JP4374974B2 - 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法 - Google Patents

微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4374974B2
JP4374974B2 JP2003346366A JP2003346366A JP4374974B2 JP 4374974 B2 JP4374974 B2 JP 4374974B2 JP 2003346366 A JP2003346366 A JP 2003346366A JP 2003346366 A JP2003346366 A JP 2003346366A JP 4374974 B2 JP4374974 B2 JP 4374974B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
flow path
channel
sample liquid
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003346366A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005114430A (ja
Inventor
実 関
真澄 山田
哲 磯村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003346366A priority Critical patent/JP4374974B2/ja
Publication of JP2005114430A publication Critical patent/JP2005114430A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4374974B2 publication Critical patent/JP4374974B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、新規な液体操作方法及び微量液体操作装置に関し、さらに詳細には、各種サンプルを用いた分析や化学反応等を行なう際などに用いるのに好適な微量液体操作用の流路構造体における微量液体の操作方法及び微量液体操作装置に関する。
また、本発明はこの方法を用いたタンパク質の結晶化方法に関する。
従来、分析や化学反応等を行なうための各種装置が知られている。こうした装置は、使用するサンプルなどの液体を定量的に秤取することにより、正確な結果を得ることができるものである。
こうした各種装置において、サンプルなどの液体を定量的に秤取・操作を行なうための手法が各種提案されている。
例えば、微量なサンプルなどの液体を用いた化学反応や分析においては、微小なチップにより構成されるマイクロチップが用いられることがある。マイクロチップを用いた場合、通常は、使用するサンプルなどの液体を定量的に秤取することによって、正確な結果が得られる。
また、使用する液体の量を減らすために、インクジェット(非特許文献1)あるいはエレクトロスプレー(特許文献1)など、液体を分注する試みが知られている。
さらに、微量の液体を定量的に秤取し、且つ、デッドボリュームを小さくする技術として、特許文献2、非特許文献2、及び非特許文献3において、マイクロチップを用い微量な液体を秤取する技術が報告されている。この技術は微量の液体を定量的に秤取でき、かつデッドボリュームを非常に小さくすることができるという画期的な長所を有するものである。
WO01/92293号公報 特開2002−357616号公報 Journal of Applied Crystallography (2002). 35、278−281 R. Aoyama, M. Seki, J. W. Hong, T. Fujii, and I. Endo, Transducers '01, Digest of Technical Papers, pp.1232-1235 (2001) M. Yamada, N. Sugiyama and M. Seki, Proc. Micro Total Analysis Systems 2002, Kluwer Academic Publisher, Dordrecht, The Netherlands, pp. 40-42, (2002).
しかし、従来用いられてきた多くの方法においては、実際に分析などに必要な量以上のサンプルを要することになり、サンプルのデッドボリュームを減らすことができないという課題があった。
また、マイクロチップを用いてサンプルを秤取する場合には、取り扱うサンプルなどの液体の体積が極めて小さいために、液体を定量的に秤取することが難しく、そのための各種複雑な構成が必要となり、その構成を扱うための操作が煩雑になるという課題があった。
また、非特許文献1記載のインクジェットや特許文献1記載のエレクトロスプレーを利用した方法では、液滴が空気中に露出しているため、液滴が蒸発し、乾固あるいは濃縮が起こり、扱われるべき微量な液体の濃度や体積が変化し、再現性に欠けるという課題があった。
さらに、特許文献2、非特許文献2、又は非特許文献3に記載の技術は、実際に液体を操作する際には微妙な作業に熟練を要するために再現性を確保することが難しく、また、操作の確認のために通常は液体の挙動を顕微鏡等でモニタする等の操作を要するという課題を有していた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものである。
即ち、本発明の目的は、微量な液体を定量的に再現性よく操作することができる微量液体操作方法、及び同方法を用いたタンパク質の結晶化方法、並びに、微量液体操作装置を提供することである。
本発明の発明者らは鋭意研究の結果、試料液体を導入するための液体導入用開口部を有する第1の流路と、上記第1の流路とは別に設けられた第2の流路と、上記の第1の流路及び第2の流路それぞれに開口して上記の第1の流路及び第2の流路を連結する第3の流路とを有するチップと、上記液体導入用開口部に接続された圧力制御器とを用意し、上記第1の流路に上記試料液体を導入し、上記圧力制御器を用いて上記第1の流路内の圧力を制御して上記第3の流路が上記第1の流路に開口する連結開口部を介して上記第3の流路に上記試料液体を導入し、上記第1の流路内の圧力と上記の第2の流路内の圧力との差に基づいて制御した導入圧力を上記圧力制御器から上記試料液体に与えて上記第1の流路に残存する上記試料液体を取り除き、上記第3の流路の容積に応じた体積の上記試料液体を秤取することにより、様々な物性を示す試料液体に対して定量的に再現性よく操作を行なうことができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明のタンパク質の結晶化方法は、微量液体操作方法を用い以下の工程を含むことを特徴とする(請求項)。
(a)タンパク質溶液及び沈殿剤溶液を導入するための液体導入用開口部を有する第1の流路と、上記第1の流路とは別に設けられた第2の流路と、上記の第1の流路及び第2の流路のそれぞれに開口して上記の第1の流路及び第2の流路を連結する第3の流路とを有するチップと、上記のチップにおける液体導入用開口部に接続された圧力制御器とを有する流路構造を用意する工程。
(b)上記第1の流路に上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、上記圧力制御器を用いて上記第1の流路内の圧力を制御して上記第3の流路が上記第1の流路に開口する連結開口部を介して上記第3の流路に上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、上記第1の流路内の圧力と上記の第2の流路内の圧力との差に基づいて制御した第1導入圧力を上記圧力制御器から上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方に与えて、上記第1の流路に残存する上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を上記連結開口部と接触しない位置まで移動させ、上記第1導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第1流出圧力を加えることにより、上記第3の流路内の上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を上記第2の流路に流出させる工程。
(c)上記第1の流路にタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、上記圧力制御器を用いて上記第1の流路内の圧力を制御して上記連結開口部を介して上記第3の流路に上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、上記第1の流路内の圧力と上記の第2の流路内の圧力との差に基づいて制御した第2導入圧力を上記圧力制御器から上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方に与えて、上記第1の流路に残存する上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を上記連結開口部と接触しない位置まで移動させ、上記第2導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第2流出圧力を加えることにより、上記第3の流路内の上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を上記第2の流路に流出させ、上記工程(b)で流出させた上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方と上記第2の流路中で接触・合一させる工程。
(d)上記工程(c)で接触・合一させたタンパク質及び沈殿剤溶液中からタンパク質結晶を析出させる工程。
これにより、定量的に再現性よくタンパク質の結晶化を行なうことができる。
本発明の微量液体操作方法及び微量液体操作装置によれば、微量な液体を定量的に再現性よく操作することができる。
また、本発明のタンパク質の結晶化方法によれば、タンパク質の結晶化を定量的に再現性よく行なうことができる。
本発明の発明者らは、微細な流路内で、液体が流通する際の、圧力に対する液体の挙動に着目し、圧力制御器で圧力を制御することで、微量液体を再現性よく制御できる、即ち、種々の液体を制御する際に、予めその液体と微細な流路との関係から圧力制御器の操作圧力を設定しておくことで、様々な物性を示す液体に対して再現性よく定量的に微量な液体を操作できることを見出し、本発明を創案した。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
[一実施形態]
図1〜図4(d)は、本発明の一実施形態としての微量液体操作装置及び微量液体操作方法の概要を説明する図で、図1は本実施形態の微量液体操作装置の概要を示す斜視図、図2は本実施形態の微量液体操作装置の流路構造を説明する平面図、図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(d)は本実施形態の微量液体操作方法を説明する図である。また、図13は本実施形態に用いる圧力制御器の構成を説明する図、図14は圧力制御器から供給される圧力のタイムチャートである。
<微量液体操作装置の構成>
本実施形態の微量液体操作装置は、マイクロチップ1と、圧力制御器2とを備えている。
マイクロチップ1は基板3に蓋4が設置された構成となっていて、基板3には第1の流路として流路A、第2の流路として流路B、及び、第3の流路として流路Cがそれぞれ形成されている。なお図1において蓋4は破線で示し、この蓋4を透視して説明する。流路A及び流路Bは、図中左右に延在して形成されており、流路Cは流路A及び流路Bそれぞれの中間部を連結する流路として形成されている。
蓋4の流路Aの上流側(ここでは、図中左側を上流側として説明する)の端部に当たる部分には開口(液体導入用開口部)4Aupが形成されていて、下流側の端部に当たる部分には開口4Adownが形成されている。また、蓋4の流路Bの上流側の端部に当たる部分には開口4Bupが形成されていて、下流側の端部に当たる部分には開口4Bdownが形成されている。したがって、流路Aは開口4Aup,4Adownでマイクロチップ1の外部に連通し、流路Bは開口4Bup,4Bdownでマイクロチップ1の外部に連通することになる。また、蓋4の流路Cの端部に当たる部分には開口は形成されておらず、流路Cは流路A又は流路Bを介してマイクロチップ1の外部に連通している。
流路Aの上流側開口4Aupには、圧力制御器2が接続されているが、この圧力制御器2は圧力制御式ポンプユニット21とノズル23とを備えている。なお、流路Aの上流側開口4Aupには、圧力制御式ポンプユニット21に接続されたチューブ22付きのノズル23がセットされるようになっている。
ここで、圧力制御式ポンプユニット21は、図13に示すように、蓄圧用のアキュムレータ201と、アキュムレータ201に圧縮空気を供給するポンプ202とを備えている。また、アキュムレータ201に連結されたチューブ22がノズル23に接続されている。また、アキュムレータ201の出口部には、アキュムレータ201からノズル23への圧力の供給を制御する開閉バルブ203が配設されている。さらに、アキュムレータ201には、アキュムレータ201内の空気を放出してアキュムレータ201内の圧力を低下させる開放バルブ204が配設されている。
