JP4380106B2 - 位置ずれ補正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスト装置からの画像情報に応じて記録媒体上にドットパターンを走査する印字装置の印字位置を補正する位置ずれ補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録画像の形成手段として、液体インクを記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット方式は、電子写真方式よりも以前から知られているものの、市場においては電子写真方式が主流であった。しかし、ここへきてインクジェット方式の台頭が目覚しく、市場を席巻するようになってきた。
【0003】
このインクジェット方式を用いたインクジェット記録装置は、記録ヘッドにインクを供給し、その記録ヘッドが有するインク滴吐出手段である電気熱変換体や圧電素子等を入力画像データに基づいて駆動することにより記録ヘッドよりインクを吐出し、吐出されたインクドットパターンを記録紙等の記録媒体に付着させて画像を形成するものである。
【0004】
すなわち、インクジェット記録装置において画像記録動作を行うときには、先ず、パーソナルコンピュータ等のホスト装置(以下、「ホスト」という。)から入力される各種データおよびコマンドを解析し、その解析結果に応じて印刷すべき画像のドット構成に1対1に対応したビットイメージデータである印刷データを作成し、その印刷データをメモリ内のプリントバッファに格納する。次に、記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査しながら、当該プリントバッファから印刷データを読み出し、この印刷データに基づいて記録ヘッドを駆動する。これにより、記録紙に対してインクドットを吐出し、その吐出されたインクドットのパターンによって画像を記録する。
【0005】
このような画像記録動作を行うインクジェット記録装置においては、近年、高品位な画像記録が求められており、文字の明瞭性や、銀塩写真並のカラー再現性が重要な課題であった。
【0006】
ここで、文字再現の明瞭性を低下させる要因としては、エッジ部のシャギー感、揺らぎ、またカラー写真画では粒状感、色ずれ、テクスチャーが主要部分を占める。これらの画像欠陥の本質的な原因は用紙上に印字するドット位置が正規の位置に対しずれていることである。当該位置ずれについてさらに要因分析を進めると、用紙を搬送するための副走査駆動のピッチ変動、いわゆる副走査むら、および記録ヘッド自体の着弾精度のばらつきが重畳してもたらす結果であることが分かる。
【0007】
副走査のピッチ変動は機械的な伝達特性、いわゆるギア精度、搬送ローラの中心軸ずれや駆動制御系の伝達特性が最適化されていない等の複合要因で、副走査の特性に揺らぎが発生している。
【0008】
また、記録ヘッド単体では吐出用ノズルの加工精度により同軸度のずれ、向きがばらつくため、吐出方向が一定方向に定まらない。
【0009】
さらに、記録ヘッドのインクに実装されるピエゾ等のアクチュエータは、その変位量がばらつくため、当然インクを吐出する速度が各ノズル間で異なり、主走査、副走査の両方向の成分でばらつきが発生し、その結果、副走査の着弾位置がばらつくことになる。そして、当該位置ずれは記録ヘッドの着弾精度によるものが主たる要因といわれている。
【0010】
以上挙げた問題に対し、記録ヘッド単体の加工精度を向上させるためには工程での作業時間の長期化による生産効率の低下、また高価な量産装置の導入等で設備費用の経費増大を招く。
【0011】
また、記録ヘッド内のアクチュエータとして機能するピエゾ素子は、量産レベルで材料の組成、物性を完全に均一化し、変位量をゼロにすることは技術的に至難の技であるといわざるを得ない。
【0012】
これらの諸問題を打開することを狙いとして、従来より物理特性のばらつきの結果による当該位置ずれを前提として、補正する方向の技術提案がなされている。
【0013】
ここで、特開平5−270010号公報では以下の技術が開示されている。
【0014】
すなわち、単色のインクを吐出して記録媒体に記録を行うインク記録手段を着脱可能にする装着部を備えた単色インクジェット記録装置を用いて所定の複数のインク記録手段による画像を同一記録媒体に形成するインクジェット記録装置で、各色インクの印字記録工程で発生する記録位置のずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、工程毎に生じる記録位置のずれ量を補正する位置ずれ補正手段を有している。
