JPH05223062A - ロータリベーンポンプ - Google Patents

ロータリベーンポンプ

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Publication number
JPH05223062A
JPH05223062A JP2298892A JP2298892A JPH05223062A JP H05223062 A JPH05223062 A JP H05223062A JP 2298892 A JP2298892 A JP 2298892A JP 2298892 A JP2298892 A JP 2298892A JP H05223062 A JPH05223062 A JP H05223062A
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JP
Japan
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pressure
pump chamber
pump
vane
stroke
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Pending
Application number
JP2298892A
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English (en)
Inventor
Akira Takagi
章 高木
Yasuhiro Horiuchi
康弘 堀内
So Yokoyama
創 横山
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、ベーンの離間現象の発生といった
問題なく、使用圧力の平均値に予圧縮圧力が設定できる
ようにすることを主な特徴とする。 【構成】シリンダ29に、予圧縮行程αに至るポンプ室
46の圧力を、このポンプ室46を構成する各ベーン4
4の背圧室43aに導く通路50を設けたことにある。
これによって、使用圧力が低い条件での使用時、予圧縮
行程αにおいて吐出圧力(背圧力)よりも高くなるポン
プ室46の圧力を、通路50を通り、予圧縮行程αのポ
ンプ室46を構成するベーン44の背圧室43aに導入
させて、常にポンプ室46との圧力平衡関係を保つよう
にし、たとえポンプ室内46の圧力が高くなっても、ベ
ーン44の先端がシリンダ29の内周面から離れるよう
なことがないようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、吸入行程から吐出行
程に移行する間に予圧縮行程を設けて構成されるロータ
リベーンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】流体、例えば油の圧送などに用いられる
ロータリベーンポンプは、偏平な円形型に構成されたシ
リンダ内にロータを偏心させて設け、このロータの外周
部にベーン溝を放射状に設け、これらベーン溝にベーン
を半径方向に摺動自在に嵌挿した構成が用いられ、ベー
ンの各先端をシリンダの内周面に沿って摺接させなが
ら、ロータを回転させることにより、流体の圧送ができ
る構造となっている。
【0003】具体的には、隣接するベーン間に構成され
るポンプ室の容積は、ロータの回転にしたがって変位す
るベーンの飛出長によって変化するので、同容積変化を
利用して、吸入ポートから流体をシリンダ内に吸入した
後、吐出ポートからシリンダ外へ吐出させるようにして
いる。
【0004】こうしたロータリベーンポンプでは、一般
に所定の吸入行程と吐出行程とを行なわせるために、各
ベーンを収容するベーン溝の後端部に背圧室を形成し、
この背圧室に吐出圧力を導入することが行われている。
【0005】なぜならば、吐出行程においては、ベーン
の背圧を少なくとも吐出圧以上に設定しないと、ベーン
の先端がシリンダの内周面から離れてしまう。また吸入
行程においては、低温時の吸込圧損の大きな状態のと
き、背圧室の圧力がポンプ室の圧力よりも相当に低くな
ることが見られ、遠心力によるベーンの飛び出し力に打
ち勝てずにベーンが飛び出さない現象が起きるからであ
る。
【0006】つまり、こうしたベーンの離間現象を防止
するために、吐出行程のみならず、吸入行程において
も、ベーンの後端に吐出圧を与えるようにしてある。