ポンプ202、開閉弁203、及び、開放バルブ204は、コントローラ205によって動作を制御されるようになっている。コントローラ205が開閉バルブ203を開放すると、アキュムレータ201に蓄えられた圧力がノズル23から流路Aに供給され、開閉バルブ203を閉鎖することによって圧力の供給は停止される。
また、このコントローラ205がポンプ202を稼動させることによりアキュムレータ201内の圧力は高まり、コントローラ205が開放バルブ204を開放することによりアキュムレータ201内の圧力が低下する。したがって、コントローラ205がポンプ202及び開放バルブ204の動作を制御することによりアキュムレータ201内の圧力が調整され、開閉バルブ203が開放されることによって前記の調整された圧力がノズル23から供給されるのである。
したがって、圧力制御式ポンプユニット21から試料液体が供給された場合には、試料液体はこのノズル23を介して開口4Aupから流路5内に導入されることになる。
なお、アキュムレータ201及びポンプ202から、調圧可能な圧力発生源200が構成されている。また、コントローラ205は、後述する導入圧力の制御を行なう第1制御部206と、流出圧力の制御を行なう第2制御部207とを備えている。
また、試料液体としてはその目的に応じ、任意の液体を用いることができる。
続いて、流路A、流路B、及び流路Cの構成について説明する。
図2に示すように、流路Cは、流路Aと流路Bとの間を橋渡しするように形成されている。また、流路Cは、流路Cの流れ方向に垂直な面で切った断面積が異なる2つの部分から構成されていて、流路A側には断面積が大きい流路CCを有し、流路B側には断面積が小さい流路ccを有している。以下流路A、流路B、及び流路Cの説明において、特に断らずに「断面積」と言う場合、その流路の主流方向に垂直な面でその流路を切った断面積のことを指すものとする。例えば、流路Aの断面積といった場合には、流路Aを、流路Aの流れ方向に垂直な面で流路Aを切った断面積の事を指す。
流路Cは、流路Aの壁面aaに形成された開口部c1で流路Aと連通している。また、流路Cは流路Bの壁面に形成された開口部c2で流路Bと連通しており、この開口部c2は、その大きさが流路Bの断面積よりも小さくなるよう形成されている。
さらに、流路CCと流路ccとの境界部分c3は、流路Cの断面積が不連続となるように形成されている。
したがって、流路Cは流路CCと、流路CCの流路B側端面に形成された流路CCより小さい断面積を有する流路ccとを有して形成され、流路CCと流路ccとの境界部分c3、即ち、流路CCの流路B側端面部分において、その断面積が不連続に変化する流路として形成されている。
また、流路Cは、試料液体に対して毛管力を有する程度に小さい断面積を有する流路として形成されている。
<微量液体操作装置の使用方法>
本実施形態の微量液体操作装置は以上のように構成されているので、使用時には、以下のようにして操作を行なう。
本実施形態の微量液体操作装置を使用する場合、操作する対象である試料液体に対して働く流路Cの毛管力、即ち、流路Cの流路壁が発揮する毛管力により、その使用方法が異なる。以下、毛管力が毛管引力である場合と、毛管力が毛管斥力である場合とに分けて説明する。
まず、流路Cの毛管力が毛管引力である場合について、図3(a)〜(c)を用いて説明する。図3(a)〜(c)は、流路Cの毛管力が毛管引力である場合の試料液体の操作方法を説明するため、流路Cの近傍を拡大して示した平面図である。なお、図3(a)〜(c)において図1,図2と同符号のものは、同様のものを表わす。
使用時には、まず、開口4Aupから流路Aに試料液体を導入する。ここでは、試料液体を流路Aに導入する際には、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21のコントローラ205によって流路A内の試料液体の圧力を一定の導入圧力に制御しながら導入を行なう。ここで、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさをP1で示す。ただし、流路Aへの試料液体の導入の方法は任意であり、例えば圧力制御式ポンプユニット21とは別に分注装置を用いてもよく、シリンジなどを用いて人の手で導入しても良い。
なお、圧力制御式ポンプユニット21が供給する導入圧力は、コントローラ205内の第1制御部206によって制御されるようになっている。
第1制御部206は、導入圧力の大きさP1を、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御する。詳しくは、試料流体を流路Aに流通させることができる圧力より高い圧力に設定する。また、後述するように試料流体が流路Cに導入された場合に、開口部c2から流路Bに試料液体が流出する圧力よりも低圧となるように設定する。
具体的には、流路Cに試料液体が導入された場合に、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差が、流路ccが試料流体を保持しようとする毛管引力よりも小さくなるように、導入圧力の大きさP1を設定する。流路Cに試料液体を導入する前にあっては、上記流路A内の圧力のなかでも特に開口4Aupにおける圧力と、流路B内の圧力(例えば、開口4Bup又は開口4Bdownでの圧力)との差が上記の範囲に収まるようP1を設定すればよい。
導入開始後、試料液体が流路Cの流路A側の開口部(連結開口部)c1まで来ると、試料液体は毛管引力によって、図3(a)に示すように、開口部c1から流路C内に進入する。本実施形態では、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさは、この時点でもP1に設定してあるが、適宜適当な大きさに制御しても構わない。なお、図3(a)中の矢印は試料液体の動きを示すものであり、また、図中において試料液体が充填された部分を網掛け部分で示し、試料液体を符号100で表わす。進入した試料液体100は流路C全体を満たし、流路Cの流路B側の端部である開口部c2で停止する。この際、圧力制御式ポンプユニット21から与えられる導入圧力が大きすぎると、試料液体100は開口部c2で停止せず、図3(b)に示すように流路Bまで流出する。試料液体100が流路Bに流出した場合には、正確な秤量はできないため、圧力制御式ポンプユニット21によって試料液体に与えられる導入圧力を、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御することが重要になる。具体的には、流路Bに試料液体100が流出しない程度に低い圧力となるように安定して制御する。
次いで、図3(c)に示すように、試料液体100が停止した状態で流路A内の試料液体100を移動させる。具体的には、圧力制御式ポンプユニット21から流路A内に大気圧よりも高圧の空気を供給するなどして、開口4Aup側の圧力を開口4Adown側の圧力よりも高圧にし、流路A内の試料流体を開口4Adownからマイクロチップ1の外部に送出する。本実施形態では、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさは、この時点でもP1に設定してあるが、適宜適当な大きさに制御しても構わない。通常は、圧力制御式ポンプユニット21から大きさP1の導入圧力を供給していれば、流路Aから試料液体100を移動させることができる。逆に言えば、導入圧力の大きさP1を設定する際には、流路Aから試料液体100を移動させることができる程度に大きい圧力となるように設定するべきである。この際、導入圧力の大きさPは流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御されているので、流路C内の試料液体100は流路A,Bに流出することはない。さらに、ここでは、流路C内の試料液体100には毛管引力が働くために、流路C内の試料液体100は流路C内に保持され、流路A内の試料液体100と一緒に流路C内の試料液体100が送出されることはない。
これにより、流路Cの容積分の試料液体100を秤取することができる。なお、本実施形態では圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさをP1に保ったが、導入圧力の大きさを一定とせず変化させて制御を行なう場合などには、圧力制御式ポンプユニット21から送り込まれる空気の圧力があまりに高いと流路C内の試料液体100が流路B側に流出する虞があるため、圧力制御式ポンプユニット21の導入圧力は、流路A内の圧力と流路B内の圧力の差に応じて、流路C内の試料液体100を確実に保持することができる程度の強さに制御することが重要である。
次に、流路Cの毛管力が毛管斥力である場合について、図4(a)〜(d)を用いて説明する。図4(a)〜(d)は、流路Cの毛管力が毛管斥力である場合の試料液体の操作方法を説明するための、流路Cの近傍を拡大して示した平面図である。なお、図4(a)〜(d)において図1〜図3(c)と同符号のものは、同様のものを表わす。
使用時には、まず、開口4Aupから流路Aに試料液体を導入する。ここでは、試料液体100を流路Aに導入する際には、流路Cの毛管力が毛管引力であった場合(以下適宜、「毛管引力の場合」という)と同様、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21のコントローラ205の第1制御部206によって流路A内の試料液体100の圧力をを一定の導入圧力に制御しながら導入を行なう。ここで、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさをP2で示す。毛管引力の場合と同様、流路Aへの試料液体の導入の方法は任意であり、例えば圧力制御器2とは別に分注装置を用いてもよく、シリンジなどを用いて人の手で導入しても良い。
なお、毛管引力の場合と同様、圧力制御式ポンプユニット21が供給する導入圧力は、コントローラ205内の第1制御部206によって制御されるようになっている。
第1制御部206は、導入圧力の大きさP1を、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御する。詳しくは、試料流体を流路Aに流通させることができる圧力より高い圧力に設定する。また、後述するように試料流体が流路Cに導入された場合に、流路ccに試料液体が導入される圧力よりも低圧となるように設定する。
具体的には、流路Cに試料液体100が導入された場合に、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差が、流路ccが試料流体の進入を妨げようとする毛管斥力よりも小さくなるように、導入圧力の大きさP2を設定する。また、試料流体100を移動させて流路Aから取り除く場合に、流路C内の試料液体100が流路A,Bに流出しないように導入圧力の大きさP2を設定する。流路Cに試料液体を導入する前にあっては、上記流路A内の圧力のなかでも特に開口4Aupにおける圧力と、流路B内の圧力(例えば、開口4Bup又は開口4Bdownでの圧力)との差が上記の範囲に収まるようP2を設定すればよい。
導入開始後、試料液体100が流路Cの流路A側の開口部c1まで来ると、圧力制御式ポンプユニット21から与えられる圧力によって試料液体100は開口部c1から流路C内に進入する。本実施形態では、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさは、この時点でもP2となるように設定してあるが、適宜適当な大きさに制御しても構わない。流路C内に進入した試料液体100は、図4(a)に示すように、流路Cの流路CC部分を満たし、断面積が小さくなっている流路ccの手前である境界部分c3で停止する。これは、流路ccは流路CCよりも断面積が小さいため、毛管斥力も大きくなり、このために流路ccへの試料液体100の進入が妨げられるからである。
この際、圧力制御式ポンプユニット21から試料液体100に対して与えられる導入圧力が大きすぎると、試料液体100は境界部分c3で停止せず、図4(b)に示すように、流路ccを経て流路B内に流出する。即ち、流路ccに試料液体100が進入すると、流路ccは毛管斥力を有しているために開口部c2で試料液体100を停止させることができず、流路ccに進入した試料液体100は圧力制御式ポンプユニット21からの圧力に押されて、そのまま流路Bに流出することになる。
また逆に、仮に圧力制御式ポンプユニット21から試料液体100に対して与えられる導入圧力が小さすぎると、試料液体100は流路Cの毛管斥力に抗して開口部c1から流路C内に進入することができず、図4(c)に示すように、流路Aには試料液体100が導入されるが、流路Cには試料液体100が導入されない(あるいは、流路Cの一部分にのみ試料液体100が導入される)ことになる。
これらを避けるためため、圧力制御式ポンプユニット21から試料液体100に与える導入圧力を、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御し、試料液体100が流路CCには進入できるが流路ccには進入しない程度の適当な強さに制御することが重要になる。
次に、試料液体100が流路C内に停止した状態で、毛管引力の場合と同様、図4(d)に示すように、流路Aの液体を移動させる。即ち、本実施形態では、図14に示すように、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさは、この時点でもP2に設定してある。なお、この導入圧力は適宜適当な大きさに制御しても構わない。通常は、圧力制御式ポンプユニット21から大きさP2の導入圧力を供給していれば、流路Aから試料液体100を移動させることができる。逆に言えば、導入圧力の大きさP2を設定する際には、流路Aから試料液体100を移動させることができる程度に大きい圧力となるように設定するべきである。
