JP4379986B2 - ハンドル角補正用電磁弁、パワーステアリング用バルブ及び全油圧式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の全油圧式パワーステアリング装置において、ハンドル角とタイヤ切角とのずれ量を補正するために油圧回路に組込まれるハンドル角補正用電磁弁、パワーステアリング用バルブ及び全油圧式パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フォークリフト等の産業車両ではパワーステアリング装置を備える車種が主流になっており、例えば全油圧式のパワーステアリング装置を採用するものがある。しかし、全油圧式パワーステアリング装置では、ハンドルの操作量と、ハンドルの操作により駆動されるステアリングバルブ(作動油供給装置)の吐出油量との関係値(吐出効率(実吐出量/理論吐出量))がハンドル操作速度によって多少変動する。また、油圧回路において多少のオイルリークがあることは避けられない。このため、ハンドルと操舵輪の位置関係にずれが発生する。
【0003】
この問題を解消するため、例えば特公平3−30544号公報、特公平4−24270号公報及び実公平7−5364号公報等には、ハンドルと操舵輪の位置関係のずれを補正するハンドル角補正装置が開示されている。図8はこの種のハンドル角補正装置を示す。
【0004】
全油圧式パワーステアリング装置71は、ハンドル72の操作によって駆動されるステアリングバルブ73と、操舵輪74を操向させるためのステアリングシリンダ75とを備え、ステアリングバルブ73とステアリングシリンダ75とは2本の油圧配管76,77を通じて接続されている。両油圧配管76,77の途中には両者を接続する電磁弁(補正バルブ)78が設けられている。ステアリングバルブ73は、ハンドル72が操作されると、油圧ポンプ79から流入される作動油を2本の油圧配管76,77のうちハンドル操作方向に応じた一方へ吐出し、そのうち他方からの戻り油をオイルタンク80へ排出する。
【0005】
コントローラ81は、ハンドル位置センサ82により検出されたハンドル角から目標タイヤ角を算出し、タイヤ角センサ83により検出された実タイヤ角と目標タイヤ角とのずれ量が許容値を超えると、電磁弁78を開弁させる。電磁弁78が開弁されるとハンドル72を操作しても作動油の一部が還流してステアリングシリンダ75へ送られる作動油が減少する。このため、ハンドル72が空転し、ハンドル角に応じた正規のタイヤ角に操舵輪74が補正される。
【0006】
従来の電磁弁78は図9に示す構造になっていた。電磁弁78は、駆動制御部85とマニホールド86とを備える。駆動制御部85にはソレノイド87やプランジャ(弁体)88等が収容されている。プランジャ88はバネ89によって閉弁方向へ付勢され、プランジャ88の先端部に嵌着されたボール92がスプール91の油路91aを塞いで電磁弁78は閉弁する。ソレノイド87の励磁によってプランジャ88がバネ89の付勢力に抗して変位すると、プランジャ88の先端のボール92がスプール91の油路91aを開き、電磁弁78が開弁される。電磁弁の開弁時はスプール91に形成された油路91a,91bを通って作動油が還流する。電磁弁78が配管76,77の途中に設けられる構成であることからマニホールド86には、ステアリングバルブ73から延びる2本の油圧配管と、ステアリングシリンダ75から延びる2本の油圧配管とを接続するための4つのフィッティング93a,93b,94a,94bが取付けられていた。
【0007】
電磁弁78が閉弁状態(同図に示す状態)にあるときは、送り油と戻り油はそれぞれ上下2組ある左右のフィッティング93a,93b,94a,94bの間を連通する通路95,96を通り抜けることになる。同図において上側に位置する左右のフィッティング93a,94aの間を通る通路95は、スプール91の外周面に凹設された比較的細い内径の油路91cを含む。油路91cはスプール91に形成されるもので大きな内径に加工し難く相対的に細かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電磁弁78が閉じているときでも、スプール91の回りの細い油路91cを必ず送り油と戻り油のいずれかが経由することになっていた。油路91cは内径が細く屈曲しているため、作動油の圧力損失が大きかった。
