パネルAは複数の画素から構成され、この画素を構成する電気的要素には、スイッチング素子としてのTFT103や、これに接続された画素電極104を含む。素子基板100の周辺領域には、走査線駆動回路130や、駆動手段としてのデータ線駆動回路140が形成されている。
【0040】
電気泳動表示装置の周辺回路には、後述するコントローラ300(図6参照)が設けられている。このコントローラ300は画像信号処理回路およびタイミングジェネレータを含んでいる。ここで、画像信号処理回路は、画像信号としてのリセットデータDrestや画像データDを生成し、データ線駆動回路140に入力する。リセットデータDrestは画像データDが出力される前の所定期間に出力される。このリセットデータDrestは、分散系10中を泳動している電気泳動粒子12を一方の電極側に引き寄せ、その空間的な状態を初期化するために用いられる。また、画像データDは電気泳動表示パネルAの電気的な特性に対応した補正処理を施して生成される。以下、分散系10の分散媒11は黒色に着色されており、電気泳動粒子12は酸化チタン等の白色の粒子でかつ正電荷が帯電しているものとする。
【0041】
また、タイミングジェネレータは、リセットデータDrestや画像データDが画像信号処理回路から出力されるときに、走査線駆動回路130やデータ線駆動回路140を制御するための各種タイミング信号を生成する。
【0042】
素子基板100の電気泳動表示パネルAには、X方向に沿って平行に複数本の走査線101が形成され、また、これと直交するY方向に沿って平行に複数本のデータ線102が形成されている。そして、各画素は走査線101とデータ線102との交差に対応してマトリクス状に配列されている。これらの各交差点においては、TFT103のゲート電極が走査線101に接続される一方、そのソース電極がデータ線102に接続されている。さらに、TFT103のドレイン電極が画素電極104に接続されている。
【0043】
このような電気泳動表示パネルAにおいて、ある走査線信号Yiがアクティブになると、i番目の走査線101のTFT103がオン状態になる。このため、i番目の走査線101のTFT103に接続された画素電極104にデータ線信号X1、X2、…、Xnが供給される。一方、対向基板200の共通電極201には図示しない電源回路から共通電極電圧Vcomが印加されるようになっている。これにより、画素電極104と共通電極201との間に電位差が生じ、分散系10中の電気泳動粒子12が泳動して画像データDに応じた階調が画素毎に表示される。
【0044】
(駆動回路)
次に、走査線101およびデータ線102を駆動する駆動回路について説明する。
【0045】
まず、走査線駆動回路130は、シフトレジスタを有しており、タイミングジェネレータからのクロック信号に基づいて、走査線信号Y1、Y2…Ymを生成する。これにより、アクティブ期間(Hレベル期間)が順次シフトしていく走査線信号Y1、Y2、…、Ymが生成され、各走査線101に出力される。
【0046】
次に、駆動動作を図2、図3を用いて説明する。図2はデータ線駆動回路140のブロック図である。同図に示すようにデータ線駆動回路140は、Xシフトレジスタ141、6ビットの画像データDが供給されるバスBUS、スイッチSW1〜SWn、第1ラッチ142、第2ラッチ143、選択回路144およびD/Aコンバータ145を備えている。図3は走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140のタイミングチャートである。
【0047】
まず、Xシフトレジスタ141は、XクロックXCKおよび反転XクロックXCKBにしたがって、X転送開始パルスDXを順次シフトして、図3に示すサンプリングパルスSR1、SR2、…、SRnを順次生成する。
【0048】
次に、バスBUSは、スイッチSW1〜SWnを介して第1ラッチ142の各ラッチに接続されており、スイッチSW1〜SWnの各制御入力端子には、サンプリングパルスSR1、SR2、…、SRnが供給されるようになっている。また、あるスイッチSWjは、6ビットの画像データDに対応して6個で1組の構成となっている。したがって、サンプリングパルスSR1、SR2、…、SRnに各々同期して、画像データDが第1ラッチ142に同時に取り込まれることになる。
【0049】
次に、第1ラッチ142は、スイッチSW1〜SWnから供給される画像データDをラッチし、点順次画像データDa1〜Danとして出力する。また、第2ラッチ143は、第1ラッチ142の各点順次画像データDa1〜Danをラッチパルスによってラッチする。ここで、ラッチパルスは1水平走査期間毎にアクティブとなる信号である。したがって、この第2ラッチ143は、点順次画像データDa1〜Danから線順次画像データDb1〜Dbnを生成する。
【0050】