【0007】ところで、ロータリベーンポンプにおいて
は、吸入行程から吐出行程に切換わる際、ポンプ室を一
定時間密閉状態にして圧縮させ、同ポンプ室内の圧力を
ある程度上昇させた後、吐出行程に移行させると、吸入
ポートから吐出ポートへの切換わり時、ポンプ室におい
て急激な圧力変動が発生しないことが知られている(予
圧縮)。
【0008】そのため、ロータリベーンポンプでは、一
般的に吸入行程から吐出行程へ移行する間、詳しくは吸
入ポートと吐出ポートとの間のシリンダ部分に、予圧縮
区間、すなわち予圧縮行程を設けて、ポンプ室の急激な
圧力を変動を防ぎ、同圧力変動を原因としたポンプの騒
音,振動を低減することが行われている。
【0009】このようなロータリベーンポンプは、予圧
縮行程での予圧縮量がポンプの騒音、振動に影響するこ
とになる。
【0010】しかし、予圧縮量はシリンダの内周面のプ
ロフィールと、予圧縮行程の角度と、ポンプ室からの漏
れ量とにより、一義的に決定されてしまうために、吐出
圧(使用圧力)が様々に変化するロータリベーンポンプ
の使用条件の全範囲に適合させることは困難である。し
かも、以下のような理由から予圧縮圧力を吐出圧力(使
用圧力)よりも低くなるように設定せざるを得ない事情
にある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、予圧縮圧力
を、例えば最大使用圧力と最低使用圧力との平均値とな
る吐出圧力に設定すれば、最大圧力から最小圧力まで、
ある程度、適合可能となると考えられる。
【0012】ところが、「平成3年の油空圧講演会」の
「平成3年5月23日付」発表の可変容量形ベーンポン
プの研究(圧力上昇過程におけるベーン離間現象)の論
文にも開示されているように、吐出圧が高い条件でロー
タリベーンポンプを使用するときは、図12の(a),
(b)で示すポンプ室内圧力,ベーン背圧圧力(使用圧
力)の変化状態の線図のようにベーンの離間現象を発生
するような挙動は示さないものの、吐出圧が低い条件で
ロータリベーンポンプを使用すると、図13の(a),
(b)で示すポンプ室内圧力,ベーン背圧圧力(吐出圧
力)の変化状態の線図のように、吸入行程から吐出行程
に移行する間の予圧縮行程において、図中Aの如くポン
プ室内圧力が吐出圧力よりも高くなるような現象が発生
することがある。
【0013】このような挙動が生じると、ベーンの先端
がシリンダの内周面から離れる現象が発生して、ポンプ
としての機能を大幅に損なう。
【0014】こうしたことが無いようにするためには、
予圧縮圧力を吐出圧力(使用圧力)よりも低く設定せざ
るを得ない。
【0015】しかし、この設定では、逆に吐出圧力が高
い場合、予圧縮圧力が低いので、ポンプ室が吐出ポート
と連通する瞬間に大きな圧力変動が発生して騒音、振動
が発生し、以前の予圧縮行程が無いときと同様になって
しまう。
【0016】特開昭62ー276286号公報では、予
圧を減圧側の行程に導入させる技術が開示されている
が、これでも、やはり予圧縮圧力を吐出圧力(使用圧
力)以下に設定せざるを得ず、解決には至らなかった。
【0017】この発明は、このような事情に着目してな
されたもので、その目的とするところは、低吐出圧時に
おけるベーンの離間現象の発生といった問題なく、使用
圧力の平均値に予圧縮圧力を設定することができるロー
タリベーンポンプを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明のロータリベーンポンプは、シリンダに、予
圧縮行程に至るポンプ室の圧力を、このポンプ室を構成
する各ベーンの背圧室に導く通路を設けたことにある。
【0019】
【作用】この発明のロータリベーンポンプによると、予
圧縮圧力を使用圧力(吐出圧力)の平均値に設定する
と、使用圧力(吐出圧力)が高い条件でのロータリベー
ンポンプの使用時は、「従来の技術」の項でも述べたよ
うにベーンの離間現象は発生しない。
【0020】また使用圧力(吐出圧力)が低い条件での
ロータリベーンポンプの使用時は、吸入行程から吐出行
程へ移行する間の予圧縮行程において、ポンプ室内圧力
が吐出圧力よりも高くなる。
【0021】しかし、そのときのポンプ室内圧力は、通
路を通り、予圧縮行程のポンプ室を構成するベーンの背
圧室に導入される。これにより、同背圧室の背圧圧力は
上昇し、ポンプ室との圧力平衡関係を保つようになる。
【0022】それ故、ポンプ室内圧力が高くなっても、
