JP4375094B2 - プラズマディスプレイパネルのエージング方法およびエージング装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルのエージング方法およびエージング装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造工程におけるエージング方法およびエージング装置に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」または「パネル」と略記する)は、大画面、かつ薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。PDPの放電方式としてはAC型とDC型とがあり、電極構造としては面放電型と対向放電型とがある。しかし現在は、高精細化に適し、しかも製造の容易なことからAC型かつ面放電型であるAC面放電型PDPが主流となっている。
AC面放電型PDPは、一般に、対向配置された前面基板と背面基板との間に多数の放電セルを形成した構成である。前面基板は、前面ガラス板上に表示電極として走査電極と維持電極とが互いに平行に複数対形成され、それらの表示電極を覆うように誘電体層および保護層が形成される。背面基板は、背面ガラス板上にデータ電極が互いに平行に複数形成され、それらを覆うように誘電体層が形成される。そしてこの誘電体層上にデータ電極と平行に隔壁が複数形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成される。そして、表示電極とデータ電極とが立体交差するように前面基板と背面基板とを対向させて密封し、その内部の放電空間に放電ガスを封入する。
このようにして組み立てたPDPは、一般的に放電開始電圧が高く、放電自体も不安定であるため、パネル製造工程ではエージングを行い、放電特性の均一化、安定化を図っている。
このようなエージング方法としては、表示電極間、すなわち走査電極−維持電極間に、交番電圧として逆位相の矩形波を長時間にわたり印加する方法がとられてきたが、エージング時間を短縮するために、例えばインダクタを介して矩形波をパネルの走査電極と維持電極に印加する方法(特許文献1参照)や表示電極間に逆位相の矩形波を印加するとともにデータ電極にも維持電極に印加する電圧波形と同相の波形を印加して、表示電極間放電と同時に走査電極−データ電極間放電を積極的に発生させる方法(特許文献2、特許文献3参照)等が提案されている。
特開平7−226162号公報 特開平9−251841号公報 特開2002−231141号公報
しかしながら上述のエージング方法においても、放電を安定させるまでには10時間程度必要としていた。そのためエージング工程における消費電力は膨大となり、PDPの製造コストを上げる要因の1つとなっていた。また、エージング工程が長時間にわたるため、工場の敷地面積の問題、あるいは空調設備等の製造時の環境等、種々の問題があった。加えて今後のPDPの大画面化、高輝度化、生産量増大にともなって、この問題が今後一層大きくなることは明白である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング方法およびエージング装置を提供するものである。
本発明のPDPのエージング方法は、データ電極を形成した基板と、この基板に対向配置されかつデータ電極に直交するように走査電極および維持電極を形成した基板とを有するPDPのエージング方法において、走査電極、維持電極、データ電極のそれぞれに接続されたインダクタを介してエージング電圧を印加することによりエージングを行う際に、データ電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数が、走査電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数の1/2倍〜2倍の間に設定されていることを特徴とする。この方法により、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング方法を提供することができる。
また、本発明のPDPのエージング方法は、データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスが、走査電極に接続されたインダクタのインダクタンスよりも大きくなるようにしてもよい。この方法により、データ電極−表示電極間の静電容量に対し表示電極間の静電容量が大きい通常のAC面放電型PDPに対して、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング方法を提供することができる。
また、本発明のPDPのエージング方法は、データ電極または走査電極に接続されたインダクタが、対応する電極にエージング電圧を印加するためのリード線であってもよい。この方法により、配線用リード線の浮遊インダクタンスのみでインダクタを構成して、部品点数を削減することができる。
また、本発明のPDPのエージング方法は、データ電極に接続されたインダクタは、コイルまたはフェライトコアを含んでもよい。このようにインダクタとして汎用部品を用いてもよい。
