JP4375672B2 - 油圧式動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、四輪駆動車の前輪と後輪の回転差に応じてトルク配分を行う油圧式動力伝達装置に関し、特に急発進時や急制動時に発生する過大トルクをカットするトルクリミッタ機構を備えた油圧式動力伝達装置に関する。
従来の油圧式動力伝達装置を備えたFF方式の4輪駆動車を図7に示す。図7において、エンジン100からの動力はフロントプロペラシャフト101により左右の前輪102L,102Rに伝達され、同時に油圧式動力伝達装置103からリアプロペラシャフト104により左右の後輪105L,105Rに伝達される。
従来の油圧式動力伝達装置103にあっては、フロントプロペラシャフト101を連結したハウジングとリアプロペラシャフト104を連結したロータを備え、ハウジングは内側面に2つ以上のカム山を有するカム面を形成し、ロータはハウジング内に回転自在に配置され、ロータには複数のピストン室がカム面に面して軸方向に形成され、ピストン室のカム面の反対側には吸入及び吐出用の連通路を設けている。
ロータのピストン室の各々には、リターンスプリングの押圧を受けてピストンが往復移動自在に収納され、フロントプロペラシャフト101とリアプロペラシャフト104の間に回転速度差が生じた時にカム面によって駆動される。ロータの各ピストン室に形成した連通路の開口端面側にはピストン室ごとにオリフィスを形成している。
特開平5−044742号公報 特許第2952139号
ところで、このような従来の油圧式動力伝達装置にあっては、車両の急発進時や急制動時に、回転速度差が一時的に大きくなって過大なトルクを発生し、この過大なトルクに見合うように油圧式動力伝達装置はもとより、車両駆動系の強度を高めなければならず、装置の大型化とコストアップを招く問題がある。
そこで従来の油圧式動力伝達装置にあっては、ピストン室から低圧側に至る高圧油路の途中に、チェックボールをスプリングで閉鎖状態に支持したトルクリミッタ弁を設け、スプリング荷重を超える所定の高圧を受けた際にチェックボールにより流路を開いてピストン室からドレーンさせ、過大トルクを抑えるようにしている。
しかしながら、このような従来の油圧式動力伝達装置に対するトルクリミッタ機構としは、例えばロータに設けた複数のピストン室の各々にトルクリミッタ弁を個別に設ける必要があるため、構造が複雑化し、コストアップになるという問題がある。
本発明は、簡単な構造で急発進時や急制動時の過大トルクを抑制するトルクリミッタ機構を備えた油圧式動力伝達装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、
前輪と後輪を個別に駆動する2軸の内の第1軸に連結され、内側面に2つ以上のカム山を有するカム面を形成したハウジングと、
第2軸に連結されると共に、ハウジング内に回転自在にかつ対向的に収納され、複数のピストン室をカム面に面して軸方向に形成し、ピストン室のカム面の反対側にピストン室に連通する吸入連通路と各吸入連通路を連通する環状の吸入連通溝を設けると共に、流動抵抗発生手段としてのオリフィスを備えたピストン室に連通する吸入吐出連通路と各吸入吐出連通路を連通する環状の吸入吐出連通溝を設けたロータと、
複数のピストン室の各々に、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納されると共に、第1軸と第2軸間の相対回転時に前記カム面によって駆動される複数のピストンと、
ロータの吸入連通溝及び吸入吐出連通溝を形成した端面側にハウジングに固定して配置され、吸入吐出連通溝を閉鎖すると共に、吸入連通溝を外部の低圧室に連通する共通吸入口を開口したワッシャ部材と、
を備え、第1軸と第2軸の軸間の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達装置を対象とする。
このような油圧式動力伝達装置につき本発明は、回転速度差の急激な増加に伴って発生する過大トルクを所定値に制限するトルクリミット機構として、