【0015】
記録位置検出におけるテストパターンの一例を図11に示す。
【0016】
図11(A)は第1工程でインク記録手段によって記録を行う記録始めに、記録媒体の所定位置に印字された位置ずれ検出のためのテストパターンである。第1工程で印字されたテストパターンは以降の工程で記録を行う場合の位置ずれ量を判断する判断する基準位置となる役割を果たす。また、図11(B)は第2工程でインク記録手段によって記録を行う記録始めに、記録媒体の所定位置に印字された位置ずれ検出のためのテストパターンである。
【0017】
第1工程での位置ずれ検出パターンは10mm単位で区切りが入っているのに対し、第2工程での位置ずれ検出パターンは9mm単位で区切りが入っている。よって、例えば位置ずれ量の判断としては、図11(B)に示すように区切り部が第1工程で印字した位置ずれ検出パターンの第5番目の区切り位置と第2工程で印字した位置ずれ検出パターンの第6番目の区切り位置が合致した場合は、第1工程の50mm地点(10×5)と第2工程の54mm地点(9×6)の位置が一致したのであるから、第1工程の記録位置と第2工程の記録位置が副走査方向に対して+4mmずれていると検出できる。なお、前述の第1工程とは記録媒体に第1のインクで記録を行う工程であり、第2工程とは第1のインクによる第1工程の記録終了後、排紙手段によって記録媒体を装置外に排出し再び記録媒体搬送手段によって装置内に記録媒体を給紙し、第2インクによる記録を行うためにヘッドカートリッジの交換後記録を再開する肯定をさす。
【0018】
このずれ量の検出に対して、前述した従来の技術では以下の補正手段を提案している。
【0019】
図12は従来のインクジェット記録装置における副走査方向の位置ずれ補正を示す概念図である。
【0020】
図示しないプリンタドライバは、印字対象パターンを展開後、そのままコントロールユニットのメモリ手段に書き込んで行く。そして、このメモリ手段上の情報に従い指定の位置に印字が行われる。
【0021】
ここで、初期の記録位置は記録用紙の先端より3mmの位置とすれば、記録位置の先端3mmの位置から記録が行われる。また、記録位置のオフセットの設定はコマンドで行われる。例えば、先端5mmからの印字を設定した場合、2mm副走査方向へオフセットさせる必要がある。このときの一般的な処理手段の一例を以下に記す。
【0022】
プリンタドライバは、メモリ手段へ印字データを格納するのに先だって2mm分の余白をメモリの先頭に格納し、その後に印字データを格納する。記録手段はこの余白を含めて基準先端位置の3mm位置から印字を開始するために結果として先端5mmの位置から印字を行い、ユーザの先端余白5mmの位置からの条件を実現する。そして、この例では、上記副走査方向の記録の位置ずれの補正を先端余白を変更することで対応する。例えば、ユーザによる左余白の設定値が5mmで、位置ずれ検出手段により求められた記録の位置ずれ量が+4mmであったとする。すなわち、前工程で印字が行われた位置が5mmの位置であったならば、今工程では9mm(=5+4)の位置に印字を行うことによって、副走査方向の位置が合致することになる。
【0023】
これとは別に、特開平9−99566号公報では以下の提案がなされている。
【0024】
すなわち、基準吐出タイミングから所定オフセット値だけずれたタイミングでC,M,Y,Kの各色ノズル群から各色インクを吐出できるインクジェット記録装置で、先ず初めに、各色ノズル群からのインク吐出タイミングを異なる複数のオフセット値に従って変化させることによって印画位置の異なるサンプル画像を各色毎に作像してアライメントパターンを作成し、そのアライメントパターンを参照してオフセット値を決定する。その後、各色ノズル群からのインク吐出タイミングを異なる複数のオフセット値に従って変化させたときに作成される複数のグレーパターンをも参照して最終的なオフセット値を決定する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように近年の高画質の要求に際し、特に単色での位置ずれ、各色間での位置ずれは印字密度の高解像度化によってさらに高精度のものが求められている。そのため、記録ヘッド単体でもノズル数も増大し、高密度のものが開発されており各ノズル間の着弾精度は非常に重要な課題となる。
【0026】
この背景のなかで、従来の技術、例えば特開平5−270010号公報においては基本的に単色プリンタを使用したカラー画像作成の一例であり、高速のカラー画像形成に対しての要求を満足するものではなく、補正手段も記録の開始位置を単一にずらすだけであり、ノズル間の着弾精度のばらつきに対しては効果を認められない。