次に、選択回路144には、画像信号処理回路で生成される共通電圧データDcomとタイミングジェネレータで生成される無バイアスタイミング信号Cbとが供給されている。ここで、共通電圧データDcomは共通電極201に給電される電圧値を指示するデータである。また、無バイアスタイミング信号Cbは、図3に示すように1水平走査期間中の途中からその終了までの期間においてアクティブ(Hレベル)となる信号である。選択回路144は、無バイアスタイミング信号Cbがアクティブの期間に共通電圧データDcomを選択する一方、これが非アクティブの期間に線順次画像データDb1〜Dbnを選択して図3に示すデータDc1〜Dcnを出力する。本図は、一水平期間で完結する高速動作する電気泳動表示素子としている。nフィールドで完結するような低速な電気泳動表示素の場合は、水平期間中の状態は、1〜n−1フィールドまではDのみを出力することになり、最後のnフィールドにDcomを選択することになる。Cbの信号は、1〜n−1フィールドまで「L」で、nフィールドで「H」となる。
【0051】
そして、D/Aコンバータ145は、6ビットのデータDc1〜Dcnをデジタル信号からアナログ信号に変換して、データ線信号X1〜Xnとして各々生成し、これを各データ線102に供給している。
【0052】
(電気泳動表示装置の動作)
次に、図4を用いて電気泳動表示装置の動作について説明する。図4は画像信号処理回路の出力データを示すタイミングチャートである。
【0053】
まず、時刻t0において、電気泳動表示装置の電源がオフ状態からオン状態に切り替わると、画像信号処理回路、タイミングジェネレータおよび電気泳動表示パネルAに駆動電源が供給される。以下、リセット動作(t1〜t2)、書込動作(t2〜t3)、保持動作(t3〜t4)の順に説明する。さらに、時刻t4〜時刻t5〜時刻t6の期間は画像を書き換えるための期間であり、時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、リセット動作と書込動作とが行われる。
【0054】
(1)リセット動作
電源がオンされてから所定期間が経過し、回路動作が安定した時刻t1において、画像信号処理回路は、リセットデータDrestを1フィールド(遅い応答速度の電気泳動素子の場合はnフィールド)の期間にわたって出力する。このリセット期間Trにあっては、電気泳動粒子12が画素電極104側に引き寄せられ、その空間的な状態が初期化される。データ線駆動回路140が、リセットデータDrestのデータ値に応じたリセット電圧Vrestを各データ線102に出力する。同時に、走査線駆動回路130が各走査線101を順次選択することにより、画素電極104に電圧が供給され、すべての画素電極104と共通電極201の間にリセット電圧Vrestが印加されることになる。
【0055】
(2)書込動作
次に、時刻t2に至ると書き込みを開始する。この書込期間Twにあっては、画像信号処理回路は1フィールド(遅い応答速度の電気泳動素子の場合はnフィールド)期間にわたって画像データDを出力する。各画素電極104には表示すべき階調に対応した階調電圧Vが書き込まれ、1枚の画像が完成する。
【0056】
図5は書込動作における電気泳動表示装置のタイミングチャートである。ここでは、i行(i番目の走査線)・j列(j番目のデータ線)の画素における書込動作を説明するが、他の画素においても同様の書き込みがなされる。なお、以下の説明では、i行j列の画素をPijと、画素Pijに表示すべき階調を示す階調電圧をVijと、また、画素Pijの表示濃度をIijと表す。
【0057】
各データ線信号X1〜Xnは、図3に示すデータDc1〜DcnをD/A変換して生成されるので、j番目のデータ線102に供給されるデータ線信号Xjの電圧は、図5に示すように、時刻T1から時刻T2まで階調電圧印加期間Tvにおいて階調電圧Vijに設定される。図5においては、100%の階調レベルを実線、50%階調レベルを一点鎖線で示している。一方、時刻T2から時刻T3までの無バイアス期間Tbにおいて共通電極電圧Vcomに設定される。
【0058】
また、i番目の走査線101に供給される走査線信号Yiは、i番目の水平走査期間においてアクティブとなり、この間、画素Pijを構成するTFT103はオン状態となる。この結果、i番目の水平走査期間のうち時刻T1から時刻T2までの期間は、画素Pijの画素電極104にデータ線信号Xj(すなわち、階調電圧Vij)が印加され、時刻T2から時刻T3までの期間は共通電極電圧Vcomが印加される。
【0059】
次に、画素Pijにおける電気泳動粒子12の挙動について説明する。この書込動作の前には上述したリセット動作が行われているので、時刻T1における画素Pijの電気泳動粒子12は画素電極104側に引き寄せられている。このとき、画素電極104に階調電圧Vijが印加されると(時刻T1)、画素電極104から共通電極201へ向けて電界が付与され、電気泳動粒子12は移動を開始する。
【0060】
