JP4378769B2 - ガラス基板 - Google Patents

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Description

本発明は、特に液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等の平面ディスプレイ基板として適したガラス基板に関するものである。
近年、表示装置として平面ディスプレイが急速に普及しつつあり、特に薄膜トランジスタ型アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(TFT−LCD)等の電子デバイスは、薄型で消費電力も少ないことから、従来よりカーナビゲーション、デジタルカメラのファインダー、ノートパソコン、パソコンのモニター、TV用など、様々な用途に使用されている。
液晶ディスプレイには、透明導電膜、絶縁膜、半導体膜、金属膜等が成膜され、しかもフォトリソグラフィ−エッチング(フォトエッチング)によって種々の回路やパターンが形成される。これらの成膜、フォトエッチング工程において、ガラス基板には、種々の熱処理や薬品処理が施される。
例えば、TFT−LCDの場合、ガラス基板上に絶縁膜や透明導電膜が成膜され、さらにアモルファスシリコンや多結晶シリコンのTFTが、フォトエッチングによって多数形成される。このような工程において、ガラス基板は、数百度の熱処理を受けると共に、硫酸、塩酸、アルカリ溶液、フッ酸、バッファードフッ酸等の種々の薬品による処理を受ける。
特にバッファードフッ酸は、絶縁膜のエッチングに広く用いられるが、ガラスを侵食してその表面を白濁させやすく、またガラス成分と反応して反応生成物ができ、これが工程中のフィルターをつまらせたり、基板上に付着することがある。
また塩酸は、ITO膜やクロム膜のエッチングに用いられるが、これもガラスを侵食して、その表面を変色させたり、白濁やクラックを生じさせ易い。よって、この種のガラス基板には、耐バッファードフッ酸性と耐塩酸性を付与することが重要である。
また携帯電話やノート型パソコンといった携帯型のデバイスにおいては、携帯時の利便性から、機器の軽量化が要求されている。これに伴ってガラス基板にも軽量化が要求されており、薄板化と低密度化が進められている。
従って、TFT−LCDに使用されるガラス基板には、以下のような特性が要求される。
(1)ガラス中にアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O、Li2O)が多量に含有されていると、熱処理工程において、ガラス中のアルカリイオンが、成膜された半導体物質中に拡散し、膜特性の劣化を招くため、アルカリ金属酸化物の含有量(混入量)を極力抑えること。
(2)フォトエッチング工程において使用される種々の酸、アルカリ等の薬品によって劣化しないような耐薬品性を有すること。
(3)成膜、アニール等の工程における熱処理によって、熱収縮しないこと。そのため高い歪点を有すること。例えば多結晶シリコンTFT−LCD(P−Si・TFT−LCD)の場合、その製造工程が約600℃であるため、このような用途のガラス基板には、歪点が630℃以上、好ましくは650℃以上であることが要求される。
(4)TFT材料との熱膨張差が大きくなると、熱応力によってガラス基板に反りが発生しやすいため、TFT材料の熱膨張係数に近似する熱膨張係数を有すること。具体的には、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が29〜39×10-7/℃であることが要求される。
(5)電子機器の軽量化を図るため、密度が2.54g/cm3以下、好ましくは2.51g/cm3以下であること。またガラス基板が薄肉化したり、大型化すると、自重によるたわみが大きくなり、その取り扱いが困難となるため、比ヤング率(ヤング率/密度)が大きく、たわみにくいこと。具体的には、比ヤング率が27.5Pa/g・cm-3以上であることが望まれる。
また溶融性、成形性を考慮して、この種のガラス基板には、以下のような特性も要求される。
(6)ガラス中に基板として好ましくない溶融欠陥が発生しないよう、溶融性に優れていること。
(7)溶融、成形工程において、ガラス中に異物が発生しないように、耐失透性に優れていること。特にダウンドロー法でガラス基板を成形する場合には、ガラスの失透が問題となりやすいため、液相温度が1150℃以下、液相温度における粘度(液相粘度)が200000ポアズ以上であることが要求される。
