JP4377006B2 - エレベータの構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中間階に免震装置を設ける建物が開発されている。このような建物では、地震時にはエレベータシャフトも水平変位を生じる。
したがって、従来のエレベータの構造をそのまま採用すると、エレベータのガイドレールが変形して破損する可能性がある。
特に複数基のエレベータを昇降させるエレベータシャフトでは多数のガイドレールが配置してあり、構造上問題が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのために下層階のエレベータと上層階のエレベータを別個に設け、変位が発生する階層で乗り換える構造を採用することができる。
しかしこのような構造では下層階と上層階とを移動する場合に常に乗り換えが必要となりきわめて非能率である。
また、ガイドレールの変形に対応するためにエレベータシャフト内に三階層にわたって鋼製のフレームを組み込み、このフレームにガイドレールを固定する構造もあるが、既存のエレベータに比較してかごの大きさが大幅に小さくなるという欠点がある。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は上記のような問題を改善するためになされたもので、水平変位が発生する建物において、エレベータのガイドレールが破損せず、安全にかごを通過させることができる、エレベータの構造を提供することを目的とする。
また本発明は、複数のエレベータが連続する場合にもガイドレールが破損することがない、エレベータの構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために本発明のエレベータの構造は、 上層階と下層階との中間に免震装置を設けた建築物におけるエレベータの構造であって、エレベータの昇降をガイドするガイドレールをエレベータシャフトの左右方向に複数組、平行に並べて設置し、左右端のガイドレールの各々は、弾性変形する部分の中間を、エレベータシャフトの左右端に鉛直に設置した、傾斜可能な左右支柱に取り付け、この左右支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、左右支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成し、 一方、左右端のガイドレール以外のガイドレールでは、 接近した2本のガイドレールの間にエレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置した中間梁を設置し、この中間梁を内側ガイドレールに取り付け、この中間梁の端は、エレベータシャフトの前後方向に鉛直に配置した、傾斜可能な前後支柱に取付け、この前後支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、前後支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成した、エレベータの構造である。
【0006】
さらに本発明は、上層階と下層階との中間に免震装置を設けた建築物におけるエレベータの構造であって、エレベータの昇降をガイドするガイドレールをエレベータシャフトの左右方向に複数組、平行に並べて設置し、左右端のガイドレールの各々は、弾性変形する部分の中間を、エレベータシャフトの左右端に鉛直に設置した、傾斜可能な左右支柱に取り付け、この左右支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、左右支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成し、 一方、左右端のガイドレール以外のガイドレールでは、接近した2本のガイドレールの間にエレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置した中間梁を少なくとも上下に2本設置し、上の中間梁の端は、免震装置を設置した階層よりも上層階に、下の中間梁の端は、それよりも下層階に取り付け、上下の中間梁には鉛直方向に中間支柱を取り付け、この中間支柱には前記した2本のガイドレールの弾性変形する部分の中間を取り付けて構成した、エレベータの構造である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下図面にもとづいて本発明の一実施例を説明する。
【0008】
<イ>外側ガイドレール1。
本発明は、上層階と下層階との中間に免震装置を設けた建築物におけるエレベータの構造である。
そしてエレベータシャフトの内部の左右両端には、エレベータの昇降をガイドする外側ガイドレール1を設置する。
この外側ガイドレール1は、免震装置を設けた階層よりも上層階、および下層階にクリップ11などで固定する。したがってこの外側ガイドレール1は固定部分の間は弾性変形が可能である。