また、本発明のPDPのエージング装置は、データ電極を形成した基板と、この基板に対向配置されかつデータ電極に直交するように走査電極および維持電極を形成した基板とを有するPDPのエージング装置において、走査電極、維持電極、データ電極のそれぞれに接続されたインダクタを介してエージング電圧を印加することによりエージングを行う際に、データ電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数が、走査電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数の1/2倍〜2倍の間になるように、データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスが設定されていることを特徴とする。この構成により、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング装置を提供することができる。
また、本発明のPDPのエージング装置は、データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスが、走査電極に接続されたインダクタのインダクタンスよりも大きくなるようにしてもよい。この構成により、データ電極−表示電極間の静電容量に対し表示電極間の静電容量が大きい通常のAC面放電型PDPに対して、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング装置を提供することができる。
また、本発明のPDPのエージング装置は、データ電極または走査電極に接続されたインダクタが、対応する電極にエージング電圧を印加するためのリード線であってもよい。この構成により、配線用リード線の浮遊インダクタンスのみでインダクタを構成して、部品点数を削減することができる。
また、本発明のPDPのエージング装置は、データ電極に接続されたインダクタが、コイルまたはフェライトコアを含んでもよい。このようにインダクタとして汎用部品を用いてもよい。
本発明によれば、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいPDPのエージング方法およびエージング装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態によるエージング方法について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態において、エージングすべきパネルの構造の一例を示す分解斜視図である。パネル1は、対向して配置された前面基板2と背面基板3とを有している。前面基板2は、前面ガラス板4上に表示電極としての走査電極5と維持電極6とが互いに平行に対をなして複数対形成されている。そして、これらの走査電極5と維持電極6とを覆うように誘電体層7が形成され、この誘電体層7の表面を覆うように保護層8が形成されている。背面基板3は、背面ガラス板9上にデータ電極10が互いに平行に複数形成され、このデータ電極10を覆うように下地層11が形成されている。そして、この下地層11上にデータ電極10と平行に隔壁12が複数形成され、下地層11の表面と隔壁12の側面とに蛍光体層13が形成されている。さらに、前面基板2と背面基板3とに挟まれた放電空間14には、放電ガスが封入されている。
図2はパネル1の電極配列図である。列方向にm列のデータ電極10〜10(図1のデータ電極10)が配列され、行方向(列方向に直交する方向)にn行の走査電極5〜5(図1の走査電極5)とn行の維持電極6〜6(図1の維持電極6)とが交互に配列されている。そして、1対の走査電極5、維持電極6(i=1〜n)と1つのデータ電極10(j=1〜m)とが立体交差する部分に放電セル18が形成され、この放電セル18は放電空間内にm×n個形成されている。そして走査電極5はパネル周辺部に設けられた走査電極端子部15に接続されている。同様に維持電極6は維持電極端子部16に、データ電極10はデータ電極端子部17に接続されている。
図3は本発明の実施の形態のエージング方法を用いたエージング装置の構成図である。エージング装置は、パネル1に印加するエージング電圧を発生するエージング波形発生回路200と、エージング波形発生回路200のデータ電極用パルス電圧を出力するデータ電極用スイッチング素子(図3では省略)の出力端子T1とデータ電極端子部17とを接続する第1のインダクタ(インダクタ301および配線用のリード線401)と、エージング波形発生回路200の走査電極用パルス電圧を出力する走査電極用スイッチング素子(図3では省略)の出力端子T2と走査電極端子部15とを接続する第2のインダクタ(インダクタ302および配線用のリード線402)と、エージング波形発生回路200の維持電極用パルス電圧を出力する維持電極用スイッチング素子(図3では省略)の出力端子T3と維持電極端子部16とを接続する第3のインダクタ(インダクタ303および配線用のリード線403)とを備えている。すなわち、データ電極10には第1のインダクタが接続され、走査電極5には第2のインダクタが接続され、維持電極6には第3のインダクタが接続されており、各電極には、その電極に接続された第1〜第3のインダクタを介してエージング電圧が印加される。
上記のエージング波形発生回路200の各電極用スイッチング素子は、通常IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やFET(電界効果型トランジスタ)等で構成される。また、インダクタ301、302、303はコイルやフェライトコア等により構成される。
