JP4379043B2 - 水素供給ステーション及びその使用方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1、2は、水素吸蔵合金MHタンクヘの充填に関するものであって、そこには、水素供給の経路の他に、熱媒体が通る2つの通路を設け、熱媒体によりMHタンクと供給ステーション間の熱輸送を促進する方法が示されている。この方法は、MH吸蔵に伴う発熱、放出に伴う吸熱を供給管を介して一部相殺することを狙ったものである。
特許文献4は、高圧タンクヘの充填に関するものであって、そこには、高圧タンクに設置したサブコンテナの温度管理によりタンクヘの充填・放出をスムーズに行うものが示されている。そして、高速充填時には、サブコンテナに冷却水を供給し、タンク内圧力が低下したことにより水素充填の必要性が出た場合には、自動的に冷却水をサブコンテナに供給することが示されている。
即ち、上記特許文献1、2、4においては、車両側タンクと供給側タンク間の熱交換を達成するために、車両側タンク内に比較的複雑な構造の熱交換器構成を必要とする。そのため、従来の上記車載用水素充填タンクは、構造が複雑、軽量化が困難、製造コストが高くなるなどの問題がある。
また、特許文献3においては、内部圧力および温度マップを参考に水素充填速度を調整するものであって、穏やかに水素充填を行うので、高速充填を達成することができない。
上記車載用水素充填タンクに供給すべき水素を貯蔵する水素供給タンクと、該水素供給タンクと上記車載用水素充填タンクとの間の水素の供給経路を形成する水素供給ラインとを有してなり、
上記水素供給タンクは、備蓄する水素圧力のレベルを示す圧力ステージを複数段に異ならせて各圧力ステージに対して1つの備蓄タンクが存在するように構成されていると共に、上記水素供給ラインに接続する上記備蓄タンクを切り替える切り替え装置に連結されており、
かつ、上記複数の備蓄タンクのうち圧力ステージが最も下段の第1タンクには、外部の水素供給源に接続される供給口が設けられており、上記第1タンク以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ下段の備蓄タンクから水素を昇圧して導入する昇圧導入路が接続されていることを特徴とする水素供給ステーションにある(請求項1)。
この構成を備えることにより、後述する第2発明の方法を確実に実行することができる。
なお、上記昇圧導入路としては、例えば、昇圧装置及び各種の開閉弁を含む流路によって構成することができる。
該水素供給ステーションに水素を充填するに当たっては、上記複数の備蓄タンクのうち圧力ステージが最も下段の第1タンクに外部の水素供給源を接続して、該第1タンクに上記水素供給源から水素を充填し、
上記第1タンク以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ下段の備蓄タンクから水素を昇圧して供給し充填することを特徴とする水素供給ステーションの使用方法にある(請求項6)。
そして、このような水素供給タンクへの水素の充填作業を容易化することによって、上記水素供給ステーションをより有効に活用することができる。
この場合には、ある特定の圧力ステージの備蓄タンク内の水素備蓄量が大きく減少した場合には、その備蓄タンクよりも圧力ステージが高い備蓄タンクから水素を補給することができる。それ故、外部からの水素供給を行うことができない場合でも、ある程度は特定の備蓄タンクに対して水素の補給を行うことができる。
なお、上記の最も利用率の高い圧力ステージは、例えば、車載用水素充填タンクの種類とその割合などのデータを基にしてシミュレーションを行う方法や、実際に運営して統計的に求める方法によって求めることが可能である。
また、上述した1つ下段の備蓄タンクからの補充と、上記1つ上段の備蓄タンクからの補充とを組み合わせることによって、よりきめ細かい水素分配を行うことができ、外部から水素供給ステーションへの水素補給がない期間においても安定した運用を実現することができる。
本発明の実施例に係る水素供給ステーションにつき、図1を用いて説明する。
本例の水素供給ステーション1は、図1に示すごとく、車両に搭載された車載用水素充填タンク9に対して水素を供給するための水素供給ステーションである。