ワッシャ部材の内周側を支持するハウジングの端面に、ワッシャ部材を浮動状態に支持する逃し凹部を前記カム面のカム斜面に対応して円周方向の複数箇所に分離形成し、吸入連通路を介してワッシャ部材に加わる油圧が所定の設定圧を超えた際のワッシャ部材の逃し凹部への変形によりピストン室の高圧油をドレーンさせるトルクリミッタ機構を設けたことを特徴とする。
ここで、トルクリミッタ機構のリミットトルクを決める設定圧を、ワッシャ部材の厚さ、逃し凹部の径方向の長さ、及び逃し凹部の円周方向の角度範囲の少なくとも何れかを調整して設定する。
トルクリミッタ機構は、エンジン側からの動力伝達を受けて第1軸と第2軸の軸間の正方向相対回転により回転速度差に応じたトルクを発生するドライブ時と、車輪側からの動力伝達を受けて第1軸と第2軸の軸間に逆方向相対回転による回転速度差に応じたトルクを発生するコースト時とで、設定圧を異なる値に設定する。
例えばトルクリミッタ機構は、ドライブ時に吐出工程となるカム斜面に対応したワッシャ部材における逃し凹部の円周方向の角度範囲を小さくし、コースト時に吐出工程となるカム斜面に対応した逃し凹部の円周方向の角度範囲を大きくする。
本発明によれば、トルクリミッタ機構は、ロータのピストン室に連通した連通溝を形成した端面に接してハウジング側に固定配置されるワッシャ部材の内周側の部分について、ハウジング側に逃し凹部を形成して浮動状態で支持するという簡単な構造により、急発進時や急制動時の回転速度差の急激な上昇で必要以上の高圧がワッシャ部材に加わった際に、浮動状態に支持されたワッシャ部材の高圧が加わる部分が逃し凹部側に撓み変形してピストン室の高圧油をドレーンし、発生トルクを所定トルクに抑え、過大トルクの伝達を防止できる。
またワッシャ部材を撓み変形させてドレーンするための設定圧は、ワッシャ部材の厚さ、逃し凹部の径方向の長さ、又は逃し凹部の円周方向の角度範囲を変えることで、必要に応じて適宜の設定圧を決めることができる。
更に、急発進となるドライブ時の設定圧を高くし、急制動となるコースト時の設定圧を低くするように、例えば逃し凹部の円周方向の角度範囲を変え、ドライブ時とコースト時のトルクリミット値を異なった適切な値に設定できる。
図1は本発明による油圧式動力伝達装置の実施形態を示した断面図であり、図2に図1における本発明によるトルクリミッタ機構の拡大断面図を示し、更に図3に図1のハウジングを右から見た端面図を示している。尚、図1は図3のA−A断面となる。
図1において、本発明の油圧式動力伝達装置10は、左右に開口した円筒状のハウジング12を有し、ハウジング12の内部右側にカム14をストッパリング15により固定している。
カム14は左端面となる内面側に、円周方向にカム山を形成したカム面16を備えている。この実施形態において、カム面16に形成されるカム山の数は例えば4つとしている。カム14の左側にはロータ18が回転自在に組み込まれている。ロータ18は軸穴20及びこれに連通するスプライン穴22を有し、更に左側にベアリング24を配置している。
ロータ18の軸穴20及びスプライン穴22、更にベアリング24に対しては、例えばリアドライブシャフトを連結固定する。これに対しハウジング12側にはフロントドライブシャフトを連結する。
ロータ18はカム面16側に開口したピストン室26を円周方向に複数形成しており、ピストン室26には軸方向に往復移動自在にピストン28が組み込まれ、ピストン28の背後にはリターンスプリング32が配置され、ピストン28の先端にはボール30が配置され、カム面16に当接している。この実施形態において、ロータ18に設けているピストン室26の数は7つとしている。
ロ―タ18に設けたピストン室26の後部、即ちカム面16に対する反対側には、内周側に吸入連通路34が設けられ、外周側にオリフィス38が設けられ、オリフィス38の左側端面には環状の吸入吐出連通溝40を形成している。また内周側の吸入連通路34の外側に位置するロータ端面には吸入連通溝50が環状に形成されている。
ロータ18の左側にはワッシャ部材36が配置される。ワッシャ部材36は固定ピン72(図3参照)によりハウジング12に位置決め固定されている。ワッシャ部材36はロータ18の端面との密着により、ロータ18の端面に開口している吸入連通路34、吸入連通溝50及び吸入吐出連通溝40のそれぞれを閉鎖している。
