JP4376373B2 - 半導体発光素子用エピタキシャルウェハ、その製造方法および半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子用エピタキシャルウェハ、その製造方法および半導体発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)を用いた、それぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層からなる発光部を有する半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法、および該エピタキシャルウェハから製造された半導体発光素子に係わり、特に従来のものと比較して発光素子の輝度が改善される半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法およびそれから得られる高輝度な半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光ダイオード(LED)は、低消費電力、長寿命、高発光効率、高信頼性等の特性を有しており、各種表示装置等の光源用発光素子として利用されている。
各種のIII−V族化合物半導体のうち、AlGaInP系材料は窒化物を除いたIII−V族化合物半導体の中で最大の直接遷移型のエネルギーギャップを有する。そのため、AlGaInP系材料からなる発光部を有する半導体発光素子は、緑色から赤色の範囲にわたり高輝度の発光が得られ、その利用範囲が急速に広がっている。
なお、本明細書でAlGaInP系材料とは(AlxGa1-x)yIn1-yP(但し、0≦x≦1、0<y<1)をいう。
【0003】
従来のAlGaInP系材料からなる発光部を有するLEDの構造の例として、例えば特開平4−212479に図1に示す構造が開示されている。図1において、11はn型GaAs基板、12はn型AlGaInP下部クラッド層、13はAlGaInP活性層、14はp型AlGaInP上部クラッド層、15はp型AlGaAs電流拡散層、16はp型GaAsコンタクト層、17はp電極、18はn電極である。
このLEDで、発光部はn型AlGaInP下部クラッド層12、AlGaInP活性層13およびp型AlGaInP上部クラッド層14から構成されるダブルヘテロ構造である。すなわち、活性層を下部および上部クラッド層で挟んだ上記のダブルへテロ構造では、下部および上部クラッド層により活性層内に高密度に閉じ込めた電子および正孔が発光再結合することにより、LEDからの発光が得られる。
【0004】
高輝度なLEDを得るために上記のLEDにおいては、p電極17から注入された電流を拡げて発光領域を拡大するために、上部クラッド層14とコンタクト層16の間に電流拡散層15を設けてある。特開平4−212479には、この他に基板側へ向かった光を有効に取り出すために基板と下部クラッド層との間に反射層及び透明バッファ層を設けた構造等も記載されている。
【0005】
さらに、AlGaInP系材料からなる発光部を有する半導体発光素子において、発光部の特性は輝度を決定する重要な要因のひとつである。
そこで上記の特開平4−212479には、n型AlGaInP下部クラッド層12、AlGaInP活性層13およびp型AlGaInP上部クラッド層14からなるダブルヘテロ構造において、活性層13の最適なキャリア濃度の範囲や最適な厚さの範囲、あるいは下部クラッド層12および上部クラッド層14の最適なキャリア濃度範囲が規定されている。
【0006】
上記のようなAlGaInP系材料からなる発光部を有する半導体発光素子の製造に用いられるエピタキシャルウェハの製造方法としては、一般に有機金属化学気相成長法(MOCVD法)がある。
MOCVD法は、成長装置にIII族元素の原料を有機金属化合物の蒸気として供給し、III族元素の原料ガスとV族元素の原料ガスを基板上で反応させることにより、基板上にIII−V族化合物半導体の薄膜を成長させる気相成長法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
AlGaInP系材料を発光部とするLEDは、構造の改良や発光部の最適化で年々輝度が向上してきている。しかし近年、LEDは屋外での使用が増えており、更なる高輝度化が求められている。
