JP2009178868A - 流体噴射装置及び流体噴射装置のクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不要なクリーニングを抑制し、且つ低コスト化を実現可能とする流体噴射装置及び流体噴射装置のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】噴射ヘッド3と、目詰まりを検出するとともに目詰まりノズル数を記憶する目詰まり検出手段7と、この検出結果に基づいてクリーニング動作を行うことで、目詰まりを解消させる制御手段58と、を備える流体噴射装置である。第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別手段67を有する。制御手段58は、ノズル数判別手段67により目詰まりノズル数が増加したと判断された場合、クリーニング動作を実行し、ノズル数判別手段67により目詰まりノズル数が同等以下であると判断された場合、クリーニング動作をキャンセルする。
【選択図】図7
【解決手段】噴射ヘッド3と、目詰まりを検出するとともに目詰まりノズル数を記憶する目詰まり検出手段7と、この検出結果に基づいてクリーニング動作を行うことで、目詰まりを解消させる制御手段58と、を備える流体噴射装置である。第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別手段67を有する。制御手段58は、ノズル数判別手段67により目詰まりノズル数が増加したと判断された場合、クリーニング動作を実行し、ノズル数判別手段67により目詰まりノズル数が同等以下であると判断された場合、クリーニング動作をキャンセルする。
【選択図】図7
Description
本発明は、流体噴射装置及び流体噴射装置のクリーニング方法に関するものである。
流体噴射装置として、記録ヘッド(噴射ヘッド)のノズル(噴射ノズル)より記録媒体にインク(流体)を噴射するインクジェット式記録プリンタ(流体噴射装置)が知られている。このようなインクジェット式記録プリンタ(以下、プリンタと称す)では、時間の経過に伴ってノズルからのインクの吐出速度や吐出量が変化し、インクの吐出状態(噴射状態)が変化する。このため、インクの吐出速度や吐出量を所望の範囲に維持すべく記録ヘッドについてのクリーニング動作が行われる。このクリーニング動作としては、記録ヘッド内からインクを強制的に排出させる吸引動作等がある。
このようなクリーニング動作が行われるプリンタとして、ノズルからのインク滴の吐出の有無を判定し、この判定結果に基づいてクリーニングを行うものがある。この記録装置は、クリーニング時に消費されるインク量を消費すべく、クリーニングが複数回行われた場合にエラーを出力し、ユーザにメンテナンスの必要性を知らせるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、このようなクリーニング動作はいずれのプリンタにおいても必要とされ、例えば低価格帯のプリンタにおいても必要とされる。
特開2003−251829号公報
ところで、このようなクリーニング動作はいずれのプリンタにおいても必要とされ、例えば低価格帯のプリンタにおいても必要とされる。
しかしながら、上記特許文献1では、その制御フローが複雑化するため、コストが上昇してしまい、上述したような低価格帯のプリンタに搭載するのが困難となるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、不要なクリーニングを抑制し、且つ低コスト化を実現可能とする流体噴射装置及び流体噴射装置のクリーニング方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の流体噴射装置は、複数の噴射ノズルから流体を噴射する噴射ヘッドと、前記流体の目詰まりが生じた前記噴射ノズルを検出するとともに、目詰まりノズル数を記憶する目詰まり検出手段と、該目詰まり検出手段の検出結果に基づき、目詰まりが生じた前記噴射ノズルにクリーニング動作を行うことで前記目詰まりを解消させる制御手段と、を備え、前記目詰まり検出手段による目詰まり検出ステップ及び前記制御手段による前記クリーニング動作が繰り返される流体噴射装置であって、第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、前記第一の目詰まり検出ステップの次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、前記目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別手段を有し、前記制御手段は、前記ノズル数判別手段により前記目詰まりノズル数が増加したと判断された場合、前記クリーニング動作を実行し、前記ノズル数判別手段により前記目詰まりノズル数が同等以下であると判断された場合、前記クリーニング動作をキャンセルすることを特徴とする。
本発明の流体噴射装置によれば、ノズル数判別手段及び制御手段により、第一の目詰まり検出ステップ時に比べて第二の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数が増加した場合のみ、クリーニング動作を行うことが可能とされる。よって、クリーニング動作が必要以上に実行されてしまうのを防止することができ、クリーニング動作により無駄に消費されてしまう流体の量を削減することができる。したがって、有効に利用することができる流体の量が増加することで、結果的に流体噴射装置の印字処理可能枚数を向上できる。
また、上記流体噴射装置においては、前記目詰まり検出手段は、前記噴射ヘッドにおける前記噴射ノズルが複数形成されたノズル開口面と、該ノズル開口面に対して非接触状態で対向配置される流体受部との間に電界を付与すると共に、前記噴射ノズルから前記流体受部に向けて前記流体を噴射させ、前記流体受部に向けて前記流体を噴射した際の静電誘導に基づく電圧変化により、前記ノズルの噴射状況を検出するのが好ましい。
この構成によれば、噴射ノズル毎に流体が良好に噴射できるか否かの流体噴射状況、すなわち噴射ノズル毎に流体の目詰まり状況を正確に把握できる。よって、精度の高い検出結果を得ることができる。
この構成によれば、噴射ノズル毎に流体が良好に噴射できるか否かの流体噴射状況、すなわち噴射ノズル毎に流体の目詰まり状況を正確に把握できる。よって、精度の高い検出結果を得ることができる。
また、上記流体噴射装置においては、前記制御手段は、前記目詰まりノズル数に応じて前記クリーニング動作時のクリーニングパラメータを決定するのが好ましい。
