JP4377161B2 - インチングバルブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばフォークリフトのクラッチ等をインチング制御、すなわち微動制御して半クラッチ状態とするインチングバルブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インチングバルブ装置は、例えばトルクコンバータを備えるフォークリフトにおいて、クラッチへの圧油の供給量(圧)を細かく制御し、クラッチを所定時間いわゆる半クラッチ状態に保持することにより、フォークリフトによる作業性を向上させたり、停止や発進を円滑としたりする際に用いられる。
このような従来のインチングバルブ装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−12516号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されているインチングバルブ装置は、バルブ本体内に、流体圧により作動させられるピストンと一体をなす弁駆動軸を、軸方向に移動可能に収容し、この弁駆動軸に、外周面に小径部を有するスプール弁体を、常時入口ポートを開口する開弁方向に付勢して摺動自在に嵌合し、このスプール弁体の先端部に、入口ポートの油圧が作用するインチングピストン、すなわち大径部を一体的に連設しているため、インチング(半クラッチ)状態において、スプール弁体が左右方向に微動運動を繰り返すと、入口ポートが直接スプール弁体により頻繁に開閉され、かつ閉じた際には、一時的にクラッチへの圧油の供給が完全に停止する。
【0005】
そのため、出口ポートからクラッチに供給される圧油の圧力変動が比較的大きくなり、半クラッチ状態にあるクラッチが小刻みに振動することがある。
【0006】
また、上記従来のインチングバルブ装置では、スプール弁体の先端部に大径部を有しているので、バルブ本体の中心部に、スプール弁体の外周面を摺動可能に案内するための大小2段のガイド孔を加工する必要があり、それらの孔の加工が面倒で、コスト高となる。
【0007】
さらに、従来のインチングバルブ装置は、インチング状態において、入口ポートより流入した圧油が、スプール弁体の外周面の小径部と大径部を介して、直接ドレンポートより流出するようになっているため、その排出油量が比較的多い。そのため、インチングバルブ装置より上流側のトルクコンバータの油圧回路の油量が減少し、オイルクーラ等に流入する油量が減少するなどして、油の冷却効果が小さくなる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、インチングピストン及びそれに作用する流体圧の流路を別途設けることにより、インチング状態において、クラッチ等に供給される流体の圧力変動を小さくしうるとともに、バルブ本体のガイド孔の加工も容易とし、さらに、インチング時の流体のドレン量を減少させうるようにした、インチングバルブ装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)バルブ本体に設けたガイド孔内に、弁駆動手段に連係したスプール弁を、軸方向に摺動可能かつ付勢手段により前記弁駆動手段による駆動方向と反対方向に付勢して収容し、前記弁駆動手段を作動させて前記スプール弁を移動させることにより、前記バルブ本体に設けられた入口ポートを開閉し、該入口ポートから出口ポートに至る流体の流量を制御するようにしたインチングバルブ装置において、前記スプール弁に、前記弁駆動手段の非作動時に開口し、前記入口ポートと出口ポートとに連通する大流量流路と、弁駆動手段の作動によりスプール弁が移動したとき開口し、前記入口ポートから少量の流体を出口ポートに供給する小流量流路とを設けるとともに、前記スプール弁における弁駆動手段と反対側の側端面に突設した小径軸に、前記バルブ本体に設けたドレンポートを開閉するインチングピストンを、前記スプール弁が小流量流路を閉じる位置まで移動したとき、該スプール弁と共に前記ドレンポートを開口する位置まで移動しうるように、摺動可能かつ前記付勢手段より小さい付勢力の復帰ばねにより前記ドレンポートを閉じる方向に付勢して嵌合し、該インチングピストンにおける復帰ばねと反対側の端面に作用する前記小流量流路の流体圧による付勢力と、前記復帰ばねの付勢力とがバランスするように、前記インチングピストンを微動運動させ、前記ドレンポートを開閉して流体の流出量を制御するようにする。
【0010】