【0009】
また、各フィッティング93a,93b,94a,94bの通路は配管76,77に比べて相対的に径が小さいため、このフィッティング部分でも圧力損失が生じる。圧力損失の発生は作動油が高温となる原因となり、作動油が高温になると、例えば配管を繋いだ部分やバルブ内部など油圧回路内に介装されるシール材が劣化し易くなる。シール材が劣化すると油漏れが起こり易くなり、ハンドル角とタイヤ角との対応関係にずれが生じる易くなる。
【0010】
また、ステアリングバルブ73と電磁弁78との位置は離れているため、ステアリングバルブ73から電磁弁78までの油圧配管76,77は長くなる。従って、電磁弁78で還流する場合でも、作動油は長い配管76,77を通って電磁弁78まで往復しなければならず、電磁弁78を経由して還流するまでにエネルギーをロスする。このエネルギーロスや上記の圧力損失は油圧ポンプを駆動するエンジンの余分な負荷となり燃費を悪化させる原因になる。
【0011】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ステアリングバルブと油圧式アクチュエータとの間を流れる作動油の圧力損失を減らすとともに、作動油が電磁弁を経由して還流する際のエネルギーロスを軽減できるハンドル角補正用電磁弁、パワーステアリング用バルブ及び全油圧式パワーステアリング装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、全油圧式パワーステアリング装置に使用され、ハンドルの回転入力に基づいて駆動されるステアリングバルブの供給ポートと排出ポートとの間で作動油を還流させるために弁が開閉されるハンドル角補正用電磁弁であって、前記ステアリングバルブの取付面に形成されたポンプポート、タンクポート、前記供給ポート及び排出ポートと連通可能な4つの油路を有するとともに、前記ステアリングバルブの取付面に対し前記4つのポートが前記油路とそれぞれ連通する状態で接合される接合面を有するボディ本体と、前記ボディ本体に形成された前記4つの油路のうち前記供給ポート及び排出ポートに連通可能な2つの油路間を連通する油路を開閉する弁体を有する電磁式弁部とを備えた。
【0013】
この発明によれば、ボディ本体の油路とステアリングバルブのポートとが連通するようにハンドル角補正用電磁弁はステアリングバルブに一体組付けされる。そのため、各配管を繋ぐ継手の個数が減少することにより継手部分で生じる圧力損失の発生部位が少なくなるので、圧力損失は減少する。圧力損失が減少すると作動油が熱くなり難く、油圧回路に作動油の漏れを防ぐために介装されたシール部材の耐久性が向上し、油漏れが発生し難くなる。また、電磁弁開弁時に作動油が還流する経路長が相対的に短くなるので、エネルギー損失が軽減される。そのため、油圧ポンプを駆動する動力源(例えば、エンジンやモータ)の省エネルギー化に寄与し、例えばエンジンの燃費が向上する。
【0015】
また、ハンドル角補正用電磁弁は、ステアリングバルブの4つのポートに連通される4つの油路を有する。
そのため、例えば従来使用されるステアリングバルブに、このハンドル角補正用電磁弁を組付けることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記油路は、前記ステアリングバルブの取付面に前記接合面が接合された状態において、前記ステアリングバルブの各ポートと相対して位置するとともに、作動油が各ポートを流れる方向と同一の経路方向に形成されている。
【0017】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、ポート及び油路からなる作動油の流通経路はほぼ真っ直ぐとなるため、圧力損失が一層軽減される。
【0018】
請求項3に記載の発明では、パワーステアリング用バルブは、請求項1又は請求項2に記載のハンドル角補正用電磁弁と、前記ステアリングバルブとが前記接合面と取付面との接合を介して一体に組付けられている。
【0019】
この発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明と同様の作用が得られる。