この際、導入圧力の大きさP1は流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御されているので、流路C内の試料液体100は流路A,Bに流出することはない。
この結果、流路CCの容積に応じた体積の試料液体100を秤取することができる。なお、本実施形態では圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力の大きさをP2に保ったが、導入圧力の大きさを一定とせず変化させて制御を行なう場合などには、圧力制御式ポンプユニット21から与えられる導入圧力が高すぎると、流路C内で停止した試料液体100が流路Bに流出してしまうため、、流路A内の圧力と流路B内の圧力に応じて、導入圧力を適当な強さに制御することが重要になる。
上記のようにして、圧力制御式ポンプユニット21から供給される導入圧力を、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御することにより、流路Cが試料液体100に対して毛管引力を有する場合、及び、毛管斥力を有する場合のいずれの場合にも、試料流体100を正確に秤取することができる。なお、導入圧力の大きさP1及びP2については、条件によっては異なる場合もあり、同じになる場合もある。
秤取した試料液体100はその後、任意に取り扱うことができるが、例えば、圧力制御式ポンプユニット21から流路Cに試料液体100を導入したときよりも高い圧力を加えることで、流路Bに流出させるようにしてもよい。以下、この際の操作について説明する。
試料液体100を秤量した状態{図3(c),図4(d)参照}で、圧力制御式ポンプユニット21から導入圧力よりも大きい流出圧力を加える。なお、この流出圧力の大きさは、コントローラ205内の第2制御部207が、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御するようになっている。
即ち、図14に示すように、流路Cが毛管引力を有する場合には、圧力制御式ポンプユニット21のコントローラ205が、流路Aの圧力と流路Bとの圧力に基づいて、流出圧力の大きさP3を導入圧力の大きさP1よりも大きい圧力に設定し、その流出圧力を流路Aに供給する。流出圧力の大きさP3は、流路C内の試料液体100を流路Bに流出させることができる圧力であればよく、つまり、流路A内の圧力と流路B内の圧力の差が、流路C内の試料液体を流路Bに流出させることができるだけ大きければよい。
流路Aに流出圧力が加えられることで、その流出圧力が流路C内の試料液体100に働き、試料液体100は流路Bに流出する。この際、流出圧力が流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御されているので、流路C内の試料液体100が十分に流路Bに流出しなかったり、流路Bに流出した試料液体100が流路Bの開口4Bup,4Bdownからチップ1外に飛び出したりすることを防止することができる。
流路Bに試料流体100が流出し終えた時には、圧力制御式ポンプユニット21からの流出圧力の供給を停止する。これにより、流路Bに、流路Cの容量に応じて秤量した試料液体100を再現性良く確実に取り出すことができる。
一方、図14に示すように、流路Cが毛管斥力を有する場合には、コントローラ205の第2制御部207が、流路Aの圧力と流路Bとの圧力の差に基づいて、流出圧力の大きさP4を導入圧力の大きさP2よりも大きい圧力に設定し、その流出圧力を流路Aに供給する。流出圧力の大きさP4も、毛管引力の場合と同様、流路C内の試料液体を流路Bに流出させることができる圧力であればよく、つまり、流路A内の圧力と流路B内の圧力の差が、流路C内の試料液体を流路Bに流出させることができるだけ大きければよい。
流路Aに流出圧力が加えられることで、その流出圧力が流路C内の試料液体100に働き、試料液体100は流路Bに流出する。この際、流出圧力が流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御されているので、流路C内の試料液体100が十分に流路Bに流出しなかったり、流路Bに流出した試料液体100が流路Bの開口4Bup,4Bdownからチップ1外に飛び出したりすることを防止することができる。
流路Bに試料流体100が流出し終えた時には、圧力制御式ポンプユニット21からの流出圧力の供給を停止する。これにより、流路Cが毛管引力を有する場合と同様、流路Bに、流路Cの容量に応じて秤量した試料液体100を再現性良く確実に取り出すことができる。なお、流出圧力の大きさP3及びP4については、条件によっては異なる場合もあり、同じになる場合もある。
なお、上記の説明では、試料流体100の流出開始から流出終了まで流出圧力の大きさがP3又はP4で一定である場合を例として説明したが、通常は、流出圧力は図15(a),(b)に示すように、初期印加の後、流出圧力は経時的に減衰することが好ましい。即ち、例えば、図15(a)に示すように、流出圧力として初期圧力P3又はP4を加えた後、流出圧力を連続的に減衰させるか、又は、図15(b)に示すように、流出圧力として初期圧力P3又はP4を加えた後、流出圧力をステップ状に減衰させることが好ましい。通常は、試料流体100を流路Bに流出させる際、流出した試料流体100は開口c2の周辺に保持するが、流出完了後に試料流体100に流出圧力を加え続けると、加えられた流出圧力によって流出した試料流体100が開口c2から遠くに移動する虞がある。しかし、上記のように流出圧力を減衰させれば、流路Bへの試料流体100の流出を安定して行なうことができるため、流出した試料流体100が開口c2から遠くに移動することは無く、再現性を確保することができる。
上記実施形態の具体的使用方法の例としては、予め流路B内に沈殿剤溶液を充填しておき、その流路B内に試料液体100としてタンパク質溶液を流出させることにより、タンパク質の結晶化を行なうことができる。
本発明の一実施形態としての微量液体操作方法及び微量液体操作装置は以上のようになっているので、圧力制御式ポンプユニット21の圧力を適当に制御することによって、操作の再現性を確保することができる。即ち、上記実施形態では、圧力制御式ポンプユニット21の圧力を流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御することによって、流路Cが毛管引力を有する場合には流路C全体に確実に試料液体100を充填することができ、また、流路Cが毛管斥力を有する場合には流路CC全体に確実に試料液体100を充填することができ、これにより、正確な量の試料液体100を再現性良く秤取することができるのである。
また、流路Cの毛管力や断面積等に応じて予め圧力制御式ポンプユニット21が加えるべき圧力を設定しておけば、操作の都度調整を行なうことなく簡単に、試料液体100の秤取などの操作を行なうことができる。上記実施形態においては、流路Aへの試料液体100の導入開始から秤量完了までの間、一定の導入圧力を与えておけばそれ以外の操作を行なうことなく、試料液体100の秤量を行なうことができるので、煩雑な調整操作が不要であり、操作を簡単に行なうことができる。
また、上記実施形態によれば、一つのチップ1によって、多種の試料液体100の操作を行なうことができる。つまり、流路Cの毛管力が毛管引力となるか毛管斥力となるかは試料液体100の種類によるが、上記実施形態に拠れば、流路Cが試料液体100に対して毛管引力を有する場合と毛管斥力を有する場合との両方の場合に対応できるために、一つのチップ1によって様々な試料液体100の操作を行なうことができる。
また、上記の実施形態によれば試料液体100のデッドボリュームを減らすことができる。
また、試料液体100の挙動をモニタするための顕微鏡などが不要であるため、装置全体の省スペース化と低コスト化とを実現することができる。
<その他>
以上、本発明の一実施形態としての微量液体操作装置及び微量液体操作方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変形して実施することができる。
例えば、図5(a),(b)に示すように、流路A又は流路Bを共有する流路構造を有するチップ1を用いて微量液体操作装置を形成し、操作を行なってもよい。なお、図5(a),(b)において、図1〜図4(d)で用いた符号と同符号のもの、及び、「′(ダッシュ)」を付した符号を用いたものは、同様のものを示す。
具体的には、図5(a)に示す構成では、1本の流路Aの一側に流路Bが形成され、また、流路Aと流路Bとを連結する流路Cが形成されている。一方、流路Aの他側には流路B′が形成され、また、流路Aと流路B′とを連結する流路C′が形成されている。なお、図5(a)に示す流路B,B′は上記実施形態で説明した流路Bと同様の構成となっており、また、図5(a)に示す流路C,C′は上記実施形態で説明した流路Cと同様の構成となっているので、それぞれ各構成の詳細な説明は省略する。
この図5(a)に示す構成によると、流路A,B,Cからなる系と、流路A,B′,C′からなる系とが互いに流路Aを共有する。したがって、例えば流路Aを共有する2つの系のそれぞれにおいて同一の種類の試料液体100を複数回定量的に秤取すると、当該2つの系でそれぞれ秤取した異なる種類の試料液体100とそれぞれの系の流路Bで合一、合一による希釈、合一による反応、合一後の反応による分析等を行なうことができる。
また、図5(b)に示す構成では、1本の流路Bの一側に流路Aが形成され、また、流路Aと流路Bとを連結する流路Cが形成されている。一方、流路Bの他側には流路A′が形成され、流路A′と流路Bとを連結する流路C′が形成されている。なお、図5(b)に示す流路A,A′は上記実施形態で説明した流路Aと同様の構成となっており、また、図5(b)に示す流路C,C′は上記実施形態で説明した流路Cと同様の構成となっているので、それぞれ各構成の詳細な説明は省略する。
この図5(b)に示す構成によると、流路A,B,Cからなる系と、流路A′,B,C′からなる系とが、互いに流路Bを共有する。したがって、例えば流路Bを共有する2つの系のそれぞれにおいて異なる種類の試料液体100を定量的に秤取すると、当該2つの系で共有する流路Bにおいて、複数の種類の試料液体100の合一、合一による希釈、合一による反応、合一後の反応による分析等を行なうことができる。
また、図6に示すように、流路Cが狭くなった流路ccが複数に分かれて形成されていても良い。なお、図6において図1〜図5(b)で用いた符号と同じ符号で示す部分は、同様のものを表わす。これにより、流路cc内における試料液体100の流速を、毛管力とは独立に調節することができる。
また、図7に示すように、流路Aと流路Bとを連結する流路C,C′,C′′が複数形成されていても良い。なお、流路C,C′,C′′はそれぞれ流路幅が異なっている以外は同様の構成となっている。また、流路C,C′,C′′以外の構成は、図2で示した流路構造と同様である。さらに、図7において、図1〜図6で用いた符号と同符号のもの、及び、「′(ダッシュ)」又は「′′(ダブルダッシュ)」を付した符号を用いたものは、同様のものを示す。これにより、複数の流路C,C′,C′′によって、それぞれの流路C,C′,C′′の容積に応じたことなる体積の試料液体100を定量的かつ並列的に秤取することができる。
また、図8(a)に示すように、流路ccの流路壁に、流路cc内の空気をマイクロチップ1外に排出することができる第4の流路Dを形成してよい。この流路Dは、流路ccに導入された試料液体100がこの流路Dに進入しないものであるべきである。そのためには、例えば流路Dは流路ccよりも小さい断面積を有し、且つ、試料液体100に対して毛管斥力が働く流路として形成されるなどすることが好ましい。また、流路Dの流路ccへの開口部と開口部c2との距離は近いほど好ましい。なお、図8(a),(b)の構成では、流路ccに流路Dが形成された以外は図2に示した流路構成と同様の構成になっている。
図8(b)に、図8(a)の構成の利点を説明する図を示す。流路Aから流路Cに試料液体100を導入した際、流路Bになんらかの液体101が充填されていると、例えば図2に示したような流路構成では、試料液体100の流路Cへの導入は不完全な形で生起し完結しない。これは、流路C内に残存する気体の逃げ道が無いためである。
しかし、流路Dが形成されている場合には、流路C内の気体は流路Dを通じてマイクロチップ1の外部に排出される。つまり、流路Dが気体の逃げ道として機能するので、流路Bになんらかの液体101が充填されていた場合でも、試料液体100は流路C内の気体に妨害されること無く、流路C内に期待したとおりに充填される。したがって、図8(a)に示したような構成によれば、電気泳動やクロマトグラフィーなどに用いられる各種の分析装置や反応装置において、微量のサンプルや反応試薬の導入を定量的に行なうための実際的な手法を提供することができる。
なお、流路Dは図中横向き以外にも任意の位置及び向きに形成することができる。
また、上記実施形態では試料液体100の操作の例としてタンパク質の結晶化を行なうことを挙げたが、上記微量液体操作装置を用いれば、分析、混合、反応、及び相転移をはじめ、他の様々な操作を行なうことができる。例えば、電気泳動やクロマトグラフィーなどに用いられる各種の分析装置あるいは反応装置において、微量のサンプルや反応試薬の導入を定量的に再現性良く行なうことが可能である。また、拡散及びタンパク質の電気泳動におけるサンプルの導入(インジェクション)や、流路A,B,C内の表面や必要な箇所を濡れ易くしたりあるいは濡れ難くしたり、若しくはタンパク質やDNAなどの表面の性状に対応した各所要の処理を行なうことにより、タンパク質の合成や分離、あるいは化学物質の合成やスクリーニング等へ対応させることが可能である。
