JP4376365B2 - 生理活性を有するペプチド - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生理活性を有する新規ペプチドに関する。さらに詳しくは、好中球の活性酸素産生促進作用または阻害作用を有する新規ペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より卵白にはマウス、モルモット、ブタ等のマクロファージ活性を高める作用(特公平6-99313号公報)、ワクチンの抗体産生能を増強させる作用(特開平5-124972号公報)、動物の発育を促進する作用(特開平5-260902号公報)等があることが知られている。
また、卵白由来のオボアルブミンの分解物であるペプチドが、アンジオテンシン変換酵素阻害作用すること(特開平5-331190号公報、特開平10-36394号公報、日畜会報, 63, 867-877, 1992)、好中球およびマクロファージの活性酸素産生促進作用を有すること(特開平9-12470号公報)、抗酸化作用を有すること(日本農芸化学会誌, 65, 1635-1641, 1991)が開示されている。
【0003】
好中球は単球、好酸球、マクロファージとともに細胞性免疫を司る細胞であり、炎症部位に浸潤し、有害微生物や腫瘍細胞等に対して食作用を示す。その具体的な殺菌因子は、細菌感染等の刺激によって産生が高まる活性酸素や、顆粒成分中に含まれる殺菌性ペプチド(ラクトフェリン等)および加水分解酵素(リゾチーム等)であると考えられている(白血球と生体防御, 水上茂樹, 他, (株)講談社サイエンティフィック, 1990., p211-219)。したがって、好中球の活性酸素の産生を促進することによって、宿主の免疫を増強する作用、細菌や真菌の感染から生体を防御する作用を期待することができる。
【0004】
一方、過剰な炎症が起きたときなど活性酸素の産生が過大な状態になると、生体自身の正常組織に損傷を与え、臓器障害へと進展することもある(同前, p221-225)。例えば血管内皮に付着した好中球が産生する活性酸素が、内皮細胞を障害した結果、血栓が形成され、虚血性疾患、ショック、播種性血管内血液凝固症候群(DIC)等を引き起こす場合があることが知られている。また、この他にもエンドトキシンによって誘発される急性呼吸促迫症候群(ARDS)、胃や十二指腸粘膜のびらん・潰瘍、ベーチェット病や皮膚血管炎等の炎症性皮膚疾患、糸球体腎炎等の発症にも、好中球から発生する活性酸素が関与していると報告されている(同前, p225-230)。したがって、好中球の活性酸素の産生を抑制することによって、上述の様な疾患や過剰な炎症を予防・改善または治療する効果が期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9-12470号公報には、Val-Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu-Argのアミノ酸配列を有するオクタペプチドが、好中球の活性酸素産生促進作用を有することが開示されている。このアミノ酸配列は、卵白中に含まれるオボアルブミンの77−84番目のアミノ酸配列に相当するものであるが、このオクタペプチド中のどの部分が上記の活性を示すのかについては、未だ報告されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの背景に基づき鋭意研究を進めた結果、上記オクタペプチドからアミノ酸を1つずつ切断したペプチドを作製し、好中球の活性酸素産生促進作用を示すために必要十分なアミノ酸配列を有するペプチドを見い出したとともに、阻害作用を有するペプチドを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、(1):Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu-Argのアミノ酸配列で示されるペプチド、(2):Val-His-Ser-Ser-Leu-Argのアミノ酸配列で示されるペプチド、(3):(1)および(2)のペプチドを含む好中球の活性酸素産生促進剤、免疫増強剤および感染症予防剤、(4):His-Ser-Ser-Leu-Argのアミノ酸配列で示されるペプチド、および(5):(4)のペプチドを含む好中球の活性酸素産生阻害剤および肺炎、急性呼吸促迫症候群、気管支炎、髄膜炎、脳炎、視神経炎、結膜炎、脈絡膜炎、外耳道炎、偏桃炎、皮膚炎、関節炎、血管炎、多発性筋炎、心内膜炎、胸膜炎、腹膜炎、膵炎、糸球体腎炎、食道炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、前立腺炎、子宮体炎;リウマチ、喘息、アトピー性皮膚炎、乾癬、紅斑性狼瘡および感染症に伴う炎症;敗血症、ショック、消化管粘膜のびらん・潰瘍、多臓器不全、播種性血管内血液凝固症候群(Disseminated intravascular coagulation、DIC)およびサルコイドーシスの予防治療改善剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるペプチドは、卵白オボアルブミンをキモトリプシンやペプシン等の酵素によって分解、精製して得ることができ、また、公知の方法で構成アミノ酸を順次結合させて作製することもできる。本発明はペプチドの製造方法によっては限定されない。本発明におけるアミノ酸は、いずれもL体である。
【0008】