請求項4に記載の発明では、パワーステアリング装置は、請求項3に記載のパワーステアリング用バルブと、当該パワーステアリング用バルブに回転入力可能に作動連結されたハンドルと、前記パワーステアリング用バルブの前記供給ポート及び排出ポートを連通する前記2つの油路と配管を介して接続される油圧式アクチュエータと、前記油圧式アクチュエータの駆動に基づいて操舵される操舵輪と、前記ハンドルと前記操舵輪の位置関係のずれを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づきずれが許容範囲を超えた場合に前記ハンドル角補正用電磁弁を開弁させる制御手段とを備えた。
【0020】
この発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、パワーステアリング用バルブはハンドルの回転操作に応じて内部通路の方向制御がなされ、油圧式アクチュエータの一方の室に送り油を供給し、他方の室から排出された戻り油を取り込む。油圧式アクチュエータの作動により操舵輪は操舵される。検出手段はハンドルと操舵輪との位置関係のずれを検出し、制御手段は検出手段の検出結果に基づき、その検出値が許容値を超えると電磁弁を開弁させる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をフォークリフトに具体化した一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0022】
図7に示すように、産業車両としてのフォークリフト1は前輪駆動・後輪操舵の4輪車である。前輪2はフード3の下方に収容されたエンジン4の出力によって駆動される。フォークリフト1は、後輪である操舵輪5をハンドル(ステアリングホイール)6の操作に基づいて操舵するため、図6に示す全油圧式パワーステアリング装置7を装備している。
【0023】
図6に示すように、パワーステアリング装置7は、左右の操舵輪5を操向駆動するための油圧式アクチュエータとしてのステアリングシリンダ8と、ハンドル6の操作入力に基づき駆動されるパワーステアリング用バルブ(以下、PS用バルブという)9とを備える。PS用バルブ9は、ハンドル6の操作入力に基づき駆動されるとともにハンドル操作量に応じた吐出油量の調整をするステアリングバルブ10を有する。
【0024】
ステアリングバルブ10は、ポンプポートとしてのPポート12,タンクポートとしてのTポート13,Rポート14及びLポート15の4ポートを有する。Pポート12には油圧ポンプ16が配管(ホース)17を通じて接続され、Tポート13は配管(ホース)18を通じてオイルタンク19と接続されている。2つの配管17,18の間は油圧調整弁(リリーフ弁)20を介して接続されており、Pポート12には設定油圧の作動油が供給されるようになっている。
【0025】
ステアリングバルブ10では、ハンドル6の操作方向に応じてRポート14とLポート15のうち、一方がPポート12と連通する供給ポート、他方がTポート13と連通する排出ポートとなる。供給ポートからの吐出油量はステアリングバルブ10に内蔵された弁機構(図示せず)により調整されてハンドル操作量に比例する。
【0026】
ステアリングバルブ10のRポート14とLポート15は、油路21,22及び配管(ホース)23,24を通じてステアリングシリンダ8に繋がり、ステアリングシリンダ8内でピストン8aにより区画された二室にそれぞれ接続されている。ステアリングシリンダ8の両側から突出するピストンロッド8bはリンク機構25を介して左右の操舵輪5と作動連結されている。
【0027】
PS用バルブ9には、2つの油路21,22間を接続する油路26上に介在する状態でハンドル角補正用電磁弁としての電磁式補正バルブ11(以下、単に補正バルブという)が内蔵されている。補正バルブ11は、そのソレノイド11aがコントローラ27により励消磁制御されることにより開閉制御される電磁式開閉弁からなる。
【0028】