このような背景の基に、TFT−LCDに使用されるガラス基板が盛んに開発され、これまでに数多くの無アルカリガラス基板が提案されている。(例えば、特許文献1〜4)
特許2990379号公報 特開平6−263473号公報 特開2002−308643号公報 特表2002−531360号公報
ところで、ガラスは絶縁体であるため、帯電しやすい材料である。またアルカリ金属酸化物を実質的に含まない無アルカリガラスは、特に帯電しやすく、且つ、一旦帯電した静電気は、逃げずに維持される傾向にある。
しかも液晶ディスプレイに使用される無アルカリガラス基板の場合、液晶ディスプレイの製造工程において帯電が発生しやすい環境に置かれる。すなわち、この種の無アルカリガラス基板は、その表面に成膜を行う工程において、金属や絶縁体からなる保持台の上に載置されるが、ガラス基板を保持台から剥離する際に帯電(剥離帯電)が発生しやすい。この剥離帯電は、ガラス基板の面積が大きくなり、また平坦性が向上する程、発生しやすい。また搬送工程において、ガラス基板がローラーと摩擦したり、他の帯電物質と接触したり、或いは接近することによって帯電が発生しやすい。さらに、ガラス基板の表面に配向膜を形成する際、繊維布でガラス基板の表面を擦るラビングと呼ばれる工程があり、その時にもガラス基板に帯電が発生しやすい。またプラズマを用いてガラス基板表面の薄膜のエッチングを行う工程や成膜を行う工程では、真空装置内で300℃を超える温度でガラス基板を加熱するが、この際にもガラス基板に帯電が発生しやすい。
このように液晶ディスプレイに使用される無アルカリガラス基板には、特に帯電が発生しやすいが、帯電したガラス基板に導電性の物質が近づくと、放電が起こる。帯電している静電気の電圧は数十kVにも達するため、放電によってガラス基板表面の破壊(静電破壊)が起こり、表示不良の原因となる。液晶ディスプレイの中でも、TFT−LCDに代表されるアクティブマトリックスタイプの液晶ディスプレイは、ガラス基板表面に薄膜トランジスタ等の微細な半導体素子や電気回路が形成されるが、この種の素子や回路は、静電破壊に非常に弱いため大きな問題となる。
また、上記問題以外にも、ガラス基板が帯電すると、環境中に存在する塵や埃を引き寄せるため、ガラス基板表面を汚染しやすいという問題がある。液晶ディスプレイに使用される無アルカリガラス基板には、極めて高い清浄度が要求されるため、僅かな汚染でも大きな問題となる。
そのため液晶ディスプレイに使用するガラス基板は、できるだけ帯電を防止することが必要であるが、その方法としては、イオナイザを用いて電荷を中和する方法や、環境中の湿度を上げて、溜まった電荷を空中に放電させる方法が考えられる。しかしこれらの方法は、コストアップの要因となると共に、液晶ディスプレイの製造工程には帯電を引き起こす工程が多く含まれるため、効果的な対策を打つことが非常に困難である。しかもプラズマプロセスのような真空中で行う工程では、これらの方法を採用することができない。
またガラス基板の表面に、金属膜や親水性の有機膜等といった導電膜(層)を形成することによって帯電を防止することも可能であるが、やはりコストアップの要因となる。さらに、このような導電膜は後工程で剥離したり、薬液が汚染の原因となる虞れがあるため、現実的ではない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、液晶ディスプレイ用ガラス基板として使用しても、熱処理工程において、ガラス中のアルカリイオンが成膜された半導体物質中に拡散し、膜特性の劣化を招くことがなく、また放電による半導体素子や電気回路の静電破壊を防止し、さらに環境中の塵や埃によって表面が汚染されにくいガラス基板を提供することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明のガラス基板は、質量百分率で、SiO 50〜80%、Al 10〜25%、B 5〜18%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜5%、TiO 0〜5%を含有し、SiO +Al +B が80%以上であり、Li Oが5〜200ppm、アルカリ金属酸化物の総量が700ppm以下であり、且つ、体積抵抗率が、350℃において1011.3Ω・cm以下であることを特徴とするものである。
本発明のガラス基板は、アルカリ金属酸化物の総量が700ppm以下であるため、ガラス中のアルカリイオンによって、膜特性が劣化するのを防止できる。また350℃における体積抵抗率が1011.3Ω・cm以下であるため、これを液晶ディスプレイ用ガラス基板として使用しても、帯電が起こりにくく、放電による半導体素子や電気回路の静電破壊を防止することができる。しかも環境中に存在する塵や埃が、ガラス基板の表面に付着し難くなる。従って、液晶ディスプレイを歩留まり良く、製造することが可能となる。