本実施の形態においては、第2のインダクタのインダクタンス(第2のインダクタンスLsc)、すなわちインダクタ302とそれに直列に接続されたリード線402との合成インダクタンスが約1μHとなるように設定した。第3のインダクタのインダクタンス(第3のインダクタンスLss)、すなわちインダクタ303とそれに直列に接続されたリード線403との合成インダクタンスも同様に約1μHとなるように設定した。一方、第1のインダクタのインダクタンス(第1のインダクタンスLd)、すなわちインダクタ301とそれに直列に接続されたリード線401との合成インダクタンスは、第2のインダクタンスLscおよび第3のインダクタンスLssのそれぞれの値より大きくなるように設定している。
本実施の形態においては第1のインダクタンスLdの値を第3のインダクタンスLssの約1.5倍となるように設定した。このとき、データ電極端子部17に印加するエージング電圧波形のリンギング周波数が走査電極端子部15に印加するエージング電圧波形のリンギング周波数とほぼ等しくなった。そして、データ電極端子部17および走査電極端子部15におけるリンギングの位相が等しくなるようにエージング波形発生回路200のエージング電圧波形を設計した。その結果、従来のエージング方法のおよそ1/3の時間でエージングを終了することが実験的に確認できた。
次に、本発明の実施の形態におけるエージング方法によってエージング時間を短縮できる理由について説明する。図4は本発明の実施の形態のエージング方法におけるエージング電圧波形図である。図4(a)、(b)、(c)はそれぞれエージング波形発生回路200の各電極用スイッチング素子の出力端子T2、T3、T1における電圧波形Vsc、Vsu、Vdの一例を示している。このように、走査電極5および維持電極6にはエージング電圧としてそれぞれ逆位相の矩形電圧VscおよびVsuを印加し、データ電極10には矩形電圧Vdを印加する。図4(d)、(e)、(f)はこのときパネル1の走査電極端子部15、維持電極端子部16およびデータ電極端子部17における電圧波形を示している。このように、エージング波形発生回路200の各電極用スイッチング素子の出力端子T1、T2、T3における電圧波形が矩形波であっても、パネル1の走査電極端子部15、維持電極端子部16およびデータ電極端子部17における電圧波形にはリンギングが重畳され、その電圧波形はリンギング波形を有するものとなる。これは、パネル1の持っている静電容量とインダクタ301、302、303およびリード線401、402、403の持っているインダクタンスとによってLC共振するためである。そして、パネルの持つ静電容量やリード線401、402、403の持つインダクタンスを0にすることができないので、走査電極端子部15、維持電極端子部16、データ電極端子部17における電圧波形にリンギングが重畳されることを避けることはできない。
図4において、走査電極5と維持電極6との間に大きな電位差が発生するタイミング(1)では大きなエージング放電が発生する。ところがその後、タイミング(2)においてリンギングによる電圧の振り戻しが発生し、その大きさが走査電極5−維持電極6間の放電を発生させない程度であっても、放電開始電圧の低い走査電極5−データ電極10間の放電が誘発される可能性がある。もし、この放電が発生すると、それにともなうプライミングの効果により走査電極5−維持電極6間の放電開始電圧が実質的に低下し、走査電極5−維持電極6間の放電が誘発されることになる。以下、この放電を消去放電と呼ぶ。
本発明者らはエージング放電にともなって発生する消去放電について検討した結果、以下のことを明らかにした。消去放電は電力を消費するにもかかわらず低い印加電圧で発生する放電のためエージングの効果が小さく、かつ、放電セル内部の壁電荷を弱めるため、つづくエージング放電(タイミング(3)で発生する放電)を発生させるのに大きな電圧を必要とし、結果的にエージング効率を低下させる。さらに、消去放電の強さは放電セルの特性に大きく依存し、消去放電の起こりやすい放電セルのエージングが進み難く、すべての放電セルに対して十分なエージングを行うには、より長いエージング時間が必要になる。ここで、説明しなかったが、タイミング(3)で発生するエージング放電の後、タイミング(2)で発生する消去放電と同様にリンギングによる電圧の振り戻しによってタイミング(4)で消去放電が発生する。
そこで、走査電極5に印加されるエージング電圧波形にリンギングによる電圧の振り戻しが発生するタイミングにおいて、データ電極10にも周波数が等しく同位相のリンギングによる電圧の振り戻しを重畳することにより走査電極5−データ電極10間の電位差が小さくなり、その結果、消去放電を抑制することができることがわかった。図5は本発明の実施の形態のエージング方法におけるエージング電圧波形の拡大図である。図5(a)のデータ電極端子部電圧1に示すように、データ電極端子部17におけるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数(リンギング周波数)fdは、走査電極端子部15におけるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数(リンギング周波数)fscと等しいことが最も望ましい。通常、AC面放電型PDPの場合、データ電極10−表示電極間の静電容量に対し、走査電極5−維持電極6間の静電容量が大きい。そのため、図5(a)のように、走査電極端子部15におけるエージング電圧波形のリンギングと、データ電極端子部17におけるエージング電圧波形のリンギングを同期させるためには、上述のようにインダクタンスLdの値をインダクタンスLscより大きく設定しなければならない。