(2)上記(1)項において、スプール弁とインチングピストンとの外径を、等径とする。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、大流量流路を、スプール弁の外周面に形成した環状溝とする。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、小流量流路を、スプール弁の外周面に開口するオリフィス状の小径流路と、該小径流路と連通するように、スプール弁の中心部に軸方向に沿って設けた大径流路とからなるものとし、前記スプール弁の中間部と小径軸の突設部近傍とに、それぞれ出口ポートとドレンポートとに連通する通孔を、前記大径流路と連通するように設ける。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、例えばトルクコンバータ付きフォークリフトのクラッチ(いずれも図示略)の制御に用いられる本発明のインチングバルブ装置(1)と、その右端に取付けられた、弁駆動手段としてのエアシリンダ装置(2)との中央縦断正面図を示し、エアシリンダ装置(2)は、フォークリフトに設けられているインチングペダル(図示略)の操作時に圧縮空気が送り込まれて作動するようになっている。
【0014】
インチングバルブ装置(1)におけるバルブ本体(3)は、横長円筒状をなし、その中心部には、左端が閉塞されるとともに、右端が開口されたストレート状のガイド孔(4)が形成されている。
【0015】
エアシリンダ装置(2)における右端が閉塞されたシリンダ(5)の左端は、バルブ本体(3)の右端に、それと連通するようにして、同心状に一体的に固定されている。
【0016】
シリンダ(5)内には、エアピストン(6)が軸方向に摺動可能に嵌合され、このエアピストン(6)は、シリンダ(5)の右側面に穿設されたエアポート(7)より流入する圧縮空気、すなわちフォークリフトのインチングペダルを踏み込んだ際、エアタンク又はエアポンプ等の圧縮空気源より供給される圧縮空気により、右限から左方に移動させられるようになっている。
【0017】
バルブ本体(3)の周壁の右端部には、トルクコンバータの油圧回路に接続された、圧油の入口ポート(8)が、またその左方の周壁には、軸方向に所要寸法離間する主出口ポート(9a)と副出口ポート(9b)が、それぞれガイド孔(4)と連通するように穿設されている。
【0018】
主出口ポート(9a)と副出口ポート(9b)とは、連通路(10)を介して接続され、それらより排出される圧油は、1個の出口ポート(11)よりクラッチに供給されるようになっている。
【0019】
バルブ本体(3)の中央よりやや左方、すなわち出口ポート(11)よりも左方の周壁には、油圧回路の低圧側に接続されたドレンポート(12)が、ガイド孔(4)と連通状に穿設されている。
【0020】
バルブ本体(3)のガイド孔(4)内には、左端に小径軸(13)が突設されたスプール弁(14)が、その右端を、ピストンロッド(15)を介してエアピストン(6)の左端に連結することにより、エアピストン(6)と一体をなして軸方向に移動しうるように、摺動自在に嵌合されている。
【0021】
スプール弁(14)の右端部から小径軸(13)の連設部に至る中心部には、円筒状の大径流路(16)が形成されている。
【0022】
スプール弁(14)の右端部には、大径流路(16)と流通するオリフィス状の小径流路(17)が、半径方向を向いて穿設されている。なお、上記大径流路(16)と小径流路(7)とにより、小流量流路を構成している。
小径流路(17)と近接するスプール弁(14)の外周面には、環状溝よりなる大流量流路(18)が形成されている。
【0023】
エアピストン(6)が非作動状態(図1の状態)にあるとき、上記小径流路(17)の開口端は、入口ポート(8)の右方においてガイド孔(4)の内周面により閉塞され、かつ大流量流路(18)は、入口ポート(8)と主出口ポート(9a)とに連通し、入口ポート(8)より流入した大量の圧油が、出口ポート(11)よりクラッチに供給され、これを常時オン(接続)するようになっている。
【0024】
スプール弁(14)の中間部には、軸線と直交する複数の通孔、すなわち油孔(19)が、大径流路(16)と連通状に穿設され、各油孔(19)は、エアピストン(6)の非作動時には閉じられ、それが作動したときのみ、副出口ポート(9b)と連通して、小径流路(17)および大径流路(16)に流入した圧油が、出口ポート(11)より流出するようになっている。
【0025】
スプール弁(14)の左端部における副出口ポート(9b)とドレンポート(12)との間には、軸線と直交する複数の通孔、すなわち上記油孔(19)よりも小径の油孔(20)が、大径流路(16)と連通状に穿設され、各油孔(20)は、エアピストン(6)が非作動状態のとき閉じられ、それが最大限左方に移動したときに、ドレンポート(12)と連通するようになっている。