ハウジング12の左側下部の位置には温度スイッチ52が組み込まれ、温度スイッチ52の先端のプランジャ54に相対したワッシャ部材36の位置に共通吸込口48を開口し、吸込連通溝50を外部の低圧室46に連通している。
温度スイッチ52は、油の温度が上昇して予め設定した所定温度に達すると作動し、プランジャ54を共通吸入口48に押し付けて閉鎖し、ピストン室26に対する低圧室46側からの油の吸入を停止することで、本発明の油圧式動力伝達装置10のトルク伝達機能を失わせて2輪駆動状態とする。
カム面16の谷に対応した4ケ所の位置に配置している吸入開口68(図3参照)は、ピストン室26における油の低圧室からの吸入がオリフィス38のみから行われるが、これらのオリフィス38からの吸入だけでは吸入量が不足することから、これを補うためカム谷のピークに対応した初期位置で補助的に油を吸入するために吸入開口68を設けている。
ハウジング12とロータ18との間に回転速度差が生じた際のピストン28のカム面16によるストロークでピストン28が左方向に移動する吐出工程において、ピストン室26の油はオリフィス38を通って、環状の吸入吐出連通溝40に送り出される。このときオリフィス38を流れる油の流動抵抗によりピストン室26に高圧が発生し、これによってハウジング12とロータ18間でトルク伝達が行われる。
ロータ18に設けている吐出工程にあるピストン28のピストン室26からは、吐出した油がオリフィス38を通って吸入吐出連通溝40に送り出されるが、同時に吸入工程にあるピストン28については吸入吐出連通溝40から油がオリフィス38を通って吸入された状態となる。
このため吸入吐出連通溝40は、吐出状態にあるピストン室26の高圧と吸入状態にあるピストン室26の低圧との間の中間の油圧に置かれる。即ち、吐出状態にあるピストン室26の高圧室と吸入状態にあるピストン室26の低圧室46に対し、吸入吐出連通溝40は、その間の油圧となる中圧室を構成している。
ハウジング12の上部左側にはアキュームレータ室56が形成され、ここにアキュームレータピストン58を組み込んでおり、内部の油の体積変化に応じアキュームレータピストン58がストロークして体積変化を吸収する。アキュームレータピストン58の左側は大気に開放されており、したがって低圧室46の圧力は大気圧と同じ状態にある。
またストッパリング15によりハウジング12に固定されたカム14の外周部にはOリング25が組み込まれ、更にロータ18の軸穴20及びスプライン穴22の外周軸部のそれぞれにはシール60,62が組み込まれ、内部の油を密閉状態に封止している。
このような油圧式動力伝達装置10につき、急発進時または急制動時に回転速度差が一時的に大きく上昇した際の必要以上の高圧をドレーンして発生トルクを抑えるトルクリミッタ機構として、ワッシャ部材36の内周側を支持しているハウジング12の端面部分に逃し凹部42を形成し、この逃し凹部42の形成でワッシャ部材36の吸入連通路34が相対した内周部分を浮動状態で支持している。
このトルクリミッタ機構は、図2の拡大断面図で更に明らかとなる。図2において、ワッシャ部材36の内周部分につき、ハウジング12の端面に逃し凹部42を形成し、吸入連通路34に相対したワッシャ部材36の内側部分36aを浮動状態で支持している。
このため、車両の急発進時あるいは急制動時に回転速度差が大きくなってピストン室26に必要以上の高圧が発生すると、ピストン室26の高圧は吸入連通路34を介してワッシャ部材36の内周側に加わり、所定圧を超えると、図示のように高圧による押圧を受けてワッシャ部材36の内周部36aが逃し凹部42側に撓み変形し、吸入連通路34を低圧室側に開放し、ピストン室26の高圧油をドレーンさせる。
このワッシャ部材36の撓み変形による高圧のドレーンによりピストン室26の油圧は規定値に抑えられ、これに対応したトルクリミット値に抑えることができる。
本発明のトルクリミッタ機構でトルクリミット値(ドレーン設定圧)を決める要素としては次の3つがある。
(1)ワッシャ部材36の厚さt
(2)逃し凹部42の径方向の長さh