しかし、例えば図5(b)のデータ電極端子部電圧2に示すように、リンギング周波数fdがリンギング周波数fscより低い場合であっても、データ電極端子部17に印加するための矩形電圧Vdの印加タイミングをt1だけ早めてピークのタイミングを合わすことにより消去放電を抑制する効果を得ることができる。また、図5(c)のデータ電極端子部電圧3に示すように、リンギング周波数fdがリンギング周波数fscより高い場合であっても、データ電極端子部17に印加するための矩形電圧Vdの印加タイミングをt2だけ遅らせることにより消去放電を抑制する効果を得ることができる。
ただし、リンギング周波数fdがリンギング周波数fscの1/2以下の場合には、タイミング(1)とタイミング(2)とにおけるデータ電極端子部17の電位差はリンギングの振幅の1/2以下となり、リンギング波形を利用する意味が小さくなる。また、リンギング周波数fdがリンギング周波数fscの2倍以上の場合には、データ電極端子部17の電圧はタイミング(1)とタイミング(2)との間で1周期以上のリンギングが含まれるので、データ電極端子部17に印加するための矩形電圧Vdの印加タイミングをどのように設定しても消去放電を抑制することができない。データ電極端子部17におけるリンギング波形のピークに至るまでの時間が走査電極端子部15におけるリンギング波形のピークに至るまでの時間に対し、1/2倍〜2倍の範囲に入るようパネル1の特性に応じてインダクタンスLsc、LssおよびLdの値を調整する必要がある。
なお、本発明の実施の形態におけるエージング方法は、走査電極5が維持電極6に対して高電圧側になるタイミングにおける消去放電のみを抑制している。その理由は以下のとおりである。一般にAC面放電型PDPの駆動においては、維持電極6は維持放電のみに関与しているのに対し、走査電極5は維持放電に加えて書きこみ時にも放電を発生するので、走査電極5についてはデータ電極10に対向する電極面全面でエージングを進める必要がある。したがって、走査電極5、維持電極6を同等にエージングするのではなく、走査電極5側のエージングを維持電極6側よりも加速するとエージングを効率的に行うことができる。
そこで、走査電極5が維持電極6に対して高電圧側になるタイミングにおける消去放電のみを抑制し、次の放電、すなわち走査電極5が維持電極6に対して低電圧側になるときのエージング放電が強調できるようにする。それによって走査電極5が低電圧側になるタイミングの放電においては、放電空間内を走査電極5側に向かう正イオンに起因する走査電極5側のイオンスパッタが効率よく行われ、走査電極5側のエージングが維持電極6側よりも加速される。
図6は、エージング実験に用いたエージング電圧波形を示す図である。走査電極5および維持電極6に印加するエージング電圧波形は図4に示した電圧波形と同じであり、走査電極用スイッチング素子の出力端子T2と走査電極端子部15との間の第2のインダクタンスLsc、および維持電極用スイッチング素子の出力端子T3と維持電極端子部16との間の第3のインダクタンスLssはともに約1μHとなるように設定した。また、データ電極用スイッチング素子の出力端子T1とデータ電極端子部17との間の第1のインダクタンスLdは、0.3μH、1.5μH、5μHの3種類とした。図6(a)、(b)、(c)はそれぞれ第1のインダクタンスLdを0.3μH、1.5μH、5μHとしたときのデータ電極端子部17におけるエージング電圧波形を示す。また、このときのデータ電極端子部17におけるエージング電圧波形のリンギング周波数fdと走査電極端子部15におけるエージング電圧波形のリンギング周波数fscとの関係は、それぞれ、fd<1/2fsc、fd=fsc、fd>2fscである。LscおよびLssに対するLdの好ましい範囲は、上述のようにパネルの電極間の静電容量、つまり設計に依存するところがあり断定できないが、一般的なPDPの構造では概ねLdの大きさはLscまたはLssの3倍までといえる。
ここで、各インダクタンスLsc、LssおよびLdの値は、LCRメータを使って、10kHz〜500kHz周波数範囲の同一周波数(本実施の形態では100kHzとした)で測定できる。測定時のLCRメータの測定周波数によってLsc、LssおよびLdの値は変化するが、絶対値でなく各インダクタンスの相対値が本発明の要点であるため、例えばリンギング波形に含まれる周波数成分において同一条件で測定するのであれば問題ない。
図7は、本発明の実施の形態におけるエージング方法のエージング実験の結果を示す図であり、横軸はエージング時間、縦軸は走査電極5−維持電極6間の放電開始電圧であり、放電開始電圧が所定の電圧まで低下した時点でエージングが終了する。このように、データ電極端子部17に図6(a)または図6(c)のエージング電圧波形を印加した場合には放電開始電圧が低下するまでに10時間程度のエージングを必要としたが、図6(b)のエージング電圧波形を印加した場合には従来のおよそ1/3のエージング時間で放電開始電圧が急速に低下して安定した。
