JP4379477B2 - 液体噴射装置のフラッシング方法 - Google Patents
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Description
液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズル(開口)から液体状のインクをインク滴として記録紙等の吐出対象物に向けて吐出・着弾させてドットを形成することで記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。
また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体噴射装置が応用されている。
記録ヘッドは、圧力発生源に供給する駆動信号の駆動電圧(最低電圧から最高電圧までの電位差)や、その波形に応じて、ノズルから吐出されるインク滴の液量(重量・体積)が増減するようになっている。
このため、インクが殆ど増粘していない場合であっても、大量のインク滴が吐出されてしまい、インクの無駄が多いという問題がある。その一方で、インクが想定以上に増粘している場合には、フラッシング処理を行ってもノズル詰まりを解消することができないという問題もある。
本発明は、液体噴射ヘッドのノズル開口面に対して非接触状態で対向配置された液体受部に向けて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を噴射して前記ノズルの目詰まりを防止する液体噴射装置のフラッシング方法において、前記ノズル開口面と前記液体受部との間に電界を付与する第一工程と、前記ノズルから前記液体受部に向けて液体を一滴噴射する第二工程と、前記液体受部に向けて液体を噴射したときの静電誘導に基づく電圧変化を検出する第三工程と、前記電圧変化の検出結果に基づいて前記ノズル内の液体の増粘状態を求め、前記ノズル内の液体の増粘状態が所定増粘状態以下か否かに応じて液体の噴射を続行するか終了するかを決定する第四工程と、を有し、前記第二工程から前記第四工程を繰り返して前記ノズル内の液体の増粘状態が所定増粘状態以下となるまで前記第二工程の液体の噴射を続行し、前記第二工程から前記第四工程を前記ノズルの全てについて各々行い、前記ノズルの全てにおいて順次に液体を噴射し、前記液体の増粘状態が所定増粘状態以下となったノズルから液体噴射を終了することを特徴とする。
これにより、液体噴射ヘッドの全てのノズルにおいてフラッシング処理により排出されてしまう液体の量を最小限に抑えることができる。また、液体噴射ヘッドの全てのノズルにおいてノズル詰まりが防止できるので、その後の液体噴射を高品質に行うことができる。
これにより、ノズル数が多い等の理由によりフラッシング処理が長時間化してしまう場合であっても、ノズル内の液体の再増粘を防止できる。すなわち、フラッシング処理が完了したノズルであっても、残りのノズルのフラッシング処理の完了を待つ待機時間が長くなると、ノズル内の液体の再増粘が生じる可能性があるが、全てのノズルから順次液体を噴射することを繰り返しているので、待機時間が短くなる。したがって、確実に、ノズル内の液体の再増粘が防止される。
これにより、噴射開始前フラッシング(いわゆる印字開始前フラッシング処理)において、液体の噴射回数・噴射量の最適化を図ることができる。噴射開始前フラッシングは、他のフラッシング処理に比べて液体の噴射回数・噴射量の多いので、液体の有効利用を効果的に図ることができる。
これにより、いわゆる定期フラッシング処理において、液体の噴射回数・噴射量の最適化を図ることができる。したがって、定期フラッシング処理が短時間化されるので、液体噴射対象に対する液体噴射処理の効率化が図られる。
プリンタ1は、サブタンク2及び記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、プリンタ本体5とから概略構成される。
プリンタ本体5には、キャリッジ4を往復移動させるキャリッジ移動機構65(図5参照)と、不図示の記録紙(液体噴射対象)を搬送する紙送り機構66(図5参照)と、記録ヘッド3の各ノズルから増粘したインクLを吸引するクリーニング動作等に用いられるキャッピング機構14と、記録ヘッド3に供給するインクLを貯留したインクカートリッジ6とが設けられている。
このインク滴センサ7の詳細については、後述する。
そして、パルスモータ9を駆動することで、キャリッジ4がガイド軸8に沿って主走査方向に往復移動するように構成されている。
本実施形態における記録ヘッド3は、導入針ユニット17、ヘッドケース18、流路ユニット19及びアクチュエータユニット20を主な構成要素としている。