本発明のガラス基板は、350℃における体積抵抗率が1011.3Ω・cm以下であるため、帯電を抑えることができ、また例えガラス基板が帯電しても、ガラス中の電荷を速やかに逃がすことができる。特に体積抵抗率が、350℃において1011.0Ω・cm以下にすると、著しい効果が得られるため好ましい。
ところで通常、液晶ディスプレイに使用される無アルカリガラス基板には、不純物としてアルカリ金属酸化物が微量含まれているが、ガラスの体積抵抗率を低くするためには、アルカリ金属酸化物の量を増加すれば良い。しかしながらアルカリ金属酸化物の量が多くなると、ガラス中のアルカリイオンが、成膜された半導体物質中に拡散し、膜特性の劣化を招くことになるため好ましくない。
そこで本発明者は、無アルカリガラス基板に含まれるアルカリ成分と、ガラスの体積抵抗率について検証を行った結果、アルカリ成分の中で、最も多く含まれる成分はNa2Oであり、Li2Oは殆ど含まれていないこと、またLi2Oは、Na2Oに比べて、ガラスの体積抵抗率を低下させる効果が大きく、約10倍の効果があることを見いだし、Li2Oを5ppm以上含有させることによって、所定の体積抵抗率を得ることができるという知見を得た。特にLi2Oを10ppm以上、さらには15ppm以上含有させると、著しい効果が得られるため好ましい。ただしLi2Oが多くなりすぎると、アルカリ成分の総量も多くなりやすいため、Li2Oの含有量は200ppm以下、好ましくは100ppm以下に規制すべきである。
ガラス中のアルカリイオンによる半導体素子の劣化を抑えるためには、原料や溶融耐火物からガラスに混入するアルカリ成分をできるだけ少なくすることが望ましく、総量で700ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは450ppm以下に規制すべきである。またNa2Oは、500ppm以下、好ましくは400ppm以下に規制すべきである。またK2Oも、300ppm以下、好ましくは100ppm以下に規制すべきである。
またガラスの体積抵抗率は、ガラス中の水分量(β−OH)によっても変化する。すなわちガラス中のOH基は、SiO2、Al23、B23等のガラス形成酸化物で構成されるガラスの網目構造を部分的に切断することにより、ガラスの構造をよりオープンにする働きがある。その結果、ガラスの体積抵抗率が下がることになる。
よって本発明では、β−OHを0.2/mm以上、好ましくは0.3/mm以上、より好ましくは0.4/mm以上、さらに好ましくは0.485/mm以上に規制すべきである。
尚、β−OHの値は、ガラスの赤外線吸収スペクトルにおいて次式によって求められる。
β−OH(/mm)=(1/X)log10(T1/T2
X:スペクトル測定時のガラス基板の板厚(mm)
1:参照波長3850cm-1付近における透過率(%)
2:水酸基吸収波長3500cm-1付近における最小透過率(%)
但し、β−OHが多くなりすぎると、ガラスの歪点が低下するため好ましくない。よってβ−OHは、1.0/mm以下、より好ましくは0.8/mm以下に規制すべきである。
ガラス中のβ−OHの量は、使用する原料や溶融方法によって調整することが可能である。例えば、β−OHを多くするためには、水酸化物原料を使用したり、原料中に水を添加したり、OH基を含有するカレットを使用すれば良い。また溶融炉や清澄槽、フィーダー、成形設備の雰囲気中から水を溶存させれば良い。
本発明のガラス基板は、耐薬品性、高歪点、低密度、高比ヤング率、溶融性、耐失透性に優れ、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が29〜39×10-7/℃となるように各構成成分を選択したものであり、質量百分率で、SiO2 50〜80%、Al23 10〜25%、B23 5〜18%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜5%、TiO2 0〜5%の基本組成を含有し、SiO2+Al23+B23が80%以上であることが好ましい。
SiO2は、ガラス成形酸化物であるが、50%より少ないと、耐薬品性、特に耐酸性が悪くなる傾向にある。また80%より多いと、高温粘度が大きくなり、溶融性が悪くなる傾向にあると共に、クリストバライトの失透が出やすくなる。SiO2のより好ましい範囲は、55〜70%、さらに好ましい範囲は、57〜65%である。