コントローラ27には、ハンドル6の操作角(ハンドル角)を検出するためのハンドル角センサ28と、操舵輪5の操舵角(タイヤ角)を検出するためのタイヤ角センサ29とが接続されている。コントローラ27は、ハンドル角センサ28からの入力信号から検出したハンドル角(実ハンドル角)と、タイヤ角センサ29からの入力信号から検出したタイヤ角との対応関係のずれが許容値を超えたときに補正バルブ11を開弁させる。詳しくは検出したタイヤ角から目標ハンドル角を求め、実ハンドル角と目標ハンドル角とのずれ量が許容値を超えた状態にあって、ハンドル6がそのずれ量を小さくする方向(実ハンドル角が目標ハンドル角に近づく方向)に操作されたとき、コントローラ27はソレノイド11aを励磁させて補正バルブ11を開弁させる。補正バルブ11が開弁する状態では、ステアリングバルブ10から吐出された作動油の一部が補正バルブ11を経由して還流し、ハンドル6が空回りすることで、ハンドル6のノブ6aのずれが補正される。なお、ステアリングシリンダ8は、フォークリフト1の車体後部に車体のロール方向の揺動を許容するように揺動可能に懸架されたリアクスルビーム(図示せず)に取付けられている。
【0029】
図2に示すように、補正バルブ11はステアリングバルブ10に外付け(アドオン)された状態で一体に組付けられている。図1はPS用バルブの分解正面図、図3は補正バルブの背面図である。
【0030】
図1に示すように、ステアリングバルブ10のバルブ本体10aは略立方体形状で、その一側部から少し膨出する取付部31にはその前面全体に取付面31aが形成されている。前記4つのポート12〜15は四角形の頂点に位置する配置で取付面31a上に開口している。取付面31a上には、対向する二箇所にネジ穴32が形成されている。なお、バルブ本体10aに設けられた入力部10bには、ハンドル6のステアリングシャフト6b(図6参照)がその回転入力可能な状態で挿着されている。
【0031】
図1(a),図3及び図4に示すように、補正バルブ11は、ステアリングバルブ10の取付面31aの面形状とほぼ同じ略四角形で肉厚のあるボディ本体33と、ボディ本体33から突出する状態に一体に組付けられた電磁式弁部としての駆動制御部34とを備える。ボディ本体33の片面はステアリングバルブ10の取付面31aに接合される接合面33a(図3に示す)となっている。ボディ本体33には、ステアリングバルブ10側の4つのポート12〜15と相対する位置に4つの油路35〜38が貫設されるとともに、各ネジ穴32と相対する位置に2つの挿通孔39が貫設されている。
【0032】
図1(b)に示すようにボディ本体33の表面(外面)側には、4つの油路35〜38の表面側でやや拡径した部位内周面上にネジを有する4つのネジ穴35a〜38aが形成されている。また図3に示すように、Pポート12と連通する油路35内にPポート12への作動油の逆流を阻止する逆止弁として機能するボール40が取付けられている。油路35は、ボール40が当接する部位に5つの油孔を有し、ボール40が油路35側に当接しても作動油の流出が可能となっている。
【0033】
図1に示す組付け前の状態から、補正バルブ11の接合面33a(図3に示す)をバルブ本体10aの取付面31aに接合させた状態で、2本のネジ41(図2に示す)をボディ本体33の挿通孔39を介してネジ穴32に螺着することで補正バルブ11とステアリングバルブ10は図2に示すように組付けられる。
【0034】
図2及び図5に示すように、各ネジ穴35a〜38aにはエルボ型のフィッティング42〜45がそれぞれ螺着されている。油圧ポンプ16を繋ぐ配管17(ホース)及びオイルタンク19を繋ぐ配管(ホース)18は、各フィッティング42,43のジョイント部42a,43aにそれぞれ接続される。ステアリングシリンダ8に繋がる配管(ホース)23,24は、各フィッティング44,45のジョイント部44a,45aに接続される。よって、フィッティング42〜45が組付けられた各油路35〜38が、PS用バルブ9としてのP,T,R,Lポートとなる。
【0035】
図4に示すように、補正バルブ11の駆動制御部34は従来技術で述べた図9の電磁弁78と基本的に同じ構造を有している。即ち、駆動制御部34は、図4に示すように、そのハウジング46内にソレノイド11aやヨーク48、プラグ49、弁体としてのプランジャ50を収容している。プラグ49は円筒状のヨーク48に嵌入された状態でハウジング46と一体に固定されている。プランジャ50はバネ51によってプラグ49に対して離間する上方へ付勢され、ソレノイド11aの励消磁により軸方向に変位可能となっている。プランジャ50の先端部には弁体としてのボール52が嵌着されている。駆動制御部34はその先端部分がボディ本体33に形成された組付穴33bに螺着されることでボディ本体33と一体に組付けられている。
【0036】