【0026】
スプール弁(14)の左端部の小径軸(13)には、外径がスプール弁(14)の外径と等径をなすインチングピストン(21)が、軸方向に摺動自在に嵌合され、その外周面はガイド孔(4)の内面に摺接している。
【0027】
(22)は、ガイド孔(4)の内径よりも若干小径の円板状のストッパ板で、インチングピストン(21)を小径軸(13)に嵌合したのち、その左端面にボルト(23)により固定されている。
【0028】
インチングピストン(21)の左半部に形成された有底孔(24)の奥端部とストッパ板(22)との間には、圧縮コイルばねよりなる復帰ばね(25)が縮設され、これにより、インチングピストン(21)は右方に付勢され、その右端が、スプール弁(14)と小径軸(13)との連設部に形成された拡径段部(26)と当接し、ドレンポート(12)より大径流路(16)の圧油が流出するのを阻止している。
【0029】
図5に示すように、インチングピストン(21)の右端の外周縁には、底面がほぼ45°の傾斜面をなす複数(4個)の油溝(27)が、円周方向に等間隔おきに形成されている。
【0030】
バルブ本体(3)のガイド孔(4)の左端面とストッパ板(22)との間には、スプール弁(14)とエアピストン(6)を常時右方に付勢するための、上記復帰ばね(25)よりもばね定数の大きい付勢手段、すなわち圧縮コイルばねよりなる復帰ばね(28)が縮設されている。
【0031】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
図1は、フォークリフトの通常走行時を示し、この状態では、インチングペダルの作動はないので、エアピストン(6)及びスプール弁(14)は、復帰ばね(28)により右限に位置している。
【0032】
トルクコンバータの油圧回路より入口ポート(8)に流入した一定圧力の圧油は、スプール弁(14)の外周面の大流量流路(18)及び主出口ポート(9a)を経て、出口ポート(11)からクラッチに供給される。これにより、クラッチはオンとなり、トルクコンバータの動力がトランスミッションを介して車輪に伝達されて、フォークリフトの通常走行が可能となる。
【0033】
図2〜図4は、インチングペダルを踏み込んでエアシリンダ装置(2)を作動させたときのエアピストン(6)の移動量を段階的に示している。
【0034】
図1の状態において、インチングペダルを踏み込むと、エアシリンダ装置(2)のシリンダ(5)内に圧縮空気が供給されることにより、図2に示すように、エアピストン(6)が復帰ばね(28)に抗して左方に移動し始める。
すると、それまで閉じられていた小流量流路の一部をなす小径流路(17)が開口し始めると同時に、大流量流路(18)が徐々に閉じ、小径流路(17)に流入した圧油が、大径流路(16)を通って油孔(20)より流出することにより、インチングピストン(21)は、復帰ばね(25)に抗して、左方に押動され、圧油の一部は、インチングピストン(21)の油溝(27)よりドレンポート(12)に少量ずつ流れ出す。
【0035】
また、それまで閉じられていた油孔(19)が、副出口ポート(9b)と連通し始めることにより、大径流路(16)の圧油は副出口ポート(9b)より流出するようになる。
【0036】
従って、図2に示すエアピストン(6)の作動初期状態では、入口ポート(8)から出口ポート(11)に供給される油量が絞られることにより、クラッチに作用する油圧が徐々に低下し、クラッチは半クラッチ状態となり始める。
【0037】
図3に示すように、エアピストン(6)がさらに左方に移動し、小径流路(17)が全開すると同時に、大流量流路(18)が全閉されると、主出口ポート(9a)が閉じる代わりに、副出口ポート(9b)が徐々に大きく開き、小径流路(17)より流入した圧油は、大径流路(16)、副出口ポート(9b)及び出口ポート(11)を経て、クラッチに供給されるとともに、油圧はインチングピストン(21)にも引き続き作用しているので、該インチングピストン(21)は、図2とほぼ同位置に保持される。
【0038】
その結果、クラッチに供給される油量が減少し、油圧も低下することにより、クラッチは完全に半クラッチ状態となり、動力の伝達力が小となる結果、フォークリフトの走行速度が低下する。
【0039】
図3に示す状態において、出口ポート(11)(クラッチ)側の油圧、すなわちクラッチを半クラッチ状態とする油圧が、復帰ばね(25)によるインチングピストン(21)を右方(閉弁方向)へ押す押圧力より大となり、クラッチが再度接続されようとすると、インチングピストン(21)が左方(開弁方向)に押圧されてドレンポート(12)が開かれ、大径流路(16)内の圧油の一部が排出される。