【0009】
<ロ>傾斜可能な左右支柱2L、2R。
この左右の外側ガイドレール1が弾性変形する部分の中間点を、把持腕を介して傾斜が可能な左右支柱2L、2Rに取り付ける。
この左右支柱2L、2Rの上端は、免震装置を設置した階層よりも上層階に、ユニバーサルジョイント21などを介して前後左右に傾斜自在に吊り下げる。
左右支柱2L、2Rの下端は下層階に、上下方向に拘束しない状態で取り付けるから、後述するように地震時に支柱が傾斜して上下間の長さが変化してもその変化量を吸収することができる。
【0010】
<ハ>中間梁4の設置。
ガイドレールをエレベータシャフトの左右方向に複数組、平行に並べて設置した場合に、左右端の外側ガイドレール1以外に、シャフトの内部に内側ガイドレール3が存在する。
この内側ガイドレール3において、接近した2本のガイドレールの間に水平に中間梁4を設置する。
そして中間梁4は両側に位置する内側ガイドレール3をクリップ41などで取り付ける。
この中間梁4は、エレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置する。
そしてこの中間梁4の前端は、エレベータシャフトの前方に鉛直に配置した前支柱5Fに、中間梁4の後端は、エレベータシャフトの後方に鉛直に配置した後支柱5Bに取り付ける。
【0011】
<ニ>前後支柱5F、5B。
この前後支柱5F、5Bの上端は、免震装置を設置した階層よりも上層階に、ユニバーサルジョイントなどを介して前後左右に傾斜自在に吊り下げる。
前後支柱5F、5Bの下端は下層階に、上下方向に拘束しない状態で取り付ける。
中間梁4と前後支柱5F、5Bとの取付けはピン構造とする。その結果、前後支柱5F、5Bが傾斜しても中間梁4は水平状態を維持することになる。
【0012】
<ホ>支柱の取付け構造の他の実施例。
以上の説明では、左右支柱2L、2R、前後支柱5F、5Bともに、支柱の上端をユニバーサルジョイントで吊るし、下端は上下方向に拘束しない構造を説明した。
しかし反対に各支柱の下端を球座式のベアリングなどの上に置き、上端を上下方向に拘束しない構造を採用することもできる。
すると地震時に支柱の下端は全円周方向に傾斜することができ、その結果生じる支柱の上下の寸法の変化は、上端が水平方向に拘束していないことによって吸収することができる。
【0013】
<ヘ>地震時の挙動。(外側ガイドレール1)
地震が発生すると、外側ガイドレール1は上下の固定点の間でS字状に変形する。
一方、左右の支柱も上部のユニバーサルジョイント21などを吊り下げの支点として直線状のまま傾く。
両者が中間点で連結してあれば、各々1/2だけ変位する。そのためにガイドレール1に無理な力が作用することがなく、破損を避けることができる。
さらに弾性変位区間をエレベータのかごが通過中であっても、左右支柱2L、2Rが地震の水平力に抵抗するためにガイドレール1が破損することがない。
【0014】
<ト>地震時の挙動。(内側ガイドレール)
内側ガイドレール3も上下の固定点の間でS字状に弾性変形を起こす。
一方、前後の支柱5F、5Bも上部のユニバーサルジョイント51などを吊り下げの支点として直線状のまま傾く。
中間梁4が前後の支柱5F、5Bの中間点で連結してあれば、中間梁4は水平変位量の1/2だけ変位する。
そのために中間梁4の両側に取り付けた内側ガイドレール3に無理な力が作用することがなく、破損を避けることができる。
さらに弾性変位区間をエレベータのかごが通過中であっても、中間梁4と前後支柱5F、5Bが地震の水平力に抵抗するためにガイドレール3が破損することがない。
【0015】
<チ>他の実施例の構造。(図7以下)
内側ガイドレール3において、接近した2本のガイドレール3の間にエレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置した中間梁4を上下に2本設置する。すなわち上中間梁61と、下中間梁62とである。
そして上の中間梁61の端は、免震装置を設置した階層よりも上層階の前後方向の面に取り付ける。
一方、下の中間梁62の端は、それよりも免震装置の設置階、あるいはそれよりも下層階の前後方向の面に取り付ける。
そして2本の隣接する内側ガイドレール3の間に中間支柱6を設け、中間支柱6と両側の内側ガイドレール3とは支持腕63によって連結する。
この中間支柱6は、上中間梁61と下中間梁62の間に鉛直方向に取り付けるが、中間支柱6の上端はユニバーサルジョイントなどを介して前後左右に変形自在の状態で、上中間梁61に吊り下げる。
一方、中間支柱6の下端は、下中間梁62に横方向の移動のみを拘束した状態で取り付ける。
【0016】
<リ>他の実施例の挙動。(図7以下)
地震時においては中間支柱6の中間点の変位量は、水平変位の1/2である。したがってこの点で中間支柱6と連結した内側ガイドレール3は変形を水平変位の1/2に拘束されて無理な力がかからない。
