JP4377051B2 - エタンを接触酸化する酢酸の選択的製造方法 - Google Patents

エタンを接触酸化する酢酸の選択的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はエタンおよび/またはエチレンをパラジウム含有触媒の存在下に接触的に気相酸化することによって酢酸を選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
気相において>500℃の温度でのエタンからエチレンへの酸化的脱水素は例えば米国特許第4,250,346号明細書、米国特許第4,524,236号明細書および米国特許第4,568,790号明細書から公知である。
【0003】
例えば米国特許第4,250,346号明細書には、元素のモリブデン、XおよびYをa:b:cの比で含有する触媒組成物をエタンからエチレンへの転化反応のために使用することが開示されている。この場合、XはCr、Mn、Nb、Ta、Ti、Vおよび/またはWであり、そしてYはBi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Tlおよび/またはUであり、aは1であり、bは0.05〜1でありそしてcは0〜2である。この場合、Co、Niおよび/またはFeについてのcの合計の値は0.5よりも小さくなければならない。
【0004】
この反応は好ましくは添加された水の存在下に行う。ここに開示された触媒も同様にエタンを酢酸に酸化するのに使用することができ、その際エタンの転化率7.5%での酢酸への転化効率は約18%である。
【0005】
上述の各特許文献は主としてエチレンの製造に関するものであり、本発明で意図する酢酸の製造にあまり関係ない。
【0006】
これに対して、ヨーロッパ特許出願公開(B)第294,845号明細書にはエタン、エチレンまたはそれらの混合物および酸素から酢酸を
A)式
Mox y または Mox y z
[式中、ZはLi、Na、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、
Sc、Y、La、Ce、Al、Tl、Ti、Zr、Hf、Pb、Nb、Ta、
As、Sb、Bi、Cr、W、U、Te、Fe、CoおよびNiの群の内の1
種類以上の金属でもよく、xは0.5〜0.9であり、yは0.1〜0.4で
ありそしてzは0.001〜1であり。]
で表される少なくとも1種類のか焼触媒および
B)エチレン水和触媒および/またはエチレン酸化触媒
を含有する触媒混合物の存在下に選択的に製造する方法が開示されている。2番目の触媒成分Bは特にモレキュラシーブ触媒またはパラジウム含有酸化触媒が適する。
【0007】
上記の触媒混合物を使用しそしてエタン、酸素、窒素および水蒸気より成るガス混合物を触媒含有反応器に通す場合、最大選択率は7%のエタン転化率では27%である。ヨーロッパ特許第294,845号明細書によるとエタンのこの高い転化率は上記の触媒混合物でのみ達成されるが、成分AおよびBを単独で含有する触媒では達成されない。
ヨーロッパ特許出願公開(A)第620、205号明細書から酢酸の製造方法が公知である。
【0008】
ヨーロッパ特許(B)第407,091号明細書にエチレンおよび/または酢酸よりなる混合物の別の製造方法が開示されている。この場合にはエタンおよび/またはエチレンおよび分子状酸素を含有するガスを高められた温度で、A、XおよびY元素を含有する触媒組成物と接触させる。ただしこの場合、AはMod Ree f であり 、XはCr、Mn、Nb、Ta、Ti、Vおよび/またはWであり、そしてYはBi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Tlおよび/またはUである。エタンから酢酸への酸化で上記の触媒を使用する場合に達成できた最高の選択率は78%である。他の副生成物として二酸化炭素、一酸化炭素およびエチレンが生じる。
【0009】
未公開のドイツ特許出願P19630832.1には、エタン、エチレンまたはそれらの混合物と酸素とより成るガス状供給物から高められた温度のもとで酢酸を選択的に製造する方法が開示されている。この場合、供給物はMo、Pd、XおよびY元素を酸素と一緒に含有する触媒組成物と接触させられる。
【0010】
この場合、XはCr、Mn、Nb、Ta、Ti、V、TeおよびWより成る群から選択される1種類以上の元素でありそしてYはB、Al、Ga、In、Pt、Zn、Cd、Bi、Ce、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Au、Fe、Ru、Os、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Hf、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、TlおよびUより成る群から選択される1種類以上の元素である。この場合、相応する元素同志のグラム原子比は次の通りである:a(Mo)=1;b(Pd)>0;c(X)>0;およびd(Y)=0〜2である。
【0011】