ここで、画素Pijにおける表示濃度Iijはその画素Pijにおける電気泳動粒子の平均的な移動量により決定される。本実施形態の電気泳動粒子12は白色であり分散媒11は黒色であるため、電気泳動粒子12が共通電極201に近づくほど画素Pijの表示濃度Iijは高くなる。したがって、図5に示すように表示濃度Iijは、時刻T1から次第に高くなる。
【0061】
ところで、画素Pijは、画素電極104と共通電極201との間に分散系10を挟持して構成されているので、電極面積、電極間の距離、および分散系10の誘電率に応じた画素容量を有する。
【0062】
したがって、TFT103をオフ状態にして画素電極104への電荷の供給を停止したとしても、画素容量には電荷が蓄積され、両電極間には一定の電界が継続することになる。電界が付与される限り電気泳動粒子12は共通電極201に向けて泳動を続けるので、電界を停止させる工程が必要である。この工程は、画素容量に蓄積されている電荷を取り去ることにより行なわれる。無バイアス期間Tbはこのために設けられたものである。
【0063】
無バイアス期間Tbにあっては、共通電極電圧Vcomが画素電極104に印加されるので、時刻T2において画素電極104と共通電極201とが等電位になる。このため、時刻T2以降、電界が消失し、分散媒11の粘性抵抗により、電気泳動粒子12は泳動を停止する。この結果、表示濃度Iijは図5に示すように時刻T2から一定の値となる。なお、分散媒11の粘性抵抗が小さい場合には電界が作用しなくなっても電気泳動粒子12が惰性で泳動した後に停止するが、そのような場合には、画像信号処理回路において、惰性による泳動を見込んで補正した画像データDを生成する。本図は、一水平期間で完結する高速動作する電気泳動表示素子としているが、nフィールドで完結するような低速な電気泳動表示素の場合も同様である。
【0064】
(3)保持動作
次に、図4に示す時刻t3から時刻t4までの保持期間Thは、直前の書込期間Twで書き込まれた画像を保持する期間であり、その長さは任意に設定できる。この期間において、画像信号処理回路は動作を停止し、画素電極104と共通電極201との間には電界が発生しない。電界がなければ電気泳動粒子12は移動せず、時刻t3における空間的状態を保持する。したがって保持期間Thにあっては、静止画像が表示されることになる。
【0065】
(駆動電圧の制御)
次に本実施形態における駆動電圧の制御を図6に基づいて説明する。図6は、本発明を適用した電気泳動表示装置20の全体概略構成を示している。走査線駆動回路130、データ線駆動回路140にはコントローラ300から制御信号や画像信号が提供されている。本実施形態では、さらに電圧調整回路500が設けられ、コントローラ300に接続されている。ここで、コントローラ300は、パーソナルコンピュータ等の外部回路からの信号を受けて、駆動周期に合わせた画像信号に変換し、この変換信号を各駆動回路(130、140)に出力するための制御手段として機能する。
【0066】
また、電気泳動表示装置20にはデータ線駆動電圧電源510が設けられている。このデータ線駆動電圧電源510は、データ線駆動回路140に対して、電気泳動表示パネルAのTFT103を駆動するための基準値としての基準駆動電圧を提供する。データ線駆動回路140は、この基準駆動電圧に対する割合を制御することにより、各階調レベルに応じた階調電圧Vijを生成する。
【0067】
本実施形態では、電圧調整回路500として、図7に示すように、可変抵抗501及び固定抵抗502からなる直列回路を含んで構成されている。この可変抵抗501の抵抗値は利用者が変更できるようになっている。可変抵抗501の一端は固定抵抗502を介して接地されており、他端子は直流電源の端子に接続されている。電圧調整回路500はさらにA/Dコンバータを含む変換制御部504を有している。
【0068】
このように構成された電圧調整回路500においては、可変抵抗501の抵抗値に応じて、直流電源の電圧は分圧され、直列回路の出力端子からアナログ電圧が変換制御部504に出力される。
【0069】
次に、アナログ電圧が変化した場合の処理を、図8を用いて説明する。まず、変換制御部504が直列回路の出力端子におけるアナログ電圧の変化を感知した場合、変換制御部504はアナログ電圧をデジタル変換したデジタル電圧信号をコントローラ300に入力する(S1−1)。
【0070】
次に、デジタル電圧信号が入力されたコントローラ300は、電気泳動表示パネルAに対する表示動作に対して割込処理を実行する(S1−2)。ここでは、まず、コントローラ300は電気泳動表示パネルAに表示する画像データDを一旦保持する。そして、コントローラ300は電気泳動表示パネルAのリセット動作を行なう(S1−3)。これにより、電気泳動粒子12の空間的な状態が初期化される。
【0071】
次に、コントローラ300はデータ線の基準駆動電圧の設定指示をデータ線駆動電圧電源510に対して行なう(S1−4)。この基準駆動電圧は、電圧調整回路500から入力されたデジタル電圧信号に対応して所定の電圧範囲内で設定される。