また、上記実施形態では、流路Aへの試料液体100の導入開始から流路Bへの流出開始まで一定の導入圧力P1,P2を流路Aに対して供給したが、これを一定とせず、例えば、流路Aへの試料液体100の導入開始から導入完了までと、流路Cへの試料液体100の導入開始から導入完了までと、流路Aからの試料液体100の移動開始から移動完了までとで異なる大きさの圧力を供給するようにしてもよい。ただし、その場合にも、流路Bへの流出開始以前では流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて、流路Bに試料液体100が流出しないように圧力の制御を行なうことが重要である。
また、圧力制御式ポンプユニット21としては上記実施形態にて説明したもの以外のものを用いても良く、圧力の制御を行なうことができるものであれば任意のものを使用することができる。具体例を挙げれば、図16に示すように、チューブによってノズル23に接続されたアキュムレータ201を備え、アキュムレータ201の出口側に、可変オリフィス(可変絞り)208を備え、この可変オリフィス208の開度をコントローラ205が制御することによって圧力の制御を行なうものなどが挙げられる。なお、図16において図13と同じ符号を付して示すものは、図13と同様のものを示す。
また、上記コントローラ205には、予め試料液体100の種類に応じた導入圧力及び流出圧力の大きさを記憶させておいても良い。即ち、予め同様のチップ1を用いて様々な種類の試料液体100に対する最適な導入圧力及び流出圧力の大きさを計測しておき、それをコントローラ205のメモリ(テーブルメモリ)に記憶させておく。これにより、試料液体100の種類さえ分かれば、メモリから対応する試料液体100の導入圧力及び流出圧力の情報を読み出し、この情報に基づいて圧力制御式ポンプユニット21からの圧力を制御することができ、その結果、複雑な調整を行なうことなく試料液体100の操作を行なうことができる。
また、各流路A、B,C,Dは同一平面状に位置するよう形成しなくてもよく、各流路A,B,C,Dが上記要旨を満たすように連結されていれば、各流路はそれぞれチップ1の任意の位置に適宜様々な形状で形成することができる{図9(f),(g)参照}。例えば、流路CCを基板3側に形成し、流路ccを蓋4側に形成しても良い。
さて、本発明について実施形態を例示して説明したが、以下、更に詳細に説明する。なお、以下の説明の内容を適宜、上記実施形態と組み合わせて実施することも可能である。また、以下の説明においては、上記実施形態で説明した構成要素と実質同一の部分には同様の符号を付して説明するが、それらは上記実施形態の要素についてのみ説明したものではなく、本発明の構成要素について広く適用可能であることを認識すべきである。
[流路の基本構成と使用方法]
上述した実施形態では、流路Cの流路壁の性質を均一なものとし、流路Cを通じて毛管引力及び毛管斥力のいずれかを有するものとして説明したが、流路Cの流路壁は、部分的に別の性質を有してもよい。その場合、流路Aに開口する流路Cの開口部c1に関しては、この部分が毛管引力を有する場合は自発的に試料液体100が導入され、毛管斥力を有する場合には試料液体100の流路Cへの導入には適当な圧力を必要とする。
また、秤取の際の試料液体100の挙動に関しては、流路Cのうち細くなっている流路ccの性質が重要となる。即ち、流路Cの細くなっている流路ccの流路壁が毛管引力を有する場合には、適当な圧力を付加することで、流路ccの流下側(上記実施形態では、流路B側)の端面c2まで到達して停止し、秤取が達成される。しかし、流路Cの細くなっている流路ccの流路壁が毛管斥力を有する場合には、適当な圧力を付加することで、試料液体100は流路ccの手前側の端面(流路CCと流路ccとの境界部分)c3まで到達した時点で停止し、秤取が達成される。いずれの場合も、圧力の制御、特に、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて圧力制御式ポンプユニット21から供給される圧力を制御することにより、操作の再現性が著しく向上する。
具体的には、例えば、流路Aに試料液体100{図3(a)〜(c),図4(a)〜(d)の網掛け部分参照}を導入した場合、流路Aの流路壁aaにおいて開口する流路Cの開口部c1を介して、試料液体100を流路Cに導入することができる。
一方、流路Aおよび流路Cが毛細管力の働きにくい(濡れにくい)流路壁を有する場合は、流路Aの端面より試料液体100に適当な圧力を付与することによって、流路Cに試料液体100を導入することができる{図3(a)または図4(a)参照}。
この際、流路Cの断面積の小さくなった流路ccの流路壁が毛細管力の働きやすい(濡れやすい)性質を有する場合には、流路CCと流路ccとの境界部分c3まで到達した試料液体100は、流路ccの毛管引力によって流路ccに引き込まれ、試料液体100は開口部c2まで到達する。ここで、流路C内のより強い毛管引力によってせき止められるため、試料液体100は流路B内に流出することはない{図3(a)参照}。
一方、流路Cの断面積の小さくなった流路ccの流路壁が毛細管力の働きにくい(濡れにくい)性質を有する場合、流路CCと流路ccとの境界部分c3まで到達した試料液体100は、流路CCと流路ccとの境界部分c3で毛管斥力によってせき止められ、細くなった流路cc内に進入することはない。なお、流路CCと流路ccとがともに毛細管力の働きにくい(濡れにくい)流路壁を有する場合にも、一般に細い部分の方が毛管斥力がより強いため、流路ccの毛管斥力のほうが流路CCの毛管斥力よりも強くなり、試料液体100が流路ccに進入することはない{図4(a)参照}。
続いて、流路A内に残留する液体100を、例えば、流路Aの両端部に適当な圧力差を生起させてより低圧側に移動させるなどし、流路A内の流路Cの開口部c1と接触しない位置に移動させるか、流路A内から取り除く{図3(c)または図4(d)参照}。詳しくは、流路A内の圧力と流路B内の圧力とに基づいて制御した導入圧力を圧力制御式ポンプユニット21から流路A内に加え、これによって流路Aの開口4Aupと開口4Adownとの間で圧力差を生じさせ、試料液体100を移動させる。
この際には、導入圧力が制御されているため、流路C内の液体100は、通常、流路A内に戻って入り込むようなことはない{図3(c)または図4(d)参照}。
その結果、流路C内の試料液体100の両端面たる端面100aと端面100bとが、流路Cの開口部c1ならびに流下方向の開口部c2あるいは境界部分c3に位置するようになり、流路Cの流路壁の毛管引力あるいは毛管斥力に応じて、流路Cの開口部c1から開口部c2までの区分(つまり、流路C全体)、あるいは開口部c1から境界部分c3までの区間(つまり、流路CC)の容積に応じた体積の試料液体100の形成が可能となる{図3(c)または図4(d)参照}。
但し、試料液体100の端面は、表面張力や接触角等の影響により開口部c1と開口部c2あるいは境界部分c3の端面にほぼ一致する程度で形成され、開口部c1と開口部c2あるいは境界部分c3の端面と正確に一致するものではない。従って、流路Cの開口部c1から開口部c2まで、あるいは開口部c1から境界部分c3までの区間の容積に応じて形成(秤取)された資料液体100の体積は、流路Cの開口部c1から開口部c2まで、あるいは開口部c1から境界部分c3までの区間の体積と正確に一致するものでは無い。しかし、試料液体100の端面の位置はその試料液体100の種類に応じて一意に決まるため、十分な再現性の確保が可能である。
さらに、流路C内に導入された試料液体100は、流路Aの圧力が流路Bの圧力より大きく、且つ、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御された流出圧力を流路Aに供給して両流路A,B間に適当な圧力差を生起させるなどすることによって、開口部c2を介して流路B内に導入することができる。この場合も、秤取時と同様に上述した流出圧力を制御することで、再現性よく流路C内の試料液体100を流路Bへと流出させることができる。流出圧力はの大きさは、流路C内の試料液体を流路Bに流出させることができる圧力であればよく、つまり、流路A内の圧力と流路B内の圧力の差が、流路C内の試料液体を流路Bに流出させることができるだけ大きければよい。
流路Aに流出圧力が加えられることで、その流出圧力が流路C内の試料液体100に働き、試料液体100は流路Bに流出する。
この際、流出圧力が流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御されているので、流路C内の試料液体100が十分に流路Bに流出しなかったり、流路Bに流出した試料液体100が流路Bの開口4Bup,4Bdownからチップ1外に飛び出したりすることを防止することができる。流路Bに試料流体100が流出し終えた時には、圧力制御式ポンプユニット21からの流出圧力の供給を停止する。これにより、流路Bに、流路Cの容量に応じて秤量した試料液体100を再現性良く確実に取り出すことができる。
[圧力制御に関する詳細な説明]
上述した微量液体の操作においては、大気中への開口4Aup,4Adown,4Bup,4Bdownの存在や微小流路A,B,Cの圧力損失等から、試料液体100を操作する場合の圧力制御が重要である。
流路Aに試料液体100を導入する場合、例えば試料液体100がすでに圧力制御式ポンプユニット21に接続されたサンプルループなどに導入されて、流路Aが圧力制御式ポンプユニット21やサンプルループと共に密閉系を形成している場合では、流路Aへの試料液体100の導入は、上記実施形態のように圧力の制御を行なう場合でも、あるいは通常の流量の制御を行なう場合でも、同等の再現性を有する。
しかし、当初流路Aが大気中に開放されており、流路Aの末端開口4Aupに試料液体100を分注し、その後圧力制御器2と接続された密閉系を接続して試料液体100を操作する場合においては、試料液体100の分注部分、即ち、流路Aに試料液体100を導入する部分は、操作上ある程度の大きさを有することが望ましい。また、流量制御を行なう場合のように、分注時に試料液体100自体の重みなどによって試料液体100がチップ1に入ることは好ましくない。したがって、流量制御よりも圧力制御の方がより望ましい。
流路Aに導入された試料液体100が、流路Cの開口部c1を介して流路Cに導入される際には、流路Cの流路壁の性質によって制御が異なる。即ち、流路Cの流路壁が毛管引力を有する場合、流路Aを介して圧力制御式ポンプユニット21に接続されているポンプ側の圧力は、開口部c1を介して流路Cに自発的に引き込まれる試料液体100によって低くなる。したがって、流路Cに試料液体100を導入するのに余分な圧力は必要とされない。しかし、流路Cの細くなっている流路ccの流下側の開口部c2で試料液体100を安定に停止させるためには、試料液体100の圧力が上昇しすぎないように、流通圧力を低めに保つことが試料液体100の挙動の安定に寄与する。
一方、流路Cの流路壁が毛管斥力を有する場合、流路Aを介して圧力制御式ポンプユニット21に接続されているポンプ側の圧力は、開口部c1を介して流路Cに試料液体100を導入するために、流路Cの流路壁が毛管引力を有する場合よりも高い圧力を必要とするため、毛管斥力に応じて圧力を高く保つ必要があり、かつ、流路Cの断面が変化する流路CCと流路ccとの境界部分c3に達した段階で、さらにその先に試料液体100を送り込むのに必要な圧力をこの段階では掛けないように調整する必要がある。
流路Cに試料液体100が導入された後、流路Aの開口部c1部分よりも試料液体100を流下方向(開口4Adown側方向)に流通させる際には、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて、流路Cが毛管引力を有する場合には開口部c2を試料液体100が超えないような、また、流路Cが毛管斥力を有する場合には境界部分c3を試料液体100が超えないような圧力範囲で導入圧力を加え、操作することが好ましい。これによって、流路C内に導入された試料液体100がこの時点で流路A,B内に流出することを防止することができ、流路Cの容積に応じた体積の試料液体100を再現性良く確実に秤量することが可能となる。
続いて、試料液体100を移動させて流路Aから十分に試料液体100を取り除いた後、流路C内に秤取された試料液体100を流路Bに流出させる場合には、秤取の際の圧力(導入圧力)よりも高く、且つ、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御された流出圧力を流路Aに掛けることが好ましい。その際には、流路Bへ過剰な圧力を掛けることで空気等を送り込むことのないような条件で操作されることが望ましい。特に、例えば流路Bにすでに試料液体や他の液体が充填されている場合、あるいは流路Bが通常の延長される流路ではなく、体積が限定されたチャンバ構造内で試料液体100が開口部c2付近で留まるような用途で使用される場合、過剰な圧力を掛けないように制御されることが望ましい。これにより、流路C内の試料液体100が十分に流路Bに流出しなかったり、流路Bに流出した試料液体100が流路Bの開口4Bup,4Bdownからチップ1外に飛び出したりすることを防止することができ、流路B内に試料液体100を再現性良く確実に流出させることができる。