これにより、出口ポート(11)側の油圧が若干停止し、再び半クラッチ状態となる。
【0040】
この状態において復帰ばね(25)の付勢力が、出口ポート(11)側の油圧に打ち勝つと、インチングピストン(21)は、再度右方に押圧され、ドレンポート(12)を閉じる。
【0041】
このようにして、インチングピストン(21)は、その復帰ばね(25)による閉弁方向の付勢力と、出口ポート(11)側の油圧、すなわちインチングピストン(21)の右端面に作用する油圧の付勢力とバランスするように、左右方向に往復微動し、ドレンポート(12)より流出する油量を制御することにより、クラッチを半クラッチ状態に維持する。
【0042】
なお、この半クラッチ状態において、入口ポート(8)より大径流路(16)内に流入する圧油は、オリフィス状の小径流路(17)により制限されているため、ドレンポート(12)が開かれても、それより流出する油量が大となることはなく、従って、インチングバルブ装置より上流側の油圧回路の流量が減少するのが防止される。
【0043】
図4に示すように、エアピストン(6)が左限まで最大ストローク移動すると、小径流路(17)が閉じられることにより、入口ポート(8)よりの圧油の供給が遮断され、かつ副出口ポート(9b)と油孔(19)とが大きく連通する。また同時に、インチングピストン(21)が拡径段部(26)と当接して、強制的に左方(開弁方向)に移動させられることにより、ドレンポート(12)は大きく開口する。
【0044】
これにより、それまでクラッチに供給されていた圧油が、矢印のようにドレンポート(12)より排出されることにより、出口ポート(11)側の圧力が急速に低下し、最終的に0となる。
その結果、クラッチはオフとなり、動力の伝達が断たれることにより、フォークリフトを停止することができる。
【0045】
図4の状態において、インチングペダルから足を離し、エアシリンダ装置(2)への圧縮空気の供給を停止すると、復帰ばね(28)の付勢力により、スプール弁(14)、インチングピストン(21)及びエアピストン(6)は、上記の逆の態様で作動し、図3から図2の状態に至るまで、半クラッチ状態となり、動力の伝達が緩やかに行われる。
【0046】
図2から図1の状態に戻ると、スプール弁(14)の大流量流路(18)が、入口ポート(8)と出口ポート(11)とに連通し、クラッチに供給される圧油の量が増大して油圧が急速に上昇することにより、クラッチは接続状態となり、再度動力の伝達が行われる。
【0047】
以上説明したように、上記実施形態のインチングバルブ装置においては、インチングピストン(21)を、スプール弁(14)と別体に設けるとともに、それを押圧する圧油の経路、すなわち大径流路(16)と小径流路(17)とからなる小流量流路を、通常時において入口ポート(8)と出口ポート(11)とを連通させる大流量流路(18)と別体に設け、インチング(半クラッチ)状態のときの圧油が、大流量流路(18)を介さずに、小流量流路より常に出口ポート(11)に供給されるようにしているため、インチングピストン(21)が微動運動を繰り返しても、従来のように、クラッチに供給される圧油に大きな圧力変動が生じる恐れはない。
【0048】
従って、半クラッチ状態にあるクラッチが小刻みに振動するのが防止される。
また、インチング状態において、インチングピストン(21)側に供給される圧油は、オリフィス状の小径流路(17)により絞られて供給されるため、ドレンポート(12)より流出する油量も比較的少なくなり、インチングバルブ装置(1)より上流側のトルクコンバータの油圧回路の油量が減少するなどして、オイルクーラーによる冷却効果が損なわれる恐れもなくなる。
【0049】
さらに、スプール弁(14)とインチングピストン(21)は等径であるため、バルブ本体(3)のガイド孔(4)は、ストレート状でよく、従来のような段孔加工を施す必要がないので、製造コストが低減する。
【0050】
図2から図4に至る過程とその逆の過程において、インチング(半クラッチ)状態が比較的長く維持されるので、インチングペダルを操作した際の動力の断続が緩やかに、かつ円滑に行われ、フォークリフトによる作業性が向上する。
【0051】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インチング状態のときには、大流量流路とは別に設けた小流量流路を介して、クラッチ等に流体が常に供給され、かつスプール弁と別体をなすインチングピストンのみが微動運動して、インチング状態を維持するため、従来のように、クラッチ等に供給される流体に大きな圧力変動が生じることはなく、半クラッチ状態にあるクラッチが小刻みに振動するのが防止される。
