JP4379764B2 - 固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法及び固体撮像装置 - Google Patents

固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法及び固体撮像装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子を用いた固体撮像装置における固定パターンノイズ抑制方法、及びこの方法を用いた固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体撮像素子を用いた固体撮像装置においては、固体撮像素子の暗電流による固定パターンノイズが、画質を悪化させる主たる原因になっている。従って、画質を向上させるためには、この固定パターンノイズを撮像信号から除去することが要求される。
【0003】
このような要求に対しては、例えば特開平6−133185号公報に記載されるような固定パターンノイズ抑制技術が提案されている。この従来技術について、図8を用いて以下に説明する。
【0004】
特開平6−133185号公報に記載された固定パターンノイズ抑制技術では、図8に示すように、固体撮像素子2の前面側に、間欠的に光を遮断するメカニカルシャッタとしての遮光フィルタ1が配置されている。固体撮像素子2から出力される撮像信号は、プリアンプ3によって増幅されて、A/D変換器4によりデジタルデータに変換される。遮光フィルタ1により光を遮断されている場合には、固体撮像素子2からの撮像信号は、暗時信号のデジタルデータが得られることになる。
【0005】
A/D変換器4から出力されるデジタルデータは、スイッチ5を介して、フレームメモリ6、加算器9のいずれか一方に選択的に入力される。スイッチ5は、遮光フィルタ1に連動しており、遮光フィルタ1によって遮光されている場合には、スイッチ5はa側に動作して、A/D変換器4がフレームメモリ6に接続し、遮光フィルタ1によって遮光されていない場合には、スイッチ5はb側へ動作して、A/D変換器4が加算器9に接続される。
【0006】
フレームメモリ6の出力は、減算器7の−入力端子に入力されている。また、加算器9では、オフセット数値発生回路10にて発生されたオフセットレベルを、A/D変換器4の出力に加算しており、この加算データが、減算器7の+入力端子に入力されている。減算器7は、−入力端子および+入力端子にそれぞ入力されたデータを減算処理し、その演算結果が、デジタルデータとして出力される。減算器7から出力されるデジタルデータは、D/A変換器8によりアナログデータに変換される。
【0007】
このような固定パターンノイズ抑制技術を用いた固体撮像装置の動作について、次に説明する。
【0008】
遮光フィルタ1によって遮光状態になると、スイッチ5がa側に動作され、固体撮像素子2からは暗時信号が出力される。この暗時信号は、固定パターンノイズ(FPN)にランダムノイズ(RN)が重畳したものであるために、積分等によりランダムノイズ成分を消去し、固定パターンノイズのみからなる暗時信号を生成する。生成された暗信号は、プリアンプ3、A/D変換器4およびスイッチ5を介して、フレームメモリ6に入力されてこのフレームメモリ6に記憶される。
【0009】
次に、遮光フィルタ1による遮光動作が解除されて、スイッチ5がb側に動作されると、固体撮像素子2からは撮像信号が出力される。そして、この撮像信号は、プリアンプ3、A/D変換器4およびスイッチ5を介して、加算器9に入力される。加算器9は、入力された撮像信号に、オフセット数値発生回路10から出力されるオフセットレベルαを加算し、この加算値から、フレームメモリ6に記憶されている固定パターンノイズ(FPN)が減算される。
【0010】
このようにして、撮像信号から固定パターンノイズ(FPN)が除去されることにより、撮像信号は、固定パターンノイズ(FPN)による影響を受けるおそれがない。また、撮像信号から固定パターンノイズ(FPN)を除去する前に、撮像信号にオフセットレベルαが加算されるために、撮像信号に重畳するランダムノイズ(RN)の負側がクリップされない。その結果、黒レベルが暗レベルより浮く現象が回避される。また、カラーカメラなどにおけるRGBの各信号のランダムノイズ(RN)が異なる場合でも、黒レベルを合わせることができる。更に、小レベル信号が入力された場合であっても、撮像信号の黒つぶれが防止される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の固定パターンノイズ抑制技術によると、固体撮像素子が有する固有の固定パターンノイズ成分が検出され、差分によってキャンセルされることにより、画質が向上する。しかし、その一方では、以下のような問題がある。