また、圧力制御器2は、上記第1の流路内の圧力を、試料液体100の上流側(開口4Aup側)と下流側(開口4Adown、開口4Bup、又は開口4Bdown側)との差圧として通常1000kPa以下、好ましくは500kPa以下で制御することが望ましい。具体的には、開口4Adown、開口4Bup、及び開口4Bdownが大気に開放されている場合には、圧力制御器2による与圧が上記範囲内に収まることが望ましい。また、開口4Adown、開口4Bup、及び開口4Bdownのうちのいずれかが他の流路や装置などに接続されて密閉系となっている場合には、その接続された開口と、圧力制御器2が接続された開口4Aupとの圧力差が上記範囲内に収まることが望ましい。
さらに、開口4Adown、開口4Bup、及び開口4Bdownそれぞれにおける圧力の関係は、開口4Adownの圧力が開口4Bup及び開口4Bdownの圧力以上であることが好ましい。即ち、開口4Aupの圧力が開口4Adownの圧力よりも高圧で、開口4Adownの圧力が開口4Bup及び開口4Bdownの圧力と同じ圧力か高圧かであることが好ましいのである。
上記の圧力条件とすることにより、試料液体100の挙動を安定させることができ、操作性を向上させることができる。
[流路構造の詳細な説明]
続いて、図9(a)〜(g)を用いて流路構造について説明するが、図9(a)〜(g)では、図1〜図8(b)で用いた符号と同じ符号を付した部分は、同様のものを示す。
前述したように、上記の微量液体操作方法に適した流路は、図9(a)に示すように、3本の流路A、流路B、及び流路Cに関して、流路Aと流路Bとの間に流路Aの側から流路Bに向かって流路Cが橋渡しをするような構造である。好ましくは、流路Cが流路Aとの開口部c1の断面積よりも断面積が小さい流路ccを有する(図2参照)。原理的には、流路Cが断面積が小さい流路ccを備えなくても、流路Cの流路Bへの開口部c2において流路C側の断面積が流路B側の断面積よりも小さければ、試料液体100の表面張力によって、試料液体100は開口部c2で停止する圧力条件を有する。しかし、実際にはこの圧力条件で再現性よく種々の液体を操作するのは困難であるため、流路Cは断面積が小さい流路ccを備えていることが望ましい。
また、流路Cにおいて、断面積の小さくなった流路ccの境界部分(あるいは、流路ccの流路A側開口)c3の前後の断面積は不連続であることが望ましい。これは、流路Cに毛管引力が働く場合において開口部c2に試料液体100が到達した際、あるいは、流路Cに毛管斥力が働く場合において境界部分c3に試料液体100が到達した際の、その流下方向へ試料液体100を流出させるのに必要な圧力が不連続に増大するため、こうした構造は操作される試料液体100の体積の再現性の向上と操作の安定性の向上に寄与するからである。
流路Bは直菅の流路だけでなく、図9(b)のように変形してもよい。また、液相クロマトグラフィのように上流から下流に向けて液体が流通される以外にも、秤取された試料液体100が流出され、他の液体と混合される場として提供されることがある。この場合には、図9(c)に示すように、通常の流路構造であるよりも、エアベントbbによって区切られた限定された空間(チャンバー構造)BBであることが望ましい。この際、図9(d)にあるように、片側が封管になっている構造でもよい。ただし、図9(e)のようにエアベントbbを備えず閉空間になっている場合には、秤取や流出の際に流路Bや流路Cに存在する気体の逃げ道がないため、それらの流路B,Cが微量液体操作用の流路として機能しない虞があることに注意する必要がある。なお、図9(d),(e)ではチャンバBBの容積が流路Cの容積よりもあたかも小さいように記載されているが、これは説明のために図を模式的に描いたためであり、通常はチャンバBBの容積は流路Cの容積よりも大きく形成される。
また、チャンバBBの形状は任意であり、図9(c)にて例示した矩形以外にも、円形、楕円形、三角形など様々な形状をとることができる。
さらに、図9(f)で示すように、エアベントbbをチップ1の基板3に形成し、流路Bの通常部分及びチャンバBBを蓋4側に形成することもできるし、あるいは図9(g)に示すように、流路Bの通常部分、チャンバBB、及びエアベントbbをすべて蓋4側に形成することもできる。もちろん、すべて基板3側に形成することも可能である。
また、流路Bが秤取された試料液体100の接触・合一・反応場として用いられる場合、流路Cが2つ以上接続され、流路Cより流出された試料液体100が接触できるような配置で設計してもよい。
また、上記の流路A,B,Cの容積はピコリットルからマイクロリットルオーダーの大きさに形成されていることが好ましい。したがって、上記の流路構造によれば、単純な構成により、簡単な操作のみで、ピコリットルからマイクロリットルオーダーの様々な大きさの微小体積の試料液体100を定量的に秤取し、操作することができる。
また、上記の流路A,B,Cなどの流路構造は、例えば上記実施形態のようにチップ1内に形成することができる。また、上記流路構造は同一のチップ1に、同じ構造で形成されていてもよく、異なる構造の組み合わせて複数組形成されていても良い。このチップ1において、形成される各流路A,B,Cはマイクロチャネルであることが好ましい。ここでマイクロチャネルとは、チャネル(流路)に液体を導入したときに、マイクロ効果が現れる、即ち、液体に何らかの挙動変化が現れる断面形状を有するチャネルを意味する。マイクロ効果の発現は、液体の物性によっても異なるが、断面形状、即ちマイクロチャネルの主流方向に垂直な形状のうち、最も短い間隔(長方形なら短辺、楕円なら短径に相当する)の長さが通常5mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下が適当である。この長さの下限は特に制限されず、マイクロチャネルとしての機能を有する長さであれば良い。
上記チップ1とは、流路構造を含む部分の部材を広く意味するものである。チップ1の大きさ、形状は特に限定されず、その用途に応じて任意に設定することができる。
上記チップ1は、例えば物質の分離、分析、生化学反応、化学反応、タンパク質結晶化などに用いられるものである。このチップ1は、用途上、使い捨てあるいは制限された回数のみの使用で交換されることが好ましいが、恒久的に使用してもかまわない。この場合、分注器あるいは測定器などの機器と一体の微量液体操作装置として構成されることも考えられるが、その場合も、流路構造を含む部分の部材はチップ1という。なお、試料液体操作装置を、チップ1の取り外し可能に形成しても良いことはいうまでもない。
チップ1の材料は、上記流路構造を実現できる限りその種類を問わない。材料の具体例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、シリコン、光反応性樹脂やその他の樹脂、金属、セラミック及びそれらの組み合わせなどが挙げられる。
チップ1の製造方法は、上記流路構造を実現できる限り任意である。製造方法の具体例としては、機械加工、射出成型や圧縮成型に代表される転写技術、ドライエッチング(RIE,IE,IBE,プラズマエッチング,レーザーエッチング,レーザーアブレーション,ブラスト加工,放電加工,LIGA,電子ビームエッチング,FABなど)、ウエットエッチング(化学侵食)、光造形やセラミックス敷詰等の一体成型、各種物質を層状にコート、蒸着、スパッタリング、堆積し、部分的に除去することにより微細構造物を形成するSurface Micro-machining、1枚以上のシート状物質(シート、テープ等)により開口部分を形成して溝を形成する方法、インクジェットやディスペンサーにより流路構成材料を滴下、注入して形成させる方法を含む。
チップ1を作製するために、上記製造方法においてマスクを利用しても良い。マスクは、チップ1を最終的に作製できる限りにおいてどのようなデザインでも良いし、複数用いても構わない。マスクは、通常は流路A,B,Cを平面に投影した形状で設計されるが、張り合わせる流路構成材の両端に加工を行なう場合や、複数の部材を用いて流路A,B,Cを形成する場合などは、複数のマスクを用いたり、一部はマスクを用いずに直接加工することができるため、マスクは必ずしも最終的な流路A,B,Cの形状の投影であるとは限らない。光硬化性樹脂などに用いる電磁波遮断用のマスクとしては、水晶あるいはガラスにクロムをコートしたもの、あるいは樹脂のフィルムにレーザの焼付けを行なったものなどが挙げられる。
上記マスクは、例えばコンピュータを用い、適当なソフトウェアにより、上記流路構造の少なくとも一部を描画し、透明な樹脂フィルムに印刷することにより作製することもできる。ここで適当な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の時期媒体;CD−ROM、MO、CD−R、DVD等の光ディスク、半導体メモリ等を挙げることができる。
チップ1を作製するにあたり、上記製造方法によって直接チップ1を作製しても構わないし、これを型としてチップ成型しても構わない。当然、さらにこれを型にしてチップ1を成型することも可能である。なお、本明細書においては、はじめに作製された型から、実際に操作に用いるチップ1の手前までの各段階の型を「マスターチップ」と呼ぶことがある。マスターチップは、通常は、実際のチップ1と同じ凹凸パターンを有するもの(ポジ)を作製し、これを2回転写するか、実際のチップ1と逆の凹凸パターンを有するもの(ネガ)を作製し、1回転写して用いられるが、本明細書におけるマスターチップは、必ずしもこれに限定されるものではない。
チップ1は、通常は2つ以上の材料の貼り合わせによって加工できる。貼り合わせ法としては、接着剤による接着、プライマーによる樹脂接着、拡散接合、陽極接合、共晶接合、熱融着、超音波接合、レーザ溶融、溶剤・溶解溶媒による貼り合わせ、粘着テープ、接着テープ、圧着、自己吸着剤による結合、物理的な保持、凹凸による組み合わせが挙げられる。
また、貼り合わせを必要とせず、上記チップ1を一体として形成することも可能である。具体的には、光造形法などの一体成型により閉空間を含む構造を形成することが可能である。
かくして作製されるチップ1の一辺の長さ、形状、厚みに制限は無く、例えば一辺5mm〜50cmの任意の値に設定することができる。
なお、マスク及びマスターチップを用い、基板3を貼り合わせてマイクロチップ1を作製する場合、チップ1内の流路(マイクロチャネル)A,B,Cの深さは、例えば2枚の基板3で作製する場合には、流路A,B,Cが上側の基板(上記実施形態の蓋)4の下面と、下側の基盤3の上面のどちらに存在するかによって、部分的に任意の2種類の値のどちらかに設定することができ、その深さは特に限定されないが、好ましくは1μm程度以上200μm程度以下の任意の値に設定することができる。なお、ここでいう「1μm程度」、とは、1μmちょうどを含む表現であり、同様に「200μm程度」とは、200μmちょうどを含む表現である。また、流路A,B,Cの深さ、とは、流路A,B,Cの鋳型となる凸構造の流路を有するチップ、即ちマスターチップの高さに相当する。さらに、上記実施形態では、基板3と蓋4とを張り合わせているが、ここでは蓋4も基板と呼んで説明している。
さらに、流路Cの最小断面積は、通常2500平方マイクロメートル以下、好ましくは2000平方マイクロメートル以下であることが好ましい。これにより、流路C内で確実に試料液体100を秤量することができる。
また、基板3は2枚に限定されるものではなく、必要に応じて任意の複数枚を積層してチップ1を作成することもできる。
[装置に関する詳細な説明]
前述したような微量液体操作方法を実施する微量液体操作装置は、流路A,B,C内に導入された試料液体100を、圧力を制御することで再現性よく操作するものであるから、少なくとも圧力を制御して液体/気体を操作する圧力制御器2を備えなくてはならない。また、流路A,B,C内の試料液体100を操作する前段階の機構として、試料液体100を流路Aに導入する機構、及び、ポンプと流路Aとを接続する機構を備えていることが望ましい。
圧力制御器2に関しては、流体の圧力を制御できるものであれば任意のものを用いることができ、その仕組みを問わない。
すなわち、圧力制御器2としては、例えばコントローラと液体の圧力の制御が可能な圧力発生源とを有するもの(圧力制御式ポンプユニット)を使用することができ、その具体例としては、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ペリスタポンプ等を用いたものが挙げられる。
上記のポンプとしては、例えば、背圧を測定して流体の流量を随時変化させるものと、あらかじめ流路A,B,Cに与える圧力を、同形状の流路A,B,Cで、同種類の流体を用いて測定しておくことで、圧力制御を行なうものとが存在する。
また、例えば、駆動原理を気体の圧力に拠るポンプを用いることも可能である。この気体の圧力に拠るポンプは、塗装などに多く用いられ、圧縮した気体を上流方向で接触させることにより、液体を一定した圧力で送液することができるものである。
いずれのポンプを用いても微量液体の操作を行なうことは可能であるが、液体を圧力で操作するという原理上は、圧縮した気体を用いる方法が望ましいと考えられる。
また操作時には、試料液体100秤取時の圧力と、秤取された試料液体100の流路Bへの流出時の圧力の差が大きい方が望ましい。試料液体100秤取時の圧力は、流路Aの圧力制御器2に接続されていない側の開口4Adownが大気中に開放されているときには、通常は大気圧に加えて100kPa以下であることが望ましく、30kPa以下であることがより望ましい。
上記の微量液体操作装置は幅広い範囲の作業時間に対応することが可能であるが、試料液体100の蒸発等による影響を小さくするためには、圧力を印加し始めてから秤取が完了するまでの時間は、通常1秒以上30分以下であることが望ましい。
また、液体検体100の流路Bへの流出時の圧力は、秤取時の圧力より5kPa以上高いことが望ましく、20kPa以上高いことがより望ましい。
秤取終了後に圧力を印加し始めてから流出が完了するまでの時間は、10分以下であることが望ましい。