本発明に係るペプチドは、活性酸素産生促進剤または阻害剤、免疫増強剤、感染症予防剤、炎症の抑制剤として、また、肺炎、急性呼吸促迫症候群、気管支炎、膵炎、髄膜炎、脳炎、潰瘍性大腸炎、皮膚炎、腎炎、関節炎、血管炎、心内膜炎、胸膜炎、腹膜炎、結膜炎、脈絡膜炎等の各種炎症性疾患の予防治療改善剤として使用できる。さらに、リウマチ、喘息、アトピー性皮膚炎、乾癬、褥蒼、紅斑性狼瘡、糸球体腎炎および感染症に伴う炎症の予防治療改善剤として、また、敗血症、ショック、潰瘍、多臓器不全、播種性血管内血液凝固症候群およびサルコイドーシスの予防治療改善剤として使用できる。
【0009】
本発明において免疫増強とは、人または動物の免疫機能を高めることを意味し、その結果、感染症等の各種疾患の予防治療改善効果を期待することができる。
この様な感染症は特に限定されるものではないが、例えば人のサルモネラ症(Sa1mone11a enteritidis、S.dub1in etc.)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、病原性大腸菌感染症(Escherichia coli)、結核(Mycobacterium tuberculosis)、細菌性赤痢(Shigella dysenteriae, S.flexneri etc.)、インフルエンザ(Human influenzavirus)、免疫不全症侯群(Human immunodeficiency syndrome virus)、風疹(Rubellavirus)、流行性耳下腺炎(Mumps virus)等、牛の乳房炎(Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Streptcoccus agalactiae, Actinomyces pyogenes etc.)、ブルセラ病(Brucella abortus)、カンピロバクター症(Campylobacter fetus)、炭疸(Bacillus anthracis)、牛痘(Cowpox virus)、アカバネ病(Akabane virus)、輸送熱(Pasteurella multocida、Bovine parainfluenza virus)等、馬の鼻疸(Bordetella mallei)、馬伝染性子宮炎(Taylorella equigenitalis)、馬伝染性貧血(Equine infectious anemia virus)、馬動脈炎(Equine arteritis virus)、ボルナ病(Bornavirus)等、豚の萎縮性鼻炎(Bordetella bronchiseptica)、豚丹毒(Erysipelothrix rhusiopathiae)、グレーサー病(Haemophilus parasuis)、豚伝染性胃腸炎(Porcine transmissible gastroenteritis virus)、生殖器呼吸器症侯群(Porcine reproductive and respiratory syndrome virus)、オーエスキー病(Pseudorabies virus)、豚流行性肺炎(Mycoplasma hyopneumoniae)等、鶏のひな白痢(Salmonella pullorum)、伝染性コリーザ(Haemophilus paragallinarum)、伝染性ファブリキウス嚢病(Infectious bursal disease virus)、ニューカッスル病(Newcastle disease virus)、鶏痘(Fowlpox virus)、マレック病(Marek's disease virus)、伝染性喉頭気管炎(Infectious laryngotracheitis virus)、鶏伝染性気管支炎(Avian infectious bronchitis virus)等、犬のレプトスピラ病(Leptospira canicola)、破傷風(Clostridium tetani)、狂犬病(Rabies virus)、ジステンパー(Canine distemper virus)、伝染性肝炎(Canine adenovirus 1)、パルボウイルス感染症(Canine parvovirus)等、猫のネコ白血病(Feline leukemia virus)、ネコ免疫不全症侯群(Feline immnodeficiency virus)、ネコ伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis virus)等、魚類の連鎖球菌症(Enterococcus seriolicida)、類結節症(Pasteurella piscicida)、ビブリオ病(Vivrio anguillarum)、イリドウイルス感染症(Flouder virus)、伝染性造血器壊死症(Infectious haemotopoietic necrosis virus)、伝染性膵臓壊死症(Infectious pancreatic necrosis virus)等が挙げられる。
【0010】
本発明に係るペプチドを使用する場合には、そのまま投与してもよく、また、通常用いられる製剤用担体によって、公知の方法により固形剤とすることも液剤、外用剤とすることもでき、また、それらを食品や飼料、飲水等に混合して使用することもできる。
【0011】
経口用固形製剤を調製する場合には、主薬に賦形剤、結合剤、粘結剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、抗酸化剤、溶解補助剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などとする。