プランジャ50の上方には、駆動制御部34の組付先端側に螺着されたスプール53が配置されている。スプール53は外周面上の凹部によってできた油路53aと、スプール53とプランジャ50との隙間によってできた油室54に油路53aを連通させる油路53bと、ボール52と対向する位置で開口するように軸線に沿って貫通した油路53cとを有する。また、ボディ本体33には、油路53cと油路38とを連通する通路55が形成されている。油路53aは油路37と連通している。2つの油路37,38間を連通する油路53a,53b,53c,55は、プランジャ50が軸方向に変位することでその先端部に嵌着されたボール52によって開閉される。油路37と油路53aとの間、油路38と油路53cとの間には、フィルタ56,57がそれぞれ介装されている。
【0037】
スプール53に加工される還流用の油路は相対的に内径が細く形成されている。還流用の油路の最小径は絞り弁として機能し得る程度に小さな値に設定され、補正バルブ11が開弁放置される故障となっても、還流用の油路が絞りとして機能することで、ハンドル6を操作したときの操舵輪5の操舵が可能となっている。なお、図1〜図3に示すようにハウジング46の側部にはソレノイド11aに電流を流す電気配線58を繋ぐためのコネクタ59が取付けられている。
【0038】
次に、ハンドル角補正機能付きの油圧式パワーステアリング装置7の作用について説明する。
フォークリフト1の運転時は、油圧ポンプ16からの作動油が補正バルブ11のPポート(油路35)を通じてパワーステアリング用バルブ9に流入する。ハンドル6を操作することでステアリングバルブ10は直接駆動され、その操作量に比例した油量の作動油がPS用バルブ9のRポート(油路37)とLポート(油路38)のうちハンドル操作方向に応じた一方から吐出される。コントローラ27はフォークリフト1の運転中、ハンドル角補正制御のためのプラグラムを逐次実行し、ハンドル角センサ28から入力した検出値から求めた実ハンドル角と、タイヤ角センサ29から入力した検出値から決まる目標ハンドル角とのずれ量が許容値を超えたか否かを判定する。そのずれ量が許容値を超えないときはコントローラ27により補正バルブ11が閉弁状態に保持される。つまり、このとき補正バルブ11では、ソレノイド11aが消磁されて図4に示すようにバネ51の付勢力によって下降したプランジャ50の先端部のボール52が油路53cを閉じた状態にある。
【0039】
ハンドル操作時にその操作回転方向に応じて、例えばポンプポートがRポート14と通じ、タンクポートがLポート15と通じたとする。このとき、ステアリングバルブ10のRポート14から油路37を通じて配管23へ作動油は送り出される。そして、補正バルブ11が閉弁状態にあってノブ位置補正が行われないとき、この送り油は配管(ホース)23を通ってステアリングシリンダ8の右側区画室に流入し、その左側区画室から排出された戻り油が配管(ホース)24を流れて油路36を通ってLポート15へ流入する。
【0040】
フィッティング42〜45は各配管17,18,23,24と同程度の径を有しているとはいえ若干径は小さくなるため、フィッティング42〜45には僅かながら圧力損失が生じる。しかし、補正バルブ11が一体型のPS用バルブ9でのフィッティング個数は、ステアリングバルブと電磁弁(補正バルブ)とが配管(ホース)で接続された従来の構造と比較して少なくなるので、圧力損失の軽減効果が高まる。このため、作動油の温度上昇が軽減され、例えば各配管の接続部分に介装されるシール材などの耐久性が向上され、油漏れが起こり難くなる。
【0041】
一方、ハンドル6の操作速度が遅いときのステアリングバルブ10の吐出効率の低下や、油圧回路内でのオイルリークが原因となって、ノブ6aが正規の位置からずれる場合がある。この場合、コントローラ27は実ハンドル角と目標ハンドル角とのずれ量が許容値を超えたと判断し、この状態でハンドル6が実ハンドル角を目標ハンドル角に近づける方向に操作された判断すると、補正バルブ11が開弁される。すると、Rポート14から吐出された送り油は補正バルブ11の油路53a,53b,53c,55を経由してLポート15へ還流する。この作動油の還流によってハンドル6の空転状態が作り出され、ノブ6aの位置が補正される。
【0042】