この構成によれば、目詰まりノズル数に応じた最適なクリーニングパラメータとして、例えば吸引時の圧力を設定することで、最適な吸引動作を行うことができ、噴射ノズルから流体が必要以上に吸引されてしまうといった不具合を防止でき、信頼性の高いクリーニング動作を行うことができる。
この構成によれば、目詰まりノズル数に応じた最適なクリーニングパラメータとして、例えば吸引時の圧力を設定することで、最適な吸引動作を行うことができ、噴射ノズルから流体が必要以上に吸引されてしまうといった不具合を防止でき、信頼性の高いクリーニング動作を行うことができる。
本発明の流体噴射装置のクリーニング方法においては、複数の噴射ノズルから流体を噴射することで印刷処理を行う噴射ヘッドと、前記流体の目詰まりが生じた前記噴射ノズルを検出するとともに目詰まりが生じた目詰まりノズルの数を記憶する目詰まり検出ステップと、該目詰まり検出ステップの検出結果に基づき、目詰まりが生じた前記噴射ノズルにクリーニング動作を行うことで前記目詰まりを解消させるクリーニングステップと、が繰り返される流体噴射装置のクリーニング方法であって、第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、前記第一の目詰まり検出ステップの次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、前記目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別ステップをさらに有し、前記クリーニングステップにおいては、前記目詰まり検出ステップにおいて目詰まりノズル数の増加が判別された場合、前記クリーニング動作を実行し、前記目詰まり検出ステップにおいて目詰まりノズル数が同等以下であると判別された場合、前記クリーニング動作をキャンセルすることを特徴とする。
本発明の流体噴射装置のクリーニング方法によれば、先に実行される第一の目詰まり検出ステップ時に対し、第二の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数が増加した場合のみ、クリーニング動作を行うことが可能とされる。よって、クリーニング動作が必要以上に実行されるのを防止することができ、クリーニング動作により無駄に消費されてしまう流体の量を削減することができる。したがって、有効に利用できる流体の量が増加することで、結果的に流体噴射装置の印字処理可能枚数を向上できる。
以下、本発明に係る流体噴射装置のクリーニング方法、及び流体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る流体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、プリンタ1と称す)を例示する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す一部分解図である。
プリンタ1は、サブタンク2及び記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4と、プリンタ本体5とから概略構成される。プリンタ本体5には、キャリッジ4を往復移動させるキャリッジ移動機構65(図7参照)と、不図示の記録紙(流体噴射対象)を搬送する紙送り機構66(図7参照)と、記録ヘッド(噴射ヘッド)3のクリーニング機構としてのクリーニング機構14と、記録ヘッド3に供給するインクを貯留したインクカートリッジ6とが設けられている。
また、プリンタ1は、記録ヘッド3のノズル(噴射ノズル)47から吐出されるインク滴Dを検出可能なインク滴センサ7を備えている(図4,7参照)。このインク滴センサ7は、記録ヘッド3のノズルから吐出されるインク滴Dを帯電させ、この帯電したインク滴Dが飛翔する際の静電誘導に基づく電圧変化を検出信号として出力することで、ノズルのインク吐出状態を把握可能とするように構成されたものである。すなわち、インク滴センサ7は記録ヘッド3のノズル47に生じたインクの目詰まりを検出する目詰まり検出手段として機能する。なお、このインク滴センサ7の詳細については、後述する。
上記キャリッジ移動機構65は、図1に示される、プリンタ本体5の幅方向に架設されたガイド軸8と、パルスモータ9と、パルスモータ9の回転軸に接続されてこのパルスモータ9によって回転駆動される駆動プーリー10と、駆動プーリー10とはプリンタ本体5の幅方向の反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に掛け渡されてキャリッジ4に接続されたタイミングベルト12と、から構成されている。
そして、パルスモータ9を駆動することで、キャリッジ4がガイド軸8に沿って主走査方向に往復移動するように構成されている。また、上記紙送り機構66は、紙送りモータやこの紙送りモータによって回転駆動される紙送りローラ(いずれ不図示)等から構成され、記録紙を記録(印字・印刷)動作に連動させてプラテン上に順次送り出すようになっている。
そして、パルスモータ9を駆動することで、キャリッジ4がガイド軸8に沿って主走査方向に往復移動するように構成されている。また、上記紙送り機構66は、紙送りモータやこの紙送りモータによって回転駆動される紙送りローラ(いずれ不図示)等から構成され、記録紙を記録(印字・印刷)動作に連動させてプラテン上に順次送り出すようになっている。
図2は、プリンタにおける記録ヘッドの構成を説明する断面図であり、図3は、記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。また、図4は記録ヘッド3の周辺における要部構成を示す模式図である。
図2に示されるように、本実施形態における記録ヘッド3は、導入針ユニット17、ヘッドケース18、流路ユニット19及びアクチュエータユニット20を主な構成要素としている。
導入針ユニット17の上面にはフィルタ21を介在させた状態で2本のインク導入針22が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針22には、サブタンク2がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。
このインク導入路23の上端はフィルタ21を介してインク導入針22に連通し、下端はパッキン24を介してヘッドケース18内部に形成されたケース流路25と連通する。
なお、本実施形態は、2種類のインクを使用する構成であるため、サブタンク2を2つ配設しているが、本発明は3種類以上のインクを使用する構成にも当然に適用されるものである。