【0027】
また、特開平9−99566号公報の技術の開示内容では、各色ノズル群の吐出タイミングのオフセット値は色間で制御するのみであり、各ノズル相互のばらつきに対して補正するものではなく、色ずれの問題は依然として残る。
【0028】
また、上記従来の技術の技術に共通するのは、補正操作の一部を画像形成装置のオペレータが行う必要があるということであり、煩雑な事務作業や印刷業務の最中にこのような事態が発生することは生産活動の効率を低下させることになる。
【0029】
そこで、本発明は、インクジェット記録における印字ずれを防止することのできる位置ずれ補正装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の位置ずれ補正装置は、ホストからの画像情報を一時的に格納する記憶手段と、画像情報の1画素分を記憶手段の連続するアドレスに繰り返して複数回割り付けるアドレス制御手段と、記憶手段から読み出された画像情報に応じて記録媒体へインク吐出を行う記録ヘッドと、記録ヘッドの主走査方向の速度制御を行う主走査制御手段と、画像情報の1画素を繰り返して複数回割り付けることに対応して記録媒体の搬送駆動を制御する副走査制御手段と、記録媒体上に位置ずれ検出用パターンを発生させるパターン発生手段と、記録媒体上に形成された位置ずれ検出用パターンに基づき、記録ヘッドの副走査方向の位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、を有し、位置ずれ検出手段によって検出された位置ずれ検出用パターンの位置ずれ量に基づいて、目標着弾位置とのずれ量を得て、当該ずれ量に応じてアドレス制御手段を制御し、画像情報を記憶手段に格納するアドレスを画像情報の2画素単位で補正する位置ずれ補正装置であって、位置ずれ検出用パターンを複数のON/OFFの等ピッチ罫線で構成し、位置ずれ検出用パターンの各々を、記録ヘッドの一のノズルを用いて、複数回の割り付けに対応して主走査制御手段による複数回の走査によって形成するとともに、画像情報に応じて記録媒体に画像を形成する際に、画像を構成する1画素を、複数回の割り付けに対応する主走査制御手段による複数回の走査によって形成するようにしたものである。
【0031】
このように、印字ずれ情報を記録媒体上パターンを走査することで認識し、目標着弾位置とのずれ量に応じて画像情報の内容を更新しているので、インクジェット記録における印字ずれを防止することが可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ホストからの画像情報を一時的に格納する記憶手段と、画像情報の1画素分を記憶手段の連続するアドレスに繰り返して複数回割り付けるアドレス制御手段と、記憶手段から読み出された画像情報に応じて記録媒体へインク吐出を行う記録ヘッドと、記録ヘッドの主走査方向の速度制御を行う主走査制御手段と、画像情報の1画素を繰り返して複数回割り付けることに対応して記録媒体の搬送駆動を制御する副走査制御手段と、記録媒体上に位置ずれ検出用パターンを発生させるパターン発生手段と、記録媒体上に形成された位置ずれ検出用パターンに基づき、記録ヘッドの副走査方向の位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、を有し、位置ずれ検出手段によって検出された位置ずれ検出用パターンの位置ずれ量に基づいて、目標着弾位置とのずれ量を得て、当該ずれ量に応じてアドレス制御手段を制御し、画像情報を記憶手段に格納するアドレスを画像情報の2画素単位で補正する位置ずれ補正装置であって、位置ずれ検出用パターンを複数のON/OFFの等ピッチ罫線で構成し、位置ずれ検出用パターンの各々を、記録ヘッドの一のノズルを用いて、複数回の割り付けに対応して主走査制御手段による複数回の走査によって形成するとともに、画像情報に応じて記録媒体に画像を形成する際に、画像を構成する1画素を、複数回の割り付けに対応する主走査制御手段による複数回の走査によって形成する位置ずれ補正装置であり、インクジェット記録における印字ずれを1画素の1/2以内に抑制することができるという作用を有する。