ベーンの先端がシリンダの内周面から離れるようなこと
はない。
【0023】したがって、予圧縮圧力を、使用圧力の最
大圧から最小圧まで適合可能な使用圧力(吐出圧力)の
平均値に設定することができることとなる。
【0024】よって、使用域の全域において、常に安定
したポンプ性能と低騒音、低振動を確保することができ
るようになる。
【0025】
【実施例】以下、この発明を図1ないし図11に示す一
実施例にもとづいて説明する。
【0026】図4は、この発明のロータリベーンポンプ
を用いてシステム化された自動車(車両)のラジエータ
1(エンジンを冷却する冷却水を放熱する熱交換器)を
冷却する油圧駆動式の冷却装置を示す。
【0027】ここで、まず、同冷却装置について説明す
ることにする。
【0028】すなわち、図中2はロータリベーンポンプ
である。なお、このロータリベーンポンプ2の詳細な構
造については後述する。
【0029】また、図中3は冷却ファン3aが直結され
た油圧モータ、4はリザーバタンクである。そして、上
記ロータリベーンポンプ2の吸込部2aおよび吐出部2
bに、油循環路5を介して、油圧モータ3、リザーバタ
ンク4が順に連結されている。
【0030】ロータリベーンポンプ2は、図示しない自
動車の走行用エンジンに対し、ベルトなどの伝達手段を
介して接続されている。これにより、走行用エンジンで
駆動されるロータリベーンポンプ2にしたがい、油循環
路5に油(流体)を循環させて、油圧モータ3を駆動さ
せる構造となっている。つまり、冷却ファン3aで、ラ
ジエータ1に対し、外気を送風して、同ラジエータ1を
冷却できるようにしてある。なお、1aはラジエータ1
と対向して設けた、自動車用空調装置の冷凍サイクル
(図示しない)を構成する凝縮器を示す。
【0031】油循環路5には、油圧モータ3と並列にバ
イパス路6が接続してある。バイパス路6には、例えば
ソレノイド駆動式の圧力制御弁7が設けられ、同圧力制
御弁7の作動にしたがって油圧モータ3を循環する油量
を可変できるようにしている。
【0032】一方、8はマイクロコンピュータおよびそ
の周辺の機器から構成されたECU(エレクトロニック
コントロール ユニット)である。このECU8に
は、上記圧力制御弁7のソレノイド7a、ラジエータ1
に設けた水温センサ9が接続されている。
【0033】またECU8の記憶部には、例えば所定の
設定温度と水温センサ9から検出されるラジエータ温度
との差にしたがって、圧力制御弁7の開度位置を定める
機能が設定されている。これにより、油圧モータ3の出
力を制御[風量制御(=冷却能力制御)]して、エンジ
ンの回転に関わらず、ラジエータ1の温度を所定の設定
温度に保つようにしてある。なお、10は自動車用空調
装置を運転させるためのエアコンスイッチで、このエア
コンスイッチ10のオンオフ信号をECU8に出力する
ことによって、先の設定温度を大きな温度値に変更する
ようにしてある。
【0034】他方、11は圧力感知式の流量制御弁を構
成する3方3位置のスプール弁である。このスプール弁
11の入口部11aは、流路6aを介してバイパス路6
に設けたオリフィス12の上流側に接続され、出口部1
1bは流路6bを介してオリフィス12の下流側とな
る、リザーバタンク4と圧力制御弁7との間の油循環路
部分に接続されている。またスプール弁11の出力部1
1cは、流路6cを介してロータリベーンポンプ2の吐
出量制御用のポート2cに接続されている。
【0035】またスプール弁11の上部端にある弁駆動
用のポート部11dは、流路6dを介してオリフィス1
2の上流側のバイパス路部分に接続され、下部端にある
弁駆動用のポート部11eは、流路6eを介してオリフ
ィス12の下流側のバイパス路部分に接続されている。
さらにスプール弁11には、ポート部11eから導入さ
れる圧力と共に、スプール弁11をポート部11d側に
押圧するスプリング11fが設けられている。
【0036】これにより、スプール弁11は、オリフィ
ス12,スプリング11f,バランス圧力などで遮断モ
ードXが設定される。またポート部11dから導入され
る圧力とポート部11eから導入される圧力との差にし
たがって、上流側からの力が大なときは、上記遮断モー
ドXからポート2aと出口部11bとを連通するモード
Y、下流側からの力が大なときはポート2aと入口部1
1aとが連通するモードZに移行させるようにしてあ