【0012】
第1に、固定パターンノイズを検出するために、遮光フィルタ、すなわち遮光機構(メカニカルシャッタ)が必要である。遮光機構(メカニカルシャッタ)が装着されると、固体撮像装置の小型化が妨げられ、しかも、コストアップにもつながる。携帯電話、携帯情報端末等の小型機器においても、固体撮像装置を設けて、撮像された画像を送信するように構成することが提案されているが、遮光機構が装備されることにより、小型化および低価格が損なわれるために、遮光機構を装備した固定パターンノイズ抑制技術を採用することが、ほとんど行われていない。
【0013】
第2に、撮像開始時には、毎回、固定パターンノイズを検出する必要があり、そのための時間が必要となり、撮像を開始するまでの時間が長くなる。
【0014】
第3に、暗時信号が圧縮されずに、その暗時信号から固定パターンノイズが検出されるために、固定パターンノイズを格納するメモリの容量が増大する。
【0015】
第4に、撮像開始時に固定パターンノイズを検出するが、固定撮像素子の固定パターンノイズは、温度変化と共に変化するため、撮像中に温度上昇が生じた場合は、固定パターンノイズを高い精度で除去することができない。
【0016】
第5に、撮像中にホワイトバランスの調整を行うと、RGBのそれぞれの画素ごとに撮像信号がゲイン調整されるため、撮像開始時に検出した固定パターンノイズと撮像信号に含まれる固定パターンノイズとに差が生じ、これによっても、固定パターンノイズを高い精度で除去することができない。
【0017】
第6に、撮像中に被写体の明るさによってオートゲインコントロールを行うと、撮像開始時に検出した固定パターンノイズと撮像信号に含まれる固定パターンノイズとに差が生じ、これによっても、固定パターンノイズを高い精度で除去することができない。
【0018】
第7に、固体撮像素子の固体差等により、固定パターンノイズがばらつくおそれがあり、その結果、固定パターンノイズが大きい場合には、その固体撮像素子を使用できなくなるおそれがある。
【0019】
第8に、撮像信号に含まれる固定パターンノイズはフレームレートによって変化する。このために、撮像中にフレームレートを変更すると、撮像開始時に検出した固定パターンノイズと撮像信号に含まれる固定パターンノイズに差が生じることになり、これによっても、固定パターンノイズを高い精度で除去することができないおそれがある。
【0020】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その第1の目的は、遮光機構(メカニカルシャッタ)を用いずに固定パターンノイズを検出でき、しかも、撮像にかかる時間及び固定パターンノイズを格納するメモリの容量を従来より低減できる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0021】
本発明の第2の目的は、撮像中に固体撮像装置内部の温度が変化した場合も、高精度に固定パターンノイズを除去できる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0022】
本発明の第3の目的は、撮像中にホワイトバランスの調整を行った場合も、高精度に固定パターンノイズを除去できる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0023】
本発明の第4の目的は、撮像中に被写体の明るさによってオートゲインコントロールを行った場合も、高精度に固定パターンノイズを除去できる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0024】
本発明の第5の目的は、固定パターンノイズが大きい固体撮像素子を使用することができる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0025】
本発明の第6の目的は、撮像中にフレームレートを変更した場合も、高精度に固定パターンノイズを除去できる固定パターンノイズ抑制方法を提供することにある。
【0026】