上記実施の形態では、第1〜第3のインダクタンスの調整に、コイル等のインダクタ301、302、303を使用したが、インダクタ301、302、303を使用せず各リード線401、402、403の長さを調整して所望のLsc、LssおよびLdを得るようにしてもよい。つまり、第1、第2、第3のインダクタをそれぞれリード線401、402、403で構成し、Ld>Lsc、Ld>Lssとする場合は、図3においてリード線402、403に比べてリード線401を長く設定すればよい。また、例えば第1のインダクタをインダクタ301とリード線401とで構成し、第2のインダクタをリード線402で構成し、第3のインダクタをリード線403で構成する等、第1〜第3のインダクタの構成は適宜選択して組み合わせることができる。なお、図3はあくまでも概念図であり、図3におけるリード線401、402、403の長さは、実際の長さの関係を示したものではない。
本発明のPDPのエージング方法およびエージング装置は、エージング時間を大幅に短縮し、かつ電力効率のよいエージング方法およびエージング装置を提供することができ、AC型PDPの製造工程におけるエージング方法およびエージング装置等に有用である。
本発明の実施の形態においてエージングすべきパネルの構造の一例を示す分解斜視図 同パネルの電極配列図 本発明の実施の形態のエージング方法を用いたエージング装置の構成図 本発明の実施の形態のエージング方法におけるエージング電圧波形図 本発明の実施の形態のエージング方法におけるエージング電圧波形の拡大図 エージング実験に用いたエージング電圧波形を示す図 本発明の実施の形態におけるエージング方法のエージング実験の結果を示す図
符号の説明
1 パネル
5 走査電極
6 維持電極
10 データ電極
200 エージング波形発生回路
301,302,303 インダクタ
401,402,403 リード線

Claims (8)

  1. データ電極を形成した基板と、この基板に対向配置されかつ前記データ電極に直交するように走査電極および維持電極を形成した基板とを有するプラズマディスプレイパネルのエージング方法において、前記走査電極、前記維持電極、前記データ電極のそれぞれに接続されたインダクタを介してエージング電圧を印加することによりエージングを行う際に、前記データ電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数が、前記走査電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数の1/2倍〜2倍の間に設定されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルのエージング方法。
  2. 前記データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスは、前記走査電極に接続されたインダクタのインダクタンスよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング方法。
  3. 前記データ電極または前記走査電極に接続されたインダクタは、対応する電極にエージング電圧を印加するためのリード線であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング方法。
  4. 前記データ電極に接続されたインダクタは、コイルまたはフェライトコアを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング方法。
  5. データ電極を形成した基板と、この基板に対向配置されかつ前記データ電極に直交するように走査電極および維持電極を形成した基板とを有するプラズマディスプレイパネルのエージング装置において、前記走査電極、前記維持電極、前記データ電極のそれぞれに接続されたインダクタを介してエージング電圧を印加することによりエージングを行う際に、前記データ電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数が、前記走査電極に印加されるエージング電圧波形が有するリンギング波形の周波数の1/2倍〜2倍の間になるように、前記データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスが設定されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルのエージング装置。
  6. 前記データ電極に接続されたインダクタのインダクタンスは、前記走査電極に接続されたインダクタのインダクタンスよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング装置。
  7. 前記データ電極または前記走査電極に接続されたインダクタは、対応する電極にエージング電圧を印加するためのリード線であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング装置。
  8. 前記データ電極に接続されたインダクタは、コイルまたはフェライトコアを含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルのエージング装置。
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