Al23も、ガラス形成酸化物であり、耐熱性、耐失透性を高める成分であるが、10%より少ないと、失透温度が上昇し、ガラス中にクリストバライトの失透異物が出やすくなると共に歪点が低下する傾向にある。また25%より多いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラス表面に白濁を生じやすくなると共に、ガラス中にアノーサイト等のSiO2−Al23−RO(アルカリ土類金属酸化物)系結晶やムライト等の失透が出やすくなる。Al23のより好ましい範囲は、13〜20%、さらに好ましくは14〜18%である。
23も、ガラス形成酸化物であり、また融剤として働き、ガラスの粘性を低下させ、溶融性を改善する成分であるが、5%より少ないと、融剤としての働きが十分に得られず、18%より多いと、ガラスの歪点が低下し、耐熱性が悪くなる傾向にある。B23のより好ましい範囲は、7〜15%、さらに好ましい範囲は、8〜13%である。
MgOは、歪点を下げずに高温粘度を下げ、ガラスの溶融性を改善する成分である。またアルカリ土類金属酸化物中では最も密度の上昇が少ない成分である。しかしながらMgOが多くなるほど、体積抵抗率が上昇すると共に、失透温度が高くなる傾向にある。またMgOは、バッファードフッ酸と反応して生成物を形成し、この生成物がガラス基板の素子上に固着したり、ガラス基板上に固着して白濁させる虞れがある。よって、MgOは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下に規制すべきである。特に、体積抵抗率を考慮すると、1%未満、さらには0.5%未満に規制すべきである。
CaOも、MgOと同様、歪点を下げずに高温粘性を下げ、ガラスの溶融性を著しく改善する成分である。しかしながらCaOが多くなるほど、体積抵抗率が上昇する傾向にある。またガラスの耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラス基板表面が侵食されやすくなると共に、反応生成物がガラス基板表面に付着し、ガラスを白濁しやすくなる。よってCaOは、好ましくは0〜10%、より好ましくは3〜10%に規制すべきである。
SrOとBaOは、ガラスの耐薬品性を向上させると共に、失透性を改善する成分である。しかしながら、この2成分が多くなるほど、体積抵抗率が上昇すると共に密度が著しく上昇しやすいため好ましくない。またアルカリ金属酸化物の総量に対するSrOとBaOの合量が多くなる程、ガラスの溶融性が悪化する傾向にある。よってSrOとBaOは、各々0〜10%、より好ましくは0〜7%に規制すべきである。
またアルカリ土類アルミノシリケート無アルカリガラスの場合、体積抵抗率を下げるためには、ガラス形成酸化物であるSiO2、Al23、B23を多く含有させ、アルカリ土類金属酸化物であるMgO、CaO、SrO、BaOを少なくすることが望ましい。具体的には、SiO2、Al23、B23を合量で80%以上含有させることが好ましく、さらには85%以上含有させることがより好ましい。またMgO、CaO、SrO、BaOを合量で5〜15%に規制することが好ましい。またMgO、CaO、SrO、BaOは、混合して用いることにより、ガラスの液相温度を著しく低げ、ガラス中に結晶異物が生じるのを抑えることができ、ガラスの溶融性、成形性が改善しやすくなる。よってMgO、CaO、SrO、BaOは、2種類以上、さらには3種類以上を混合して使用することが好ましい。
ZnOは、ガラス基板のヤング率を高める働きを有する成分である。また耐バッファードフッ酸性を改善すると共に溶融性を改善する成分でもある。しかしながらZnOが、5%より多いと、ガラスが失透しやすくなる。また歪点が低下するため、耐熱性が悪化する傾向にある。ZnOのより好ましい範囲は、0〜2%、さらに好ましい範囲は、0〜1%である。
TiO2は、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善すると共に、高温粘性を下げて溶融性を向上する成分であるが、5%より多いと、ガラスに着色を生じ、透過率が低下しやすくなるため好ましくない。TiO2は、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下に規制すべきである。