本発明の第7の目的は、これらの固定パターンノイズ抑制方法を用いた経済的で高性能な固体撮像装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法は、遮光機能が設けられていない固体撮像装置において、固体撮像素子の撮像信号から固定パターンノイズを除去して固定パターンノイズを抑制する方法であって、前記固体撮像装置の製造時に、固体撮像素子から暗時データを出力させ、該暗時データを前記固体撮像装置内のCPUに出力する工程と、該CPUにより、前記暗時データをnフレーム分だけ平均化し、この平均化した暗時データから前記固体撮像素子の固定パターンノイズの上位の数ビットおよび下位の数ビットを切り捨てて有効なビットのみ有効データとして検出、検出された固定パターンノイズの大きさに応じた圧縮処理を行って、該有効データを該固定パターンノイズとして第1の記憶手段に記憶させる工程と、前記固体撮像装置の実使用に際して、前記第1の記憶手段から画像処理回路内の第2の記憶手段へ前記固定パターンノイズを記憶させる工程と、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズの大きさに応じたゲイン調整を行う工程と、前記固体撮像装置の実使用時に、前記固体撮像素子から出力される撮像信号から固定パターンノイズを除去するべく、前記第2の記憶手段から読み出されてゲイン調整された固定パターンノイズ前記撮像信号に加減算する工程と、を包含することを特徴とする
【0028】
前記固体撮像装置の温度に応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む。
【0029】
前記撮像信号に対するホワイトバランスに応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む。
【0030】
前記撮像信号に対するオートゲインコントロールに応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む。
【0032】
撮像時のフレームレートに応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む。
【0033】
本発明の固体撮像装置は、遮光機能が設けられていない固体撮像装置であって、固体撮像素子から出力される撮像信号を画像処理回路によって画像処理する固体撮像装置において、製造時に該固体撮像素子から出力される暗時データをnフレーム分だけ平均化し、この平均化した暗時データに基づいて、固定パターンノイズの上位の数ビットおよび下位の数ビットを切り捨てて有効なビット数のみ有効データとして検出するCPUと、該CPUにより検出された固定パターンノイズの大きさに応じた圧縮処理を行い、圧縮された固定パターンノイズを該有効データとして記憶する第1の記憶手段と、該第1の記憶手段に記憶された固定パターンノイズを記憶するように前記画像処理回路内に設けられた第2の記憶手段と、前記固体撮像素子から出力される撮像信号から固定パターンノイズを除去するために、前記第2の記憶手段から読み出されて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズの大きさに応じてゲイン調整された固定パターンノイズ前記撮像信号に加減算する手段と、を具備することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
<実施形態1>
図1は、本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置の一例を示す概略構成図である。この固体撮像装置は、レンズ21を介して光が照射されるように配置された固体撮像素子22を有している。固体撮像素子22は、CCD若しくはC−MOSイメージャであり、遮光フィルタ等の遮光機構(メカニカルシャッタ)は装備されていないが、装置製造時(組み立て時)において、暗時データ検出、固定パターンノイズ検出等のために、固体撮像素子22を一時的に遮光する遮光治具28が使用される。
【0036】
固体撮像素子22の出力は、画像処理回路20を通してCPU26に入力されるようになっている。画像処理回路20は、固体撮像素子22の出力を増幅するアンプ23と、アンプ23の出力経路を、経路1と経路2とに選択的に切り換えるスイッチ29とを有している。経路2には、加減算回路24が設けられており、アンプ23によって増幅された固体撮像素子22の出力が加減算回路24に与えられると、加減算回路24は、固体撮像素子22の出力における撮像信号に対して固定パターンノイズの加減算処理を行う。そして、加減算回路24の出力がCPU26に出力される。なお、スイッチ29によって、経路1に与えられたアンプ23の出力は、加減算回路24を経由することなく、CPU26に、直接与えられている。
【0037】
CPU26は、固体撮像装置全体を統括的に制御すると共に、固体撮像素子22が有する固有の固定パターンノイズを検出して圧縮処理を行い、その固定パターンノイズを、第1の記憶手段である不揮発性メモリ27に格納するようになっている。不揮発性メモリ27に恒久的に記憶された固定パターンノイズデータは、CPU26の制御により、適宜、画像処理回路20内に設けられた第2の記憶手段であるメモリ25に与えられる。
【0038】
このような構成の固体撮像装置における固定パターンノイズ抑制方法について説明する。まず、固体撮像装置の製造時(組み立て時)において固体撮像装置が製造された時点で、その固体撮像装置のレンズ21を遮光治具28にて遮光した状態にするとともに、画像処理装置20内に設けられたスイッチ29を、経路1に切り換えた状態とする。
【0039】
このような状態では、固体撮像素子22からは、光電荷のない暗時信号が出力され、固体撮像素子22から出力される暗時信号は、アンプ23にて適当なレベルに増幅されて、スイッチ29をおよび経路1を通って、CPU26に与えられる。
【0040】
このようにして、CPU26は、nフレーム分の暗時データを取り込み、とりこまれたnフレーム分のデータを平均化する。このように、nフレーム分の暗時信号のデータを平均化することにより、暗時信号中のランダムノイズ成分が除去される。
【0041】
この場合、暗時信号は低レベルな信号であるために、暗時信号を平均化したデータの上位ビットには、固定パターンノイズの有効データは含まれていない。このことから、製造時において測定した暗時信号データに基づいて、下位の数ビットを有効データとして決定し、下位の数ビットの有効データが、固定パターンノイズとして不揮発性メモリ27に格納される。
【0042】
このようにして、製造時において、暗時信号データから固定パターンノイズがCPU26により検出されると共に、検出された固定パターンノイズ信号が、圧縮された状態で効率的に不揮発性メモリ27に格納される。
【0043】
不揮発性メモリ27に固定パターンノイズ信号が格納された固体撮像装置は、スイッチ29が経路2に切り換えられた状態で、製品として出荷される。
【0044】
このような固体撮像装置によって撮像する場合には、不揮発性メモリ27内に格納された固定パターンノイズデータが、画像処理回路20内のメモリ25に格納される。そして、固体撮像素子22から出力される撮像信号が、アンプ23によって増幅されて、画像処理回路25のスイッチ29によって、経路2を通って加減算回路24に与えられると、加減算回路24は、固体撮像素子22からの撮像信号に対し、メモリ25内に格納された固定パターンノイズデータを減算処理する。
【0045】
これにより、固体撮像素子22から出力される撮像信号から、暗時の固定パターンノイズが除去された信号が得られ、固定パターンノイズが除去された撮像信号によって画像が形成されるために、画像の画質が向上する。
【0046】
しかも、固体撮像装置は、遮光フィルタ等の遮光機構(メカニカルシャッタ)を設けることなく、固定パターンノイズを検出できるために、固体撮像装置全体を小型化することができるとともに、コストダウンすることができる。その結果、携帯電話、携帯情報端末等の小型機器でも、固定パターンノイズを除去し得る固体撮像装置を装備することができ、携帯電話等の小型機器においても、高画質の画像を撮像することができる。
【0047】
また、固定パターンノイズの検出が固体撮像装置の製造時(組み立て時)に行われるために、実際に撮像を開始する場合には、固体パターンノイズの検出が行われないので、撮像が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0048】
さらに、暗時信号データから得られる固定パターンノイズデータは、暗時信号データの下位の数ビットを有効データとする圧縮処理されているために、固定パターンノイズデータを格納するメモリの容量を低減することができる。
【0049】
<実施形態2>
図2は、本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に用いられる固体撮像装置の他の例を示す概略構成図である。
【0050】
この固体撮像装置は、図1に示す固体撮像装置と比較すると、固体撮像装置の内部温度を検出する温度センサ33と、装置の内部温度と固定パターンノイズの変化率との関係を示す温度テーブル32とが設けられており、温度センサ33によって検出される温度に基づいて、固定パターンノイズを補正するようになっている点が相違している。固体撮像素子22の出力に含まれる固定パターンノイズは、固体撮像装置内の温度変化による影響を受けて変化するが、本実施の形態の固体撮像装置では、その影響を取り除くことができる。
【0051】
装置の内部温度を検出する温度センサ33の出力は、CPU26に与えられており、CPU26は、温度テーブル32に基づいて、温度センサ33によって検出される温度に対応した固定パターンノイズの変化率を求める。画像処理回路20内には、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズの信号をゲイン調整するアンプ31が設けられており、CPU26は、温度テーブル32から求められた変化率に基づいてアンプ31のゲインを調整する。これにより、固体撮像装置の内部の温度変化による影響が除去された固定パターンノイズデータが加減算回路24に与えられて、その固定パターンノイズデータに基づいて、撮像時における固体撮像素子22からの撮像信号に含まれる固定パターンノイズが除去される。
【0052】
このように、固体撮像素子22から出力される撮像信号から固定パターンノイズを除去する際に、固定パターンノイズの温度依存性による影響が取り除かれために、固定パターンノイズの除去精度が向上し、撮像信号によって得られる画像の画質がさらに向上する。
【0053】
また、固体撮像素子22に含まれる固定パターンノイズを除去するための固定パターンノイズのデータは、固体撮像装置の製造時(組み立て時)に測定されて、その製造時のデータが恒久的に使用されるが、そのデータを使用する際に、装置内部の温度による影響が取り除かれるために、そのデータの信頼性が著しく向上する。
【0054】
<実施形態3>
図3は、本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【0055】
この固体撮像装置は、図1に示す固体撮像装置と比較して、画像処理回路20内にホワイトバランス調整(WB)回路41が設けられており、固体撮像素子23から出力される撮像信号のゲインを調整するアンプ23と、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズの信号をゲイン調整するアンプ31とが、ホワイトバランス調整回路41によって、それぞれ制御されるようになっている点が相違する。その他の構成は、図1に示す固体撮像装置の構成と実質的に同一になっている。
【0056】
この固体撮像装置では、ホワイトバランスを調整するために、ホワイトバランス調整回路41により、アンプ23のゲインが調整され、RGBのそれぞれの画素に対する撮像信号のゲインがそれぞれ個別に調整される。その結果、撮像信号に含まれる固定パターンノイズも、RGBごとに変化することになるが、この場合、撮像信号のゲインを調整するアンプ23の制御と同様に、ホワイトバランス調整回路41の出力に基づいて、固定パターンノイズデータのゲインを調整するアンプ31も制御される。
【0057】
これにより、ホワイトバランスを調整することによって撮像信号に含まれる固定パターンノイズが変化しても、その変化に追従して、メモリ25から加減算回路24へ出力される固定パターンノイズデータも変化する。従って、撮像信号に含まれる固定パターンノイズを除去する際に、ホワイトバランス調整の影響を受けるおそれがなく、固定パターンノイズの除去精度が向上し、撮像信号によって得られる画像の画質が、さらに向上する。
【0058】
前述したように、メモリ25に格納された固定パターンノイズのデータは、固体撮像装置の製造時(組み立て時)に測定されて、その製造時のデータが恒久的に使用されるが、そのデータを使用する際に、ホワイトバランス調整による影響が取り除かれるために、そのデータの信頼性が著しく向上する。
【0059】
<実施形態4>
図4は本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【0060】
この固体撮像装置は、図1の固体撮像装置と比較して、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズデータをゲイン調整するアンプ31が、画像処理回路20内に設けられており、そのアンプ31のゲイン調整が、画像処理回路20内に設けられたオートゲインコントロール回路51によって制御されるようになっている点が相違する。その他の構成は、図1の固体撮像装置と実質的に同一になっている。
【0061】
図4の固体撮像装置においては、オートゲインコントロール回路51により、撮像対象である被写体の明るさに応じて、固体撮像素子22から出力される撮像信号の増幅するアンプ23のゲインが調整されると、撮像信号に含まれる固定パターンノイズも変化するが、この場合、オートゲインコントロール回路51の出力に基づいて、撮像信号のゲインを調整するアンプ23の制御と同様に、固定パターンノイズデータのゲインを調整するアンプ31も制御される。
【0062】