導入針ユニット17の上面にはフィルタ21を介在させた状態で2本のインク導入針22が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針22には、サブタンク2がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。
このインク導入路23の上端はフィルタ21を介してインク導入針22に連通し、下端はパッキン24を介してヘッドケース18内部に形成されたケース流路25と連通する。
なお、本実施形態は、2種類のインクを使用する構成であるため、サブタンク2を2つ配設しているが、本発明は3種類以上のインクを使用する構成にも当然に適用されるものである。
サブタンク2は、ポリプロピレン等の樹脂製材料によって成型されている。このサブタンク2には、インク室27となる凹部が形成され、この凹部の開口面に透明な弾性シート26を貼設してインク室27が区画されている。
また、サブタンク2の下部にはインク導入針22が挿入される針接続部28が下方に向けて突設されている。サブタンク2におけるインク室27は、底の浅いすり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部28との間を連通する接続流路29の上流側開口が臨んでおり、この上流側開口にはインクLを濾過するタンク部フィルタ30が取り付けられている。針接続部28の内部空間にはインク導入針22が液密に嵌入されるシール部材31が嵌め込まれている。
また、サブタンク2の下部にはインク導入針22が挿入される針接続部28が下方に向けて突設されている。サブタンク2におけるインク室27は、底の浅いすり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部28との間を連通する接続流路29の上流側開口が臨んでおり、この上流側開口にはインクLを濾過するタンク部フィルタ30が取り付けられている。針接続部28の内部空間にはインク導入針22が液密に嵌入されるシール部材31が嵌め込まれている。
このサブタンク2には、図4に示されるようにインク室27に連通する連通溝部32′を有する延出部32が形成されており、この延出部32の上面にはインク流入口33が突設されている。このインク流入口33には、インクカートリッジ6に貯留されたインクLを供給するインク供給チューブ34が接続される。従って、インク供給チューブ34を通ってきたインクLは、このインク流入口33から連通溝部32′を通ってインク室27に流入するようになっている。
図2に示した上記弾性シート26は、インク室27を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、この弾性シート26の変形によるダンパ機能によって、インクLの圧力変動が吸収される。すなわち、弾性シート26の作用によってサブタンク2が圧力ダンパとして機能する。従って、インクLは、サブタンク2内で圧力変動が吸収された状態で記録ヘッド3側に供給されるようになっている。
ヘッドケース18は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、下端面に流路ユニット19を接合し、内部に形成された収容空部37内にアクチュエータユニット20を収容し、流路ユニット19側とは反対側の上端面にパッキン24を介在した状態で導入針ユニット17を取り付けるようになっている。
このヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23と連通するようになっている。
また、ケース流路25の下端は、流路ユニット19内の共通インク室44に連通するようになっている。したがって、インク導入針22から導入されたインクLは、インク導入路23及びケース流路25を通じて共通インク室44側に供給される。
このヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23と連通するようになっている。
また、ケース流路25の下端は、流路ユニット19内の共通インク室44に連通するようになっている。したがって、インク導入針22から導入されたインクLは、インク導入路23及びケース流路25を通じて共通インク室44側に供給される。
また、ヘッドケース18の収容空部37内に収容されるアクチュエータユニット20は、図3に示されるように、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子38と、この圧電振動子38が接合される固定板39と、プリンタ本体側からの駆動信号を圧電振動子38に供給する配線部材としてのフレキシブルケーブル40とから構成される。各圧電振動子38は、固定端部側が固定板39上に接合され、自由端部側が固定板39の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子38は、所謂片持ち梁の状態で固定板39上に取り付けられている。
また、各圧電振動子38を支持する固定板39は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエータユニット20は、固定板39の背面を、収容空部37を区画するケース内壁面に接着することで収容空部37内に収納・固定されている。
流路ユニット19は、振動板(封止板)41、流路基板42及びノズル基板43からなる流路ユニット構成部材を積層した状態で接着剤で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室44からインク供給口45及び圧力室46を通りノズル47に至るまでの一連のインク流路(流体流路)を形成する部材である。圧力室46は、ノズル47の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されている。
また、共通インク室44は、ケース流路25と連通し、インク導入針22側からのインクLが導入される室である。
そして、この共通インク室44に導入されたインクLは、インク供給口45を通じて各圧力室46に分配供給される。
また、共通インク室44は、ケース流路25と連通し、インク導入針22側からのインクLが導入される室である。
そして、この共通インク室44に導入されたインクLは、インク供給口45を通じて各圧力室46に分配供給される。