【0072】
データ線駆動電圧電源510はコントローラ300からの指示に基づいて基準駆動電圧を調整し、データ線駆動回路140に提供する(S1−5)。
次に、コントローラ300は割込復帰を行なう(S1−6)。具体的には、コントローラ300はステップ(S1−2)において一旦保持した画像データDを用いて書込動作を再開する(S1−7)。この書込動作は新たに設定された基準駆動電圧に基づいて行なわれる。
【0073】
基準駆動電圧が高く設定された場合には、画素電極104と共通電極201との間の電界は強くなるので、電気泳動粒子12の平均的な移動量は大きくなる。電気泳動粒子12は白色であり分散媒11は黒色である場合、電気泳動粒子12が共通電極201に近づき画素の表示濃度は高くなる。一方、基準駆動電圧が低く設定された場合には、画素電極104と共通電極201との間の電界は弱くなり、電気泳動粒子の平均的な移動量は小さくなる。このため、電気泳動表示パネルAの画素の表示濃度は低くなる。
【0074】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、可変抵抗501の抵抗値に基づいて、電気泳動表示パネルAの画素の表示濃度を変更することができる。このため、様々な照明環境のもとで、表示品質を高め、見やすい画像を設定することができる。
【0075】
・ 上記実施形態では、電圧調整回路500内の直列回路の出力電圧が変化した場合の処理を、図8のフロー図に従って表示濃度が変更される。具体的には、表示動作に対して割込処理(S1−2)、リセット動作(S1−3)、データ線駆動電圧の調整(S1−5)、割込復帰(S1−6)、書込動作(S1−7)が行なわれる。このため、電気泳動表示装置においても、より的確に表示濃度を調節することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した電気光学装置としての電気泳動表示装置の第2の実施形態を、図9〜図10に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の電圧調整回路500を温度補償回路550に変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0077】
本実施形態では、この温度補償回路550として、図9に示すように、固定抵抗551及び温度センサとしてのサーミスタ552からなる直列回路を含んで構成されている。このサーミスタ552は半導体測温抵抗素子の一つであり、負の抵抗温度特性を有する。サーミスタ552の一端は接地されており、他端子は固定抵抗551を介して直流電源の端子に接続されている。温度補償回路550はさらにA/Dコンバータを含む変換制御部554を有している。
【0078】
このように構成された温度補償回路550においては、サーミスタ552の抵抗値に応じて、直流電源の電圧は分圧され、直列回路の出力端子からアナログ電圧が変換制御部554に出力される。アナログ電圧が変化した場合の処理は、第1の実施形態と同様に、図8に示すフロー図に従って行なわれる。すなわち、変換制御部554は、直列回路の出力端子におけるアナログ電圧の変化を感知した場合、その電圧をデジタル変換したデジタル電圧信号をコントローラ300に入力する(S1−1)。
【0079】
ここで、図10に表示濃度と階調電圧との関係の温度依存性を示す。温度が低くなった場合、分散媒11の粘性抵抗が増大するため、電気泳動粒子12の移動速度が遅くなり、この結果、表示濃度が低下する。従って、図10に示すように所定の表示濃度を維持するためには駆動電圧を高くする必要がある。本実施形態では、−20度C〜60度Cで、所定の表示濃度を維持するように設定しておく。
【0080】
変換制御部554は、温度(直列回路の出力端子におけるアナログ電圧)と、基準駆動電圧(デジタル電圧信号)との変換表を記憶させておく。そして、割込処理(S1−2)、リセット動作(S1−3)の後、変換制御部554は、この変換表に基づいてデジタル電圧信号をコントローラ300に出力する。そして、コントローラ300はデータ線駆動電圧電源510に対して基準駆動電圧の設定指示を行なう(S1−4)。以下、第1の実施形態と同様にステップ(S1−5)〜(S1−7)を実行する。
【0081】
従って、第2の実施形態によれば、前記第1の実施形態に記載の特徴に加えて、電気泳動表示装置は温度に応じて適切な基準駆動電圧を変更する。従って、気温が低い場合には、基準駆動電圧を高く設定することにより、適切な表示濃度を得ることができる。また、気温が高い場合には、電気泳動表示パネルAの基準駆動電圧は低く設定されるので、低消費電力化を図ることができる。
【0082】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した電気光学装置としての電気泳動表示装置の第3の実施形態を、図11〜図12に従って説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態の電圧調整回路500の代わりにコントラスト制御部600を設けた構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0083】
図11に示す電気泳動表示装置は、コントラスト制御部600を電気泳動表示パネルAの一部の前面に設けている。このコントラスト制御部600は表示濃度センサを有し、電気泳動表示パネルAに表示された階調パターンの表示濃度を算出する。本実施形態では、表示濃度センサとしてフォト・ダイオードを線状に並べた電荷結合素子を用いる。さらに、コントラスト制御部600には、表示品質を維持するために必要な表示濃度センサの出力電圧変換表を記憶させておく。
【0084】
また、電気泳動表示パネルAには、図12に示す、階調パターン800を表示させる。この階調パターン800は複数の画素801〜画素807から構成され、基準表示として機能する。画素801〜画素807に対応する分割セル15の画素電極104に対して表示濃度が順次変化するように、予め設定された割合で異なる階調電圧を印加して実現する。
【0085】
そして、コントラスト制御部600は、表示濃度センサを用いて定期的にあるいは適宜階調パターン800の画素801〜画素807の表示濃度を測定する。そして、実際の表示濃度センサの測定電圧と、予め記憶された出力電圧変換表とを比較する。測定電圧が出力電圧変換表の電圧と異なり、表示濃度のずれを感知した場合、コントラスト制御部600はそのずれを補正するためのデジタル電圧信号をコントローラ300に入力する(S1−1)。そして、コントラスト制御部600は割込処理(S1−2)、リセット動作(S1−3)の後、コントローラ300はデジタル電圧信号に基づいて基準駆動電圧の設定指示をデータ線駆動電圧電源510に対して行なう(S1−4)。以下、第1の実施形態と同様にステップ(S1−5)〜(S1−7)を実行する。
【0086】
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の特徴に加えて、電気泳動表示装置の表示濃度の変化に応じて、データ線の基準駆動電圧の設定を変更し、適切な表示濃度を維持する。従って、環境の変化に応じて見やすい電気泳動表示装置を提供することができる。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、第1の実施形態〜第3の実施形態で説明した電気光学装置としての電気泳動表示装置を搭載した電子機器の適用について説明する。
【0088】
(1)電子書籍
まず、電気泳動表示装置を電子書籍に適用した例について説明する。図13は、この電子書籍を示す斜視図である。図において、電子書籍1000は、電気泳動表示パネル1001、電源スイッチ1002、第1ボタン1003、第2ボタン1004、およびCD−ROMスロット1005を備えている。
【0089】
利用者が電源スイッチ1002を押して、CD−ROMスロット1005にCD−ROMを装着すると、CD−ROMの内容が読み出され、電気泳動表示パネル1001にメニューが表示される。利用者が第1ボタン1003と第2ボタン1004を操作して、所望の書籍を選択すると電気泳動表示パネル1001に第1頁が表示される。頁を進める場合には第2ボタン1004を押し、頁を戻す場合には第1ボタン1003を押す。
【0090】
この電子書籍1000にあっては、書籍の内容を表示した後は、第1ボタン1003および第2ボタン1004を操作したときだけ表示画面を更新する。上述したように電気泳動粒子12は電界が印加されなければ泳動しない。換言すれば、表示画像を維持するためには給電が不要である。このため、表示画面を更新するときだけ、駆動回路に電圧を印加して電気泳動表示パネル1001を駆動している。この結果、液晶表示装置と比較して消費電力を大幅に削減することができる。
【0091】
また、電気泳動表示パネル1001の表示画像は、電気泳動粒子12によって表示されるので、表示画面が光ることがない。したがって、電子書籍1000は印刷物と同様の表示が可能であり、これを長時間読んでも目の疲労が少ないといった利点がある。
【0092】
(2)携帯電話
さらに、電気泳動表示装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図14は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302のほか、受話口1304、送話口1306とともに、電気泳動表示パネル1308を備えるものである。液晶表示装置にあっては偏光板が必要であり、これにより表示画面が暗くなっていたが、電気泳動表示パネル1308は偏光板が不要である。このため、携帯電話1300は明るくて見やすい画面を表示することができる。
【0093】