上記のドイツ出願に記載された触媒は>60モル%の酢酸選択率のもとで149kg/時・m3 の最大空時得率を示す。反応器の大きさ並びに循環供給するガスの量を更に高い空時得率によって低減できるので、かゝる高い空時得率が望ましい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、エタンおよび/またはエチレンをできるだけ穏やかな反応条件のもとで簡単に、確実にかつ高い選択率および空時得率で酸化して酢酸を得る方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに本発明者は、モリブデンおよびパラジウム元素、およびクロム、マンガン、ニオブ、タンタル、チタン、バナジウム、テルルおよびタングステンより成る群の1種類以上の元素を含有する触媒を使用してエタンおよび/またはエチレンを比較的穏やかな条件で高い選択率および卓越した空時得率で簡単に酸化して酢酸を得ることが可能であることを見出した。
【0014】
従って本発明は、エタン、エチレンまたはそれらの混合物と酸素とより成るガス状供給原料から高められた温度で酢酸を選択的に製造する方法において、Mo、Pd、XおよびY元素を酸素と組み合わせてa:b:c:dのグラム原子比で含有する下記式
Moa Pdb c d (I)
[式中、記号XおよびYは以下の意味を有し:
XはTa、V、TeおよびWより成る、特にVおよびWより成る群から選択される1種類以上の元素であり;、
YはBi、Cu、Au、Ag、Li、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Nb、Zr、HfおよびSbより成る、特にNb、Ca、SbおよびLiより成る群から選択される1種類以上の元素であり、
指数a、b、c、およびdは相応する元素のグラム原子比であり、かつ
aは1であり、
bは0.0001〜0.01であり、
cは0.4〜1であり、そして
dは0.005〜1である。]
で表される触媒に前記ガス状供給原料を接触させることを特徴とする、上記方法に関する。
【0015】
XおよびYがそれぞれ複数の元素である場合には、指数cおよびdも同様に異なる値を採ることができる。
【0016】
更に本発明は、Mo、Pd、XおよびY元素を酸素と組合せてa:b:c:dのグラム原子比で含有する、酢酸を選択的に製造する触媒に関する。
【0017】
グラム原子比a:b:c:dは次の範囲内にあるのが好ましい:
a=1;
b=0.0001〜0.005;
c=0.5〜0.8;そして
d=0.01〜0.3
上述の上限を超える、触媒中のパラジウム含有量は二酸化炭素の生成を促進する。更に、多いパラジウム含有量は触媒を不必要に高価にするので避けなければならない。これに対して上記の下限より下のパラジウム含有量の場合にはエチレン生成に有利であることが観察される。
【0018】
本発明で使用される触媒はモリブデンおよびパラジウム元素の他にバナジウム、ニオブ、アンチモンおよびカルシウムを酸素と組合せて含有しているのが有利である。Mo:Pd:V:Nb:Sb:Ca原子のグラム原子比a:b:c1 :d1 :d2 :d3 は次の通りであるのが有利である:
a(Mo)=1;
b(Pb)=0.0001〜0.005,特に0.0001〜0.001;
1 (V)=0.4〜1.0;
1 (Nb)=0.01〜0.2;
2 (Sb)=0.01〜0.3;
3 (Ca)=0.01〜0.3
本発明の方法で特に有利に使用されるこの種の触媒組成物の例には以下のものがある:
Mo1.00Pd0.00050.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00050.45Nb0.03Sb0.01Ca0.010.015
Mo1.00Pd0.00075 0.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00075 0.55Nb0.03Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00075 0.45Nb0.06Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00080.55Nb0.06Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00085 0.55Nb0.06Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00075 0.55Nb0.09Sb0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00080.50Nb0.15Te0.01Ca0.01
Mo1.00Pd0.00075 0.50Nb0.090.01Pd0.0003
本発明に従って使用される触媒は慣用の方法で製造することができる。この目的のためには懸濁液から、特に各元素の出発成分をその相応する割合で含有する水溶液から出発する。
【0019】
本発明の触媒を製造するための個々の成分の原料は酸化物の他に水に溶解する物質、例えばアンモニウム塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、および加熱することによって相応する酸化物に転化できる有機酸塩がある。これらの成分を混合するために金属塩の水溶液または懸濁液を製造しそして混合する。
【0020】