【0033】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、位置ずれ検出手段は、記録媒体上に形成された位置ずれ検出用パターンをレーザビームで照射する、半導体レーザで構成された照射手段と、照射手段によって照射された記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、受光手段の出力に基づいて印字位置情報を解読する制御手段と、位置ずれ検出手段を制御するCPUを有し、このCPUによって、記録媒体の白地部に対する受光手段の出力に基づいて半導体レーザの駆動電流を調整するようにした位置ずれ補正装置であり、インクジェット記録における印字ずれを防止するにあたって、位置ずれ検出用パターン検出に際するS/Nを確保することができるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、位置ずれ検出用パターンは同一色が連続的で、かつ複数色が独立した構成である位置ずれ補正装置であり、インクジェット記録における印字ずれを防止することができるという作用を有する。
【0036】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、位置ずれ検出用パターンは同一色が連続的で、かつ複数色が独立した構成である位置ずれ補正装置であり、インクジェット記録における印字ずれを防止することができるという作用を有する。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0038】
図1は本発明の一実施の形態におけるインクジェット記録装置での位置ずれ補正装置の構成を示すブロック図、図2は図1の位置ずれ補正装置における位置ずれ検出手段の構成を示す説明図、図3は本発明の一実施の形態におけるメモリマップを示す説明図、図4は本発明の一実施の形態におけるテストパターンに対する記録紙上の実印字の概念図、図5は本発明の一実施の形態における位置ずれ検出パターンの検出パルスの特性を示す説明図、図6は本発明の一実施の形態における位置ずれ補正装置での補正前後の着弾位置の変化を示す説明図、図7は本発明の一実施の形態における位置ずれ補正装置内のアドレス変換テーブルのデフォルトと更新後の対応を示す概念図、図8は本発明の一実施の形態におけるカラー印字のテストパターンに対する記録紙上の実印字の概念図、図9は本発明の一実施の形態におけるカラー印字の位置ずれ検出パターンの検出パルスの特性を示す説明図、図10は本発明の一実施の形態における環境温度の変化に対する物理特性の変化を示す概念図である。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置であるインクジェット記録装置における位置ずれ補正装置は、画像情報の入力、画像処理、蓄積、出力を行うパーソナルコンピュータ等のホストPC1、プリンタドライバ等で実行されるRGBの輝度データをCMYKという色材の濃度データに変換してγ補正を行う階調処理部2、変換された濃度データの画像情報を一時的に格納するプリントバッファ(記憶手段)3、プリントバッファ3から読み出されたパラレルデータを記録ヘッドのノズル構成に応じて画像データの印字順番を変更するドットスクランブル制御部4、記録ヘッドのアクチュエータを画像データに応じて電圧駆動するヘッド駆動制御部5、位置ずれ検出用パターンを発生させるキャラクタジェネレータ(パターン発生手段)6、データ処理やアクチュエータ制御などの動作制御を行うCPU(制御手段)8、CPU8の設定値に応じてプリントバッファ3内に指定アドレスへの画像データの書き込みや読み出しの制御を行うアドレス制御部7、後述する位置ずれ検出パターンをモニタする位置ずれ検出手段9、記録動作に関連する係数の格納や更新を行うRAM10、記録動作の手順プログラムが内蔵されたROM11、キャリッジ(図示せず)を主走査させる駆動系を速度制御するキャリッジ走査制御部(主走査制御手段)12、用紙(記録媒体)の搬送駆動を制御する副走査制御部(副走査制御手段)13、キャリッジに搭載されて駆動電圧に応じてインクの吐出を行う記録ヘッド14を有している。
【0040】
ここで、位置ずれ検出手段9は、図2に示すように、CPU8の設定値をアナログ量に変化するためのD/A変換器20、記録紙27上にレーザビームを照射する半導体レーザ(照射手段)22を電流スイッチングさせるレーザ駆動部21、吐出インクで形成されたテストパターン像28を有する記録紙27上よりの反射光を受光するフォトダイオード等の受光センサ(受光手段)23、受光センサ23からの光電流をD/A変換器20の設定値に応じて増幅するAGC(自動利得制御器)24、D/A変換器20からの出力とAGC24からの出力を比較して検出波形を出力する比較器(解読手段)25、AGC24のアナログレベルをデジタル値に変換するA/D変換器26を備えている。
【0041】
次に、本実施の形態において印字位置の補正を行う手順を以下に詳述する。
【0042】
先ず、モノクロ印字での動作について述べる。
【0043】
図2において、Kのべた部が印字された記録紙27が用紙搬送手段(図示せず)により搬送され、半導体レーザ22および受光センサ23の近傍を通過する。そして、CPU8が設定したデフォルトの電流値に応じてレーザ駆動部21は半導体レーザ22に電流を注入し発光が開始される。
【0044】
先ず最初に白地部が照射され、この白地部の反射光が受光センサ23に入射され、受光量に応じた光電流が流れる。光電流はAGC24により所定の利得で増幅され、A/D変換器26を経由してCPU8のI/Oポートにセットされる。CPU8は当該設定値を白地レベルの基準値(以下、「ホワイトレベル」という。)と比較し、同一レベルとなるまでレーザ電流を増減することにより、Kのべた部がレーザ光の照射ポイントに入る前にレーザ電流が決定される。
【0045】
次に、Kのべた部がレーザ光により照射され、CPU8にKのべた部の反射光量に応じたレベルがセットされ、所定基準レベルと比較される。両者の差分に応じてAGC24に対する設定値が増減され、照射ポイントをKのべた部が通過する以前にAGC24の利得が決定される(以下、「ダークレベル」という)。このとき、AGC24の利得が変化しているため、再度ホワイトレベルが検出される。ダークレベルとホワイトレベルの数値を勘案して比較器25の閾値が決定される。
【0046】
以上の動作により、ホワイトレベルとダークレベルのS/Nが確保され、比較器25からの検出波形出力は良好なパルスが得られる。
【0047】
次に、位置検出用テストパターンの印字動作について説明する。
【0048】
ここで、図3は本発明の一実施の形態におけるメモリマップを示す説明図であり、(A)はテストパターンメモリマップを、(B)実印字メモリマップをそれぞれ示す。
【0049】
図3(A)において、1つの行列アドレスが600dpiの1画素に相当しているものとする。当該データはキャラクタジェネレータ6より順次出力され、プリントバッファ3内にアドレス制御部7により順次書き込まれる。ここで、プリントバッファ3内へのテストパターンデータの割り付けはパターンジェネレータ6内のメモリマップの解像度600dpi1画素が1200dpiの解像度に分割されるように2×2の画素の構成で指定アドレスに配置される。アドレス制御部7はキャラクタジェネレータ6からカラムアドレス、ロウアドレスとも2回同じデータをアクセスしてプリントバッファ3内に書き込むことになる。そして、プリントバッファ3内に2倍に解像度がアップして格納された実印字のための画像データ、つまり実印字メモリマップ(図3(B))はテストパターン印字起動信号をトリガとして順次読み出される。
【0050】
図2で説明したように、プリントバッファ3から読み出された位置ずれ検出用テストパターンのビットマップデータは記録ヘッド14のノズル配列に従ってドットスクランブル制御部4において転送順位の入れ替え、再配列が実施される。ヘッド駆動制御部5は画像データのON/OFFに従って記録ヘッド14のアクチュエータを規定電圧で駆動し、これによってインクが吐出される。
【0051】
これらテストパターン印字モードでは1200dpiの解像度で印字されることを前提としているため、キャリッジ走査制御部12は規定の走査速度でキャリッジを移動させる。一方、画像データの転送速度は走査速度と解像度との関係で一義的に決定され、当該所定値で転送が継続される。
【0052】
図4を参照すると、記録ヘッド14の1回の主走査でK1〜K80番のノズルが、K11、K21〜K801のラインを同時に走査する。また、記録紙を搬送するための副走査系の動作は、解像度1200dpiを実現するために、主走査1回のパス毎に約22μmピッチの記録紙搬送がなされるように副走査制御部13の制御動作が実行される。そして、1ピッチの記録紙移動後に次の主走査がなされ、K12〜K802の主走査が行われる。
【0053】
以上のような同期主走査と副走査の同期走査により、1画面の画像形成が継続される。
【0054】
次に、記録紙上に形成されたテストパターンの検出動作について説明する。
【0055】
図2で述べたように、装置内の記録紙27の搬送通過領域の近傍に配設された半導体レーザ22はテストパターンを照射し、その反射光が光学的結像位置に配設された受光センサ23に入射し、AGC24、比較器25を経由してCPU8の割り込みポートにセットされる。比較器25はホワイトレベルをL、インクが付着したパターン部をHとして出力し、CPU8は第1番目のパルスの立ち上がりエッジを捉えてタイマを起動させる。これと同時に、カウンタ(図示せず)はカウントを開始する(なお、カウントの周期は該検出パターンのパルスの時間幅に比べて十分短いものとする)。