導入針ユニット17の上面にはフィルタ21を介在させた状態で2本のインク導入針22が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針22には、サブタンク2がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。
このインク導入路23の上端はフィルタ21を介してインク導入針22に連通し、下端はパッキン24を介してヘッドケース18内部に形成されたケース流路25と連通する。
なお、本実施形態は、2種類のインクを使用する構成であるため、サブタンク2を2つ配設しているが、本発明は3種類以上のインクを使用する構成にも当然に適用されるものである。
また、サブタンク2の下部にはインク導入針22が挿入される針接続部28が下方に向けて突設されている。サブタンク2におけるインク室27は、底の浅いすり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部28との間を連通する接続流路29の上流側開口が臨んでおり、この上流側開口にはインクLを濾過するタンク部フィルタ30が取り付けられている。
針接続部28の内部空間にはインク導入針22が液密に嵌入されるシール部材31が嵌め込まれている。このサブタンク2には、図4に示すように、インク室27に連通する連通溝部32′を有する延出部32が形成されており、この延出部32の上面にはインク流入口33が突設されている。
上記の弾性シート26は、インク室27を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、この弾性シート26の変形によるダンパー機能によって、インクLの圧力変動が吸収される。すなわち、弾性シート26の作用によってサブタンク2が圧力ダンパとして機能する。従って、インクLは、サブタンク2内で圧力変動が吸収された状態で記録ヘッド3側に供給される。
このヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23と連通するようになっている。
また、ケース流路25の下端は、流路ユニット19内の共通インク室44に連通するようになっている。したがって、インク導入針22から導入されたインクLは、インク導入路23及びケース流路25を通じて共通インク室44側に供給される。
また、各圧電振動子38を支持する固定板39は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエータユニット20は、固定板39の背面を、収容空部37を区画するケース内壁面に接着することで収容空部37内に収納・固定されている。
そして、この共通インク室44に導入されたインクLは、インク供給口45を通じて各圧力室46に分配供給される。
ノズル基板43と振動板41との間に配置される流路基板42は、インク流路となる流路部、具体的には、共通インク室44、インク供給口45及び圧力室46となる空部が区画形成された板状の部材である。
このインクカートリッジ6は、インク供給チューブ34の一端部と連通しており、記録ヘッド3のノズル開口面43aとの水頭差によってインクパック52内のインクLを記録ヘッド3側に供給するように構成されている。具体的には、インクカートリッジ6と記録ヘッド3との重量方向の相対的な位置関係がノズル47のメニスカスに対して極く僅かに負圧がかかるような状態に設定されている。
そして、圧電振動子38を駆動することによる圧力変化によって、圧力室46へのインクLの供給と、この圧力室46内のインクLの吐出を行う。
そして、インク吸収体77の上面には、メッシュ状の電極部材78が配設されている。この電極部材78の表面が検査領域74に相当する。電極部材78は、ステンレス鋼等の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、電極部材78上に着弾したインク滴Dは、格子状の電極部材78の隙間を通って下側に配置された吸収体77に吸収・保持されるようになっている。
電圧検出回路76は、電極部材78の電圧信号を増幅して出力する増幅回路81と、この増幅回路81から出力された信号をA/D変換してプリンタコントローラ55側へ出力するA/D変換回路82とを備えている。増幅回路81は、所定の増幅率で電極部材78の電圧信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路82は、増幅回路81から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して、検出信号としてプリンタコントローラ55側に出力するようになっている。
本実施形態におけるプリンタ1は、プリンタコントローラ55と、プリントエンジン56と、インク滴センサ7とで概略構成されている。
プリンタコントローラ55は、ホストコンピュータ等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インタフェース(外部I/F)57と、各種データ等を記憶するRAM58と、各種制御のための制御プログラム等を記憶したROM59と、ROM59に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行う制御部60と、クロック信号を発生する発振回路61と、記録ヘッド3へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路62と、印刷データをドット毎に展開することで得られた吐出データや駆動信号等を記録ヘッド3に出力するための内部インタフェース(内部I/F)63とを備えている。
記録ヘッド3は、吐出データがセットされるシフトレジスタ67と、シフトレジスタ67にセットされた吐出データをラッチするラッチ回路68と、ラッチ回路68からの吐出データを翻訳してパルス選択データを生成するデコーダ69と、電圧増幅器として機能するレベルシフタ70と、圧電振動子38に対する駆動信号の供給を制御するスイッチ回路71と、圧電振動子38とを備えている。
制御部60は、外部装置から送信された印刷データをドットパターンに対応した吐出データに展開して記録ヘッド3に送信する。そして、記録ヘッド3では、受信した吐出データに基づき、インク滴Dの吐出が行われるようになっている。
フラッシング処理としては、プリンタ1に電源が投入されて記録ヘッド3による記録動作を開始する前に行われる、いわゆる印字開始前フラッシングがある。印字開始前フラッシングにおいては、例えば、全てのノズル47から3000〜5000回のインク滴Dの吐出を行うように設定されている。なお、フラッシング条件は、ROM59に記憶される。
印字開始前フラッシングにおける吐出回数としては、プリンタ1への電源投入が数ヶ月間行われなかった場合を想定し、その場合であっても全てのノズル47から増粘したインクLを排出することでノズル詰まりを解消できる程度の吐出回数が設定されている。
なお、上述した吐出回数(フラッシング条件)は、プリンタ1に電源が投入された際に設定される初期値であって、実際にフラッシング処理が行われる際には、最適な吐出回数となるよう変更されるようになっている。
定期フラッシング、給紙時フラッシング及び排紙時フラッシングにおいては、吐出回数(フラッシング条件)の初期値は、例えば、数十回〜数百回程度に設定されている。
吐出パルスDPは、基準電位VMから最高電位VHまで比較的穏やかな勾配で電位を上昇させる第1充電要素PE1と、最高電位VHを一定の時間維持する第1ホールド要素PE2と、最高電位VHから最低電位VLまで急峻な勾配で電位を降下させる放電要素PE3と、最低電位VLを短い時間維持する第2ホールド要素PE4と、最低電位VLから基準電位VMまで電位を復帰させる第2充電要素PE5とにより構成されている。
そして、この吐出パルスDPは、ノズル47から吐出されるインク滴Dの液量が設計液量に一致するような駆動電圧VD(最高電位VHと最低電位VLとの電位差)に設定されている。なお、勿論、吐出パルスDPは、例示した波形のものには限られず、種々の波形のものを用いることができる。
以下、印字開始前フラッシングを行う場合について説明する。
図8は、静電誘導によって誘導電圧が生じる原理を説明する模式図であり、(a)はインク滴Dが吐出された直後の状態を示す図、(b)はインク滴Dがキャップ部材15の検査領域74に着弾した状態を示す図である。
図9は、インク滴センサ7から出力される検出信号(インク1滴分)の波形の一例を示す図である。
図10は、インク滴Dの吐出順序を説明する模式図である。
このため、プリンタ1に電源が投入された際には、必ず印字開始前フラッシングが実施される(ステップS0)。
そして、電圧印加回路75によって、ノズル基板43と電極部材78との間に電圧が印加される(ステップS2)。
次いで、ノズル基板43と電極部材78との間に電圧が印加した状態で、吐出パルスDPを用いて圧電振動子38を駆動させて、任意の一つノズル47からインク滴Dを吐出する(ステップS3)。
これにより、ノズル基板43と電極部材78との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により、インク滴Dを吐出しない状態における当初の電圧値よりも高くなる。