モリブデンの場合には原料として市場で入手できるので、相応するモリブデン酸塩、例えばモリブデン酸アンモニウムを使用するのが有利である。
【0021】
パラジウム化合物としては例えば塩化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、硝酸テトラミンパラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)並びにアセチル酢酸パラジウム(II)が適している。
【0022】
次いで得られる反応混合物を5分〜5時間、50〜100℃で攪拌する。次いで水を分離しそして残る触媒を50〜150℃、特に80〜120℃の温度で乾燥させる。
【0023】
得られる触媒を次いでか焼工程に委ねる場合には、乾燥しそして粉末化した触媒を100℃〜800℃、好ましくは200〜500℃の範囲の温度で窒素、酸素または酸素含有ガスの存在下にか焼するのが有利である。か焼時間は2〜24時間である。
【0024】
触媒は適当な担体材料なしで使用してもまたは担体材料と混合してもまたは担体に適用してもよい。通例の担体材料、例えば多孔質の二酸化珪素、溶融二酸化珪素、珪藻土、シリカゲル、多孔質または非多孔質酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化トリウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化硼素、チッ化硼素、炭化硼素、燐酸硼素、燐酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、チッ化珪素または炭化珪素、またガラス繊維、炭素繊維、酸化金属網状物または金属網状物または相応するモノリス(monoliths) が適している。
【0025】
特に有利な担体材料は100m2 /gより小さい表面積を有する。特に有利な担体材料は比表面積の小さい二酸化珪素および酸化アルミニウムである。触媒は規則的にまたは不規則に成形された担体として成形した後にまたは粉末状態で不均一系酸化触媒として使用することができる。
【0026】
反応は流動床でまたは固定床反応器で実施することができる。流動床で使用するためには触媒を一般に10〜200μmの範囲の粒度に粉砕する。
【0027】
ガス状供給原料は純粋なガスとしてまたは1種類以上の他のガスとの混合状態で供給されるエタンおよび/またはエチレンを含有する。かゝる追加的なガスまたはキャリヤーガスとしては例えば窒素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、空気および/または水蒸気が適している。分子状酸素を含有するガスは空気または空気よりも分子状酸素の多いまたは少ないガス、例えば酸素でもよい。水蒸気の割合は0〜50容量%の範囲であることができる。更に多い水蒸気濃度では生ずる酢酸水の後処理に、方法技術的理由から不必要に多大な費用を掛ける必要が出る。エタン/エチレンと酸素との比は好ましくは1:1〜10:1、特に2:1〜8:1である。達成可能なエタン転化率および酢酸の収率が更に高くなるので、多い酸素含有量であるのが特に有利である。酸素または反応条件のもとでの爆発限界外の濃度範囲の分子状酸素含有ガスを添加するのが特に有利である。何故ならばそれによって本発明の方法の実施が簡単になるからである。しかしながら爆発限界内のエタン/エチレン:酸素−比に調整することも可能である。
【0028】
反応は一般に200〜500℃、好ましくは200〜400℃の温度で実施する。圧力は大気圧または過剰圧、例えば1〜50bar(1.02〜50.95kg/cm2 )、好ましくは1〜30bar(1.02〜30.57kg/cm2 )である。
【0029】
反応は固定床−または流動床反応器で実施することができる。エタンは酸素または分子状酸素含有ガスの供給前に最初に不活性ガス、例えば窒素または水蒸気と混合する。この混合ガスはガス混合物を触媒と接触させる前に予備加熱領域で反応温度に予備加熱する。反応器排ガスから酢酸を凝縮によって分離する。残りのガスは、酸素または分子状酸素含有ガス並びにエタンおよび/またはエチレンが計量供給される反応器の入口に戻す。
【0030】
本発明に従って調製した触媒を従来技術で公知の方法と比較した場合には、本発明の触媒では同じ反応条件(反応供給ガス、圧力、温度)でより高い空時得率および酢酸選択率が達成できることを見出した。
【0031】
本発明に従って調製した触媒を使用した場合には、エタンおよび/またはエチレンを酢酸に酸化する場合の選択率は≧70モル%、好ましくは≧80モル%、特に好ましくは≧90モル%でありそして空時得率は>150kg/時・m3 、好ましくは>200kg/時・m3 、特に好ましくは300kg/時・m3 であるので、本発明の方法では従来技術に比較して酢酸の収率が向上しており、同時に不所望の副生成物の生成を簡単に低減することができる。
【0032】
【実施例】
各実施例に記載した触媒組成は相対的な原子比で示してある。
【0033】
触媒の製造:
触媒(I):
次の組成を有する触媒を製造する:
Mo1.00Pd0.00075 0.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
溶液1:
100mLの水に40gのモリブデン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液2:
200mLの水に12.0gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:100mLの水に4.19gの蓚酸ニオブ、0.96gの蓚酸アンチ
モン、0.68gの硝酸カルシウムを溶解した溶液
溶液4:100mLのアセトンに0.039gの酢酸パラジウムを溶解した溶

水溶液1〜3を別々に70℃で15分攪拌する。次いで溶液3を溶液2に添加する。一緒にした混合物を溶液1に添加する前に、該混合物を70℃で15分攪拌する。その後で溶液4を添加する。得られる混合物を70℃で15分攪拌しそして次に400mLの溶液容量に濃縮する。この混合物を噴霧乾燥しそして静止空気中で120℃で2時間および300℃で5時間か焼する。この触媒を軽く磨り潰しそしてタブレットにプレス成形する。これを分級して、0.35〜0.7mmの分級フラクションを得る。
【0034】
触媒( II ):
次の組成を有する触媒を製造する:
Mo1.00Pd0.00050.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
溶液1:
100mLの水に40gのモリブデン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液2:
200mLの水に12.0gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:
100mLの水に4.19gの蓚酸ニオブ、0.96gの蓚酸アンチモン、
0.68gの硝酸カルシウムを溶解した溶液
溶液4:
100mLのアセトンに0.026gの酢酸パラジウムを溶解した溶液
触媒の製造を触媒例(I)について記載した様に実施する。
【0035】
触媒( III ):
次の組成を有する触媒を製造する:
Mo1.00Pd0.00085 0.55Nb0.06Sb0.01Ca0.01
溶液1:
100mLの水に40gのモリブデン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液2:
200mLの水に14.7gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:
100mLの水に8.38gの蓚酸ニオブ、0.96gの蓚酸アンチモン、
0.68gの硝酸カルシウムを溶解した溶液
溶液4:
100mLのアセトンに0.044gの酢酸パラジウムを溶解した溶液
触媒の製造を触媒例(I)について記載した様に実施する。
【0036】
触媒(IV):
次の組成を有する触媒を製造する:
Mo1.00Pd0.00075 0.55Nb0.09Sb0.01Ca0.01
溶液1:
100mLの水に40gのモリブデン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液2:
200mLの水に14.7gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:
100mLの水に12.75gの蓚酸ニオブ、0.96gの蓚酸アンチモン 0.68gの硝酸カルシウムを溶解した溶液
溶液4:
100mLのアセトンに0.039gの酢酸パラジウムを溶解した溶液
触媒の製造を触媒例(I)について記載した様に実施する。
【0037】
触媒(V):
次の組成を有する触媒を製造する:
Mo1.00Pd0.00085 0.55Nb0.09Sb0.01Ca0.01
溶液1:
100mLの水に40gのモリブデン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液2:
200mLの水に14.7gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:
100mLの水に12.75gの蓚酸ニオブ、0.96gの蓚酸アンチモン
0.68gの硝酸カルシウムを溶解した溶液
溶液4:
100mLのアセトンに0.044gの酢酸パラジウムを溶解した溶液
触媒の製造を触媒例(I)について記載した様に実施する。
【0038】
比較例:
触媒(VI):
Mo1.00Pd0.00050.25Nb0.12の組成を有する、未公開のドイツ特許出願P19630832.1に記載の触媒例(I)を、本発明の触媒の高い空時得率を実証するために製造する。
【0039】
溶液1:
200mLの水に61.75gのモリブデン酸アンモニウムおよび0.03
9gの酢酸パラジウムを溶解した溶液
溶液2:
250mLの水に10.22gのメタバナジン酸アンモニウムを溶解した溶液
溶液3:
25mLの水に27.51gの蓚酸ニオブを溶解した溶液
これの溶液を別々に90℃で15分攪拌する。次いで溶液3を溶液2に添加する。一緒にした混合物を溶液1に添加する前に、該混合物を90℃で15分攪拌する。その後で溶液4を添加する。得られる混合物を90℃で15分攪拌する。次にこの混合物を噴霧乾燥しそして静止空気中で120℃で2時間および300℃で5時間か焼する。その後にこの触媒を軽く磨り潰しそしてタブレットにプレス成形する。これを篩上で分級して、0.35〜0.7mmの分級フラクションを得る。
【0040】
触媒の試験法:
5または10mLの触媒を10mmの内径を有するスチール製反応器に入れる。この触媒を空気流のもとで250℃に加熱する。次いで圧力を予備圧力制御装置によって調整する。所望のエタン/酸素/窒素−混合物を水と一緒に蒸発領域に導入し、そこで水を蒸発させそしてガスと混合物する。反応温度を触媒床中の熱電対で測定する。反応ガスをガスクロマトグラフィーによってオンラインで分析する。
【0041】
実施例中の以下の言葉を規定する:
エタン転化率(%)=
100 ×([CO]/2 +[CO2]/2 +[C2H4]+[CH3COOH])/([CO]/2+[CO2]/2 +[C2H4]+[C2H6]+[CH3COOH])
エチレン選択率(%)=
100 ×([C2H4])/([CO]/2+[CO2]/2 +[C2H4]+[CH3COOH])
酢酸選択率(%)=
100 ×([CH3COOH])/([CO]/2 +[CO2]/2 +[C2H4]+[CH3COOH])
[ ]=モル%濃度
[C2H6]= 未反応エタンの濃度
滞留時間は次の通りに規定される:
t(秒)=触媒の嵩容積(mL)/反応条件で反応器を通過するガスの流量(mL/秒)
【0042】
反応操作:
反応器供給ガスは40容量%のエタン、8容量%の酸素、32容量%の窒素および20容量%の水蒸気よりなる。空時得率は反応圧に依存しているので、全ての比較例を比較するために15bar(15.29kg/cm2 )で実施した。反応条件および結果を以下の表に総括掲載する。
【0043】
比較用触媒(VI)と比較すると同じ温度で触媒(I)〜(V)では酢酸への実質的に高い選択率および空時得率が達成される。
【0044】
【表1】
Figure 0004377051

Claims (8)

  1. エタン、エチレンまたはそれらの混合物と酸素とより成るガス状供給原料から高められた温度で酢酸を選択的に製造する方法において、Mo、Pd、XおよびY元素を酸素と組み合わせてa:b:c:dのグラム原子比で含有する下記式
    Moa Pdb c d (I)
    [式中、記号XおよびYは以下の意味を有し:
    XはTa、V、TeおよびWより成る群から選択される1種類以上の元素であり;、
    YはBi、Cu、Ag、Au、Li、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Nb、Zr、HfおよびSbより成る群から選択される1種類以上の元素であり、
    指数a、b、cおよびdは相応する元素のグラム原子比であり、かつ
    aは1であり、
    bは0.0001〜0.01であり、
    cは0.4〜1であり、そして
    dは0.005〜1である。]
    で表され、X元素として少なくともV、ならびにY元素として少なくともNb、CaおよびSbを含み、そして酢酸に酸化する際の空時得率が>150kg/時・m3 である触媒に前記ガス状供給原料を、200〜500℃の範囲内にある温度および1〜50barの範囲内にある反応器の圧力において接触させることを特徴とする、上記方法。
  2. Xおよび/またはYがそれぞれ複数の元素であり、指数cおよびdは種々の元素について異なる値を採ってもよい請求項1に記載の方法。
  3. bが0.0001〜0.001の数を意味する請求項1または2に記載の方法。
  4. 反応器内にエタンを少なくとも1種類の他のガスと混合して供給する請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 他のガスとして窒素、酸素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、エチレンおよび/または水蒸気を供給する請求項4に記載の方法。
  6. 触媒が以下の組成:
    Mo1.00Pd0.00050.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
    Mo1.00Pd0.00050.45Nb0.03Sb0.01Ca0.010.015
    Mo1.00Pd0.00075 0.45Nb0.03Sb0.01Ca0.01
    Mo1.00Pd0.00075 0.55Nb0.03Sb0.01Ca0.01
    Mo1.00Pd0.00075 0.45Nb0.06Sb0.01Ca0.01
    Mo1.00Pd0.00080.55Nb0.06Sb0.01Ca0.01
    Mo1.00Pd0.00085 0.55Nb0.06Sb0.01Ca0.01
    Mo 1.00 Pd 0.00075 0.55 Nb 0.09 Sb 0.01 Ca 0.01
    少なくとも1つを酸素との組合せで含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 触媒を担体と混合するかまたは担体の上に担持させる請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. エタンおよび/またはエチレンから酢酸への酸化反応の選択率が≧70モル%である請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
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