【0056】
ここで、図4のK11、K12ラインで走査されたパターンが図5におけるK11a、K11bのパルスに相当する。
【0057】
CPU8はこれら順次セットされるパルスをサンプリングし、各々のパルスのH、Lの立ち上がりエッジ、立ち下りエッジの時間を計測し、また、これらの時間に対応するカウント値をRAMに格納する。そして、各々のパルスのHの時間幅に対するカウント値が認識されるため、これらパルス幅の1/2のカウント値が算出される。図5におけるTk1、Tk2・・・がこれらのカウント値であり、これはパルスの立ち上がりから立ち下りまでの経過時間の中間地点の時刻と等価であり、記録紙上のパターンの副走査方向での物理的な中心位置が通過した時刻に相当する。また、カウント値は記録紙上の物理的な距離と比例関係にあるため、たとえば1μmをカウント値10と定義してカウンタの計数速度を設定すればよい。
【0058】
以上のようにして記録ヘッド14のノズル80ピン分の位置検出パターンから認識された各パルスの中心カウント値は基準カウント値T0〜T159と各々比較される。この基準カウント値は1200dpiの副走査で2ラインON/2ラインOFFの完全な等ピッチの罫線を形成したときに検出されるパルスを想定して理論的に計算できる。当然、T0、T1、T3・・・の各々の間隔は同一カウント値である。そして、現実に検出されたカウント値TK1・・・は該基準カウント値に対して一般にずれている。なお、これは、すでに述べたように、各ドット形成の着弾位置がばらつくことによる。次に、各検出パルスにおける基準カウント値と実測カウント値の差が算出され、各検出パターンK11、K12・・・のずれ量として定義され、これらの数値がRAM10に格納される。ここで、K11、K12に相当するパターンの中心位置のカウント値は0として、これに対する各罫線パターンの相対カウント値が実際には保持されることになる。
【0059】
前述の各パルス(すなわち、記録紙上のパターン)の基準からのずれ量はその程度に応じて次の操作が実行される。
【0060】
すなわち、ずれ量110以内(=11μm以内=1/2画素相当)は補正せず、ずれ量330以内(=33μm以内=3/2画素相当)は補正対象、ずれ量540以内(=54μm以内=5/2画素相当)と補正対象、とされる。
【0061】
具体的な補正内容を図6を用いて詳述する。
【0062】
図6(A)はプリントバッファ3の内部にデフォルトのアドレス指定で配列されている画像データのビットマップとそれに対応する記録紙上の実印字である。ここで、ビットマップ上のK11、K12が実線の円に相当する(すなわち、600dpiの1画素に相当)。そして、副走査方向下流をプラスとすると、この円は図6のように規定位置(破線円)に対し該中心位置が20μmプラス側にずれている。そして、このずれ量は前述の通り補正の対象となる。
【0063】
次に補正の操作を述べる。
【0064】
CPU8にはRAM10内にアドレス変換テーブルが内蔵されている。これはプリントバッファ内のアドレス値の変更内容を指示する参照テーブルであり、最初にテストパターン印字を起動する時点ではデフォルトの相関表が格納されている。
【0065】
さて、図6において20μmのずれ量は副走査方向上流側すなわちマイナス方向に解像度1200dpi走査の1画素分(約22μm相当)移動すれば印字位置は図6(B)に示すようになる。この操作が可能であれば、20μmのずれが2μmのずれに改善されることになる。そして、これはプリントバッファ内のK51、K52、K53、K54のデータのアドレスを1番地ずらしたビットマップパターンに相当する。これを実現するために前述したアドレス変換テーブルの内容が更新される。
【0066】
すなわち、図7(A)のアドレスの相関が図7(B)のように更新され、例えばAc011はAc00に変更になっている。これの縦軸の意味するところはプリントバッファ内への画像データの書き込みの順位であり、デフォルトと更新後で書き込み順位が1番地異なる(読み出しは常に先頭アドレスから順番に開始される。Ac00から開始される)。この情報はCPU8によって参照され、アドレス制御部7へセットされる。
【0067】
アドレス制御部7はこの書き込み順位に従って画像データのアドレスを指定し、格納作業を実行する。これにより、図6(B)のような更新後の画像データのビットマップパターンが形成される。ここで、1200dpiの1画素単位のアドレス位置の制御により±11μm以内の位置ずれ補正が実現可能であるが、さらに高解像度のビットマップパターンと副走査を実施すれば、より精度の高い位置ずれ補正が可能となることはいうまでもない。