その後、図8(b)に示すように、インク滴Dが電極部材78に着弾すると、インク滴Dの負電荷により電極部材78の正電荷が中和される。このため、ノズル基板43と電極部材78との間の電圧は当初の電圧値を下回る。
そして、その後に、ノズル基板43と電極部材78との間の電圧は当初の電圧値に戻る。
したがって、図9に示すように、インク滴センサ7から出力される検出波形は、一旦電圧が上昇した後に、当初の電圧値を下回るまで下降し、その後当初の電圧値に戻る波形となる。
このようにして、インク滴センサ7により各ノズル47からインク滴Dを吐出した際の電圧変化が検出される(ステップS4)。
したがって、インク滴センサ7から出力される検出波形Zの振幅Aや電圧上昇のタイミングを理想波形Z0のそれらと比較(ΔA,ΔTを検出)することで、記録ヘッド3の各ノズル47内におけるインクLの増粘状態を求めることができる(ステップS5)。
しかし、実際のインクLの増粘状態は、最悪の状態に至っていない場合が殆どである。このため、実際のインクLの増粘状態を検出(推定)し、検出した増粘状態に応じて吐出回数(フラッシング条件)を変更することで、フラッシング処理により捨てられてしまうインクLの量を最小限に抑える。
なお、ノズル47からのインク滴Dの吐出を続行する際(ステップS6でNOと判断された場合)には、インクLの粘度状態(インク滴センサ7の検出信号)に基づいて、フラッシング条件を変更する(設定されている吐出回数を減らす)ようにしてもよい。
すなわち、検出波形Zの振幅Aの基準値(閾値)を、理想波形Z0における振幅A0の、例えば80%に設定する。言い換えると、振幅差ΔAは、検出波形Zにおける振幅A0の20%以下に設定する(ΔA≦0.2×A0〔V〕)。
または、検出波形Zが発生するタイミング(時間差)の基準値(閾値)を、理想波形Z0の発生時から、例えば0.5μs後に設定する(ΔT≦0.5〔μs〕)。
これにより、印字開始前フラッシング処理では、インク滴センサ7の検出波形Zの振幅Aが理想波形Z0の振幅A0の80%となるまで、または、検出波形Zの発生のタイミングが理想波形Z0の発生時から0.5μs以内となるまで、インク滴Dを繰り返し吐出するようなフラッシング条件に変更される。
これにより、全てのノズル47内のインクLの粘度状態を最適な状態にすることができる。また、各ノズル47について、最低限必要な回数だけインク滴Dの吐出が行われるようになる。
したがって、従来は、印字開始前フラッシングの際には、全てのノズル47においてインク滴Dを、例えば、3000回吐出していたが、あるノズル47では1000回程度のインク滴Dの吐出で済み、他のノズル47では100回程度或いは数回程度のインク滴Dの吐出で済むようになる。したがって、フラッシング処理により捨てられてしまうインクLの量は、必要最小限となる。
そして、印字開始前フラッシングが完了すると、紙送り機構66により記録紙が搬送(給紙)され、記録ヘッド3の各ノズル47から記録紙に向けてインク滴Dを吐出する記録(印字・印刷)処理に移行する(ステップS7)。
また、インク滴センサ7から検出波形Zの振幅やタイミングによりノズル47内のインクLの粘度状態を求めるので、より確実にインクLの増粘によるノズル詰まりを防止できる。
また、記録ヘッド3の全てのノズル47について上述した処理を行うので、フラッシング処理の際に捨てられるインクLの量を必要最低限に抑えることができる。
記録(印字・印刷)処理時に定期的に行われる定期フラッシング、給紙時や排紙時に行われる給紙時フラッシング処理、排紙時フラッシング処理においても、本発明を適用することができる。
本発明を定期フラッシング処理に適用した場合には、インク滴Dの吐出回数が最適化されて各ノズル47から数回程度の吐出で済むようになるので、定期フラッシングが短時間化される。したがって、記録処理が定期フラッシングにより中断される時間が僅かとなって、効率化される。
給紙時フラッシング処理や排紙時フラッシング処理に適用した場合も同様である。
なお、インク滴Dの吐出回数(インクLの液量)は、印字開始前フラッシング処理が最も多いので、印字開始前フラッシング処理に本発明を適用した場合が最も効果的である。
図11は、インク滴Dの吐出順序の他の例を説明する模式図である。
例えば、図11に示すように、3960個のノズル47について、まずは、順々に一適ずつインク滴Dを吐出して、全てのノズル47におけるインクLの増粘状態が検出される。再度、順々に一適ずつインク滴Dを吐出することを繰り返しながら、全てのノズル47におけるインクLの増粘状態を監視し続ける。そして、インクLの増粘状態が所定状態となったノズル47から、インク滴Dの吐出を終了するようにする。したがって、インクLの増粘が小さいノズル47からフラッシング処理が完了し、インクLの増粘が大きいノズル47が最後までフラッシング処理を続行するようになる。
一つ一つ順々にフラッシング処理を実施する場合には、最初にフラッシング処理が完了したノズル47は、最後のノズル47のフラッシング処理の完了まで、インク滴Dを吐出することなく待機しなければならない。この待機時間が長くなると、インクLが徐々に増粘してしまう可能性がある。しかし、各ノズル47が順々に一適ずつインク滴Dを吐出することを繰り返す方法によれば、最初にフラッシング処理が完了したノズル47における待機時間は、当然に短くなる。したがって、インクLが徐々に増粘してしまう可能性は低くなるという利点がある。
なお、インク滴Dを一適ずつ吐出する場合に限らない。二,三滴ずつ、五,六滴ずつ或いは十滴程度ずつ等であってもよい。
例えば、インク滴Dを十回程度吐出する毎にインク滴センサ7の検出波形Zを取得・監視するようにしてもよい。
また、最初に得られたインク滴センサ7の検出波形Zに基づいて、その後に最低限必要なインク滴Dの吐出回数を設定してもよい。例えば、増粘状態をランク付けし、そのランクごとに吐出回数を規定しておく。これにより、インク滴センサ7の検出波形Zは、各ノズル47について一回ずつで済むようになる。なお、確認のため、最後のインク滴Dの吐出のみ、インク滴センサ7で検出するようにしてもよい。
まずは、順々に一適ずつインク滴Dを吐出して、全てのノズル47におけるインクLの増粘状態(検出波形Z)を検出し、最もインクLが増粘しているノズル47を選択する。そして、このノズル47において最低限必要なインク滴Dの吐出回数(例えば50回)を決定する。次いで、全てのノズル47からインク滴Dを50回吐出する。
この場合には、少なくとも従来のフラッシング処理に比べて、吐出するインク滴Dの量を少なくすることができる。しかも、全てのノズル47からインク滴Dを同時に吐出するので、フラッシング処理の時間が短くなる(上述した実施形態では、一適ずつインク滴Dを吐出するので、従来のフラッシング処理に比べて、処理時間は長くなっている)。
このように、インク滴センサ7の検出信号(検出波形Z)を取得する必要のないときは、全て或いは複数のノズル47からインク滴Dを同時に吐出するようにすることが望ましい。
インク滴センサ7の検出信号に応じて、フラッシング処理時の吐出パルスDPを変更してもよい。例えば、インクLの増粘が大きいノズル47では駆動電圧VDを大きくし、インクLの増粘が小さいノズル47では駆動電圧VDを小さくしてもよい。
つまり、フラッシング条件を変更する際には、インク滴Lの吐出回数の他に、吐出パルスDPを変更するようにしてもよい。これにより、フラッシング処理の時間を短縮することも可能となる。
また、上記実施形態では、電極部材78が正極、記録ヘッド3のノズル基板43が負極となるように両者を電気的に接続した例を示したが、両者の正負を逆転させる構成とすることも可能である。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。
そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置において、噴射される液体(液状体、流状体)が、乾燥等により増粘する可能性があれば、本発明を適用することができる。
Claims (1)
- 液体噴射ヘッドのノズル開口面に対して非接触状態で対向配置された液体受部に向けて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を噴射して前記ノズルの目詰まりを防止する液体噴射装置のフラッシング方法において、
前記ノズル開口面と前記液体受部との間に電界を付与する第一工程と、
前記ノズルから前記液体受部に向けて液体を一滴噴射する第二工程と、
前記液体受部に向けて液体を噴射したときの静電誘導に基づく電圧変化を検出する第三工程と、
前記電圧変化の検出結果に基づいて前記ノズル内の液体の増粘状態を求め、前記ノズル内の液体の増粘状態が所定増粘状態以下か否かに応じて液体の噴射を続行するか終了するかを決定する第四工程と、
を有し、
前記第二工程から前記第四工程を繰り返して前記ノズル内の液体の増粘状態が所定増粘状態以下となるまで前記第二工程の液体の噴射を続行し、前記第二工程から前記第四工程を前記ノズルの全てについて各々行い、前記ノズルの全てにおいて順次に液体を噴射し、前記液体の増粘状態が所定増粘状態以下となったノズルから液体噴射を終了する
ことを特徴とする液体噴射装置のフラッシング方法。
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