JP4376399B2 - 残圧抜きアダプタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、配管系内の流体残圧の除去を容易にし、配管の分離を安全に行えるようにした残圧抜きアダプタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流体供給源と流体消費源との間をホース又は管を利用して配管する場合には、各種の継手が用いられるが、使用後、配管を外したり、切り離したりする場合は、流体供給源側に備えたバルブを閉じるか、あるいは流体の供給源を停止させてから継手を外すのが普通である。しかし、配管内には流体残圧が存在するのが一般的であり、そのために不用意に継手を分離すると、配管内の流体残圧により、例えばホースの端部が跳ねたり、または配管から流体が勢い噴出して、危険である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、上記のような問題点を解決するために、実公平6−41039号公報に記載された管継手(残圧抜きアダプタ)等が提案されている。
上記管継手を図6を参照して説明すると、図において継手主筒体(バルブ体)101の周壁には継手主筒体101内外を連通する連通孔102が形成され、該継手主筒体101の外周にはスリーブ(流路開放部材)103が軸方向に摺動可能に設けてある。該スリーブ103の内周には前記連通孔102から噴出する流体をシールする断面U字形をした同径のシールリング104が少なくとも前記連通孔102の開口部直径に相当する間隔をあけて平行に設けられており、スリーブ103は圧縮スプリング105によって図において左方に付勢され、常態では前記2列のシールリング104、104の間に継手主筒体101の周壁に形成した連通孔102が位置して該連通孔102が閉鎖される常態となっている。そして、前記スリーブ103を圧縮スプリング105の弾発力に抗して軸方向(図中右方)に摺動し図中左側のシールリング104が連通孔102を越えると、前記連通孔102がスリーブ103の内径と継手主筒体101の外径とに形成される隙間と連通して開放され、この継手主筒体101を含む配管系に流体圧が残っている場合、この流体が連通孔102から外部に排出され残圧がなくなり、継手主筒体101の分離作業を安全に行うことができる。
【0004】
そして上記管継手では、継手主筒体101の周囲に摺動するように設けたスリーブ103の内周に、連通孔102を挟むようにシールリング104、104が配置されているため、二つのシールリング104、104には主筒体の流体圧が常に均一に作用していることになり、この結果、スリーブ103を移動する際には継手主筒体101内の流体圧の影響を受けることなく、圧縮スプリング105を撓ませるだけの比較的軽い力で、スリーブを操作することができる。
【0005】
しかしながら、上述のように継手主筒体101の周囲にスリーブ103を摺動可能に取り付ける構成では、継手主筒体101の径が変化するとそれに合わせてスリーブ103の径を変更することが必要となり、連通孔102を開閉する機構に汎用性がなくなり、コスト面で不利となる。
【0006】
このため、図7に示すようなプッシュ式のアダプタが提案されている。
このアダプタの構成を簡単に説明すると、アダプタは流体管201に形成したネジ穴202に螺合する略円筒状をした本体203を備えており、この本体203の底部にはテーパー状のバルブ貫通孔204が形成されている。バルブ貫通孔204にはこの貫通孔を閉鎖するバルブ体205が配置されており、このバルブ体205は前記本体203内に摺動自在に設けた押圧体206に取り付けられている。押圧体206は本体203との間に配置したスプリング207により図中上方に付勢されており、これによってバルブ体205も図中上方に移動して本体の貫通孔204を閉塞できる構成となっている。このアダプタはアダプタ単体として構成されており、接続部を有する流体管201にアダプタを取り付けるだけで、流体管内の残圧を簡単に排出することができる。
【0007】
しかしながら、このアダプタは図からも理解できるように流体管内の圧力がバルブ体205の受圧面205aに常に作用する構成となっているため、押圧体206を押す際にスプリング207の付勢力に加えてバルブ体205に作用する流体圧以上の力で押す必要があり、流体圧が高くなればなるほど、操作性が悪くなるという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は、流体残圧の影響を受けることなく、いつも一定した力で操作することができ、また、流体管への着脱も容易な残圧抜きアダプタを提供することにより、上記問題点を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
流体管内の残圧を抜くためのアダプタであって、前記残圧抜きアダプタは、
前記流体管に接続されるアダプタ本体と、
前記アダプタ本体に固定される流路形成部材と、
前記流路形成部材を貫通した状態で前記流路形成部材により前記アダプタ本体に固定されるバルブ体と、
前記バルブ体の外周と前記流路形成部材の内周との間に摺動自在に配置した流路開放部材とを有し、
前記バルブ体は、前記アダプタ本体に形成された第1の流路に接続され前記流体管内の圧力流体を排出するために前記バルブ体軸心部に形成した第2の流路を有するとともに前記第2の流路から外方にむけて形成した連通孔及び前記連通孔を挟んで前記バルブ体の外周に配置した一対のシール部材とを有し、前記流路開放部材の内周面には、前記バルブ体の外周に配置した前記シール部材でシールされ、かつ通常状態において前記シール部材間に形成した前記連通孔に対向する位置に開口部側に向かって広がるテーパー状の円周溝を有しており、前記バルブ体に対して前記流路開放部材を移動させることで、前記流路開放部材の移動方向にある前記シール部材が残圧により外側に変形しようとした際に、前記流路開放部材に形成した前記円周溝のテーパー面で前記シール部材の変形を受け止めて、前記バルブ体からの脱落を防止し、さらに前記流路開放部材を移動させることにより、前記連通孔から前記円周溝を介して前記バルブ体と前記流路開放部材とによって形成される隙間から圧力流体を排出できるようにした残圧抜きアダプタである。
また、前記流路開放部材は、前記バルブ体の前記シール部材でシールされた状態でスプリングによって通常状態に付勢されており、前記流路開放部材を前記スプリングの付勢力に抗して移動させることで、前記円周溝を介して前記バルブ体と前記流路開放部材とによって形成される隙間から圧力流体を排出できるようにしたことを特徴とする残圧抜きアダプタである。
また、前記シール部材は、前記バルブ体の外周に形成した前記円周溝内に保持されていることを特徴とする残圧抜きアダプタである。
【0010】
【実施形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る残圧抜きアダプタの断面図である。
図1において、1はアダプタ本体であり、このアダプタ本体1は大径部と小径部からなる段付き形状をしており、軸心部に流路2を有し、外周の小径部には、流体管側と接続するためのネジ部3が形成され、また大径部内周にはネジ部4が形成されている。
前記大径の内周に形成したネジ部4には円筒状をした流路形成部材5が螺合されており、流路形成部材5の底部にはバルブ体(詳細は後述する)6を貫通保持する貫通孔7が形成されている。また該流路形成部材5にはアダプタ本体1に形成した排出ポート8に連通する連通孔9が形成されている。
【0011】
流路形成部材5の内周部には流路開放部材10がシール部材11によってシールされた状態で摺動自在に保持されており、さらに流路開放部材10は流路形成部材5の内周面に取り付けたストップリング13によって抜け止めがなされている。前記流路開放部材10と流路形成部材5の底部との間にはスプリング12が配置され、流路開放部材10は常時はこのスプリング12の付勢力により図中上方に付勢されている。
【0012】
流路開放部材10には流路開放部材10の内周面とバルブ体6の外周面との間に流体の通路を形成する隙間Sが形成され、このバルブ体6に前記流路開放部材10が摺動自在に配置されており、前記バルブ体6は、前記流路形成部材5を貫通し、アダプタ本体1の流路2内に延長した部分にシール保持用の鍔部14が形成されている。鍔部14の下方にはシール15が設けられ、このシール15はアダプタ本体1に設けた段部1aと流路形成部材5の底面とによって前記鍔部14を介して保持され、アダプタ本体1の流路とバルブ体6との間のシール機能を果している。そしてバルブ体6は前記流路形成部材5と前記アダプタ本体1とによって鍔部14を挟持する形で固定される。また流路開放部材10の上部にはバルブ体6との間に形成される室16のエア抜き孔17が形成されている。
【0013】
バルブ体6には軸心部に流路18が形成され、この流路18は流路開放部材10の内周部に向けて開口する連通孔19と連通しており、この連通孔19をはさんで、図中上下シール溝21が形成されており、このシール溝21に同径のシール部材20、20が装着されている。このシール溝21は図2に示すようにテーパー面21aによって底部の幅が広くなる蟻溝として形成することができ、また、蟻溝は図2に示すように流路開放部材10の移動方向の面のみがテーパー状に形成してもよいし、必要に応じて蟻溝の両面をテーパー状としてもよい。
またバルブ体6の前記連通孔19に対向する流路開放部材10の内周面には開口部よりも底部が狭くなっているテーパー面22aを有する円周溝22が形成されている。
【0014】
上記構成からなる残圧抜きアダプタの作用を図3の作用図を参照して説明する。
図3(イ)は残圧保持状態にあるアダプタを示しており、この状態から、流路開放部材10を押すと、図(ロ)に示すようにバルブ体6に設けた下側のシール部材20が流路開放部材10側の円周溝22に掛かってくる。この結果、該シール部材20上面に残圧が作用し、シール部材20がこの残圧によって変形しはじめる。さらに、流路開放部材10を押し込む(ハ)と、シール部材20は流路開放部材10の円周溝22のテーパー面22aに押しつけられながら、変形し、さらに流路開放部材10が押し込まれ(ニ)、円周溝22内にシール部材20が入る(ホ)とシール部材20は取り付け状態に復帰する。このとき、円周溝22はバルブ体6と流路開放部材10との間に形成された隙間Sと連通し、残圧はバルブ体6の軸心部の流路18から連通孔19、流路開放部材10の円周溝22、前記隙間Sから流路形成部材5に形成した連通孔9を介してアダプタ本体1の排出ポート8から外に排出される。
【0015】
本発明は、流路開放部材10を押し込んで行き円周溝22内に下側のシール部材20が位置した時に、残圧によりシール部材20が外側に変形しようとするが流路開放部材10側の円周溝22のテーパー面22aでシール部材の変形が受け止められるため、シール部材20が流路開放部材10と、バルブ体6外周との間の隙間に噛みこまれることが防止され、シール部材20の脱落が防止される構造となっている。
【0016】
ところで、上記実施形態に係る残圧抜きアダプタは流路形成部材5を備えているが、この流路形成部材5は図4に示すように省略することも可能である。
図4を参照して本発明の第2実施形態を説明すると、アダプタ本体1にはバルブ体6が一体に形成されており、このバルブ体6には前記実施形態と同様に流路18に連通する連通孔19が形成され、さらに連通孔19を挟んで、上下にシール部材20、20が配置されている。このシール部材20、20はバルブ体6に形成したシール溝21内に装着されるが、このシール溝21は第1実施形態と同様にテーパー面21aによって底部の幅が広くなる蟻溝として形成してもよい。
【0017】
バルブ体6には流路開放部材10が上下に移動可能に装着されており、流路開放部材10の内周面との間には流体の通路を形成する隙間Sが形成されている。前記流路開放部材10には長孔26が形成されており、この長孔26に前記バルブ体6の上部に設けたピン25を嵌遊している。前記バルブ体6と流路開放部材10内との間には該流路開放部材10は図中上側に押し上げるバネ27が設けられている。
またバルブ体6の前記連通孔19に対向する流路開放部材10の内周面には開口部よりも底部が狭くなっているテーパー状の円周溝22が形成されている。
この構成では、流路開放部材10を下方に移動することで下側のシール部材20を円周溝22内に位置することができ、これによって圧力流体を連通孔19から円周溝22を介して流路開放部材10とバルブ体6の隙間Sから外部に排出することができる。
【0018】
つづいて本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態は、第1実施形態のアダプタ本体1をホース等を接続できる管体で構成した点に特徴がある。このようにアダプタ本体1を管体として構成することで、ホースや管継手等に容易に接続することができ、接続作業が容易となる。アダプタの機能は第1実施形態と同様であるので構成、作用に関する詳細な説明は省略する。
【0019】
上記述べた実施形態はあくまでも例示であり、他の形態のものを使用することができることは当然である。さらに本発明の精神または主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。
【0020】
【発明の効果】
以上詳細に述べた如く本発明によれば、流体残圧の影響を受けることなく、いつも一定した力で残圧抜きアダプタを操作することができ、また、流体管への着脱も容易となる。アダプタを流体管に接続する構成としたものは、アダプタを単体で構成することができ、種々の流体管に接続可能となるためアダプタの汎用性が広がる、また、構成が簡略化されアダプタの小型化を図ることができる。さらに、バルブ体側にシール部材を設け、このシール部材間の連通孔を流路開放部材の内周面に形成したテーパー溝と対向させることで操作時にバルブ体側に設けたシール部材が流路開放部材との間に噛みこまれることが防止されるのでシール部材が損傷することがない、等のすぐれた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る残圧抜きアダプタの断面図である。
【図2】同実施形態に係るシール溝を説明するための拡大断面図である。
【図3】同残圧抜きアダプタの作用図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る残圧抜きアダプタの断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る残圧抜きアダプタの断面図である。
【図6】従来の残圧抜きアダプタの断面図である。
【図7】従来の他の残圧抜きアダプタの断面図である。
【符号の説明】
1 アダプタ本体
1a 段部
2 流路
3、4 ネジ部
5 流路形成部材
6 バルブ体
7 貫通孔
8 排出ポート
9 連通孔
10 流路開放部材
11 シール部材
12 スプリング
13 ストップリング
14 鍔部
15 シール
16 室
17 エア抜き孔
18 流路
19 連通孔
20 シール部材
21 シール溝
21a テーパー面
22 テーパー状の円周溝
22a テーパー面
25 ピン
26 長孔
27 バネ
Claims (3)
- 流体管内の残圧を抜くためのアダプタであって、前記残圧抜きアダプタは、
前記流体管に接続されるアダプタ本体と、
前記アダプタ本体に固定される流路形成部材と、
前記流路形成部材を貫通した状態で前記流路形成部材により前記アダプタ本体に固定されるバルブ体と、
前記バルブ体の外周と前記流路形成部材の内周との間に摺動自在に配置した流路開放部材とを有し、
前記バルブ体は、前記アダプタ本体に形成された第1の流路に接続され前記流体管内の圧力流体を排出するために前記バルブ体軸心部に形成した第2の流路を有するとともに前記第2の流路から外方にむけて形成した連通孔及び前記連通孔を挟んで前記バルブ体の外周に配置した一対のシール部材とを有し、
前記流路開放部材の内周面には、前記バルブ体の外周に配置した前記シール部材でシールされ、かつ通常状態において前記シール部材間に形成した前記連通孔に対向する位置に開口部側に向かって広がるテーパー状の円周溝を有しており、
前記バルブ体に対して前記流路開放部材を移動させることで、前記流路開放部材の移動方向にある前記シール部材が残圧により外側に変形しようとした際に、前記流路開放部材に形成した前記円周溝のテーパー面で前記シール部材の変形を受け止めて、前記バルブ体からの脱落を防止し、さらに前記流路開放部材を移動させることにより、前記連通孔から前記円周溝を介して前記バルブ体と前記流路開放部材とによって形成される隙間から圧力流体を排出できるようにした残圧抜きアダプタ。 - 前記流路開放部材は、前記バルブ体の前記シール部材でシールされた状態でスプリングによって通常状態に付勢されており、前記流路開放部材を前記スプリングの付勢力に抗して移動させることで、前記円周溝を介して前記バルブ体と前記流路開放部材とによって形成される隙間から圧力流体を排出できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の残圧抜きアダプタ。
- 前記シール部材は、前記バルブ体の外周に形成した前記円周溝内に保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の残圧抜きアダプタ。
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