【0068】
以上述べたものはモノクロ印字での位置ずれ補正技術であるが、C,M,Yを付加したカラー印字においても同様にして実現することができる。
【0069】
その場合は、各色毎の位置ずれ検出パターンを記録紙に印字し、光学手段により検出された各色毎の位置ずれ量を計測する。モノクロ印字ではK11、K12のカウント値を基準にしたが、カラー印字でもC、M、Yのそれぞれ第2ピン、第3ピン、第4ピンのノズルで走査された罫線がK11、K12に対して各色ピンの理論的位置からのずれ量として計測される(図8、図9参照)。
【0070】
そして各色内の位置ずれはそれぞれCの第2ピン、Mの第3ピン、Yの第4ピンを基準として位置ずれ量を計測し、最終的に基準ピンのK11、K12に対するずれ量と合算され、アドレス移動の判断がなされることになる。
【0071】
つまりカラー印字においても各色の、各印字位置が総てK11、K12に対し1/2画素以内のずれ量に改善されることになる。
【0072】
さて、以上においては、記録ヘッド14を含む画像形成装置が内在している固有の物理特性ばらつきの結果により発生する着弾位置精度に対する補正動作について述べた。ここで、当該補正動作は、対象となる画像形成装置に対してただ一回の補正動作を行えば、その後は安定した位置精度を保持できるかについて検討する。
【0073】
既に述べたように、着弾精度がばらつく要因は、記録ヘッド14およびその周辺の物理特性のばらつきによるものであるが、個々の物理特性は総てが常に一定ではなく、環境温度の変化によって特性が変化するものが存在する。その一つにインクの粘度がある。
【0074】
インク粘度は図10のような温度特性があるが、該インク粘度と吐出特性の関係は次のようである。すなわち、ピエゾ素子等のアクチュエータで同一の駆動条件でインクを押し出す場合、インク粘度が高くなるとインクの静止エネルギが増加し、吐出の初速度が低下する。
【0075】
記録ヘッドのある特定ノズルに着目した場合、吐出速度の低下は着弾位置の変化をもたらす。この変化は同一ヘッド内の総てのノズルに対して、個々に位置が変動するため、各ノズルの相対位置は変化することになる。つまり、着弾位置は環境温度により変化することとなる。このような温度特性においても常に良好な着弾精度を維持するためには、環境温度の変化により新たに着弾位置情報を取得し、補正パラメータの数値を更新すればよい。
【0076】
すなわち、前述した位置ずれ補正装置において、該装置内にサーミスタ等の環境温度を検出する温度検出手段を内蔵し、CPUにより環境温度を監視する。そして、所定温度を認識した時点で、補正動作の起動を行う。この所定温度は記録紙上に実際に印字した場合に例えば着弾位置が10μmずれる温度として定義される。また、この所定温度は一般的な数値は存在せず、画像形成装置の設計仕様により異なるため、予め実験により取得される数値である。一例として、図10で示される4現象チャートを定量化すればよい。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、印字ずれ情報を記録媒体上パターンを走査することで認識し、目標着弾位置とのずれ量に応じて画像情報の内容を更新しているので、インクジェット記録における印字ずれを防止することが可能になる。
【0078】
これにより、モノクロ印字での着弾精度不良によるライン、文字再現の劣化、ハーフトーン画像のバンデング、スプライトを改善し、カラー印字での色ずれによる色にじみ、色変動の低減、粒状度の向上を図ることができる。
【0079】
また、環境温度の変化による着弾位置変動に対しても適宜補正動作が起動されるので、常に良好な印字形成を実現することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、印字ずれ情報を記録媒体上パターンを走査することで認識し、目標着弾位置とのずれ量に応じて画像情報の内容を更新しているので、インクジェット記録における印字ずれを防止することが可能になるという有効な効果が得られる。
【0081】
これにより、モノクロ印字での着弾精度不良によるライン、文字再現の劣化、ハーフトーン画像のバンデング、スプライトを改善し、カラー印字での色ずれによる色にじみ、色変動の低減、粒状度の向上を図ることができるという有効な効果が得られる。
【0082】