上記クリーニング機構14は、図4に示されるようにキャップ部材15、吸引ポンプ16等から構成される。キャップ部材15は、ゴム等の弾性材をトレイ形状に成型した部材によって構成してあり、ホームポジションに配設されている。このホームポジションとは、キャリッジ4の移動範囲内であって記録領域よりも外側の端部領域に設定され、記録ヘッド3のノズル47からインクを吐出することで噴射特性を回復又は維持するフラッシング動作、或いは吸引動作によりノズル47に目詰まりを生じさせているインクを強制的に排出させる吸引動作等を行う際に、キャリッジ4が位置する場所である。
キャップ部材15は、記録ヘッド3のクリーニング動作時にキャリッジ4がホームポジションに位置する。キャップ部材15は、記録ヘッド3のノズル基板43の表面(即ち、ノズル開口面43a)に当接して封止した状態でクリーニング動作を行う。そして、封止状態で吸引ポンプを動作させることでキャップ部材15の内部を減圧し、記録ヘッド3内のインクLをノズル47から強制的に排出する吸引処理(クリーニング動作)が実行される。
本実施形態に係るプリンタ1は、安定したインクの噴射特性を得るべく、噴射ヘッドにおけるノズル47の噴射特性を回復或いは維持させるためのクリーニング処理を複数回行うようにしている。
クリーニング処理は、上記インク滴センサ7によりインクの目詰まりが生じたノズル47を検出するとともに検出結果を保持する目詰まり検出ステップと、この検出結果に基づいて、記録ヘッド3に対するクリーニング動作(例えば、吸引動作)を実行するクリーニングステップと、を含む。クリーニング処理は、後述するフローに従って実行される。
プリンタ1は、電源が投入前(電源OFF時)において、キャリッジ4がホームポジションに位置し、記録ヘッド3のノズル基板43の表面にキャップ部材15が当接して封止することで、各ノズル47内のインクLが空気による乾燥を防止している。しかしながら、プリンタ1の電源OFF状態が長時間に亘ると、インクLが徐々に乾燥して増粘してしまい、吐出不良を引き起こすおそれがある。そこで、本実施形態のプリンタ1は、記録ヘッド3の初期駆動時、すなわちプリンタ1の電源ON時にクリーニング処理を行うことで印字品質を回復させた後、印字動作を実行するようにしている。
また、本実施形態に係るプリンタ1は、上記初期駆動時に加え、プリンタ1における累積駆動時間が2時間を経過した時、或いは前回の印字処理から5時間を経過した時にもクリーニング処理を行うことで印字品質の向上を図っている。ここで、本実施形態におけるクリーニング処理には、上述したような所定条件に基づいて自動的に実行されるオートクリーニング処理に加え、ユーザの指示に基づいて所望のタイミングで実行されるマニュアルクリーニング処理が含まれる。
流路ユニット19の底部に配置されるノズル基板43は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル47を列状に開設した金属製の薄い板材である。本実施形態のノズル基板43は、ステンレス鋼の板材によって作製され、本実施形態においてはノズル47の列(即ち、ノズル列)が、各サブタンク2に対応して合計8列並設されている。そして、1つのノズル列は、例えば、180個のノズル47によって構成される。ノズル基板43と振動板41との間に配置される流路基板42は、インク流路となる流路部、具体的には、共通インク室44、インク供給口45及び圧力室46となる空部が区画形成された板状の部材である。
本実施形態において、流路基板42は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハを異方性エッチング処理することによって作製されている。振動板41は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板41の圧力室46に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子38の先端面が接合される島部48が形成されており、この部分はダイヤフラム部として機能する。即ち、この振動板41は、圧電振動子38の作動に応じて島部48の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。また、振動板41は、流路基板42の一方の開口面を封止し、コンプライアンス部49としても機能する。このコンプライアンス部49に相当する部分についてはダイヤフラム部と同様にエッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
そして、上記の記録ヘッド3において、フレキシブルケーブル40を通じて駆動信号が圧電振動子38に供給されると、この圧電振動子38が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部48が圧力室46に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室46の容積が変化し、圧力室46内のインクLに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル47からインク滴Dが吐出される。
インクカートリッジ6は、図4に示したように、中空箱形状に形成されたケース部材51と、可塑性材料によって形成されたインクパック52とから構成されており、ケース部材51内の収容室にインクパック52を収容している。
このインクカートリッジ6は、インク供給チューブ34の一端部と連通しており、記録ヘッド3のノズル開口面43aとの水頭差によってインクパック52内のインクLを記録ヘッド3側に供給するように構成されている。具体的には、インクカートリッジ6と記録ヘッド3との重量方向の相対的な位置関係がノズル47のメニスカスに対して極僅かに負圧がかかるような状態に設定されている。
そして、圧電振動子38を駆動することによる圧力変化によって、圧力室46にインクLを供給すると共に、上述したように圧力室46内からインク滴Dを吐出させるようになっている。
このインクカートリッジ6は、インク供給チューブ34の一端部と連通しており、記録ヘッド3のノズル開口面43aとの水頭差によってインクパック52内のインクLを記録ヘッド3側に供給するように構成されている。具体的には、インクカートリッジ6と記録ヘッド3との重量方向の相対的な位置関係がノズル47のメニスカスに対して極僅かに負圧がかかるような状態に設定されている。
そして、圧電振動子38を駆動することによる圧力変化によって、圧力室46にインクLを供給すると共に、上述したように圧力室46内からインク滴Dを吐出させるようになっている。
(インク滴センサ7)