このように補正バルブ11の開弁時は、補正バルブ11がステアリングバルブ10に一体に組付けられた構成であるため、ステアリングバルブ10から吐出された作動油は、配管23,24へ至る手前で補正バルブ11の内部油路を経由して直ぐに還流される。従って、作動油を還流させるときのエネルギーロスが小さく抑えられ、エンジン4の燃費が良くなる。以上の作用はポンプポートがRポート14と通じ、タンクポートがLポート15と通じた場合であるが、ハンドル操作回転方向が上記の場合とは逆であって、ステアリングバルブ10のタンクポートがRポート14と通じ、ポンプポートがLポート15と通じた場合も同様である。
【0043】
従って、この実施形態では以下のような効果を得ることができる。
(1)フィッティング個数が少なくなるため、作動油が流れるときに発生する圧力損失が軽減する。その結果、作動油の温度が相対的に低く抑えられ、油圧回路に設けられるシール材の熱劣化が抑えられて寿命が長くなるので、油漏れがし難くなり、ノブずれ頻度を長期に亘り少なく抑えることができる。
【0044】
(2)補正バルブ11の開弁時に作動油が還流する還流経路長がかなり短くなるので、作動油の還流にかかるエネルギーロスを軽減できる。従って、エンジン4の燃費を向上させることができる。
【0045】
(3)作動油はフィッティング42〜45の比較的広い断面積の通路を通るので、圧力損失の軽減効果を高めることができる。即ち、従来技術で述べた図9の電磁弁78の油路91cをのような内径が細く屈曲する通路を通らずに済み、比較的径の大きな油路37,38を通るので、作動油の圧力損失を小さく抑えることができる。
【0046】
(4)補正バルブ11とステアリングバルブ10が一体となっていることから、これら部品10,11を同時にメンテナンスすることが可能となるので、メンテナンスの作業性を向上できる。
【0047】
(5)フォークリフト1などの車両にPS用バルブ9を組付けるとき、予めステアリングバルブ10に補正バルブ11を一体に組付けておいてから車両に組付ける。従って、補正バルブ11とステアリングバルブ10を別々に組付ける従来構成と比較し、PS用バルブ9の組付性を向上できる。また、フィッティング個数が減ることから配管の組付工数も減るので、組付け作業が簡単になる。
【0048】
(6)ボディ本体33に4つの油路35〜38を有する構造であるので、例えば従来使用されていたステアリングバルブに補正バルブ11を組付けることができ、ステアリングバルブの設計変更が不要である。
【0049】
(7)各ポート12〜15及び油路35〜38からなる作動油流通経路はほぼ真っ直ぐであるので、圧力損失の軽減効果を高めることができる。
(8)ボディ本体33の油路35上に逆止弁として機能するボール40を取付けたので、作動油が油圧ポンプ16に逆流することを阻止できる。
【0050】
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように変更してもよい。
○ 補正バルブ11は、ボディ本体33に4ポートの全てを有することに限定されない。例えば、ステアリングバルブ10のP,Tポート12,13に直にフィッティング42,43を螺着した構成であって、補正バルブ11のボディ本体33にはR,Lポート14,15とそれぞれ連通する2つの油路37,38のみが形成されているものであってよい。また、ステアリングバルブ10のTポート13に直にフィッティング43が螺着され、補正バルブ11にP,R,Lポート12,14,15とそれぞれ連通する3つの油路35,37,38が形成されているものでもよい。
【0051】
○ 補正バルブ11の駆動制御部34の組付け位置は、ボディ本体33に油路35〜38と直交する方向に突出する組付け状態に限らず、例えば、油路35〜38と平行にボディ本体33から突出する構成であってもよい。
【0052】
○ 補正バルブ11に形成される各ポート35〜38の形状は真っ直ぐ貫通するものに限らず、例えば途中で略直角に折れ曲がり、ボディ本体28の両側側面にポートの開口が位置するものでもよい。
【0053】
○ 使用するフィッティング42〜45はエルボ型に限らず、例えばストレート型であってよい。
○ ハンドル角センサ28の検出信号から得た目標タイヤ角と、タイヤ角センサ29の検出信号から得た実タイヤ角とのずれ量に基づき補正バルブ11を開閉させる制御方法を用いてもよい。
【0054】
○ 本実施形態の補正バルブ11、PS用バルブ9及びパワーステアリング装置7はフォークリフト1に採用することに限定されず、その他の産業車両にも採用できる。
【0055】