これにより、被写体の明るさに応じてアンプ23のゲインを調整することにより撮像信号に含まれる固定パターンノイズが変化しても、その変化に追従して、メモリ25から加減算回路24へ出力される固定パターンノイズデータも変化する。従って、撮像信号に含まれる固定パターンノイズを除去する際に、被写体の明るさに基づくアンプ23のゲイン調整の影響を受けるおそれがなく、固定パターンノイズの除去精度が向上し、撮像信号によって得られる画像の画質がさらに向上する。
【0063】
前述したように、メモリ25に格納された固定パターンノイズのデータは、固体撮像装置の製造時(組み立て時)に測定されて、その製造時のデータが恒久的に使用されるが、そのデータを使用する際に、オートゲインコントロール回路51による影響が取り除かれるために、そのデータの信頼性が著しく向上する。
【0064】
<実施形態5>
図5は、本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【0065】
この固体撮像装置は、図1に示す固体撮像装置と比較して、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズデータを増幅するアンプ31が画像処理回路20内に設けられており、そのアンプ31のゲイン調整が、CPU26によって行われるようになっている点が相違している。その他の構成は、図1に示す固体撮像装置と実質的に同一になっている。
【0066】
この固体撮像装置では、CPU26は、固体撮像装置の製造時(組み立て時)に、経路1を通って取り込んだ固定パターンノイズの大きさから、有効なビット数を判定し、上位の数ビットおよび下位の数ビットを切り捨てて、有効なビット数のみを不揮発性メモリ27に格納する。このとき、判定した固定パターンノイズの大きさについての情報も、不揮発性メモリ27に格納する。
【0067】
撮像時において、固体撮像素子22からの撮像信号から固定パターンノイズを除去する場合に、不揮発性メモリ27に記憶された固定パターンノイズデータが、画像処理回路20内のメモリ25へ読み込まれて、メモリ25からアンプ31によって増幅されて加減算回路24へ出力されるが、加減算回路24へ出力される固定パターンノイズの大きさに基づいて、アンプ31によるゲインがCPU26によって調整される。従って、固体撮像素子22が出力する撮像信号に大きな固定パターンノイズが含まれるような場合であっても、その固定パターンノイズに対応したゲイン調整が可能になる。従って、固体撮像装置に使用される固体撮像素子22の出力にバラツキがある場合であっても、各固体撮像素子22の出力に基づいて固定パターンノイズを除去することができる。
【0068】
<実施形態6>
図6は、本発明のパターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【0069】
この固体撮像装置は、図1に示す固体撮像装置と比較して、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズデータを増幅するアンプ31が画像処理回路20内に設けられており、そのアンプ31のゲイン調整が、フレームレート調整回路71によって行われるようになっている点が相違している。その他の構成は、図1に示す固体撮像装置と実質的に同一になっている。
【0070】
この固体撮像装置では、フレームレート設定回路71により、固体撮像素子22から出力される撮像信号のフレームレートが設定されるようになっており、フレームレート設定回路71は、固体撮像素子22に対して、設定されたフレームレートに対応したクロックが出力される。フレームレート設定回路71によって設定されるフレームレートが変更されると、固体撮像素子22から出力される撮像信号の蓄積時間が変化するために、撮像信号に含まれる固定パターンノイズも変化する。しかしながら、この場合には、フレームレート設定回路71によって設定されるフレームレートの大きさに対応して、メモリ25から加減算回路24に出力される固定パターンノイズデータのゲインも、アンプ31の調整によって調整される。
【0071】
従って、撮像中に、固体撮像素子22から出力される撮像信号のフレームレートを変化させた場合には、撮像信号中の固定パターンノイズの変化に追従して、メモリ25から加減算回路24へ出力される固定パターンノイズデータがゲイン調整されるために、撮像信号に含まれる固定パターンノイズを高精度で除去することができる。
【0072】
この場合も、メモリ25に格納された固定パターンノイズのデータは、固体撮像装置の製造時(組み立て時)に測定されて、その製造時のデータが恒久的に使用されるが、そのデータを使用する際に、フレームレートの変更による影響が取り除かれるために、そのデータの信頼性が著しく向上する。