【0012】
上記賦形剤としてはデンプン、コーンスターチ、デキストリン、小麦粉、小麦ミドリング、ふすま、米ぬか、米ぬか油かす、大豆かす、大豆粉、大豆油かす、きな粉、ブドウ糖、乳糖、白糖、マルトース、植物油、動物油、硬化油、高級飽和脂肪酸、脂肪酸、酵母、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化珪素、無水珪素、珪酸カルシウム、珪酸、リン酸一水素カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸第二水素カルシウムなどが用いられる。
【0013】
結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ブロクポリマー、メグルミンなどが用いられる。
【0014】
崩壊剤としてはデンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース・カルシウムなどが使用できる。
【0015】
滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが使用できる。
着色剤、着香料としては医薬品、飼料に添加することが許可されているものであればよく、特に限定されない。
矯味矯臭剤としてはココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等が用いられる。
抗酸化剤としてはアスコルビン酸、α−トコフェロール、エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等医薬品や飼料に添加することが許可されているものであればよい。また、錠剤、顆粒剤は必要に応じてコーティングをしてもよい。
【0016】
注射製剤を製造する場合には、必要に応じて主薬にpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し、常法により製造することができる。この際必要に応じ、凍結乾燥剤とすることも可能である。この注射剤は皮下、皮内、腹腔内、筋肉内等に投与することができる。
【0017】
懸濁化剤としては、例えばメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。
溶解補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが用いられる。
保存剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸などが用いられる。
【0018】
外用剤を製造する場合には、その方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。製剤化する際に使用される基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能である。
【0019】
基剤原料としては、例えば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物類、精製水などの原料が挙げられ、さらに必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料などを添加することができるが、これらに限定されない。
また、必要に応じて分化誘導作用を有する成分、血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合することもできる。なお、上記基剤原料の添加量は、通常外用剤の製造にあたり設定される濃度になる量である。
【0020】
本発明に係るペプチドの投与方法は、投与目的によって適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、経口、筋肉内、脊髄腔内、皮内、皮下、経皮、点眼、腹腔内投与等が挙げられるが、好ましくは経口投与である。
投与量は投与目的によって変動するが、経口投与する場合には、1〜1000mg/kg、好ましくは10〜500mg/kg、さらに好ましくは100〜250mg/kgである。また、注射で投与する場合には0.01〜100mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kgである。
【0021】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 オボアルブミンフラグメントの作製
以下に示す6種類のオボアルブミンフラグメントを、(株)島津製作所製の自動ペプチド合成機(PSSM-8)を使用して作製した。
1)Val-Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu-Arg(以下、オクタペプチドArg)
2)Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu-Arg(以下、ヘプタペプチドArg)
3)Val-His-Ser-Ser-Leu-Arg(以下、ヘキサペプチドArg)
4)His-Ser-Ser-Leu-Arg(以下、ペンタペプチドArg)
5)Val-Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu(以下、ヘプタペプチドLeu)