なお、電子機器としては、図13〜図14を参照して説明した他にも、パーソナルコンピュータ、屋外の標識、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に対して、各実施形態の電気光学装置は適用可能である。電気泳動表示装置を、これらの機器に適用した場合でも、前記実施形態と同様な効果を発揮する。透過型・半透過型の液晶表示装置で必要とされるバックライトが不要であるため、各電子機器を小型軽量化することができる。そして、その消費電力を大幅に削減することが可能である。その結果、各機器は、低消費電力と十分な表示品位の両立を実現することができる。
【0094】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・ 上記実施形態では、階調表示可能な電気泳動表示装置を想定して説明した。これに代えて、2値表示の電気泳動表示装置に適用してもよい。この場合、表示に必要な駆動電圧のより最適にすることができる。従って、より低消費電力化を実現できる。
【0095】
・ 上記第1の実施形態では、可変抵抗501の抵抗値を変化させてデータ線駆動電圧を変更する。これに代えて、利用者に、直接デジタル電圧信号を設定させるようにしてもよい。これにより、電気泳動粒子12の平均的な移動距離を変更できるので表示濃度を調整することができる。
【0096】
・ 上記実施形態では、基準値としてのデータ線駆動電圧を変更することにより、電気泳動表示パネルAの表示濃度を変更する。これに代えて、走査線駆動電圧や階調電圧印加期間Tvを変更してもよい。これによっても、電気泳動粒子12の平均的な移動距離を変更できるので表示濃度を調整することができる。
【0097】
・ 上記実施形態では、データ線駆動電圧を変更することにより、電気泳動表示パネルAの表示濃度を変更する。これに代えて、共通電極電圧Vcomを変更してもよい。
【0098】
・ 上記実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせることにより、利用者自身に表示状態を変更させたり、また温度により変更させたりすることができる。また、第1の実施形態と、第3の実施形態の基準表示とを組み合わせてもよい。これにより、利用者は基準表示を見て、表示状態を確認しながら基準値の設定を変更することができる。
【0099】
・ 上記実施形態では、白黒表示の電気泳動表示装置について説明した。この電気泳動表示パネルAは、フルカラー表示にも応用できる。この場合には、各画素において原色(RGB)のうち1色を表示できるようにするため、分散系10としては、赤色、緑色、青色に対応する3種類を用いる。すなわち、電気泳動粒子12として表示色を反射するものを用いる一方、分散媒11として表示色を吸収する色(補色)に対応したものを用いる。この場合にも、印加する電界の強度によって、分散系10における電気泳動粒子12の分布を制御でき、カラー表示可能な電気泳動表示装置を提供できる。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電気光学装置を駆動して、低消費電力と十分な表示品位の両立を図り所望の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態を説明するための電気泳動装置の回路構成を示すブロック回路図。
【図2】データ線駆動回路のブロック図。
【図3】走査線駆動回路およびデータ線駆動回路のタイミングチャート。
【図4】画像信号処理回路の出力データを示すタイミングチャート。
【図5】書込動作におけるタイミングチャート。
【図6】電気泳動表示装置の全体概略構成の説明図。
【図7】電圧調整回路のブロック図。
【図8】電圧調整時の処理フロー図。
【図9】第2の実施形態を説明するための温度補償回路のブロック図。
【図10】表示濃度−電圧の関係の温度依存性についての説明図。
【図11】第3の実施形態を説明するための電気泳動表示装置の全体概略構成の説明図。
【図12】基準表示としての階調パターンの説明図。
【図13】電子機器の一例たる電子書籍の概観斜視図。
【図14】電子機器の一例たる携帯電話の概観斜視図。
【図15】電気泳動表示装置の部分断面図。
【図16】分割セルの構造を簡略化して示した断面図。
【図17】分割セルの構造を簡略化して示した断面図。
【符号の説明】
A 電気泳動表示パネル
10 分散系
11 分散媒
12 電気泳動粒子
15 分割セル
20 電気光学装置としての電気泳動表示装置
100 素子基板
103 スイッチング素子としてのTFT
104 画素電極
130 走査線駆動回路
140 駆動手段としてのデータ線駆動回路
201 共通電極
300 制御手段としてのコントローラ
500 電圧調整回路
501 センサとしての可変抵抗
510 データ線駆動電圧電源
550 温度補償回路
552 センサとしてのサーミスタ
600 センサとしてのコントラスト制御部
800 基準表示としての階調パターン
Y1〜Ym 走査線信号