続いて、上記インク滴センサ7の構成について詳細に説明する。インク滴センサ7は、図4に示されるように記録ヘッド3のノズル開口面43aと所定ギャップを介して対向するように配置され、ノズル47から吐出されたインクが供給される検出部78を有し、ノズル47から吐出されたインクに応じた検出波形を出力することで各ノズル47におけるインクの吐出状況を検出可能とする検出装置76と、検出装置76から出力された検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得する処理装置82とを備える。
続いて、上記インク滴センサ7の構成について詳細に説明する。インク滴センサ7は、図4に示されるように記録ヘッド3のノズル開口面43aと所定ギャップを介して対向するように配置され、ノズル47から吐出されたインクが供給される検出部78を有し、ノズル47から吐出されたインクに応じた検出波形を出力することで各ノズル47におけるインクの吐出状況を検出可能とする検出装置76と、検出装置76から出力された検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得する処理装置82とを備える。
上記検出装置76は、検出部78と記録ヘッド3のノズル開口面43aとの間に電圧を印加する電圧印加器75と、検出部78の電圧を検出する電圧検出器81とを備えている。なお、本実施形態においては、検出装置76の検出部78は、上述したようにホームポジションに配置されている上記キャップ部材15の内側に設けられている。
上記キャップ部材15は、上面が開放されたトレイ状の部材であり、エラストマー等の弾性部材により作製されている。このキャップ部材15の内側には、インク吸収体77と電極部材79とが配設されている。電極部材79は、例えばステンレス鋼等の金属のメッシュ部材で形成されている。検出部78は、電極部材79の上面によって形成されている。検出部78は、キャップ部材15の上端面よりも低い位置に配置されている。
インク吸収体77は、インクLを保持可能(吸収可能)なスポンジ状部材、あるいは多孔部材等で形成されている。本実施形態においては、インク吸収体77は、フェルトなどの不織布で形成されている。例えば非記録中には、インク吸収体77に吸収されたインクが、ノズル開口面43aとキャップ部材15とが当接することによって形成された空間内を保湿し、ノズル47内のインクの乾燥を抑制可能となっている。
検出部78上に着弾したインク滴Dは、格子状の電極部材79の隙間を通過して下側に配置されたインク吸収体77に保持(吸収)されるようになっている。なお、インク滴Dが通過できれば、電極部材79はメッシュ部材でなくてもよい。また、インク吸収体77が無い場合には、電極部材79は、キャップ部材15の底面から延びるように設けられたリブに保持される。上述のように、キャップ部材15の底には、不図示のチューブが接続されており、インク吸収体77のインク滴Dはチューブを介して、吸引ポンプ16によって吸引され外部に排出されるようになっている。
電圧印加器75は、記録ヘッド3のノズル基板43の噴射面(ノズル開口面43a)と電極部材79の検出部(上面)78との間に電圧を印加可能な電子回路を含む。本実施形態においては、電圧印加器75は、電極部材79が正極、ノズル基板43が負極となるように、直流電源と抵抗素子とを介して、電極部材79とノズル基板43とを電気的に接続する。
上述のように、ノズル基板43はステンレス鋼等の金属で形成されており、電極部材79はステンレス鋼等の金属で形成されており、ノズル基板43及び電極部材79のそれぞれは導電性を有する。すなわち、電圧印加器75は、ノズル開口面43aと検出部78との間に電圧を印加可能となっている。
電圧検出器81は、電極部材79の電圧信号を積分して出力する積分回路、この積分回路から出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路、及びこの反転増幅回路から出力された信号をA/D変換して出力するA/D変換回路等を含む。
本実施形態においては、検出装置76は、ノズル開口面43aと検出部78との間に電界を与えて、ノズル47から検出部78にインクが移動するときの静電誘導に基づく電圧値の時間的変化を検出波形として処理装置82に出力する。処理装置82は、検出装置76の出力を演算処理可能であり、検出装置76から出力された検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得可能となっている。
ここで、インク滴センサ7の原理、すなわち静電誘導によって誘導電圧が生じる原理について図面を参照しながら説明する。図5は、静電誘導によって誘導電圧が生じる原理を説明する模式図であり、同図(a)はインク滴Dが吐出された直後の状態を示し、同図(b)はインク滴Dがキャップ部材15の検査領域74に着弾した状態を示している。図6は、インク滴センサ7から出力される検出信号(インク1滴分)の波形の一例を示す図である。ノズル基板43と電極部材79との間に電圧が印加した状態で、吐出パルスDPを用いて圧電振動子38を駆動させて、任意の一つノズル47からインク滴Dを吐出させる。
この際、ノズル基板43は負極となっているため、図5(a)に示すように、ノズル基板43の一部の負電荷がインク滴Dに移動し、吐出されたインク滴Dは負に帯電する。そして、このインク滴Dがキャップ部材15の検出部78に対して近づくに連れ、静電誘導によって電極部材79の表面では正電荷が増加する。
これにより、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により、インク滴Dを吐出しない状態における当初の電圧値よりも高くなる。
その後、図5(b)に示すように、インク滴Dが電極部材79に着弾すると、インク滴Dの負電荷により電極部材79の正電荷が中和される。このため、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は当初の電圧値を下回る。
そして、その後に、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は当初の電圧値に戻る。
したがって、図6に示すように、インク滴センサ7から出力される検出波形は、一旦電圧が上昇した後に、当初の電圧値を下回るまで下降し、その後当初の電圧値に戻る波形となる。
このようにして、インク滴センサ7により各ノズル47からインク滴Dを吐出した際の電圧変化が検出される。
これにより、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により、インク滴Dを吐出しない状態における当初の電圧値よりも高くなる。