【0073】
<実施形態7>
図7は、本発明の固定パターンノイズ抑制方法の実施に使用される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【0074】
この固体撮像装置は、実施形態2〜6の固体撮像装置に固有の構成を全て取り込んだ構成になっている。すなわち、固体撮像装置の内部温度を検出する温度センサ33と、装置の内部温度と固定パターンノイズの変化率との関係を示す温度テーブル32とが設けられており、温度センサ33によって検出される温度に基づいて、固定パターンノイズを補正するようになっている。
【0075】
また、画像処理回路20内には、ホワイトバランス調整(WB)回路41が設けられており、固体撮像素子23から出力される撮像信号のゲインを調整するアンプ23と、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズの信号をゲイン調整するアンプ31とが、ホワイトバランス調整回路41によって、それぞれ制御されるようになっている。
【0076】
さらに、メモリ25から加減算回路24へ送られる固定パターンノイズデータをゲイン調整するアンプ31が、画像処理回路20内に設けられたオートゲインコントロール回路51、CPU26、フレームレート調整回路71によって、それぞれ制御されるようになっている。
【0077】
それぞれの構成は、既に説明したので、同一部分に同一番号を付して、その説明を省略する。このように、実施形態2〜6において説明したそれぞれの機能を有しているために、固定パターンノイズの除去精度が向上し、高画質が得られることになる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、加減算回路24を、CPU26から独立した画像処理回路20内に設け、加減算回路24とCPU26を別々に取り扱ったが、CPU26に加減算機能を持たせることが可能なことは当然である。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、このように、固体撮像装置の製造時に固定パターンノイズデータを含む暗時データを画像処理回路に通さず、直接CPUに通することにより、固定パターンノイズを検出して第1の記憶手段に格納し、その後の通常撮像時に第1の記憶手段から画像処理回路内の第2の記憶手段へ固定パターンノイズを格納してノイズキャンセルに使用することにより、遮光機構を装備しない固体撮像装置においても、固定パターンノイズを除去することが可能になる。このため、固体撮像装置の小型化、コストダウンが図られると共に、遮光機構が装着されない携帯電話、携帯情報端末等の小型機器でも、固定パターンノイズの除去が可能となり、画質を向上させることができる。また、固定パターンノイズの検出が撮像毎に行われないので、撮像にかかる時間の短縮が可能になる。更に、CPUによる固定パターンノイズデータの圧縮処理が可能になり、固定パターンノイズデータを格納するメモリの容量を低減することができる。
【0080】
また、撮像信号から固定パターンノイズを除去する際に、固定パターンノイズの温度依存性による影響を取り除くことにより、撮像中に固体撮像装置内部の温度が変化した場合も、高精度な固定パターンノイズ除去が可能になり、画質を一層向上させることができる。
【0081】
さらに、ホワイトバランス調整を行ったときの撮像信号の変化に追従して、固定パターンノイズを変化させることにより、撮像中にホワイトバランスの調整を行った場合も、高精度な固定パターンノイズ除去が可能になり、画質を一層向上させることができる。
【0082】
また、オートゲインコントロールを行ったときの撮像信号の変化に追従して、固定パターンノイズを変化させることににより、撮像中に被写体の明るさによってオートゲインコントロールを行った場合も、高精度な固定パターンノイズ除去が可能になり、画質を一層向上させることができる。
【0083】
さらに、固定パターンノイズの大きさに応じた圧縮処理及びゲイン調整により、撮像信号に含まれる固定パターンノイズが大きい場合も、その固定パターンノイズの除去が可能になるので、撮像信号に含まれる固定パターンノイズが大きい固体撮像素子の使用するこちができる。
【0084】
また、フレームレートを変化させたときの撮像信号の変化に追従して、固定パターンノイズを変化させることにより、撮像中にフレームレートを変更した場合も、高精度な固定パターンノイズ除去が可能になり、画質を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置の他の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図8】従来の固定パターンノイズ抑制方法が実施される固体撮像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