る。これによって、ロータリベーンポンプ2へ、同ポン
プ2の吐出流量を制御するのに必要な制御圧を出力でき
るようにしている。
【0037】こうした冷却装置を構成するロータリベー
ンポンプ2の構造が、図1および図2に示されている。
【0038】このロータリベーンポンプ2について説明
すれば、20は本体を構成するケーシングである。ケー
シング20は、略環枠状に形成されたハウジング21
と、この両側に同ハウジング21を挟むようにして重ね
たリアカバー22,フロントカバー23とをボルト24
によって締結して構成される。
【0039】このケーシング20の内部に形成された短
筒状の空間24aには、カムリング25が収容されてい
る。またこの空間24aの上部には、同空間24aを貫
通するようにして、支持ピン26が架設されている。こ
の支持ピン26に、カムリング25の上部に形成された
支持部25aが回動自在に支持され、カムリング25の
全体を支持ピン26を支点として揺動自在に支持させて
いる。なお、カムリング25の下部にはカム変位用の帯
状の突起27が斜め下方に向って突設してある。
【0040】空間24aに臨むリアカバー22およびフ
ロントカバー23の内面には、それぞれサイドプレート
28a,28bが取着されている。そして、各サイドプ
レート28a,28bの内面はカムリング25の側面に
摺接していて、シリンダ29を構成している。すなわ
ち、サイドプレート28a,28b、カムリング25で
囲まれる円形状の空間にシリンダ室29aを形成する構
造となっている。またサイドプレート28a,28bの
うちの例えばサイドプレート28aの内面には、円弧形
の吸入ポート30、吐出ポート31が設けてある。そし
て、このうちの吸入ポート30が吸込通路30aを介し
て上記吸込部2aに連通し、吐出ポート31が吐出通路
31aを介して上記吐出部2bに連通している。
【0041】シリンダ室29aには、円形のロータ32
が偏心して配設されている。具体的には、ロータ32の
軸心は、支持ピン26の軸線を通るロータリベーンポン
プの径方向のセンタライン33上に配置されている。
【0042】そして、このロータ32の軸心を貫通する
ロータシャフト32aの両端部は、リアカバー22およ
びフロントカバー23に設けた軸受34,35に回転自
在に支持され、ロータ32をシリンダ室29a内の偏心
した位置で回転できるようにしてある。なお、36はハ
ウジング21とカバー22,23との間をシールするた
めのOリング、37はロータシャフト32aをシールす
るためのオイルシールである。
【0043】フロントカバー23から外部に突出したロ
ータシャフト32aの右端部には、自動車の走行用エン
ジンの出力を受けるためのプーリ38がボルト39によ
って固定され、エンジンの運転にしたがってロータ32
を回転させるようにしてある。なお、40はリアカバー
22の内部に埋め込まれたロータシャフト32aの左端
部をシールするためのシールワッシャ、41は同左端部
が露出する開口を遮蔽するためのリアキャップ、42は
同リアキャップ41とこれに接するリアカバー22の座
部分との間をシールするシール材である。
【0044】上記ロータ30の外周部には、等間隔に並
んだ複数のベーン溝43が放射状に形成してある。これ
ら各ベーン溝43には、それぞれベーン44が摺動自在
に嵌挿されている。また各ベーン溝43の後端部に形成
された背圧室43aは、サイドプレート28aの内面に
設けた背圧導入用の環状な溝44aに開口している。そ
して、この溝44aは、サイドプレート28aに設けた
通路45を介して、上記吐出通路30aに連通してい
て、吐出圧力を各ブレード溝43の背圧室43aに導入
できるようにしてある。つまり、半径方向に摺動自在と
なっているベーン44を後端から付勢して、ベーン先端
をカムリング25の内周面に接触させるようにしてい
る。これにより、隣接するベーン44,44間には、ロ
ータ32の回転にしたがって容積が変化するポンプ室4
6が構成される。この各ポンプ室46の容積変化によ
り、油循環路5の油を吸入ポート30から吸入し、これ
を圧送して、吐出ポート31から吐出させるようにして
ある。つまり、吸入ポート30の領域を吸入行程とし、
吐出ポート31を吐出行程としたポンプサイクルを構成
している。
【0045】この吸入行程から吐出行程に移行するシリ
ンダ部分には、予圧縮行程αが設けられている。この予
圧縮行程の予圧縮量は、「従来の技術」の項で述べたよ