その後、図5(b)に示すように、インク滴Dが電極部材79に着弾すると、インク滴Dの負電荷により電極部材79の正電荷が中和される。このため、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は当初の電圧値を下回る。
そして、その後に、ノズル基板43と電極部材79との間の電圧は当初の電圧値に戻る。
したがって、図6に示すように、インク滴センサ7から出力される検出波形は、一旦電圧が上昇した後に、当初の電圧値を下回るまで下降し、その後当初の電圧値に戻る波形となる。
このようにして、インク滴センサ7により各ノズル47からインク滴Dを吐出した際の電圧変化が検出される。
ところが、例えばインクが増粘している場合、同一の吐出パルスDPを用いたとしても、吐出量(液量)が正常時に比べて減少する。このため、図6において、実線で示すように、インク滴センサ7から出力される検出信号(検出波形Z)の振幅Aは、正常時の検出信号(理想波形Z0:図6の破線)の振幅A0に比べて小さくなる(振幅差ΔA)。また、吐出パルスDPを印加してからインク滴Dがノズル基板43から離間するまでの時間も、正常時に比べて遅くなる(電圧上昇するタイミングが時間差ΔTだけずれる)。
一方、インクの目詰まりが生じたノズル47からはインクが吐出されないため、同一の吐出パルスDPを用いた場合でもインク滴が着弾されないことから波形を得る事ができない。
したがって、インク滴センサ7から出力される検出波形Zの有無や、その振幅A、電圧上昇のタイミングを理想波形Z0のそれらと比較(ΔA,ΔTを検出)することで、記録ヘッド3の各ノズル47内におけるインクLの吐出状況を求めることができる。インク滴センサ7は、このような検出結果を処理装置82内に保持する。
このようなインク滴センサ7を用いることで、ノズル47毎にインクが良好に吐出できるか否か(ノズル47におけるインクの目詰まり状況)を正確に把握することが可能となる。また、後述するように精度の高い検出結果に基づいてクリーニング時の処理パラメータを決定することができ、クリーニング時にノズル47から必要以上にインクが吸引されてしまうといった不具合を防止している。
また、インク滴センサ7は、処理装置82内に保持された上記検出結果に基づき、クリーニングパラメータを決定するようになっている。本実施形態では、クリーニング時の吸引動作における上記吸引ポンプ16の駆動条件をクリーニングパラメータとした。
図7はプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図であり、図8は吐出パルスの構成を説明する図である。本実施形態におけるプリンタ1は、プリンタ1全体の動作を制御する制御装置58を備えている。この制御装置58には、プリンタ1の動作に関する各種情報を入力する入力装置59と、プリンタ1の動作に関する各種情報を記憶した記憶装置60と、時間の計測を実行可能な計測装置61とが接続されている。また、制御装置58には、上述した紙送り機構66、キャリッジ移動機構65、クリーニング機構14、及びインク滴センサ7(検出装置76、処理装置82)等が接続される。また、プリンタ1は、圧電振動子38に入力する駆動信号を発生する駆動信号発生器62を備えている。この駆動信号発生器62は、制御装置58に接続されている。また、プリンタ1は、詳細について後述するノズル数判別手段67を有しており、このノズル数判別手段67は制御装置58に電気的に接続されている。
駆動信号発生器62には、記録ヘッド3の圧電振動子38に入力する吐出パルスの電圧値の変化量を示すデータ、及び吐出パルスの電圧を変化させるタイミングを規定するタイミング信号が入力される。駆動信号発生器62は、入力されたデータ及びタイミング信号に基づいて、例えば、図8に示す吐出パルスDPを含む駆動信号を発生する。
また、吐出パルスDPは、図8に示されるように、基準電位VMから最高電位VHまで所定の勾配で電位を上昇させる第1充電要素PE1と、最高電位VHを一定時間維持する第1ホールド要素PE2と、最高電位VHから最低電位VLまで所定の勾配で電位を降下させる放電要素PE3と、最低電位VLを短い時間維持する第2ホールド要素PE4と、最低電位VLから基準電位VMまで電位を復帰させる第2充電要素PE5とを含む。ノズル47から噴射されるインクの滴の量が設計値と一致するように、吐出パルスDPのうち、最高電位VHと最低電位VLとの電位差である駆動電圧VDが設定される。なお、図8に示す吐出パルスDPは一例であり、種々の波形のものを用いることができる。
駆動信号発生器62より吐出パルスDPが圧電振動子38に入力されると、ノズル47よりインクの滴が吐出される。第1充電要素PE1が供給されると、圧電振動子38が収縮して圧力室46が膨張する。この圧力室46の膨張状態が短時間維持された後、放電要素PE3が供給されて圧電振動子38が急激に伸長する。これに伴って、圧力室46の容積が基準容積(圧電振動子38に基準電位VEを印加したときの圧力室46の容積)以下に収縮し、ノズル47に露出したメニスカスが外側に向けて急激に加圧される。これにより、所定量のインクの滴がノズル47から吐出される。その後、第2ホールド要素PE4、及び第2充電要素PE5が圧電振動子38に順次供給され、インクの滴の吐出に伴うメニスカスの振動を短時間で収束させるように、圧力室46が基準容積に復帰する。
以上の構成により、プリンタ1は、インク滴センサ7の検出装置76における検出結果に基づいて処理装置82が決定したクリーニングパラメータを記憶装置60に保持するようになっている。そして、プリンタ1は記憶装置60から呼び出したクリーニングパラメータに基づいて、吸引ポンプ16を駆動させることでクリーニング処理(吸引動作)を実行するようになっている。このようにプリンタ1は、記録ヘッド3の各ノズル47内から増粘したインクLや気泡等を吸引してキャップ部材15内に強制的に排出し、記録ヘッド3の噴射特性を回復させることができる。
ところで、本実施形態に係るプリンタ1においては、上述したインク滴センサ7による目詰まり検出ステップと、キャップ部材15によるクリーニングステップ(吸引動作)とを繰り返し行うようになっている。クリーニング処理(吸引動作)は、全てのノズル47からインクを強制的に排出させるためにインクが無駄に消費されてしまう。そこで、クリーニングにより無駄に消費されるインクの量を少なくすることが望まれている。
そこで、本実施形態に係るプリンタ1は、第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、第一の目詰まり検出ステップの次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別手段67を有している。このノズル数判別手段67は、制御装置58を介して上記インク滴センサ7に電気的に接続されたものとなっている(図7参照)。
制御装置58は、インク滴センサ7が目詰まりノズル数の増加を判断した場合、記録ヘッド3に対するクリーニング処理(吸引動作)を実行し、インク滴センサ7が目詰まりノズル数が同等以下であると判断した場合、記録ヘッドに対するクリーニング処理(吸引動作)をキャンセルするようになっている。
続いて、図9に示すフローを参照しながら本発明における流体噴射装置のクリーニング方法の一実施形態として、上記プリンタ1のクリーニング処理について具体的に説明する。
本実施形態におけるプリンタ1におけるクリーニング処理は、記録ヘッド3の初期駆動時、すなわちプリンタ1の電源ON時、累積駆動時間が2時間を経過した時、及び前回の印字処理から5時間を経過した時に実行される。
以下、クリーニング処理について具体的に説明する。
プリンタ1は、上述の所定条件を満たす場合、待機状態とされるインク滴センサ7により目詰まり目詰まり検出ステップを実行する(ステップS1)。
プリンタ1は、上述の所定条件を満たす場合、待機状態とされるインク滴センサ7により目詰まり目詰まり検出ステップを実行する(ステップS1)。
インク滴センサ7は、上記検出結果を処理装置82に記憶する(ステップS2)。インク滴センサ7は、ノズル基板43に形成された全てのノズル47におけるインクの吐出状態を順次検出する。このとき、目詰まりが生じたノズル47の数に関するデータを処理装置82に記憶する。これにより、インク滴センサ7は、各目詰まり検出ステップにおいて、何個のノズル47に目詰まりが生じたかというデータを取得することができる。
ここで、説明を分かり易くするため、連続して行われる目詰まり検出ステップにおいて、先に行われるステップを第一の目詰まり検出ステップ、次に行われたステップを第二の目詰まり検出ステップと称す。そして、ノズル数判別手段67は、第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、目詰まりノズル数の増減を判別する(ステップS3)。
具体的には、制御装置58は、ノズル数判別手段67が目詰まりノズル数が増加したと判断した場合(ステップS3中、YESの場合)、記録ヘッド3に対するクリーニング処理を実行する。これにより、先に実行された目詰まり検出ステップ時に対し、ノズル47における目詰まり状況が悪化した場合において、記録ヘッド3に対するクリーニング処理を良好に行うことができる。
或いは、上記制御装置58は、ノズル数判別手段67が目詰まりノズル数が同等以下であると判断した場合(ステップS3中、NOの場合)、記録ヘッド3に対するクリーニング処理をキャンセルする。
ところで、プリンタ1は、比較的長い間使用されない場合、クリーニング処理により目詰まりを良好に回復させることができないノズルを生じる可能性がある。
例えば、第一の目詰まり検出ステップにおいて検出された3個の目詰まりノズル全てが、目詰まりが回復しない回復困難ノズルである場合、第一の目詰まり検出ステップの後にクリーニング動作(吸引動作)を行ったとしてもこれら3個の回復困難ノズルの目詰まりを回復させることはできない。よって、第二の目詰まり検出ステップにおいては、目詰まりノズル数が3個と判定される。
例えば、第一の目詰まり検出ステップにおいて検出された3個の目詰まりノズル全てが、目詰まりが回復しない回復困難ノズルである場合、第一の目詰まり検出ステップの後にクリーニング動作(吸引動作)を行ったとしてもこれら3個の回復困難ノズルの目詰まりを回復させることはできない。よって、第二の目詰まり検出ステップにおいては、目詰まりノズル数が3個と判定される。
このとき、ノズル数判別手段67は、第二の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数が先に実行した第一の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数と同等(同じ)であると判断する。そして、制御装置58はクリーニング機構14に対し、記録ヘッド4に対するクリーニング動作(吸引動作)をキャンセルさせる。
また、例えば、第一の目詰まり検出ステップにおいて検出された目詰まりノズル4個の中に、目詰まりが回復しない回復困難ノズルが3個含まれる場合、クリーニング動作(吸引動作)を行うことでこれら回復困難ノズルを除く、1個の目詰まりのみを回復させることができる。したがって、第二の目詰まり検出ステップにおいては、目詰まりノズル数が3個(回復困難ノズルの数に相当)と判定される。
このとき、ノズル数判別手段67は、第二の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数が先に実行した第一の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数に対して減少したと判断する。そして、制御装置58はクリーニング機構14に対し、記録ヘッド4に対するクリーニング動作をキャンセルさせる(ステップS5)。
なお、本実施形態に係るプリンタ1においては、クリーニング処理を行うに先立ち、記録ヘッド3の温度検出を行い記憶装置60に温度データが記憶される。記録ヘッド3の温度は、ノズル47から吐出されるインクの粘度に影響を及ぼす。そのため、インクの粘度に応じて後述するクリーニングパラメータを変化させるようにしている。具体的に本実施形態では、記憶装置60に記憶されたヘッド温度に基づいて、吸引動作時における吸引ポンプ16の吸引力を微調整するようにしている。
具体的に、本実施形態では、目詰まり検出ステップ(ステップS1〜S3)により検出された目詰まりノズルの数に応じたクリーニングパラメータ(吸引動作時の強さ)を設定する(ステップS5)。このクリーニングパラメータは、目詰まりノズルの数に応じた吸引力が得られるための吸引ポンプ16の駆動条件であり、記憶装置60に記憶される。そして、制御装置58は、記憶装置60内に保持されているクリーニングパラメータに基づいて、クリーニング動作(例えば、吸引動作)を実行する(ステップS6)。
制御装置58は、例えば目詰まりが生じたノズル47の数が多数となる場合、クリーニング動作として、チョーククリーニングを行う。チョーククリーニングは、インク流路の上流側の弁を閉じた状態(チョーク状態)とし、ノズル側から吸引ポンプ16によって吸引を行うものである。そして、記録ヘッド3内を負圧にして気泡を膨張させ、この状態で、弁を開いて気泡を排出させる。これにより強力なクリーニングが可能となる。さらに強力なクリーニングを必要とするクリーニングパラメータ時には、上記チョーククリーニングを2段階で行う2段階チョーククリーニングが実行される。
したがって、本実施形態に係るプリンタ1によれば、ノズル数判別手段67及び制御装置58により、第一の目詰まり検出ステップ時に比べて第二の目詰まり検出ステップ時における目詰まりノズル数が増加した場合のみクリーニング動作として、吸引動作を行うことを可能としている。よって、不要なクリーニング動作を削減することができ、クリーニングに起因して無駄に消費されてしまうインク量を削減することができる。よって、不要なクリーニング処理を削減することにより、有効利用できるインク量が増加し、結果的にプリンタ1の印刷処理可能枚数を向上できる。また、不要なクリーニング処理を削減することで、クリーニングに起因するユーザの印字待ち時間を解消することができる。さらに、クリーニング時に消費されるインク量を削減することができるので、インクカートリッジ6の交換作業等のメンテナンスを行うサイクルを延ばすことができる。
なお、上記実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。
上記実施形態では、流体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(記録装置)に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。
そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置において、噴射される流体(液状体、流状体)が、例えば乾燥等により増粘し吐出不良を引き起こす可能性があれば、本発明を適用することができる。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。
そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置において、噴射される流体(液状体、流状体)が、例えば乾燥等により増粘し吐出不良を引き起こす可能性があれば、本発明を適用することができる。
1…プリンタ(流体噴射装置)、3…噴射ヘッド(記録ヘッド)、4…インク滴センサ(目詰まり検出手段)、43a…ノズル開口面、44…共通インク室(共通流体室)、47…ノズル(噴射ノズル)、58…制御装置(制御手段)、67…ノズル数判別手段
Claims (4)
- 複数の噴射ノズルから流体を噴射する噴射ヘッドと、前記流体の目詰まりが生じた前記噴射ノズルを検出するとともに、目詰まりノズル数を記憶する目詰まり検出手段と、該目詰まり検出手段の検出結果に基づき、目詰まりが生じた前記噴射ノズルにクリーニング動作を行うことで前記目詰まりを解消させる制御手段と、を備え、前記目詰まり検出手段による目詰まり検出ステップ及び前記制御手段による前記クリーニング動作が繰り返される流体噴射装置であって、
第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、前記第一の目詰まり検出ステップの次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、前記目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別手段を有し、
前記制御手段は、前記ノズル数判別手段により前記目詰まりノズル数が増加したと判断された場合、前記クリーニング動作を実行し、前記ノズル数判別手段により前記目詰まりノズル数が同等以下であると判断された場合、前記クリーニング動作をキャンセルすることを特徴とする流体噴射装置。 - 前記目詰まり検出手段は、前記噴射ヘッドにおける前記噴射ノズルが複数形成されたノズル開口面と、該ノズル開口面に対して非接触状態で対向配置される流体受部との間に電界を付与すると共に、前記噴射ノズルから前記流体受部に向けて前記流体を噴射させ、前記流体受部に向けて前記流体を噴射した際の静電誘導に基づく電圧変化により、前記ノズルの噴射状況を検出することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
- 前記制御手段は、前記目詰まりノズル数に応じて前記クリーニング動作時のクリーニングパラメータを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の流体噴射装置。
- 複数の噴射ノズルから流体を噴射することで印刷処理を行う噴射ヘッドと、前記流体の目詰まりが生じた前記噴射ノズルを検出するとともに目詰まりが生じた目詰まりノズルの数を記憶する目詰まり検出ステップと、
該目詰まり検出ステップの検出結果に基づき、目詰まりが生じた前記噴射ノズルにクリーニング動作を行うことで前記目詰まりを解消させるクリーニングステップと、が繰り返される流体噴射装置のクリーニング方法であって、
第一の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数と、前記第一の目詰まり検出ステップの次に実行する第二の目詰まり検出ステップにより検出された目詰まりノズル数とを比較し、前記目詰まりノズル数の増減を判別するノズル数判別ステップをさらに有し、
前記クリーニングステップにおいては、前記目詰まり検出ステップにおいて目詰まりノズル数の増加が判別された場合、前記クリーニング動作を実行し、前記目詰まり検出ステップにおいて目詰まりノズル数が同等以下であると判別された場合、前記クリーニング動作をキャンセルすることを特徴とする流体噴射装置のクリーニング方法。
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JP2008017879A JP2009178868A (ja) | 2008-01-29 | 2008-01-29 | 流体噴射装置及び流体噴射装置のクリーニング方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8807683B2 (en) | 2011-03-10 | 2014-08-19 | Seiko Epson Corporation | Liquid discharge method for resolving clogged nozzle arrays |
-
2008
- 2008-01-29 JP JP2008017879A patent/JP2009178868A/ja active Pending
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