【0052】
また、インチング状態において、小流量流路に流入する流体の流量が絞られるので、インチングピストンが移動してドレンポートが開かれた際の流体の流出量を少なくすることができ、従ってインチングバルブ装置よりも上流側の油圧回路等の油量が減るなどして、支障を来す恐れはない。
【0053】
請求項2記載の発明によれば、バルブ本体のガイド孔をストレート状としうるので、その孔加工が容易となり、製造コストが低減される。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、大流量流路を容易に加工しうるとともに、軸方向の溝幅や深さを変更するだけで、流体の流通断面積を簡単に設定することができる。
【0055】
請求項4記載の発明によれば、インチング状態において、小流量流路に流入する流体の流量がより一層絞られるので、インチングピストンが移動してドレンポートが開かれた際の流体の排出量をさらに少なくすることができる。
また、小流量流路の一部をなす大径流路を、スプール弁の中心部に、軸方向に沿って設けているため、この大径流路に、出口ポートとドレンポートとに連通する通孔を、容易に、かつ最短経路で連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のエアシリンダ装置非作動時における中央縦断正面図である。
【図2】同じく、エアシリンダ装置作動時におけるインチング状態初期の中央縦断正面図である。
【図3】同じく、インチング状態時の中央縦断正面図である。
【図4】同じく、圧油の供給の停止によるインチング状態解除時の中央縦断正面図である。
【図5】同じく、インチングピストンの斜視図である。
【符号の説明】
(1)インチングバルブ装置
(2)エアシリンダ装置(弁駆動手段)
(3)バルブ本体
(4)ガイド孔
(5)シリンダ
(6)エアピストン
(7)エアポート
(8)入口ポート
(9a)主出口ポート
(9b)副出口ポート
(10)連通路
(11)出口ポート
(12)ドレンポート
(13)小径軸
(14)スプール弁
(15)ピストンロッド
(16)大径流路(小流量流路)
(17)小径流路(小流量流路)
(18)大流量流路
(19)(20)油孔(通孔)
(21)インチングピストン
(22)ストッパ板
(23)ボルト
(24)有底孔
(25)復帰ばね
(26)拡径段部
(27)油溝
(28)復帰ばね(付勢手段)
Claims (4)
- バルブ本体に設けたガイド孔内に、弁駆動手段に連係したスプール弁を、軸方向に摺動可能かつ付勢手段により前記弁駆動手段による駆動方向と反対方向に付勢して収容し、前記弁駆動手段を作動させて前記スプール弁を移動させることにより、前記バルブ本体に設けられた入口ポートを開閉し、該入口ポートから出口ポートに至る流体の流量を制御するようにしたインチングバルブ装置において、
前記スプール弁に、前記弁駆動手段の非作動時に開口し、前記入口ポートと出口ポートとに連通する大流量流路と、弁駆動手段の作動によりスプール弁が移動したとき開口し、前記入口ポートから少量の流体を出口ポートに供給する小流量流路とを設けるとともに、前記スプール弁における弁駆動手段と反対側の側端面に突設した小径軸に、前記バルブ本体に設けたドレンポートを開閉するインチングピストンを、前記スプール弁が小流量流路を閉じる位置まで移動したとき、該スプール弁と共に前記ドレンポートを開口する位置まで移動しうるように、摺動可能かつ前記付勢手段より小さい付勢力の復帰ばねにより前記ドレンポートを閉じる方向に付勢して嵌合し、該インチングピストンにおける復帰ばねと反対側の端面に作用する前記小流量流路の流体圧による付勢力と、前記復帰ばねの付勢力とがバランスするように、前記インチングピストンを微動運動させ、前記ドレンポートを開閉して流体の流出量を制御するようにしたことを特徴とするインチングバルブ装置。 - スプール弁とインチングピストンとの外径を、等径としてなる請求項1記載のインチングバルブ装置。
- 大流量流路を、スプール弁の外周面に形成した環状溝としてなる請求項1または2記載のインチングバルブ装置。
- 小流量流路を、スプール弁の外周面に開口するオリフィス状の小径流路と、該小径流路と連通するように、スプール弁の中心部に軸方向に沿って設けた大径流路とからなるものとし、前記スプール弁の中間部と小径軸の突設部近傍とに、それぞれ出口ポートとドレンポートとに連通する通孔を、前記大径流路と連通するように設けた請求項1〜3のいずれかに記載のインチングバルブ装置。
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