X1〜Xn データ線信号
Claims (15)
- 共通電極と、前記共通電極に対向した画素電極と、各画素電極に接続されたスイッチング素子とを有し、前記共通電極と前記画素電極との間に電気泳動粒子を含有する分散系を備え、
前記共通電極と前記画素電極との間に印加された電圧と、この印加時間とを乗算した基準値を用いて、前記電気泳動粒子を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
センサとを有する電気光学装置であって、
前記制御手段が、前記センサからの出力に応じて前記基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする電気光学装置。 - 前記センサは温度センサであり、
前記制御手段は、前記温度センサの出力変化に基づいて前記基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記制御手段は、前記温度センサの出力と前記基準値との変換表を有し、この変換表を用いて基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
- 前記制御手段は、
さらに前記基準値に対して、予め設定された割合でパターン生成した基準表示を出力することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記センサは、表示濃度を測定するための光学センサであり、
前記制御手段は、前記基準表示に対する光学センサからの出力に基づいて基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。 - 前記基準値は前記スイッチング素子に印加される基準駆動電圧であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気光学装置。
- 前記基準値を変更する場合には、
前記制御手段は、表示のためのデータを保持し、
前記表示のリセットを行ない、
変更された前記基準値と保持したデータとを用いて、再度表示するための処理を実行することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気光学装置。 - 共通電極と、前記共通電極に対向した画素電極と、各画素電極に接続されたスイッチング素子とを有し、前記共通電極と前記画素電極との間に電気泳動粒子を含有する分散系を備え、
前記共通電極と前記画素電極との間の電位差とこの印加時間とを乗算した基準値を用いて、前記電気泳動粒子を移動させて表示させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と
センサとを有する電気光学装置の駆動方法であって、
前記制御手段が、前記センサからの出力に応じて前記基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする電気光学装置の駆動方法。 - 前記センサは温度センサであり、
前記制御手段は、前記温度センサの出力変化に基づいて前記基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の駆動方法。 - 前記制御手段は、前記温度センサの出力と前記基準値との変換表を有し、この変換表を用いて基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の駆動方法。
- 前記制御手段は、
さらに前記基準値に対して、予め設定された割合でパターン生成した基準表示を出力することを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の駆動方法。 - 前記制御手段は、
前記センサは、表示濃度を測定するための光学センサであり、
前記制御手段は、前記基準表示に対する光学センサからの出力に基づいて基準値を変更するための処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の駆動方法。 - 前記基準値は前記スイッチング素子に印加される基準駆動電圧であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の電気光学装置の駆動方法。
- 前記基準値を変更する場合には、
前記制御手段は、表示のためのデータを保持し、
前記表示のリセットを行ない、
変更された前記基準値と保持したデータとを用いて、再度表示するための処理を実行することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の電気光学装置の駆動方法。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載の電気光学装置を実装したことを特徴とする電子機器。
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