(3)逃し凹部42の円周方向の角度範囲
なお、逃し凹部42の円周方向の角度範囲については図3の説明で明らかにする。
図3は図1のハウジング12を取り出して右側から見た端面図であり、ワッシャ部材36を配置する内部の端面部分の形状が明らかである。また図3にあっては、ロータ18に設けているピストン28の位置を想像線で示しており、同時にピストン28に設けているオリフィス38及び吸入連通路34についても、その位置を表わしている。更に図1のカム面16に形成している山と谷の位置を併せて示している。
図3のハウジング12のワッシャ部材36には吸入開口68が形成され、この吸入開口68の位置にロータ18のピストン28が回転してくると、図1のロータ18の端面に形成している吸入連通路34は、吸入スリット68、連通溝50及び共通吸込口48を介して低圧室46に連通し、カム面の谷を中心とした吸入開口68の開口幅の範囲で低圧室46から油をピストン室26に吸入することになる。
またハウジング12の内部端面の左下側には温度スイッチ52が組み込まれており、この温度スイッチ52を通る半径方向の位置及びこれに対し左右90°異なった位置のそれぞれに、内側から外側に連通する連通溝70が3箇所に形成され、内側と外側の低圧室を連通している。
更に、ハウジング12のワッシャ部材36が配置される内部端面の内周側には、4箇所に分けて逃し凹部42が形成されている。逃し凹部42の形状は、右上部の逃し凹部42について斜線で分けて示すように、45°の角度範囲となるドライブ時吐出工程領域64とコースト時吐出工程領域66について、円周方向の角度範囲を異ならせている。
即ち、通常走行におけるエンジン側から車輪側に動力を伝達するドライブ時吐出工程領域64については、斜線部42aに示すように角度θ1の範囲を逃し凹部としている。これに対し急制動時に車輪側からエンジン側に動力が伝達されるコースト時吐出工程領域66については、斜線部42bに示すように角度θ2の範囲を逃し凹部としている。
このように、ドライブ時吐出工程領域64の斜線部42a の逃し凹部の角度をθ1と小さくしたことで、ワッシャ部材は斜線部42aの狭い領域について浮動状態にあり、斜線部42aで浮動状態にあるワッシャ部材の部分を撓み変形させて油をドレーンさせるための圧力は高めに設定されることになる。
これに対しコースト時吐出工程領域66の斜線部42bの角度θ2となる広い領域によるワッシャ部材の浮動状態の支持にあっては、ワッシャ部材を撓み変形して油をドレーンさせるための圧力は低めに設定されることになる。
このようなドライブ時吐出工程領域64における斜線部42aの逃し凹部の角度θ1とコースト時吐出工程領域66における斜線部42bの逃し凹部の角度領域θ2を異ならせることで、ドライブ時のトルクリミット値(ドレーン設定圧)を高くし、コースト時のトルクリミット値(ドレーン設定圧)を低くすることができる。
図4は本発明の油圧式動力伝達装置におけるドライブ時とコースト時のロータを固定して見たカム回転に対する吐出工程と吸入工程の説明図である。
図4(A)は、通常走行において油圧式動力伝達装置10がエンジン側から動力伝達を受けて相対回転した際のカム面16の動きに対するピストン28の往復運動をカム面16を直線展開して示している。ドライブ時のカム面16の回転に対しロータ18側のピストン28は、カム面16の山76の右斜面78と左斜面80では異なった動きをする。
まず右斜面78に当接しているピストン28は、カム面16のドライブ時の左方向への移動によって山76の斜面78を下ることとなり、ピストン28は吸入工程となる。この吸入工程にあっては、吸入吐出連通溝40からオリフィス38を介して油を吸入する。
一方、山76の左斜面80に当接しているピストン28は、カム面16のドライブ時の移動により押し上げられ吐出工程となっている。この吐出工程にあっては、ピストン室26からの油はオリフィス38を通って吸入吐出連通溝40に吐出され、オリフィス38を通る時の流動抵抗によりピストン室26に高圧を発生し、これによってロータとハウジング間でトルク伝達を行う。