21 レンズ
22 固体撮像素子
23 アンプ
24 加減算回路
25 メモリ(第2の記憶手段)
26 CPU
27 不揮発性メモリ(第1の記憶手段)
28 遮光治具
31 アンプ
32 温度テーブル
33 温度センサ
41 ホワイトバランス調整回路
51 オートゲインコントロール回路
71 フレームレート設定回路

Claims (6)

  1. 遮光機能が設けられていない固体撮像装置において、固体撮像素子の撮像信号から固定パターンノイズを除去して固定パターンノイズを抑制する方法であって、
    前記固体撮像装置の製造時に、固体撮像素子から暗時データを出力させ、該暗時データを前記固体撮像装置内のCPUに出力する工程と、
    該CPUにより、前記暗時データをnフレーム分だけ平均化し、この平均化した暗時データから前記固体撮像素子の固定パターンノイズの上位の数ビットおよび下位の数ビットを切り捨てて有効なビットのみ有効データとして検出、検出された固定パターンノイズの大きさに応じた圧縮処理を行って、該有効データを該固定パターンノイズとして第1の記憶手段に記憶させる工程と、
    前記固体撮像装置の実使用に際して、前記第1の記憶手段から画像処理回路内の第2の記憶手段へ前記固定パターンノイズを記憶させる工程と、
    前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズの大きさに応じたゲイン調整を行う工程と、
    前記固体撮像装置の実使用時に、前記固体撮像素子から出力される撮像信号から固定パターンノイズを除去するべく、前記第2の記憶手段から読み出されてゲイン調整された固定パターンノイズ前記撮像信号に加減算する工程と、
    を包含することを特徴とする固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法。
  2. 前記固体撮像装置の温度に応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む請求項1に記載の固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法。
  3. 前記撮像信号に対するホワイトバランスに応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む請求項1に記載の固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法。
  4. 前記撮像信号に対するオートゲインコントロールに応じて、
    前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む請求項1に記載の固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法。
  5. 撮像時のフレームレートに応じて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズのゲイン調整を行う工程をさらに含む請求項1に記載の固体撮像装置の固定パターンノイズ抑制方法。
  6. 遮光機能が設けられていない固体撮像装置であって、固体撮像素子から出力される撮像信号を画像処理回路によって画像処理する固体撮像装置において、
    製造時に該固体撮像素子から出力される暗時データをnフレーム分だけ平均化し、この平均化した暗時データに基づいて、固定パターンノイズの上位の数ビットおよび下位の数ビットを切り捨てて有効なビット数のみ有効データとして検出するCPUと、
    該CPUにより検出された固定パターンノイズの大きさに応じた圧縮処理を行い、圧縮された固定パターンノイズを該有効データとして記憶する第1の記憶手段と、
    該第1の記憶手段に記憶された固定パターンノイズを記憶するように前記画像処理回路内に設けられた第2の記憶手段と、
    前記固体撮像素子から出力される撮像信号から固定パターンノイズを除去するために、前記第2の記憶手段から読み出されて、前記撮像信号に加減算される固定パターンノイズの大きさに応じてゲイン調整された固定パターンノイズ前記撮像信号に加減算する手段と、
    を具備することを特徴とする固体撮像装置。
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