そこで本発明は、従来のものと比較して発光素子の輝度が改善される半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法およびそれから得られる高輝度な半導体発光素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により、少なくともそれぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を半導体基板上に順次エピタキシャル成長させる半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法において、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間または活性層の成長と上部クラッド層の成長の間の少なくとも一方で、エピタキシャル成長を一旦中断し、PH3を含むガス雰囲気中で1〜30分間半導体基板を保持することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、半導体基板上に順次エピタキシャル成長させた、それぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を少なくとも具備する半導体発光素子用エピタキシャルウェハにおいて、下部クラッド層と活性層の界面または活性層と上部クラッド層の界面の少なくとも一方に、格子歪み領域があることを特徴とする。
さらに本発明は、上記の半導体発光素子用エピタキシャルウェハから製造した半導体発光素子である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者は、活性層を下部および上部クラッド層で挟んだダブルへテロ構造の発光部を有する半導体発光素子では、下部クラッド層と活性層との界面または活性層と上部クラッド層との界面の特性がLEDの輝度に大きく影響を与える可能性があると考え鋭意研究を行った。
従来、ヘテロ接合を形成する半導体層の成長においては、一般に組成変化が急峻で均一なヘテロ接合界面の形成が必要であると考えられていた。そのため、MOCVD法による半導体層の成長では、ヘテロ接合の界面形成時に原料ガスの切り替えを瞬間的に行い成長を連続して行うことが重要とされ、原料ガスの切り替え時に半導体層の成長の中断時間を極力設けないことが一般的であった。例えばFrijlink,P.M.,Maluenda,J.:J.de Physique,12,C5−185〜191(1982)には、ヘテロ接合界面の組成変化領域を小さくする為に、ガスの切り替え時間を1原子層の成長時間に対して1/10以下にコントロールすることが記載されている。
【0011】
しかし本発明者は、AlGaInP系材料からなるダブルへテロ構造の発光部を有するLEDの発光強度を向上させるために、発光部のヘテロ接合の界面形成方法として、界面形成時に半導体層の成長を中断したまま半導体基板を保持をする方法を検討した。そして、半導体層の成長を中断した保持時間と得られたLEDの輝度との関係を調べた。
その結果、半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造において、下部クラッド層、活性層および上部クラッド層をエピタキシャル成長により順次積層させる場合に、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間または活性層の成長と上部クラッド層の成長の間にエピタキシャル成長の中断を設けると、中断時間と得られるLEDの輝度とに相関があることを見出した。
【0012】
本発明者の実験によって得られた、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間のエピタキシャル成長の中断時間と得られたLEDの輝度の関係を図2に、また活性層の成長と上部クラッド層の成長の間のエピタキシャル成長の中断時間と得られたLEDの輝度の関係を図3にそれぞれ示す。
【0013】
なお図2、図3に示した結果は、図4に示す構造のLEDをMOCVD法により作製して測定した。図4のLEDの構造は、以下のとおりである。
41:p型GaAs基板(キャリア濃度8×1018cm-3、層厚270μm)
40:p型GaAsバッファ層
(キャリア濃度2×1018cm-3、層厚0.5μm)
49:p型Al0.4Ga0.6As中間層
(キャリア濃度1×1018cm-3、層厚0.1μm)
42:p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P下部クラッド層
(キャリア濃度1×1017cm-3、層厚1μm)
43:p型(Al0.17Ga0.830.5In0.5P活性層
(キャリア濃度1×1016cm-3、層厚0.5μm)
44:n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P上部クラッド層
(キャリア濃度1×1018cm-3、層厚3μm)
46:n型GaAsコンタクト層
(キャリア濃度2×1018cm-3、層厚0.3μm)
47:n電極
48:p電極
また図4に示すLEDは、GaAs基板41上に上記のエピタキシャル層40、49、42、43、44、46をMOCVD法により形成した後、該エピタキシャルウェハのコンタクト層表面およびp型基板表面にそれぞれn電極47およびp電極48を形成し、その後素子に分離を行うことにより作製した。
【0014】