図4(B)は急制動により車輪側から動力伝達を受けるコースト時のカム面16とロータの相対回転によるピストンの動きを示しており、ロータ側を固定し、カム面16側が回転する状態で、直線展開して表わしている。
この急制動時となるコースト時にあっては、図4(A)のドライブ時に対してカム面16の回転方向が矢印で示すように逆方向となっている。このため、山76の右斜面78によりピストン28が押し上げられて吐出工程となり、一方、山76の左斜面80によりピストン28は下げられて吸入工程となっている。
図5(A)は図4(A)のドライブ時におけるカム面の山と谷に対応する吸入工程と吐出工程、更にドライブ時におけるワッシャ部材36を浮動状態に支持する逃し凹部42aを斜線部で表わしている。
図5(A)のドライブ時にあっては、ロータ回転方向は、ハウジング12側を固定とすると左回転となっており、カム面の谷から山へ向かう工程が吐出工程となり、山から谷へ向かう工程が吸入工程となっている。
このドライブ時における吐出工程となる45°の範囲に対応した斜線部42aで示す面積の小さな逃し凹部でワッシャ部材36の内周側が浮動支持されており、ワッシャ部材36の支持面積が大きいため、ドライブ時の急発進による必要以上の油が発生した場合の撓み変形によるドレーンの設定圧は高めに設定されることになる。
図5(B)は、図4(B)と同じコースト時につきハウジングを固定し、ロータ回転方向を右回転として吸入及び吐出工程を示している。コースト時となるロータ右回転にあっては、カム面の谷から山に向かう45°の範囲が吐出工程、山から谷に向かう45°の範囲が吸入工程となっている。
コースト時の吸入工程に位置する斜線部で示す逃し凹部42bは、図5(A)のドライブ時に比べ面積が大きく、ワッシャ部材36の内周側の浮動支持部分は面積が大きくワッシャ部材36の支持面積が小さいため、ドレーン設定圧は低めに設定されることになる。
図6は本発明によるトルクリミッタ特性を示したグラフ図である。図6において、横軸で示すハウジング12とロータ18の回転速度差ΔNに対し、発生トルクはオリフィス38を通る流量の2乗に比例して増加する。
ドライブ時にあっては、高めのトルクリミット値T1が設定されており、急発進により必要以上の高圧が発生すると、ワッシャプレートが撓んでピストン室の油を低圧側にドレーンすることで、回転速度差ΔNが増加しても発生トルクはトルクリミット値T1に抑えられる。
一方、急制動時の急激な回転速度差ΔNの上昇による必要以上の高圧の発生時にあっては、低めに設定したトルクリミット値T2に達した時にワッシャ部材の撓み変形で必要以上に発生した高圧がドレーンされ、トルクリミット値T2に抑えられる。
これによって、ドライブ時及びコースト時のいずれについても、急発進や急制動で生ずる過大なトルクをトルクリミット値T1,T2に抑えることができ、油圧式動力伝達装置及び車両駆動系の強度としてはトルクリミット値T1,T2に見合った強度を満足すればよく、過大トルクに対応して強度を高くする必要がなく、油圧式動力伝達装置及び車両駆動系の大型化とコストアップを防ぐことができる。
なお上記の実施形態にあっては、ドライブ時とコースト時につき、ワッシャ部材36を浮動状態に支持する逃し凹部42の面積を異ならせて、それぞれのトルクリミット値を異なる値に設定しているが、ドライブ時とコースト時で同一のトルクリミット値とすることも可能であり、必要に応じて適宜のトルクリミット値を設定することができる。
また上記の実施形態にあっては、ハウジング12側に形成する逃し凹部42の円周方向の角度範囲θ1,θ2によりドライブ時とコースト時のトルクリミット値を異ならせているが、ワッシャプレートの厚さや逃し凹部42の径方向の長さhを異ならせることで、ドライブ時とコースト時のトルクリミット値を変えるようにしてもよい。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
本発明の一実施形態を示した断面図 図1における本発明によるトルクリミッタ機構の拡大断面図 図1のハウジングを右から見た端面図 ドライブ時とコースト時のロータを固定して見たカム面の相対回転に対する吸入吐出工程を直線展開して示した説明図 ドライブ時とコースト時のハウジングを固定して見たロータ回転に対する吸入吐出工程とワッシャ部材浮動状態に支持する逃し凹部を斜線部で示した説明図 本発明によるトルクリミッタ特性を示したグラフ図 油圧式動力伝達装置を備えた四輪駆動車の説明図