また、環境温度の変化による着弾位置変動に対しても適宜補正動作が起動されるので、常に良好な印字形成を実現することができるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインクジェット記録装置での位置ずれ補正装置の構成を示すブロック図
【図2】図1の位置ずれ補正装置における位置ずれ検出手段の構成を示す説明図
【図3】本発明の一実施の形態におけるメモリマップを示す説明図
【図4】本発明の一実施の形態におけるテストパターンに対する記録紙上の実印字の概念図
【図5】本発明の一実施の形態における位置ずれ検出パターンの検出パルスの特性を示す説明図
【図6】本発明の一実施の形態における位置ずれ補正装置での補正前後の着弾位置の変化を示す説明図
【図7】本発明の一実施の形態における位置ずれ補正装置内のアドレス変換テーブルのデフォルトと更新後の対応を示す概念図
【図8】本発明の一実施の形態におけるカラー印字のテストパターンに対する記録紙上の実印字の概念図
【図9】本発明の一実施の形態におけるカラー印字の位置ずれ検出パターンの検出パルスの特性を示す説明図
【図10】本発明の一実施の形態における環境温度の変化に対する物理特性の変化を示す概念図
【図11】位置ずれ検出におけるテストパターンの一例を示す概念図
【図12】従来のインクジェット記録装置における副走査方向の位置ずれ補正を示す概念図
【符号の説明】
1 ホストPC
2 階調処理部
3 プリントバッファ(記憶手段)
4 ドットスクランブル制御部
5 ヘッド駆動制御部
6 キャラクタジェネレータ(パターン発生手段)
7 アドレス制御部(アドレス制御手段)
8 CPU(制御手段)
9 色ずれ検出手段
10 RAM
11 ROM
12 キャリッジ走査制御部(主走査制御手段)
13 副走査制御部(副走査制御手段)
14 記録ヘッド
20 D/A変換器
21 レーザ駆動部
22 半導体レーザ(照射手段)
23 受光センサ(受光手段)
24 自動利得制御部
25 比較器
26 A/D変換器
27 記録紙
28 テストパターン
Claims (3)
- ホストからの画像情報を一時的に格納する記憶手段と、
前記画像情報の1画素分を前記記憶手段の連続するアドレスに繰り返して複数回割り付けるアドレス制御手段と、
前記記憶手段から読み出された画像情報に応じて記録媒体へインク吐出を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの主走査方向の速度制御を行う主走査制御手段と、
前記画像情報の1画素を繰り返して複数回割り付けることに対応して前記記録媒体の搬送駆動を制御する副走査制御手段と、
前記記録媒体上に位置ずれ検出用パターンを発生させるパターン発生手段と、
前記記録媒体上に形成された前記位置ずれ検出用パターンに基づき、前記記録ヘッドの副走査方向の位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、を有し、
前記位置ずれ検出手段によって検出された前記位置ずれ検出用パターンの位置ずれ量に基づいて、目標着弾位置とのずれ量を得て、当該ずれ量に応じて前記アドレス制御手段を制御し、前記画像情報を前記記憶手段に格納するアドレスを前記画像情報の2画素単位で補正する位置ずれ補正装置であって、
前記位置ずれ検出用パターンを複数のON/OFFの等ピッチ罫線で構成し、
前記位置ずれ検出用パターンの各々を、前記記録ヘッドの一のノズルを用いて、前記複数回の割り付けに対応して前記主走査制御手段による複数回の走査によって形成するとともに、
前記画像情報に応じて記録媒体に画像を形成する際に、画像を構成する1画素を、前記複数回の割り付けに対応する前記主走査制御手段による複数回の走査によって形成する、
ことを特徴とする位置ずれ補正装置。 - 前記位置ずれ検出手段は、
前記記録媒体上に形成された前記位置ずれ検出用パターンをレーザビームで照射する、半導体レーザで構成された照射手段と、
前記照射手段によって照射された前記記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段の出力に基づいて印字位置情報を解読する制御手段と、
前記位置ずれ検出手段を制御するCPUを有し、
前記CPUは、前記記録媒体の白地部に対する前記受光手段の出力に基づいて前記半導体レーザの駆動電流を調整することを特徴とする請求項1記載の位置ずれ補正装置。 - 前記位置ずれ検出用パターンは同一色が連続的で、かつ複数色が独立した構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の位置ずれ補正装置。
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