うにカムリング25の内周面(シリンダの内周面)のプ
ロフィールと、予圧縮行程の角度と、ポンプ室46から
の漏れ量とにより、一義的に決定されたものとなってい
る。
【0046】この予圧縮行程αに、この発明の要部とな
る圧力導入手段が設けられている。
【0047】この構造について説明すれば、例えば予圧
縮行程αを構成するサイドプレート28aの内面部分に
は、導入用のポート47が設けられている。このポート
47は、図3の(a),(b)に示されるように吸入ポ
ート30aと吐出ポート31との中間位置に配置されて
いて、予圧縮行程α、すなわち吸入ポート30aと吐出
ポート31との間にポンプ室46があるときにのみ、同
ポンプ室46に対して連通するようにしてある。
【0048】またサイドプレート28aの内面には、予
圧縮行程αに至るポンプ室46を構成するベーン44,
44の各背圧室43a,43aの位置に対応して、一対
の導出用のポート48a,48bが設けられている。そ
して、これら導出用のポート48a,48bと上記導入
用のポート47とは、同間に設けた例えばT字状の溝部
49を介して、相互が連通している。
【0049】こうして構成される通路50により、予圧
縮行程αに至るポンプ室46の圧力を、そのポンプ室4
6を構成するベーン44,44の背圧室43a,43a
に導入できるようにしてある。
【0050】他方、ハウジング21の内部には、上記カ
ムリング25の突起27と直交する方向に沿って、孔部
51が設けられている。そして、この孔部51の上記突
起27を境とした右側部分には、コイルスプリング52
を内蔵した固定キャップ53で構成される付勢ユニット
54が進退可能に螺挿されていて、突起27を所定の力
で押圧させるようにしてある。また孔部51の左側部分
には、押圧子となるピストン55、固定キャップ56、
さらにこれら間に介装したコイルピストン57で構成さ
れるピストンユニット58が進退自在に嵌挿され、突起
27を反対の方向からも押圧するようにしてある。
【0051】そして、上記ピストンユニット58におけ
るピストン55と固定キャップ56との間は、図示しな
い通路を介して上記ポート2cに連通していて、上記ス
プール弁11から発生する出力圧力の大小にしたがっ
て、カムリング25を揺動変位させるようにしてある。
これにより、バイパス路6で発生する圧力にしたがい、
カムリング25のロータ32に対する偏心量を可変し
て、ロータリベーンポンプからの吐出量を可変できるよ
うにしている(ポンプ室46の容積が偏心量の差異によ
って変化することによる)。つまり、コイルスプリング
52の弾性力で設定した設定位置を基準として、カムリ
ング25の偏心量を可変して、ポンプ仕事量を冷却ファ
ン3aの作動状況に応じて制御させるようにしてある。
【0052】つぎに、このように構成された冷却装置の
作用を説明する。
【0053】自動車の走行用エンジンが始動されると、
同エンジンの回転がベルト(図示しない)、プーリ38
を介して、ロータシャフト32aに伝達される。これに
より、ロータ32が回転駆動され、各ベーン44が同ロ
ータ44と共にシリンダ室29aを偏心しながら移動し
ていく。
【0054】ここで、各ベーン溝43の背圧室43aに
は、吐出圧力がベーン44の背圧圧力として導入される
から、各ベーン44の先端は、カムリング25の内周面
と常に接触しながらシリンダ室29を移動する。
【0055】これにより、隣合うベーン44,44で構
成されるポンプ室46は、容積がロータ32の回転にし
たがって変化し、まず、吸入ポート30aの部位におい
て油を吸入する。ついで、この吸入行程から予圧縮行程
αに進み、同区間でポンプ室46の圧力は、吸込圧力か
ら設定された圧力まで上昇する(予圧縮)。
【0056】なお、このときの予圧縮による圧力は、ロ
ータリベーンポンプの使用圧力、すなわちカムリング2
5の偏心量が最大となる地点から最小となる地点の平均
値に決定されているものである。
【0057】続いて、吐出行程に進むと、ポンプ室46
内の油は吐出圧力まで上昇しながら吐出ポート31に至
り、吐出部2bから油循環路5へ吐出されていく。
【0058】こうした油の圧送行程がロータ32の回転
にしたがって繰返し行われ、油圧モータ3を駆動させて
いく。
【0059】一方、ECU8では、水温センサ9から検
出されるラジエータ1の水温と設定温度とを比較してい
る。そして、ECU8は、この差に応じて、圧力制御弁