また、本発明のガラス基板は、上記成分以外にも、ガラス特性が損なわれない限り、ZrO2、P25、La23、Y23、Nb25等を5%まで含有させることができる。ZrO2は、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善する成分であるが、5%より多くなると、失透温度が上昇し、ジルコンの失透異物が出やすくなるため好ましくない。よって好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下に規制すべきである。
またP25は、ガラスの耐失透性を向上する効果があり、La23、Y23、Nb25は、歪点やヤング率を高める効果がある。
さらに本発明のガラス基板は、As23、Sb23、F2、Cl2、SO3、C、CeO2、SnO2、Fe23、或いはAl、Si等の金属粉末を清澄剤として5%まで含有させることができる。
本発明のガラス基板は、その熱膨張係数が低くなる程、帯電しにくい傾向にあるため、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が29〜34×10-7/℃となるようにすることが好ましい。またガラス基板は、その面積が大きくなる程、剥離帯電が発生しやすい。よって本発明は、縦横の長さが1500mm以上、さらには1800mm以上のガラス基板に有効である。
また本発明においては、ガラス基板の両面又は裏面(保持台に接触する面)に対し、研磨やエッチングを施すことによって微小な凹凸を形成させると、ガラス基板と保持台との接触面積が少なくなり、剥離帯電電圧を低くすることができるため好ましい。特に保持台と接触する側の面の凹凸の大きさは、表面粗さ(Ra)で10〜100Åが好ましく、20〜80Åがより好ましい。
次に本発明のガラス基板を製造する方法を述べる。
まず所望の組成を有するガラスとなるようにガラス原料調合物を準備する。次いで調合したガラス原料を溶融する。その後、溶融ガラスを所望の形状に成形し、ガラス基板を得る。例えばディスプレイ用途のガラス基板を成形する場合には、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、フロート法、ロールアウト法等の方法を用いて薄板状に成形すれば良い。
一般にオーバーフローダウンドロー法によって成形したガラス基板は、他の成形法によって成形したガラス基板に比べて、平坦性に優れ、しかも両面に研磨を施さないため、剥離帯電が起こりやすい。よって本発明は、オーバーフローダウンドロー法で成形され、反りが0.075%以下、うねり(WCA)が0.15μm以下(カットオフλc:9μm)のガラス基板に有効である。
以下、実施例に基づいて本発明のガラス基板を説明する。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜5)及び比較例(試料No.6)を示すものである。
Figure 0004378769
表中の各試料は、次のようにして作製した。
まず表の組成となるようにガラス原料を調合し、混合した。その後、ガラス原料調合物を白金ルツボに入れ、電気炉中で1600℃、24時間の条件で溶融し、その溶融ガラスをカーボン板上に流し出した。こうして得られたガラスを、再度白金ルツボに入れ、電気炉中で、水蒸気雰囲気下において、1600℃、2〜8時間の条件で再溶融を行うことにより、ガラス中のβ−OH量を調整した。この溶融時間が長いほど、β−OHが増加することになる。その後、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して板状に成形した。
こうして得られたガラス試料について、350℃における体積抵抗率を測定したところ、実施例である試料No.1〜5のガラスは、いずれも1011.3Ω・cm以下であり、特に試料No.No.1〜4のガラスは、1011.0Ω・cm以下であった。それに対し、比較例である試料No.6のガラスの体積抵抗率は、1012.1Ω・cmであった。この結果から、実施例のガラスは、比較例のガラスに比べて、帯電し難いことが明らかである。
また実施例ガラスは、密度が2.50g/cm3以下、比ヤング率が28.5Pa/g・cm-3以上、熱膨張係数が32〜37×10-7/℃、歪点が651℃以上、102.5dPa・sの粘度に相当する温度が1600℃以下、液相温度が1100℃以下、液相粘度が800000ポアズ以上であり、また耐HCl性と耐BHF性にも優れていた。
尚、表中のβ−OHは、ガラス試料の両面を光学研磨して厚さ0.7mmとした後、FT−IRを用いて測定し、下記の式によって求めた。
β−OH(/mm)=(1/X)log10(T1/T2
X:スペクトル測定時のガラス基板の板厚(mm)
1:参照波長3850cm-1付近における透過率(%)
2:水酸基吸収波長3500cm-1付近における最小透過率(%)