上記車載用水素充填タンク9に供給すべき水素を貯蔵する水素供給タンク10と、該水素供給タンク10と車載用水素充填タンク9との間の水素の供給経路を形成する水素供給ライン3とを有してなる。
水素供給タンク10は、備蓄する水素圧力のレベルを示す圧力ステージを複数段に異ならせた複数の備蓄タンク11〜17により構成されていると共に、水素供給ライン3に接続する備蓄タンク11〜17を切り替える切り替え装置4に連結されている。
また、複数の備蓄タンク11〜17のうち圧力ステージが最も下段の第1タンク11には、外部の水素供給源に接続される供給口61が設けられており、上記第1タンク11以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ下段の備蓄タンクから水素を昇圧して導入する昇圧導入路62がそれぞれ接続されている。
本例の水素供給ステーション1は、図1に示すごとく、水素供給タンク10として、7つの備蓄タンク11〜17、すなわち、第1タンク11、第2タンク12、...第7タンク17を有している。第1タンク11が最も低い最下段の圧力ステージのものであり、順次、第2タンク12、第3タンク13と所定値ずつ圧力を高めた上段の圧力ステージに属し、第7タンク17が最も高い最上段の圧力ステージの備蓄タンクである。
また、同図に示すごとく、各備蓄タンク11〜17には、水素供給ライン3に連結される水素回収路5が、上記昇圧導入路62を含む戻り切り替え装置6を介して接続されており、水素供給ライン3内又は切り替え装置4内の余剰の水素を備蓄タンク11〜17に回収可能に構成されている。戻り切り替え装置6は、複数のバルブ(図示略)を組み合わせて構成される。
また、放出パス32には、流れてきた水素を冷却するための熱交換器39を設けてあると共に、水素の循環を促すためのポンプ38も設けてある。熱交換器39には、別途設けた冷媒流路385に接続され、冷媒を循環させるように構成してある。
また、水素供給ライン3における上記充填パス31と放出パス32との分岐点には三方弁71を配置してあり、また、水素供給ライン3から上記水素回収路5が分岐する分岐点にも三方弁72を配置してある。
本例の水素供給ステーション1に接続された車載用水素充填タンク9に水素を充填するに当たっては、まず、切り替え装置4の操作によって、圧力ステージが最も低い第1タンク11を水素供給ライン3に接続する。そして、三方弁71、72を操作して、第1タンク11から充填パス31を用いて車載用水素充填タンク9に水素を圧送する。
本例の水素供給ステーション1では、流量計81により測定した水素流量が所定値を下回った時点で、切り替え装置4を操作して接続する備蓄タンクを1つ上段の圧力ステージのものに切り替える。
なお、上記のような第1タンク11から順次圧力ステージを高める充填方法に代えて、車載用水素充填タンク9の仕様、充填状態等に応じて、最初から特定の備蓄タンクに接続する方法をとることも可能である。
本例の水素供給ステーション1に水素を充填するに当たっては、まず、上記複数の備蓄タンク11〜17のうち最も下段の圧力ステージの第1タンク11の供給口61に外部の水素供給源(図示略)を接続する。そして、この第1タンク11に上記水素供給源から水素を充填し、第1タンク11に所定量の水素を所定圧力で備蓄する。
同様に、第2タンク12の水素充填量がある程度以上になった時点で、第2タンク12と第3タンク13の間の昇圧導入路62を上記と同様に操作して、第2タンク12から第3タンク13への水素の昇圧供給を開始する。このような動作を順次上段の備蓄タンクに施すことによって、すべての備蓄タンク11〜17が所定の圧力ステージの水素を備蓄した状態となる。
そのため、水素供給ステーション1においては、これへの水素の充填作業を容易化することができ、より有効に活用することができる。
本例は、図2、図3に示すごとく、実施例1の水素供給ステーション1に採用されうる構成をより具体的に示す例である。
まず、図2には、水素供給ステーション1全体の構成を示す。同図に示すごとく、本例では、水素供給タンク10として、5段階の圧力ステージに対応する5つの備蓄タンク11〜15を設けた。圧力ステージが最も低い第1タンク11には、外部の水素供給源に接続される供給口61が設けられている。供給口61には、外部からの水素の導入を開始又は停止させるための開閉弁611が配置されている。