7に同開度を可変する信号を出力している。
【0060】すると、バイパス路6をバイパスする流量
が可変され、油圧モータ3の回転数を現在のラジエータ
1を冷却するのに適した回転数に制御していく。すなわ
ち、ラジエータ1の水温が高く、設定温度よりもかなり
水温が高い(低い)ときには、油圧モータ3が高回転数
となるように流量が圧力制御弁7によって制御され、設
定温度に近付くにしたがって油圧モータ3の回転数が低
回転数となるように流量が圧力制御弁7によって制御さ
れる。むろん、設定温度に達するときは油圧モータ3が
停止するよう、バイパス路6に油を循環させる。
【0061】これにより、常にラジエータ1の水温が、
エンジンの運転に適した一定の温度域に保持される。
【0062】こうした制御動作、ならびに走行エンジン
の回転数の増減変化が行われると、ロータリベーンポン
プの吐出圧力の変化から、バイパス路6のオリフィス1
2の上下流側で差圧が発生する。この差圧の発生具合に
よって、現在のロータリベーンポンプのポンプ能力が過
剰であるのか、不足しているのかがわかる。
【0063】このとき、オリフィス12の上流側の圧力
が所定圧力よりも高いと、スプール弁11はそのときの
圧力差に応じた開度変位で構成されるモードZとなり、
ポート2cに出力する圧力を減少させる。これにより、
カムリング25は、支持ピン26を支点として、ロータ
32から離れる方向に揺動変位し、ポンプ仕事量を減少
させる(小冷却能力に対応)。
【0064】また逆に所定圧力よりも低いと、オリフィ
ス12での圧力差に応じた開度変位で構成されるモード
Yとなり、ポート2cに出力する圧力を増加させる。こ
れにより、上記とは逆にカムリング25は、支持ピン2
6を支点として、ロータ32に近付く方向に揺動変位
し、ポンプ仕事量を増加させる(高冷却能力に対応)。
【0065】むろん、所定圧力域内であれば、スプール
弁11は遮断モードXとなって、カムリング25を所定
位置に位置決める。
【0066】このように、ロータリベーンポンプは使用
圧力は、最大使用圧力と最低使用圧力との範囲内におい
て、負荷に応じ変化する。
【0067】ここで、予圧縮圧力は最大使用圧力と最低
使用圧力との平均値となる吐出圧力に設定されているか
ら、使用圧力(吐出圧力)が高い条件のときのロータリ
ベーンポンプの運転時は、図12に示されるように予圧
縮行程αにおいて、ポンプ室46の圧力が同ポンプ室4
6の背圧室43a,43a内に導入されている吐出圧力
よりも、高くなる挙動は示さない。
【0068】このことは、使用圧力が高い条件のとき
は、ポンプ室46のベーン44,44において離間現象
は発生しない(「従来の技術」の項でも述べたときと同
様)。
【0069】また使用圧力(吐出圧力)が低い条件での
ロータリベーンポンプの使用時は、上記設定により、図
13に示されるように予圧縮行程αにおいて、符号Aに
示されるようにポンプ室46の圧力が、同ポンプ室46
の背圧室43a,43a内に導入されている吐出圧力よ
りも高くなる挙動を示す。
【0070】しかし、そのときのポンプ室46の圧力
は、通路50を通り、同ポンプ室46を構成するベーン
41,41の背圧室43a,43aに導かれる。
【0071】すなわち、図5から図11にまでに連続し
て示すポンプ室46の推移の図からわかるように、吸入
行程を終えたポンプ室46は、予圧縮行程αにあるとき
のみ、溝部49およびポート47,48a,48bを通
じて、予圧縮行程αにあるポンプ室46を構成する二つ
のベーン44,44の背圧室43a,43aと連通する
ことによって、密閉状態にある内部の高い挙動の圧力
が、低い使用圧力(吐出圧力)となっている同ポンプ室
46の背圧室43a,43aに導入されていく。
【0072】これにより、同背圧室43a,43aの背
圧圧力は上昇し、図13中の符号Bで示されるように符
号Aで示した圧力と同じ圧力になっていく。
【0073】すなわち、予圧縮行程αは、ポンプ室46
の圧力に関わらず、常にポンプ室46と背圧室43a,
43aとを圧力平衡関係に保つことになる。
【0074】それ故、予圧縮行程のときポンプ室46の
圧力が高くなっても、ベーン44,44の先端がカムリ
ング25の内周面から離れるようなことはない。
【0075】したがって、予圧縮圧力を、使用圧力の最
大圧から最小圧まで適合可能とされる、使用圧力(吐出
圧力)の平均値に設定することができ、使用域の全域に