符号の説明
10:油圧式動力伝達装置
12:ハウジング
14:カム
15:ストッパリング
16:カム面
18:ロータ
20:軸穴
22:スプライン穴
24:ベアリング
25:Oリング
26:ピストン室
28:ピストン
30:ボール
32:リターンスプリング
34:吸入連通路
36:ワッシャ部材
38:オリフィス
40:吸入吐出連通溝
42:逃し凹部
42a:ドライブ用逃し凹部
42b:コースト用逃し凹部
46:低圧室
48:共通吸入口
50:吸入連通溝
52:温度スイッチ
54:プランジャ
56:アキュームレータ室
58:アキュームレータピストン
60,62:シール
64:ドライブ時吐出工程領域
66:コースト時吐出工程領域
68:吸入開口
70:連通溝
72:固定ピン
74:谷
76:山
78,80:斜面

Claims (4)

  1. 前輪と後輪を個別に駆動する2軸の内の第1軸に連結され、内側面に2つ以上のカム山を有するカム面を形成したハウジングと、
    第2軸に連結されると共に、前記ハウジング内に回転自在にかつ対向的に収納され、複数のピストン室を前記カム面に面して軸方向に形成し、前記ピストン室のカム面の反対側に前記ピストン室に連通する吸入連通路と各吸入連通路を連通する環状の吸入連通溝を設けると共に、流動抵抗発生手段としてのオリフィスを備えた前記ピストン室に連通する吸入吐出連通路と各吸入吐出連通路を連通する環状の吸入吐出連通溝を設けたロータと、
    前記複数のピストン室の各々に、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納されると共に、前記第1軸と第2軸間の相対回転時に前記カム面によって駆動される複数のピストンと、
    前記ロータの前記吸入連通溝及び前記吸入吐出連通溝を形成した端面側に前記ハウジングに固定して配置され、前記吸入吐出連通溝を閉鎖すると共に、前記吸入連通溝を低圧室に連通する共通吸入口を開口したワッシャ部材と、
    を備え、前記第1軸と第2軸の軸間の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達装置に於いて、
    前記ワッシャ部材の内周側を支持する前記ハウジングの端面に、前記ワッシャ部材を浮動状態に支持する逃し凹部を前記カム面の斜面に対応して円周方向の複数箇所に分離形成し、前記吸入連通路を介して前記ワッシャ部材に加わる油圧が所定の設定圧を超えた際の前記ワッシャ部材の前記逃し凹部への変形により前記ピストン室の高圧油をドレーンさせるトルクリミッタ機構を設けたことを特徴とする油圧式動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の油圧式動力伝達装置に於いて、前記トルクリミッタ機構のリミットトルクを決める設定圧を、前記ワッシャ部材の厚さ、前記逃し凹部の径方向の長さ、及び前記逃し凹部の円周方向の角度範囲の少なくとも何れかを調整して設定することを特徴とする油圧式動力伝達装置。
  3. 請求項1記載の油圧式動力伝達装置に於いて、前記トルクリミッタ機構は、エンジン側からの動力伝達を受けて前記第1軸と第2軸の軸間の正方向相対回転により回転速度差に応じたトルクを発生するドライブ時と、車輪側からの動力伝達を受けて前記第1軸と第2軸の軸間に逆方向相対回転による回転速度差に応じたトルクを発生するコースト時とで、前記設定圧を異なる値に設定したことを特徴とする油圧式動力伝達装置。
  4. 請求項3記載の油圧式動力伝達装置に於いて、前記トルクリミッタ機構は、ドライブ時に吐出工程となるカム斜面に対応した前記ワッシャ部材における前記逃し凹部の円周方向の角度範囲を小さくし、コースト時に吐出工程となるカム斜面に対応した前記逃し凹部の円周方向の角度範囲を大きくしたことを特徴とする油圧式動力伝達装置。
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