また、試料液体100に与える圧力の時間変化としては、一定の圧を与えつづけるほか、与圧する時間を制御し、過剰な圧力が長時間掛かるリスクを避けるようにしてもよい。この場合には、圧力を経時的に減少させて、高い圧力、即ち、上述した範囲よりも高い圧力を掛けすぎないようにすることが好ましい。例えば上述した実施形態では、試料液体100の秤量完了までは操作を簡単にするために一定の導入圧力を加え続けたが、図15(a),(b)に示したように流出圧力を経時的に減衰させた場合には、前記のように過剰な圧力が長時間掛かるリスクを避けることができる。圧力制御器2から供給する圧力を一定にするか経時的に減衰させるかは、チップ1の構成と試料液体100の種類や量などとによって適宜決定すればよい。また、必要であれば試料液体100に与える圧力を経時的に増大させる制御も適宜行なってもよい。
試料液体100を流路Aに導入する導入方法に関しては、例えば、流路Aの末端開放部に試料液体100を分注し、その後、流路Aと圧力制御器2とを接続した後に圧力を制御して試料液体100の操作を行なう方法がある。この方法では、流路Aの末端開放部、即ち開口4Aupに試料液体100を分注する機構を備えるのが望ましい。この場合、流路Aの末端開放部に接続される圧力制御器2と、液体検体100を分注する機構とは同じ装置であってもよく、また、別体として設けても良い。
また、流路Aに対して試料液体100を導入する場合に関して、圧力制御器2に接続された、例えばサンプルループに試料液体100を導入してそのサンプルループから流路Aに試料液体100を導入しても良いが、資料液体100の取得に関しては、必ずしも圧力制御による機器を用いなくてもよく、例えば通常の流量制御機器を用いてもよい。この場合、資料液体100の取得時は流量制御機器を用い、その後バルブを切り換えるなどして、流路A内以降での試料液体100の操作は圧力制御器2で行なうようにする。
[発明の使用方法]
以下に本発明の使用方法の一例としてタンパク質結晶化の方法を記載するが、本発明の使用方法は以下の記載に限定されるものではない。
圧力を制御しながら微量な試料液体100の操作を行ない、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを微少量秤取して、タンパク質の結晶化を行なうためには、以下の工程を行なう。
第1の工程として、タンパク質溶液及び沈殿剤溶液を導入するための開口(液体導入用開口部)4Aupを有する流路Aと、流路Aとは別に設けられた流路Bと、流路A及び流路Bのそれぞれに開口して流路A及び流路Bを連結する流路Cとを有するチップと、開口4Aupに接続された圧力制御器2(たとえば、図13,16と同様の構成を有するもの)とを用意する。
第2の工程として、流路Aにタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、圧力制御器2を用いて流路A内の圧力を制御して流路Cが流路Aに開口する開口部(連結開口部)c1を介して流路Cにタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御した第1導入圧力を圧力制御器2からタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方に与えて、流路Aに残存するタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を開口部c1と接触しない位置まで移動させ、第1導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第1流出圧力を加えることにより、流路C内のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を流路Bに流出させる。なお、圧力制御器2として図13,16の圧力制御器2と同様の構成のものを用いた場合は、第1導入圧力はコントローラ205の第1制御部によって制御され、第1流出圧力はコントローラ205の第2制御部によって制御される。
第3の工程として、流路Aにタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、圧力制御器2を用いて流路A内の圧力を制御して開口部c1を介して流路Cにタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、流路A内の圧力と流路B内の圧力との差に基づいて制御した第2導入圧力を圧力制御器2からタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方に与えて、流路Aに残存するタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を開口部c1と接触しない位置まで移動させ、第2導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第2流出圧力を加えることにより、流路C内のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を流路Bに流出させ、上記第2の工程で流出させたタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方と流路B中で接触・合一させる。なお、圧力制御器2として図13,16の圧力制御器2と同様の構成のものを用いた場合は、第2導入圧力はコントローラ205の第1制御部によって制御され、第2流出圧力はコントローラ205の第2制御部によって制御される。
第4の工程として、上記第3の工程で接触・合一させたタンパク質及び沈殿剤溶液中からタンパク質結晶を析出させる。
このタンパク質結晶化方法においては、流路B内でタンパク質結晶の析出が起こるので、必要に応じて合一させた溶液を適当な時間静置後、結晶析出の有無を確認する。
結晶析出の確認手段は、それ自体既知の適当な検出手段、例えば目視、顕微鏡観察などにより行なえばよい。また、析出したタンパク質結晶は、それ自体既知の適当な方法、例えば適当な液体を導入して流出させる等して、採取することもできる。
ここで、上記のタンパク質結晶化方法に用いるタンパク質溶液の物性は、上述した微量液体秤取装置で用いることができるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば溶媒としては水、塩の溶液、バッファ溶液、アルコールあるいはグリセロールとその溶液、合成あるいは天然高分子溶液などが挙げられる。
用いられる沈殿剤溶液とは、タンパク質の結晶形成を促す溶液を意味する。この沈殿剤溶液の物性は、上記と同様に上述した微量液体秤取構造で用いることができるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば水、塩の溶液、バッファ溶液、アルコールあるいはグリセロールとその溶液、合成あるいは天然高分子溶液などである。また、結晶形成を促す物質として、タンパク質や高分子のゲル、多孔質シリコン(Chayenら、Journal of Molecular Biology, (2001) 312, 591-595参照)などが知られているが、それらを含んでもよい。
また、このタンパク質結晶化方法において、封止や蒸気圧の調整が必要な時は、タンパク質溶液や沈殿剤溶液と接する気相の体積が小さい方が好ましい。この場合、例えば流路Bがチャンバー構造BBを有する流路構造を有するマイクロチップ1を用いることが好ましい。
タンパク質の結晶化を行なうための方法として、例えば、バッチ法、蒸気拡散法、界面接触法、ゲル法などが知られている。ここで、上記流路構造を有するマイクロチップ1内でバッチ法、蒸気拡散法により結晶化を行なう場合について説明するが、他の方法により結晶化を行なってもよい。
バッチ法では、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを接触・合一させ、必要に応じ上記方法で流路A,B,Cを封止すればよい。
封止を行なうためには、例えば、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを流路B内で接触・合一させた後、上記の通り、蒸気圧の低く封止に適した液体(例えばパラフィンなど)を流路Aに導入すればよい。封止のための液体は、通常は、接触・合一させた液体と接触してもよく、あるいは気相を隔てて配置され、外気との開放部の間に存在して接触・合一させた液体の蒸発あるいは凝縮を防いでもよい。また、より封止効果を高めるためには、流路Bの開放部(開口4Bup,開口4Bdown)も封止することが望ましい。また、流路Bがチャンバー構造BBを有する場合、チャンバーBB近傍までを封止液体で満たすことがより望ましい。また、封止のための液体は、圧力を制御して導入することで、流路B等に過剰に導入されるのを防ぐことでき望ましいが、理論的あるいは経験的に、圧力制御を行なう必要がないことが明らかな際はこの限りでない。
蒸気拡散法を行なうためには、例えば、タンパク質溶液と沈殿剤溶液とを流路B内で接触・合一させた後、上記の通り、必要に応じて蒸気圧を調整する液体を流路Aに導入し、接触・合一させた溶液と流路Cとを隔てて蒸気拡散を調節すればよい。ただし、蒸気拡散法においては、接触・合一させた溶液と蒸気圧を調整する液体(沈殿剤)とが、気相を隔てて配置されていればよく、液体の配置は必ずしも前述の形である必要はない。流路Aの途中まであるいは端部に蒸気圧を調整する液体を導入して、流路A,Cを隔てて蒸気圧を調整してもよいし、流路Bの途中まで、あるいは端部に蒸気圧を調整する液体を導入して、流路Bを隔てて蒸気圧を調整してもよい。この際の液体の導入に関しても、上記封止の際と同様に、理論的あるいは経験的に、圧力制御を行なう必要がないことが明らかな際はこの限りでない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではなく、適宜変形して実施することができる。
[マイクロチップの作製]
本実施例に用いられたマイクロチップは,以下に示す製造プロセスによって作製されたものである。
まず、その製造プロセスに先だって、フォトリソグラフィーのマスクとして利用するために、マイクロチップにおける上側の基板と下側の基板とが有する流路のレイアウトのパターンを、それぞれ別々に、高解像度(例えば4064dpi)で透明フィルムに印刷した。
シリコン(Si)ウエハを、作製するマイクロチップの大きさに合わせてダイヤモンドカッターでカットし、超音波洗浄後、乾燥させ、プラズマリアクターを用いてO2プラズマ処理を200W、30秒間行なった。
次にネガティブフォトレジストSU−8をスピン塗布し(100μmの流路を作製する場合にはSU−8 50を用い2000rpmで10秒、10μmの流路を作製する場合にはSU−8を用い2000rpmで10秒)、その後オーブンで90℃で30分間保持した。
次に、マスクアライナーを用いて、透明フィルム上に印刷したマイクロチップにおける上側の基板および下側の基板それぞれのマイクロチャネルのレイアウトのパターンを、SU−8を塗布した別々のシリコンウエハにフォトリソグラフィーの手法を用いて転写し、さらにオーブンで90℃で30分間保持した後、Developer(Developerとしては、例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテートなどを用いることができる)の中に浸して現像し、イソプロピルアルコール、続いて蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
こうして作製されたマスターは、上側の基板及び下側の基板のマイクロチャネルの鋳型となる凸型構造を有するものである。
次に、型取り後のPDMS(ポリジメチルシロキサン)レプリカの取り外しがスムーズになるように、PDMSのプレポリマーを注ぎ入れる前に、3%ジメチルオクタデシルクロロシラン/トルエン溶液中で2時間保持し、表面処理を行なった。
次に、PDMSのプレポリマーとキュアリング試薬(キュアリング試薬としては、例えば「Sylgard 184:Dow Corning Co.、MI」を用いることができる。)を10:1の重量比で混合し、充分に撹拌した後、マスターを設置するためにアクリルを用いて作製した枠の中に注ぎ、90℃で30分間保持してキュアリングを行なった。
上記キュアリングの後に、PDMSレプリカをマスターから引き剥がすことにより、マイクロチップの上側の基板と下側の基板とがそれぞれ得られた。さらに、上側の基板の下面と下側の基板の上面とをO2プラズマで処理し、結合させることにより、マイクロチップを得た。
[マイクロチップ]
本実施例で用いたPDMS製のチップは,2つの流路構造が向かい合った構造となっており、一方の秤取構造は共通の流路Aから、他方の流路構造はそれぞれ分離している流路Aから成り、チャンバー構造である流路Bを共有している。すなわち、図10(a)に全体の構造を示すように、円形なチップの内側には共通の流路A(A0)に30本の流路C(C0)が接続されており、それぞれ流路B(B12,B34,・・・)のチャンバー構造(b1,b2,・・・)へと接続されている。なお、図10(a)ではチップに形成された流路のうちの一部を示すが、実際にはこのチップには破線の矢印Xで示す順に並んで、以下に説明するのと同様な流路A,B,Cが形成されている。この流路Bのチャンバー構造には、それぞれ独立した30個の流路A(A1,A2,・・・)が、30個の流路C(C1,C2,・・・)を介して接続されている。なお、流路Bのチャンバー構造は、隣り合う2つのチャンバーがエアベントを介して空間的に繋がっているため、本チップは、片側が封管の流路Bを30個備えているとも、あるいはチャンバーをそれぞれ2つずつ有する流路Bを15個備えているとも言える。