おいて、常に安定したポンプ性能を約束することができ
る。
【0076】しかも、ポンプ室46の急激な圧力の変動
がないから、使用域の全域において、ポンプの騒音,振
動を大幅に低減することができる効果をもたらす。
【0077】なお、この発明を可変容量形ロータリベー
ンポンプに適用したが、これに限らず、定容量形ロータ
リベーンポンプに適用してもよいことはいうまでもな
い。
【0078】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
予圧縮行程にあるときのみ、通路を通じて、予圧縮行程
にあるポンプ室と同ポンプ室を構成するベーンの背圧室
と連通するから、たとえ使用圧力の変化からポンプ室内
の圧力が高い挙動を示すことがあっても、ポンプ室と背
圧室との間での圧力平衡により、ベーンの離間現象の発
生といった問題はなくなる。
【0079】それ故、予圧縮圧力を、使用圧力の最大圧
から最小圧まで適合可能とされる、使用圧力の平均値に
設定することができ、使用域の全域において、常に安定
したポンプ性能を約束することができる。
【0080】しかも、ポンプ室の急激な圧力の変動がな
いから、使用域の全域において、ポンプの騒音,振動を
低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のロータリベーンポンプの
内部構成を示す一部断面した正面図。
【図2】同ロータリベーンポンプの側断面図。
【図3】(a)は、予圧縮行程のポンプ室の圧力を同ポ
ンプ室を構成する背圧室に導く通路の構造を示すサイド
プレートの正面図。(b)同じくサイドプレートの裏面
図。
【図4】ロータリベーンポンプを適用した自動車の冷却
装置の概略構成を示す図。
【図5】吸入行程を終えたポンプ室がロータの回転にし
たがって予圧縮行程に向う状態を示す図。
【図6】図5の状態より、さらにポンプ室が予圧縮行程
に近付いた状態を示す図。
【図7】図6の状態より、さらに進み、ポンプ室が予圧
縮行程に入り始めた状態を示す図。
【図8】図7の状態より、さらに進み、ポンプ室が予圧
縮行程に入った状態を示す図。
【図9】図8の状態より、さらに進み、ポンプ室の予圧
縮行程を終え始める状態を示す図。
【図10】図9の状態より、さらに進み、ポンプ室の予
圧縮行程を終える状態を示す図。
【図11】図10の状態より、さらに進み、ポンプ室の
予圧縮行程を終えて吐出行程に移行する状態を示す図。
【図12】(a)は、使用圧力が高い条件のときのロー
タリベーンポンプの運転時のポンプ室内の圧力変化を示
す線図。(b)は、同じくロータリベーンポンプの運転
時のベーンの背圧室の圧力変化を示す線図。
【図13】使用圧力が低い条件のときのロータリベーン
ポンプの運転時のポンプ室およびベーンの背圧室の圧力
変化を示す線図。
【図14】(a)は、従来の使用圧力が変化するロータ
リベーンポンプにおいて、使用圧力が低い条件のときの
ポンプ室内の圧力変化を示す線図。(b)は、同使用圧
力が低い条件のときの背圧室の圧力変化を示す線図。
【符号の説明】
29…シリンダ、32…ロータ、43…ベーン溝、43
a…背圧室、44…ベーン、46…ポンプ室、50…通
路、α…予圧縮行程。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内にロータを偏心させて設け、
    このロータの外周部に複数のベーン溝を放射状に設け、
    これらベーン溝にベーンを半径方向に摺動可能に嵌挿
    し、かつベーン溝の後端部に、吐出圧の導入により、ベ
    ーン先端を前記シリンダの内周面に接触させる背圧室を
    設け、さらに隣接するベーン間のポンプ室の容積変化で
    行われる吸入行程から吐出行程に移行する間に、圧力を
    上昇させる予圧縮行程を設けてなるロータリベーンポン
    プにおいて、 前記シリンダに、前記予圧縮行程に至る前記ポンプ室の
    圧力を、当該ポンプ室を構成する各ベーンの背圧室に導
    く通路を設けたことを特徴とするロータリベーンポン
    プ。
JP2298892A 1992-02-07 1992-02-07 ロータリベーンポンプ Pending JPH05223062A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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