また、各昇圧導入路62の三方弁625には、それぞれ開閉弁51及び三方弁52〜54を介して水素回収路5が接続されている。
また、上記水素供給ライン3における三方弁71は、開閉弁59を介して上記の水素回収路5に接続されると共に、充填パス31と放出パス32に分岐させる三方弁72に接続される。
そして、図3に示すごとく、車載用水素充填タンク9に水素供給ステーション1から水素を供給する際には、車載用水素充填タンク9のバルブ部90に水素供給ライン3の接続ユニット30を当接させ、開口部315と開口部915を対面させると共に開口部325と開口部915を対面させる。
そして、水素供給を停止した後には、排気路371,372の合流路370上にあるポンプ375を駆動する。そして、上記接続ユニット30の開口部315,315とバルブ部90の開口部915,925との間の空間に残った水素を、異物等と共に水素処理機379に吸引し、処理する。これにより、水素を外気へ不用意に放出することを防止することができると共に、車載用水素充填タンク9のパルブ部90及び水素供給ステーション1の接続ユニット30のそれぞれの接続部分を清潔に保つことができる。
すなわち、本例の水素供給ステーション1に水素を充填するに当たっては、まず、上記複数の備蓄タンク11〜15のうち最も下段の圧力ステージの第1タンク11の供給口61に外部の水素供給源(図示略)を接続する。そして、開閉弁611を開いて第1タンク11に上記水素供給源から水素を充填し、所定量の水素を所定圧力で備蓄する。
同様に、第2タンク12の水素充填量がある程度以上になった時点で、第2タンク12と第3タンク13の間の昇圧導入路62を上記と同様に操作して、第2タンク12から第3タンク13への水素の昇圧供給を開始する。このような動作を順次上段の備蓄タンクに施すことによって、すべての備蓄タンク11〜15が所定の圧力ステージの水素を備蓄した状態となる。
本例では、第3タンク13に対して、1つ下段の圧力ステージの第2タンク12から水素を補充する方法と、1つ上段の圧力ステージの第3タンク13から水素を補充する方法とがある。
また、第4タンク14から水素を補充する方法では、第3タンク13と第4タンク14との間の補給路63を開閉弁628の操作によって開通させる。これにより、圧力ステージが1段高い第4タンク14内の水素は、低圧の第3タンク13内に自動的に減圧されて補充される。
その他の作用効果は実施例1と同様である。
本例は、図4に示すごとく、実施例1の水素供給ステーション1を基礎として、水素供給ライン3における放出パス32を、三方弁73を介して水素供給タンク10の戻り切り替え装置6に接続した例である。
この場合には、車載用水素充填タンク9に充填パス31から水素を供給しながら、放出パス32から供給した水素を放出する。この水素は、熱交換器39によって冷却され、戻り切り替え装置6に導かれる。そして、再び、備蓄タンク11〜17のいずれかに戻される。このときの備蓄タンクの選択は、車載用水素充填タンク9への水素供給に用いていた備蓄タンクの1つ下段(低圧側)のものを選択することが圧力差が小さく最も好ましい。
その他の構成は実施例1と同様である。
その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
本例は、図5に示すごとく、実施例1の水素供給ステーション1を基にして、水素供給タンク10を構成する備蓄タンク11〜17の容量を変化させた例である。
すなわち、同図に示すごとく、複数の圧力ステージのうち最も利用率の高い圧力ステージの第2タンク12の容積を、他の圧力ステージの備蓄タンク11,13〜17の容積よりも大きくした。上記利用率は、例えば、車載用水素充填タンク9の種類と割合等のデータを基にしたシミュレーションにより算出することができる。その他の構成は実施例1と同様である。
その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
本例は、図6、図7に示すごとく、実施例1の水素供給ステーション1における水素供給タンク10を構成する備蓄タンク11〜17(タンクNo.1〜7)の圧力ステージの組み合わせ例を示すものである。
図6、図7は、横軸に圧力を、縦軸にタンクの種類を示したものである。そして、図6には、第1〜第7タンクまでの圧力ステージを、一定圧力ずつ高めた構成とする例を示してある。また、図7には、圧力ステージが低いほど、圧力差を小さくした例である。
これらの圧力差のバリエーションは、水素供給ステーション1が水素を供給する車載用水素充填タンク9の仕様、割合などに応じて変更することができる。
10 水素供給タンク
11〜17 備蓄タンク(第1タンク〜第7タンク)
3 水素供給ライン
31 充填パス
32 放出パス
4 切り替え装置
5 水素回収路
6 戻り切り替え装置
62 昇圧導入路
63 補給路
Claims (8)
- 車両に搭載された車載用水素充填タンクに対して水素を供給するための水素供給ステーションであって、
上記車載用水素充填タンクに供給すべき水素を貯蔵する水素供給タンクと、該水素供給タンクと上記車載用水素充填タンクとの間の水素の供給経路を形成する水素供給ラインとを有してなり、
上記水素供給タンクは、備蓄する水素圧力のレベルを示す圧力ステージを複数段に異ならせて各圧力ステージに対して1つの備蓄タンクが存在するように構成されていると共に、上記水素供給ラインに接続する上記備蓄タンクを切り替える切り替え装置に連結されており、
かつ、上記複数の備蓄タンクのうち圧力ステージが最も下段の第1タンクには、外部の水素供給源に接続される供給口が設けられており、上記第1タンク以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ下段の備蓄タンクから水素を昇圧して導入する昇圧導入路が接続されていることを特徴とする水素供給ステーション。 - 請求項1において、上記複数の備蓄タンクのうち圧力ステージが最も上段の最高圧タンク以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ上段の備蓄タンクから水素を補う補給路が接続されていることを特徴とする水素供給ステーション。
- 請求項1又は2において、上記各備蓄タンクには、上記水素供給ラインに連結される水素回収路が接続されており、上記水素供給ライン内又は上記切り替え装置内の余剰の水素を上記備蓄タンクに回収可能に構成されていることを特徴とする水素供給ステーション。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記複数の圧力ステージのうち最も利用率の高い圧力ステージの上記備蓄タンクの容積を、他の圧力ステージの上記備蓄タンクの容積よりも大きくしてあることを特徴とする水素供給ステーション。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記複数の圧力ステージのうち最も利用率の高い圧力ステージよりも下段の圧力ステージ間の圧力差が、上記最も利用率の高い圧力ステージよりも上段の圧力ステージ間の圧力差よりも小さいことを特徴とする水素供給ステーション。
- 車両に搭載された車載用水素充填タンクに供給すべき水素を貯蔵する水素供給タンクを有し、該水素供給タンクが、備蓄する水素圧力のレベルを示す圧力ステージを複数段に異ならせて各圧力ステージに対して1つの備蓄タンクが存在するように構成されている水素供給ステーションを使用する方法であって、
該水素供給ステーションに水素を充填するに当たっては、上記複数の備蓄タンクのうち圧力ステージが最も下段の第1タンクに外部の水素供給源を接続して、該第1タンクに上記水素供給源から水素を充填し、
上記第1タンク以外の上記備蓄タンクには、圧力ステージが1つ下段の備蓄タンクから水素を昇圧して供給し充填することを特徴とする水素供給ステーションの使用方法。 - 請求項6において、上記車載用水素充填タンクに対して水素を供給することにより特定の上記備蓄タンク内における水素圧力が所定圧力以下に低下した場合には、当該備蓄タンクよりも圧力ステージが1つ下段の上記備蓄タンク内の水素を昇圧して補充することを特徴とする水素供給ステーションの使用方法。
- 請求項6において、上記車載用水素充填タンクに対して水素を供給することにより特定の上記備蓄タンク内における水素圧力が所定圧力以下に低下した場合には、当該備蓄タンクよりも圧力ステージが1つ上段の上記備蓄タンク内の水素を減圧して補充することを特徴とする水素供給ステーションの使用方法。
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