図10(b)は、図10(a)のIVb部の拡大図であり、向かい合った流路構造のペアを示している。なお、図10(b)ではチャンバ構造b1の容積が流路Cの容積よりもあたかも小さいように記載されているが、これは説明のために図を模式的に描いたためであり、通常はチャンバBBの容積は流路Cの容積よりも大きく形成される。基本的に本実施例のマイクロチップにおける30組の秤取/合一のための流路構造(第1の流路、第2の流路、及び、第3の流路の組み合わせ)は同等であるため、ここでは1番目のペアに関して詳細に記述する。
マイクロチップの円盤構造の内径側に存在し、共通の液体、すなわちタンパク質を秤取するための流路Aおよび流路Cが、図10(b)の流路A0及び流路C0に相当する。また、流路Bは、図10(b)の流路B12に相当する。流路B12は、狭隘部(エアベント)bbを有し、流路Cより流出した液体はエアベントを超えて流下方向に達することなくチャンバー部b1に留まるように設計されている。個別の沈殿剤を秤取するための流路Aおよび流路Cは、それぞれ流路A1、流路C1に相当する。
基本的な使用法としては、まず、タンパク質溶液導入ステップとして、タンパク質溶液を開口a001から導入し、30箇所の流路C0で秤取した後、過剰なたんぱく質溶液を開口a002から排出させる。さらに高い圧力を掛けることで、流路C0に秤取されたタンパク質溶液を流路B12のチャンバー構造であるb1に流出させる。
次に、沈殿剤溶液導入ステップとして、沈殿剤溶液を開口a011より導入し、流路C1で秤取した後に過剰な沈殿剤溶液を開口a012より排出させる。秤取時より高い適切な圧力を付加することで、流路C1に秤取された沈殿剤溶液は流路B12のチャンバー構造b1へと流出し、先にタンパク質溶液導入ステップでチャンバ構造b1へと導入されていたタンパク質溶液と接触・合一する。流出や合一の際には、チャンバー構造b1内の液体は流路B12のエアベントbbを超えることなくチャンバー構造b1に留まる。
最後に、結晶化ステップとして、チャンバー構造b1内でタンパク質を結晶化させる。
ここで、各流路の大きさは、流路A0は幅300μmで深さ100μm、流路C0の太い部分は6000μm×50μmで深さ100μm、細い部分は20μm×300μm×10μm、流路A1は幅・深さともに100μm、C1の太い部分は3000μm×100μmで深さ100μm、細い部分は20μm×300μm×10μm、流路B12のチャンバー部b1は1100μm×700μmで深さ100μm、エアベントbbは50μm×300μmで深さ10μmである。
[圧力制御器]
また,本実施例では図11に模式的に示した圧力制御器2を用いる。圧力制御器2は、圧力制御式ポンプユニット21と、チップに接続され、液体を保持し液ごとに交換可能なノズル23と、それらを接続するチューブ22とよりなる。圧力制御式ポンプユニット23は、その内部に調圧可能な圧力発生源200としてアキュムレータ201とポンプ202とを備えており、また、圧力発生源200の圧力を制御するコントローラ205を備えている。なお、コントローラ205には第1制御部と第2制御部とが設けられている。また、以下の記述における圧力は、周囲の圧力に加えた圧力である。(例えば1気圧の時に「10kPaを掛けた」場合、1013hPa+10kPa=111.3kPaを意味する。)
[操作]
操作として,以下のことを行った。
<タンパク質溶液導入ステップ>
まず、上流方向に圧縮された空気を有する、圧力制御可能な圧力制御器2のノズル23部分に、20mg/mLに調整したグルコースイソメラーゼ水溶液(タンパク質溶液;Hampton Research 社 HR7−102)を2μL導入し、流路A0の開口a001に接続した。
続いて、圧力制御器2から、コントローラ205の第1制御部により制御された15kPaの第1導入圧力を印加し、グルコースイソメラーゼ水溶液を30箇所の流路C0それぞれに導入し、各流路C0でグルコースイソメラーゼ水溶液の秤取を行なった。グルコースイソメラーゼ水溶液は、PDMS製の流路とは毛管斥力の関係にあるため、30箇所すべての流路構造において図4(d)のような秤取の様子を示した。また、15kPaの第1導入圧力を印加しつづけることで、余剰のグルコースイソメラーゼ水溶液は流路Aの開口a002より排出された。
次に、圧力制御器2から、第2制御部により制御された70kPaの第1流出圧力を印加することで、各流路C0内で秤取されたグルコースイソメラーゼ水溶液を流路B(B12,B34,・・・)へ流出させた。第1流出圧力の印加に伴い、ほぼ同時にすべての流路C0のグルコースイソメラーゼ水溶液は流路B(B12,B34,・・・)へと流出し、流路B内のチャンバー構造b1,b2,b3,b4・・・内に留まった(図12(a)参照)。
圧力制御器2のノズル23をチップから外した後、外気との接触を断ち封止するために、開口a001から流路A0に不揮発性のパラフィンを導入した。パラフィンは流路A0と毛管引力の関係にあるため、開口a001にパラフィンを接触させるだけで、自発的に流路内に導入された。その結果、導入されたパラフィンは流路C0内に進入し、いずれの流路C0もパラフィンによって閉鎖された(図12(b)参照)。
<沈殿剤溶液導入ステップ>
(沈殿剤溶液P01)
圧力制御器2のノズル23部分に、沈殿剤溶液として、0.1M濃度のTrisバッファ(pH 8.5)中に、PEG(ポリエチレングリコール) 4000が30%、Li2SO4が0.2Mの濃度で溶解している沈殿剤溶液P01(Hampton Research 社 Crystal Screen HT中に含まれる)を1μL導入し、外側の流路A1の開口a011に接続した。
続いて、圧力制御器2から、コントローラ205の第1制御部により制御された3kPaの第2導入圧力を印加し、流路C1に沈殿剤溶液P01を導入し、流路C1において沈殿剤溶液P01の秤取を行なった。沈殿剤溶液P01は、PDMS製の流路とは毛管斥力の関係にあるため、図4(d)のような秤取の様子を示した。また、3kPaの第2導入圧力を印加しつづけることで、余剰の沈殿剤溶液P01は流路A1の開口a012より排出された。
次に、圧力制御器2から、コントローラ205の第2制御部により制御された70kPaの第2流出を印加して、流路C1内の沈殿剤溶液P01を流路B12のチャンバ構造b1へ流出させた。圧力の印加に伴い、流路C1内の沈殿剤溶液P01はチャンバ構造b1内に流出した後、上記タンパク質溶液導入ステップでチャンバ構造b1内に導入されたグルコースイソメラーゼ溶液と接触・合一した。合一したグルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P01とは、流路B内のチャンバー構造内b1に留まった(図12(c)参照)。
(沈殿剤溶液P02)
沈殿剤溶液として、0.1M濃度のHepesバッファ(pH 7.5)中にNa Citrateを濃度が1.4Mとなるように調整した溶液(沈殿剤溶液P02)を用い、沈殿剤溶液P02を導入する第1の流路として流路A2を用い、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P02とを接触・合一させる場としてチャンバ構造b2を用い、沈殿剤溶液導入時の第2導入圧力を3kPaとし、沈殿剤流出時の第2流出圧力を70kPaとした他は、沈殿剤溶液P01の場合と同様にして、沈殿剤溶液P02をチャンバ構造b2内に導入し、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P02とをチャンバ構造b2内で接触・合一させた。
(沈殿剤溶液P03)
沈殿剤溶液として、0.1M濃度のCitrateバッファ(pH 5.6)に,iso−Propanolが20重量%,PEG 4000が20重量%となるように調整した溶液(沈殿剤溶液P03)を用い、沈殿剤溶液P03を導入する第1の流路として流路A3を用い、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P03とを接触・合一させる場としてチャンバ構造b3を用い、沈殿剤溶液導入時の第2導入圧力を5kPaとし、沈殿剤流出時の第2流出圧力を70kPaとした他は、沈殿剤溶液P01の場合と同様にして、沈殿剤溶液P03をチャンバ構造b3内に導入し、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P03とをチャンバ構造b3内で接触・合一させた。
(沈殿剤溶液P04)
沈殿剤溶液として、0.1Mの濃度のMesバッファ(pH 6.5)中に,PEG MME 5000が30重量%,(NH42SO4が0.2Mとなるように調整した溶液(沈殿剤溶液P04)を用い、沈殿剤溶液P04を導入する第1の流路として流路A4を用い、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P04とを接触・合一させる場としてチャンバ構造b4を用い、沈殿剤溶液導入時の第2導入圧力を3kPaとし、沈殿剤流出時の第2流出圧力を50kPaとした他は、沈殿剤溶液P01の場合と同様にして、沈殿剤溶液P04をチャンバ構造b4内に導入し、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P04とをチャンバ構造b4内で接触・合一させた。
(沈殿剤溶液P05)
沈殿剤溶液として、0.1MのTrisバッファ(pH 8.5)中に,PEG 4000が30重量%,Li2SO4が0.2Mとなるように調整した溶液(沈殿剤溶液P05)を用い、沈殿剤溶液P05を導入する第1の流路として流路A5を用い、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P05とを接触・合一させる場としてチャンバ構造b5を用い、沈殿剤溶液導入時の第2導入圧力を3kPaとし、沈殿剤流出時の第2流出圧力を70kPaとした他は、沈殿剤溶液P01の場合と同様にして、沈殿剤溶液P05をチャンバ構造b5内に導入し、グルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P05とをチャンバ構造b5内で接触・合一させた。
(流路の閉鎖)
圧力制御器2のノズル23をチップから外した後、外気との接触を断ち封止するために、開口a011,a021,a031,a041,a051から流路A1,A2,A3,A4,A5に不揮発性のパラフィンを導入した。また、流路B12,B34,B56にも流路B12の開口b001から不揮発性のパラフィンを導入した。流路B12,B34,B56においては、パラフィンはPDMS製の流路B12,B34,B56に対して毛管引力を有するため、図5(b)に示すように、流路B12,B34,B56のチャンバ構造b1,b2,b3,b4,b5のエアベントbbには導入されたが、チャンバ構造b1,b2,b3,b4,b5には進入しなかった。その結果、流路B12及びエアベントbbはパラフィンによって閉鎖された(図12(d)参照)。
<結晶化ステップ>
このチップを、4℃に静置し、3日後に実体顕微鏡で観察した。
その結果、チャンバ構造b1,b2,b3,b4,b5内にてグルコースイソメラーゼ溶液と沈殿剤溶液P01,P02,P03,P04,P05とがそれぞれ合一した液体中に結晶が観察された。
また、上記チップの別のチャンバ構造b6〜b30を用いて同様の操作を複数回繰り返したが、いずれの操作においても、タンパク質溶液及び沈殿剤溶液のチャンバ構造への流出について同じ結果が得られ、本方法が再現性に優れていることが確認された。
本発明は、微量な液体の操作に用いることができ、特に、分析などの他、極少量のサンプルでタンパク質の結晶化を行なう場合に用いて好適である。
本発明の一実施形態としての微量液体操作装置の概要を説明する斜視図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置の流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作方法を説明するための平面図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態の変形例の流路構造を説明する平面図である。 本発明の一実施形態の変形例の流路構造の利点を説明するための平面図である。 本発明に係る流路構造の一例を示す平面図である。 本発明に係る流路構造の一例を示す平面図である。 本発明に係る流路構造の一例を示す平面図である。 本発明に係る流路構造の一例を示す平面図である。 本発明に係る流路構造の一例を示す平面図である。 本発明に係る流路構造の第2の流路の断面の一例を示す断面図である。 本発明に係る流路構造の第2の流路の断面の一例を示す断面図である。 本発明の実施例に用いたチップを説明する平面図である。 本発明の実施例に用いたチップの要部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施例に用いた圧力制御器の概要を示す模式図である。 本発明の実施例を説明するため、チップの要部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施例を説明するため、チップの要部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施例を説明するため、チップの要部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施例を説明するため、チップの要部を拡大して示す平面図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置に用いる圧力制御器の構成を説明する図である。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置において、圧力制御器から供給される圧力特性を説明するためのタイムチャートである。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置の変形例において圧力制御器から供給される圧力特性を説明するためのタイムチャートである。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置の変形例において圧力制御器から供給される圧力特性を説明するためのタイムチャートである。 本発明の一実施形態としての微量液体操作装置に用いる圧力制御器の変形例を説明する図である。