そのために地震による水平力に抵抗することができ、内側ガイドレール3が破損することがない。
【0017】
<ヌ>カウンターウエイトの構造。
カウンターウエイトも専用のガイドレールを使用して上下動している。
したがってカウンターウエイトのガイドレールも前記の実施例の左右両端のガイドレールと同様の構造を採用することによって破損を防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明のエレベータの構造は上記したようになるから、次のような効果を達成することができる。
<イ>ガイドレールの変形を、建物の水平変位に比較して小さく押さえることができるから、ガイドレールの破損を防ぐことができる。
<ロ>複数基のエレベータを連続させて設置した場合に特に内側ガイドレールの扱いが困難である。しかし本発明の構造では隣接する内側ガイドレール3の間に中間梁4を設置し、この中間梁4を介して両側のガイドレールの変形を押さえる構造を採用したから複数基のエレベータにおいてもガイドレールの破損を防いで安全な運行を維持することができる。
<ハ>エレベータシャフトの内部に三階層にわたって鋼製のフレームを組み立て、このフレームにガイドレールを固定するような構造に比較してエレベータシャフトの内部空間を有効に利用することができる。
<ニ>上記の実施例、図面では2基のエレベータを併設した場合のついて説明したが3基以上のエレベータにおいても同様の構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレベータの構造の基本概念を示す説明図。
【図2】左右方向の断面図。
【図3】地震時の挙動を示す左右方向の断面図。
【図4】前後方向の断面図。
【図5】地震時の挙動を示す前後方向の断面図。
【図6】エレベータシャフトの平面図。
【図7】本発明の他の実施例基本概念を示す説明図。
【図8】その左右方向の断面図。
【図9】その地震時の挙動を示す左右方向の断面図。
【図10】その前後方向の断面図。
【図11】その地震時の挙動を示す前後方向の断面図。
【図12】そのエレベータシャフトの平面図。

Claims (2)

  1. 上層階と下層階との中間に免震装置を設けた建築物におけるエレベータの構造であって、
    エレベータの昇降をガイドするガイドレールをエレベータシャフトの左右方向に複数組、平行に並べて設置し、
    左右端の外側ガイドレールの各々は、弾性変形する部分の中間を、エレベータシャフトの左右端に鉛直に設置した、傾斜可能な左右支柱に取り付け、
    この左右支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、
    左右支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成し、
    一方、左右端のガイドレール以外の内側ガイドレールでは、
    接近した2本の内側ガイドレールの間にエレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置した中間梁を設置し、
    この中間梁を内側ガイドレールに取り付け、
    この中間梁の端は、エレベータシャフトの前後方向に鉛直に配置した、傾斜可能な前後支柱に取付け、
    この前後支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、
    前後支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成した、
    エレベータの構造。
  2. 上層階と下層階との中間に免震装置を設けた建築物におけるエレベータの構造であって、
    エレベータの昇降をガイドするガイドレールをエレベータシャフトの左右方向に複数組、平行に並べて設置し、
    左右端の外側ガイドレールの各々は、弾性変形する部分の中間を、エレベータシャフトの左右端に鉛直に設置した、傾斜可能な左右支柱に取り付け、
    この左右支柱の上端は免震装置を設置した階層よりも上層階に、
    左右支柱の下端はそれよりも下層階に各々取り付けて構成し、
    一方、左右端のガイドレール以外の内側ガイドレールでは、接近した2本の内側ガイドレールの間にエレベータシャフトの前後方向に向けて水平に配置した中間梁を少なくとも上下に2本設置し、
    上の中間梁の端は、免震装置を設置した階層よりも上層階に、
    下の中間梁の端は、それよりも下層階に取り付け、
    上下の中間梁には鉛直方向に中間支柱を取り付け、
    この中間支柱には前記した2本のガイドレールを取り付けて構成した、エレベータの構造。
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