前記実施形態及び別例から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)前記ボディ本体の油路のうち前記ポンプポートと連通する油路(12)には、作動油の前記油圧ポンプへの逆流を阻止する逆止弁(40)が設けられている。この場合、逆止弁によってステアリングバルブに流入した作動油の油圧ポンプへ逆流が防止されるので、ハンドル角の補正が正確にできる。
【0056】
(2)前記全油圧式パワーステアリング装置を装備した産業車両。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ステアリングバルブと油圧式アクチュエータとの流れる作動油圧力損失を減らすことができるとともに、作動油が電磁弁を経由する還流時のエネルギーロスを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態におけるパワーステアリング用バルブの組付図であって、(a)はステアリングバルブの正面図、(b)は補正バルブの正面図。
【図2】 配管が接続されたときのパワーステアリング用バルブの正面図。
【図3】 補正バルブの背面図。
【図4】 同じく補正バルブの正断面図。
【図5】 (a)は補正バルブの側面図であり、(b)は図4のII−II線断面図。
【図6】 全油圧式パワーステアリング装置の構成図。
【図7】 フォークリフトの側面図。
【図8】 従来の全油圧式パワーステアリング装置の構成図。
【図9】 電磁弁の正断面図。
【符号の説明】
5…操舵輪、6…ハンドル、7…全油圧式パワーステアリング装置、8…油圧式アクチュエータとしてのステアリングシリンダ、9…パワーステアリング用バルブ、10…ステアリングバルブ、11…ハンドル角補正用電磁弁としての補正バルブ、12…ポンプポートとしてのPポート、13…タンクポートとしてのTポート、14…供給ポート又は排出ポートとしてのRポート、15…供給ポート又は排出ポートとしてのLポート、23…配管、24…配管、27…制御手段としてのコントローラ、28…検出手段としてのハンドル角センサ、29…検出手段としてのタイヤ角センサ、31a…取付面、33…ボディ本体、33a…接合面、34…電磁式弁部としての駆動制御部、35〜38…油路、50…弁体を構成するプランジャ、52…弁体を構成するボール。
Claims (4)
- 全油圧式パワーステアリング装置に使用され、ハンドルの回転入力に基づいて駆動されるステアリングバルブの供給ポートと排出ポートとの間で作動油を還流させるために弁が開閉されるハンドル角補正用電磁弁であって、
前記ステアリングバルブの取付面に形成されたポンプポート、タンクポート、前記供給ポート及び排出ポートと連通可能な4つの油路を有するとともに、前記ステアリングバルブの取付面に対し前記4つのポートが前記油路とそれぞれ連通する状態で接合される接合面を有するボディ本体と、
前記ボディ本体に形成された前記4つの油路のうち前記供給ポート及び排出ポートに連通可能な2つの油路間を連通する油路を開閉する弁体を有する電磁式弁部と
を備えたハンドル角補正用電磁弁。 - 前記油路は、前記ステアリングバルブの取付面に前記接合面が接合された状態において、前記ステアリングバルブの各ポートと相対して位置するとともに、作動油が各ポートを流れる方向と同一の経路方向に形成されている請求項1に記載のハンドル角補正用電磁弁。
- 請求項1又は請求項2に記載のハンドル角補正用電磁弁と、前記ステアリングバルブとが前記接合面と取付面との接合を介して一体に組付けられているパワーステアリング用バルブ。
- 請求項3に記載のパワーステアリング用バルブと、当該パワーステアリング用バルブに回転入力可能に作動連結されたハンドルと、前記パワーステアリング用バルブの前記供給ポート及び排出ポートを連通する前記2つの油路と配管を介して接続される油圧式アクチュエータと、前記油圧式アクチュエータの駆動に基づいて操舵される操舵輪と、前記ハンドルと前記操舵輪の位置関係のずれを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づきずれが許容範囲を超えた場合に前記ハンドル角補正用電磁弁を開弁させる制御手段とを備えた全油圧式パワーステアリング装置。
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