また体積抵抗率は、ASTM C657−78に準拠した方法で測定した。ガラス試料としては、50mm×50mmの大きさを有し、両面を光学研磨して厚さ0.7mmにしたものを使用した。このガラス試料の両面に、蒸着法で金属Al膜を形成し電極(厚み約2000nm)とした。主電極は直径29mmの円形、ガード電極は外径44mm、内径31mmの環状、ボトム電極は直径44mmの円形とした。次いでガラス試料を350℃に保持し、その体積抵抗率を測定した。
また密度は周知のアルキメデス法で求めた。比ヤング率は、ヤング率を共振法で測定し、密度とヤング率の値から計算で求めた。歪点はASTM C336−71に基づいて測定した。熱膨張係数は、ディラトメーターで30〜380℃における平均熱膨張係数を測定した。102.5Pa・s温度は、高温粘度である102.5ポイズに相当する温度を測定したものであり、この値が低いほど溶融性に優れていることになる。
また液相温度は、各ガラス試料を300〜500μmの粒径に破砕し、これを白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持してから、顕微鏡観察により、ガラス試料内部に失透(結晶異物)の見られた最高温度を測定したものである。また液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を示す。液相温度が低く、液相粘度が高いほど、耐失透性に優れ、成形性に優れていることになる。特にオーバーフローダウンドロー法によって表面品位に優れたガラス基板を成形するには、液相温度を1150℃以下(好ましくは1100℃以下)、液相粘度を200000ポアズ以上(好ましくは400000ポアズ以上、より好ましくは800000ポアズ以上)にすべきである。
また耐HCl性と耐BHF性は、以下の方法で評価した。まず各ガラス試料の両面を光学研磨した後、その一部をマスキングし、これを所定の濃度に調合した薬液中に、定めた温度、時間で浸漬することによって薬液処理した。薬液処理後、マスクを外し、マスク部分とそれ以外の部分(侵食部分)との段差を表面粗さ計で測定し、その値を侵食量とした。耐HCl性は、10質量%塩酸水溶液を用いて、80℃、3時間の処理条件で行った。また耐BHF性は、130BHF溶液(NH4HF2:4.6質量%、NH4F:36質量%)を用いて、20℃、30分間の処理条件で行った。
本発明のガラス基板は、液晶ディスプレイ用として好適であり、これ以外にも、エレクトロルミネセンスディスプレイを始めとする各種平面ディスプレイのガラス基板、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)、CMOSイメージセンサ等の各種イメージセンサや太陽電池のカバーガラス、及びハードディスクやフィルターのガラス基板等として適用することが可能である。

Claims (7)

  1. 質量百分率で、SiO 50〜80%、Al 10〜25%、B 5〜18%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜5%、TiO 0〜5%を含有し、SiO +Al +B が80%以上であり、Li Oが5〜200ppm、アルカリ金属酸化物の総量が700ppm以下であり、且つ、体積抵抗率が、350℃において1011.3Ω・cm以下であることを特徴とするガラス基板。
  2. 体積抵抗率が、350℃において1011.0Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1記載のガラス基板。
  3. LiOを10〜200ppm含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板。
  4. β−OHが0.2/mm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス基板。
  5. MgO+CaO+SrO+BaOが5〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス基板。
  6. オーバーフローダウンドロー法によって成形されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス基板。
  7. 液晶ディスプレイに使用されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス基板。
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