本発明者は実験で、下部クラッド層42と活性層43の界面Aを形成する際または活性層43と上部クラッド層44の界面Bを形成する際に、エピタキシャル成長を中断し、その界面の性質を変化させることを試みた。但し、エピタキシャル成長の中断の間にAlGaInP系材料からPが乖離して界面の半導体表面が劣化することを防ぐ目的で、エピタキシャル成長の中断の間は、PH3を含むガス雰囲気中で基板の保持を行うこととした。
具体的には本実験の場合、界面でのエピタキシャル成長の中断はIII族原料ガスの供給の中断によって行い、エピタキシャル成長の中断の間は、エピタキシャル成長中と同じだけのPH3を継続して成長装置内に流通した。
【0015】
図2から、下クラッド層と活性層の界面形成時のエピタキシャル成長中断時間とLEDの輝度の値の関係において、成長中断を設なかった場合に比べ、中断を行った場合の方が輝度が向上することがわかる。エピタキシャル成長の中断による輝度向上の効果は、中断時間が1分程度から見られ、特に中断時間が5〜15分程度の場合に、輝度向上が顕著である。しかし、あまり長時間の中断を行った場合、たとえば30分以上エピタキシャル成長を中断した場合は、逆に輝度はより短時間の成長中断を行った場合に比べ低下する。
同様に図3から、活性層と上クラッド層の界面形成時のエピタキシャル成長中断時間とLEDの輝度の値の関係においても、成長中断を設なかった場合に比べ、成長中断を行った場合の方がLEDの輝度が向上することがわかる。特に活性層と上クラッド層の界面形成時のエピタキシャル成長中断の場合、LEDの輝度向上の効果は、下クラッド層と活性層の界面形成時よりも顕著であった。またエピタキシャル成長中断の時間とLEDの輝度との関係は、下クラッド層と活性層の界面形成時の場合と同様であった。
【0016】
上記のようにして本発明者は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により、それぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を、半導体基板上に順次エピタキシャル成長させる半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法において、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間または活性層の成長と上部クラッド層の成長の間の少なくとも一方で、エピタキシャル成長を一旦中断し、PH3を含むガス雰囲気中で1〜30分間、さらに好ましくは5〜15分間半導体基板を保持することにより、得られるLEDの輝度が従来のものと比較して大きく向上することを見出した。
【0017】
次に本発明者は、ヘテロ接合界面形成時における成長の中断によりLEDの輝度が向上する理由を調べるために、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間および活性層の成長と上部クラッド層の成長の間にエピタキシャル成長を中断したLEDの下部クラッド層と活性層との界面および活性層と上部クラッド層との界面の構造を解析した。
【0018】
本発明者は、透過型電子顕微鏡(TEM)により、上記のLEDの下部クラッド層と活性層との界面および活性層と上部クラッド層との界面の構造を観察した。その結果、下部クラッド層と活性層との界面Aおよび活性層と上部クラッド層との界面Bに図5に示すような結晶格子の歪んだ領域Cが観察された。なお図5は、図4に示すLEDの活性層43と上部クラッド層44の界面B付近を撮影した断面TEM写真の様子を示す模式図である。
この格子歪み領域Cは、幅wがおよそ60nm、高さtがおよそ30nmであり、100nm程度の間隔lで主として界面から主にエピタキシャル成長する側に存在していた。尚、格子歪み領域CはLED毎にまたその観察する位置によりばらつきがあり、大きさは幅wが30nm乃至80nm、高さtが10nm乃至40nm、間隔lは50nm乃至1000nmのものが見つかった。
さらにTEM像の倍率を上げて結晶格子の配列を観察したところ、格子歪み領域Cでは格子定数が周囲に比べ小さくなっていることが観察された。
【0019】
次に上記の格子歪み領域CについてEDX(エネルギー分散型特性X線分析)により組成を分析したところ、格子歪み領域Cではその周辺のバルクの領域と半導体の組成が異なり、周辺のバルクの領域と比較してGaが多く、AlまたはInが少ない組成となっていることが明らかとなった。すなわち、格子歪み領域C以外の部分ではGaが16.5%、Alが29.3%Inが54.1%に対し、格子歪み領域Cでは測定した7点の平均組成でGaが30.7%、Alが20.5%、Inが48.8%となっていた。
【0020】
比較のため、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間および活性層の成長と上部クラッド層の成長の間にエピタキシャル成長の中断を介在させず、エピタキシャル成長を連続して行ったLEDについて、下部クラッド層と活性層との界面Aあるいは活性層と上部クラッド層との界面BをTEMにより観察したところ、いずれの界面にも図5に示すような格子歪み領域Cは見られなかった。
すなわち本発明では、下部クラッド層と活性層の界面あるいは活性層と上部クラッド層の界面に格子歪み領域Cが形成されることにより、下部クラッド層と活性層あるいは活性層と上部クラッド層の組成の違いによる格子不整合が緩和され、LEDの輝度が向上するものと考えられる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例をLEDを作製した例を用いて具体的に説明する。本実施例1で作製したLEDの構造は、図4に示すLEDと同じである。
【0022】
基板41としては、p型のGaAs単結晶基板を用いた。基板41のキャリア濃度はおよそ8×1018cm-3、また厚さはおよそ270μmであった。また基板41の面方位は(100)面のものを用いた。
基板41の上には、基板41からの不純物の拡散を防止し、基板41の結晶欠陥の影響を排除するため、p型のGaAsからなるバッファ層40を形成した。バッファ層40の厚さは、0.5μm、キャリア濃度はおよそ2×1018cm-3とした。また、バッファ層40の上には、キャリア濃度がおよそ1×1018cm-3で層厚が0.1μmのp型AlGaAsからなる中間層49を形成した。
【0023】
中間層49の上には、AlGaInP系材料からなるダブルへテロ構造の発光部を形成した。
発光部は、p型下部クラッド層42、活性層43およびn型上部クラッド層44を順次積層した構造で構成される。またこの発光部は、活性層43を活性層43よりもバンドギャップエネルギーの大きな下部および上部クラッド層42、44で挟んだ構造となっている。
【0024】
ダブルへテロ構造の発光部をなす下部クラッド層42、活性層43および上部クラッド層44は、互いに格子整合させるのが好ましい。(AlxGa1-xyIn1-yPで表されるAlGaInP系材料においては、yをおよそ0.5とするとGaAs基板とAlGaInP系材料からなる各層とが互いに格子整合する。
本実施例1では、目標とする波長の発光を得るために、活性層の組成は(AlxGa1-xyIn1-yPのyを0.5とし、xを0.17とした。その結果、活性層のバンドギャップエネルギーはおよそ2.0eVとなり、620nmの波長の発光が得られるようになった。
また、下部および上部クラッド層のバンドギャップエネルギーを活性層よりも0.1eV以上大きくするために、本実施例1では下部および上部クラッド層の組成は、(AlxGa1-xyIn1-yPでxを0.7、yを0.5とした。
【0025】
また発光部の各層の厚さおよびキャリア濃度は、活性層へのキャリアの閉じこめ効果が高くかつ活性層でのキャリアの発光再結合が多くなる、すなわちLEDの輝度が高くなるように決定した。本実施例1では、下クラッド層の厚さを1μm、活性層の厚さを0.5μm、上クラッドの厚さを3μmとした。ここで上部クラッド層の厚さを3μmと厚くしたのは、電流拡散の効果を持たせ、電極直下への発光の集中を緩和することによりLEDの輝度を高くするためである。また、本実施例1では、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層のキャリア濃度を、それぞれp型でおよそ1×1017cm-3、p型でおよそ1×1016cm-3、n型でおよそ1×1018cm-3とした。
【0026】
さらに、オーミック性接触を有する電極を形成するために、上部クラッド層43上にn型のGaAsからなるコンタクト層46を設けた。コンタクト層46については、厚さを0.3μmとし、キャリア濃度は2×1018cm-3とした。
上記のエピタキシャル層においては、p型のドーパントとしてはZnを用いた。また、n型のドーパントとしてはSeを用いた。
【0027】
またコンタクト層46の表面および基板41の裏側表面にそれぞれn電極47とp電極48を形成した。n電極47とp電極48には、それぞれAu/Au−Ge、Au/Au−Beを用いた。
【0028】
上記のような構造のLEDは、以下のような有機金属化学気相成長(MOCVD)法で作製した。
III族原料としては、トリメチルアルミニウム(Al(CH33:TMAl)、トリメチルガリウム(Ga(CH33:TMGa)、トリメチルインジウム(In(CH33:TMIn)の有機金属を用い、原料ボトルから原料蒸気を成長装置へ運ぶ為に用いるキャリアガスとしては水素を用いた。V族原料としてはAs原料としてアルシン(AsH3)、P原料としてホスフィン(PH3)を用いた。
また、ドーパントとしては、Zn原料としてジエチル亜鉛(Zn(C252:DEZn)、Se原料としてセレン化水素(H2Se)を用いた。
【0029】
まず、成長装置内に6slm(standard liter per minite)の流量の水素及び30sccm(standard cc per minite)の流量のアルシンを流通し、成長装置内の圧力を60torrに保ちつつ基板41を加熱して670℃まで昇温させ、一定に保持した。
この状態で1.3×10-5mol/minの供給量のTMGaおよび3.4×10-6mol/minの供給量のDEZnを20分間成長装置内に供給することにより、p型のGaAsからなるバッファ層40をエピタキシャル成長した。続いて、7.2×10-6mol/minの供給量のTMGa、1.9×10-6mol/minの供給量のTMAlおよび3.4×10-6mol/minの供給量のDEZnを3分間成長装置内に供給することにより、p型AlGaAsからなる中間層49をエピタキシャル成長した。エピタキシャル成長の開始および停止は、成長装置内へのIII族ガスの供給の開始および停止で行った。
【0030】
続いて基板の温度を770℃に昇温し、V族原料ガスをアルシンからホスフィンに切り替えた。90sccmの流量のホスフィンを供給している成長装置内にTMAl、TMGa、TMInのIII族原料ガスを供給することにより、AlGaInP系材料からなる下部クラッド層42、活性層43および上部クラッド層44のエピタキシャル成長を行った。
【0031】
下部クラッド層42の成長では、TMAl、TMGa、TMInの供給量をそれぞれ3.2×10-6mol/min、3.8×10-6mol/min、1.2×10-5mol/minとした。また、3.4×10-6mol/minのDEZnを同時に供給し、p型の下部クラッド層42を成長した。成長時間は30分間とした。
活性層43の成長では、TMAl、TMGa、TMInの供給量をそれぞれ5.8×10-7mol/min、9.0×10-6mol/min、1.1×10-5mol/minとした。成長時間は15分間とした。
上部クラッド層44の成長では、TMAl、TMGa、TMInの供給量をそれぞれ3.1×10-6mol/min、3.2×10-6mol/min、1.1×10-5mol/minとした。また、1.9×10-8mol/minのH2Seを同時に供給し、n型の上部クラッド層44を成長した。成長時間は90分間とした。
上記のように下部クラッド層42、活性層43および上部クラッド層44の組成は、供給するIII族原料ガスの供給量の比率を変えることにより制御した。また、エピタキシャル層の厚さは成長時間によって制御した。エピタキシャル層の導電型は、成長中にDEZnあるいはH2Seを成長装置内に供給することにより制御した。
【0032】
本発明では、AlGaInP系材料からなる下部クラッド層42、活性層43および上部クラッド層44を順次積層するためにIII族原料ガスの供給量を順次切り替える際に、下部クラッド層42の成長と活性層43の成長の間、または活性層43の成長と上部クラッド層44の成長の間の少なくとも一方で、成長装置内へのIII族原料ガスの供給を停止し、1〜30分間のエピタキシャル成長の中断を介在させる。その間、雰囲気ガス中に成長時と同程度のPH3分圧を与えておき、PH3を含むガス雰囲気中で基板41を保持する。
【0033】
本実施例1に於いては、下部クラッド層42の成長と活性層43の成長の間および活性層43の成長と上部クラッド層44の成長の間の両方で、このエピタキシャル成長の中断時間を各々10分間設けた。この間、成長したエピタキシャル層からPが抜けてエピタキシャル層が分解することを防ぐ為に、雰囲気ガスの水素と同時に成長中と同じ流量でPH3の供給を行い、PH3を含むガス雰囲気中で基板41を保持した。
【0034】
AlGaInP系材料からなる下部クラッド層42、活性層43および上部クラッド層44を形成した後、基板温度を570℃に下げた。そして再度ホスフィンをアルシンに切り替え、アルシンを供給している成長装置内に1.3×10-5mol/minのTMGaおよび1.9×10-7mol/minのH2Seを20分間供給することにより、上部クラッド層44上にn型GaAsからなるコンタクト層46のエピタキシャル成長を行った。
上記のようにして半導体発光素子用エピタキシャルウェハの成長を終了した。
【0035】
上記の要領で作製したエピタキシャルウェハの基板41の裏側表面に、Au−Be/Auを蒸着し、p電極48を形成した。又、コンタクト層46の表面にはAu−Ge/Auを蒸着し、通常のフォトリソグラフ法を用いてn電極47を形成した。その後、450℃で10分間Ar雰囲気で保持する合金化処理を行ってp電極48およびn電極47のオーミック接触を形成した。その後エピタキシャルウェハを350μm間隔で切断し、LEDを作製した。
このようにして得たLEDの発光特性を評価したところ、波長は620nmで、電流20mAでの輝度は37mcdであった。なお本明細書では、LEDの輝度は積分球を用いて測定した光度で表示した。
【0036】
(実施例2)
実施例1と同様のLEDを作製する過程で、下部クラッド層42と活性層43の間の成長中断時間を10分間のままとし、活性層43と上部クラッド層44の間には成長中断時間を設けず連続でエピタキシャル成長を行った。
この条件で成長したエピタキシャルウェハから実施例1と同じ方法でLEDを作製し、実施例1と同様に輝度を測定した所、輝度は29mcdとなった。
【0037】
(実施例3)
実施例1と同様のLEDを作製する過程で、下部クラッド層42と活性層43の間には成長中断時間を設けず連続してエピタキシャル成長を行い、一方活性層43と上部クラッド層44の間の成長中断時間は10分間とした。
この条件で成長したエピタキシャルウェハから実施例1と同じ方法でLEDを作製し、実施例1と同様に輝度を測定した所、輝度は34mcdとなった。
【0038】
(比較例)
実施例1と同様のLEDを作製する過程で、下部クラッド層42と活性層43の間及び活性層43と上部クラッド層44の間の両方に成長中断時間を設けず、連続してエピタキシャル成長を行った。
この条件で成長したエピタキシャルウェハから実施例1と同じ方法でLEDを作製し、実施例1と同様に輝度を測定した所、輝度は21mcdとなった。
【0039】
【発明の効果】
本発明では、発光部のへテロ接合の界面の成長条件を変更することにより、発光部の発光効率を高めることが出来、従来条件と比較した場合発光素子の輝度を38〜76%向上することが出来た。
なお、上記の本発明の実施例では基本的な構造のLEDを作製したが、反射層や電流拡散層を有する構造のLEDに本発明を用いれば、発光素子の輝度を更に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のLEDの構造を示す図。
【図2】下部クラッド層の成長と活性層の成長の間のエピタキシャル成長の中断時間と得られたLEDの輝度との関係を示す図。
【図3】活性層の成長と上部クラッド層の成長の間のエピタキシャル成長の中断時間と得られたLEDの輝度との関係を示す図。
【図4】本発明の実施例1、2、3および比較例に係わるLEDの構造を示す図。
【図5】本発明に係わるLEDの活性層と上部クラッド層の界面付近を撮影した断面TEM写真の模式図。
【符号の説明】
11 n型GaAs基板
12 n型AlGaInP下部クラッド層
13 AlGaInP活性層
14 p型AlGaInP上部クラッド層
15 p型AlGaAs電流拡散層
16 p型GaAsコンタクト層
17 p電極
18 n電極
41 p型GaAs基板
40 p型GaAsバッファ層
49 p型AlGaAs中間層
42 p型AlGaInP下部クラッド層
43 p型AlGaInP活性層
44 n型AlGaInP上部クラッド層
46 n型GaAsコンタクト層
47 n電極
48 p電極
A 下部クラッド層と活性層の界面
B 活性層と上部クラッド層の界面
C 格子歪み領域

Claims (5)

  1. 有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により、少なくともそれぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を半導体基板上に順次エピタキシャル成長させる半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法において、下部クラッド層の成長と活性層の成長の間または活性層の成長と上部クラッド層の成長の間の少なくとも一方で、エピタキシャル成長を一旦中断し、PH3を含むガス雰囲気中で〜30分間半導体基板を保持することを特徴とする半導体発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法。
  2. 半導体基板上に順次エピタキシャル成長させた、それぞれAlGaInP系材料からなる下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を少なくとも具備する半導体発光素子用エピタキシャルウェハにおいて、下部クラッド層と活性層の界面または活性層と上部クラッド層の界面の少なくとも一方に、不連続層の格子歪み領域があることを特徴とする半導体発光素子用エピタキシャルウェハ。
  3. 格子歪み領域において、結晶格子定数が周囲に比べて小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子用エピタキシャルウェハ。
  4. 格子歪み領域において、Ga,Al,Inの組成比が周囲と異なっていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体発光素子用エピタキシャルウェハ。
  5. 請求項2ないし4のいずれか1項に記載の半導体発光素子用エピタキシャルウェハから製造した半導体発光素子。
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