6)Val-Asn-Val-His-Ser-Ser(以下、ヘキサペプチドSer)
これらのペプチドは、Resource RPC(商品名、Pharmacia Biotech社製)を用いたFPLC(Fast protein liquid chromatography)で精製した。
【0022】
実施例2 好中球の活性酸素産生促進作用(1)
実施例1の方法で作製したオクタペプチドArg、ヘプタペプチドArg、ヘキサペプチドArgおよびペンタペプチドArgについて、好中球の活性酸素産生促進作用を検討した。
最初にコーンらの方法に従って、ラットの腹腔滲出好中球を採取した(Cohn, Z. A. and Morse, S. I., J. Exp. Med., 110, 419-429, 1959)。0.2%オイスターグリコーゲンを含むリン酸緩衝生理食塩液を、ラットの腹腔内に体重の1/20量注入した。その16時間後に、氷冷したリン酸緩衝生理食塩液50mlを腹腔に注入し、腹水を回収した。この操作を2回行い、回収した腹水を150×gで5分間遠心分離し、腹腔滲出好中球を採取した。細胞中に赤血球が混入していた場合には、0.2%塩化ナトリウム溶液を加え溶血させた。
これに上記のペプチドをそれぞれ加え、6分間インキュベートした。その後、ホルボールエステル(Phorbol 12-Myristate 13-Acetate、以下PMA)、またはN-ホルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン(N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine、以下fMLP)を添加し、好中球から産生される活性酸素量を化学発光法で測定した。
【0023】
その結果、PMAで刺激した好中球の1分間当たりの活性酸素産生量は、刺激直後から緩やかに上昇し、約3分後に最大値に達した(図1)。ピーク時の活性酸素産生量は、ペプチド無添加対照(E)と比較してオクタペプチドArg(A)、ヘプタペプチドArg(B)、ヘキサペプチドArg(C)で約2倍の増加がみられた。それに対して、ペンタペプチドArg(D)では、ペプチド無添加対照の1/2程度まで減少した。
fMLP刺激した場合にも、好中球の1分間当たりの活性酸素産生量は、刺激後急激に上昇した(図2)。ピーク時の活性酸素産生量は、ペプチド無添加対照(E)と比較してオクタペプチドArg(A)で約2.3倍、ヘプタペプチドArg(B)で約2倍、ヘキサペプチドArg(C)で約2倍に増加した。それに対して、ペンタペプチドArg(D)では約2/3に減少した。
PMA刺激とfMLA刺激では、ペプチド添加による活性酸素産生量の倍率に多少差異がみられるものの、オクタペプチドArg、ヘプタペプチドArg、ヘキサペプチドArgは、いずれも好中球の活性酸素産生能を増強させるプライミング効果作用を有することが示唆された。一方、ペンタペプチドArgには、好中球の活性酸素産生を阻害する効果がみられた。
【0024】
実施例3 好中球の活性酸素産生促進作用(2)
実施例1の方法で作製したオクタペプチドArg、ヘプタペプチドLeuおよびヘキサペプチドSerの好中球の活性酸素産生促進作用を検討した。好中球から産生される活性酸素量の測定方法は、実施例2と同様とした。
その結果、PMA刺激ではヘプタペプチドLeu(F)を添加した場合の活性酸素産生量は、ペプチド無添加対照(H)とほぼ同量であり、プライミング効果は観察されなかった。また、ヘキサペプチドSer(G)はペプチド無添加時の約1.2倍の活性酸素を産生させたが、オクタペプチドArg程のプライミング活性は有していなかった。fMLP刺激では、ヘキサペプチドSer(G)もヘプタペプチドLeu(F)もともにペプチド無添加対照と同様な活性酸素産生挙動を示し、産生促進効果はみられなかった(図4)。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るヘプタペプチド(Asn-Val-His-Ser-Ser-Leu-Arg)およびヘキサペプチド(Val-His-Ser-Ser-Leu-Arg)は、好中球の活性酸素の産生を促進する作用を有し、生体の免疫能増強剤、感染防御剤として有用である。
また、ペンタペプチド(His-Ser-Ser-Leu-Arg)は、好中球の活性酸素産生を阻害する作用を有し、炎症性疾患や自己免疫性疾患、感染症等に伴われる炎症を抑制することができる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】PMA刺激時の活性酸素産生量を示した図である。
【図2】fMLP刺激時の活性酸素産生量を示した図である。
【図3】PMA刺激時の活性酸素産生量を示した図である。
【図4】fMLP刺激時の活性酸素産生量を示した図である。

Claims (4)

  1. His−Ser−Ser−Leu−Argのアミノ酸配列で示されるペプチド。
  2. 好中球の活性酸素産生阻害作用を有する請求項記載のペプチド。
  3. 請求項に記載のペプチドを含む好中球の活性酸素産生阻害剤。
  4. 請求項記載のペプチドを含む肺炎、急性呼吸促迫症候群、気管支炎、膵炎、髄膜炎、脳炎、潰瘍性大腸炎、皮膚炎、腎炎、関節炎、血管炎、心内膜炎、胸膜炎、腹膜炎、結膜炎、脈絡膜炎、リウマチ、喘息、アトピー性皮膚炎、糸球体腎炎、感染症に伴う炎症ショック、潰瘍および播種性血管内血液凝固症候群の予防治療改善剤。
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