符号の説明
1 チップ(マイクロチップ)
2 圧力制御器
3 基板
4 蓋
4Aup (液体導入用開口)
4Adown,4Bup,4Bdown 開口
21 圧力制御式ポンプユニット
22 チューブ
23 ノズル
100 試料液体
100a,100b (試料液体100の)端面
101 その他の液体
200 圧力発生源
201 アキュムレータ
202 ポンプ
203 開閉バルブ
204 開放バルブ
205 コントローラ
206 第1制御部
207 第2制御部
208 可変オリフィス
A,A′ 流路(第1の流路)
aa 壁面
B,B′ 流路(第2の流路)
bb エアベント
BB チャンバ構造
C,C′ 流路(第3の流路)
cc,cc′,cc′′ (流路Cを構成する、小さい断面積を有する)流路
CC,CC′,CC′′ (流路Cを構成する、流路ccよりも大きい断面積を有する)流路
c1,c1′,c1′′ 開口部(連結開口部)
c2,c2′,c2′′ 開口部
c3,c3′,c3′′ (流路CCと流路ccとの)境界部分
D 流路

Claims (1)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法。
    (a)タンパク質溶液及び沈殿剤溶液を導入するための液体導入用開口部を有する第1の流路と、上記第1の流路とは別に設けられた第2の流路と、上記の第1の流路及び第2の流路のそれぞれに開口して上記の第1の流路及び第2の流路を連結する第3の流路とを有するチップと、上記のチップにおける液体導入用開口部に接続された圧力制御器とを用意する工程。
    (b)上記第1の流路に上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、上記圧力制御器を用いて上記第1の流路内の圧力を制御して上記第3の流路が上記第1の流路に開口する連結開口部を介して上記第3の流路に上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を導入し、上記第1の流路内の圧力と上記の第2の流路内の圧力との差に基づいて制御した第1導入圧力を上記圧力制御器から上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方に与えて、上記第1の流路に残存する上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を上記連結開口部と接触しない位置まで移動させ、上記第1導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第1流出圧力を加えることにより、上記第3の流路内の上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方を上記第2の流路に流出させる工程。
    (c)上記第1の流路にタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、上記圧力制御器を用いて上記第1の流路内の圧力を制御して上記連結開口部を介して上記第3の流路に上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を導入し、上記第1の流路内の圧力と上記の第2の流路内の圧力との差に基づいて制御した第2導入圧力を上記圧力制御器から上記のタンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方に与えて、上記第1の流路に残存する上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を上記連結開口部と接触しない位置まで移動させ、上記第2導入圧力より高く且つ上記第1の流路内の圧力と第2の流路内の圧力との差に基づいて制御された第2流出圧力を加えることにより、上記第3の流路内の上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の他方を上記第2の流路に流出させ、上記工程(b)で流出させた上記タンパク質溶液及び沈殿剤溶液の一方と上記第2の流路中で接触・合一させる工程。
    (d)上記工程(c)で接触・合一させたタンパク質及び沈殿剤溶液中からタンパク質結晶を析出させる工程。
JP2003346366A 2003-10-03 2003-10-03 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法 Expired - Fee Related JP4374974B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003346366A JP4374974B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003346366A JP4374974B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005114430A JP2005114430A (ja) 2005-04-28
JP4374974B2 true JP4374974B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=34539310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003346366A Expired - Fee Related JP4374974B2 (ja) 2003-10-03 2003-10-03 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4374974B2 (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4630785B2 (ja) * 2005-09-30 2011-02-09 富士フイルム株式会社 秤量チップ及びそれを用いた検査方法
JP4664745B2 (ja) * 2005-06-20 2011-04-06 株式会社日立製作所 加圧式マイクロリアクタシステム
JP4726135B2 (ja) * 2005-07-14 2011-07-20 株式会社エンプラス 流体取扱装置
JP2007101221A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Fyuuensu:Kk 超高速で生体分子反応を測定する方法
JP4766680B2 (ja) * 2006-02-24 2011-09-07 株式会社エンプラス 流体取扱装置
JP4754394B2 (ja) * 2006-04-14 2011-08-24 ローム株式会社 マイクロチップ
JP5103614B2 (ja) * 2006-11-27 2012-12-19 国立大学法人九州工業大学 微量液体分取デバイス
US9550184B2 (en) 2007-02-05 2017-01-24 Shimadzu Corporation Reactor plate and reaction processing method
JP4816791B2 (ja) 2007-03-02 2011-11-16 株式会社島津製作所 反応容器プレート及び反応処理装置
US8580575B2 (en) 2007-04-13 2013-11-12 Shimadzu Corporation Reactor plate and reaction processing method
US8076129B2 (en) 2007-07-26 2011-12-13 Shimadzu Corporation Reactor plate and reaction processing method
JP4962574B2 (ja) 2007-12-10 2012-06-27 株式会社島津製作所 微小液滴操作デバイス及びそれを用いた反応処理方法
WO2009078107A1 (ja) 2007-12-19 2009-06-25 Shimadzu Corporation 分注デバイス
JP4872921B2 (ja) * 2008-01-07 2012-02-08 株式会社島津製作所 反応容器
JP4872923B2 (ja) * 2008-01-07 2012-02-08 株式会社島津製作所 反応容器
JP4872922B2 (ja) * 2008-01-07 2012-02-08 株式会社島津製作所 反応容器
JP4946918B2 (ja) * 2008-02-28 2012-06-06 株式会社島津製作所 反応容器プレート及び反応処理方法
JP5239552B2 (ja) * 2008-06-26 2013-07-17 株式会社島津製作所 反応容器プレート及び反応処理方法
JP2011027465A (ja) * 2009-07-22 2011-02-10 Kyushu Institute Of Technology 微量液体分取デバイス
JP5748447B2 (ja) * 2010-10-22 2015-07-15 アークレイ株式会社 計量装置、計量方法、及びプログラム
JP6339274B1 (ja) * 2017-06-19 2018-06-06 積水化学工業株式会社 マイクロ流体デバイス
CN114659601B (zh) * 2022-03-29 2023-11-28 重庆道盛科技有限公司 一种一体化多功能组合式新型称重设备结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005114430A (ja) 2005-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4374974B2 (ja) 微量液体操作方法を用いたタンパク質の結晶化方法
JP3749991B2 (ja) 微量液体秤取構造及び該構造を有するマイクロチップ
US11819849B2 (en) Manipulation of fluids and reactions in microfluidic systems
US20100105866A1 (en) Microfluidic manipulation of fluids and reactions
EP2621631B1 (en) Microfluidic device for production and collection of droplets of a fluid
JP5065803B2 (ja) 微量液体秤取装置、それを有するマイクロチップ及び微量な液体の秤取方法
US8889085B2 (en) Microfluidic channel for removing bubbles in fluid
US20070264705A1 (en) Apparatus and Method for Handling Cells, Embryos or Oocytes
US20020182747A1 (en) Method and structure for microfluidic flow guiding
JP2004163104A5 (ja)
JP6172711B2 (ja) マイクロチップ用の流体制御デバイスおよびその利用
US20130333761A1 (en) Multilayer microfluidic probe head with immersion channels and fabrication thereof
WO2007052471A1 (ja) マイクロリアクタおよびそれを用いた送液方法
US20170080417A1 (en) Microfluidic devices that include channels that are slidable relative to each other and methods of use thereof
JP5374446B2 (ja) 微量液滴秤取構造、マイクロ流体デバイス及び微量液滴秤取方法
JP4255891B2 (ja) タンパク質の結晶化方法
JP7323663B2 (ja) 分子の結晶化のためのマイクロ流体チップ、調製方法、前記チップを備えるデバイス、および分子の結晶化のための方法
JP2014155471A (ja) 血小板産生流路装置及び血小板産生方法
WO2010016916A2 (en) Method of creating removable barriers in microfabricated fluidic devices
JP2005538163A (ja) 生体分子結晶化のための微小流体チップ
JP2011025127A (ja) マイクロデバイス
JP2007248218A (ja) マイクロチップ
JP2006078407A (ja) 流動制御方法および流動制御装置、インクジェット装置、サンプリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090526

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees