JP4374959B2 - 圧電アクチュエータ、この圧電アクチュエータを用いた機器 - Google Patents
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Description
また、各種の駆動条件に応じて、必要十分な駆動力が得られるように制御することが望まれる。具体的には、被駆動体の質量が大きいなど負荷が大きい場合には、大きな駆動力が必要となり、被駆動体の質量が小さいなど負荷が小さな場合には、小さな駆動力で済む。また、静止状態から駆動を開始する時には大きな駆動力が必要とされるが、所望の駆動速度で安定的に駆動している間は、駆動力をさほど必要としない場合もある。このような各種の駆動条件に応じ、適切な駆動制御を行うことが望まれる。
そこで、これらの要望を満足させるために、次のような手段が採用されていた。
特許文献2によれば、振動体の振幅、位相差を検出し、検出された振幅、位相差、および駆動周波数を駆動条件に応じて変更することで当接部の楕円軌跡を調整する。これにより、製造誤差や各種の駆動条件に対応可能である。
また、特許文献3によれば、当接部の楕円軌跡の向きを監視し、当接部との接線と、当接部の楕円軌跡の長軸とが略一致するように角度調整して駆動させることで、より良好な駆動状況を実現している。この角度調整は、製造段階では、被駆動体と当接部とのレイアウト調整により行われ、機器への組み込み後では、駆動周波数の変更により行われる。そして、この角度調整により、やはり製造誤差や各種の駆動条件に対応可能である。
特許文献3では、レイアウト変更による調整は、駆動条件ごとに合わせ込みが必要となるのでその作業に手間を要する。そして、駆動周波数の変更による調整は、楕円軌跡の向きを監視する手段が必要となるから、制御回路の構成が複雑となり、やはり制御回路を駆動するのに必要な電気エネルギーが大きくなって、駆動効率が減殺される。
また、本発明の圧電アクチュエータは、前記屈曲振動電極部と前記縦振動電極部へ印加される電夏の周波数が前記縦振動の共振周波数と前記屈曲振動の共振周波数との間の周波数となるように制御される制御手段を有することを特徴とする。
これにより、振動体および被駆動体の形状誤差や、振動体の組み立て誤差が生じた場合には、電圧を印加する電極パターン等を適宜選択することで設計上の振動軌跡に補正すればよく、振動特性のばらつきを解消して、所望の駆動性能を実現できる。
また、電圧印加する電極パターンを必要に応じて変更することにより、各種の駆動条件に応じた駆動制御を行うこともできる。例えば、停止状態の被駆動体を駆動させるのに大きなトルクが必要な高負荷時には、当接部が被駆動体を押圧する方向に振動軌跡を大きくすればよく、当接部が滑らずに被駆動体を着実に駆動できるから大トルク対応に効果的である。一方、被駆動体の質量が小さいなど負荷が小さい場合や、駆動中の被駆動体の慣性によりトルクをあまり必要としない場合等の低負荷時には、被駆動体を押圧する方向の振動軌跡は小さくても良く、被駆動体の移動方向の振動軌跡を大きくとり、被駆動体の移動・回転速度を大きく出来る。この際、当接部が被駆動体を送り出す方向に振動軌跡の長軸を向ければ、被駆動体を高速駆動できる。このように、電極パターンの選択により、各種の駆動条件に応じた駆動制御を容易にできる。
ここで、この振動軌跡の調整を、位相器や、駆動周波数の調整機能を有する発振器等の装置類、および、振幅、位相差等の検出・監視制御等によって行う場合では、必要十分なトルクが得られても、これらの装置類を駆動させ、制御等を行うための電気エネルギーを余分に必要とするのであるが、電極パターンを選択的に用いることで振動軌跡の調整を行う本発明では、それらの面倒な制御等が不要であり、余分な電気エネルギーを消費せず、駆動効率が向上する。また、前述したように、駆動条件に応じた駆動制御を行うことでももちろん駆動効率が向上する。例えば、低負荷時には印加する電極パターンを減らす等の選択をすることで、消費エネルギーを抑えることが可能となる。
この発明によれば、各電極パターンと駆動信号源等の外部回路とを、制御手段によってまとめて導通できる。これにより、外部回路から遠くに配置された電極パターンと外部回路とを導通させる際に導線等を長く延ばさなくても済むので、配線作業に困難を生じない。
さらに、導通手段は振動の節近傍に配置されるので、導通手段が振動特性に与える影響を極力抑えることができる。
ここで、導通手段としては、電極パターンに対応する複数の導通パターンと、外部回路への導通用のパッドとを有する基板等を備えて構成可能である。なお、この基板等は、ポリイミド樹脂等の柔軟性かつ絶縁性を有する材質で製作されることが望ましい。また、導通手段に電極パターン同士が導通する構成を設ければ、各電極パターンに導線等を接続する必要が無く、導通に用いられる部材の数を少なくできる。さらに、導通をとる電極パターンが隣り合わない場合でも、長い導線等を用いて配線せずに済む。
この発明によれば、スイッチ機能を有する半導体素子を備えることにより、この半導体素子を実装する際には一律的に、各電極パターンに対して導通がとれるように実装すればよく、配線を変更しなくても、スイッチ機能により電極パターンの選択は任意に変更される。
したがって、駆動状況に即して、最適な電極パターンを選択的に用いることができ、より多様な駆動条件の変化に容易に対応できる。なお、このスイッチ機能により、製造誤差から生じる振動特性のばらつきも解消できる。
ここで、個別情報には、前記の情報のほかにも、インピーダンス特性と電極パターンの配列との相関関係を含めること等が考えられる。この個別情報は、圧電アクチュエータを機器へ組み込む前にあらかじめ記憶させておいてもよいし、機器への組み込み後に測定したインピーダンス特性等の振動特性を反映して、後から記憶させてもよい。
また、選択パターン情報としては、各種の駆動条件や製造誤差に応じた電極パターンの組み合わせが、複数記憶されることが望ましい。
例えば、記憶させる個別情報として、縦振動や屈曲振動の共振周波数、および反共振周波数を用いた場合であって、振動体への印加電圧の周波数を変化させて駆動条件に応じた最適な駆動周波数を求める場合では、この処理を短時間で行うことができる。つまり、共振周波数や反共振周波数があらかじめ記憶されていれば、周波数を変化させる範囲を、縦振動の反共振周波数から屈曲振動の共振周波数との間の範囲などに容易に絞り込むことが出来るためである。また、消費電流を多く要する縦共振周波数での印加を避けることもでき、消費電流過大に起因するシステムダウンも回避できる。
そして、選択パターン情報を用いると、各種の駆動条件の変化に伴い、選択パターン情報を呼び出し、この選択パターン情報によって示された電極パターンの組み合わせに従って制御可能となる。これにより、瞬時に最適な振動軌跡を生成し、所望の駆動力および駆動速度等を得ることができ、種々の駆動条件に迅速に対応できる。
また、個体番号を用いると、製造管理を容易に行える。
この発明によれば、半導体素子が、圧電素子の凹部に配置されることにより、半導体素子が凹部に納まってかさばらず、振動体の厚みを薄くできる。したがって、振動体が組み込まれる機器全体の薄型化を図ることができる。
この発明によれば、圧電素子において最も大きな振幅が得られる振動の腹の部分に電極パターンが設けられることにより、他の部分に電極パターンを設けた場合に比べて、等しい消費電力下で振動軌跡を大きく確保できるから、少ない電気エネルギーで効率良く駆動できる。
この発明によれば、前述したような圧電アクチュエータの作用効果により、製造誤差を解消し、所望の駆動性能が実現できるとともに、各種の駆動条件に応じた駆動制御を実現でき、かつ駆動効率が向上する。
この発明によれば、前述したように、電圧印加する電極パターンの数、面積、配置等に関して、圧電素子に設けられた複数の電極パターンを選択的に用いることで、同一駆動方向での振動軌跡の大きさや傾き等を変更できる。
このため、振動体や被駆動体の製造誤差に応じて、所望の振動軌跡が得られるように電極パターンを選択することにより、振動特性のばらつきを解消して、所望の駆動性能を実現できる。
また、前述したように、被駆動体の質量、駆動状況等に関して、振動軌跡を調整することで必要十分なトルク、速度が得られることにより、電極パターンを選択するだけで各種の駆動条件に応じた駆動制御が容易にできる。
さらに、本発明は、位相器や、駆動周波数の調整機能を有する発振器等の装置類、および、振幅、位相差等の検出・監視制御等の面倒な構成・制御等が不要であるため余分な電気エネルギーを消費しないうえ、電極パターンの選択によって駆動条件に応じた駆動制御を行うので、電気エネルギーに無駄が生じず、駆動効率が向上する。
ここで、縦振動と屈曲振動が組み合わされると、振動体の当接部の軌跡は、楕円軌跡となる。
この発明によれば、印加電圧の駆動周波数を前記の範囲で制御することで、縦振動および屈曲振動の振幅を十分に確保しつつ、縦振動および屈曲振動の振幅が微調整可能となるので、各種の駆動条件にきめ細かに対応でき、また、より一層効率的な駆動制御を行うことができる。
ここで、振動特性を測定できれば、振動測定をどのように行っても構わない。例えば、振動体にプローブを当接させてインピーダンス等を測定したり、振動時に生じる電圧を検出用の電極パターンを介して測定し、測定値と設計上の既定値との比較を行うことが考えられる。
この発明によれば、振動測定結果に基いて、複数の電極パターンを選択的に用いることにより、製造誤差等が補正されるので、理想的な振動特性に近づけることができる。また、駆動中に振動測定を行い、その測定結果に基いて目標値との偏差を解消するような駆動制御を行うことで、駆動条件の変化に柔軟に対応できる。
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、第一実施形態にかかる圧電アクチュエータを用いた機器としての回転型駆動装置1の平面図が、図2には、同背面図が示されている。図3および図4は、ともに回転型駆動装置1の側断面図であり、図3は図1のIII−III線断面図、図4は同IV−IV線断面図である。また、図5は、振動体2と支持体3との分解斜視図である。
図1において、回転型駆動装置1は、圧電素子22を備えた振動体2と、振動体2の振動で駆動される被駆動体としての環状の回転体100とを備えている。振動体2は、振動体2を振動可能に固定する支持体3を介して基部4に取り付けられている。また回転体100は、基部4の外周に回転可能に設けられており、振動体2や支持体3を囲むように配置されている。
なお、この回転型駆動装置1は、例えばカメラ本体に組み込まれ、回転体100の外周に掛け回されたベルトによって回転運動を伝達することでカメラのフィルムを巻き上げる、フィルム巻き上げ機構などに利用される。
補強板21は、ステンレス鋼、その他の材料から構成され、一方の短辺には幅方向略中央に略円弧凸状の当接部23が一体的に形成されている。補強板21は、当接部23の先端が回転体100の内周に当接され、内周の接線方向にほぼ直角に(回転体100の径方向に沿うように)配置されている。
また、補強板21の長辺の略中央には、幅方向両側に突出した腕部24が一体的に形成されている。腕部24は、補強板21からほぼ直角に突出しており、これらの端部にはそれぞれ孔241が穿設されている。補強板21の圧電素子22を接着する面は微小突起を有し、粗く仕上げられている。
スライド部32は、基部4に凹状に形成されたスライド溝42(図3)に配置されており、幅方向略中央には、支持体3が回転体100に対して近接離間する方向に平行となるように長孔321が複数箇所(本実施形態では二箇所)形成されている。この長孔321には、ねじ421が貫通しており、このねじ421は、基部4に形成されたねじ孔422に螺合されている。これにより、支持体3は長孔321の長手方向、つまり回転体100において、当接部23が当接される位置から回転体100の径方向に沿った方向のみにスライド可能となっている。
また、固定部31とスライド部32とは段差を有して形成されている。つまり固定部31およびスライド部32によって中央に凹状部分が形成されている。これにより、振動体2が固定部31に取り付けられた時に振動体2とスライド部32との間には隙間が形成されるので、振動体2が振動してもスライド部32やねじ421に干渉しないようになっている。
このように、ばね34の一端が支持体3に当接され、ばね34の他端が当接ピン332に当接されることにより、ばね34は支持体3を回転体100に近接する方向に付勢している。つまり、振動体2の当接部23は適当な付勢力で回転体100に押し付けられている。
また、図2に示されるように、基部4において振動体2が設けられていない側の面には、圧延銅などによる導通パターン38が形成された導通基板37が設けられており、導通ピン35は、この導通基板37をも貫通している。導通基板37は例えばポリイミド樹脂などの柔軟性かつ絶縁性を有する材料で構成されている。導通パターン38は、導通ピン35が貫通する貫通孔の周囲にそれぞれ一端が形成され、これらの一端はハンダなどによって導通ピン35に接続、導通している。また、これらの導通パターン38の他端は、導通基板37上で互いに近接した位置に配置されており、それぞれ導通端子381を形成している。
また、基部4および導通基板37において、回転体100の回転中心に対応する位置には、回転型駆動装置1を外部装置に取り付ける際に、回転体100の中心位置を位置決めする位置決め孔401,371が形成されている。
回転体100の内周部分には、当接部23が当接する方向に対して凹んだ断面円弧凹状の被当接部101が形成され、この被当接部101に振動体2の当接部23が当接されている。この被当接部101の表面は、当接部23との摩耗を低減できるように滑らかに仕上げられている。この被当接部101により、振動体2が振動して当接部23が回転体100の回転軸方向にずれた時に回転体100との係合が外れるのを防止している。
圧電素子22は、補強板21の両面の略矩形状部分に、エポキシ系樹脂等の接着剤を用いて強固に接着されている。圧電素子22の材料は、特に限定されず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
圧電素子22の寸法や、厚さ、電極の分割形態などは、所望の振動軌跡が得られるように適宜設定される。圧電素子22の寸法は、以下のように共振周波数の比率と関係し、振動軌跡の調整は、後述する電極パターンを任意に選択・変更するほか、駆動周波数を変更することにより行うこともできる。
圧電素子22の長辺と短辺との長さ比は、長辺を1とすると短辺が0.274以上であることが望ましい。この比率では、縦振動および屈曲振動が同時に現れ、楕円軌跡を得られるとともに、屈曲振動の共振周波数が縦振動の共振周波数より大きくなるので、楕円軌跡の長軸を、振動体2の長手方向よりも回転体100を送り出す方向に振ることができる。この時、縦振動の共振周波数に対する屈曲振動の共振周波数の比は、1.00以上である。
また、両振動の共振周波数の比は、1.00より大きく、1.03以下であることが望ましい。このように、両振動の共振周波数を互いに近接するように設定することで、両振動の振幅が同時に大きくなる振動周波数を設定することができる。両振動の共振周波数の比が1.03よりも大きい場合は、縦振動の共振点と屈曲振動の共振点とが離れてしまい、両振動の振幅が同時に大きくなる振動周波数を設定することができない。
上記のような圧電素子22の寸法、共振周波数の比率によれば、縦振動および屈曲振動が組み合わされて当接部23が回転体100の送り側に振られた楕円軌跡を描き、かつ、各振動の振幅が大きく確保されて大きな振動軌跡が得られる。
この図7からもわかるように、圧電素子22を縦振動と屈曲振動との共振周波数f1,f3の間で駆動すると、縦振動および屈曲振動の両方の振幅を大きく得られ、高効率で駆動できる。
なお、圧電素子22に印加される電圧の波形は特に限定されず、例えばサイン波、矩形波、台形波などが採用できる。
補強板21に対向しない側に露出した導電膜は、エッチング、ダイシング等で形成された溝によって互いに電気的に絶縁されることで、長手方向に沿った中心線を軸として線対称に配置された多数の電極パターン22A,22Bに分割されている。具体的には、圧電素子22を幅方向に十二等分する十一本の溝25Aが形成されている。また、これらの溝25Aで分割された十二個の電極のうち両端からそれぞれ五個ずつ、すなわち、十個の電極ではさらに長手方向を二等分する溝25Bが形成されている。この際、溝25Bは、縦振動および屈曲振動の節Jに沿って設けられている。以上により、圧電素子22の表面には、溝25A,25Bによって、中央に位置し、かつ圧電素子22の長手方向に連続した二つの電極パターン22Aと、電極パターン22Aの両側に二十個の電極パターン22Bとが形成される。そして、これらの電極パターン22A,22Bを適宜選択して交流電圧を印加することにより、圧電素子22に縦振動および屈曲振動を生じさせる。各電極パターン22Bは、それぞれ略等しい大きさとされており、電極パターン22Aは,電極パターン22Bの二倍の大きさとされている。これらの電極パターン22A,22Bは、補強板21を挟んで設けられた表裏両方の圧電素子22に同様に設けられている。
各電極パターン22A,22Bにはそれぞれ、図6に示されるように、圧電素子22の節Jの近傍にリード線Lが接続されている。そして、このリード線Lは、基部4に取り付けられた前述の導通ピン35(図4)に接続されている。ここで、電極パターン22A,22Bはリード線Lを介して、三つの導通ピン35に接続されており、残る一本の導通ピン35には補強板21からのリード線Lが接続されている。
第一の導通ピン35Aには、電極パターン22Aの全てと、電極パターン22Bの一部とが選択的に接続される。選択される電極パターン22Bは、電極パターン22Aに近接し、圧電素子22の長手方向に沿った中心線を軸として線対称に配置された八つの電極パターン22Bである。
この第一の導通ピン35に接続された電極パターン22A、22Bにより、圧電素子22の長手方向に伸縮する伸縮領域Y1が形成される。この伸縮領域Y1の面積は、一つの電極パターン22Bの十二倍とされる。
この第二の導通ピン35Bに接続される電極パターン22Bにより、屈曲領域X1が形成される。この屈曲領域X1の面積は、一つの電極パターン22Bの六倍とされ、伸縮領域Y1の1/2の面積とされている。
この第三の導通ピン35Cに接続された電極パターン22Bにより、別の屈曲領域X1が形成される。すなわち、この屈曲領域X1は、前述の屈曲領域X1と合わせて、圧電素子22上に二つ、たすき掛け状に形成される。二つの屈曲領域X1の面積は、相等しく設定されている。
そして、第四の導通ピン35Dには、補強板21からのリード線Lが接続される。前述の第一の導通ピン35A、第二の導通ピン35B、第三の導通ピン35Cに接続された電極パターン22A,22Bには、この第四の導通ピン35Dに接続された補強板21の導電膜との間で交流電圧が印加される。
駆動信号源Sから、制御回路Cを介して駆動信号を送信することにより、第一、第二の導通ピン35A、35Bと第四の導通ピン35D間に電圧印加すると(図8参照)、印加電圧は、第一の導通ピン35Aおよび第二の導通ピン35Bを通じて電極パターン22A,22Bまで到達し、圧電素子22の伸縮によって振動体2が励振する。
この際、図9の中の矢印にも示されるように、第一の導通ピン35Aに接続された電極パターン22A、22Bにより構成される伸縮領域Y1では、圧電素子22の伸縮によって、縦振動が励振される。
一方、伸縮領域Y1の両側では、図10の中の矢印にも示されるように、屈曲領域X1のうち、第二の導通ピン35Bに接続された電極パターン22Bにより構成される一方の屈曲領域X1で圧電素子22が伸縮する。この伸縮部位は、圧電素子22の平面中心に対して点対称であるため、前述の縦振動と交差する方向に屈曲振動が誘発される。
この際この第一の態様では、伸縮領域Y1の面積と屈曲領域X1の面積との関係により、振動体2の縦振動の振幅が屈曲振動の振幅よりも大きい。振動軌跡R1は、圧電素子22の長手方向に略沿う方向に長軸をとるため、当接部23は、回転体100に対して強く押圧されることになる。
また、回転体100を逆回転させる場合には、第二の導通ピン35Bに電圧を印加する代わりに、第三の導通ピン35Cに電圧印加すればよい。第二の導通ピン35Bに接続される電極パターン22Bと、第三の導通ピン35Cに接続される電極パターン22Bとは、圧電素子22の長手方向の中心線を軸として線対称の位置関係にあるから、第三の導通ピン35Cに電圧を印加することにより、縦振動に対する交差方向が第二の導通ピン35Bに電圧印加した場合とは線対称となる屈曲振動が誘発される。すると、当接部23の振動軌跡R1も、第二の導通ピン35Bに印加した場合とは線対称に傾斜する楕円軌跡となり、回転体100は、反対方向に回転駆動される。
なお、第三導通ピン35Cに電圧を印加して逆回転させる場合には、第二導通ピン35Bが振動検出電極となる。
図12には第二の態様での電極パターン22A、22Bの選択態様が、図13には当該選択態様による振動体2の平面図が示されている。第二の態様では、電極パターン22A、22Bが各導通ピン35に対し、次のように選択的に接続されて導通が図られる。
第一の導通ピン35Aには、二つの電極パターン22Aが接続される。
この第一の導通ピン35Aに接続された電極パターン22Aにより、圧電素子22の長手方向に伸縮する伸縮領域Y2が形成される。この伸縮領域Y2の面積は、一つの電極パターン22Bの四倍とされる。
第二の導通ピン35Bに対して選択的に接続されるのは、電極パターン22Bのうち、矩形状とされる圧電素子22の一方の対角方向で、圧電素子22の平面中心に対して点対称に配置される合計十個(片側五個)の電極パターン22Bである。これらの電極パターン22Bは、圧電素子22の対角方向に向かい合うように配置されている。
この第二の導通ピン35Bに接続される電極パターン22Bにより、屈曲領域X2が形成される。この屈曲領域X2の面積は、伸縮領域Y2の2.5倍である。
また、屈曲領域X2と、第一の態様の屈曲領域X1(図9)とでは、圧電素子22の平面中心に対して点対称に配置される電極パターン22Bの面積が相違する。屈曲領域X1では、一つの電極パターン22Bの六倍とされているのに対し、屈曲領域X2では、同十倍とされている。
これら第二の導通ピン35B、および第三の導通ピン35Cにそれぞれ接続された電極パターン22Bにより、二つの屈曲領域X2が、たすき掛け状に形成される。
第四の導通ピン35Dには、前述したように補強板21が導通されており、ここでは説明を省略する。
駆動信号源Sから、制御回路Cを介して駆動信号を送信することにより、第一、第二の導通ピン35A、35Bと第四の導通ピン35D間に電圧印加すると(図8参照)、印加電圧は、第一の導通ピン35Aおよび第二の導通ピン35Bを通じて電極パターン22A,22Bまで到達し、圧電素子22の伸縮によって振動体2が励振する。
この際、図13の中の矢印にも示されるように、第一の導通ピン35Aに接続された電極パターン22A、22Bにより構成される伸縮領域Y2では、圧電素子22の伸縮によって、縦振動が励振される。
一方、伸縮領域Y2の両側では、図14の中の矢印にも示されるように、屈曲領域X2のうち、第二の導通ピン35Bに接続された電極パターン22Bにより構成される一方の屈曲領域X2で圧電素子22が伸縮する。この伸縮部位は、圧電素子22の平面中心に対して点対称であるため、前述の縦振動と交差する方向に、屈曲振動が誘発される。
この際この第二の態様では、屈曲領域X2の面積と伸縮領域Y2の面積との関係により、振動体2の屈曲振動の振幅が縦振動の振幅よりも大きい。
また、第二の導通ピン35Bに電圧を印加する代わりに、第三の導通ピン35Cに電圧を印加すれば、回転体100は、反対方向に回転駆動される。さらに、第二、第三の導通ピン35B,35Cのいずれかを検出用に用いることができることは、第一の態様と同じである。
ところで、このように振動軌跡を調整する目的は二つある。一つには、製造誤差を補正するためである。もう一つは、駆動条件に応じて適切な駆動制御を行うためである。
振動体2を製造するには、圧電素子22に溝25A、25Bを刻設して電極パターン22A,22Bを形成し、この圧電素子22を補強板21の表裏両面に一枚ずつ、計二枚貼り合わせる。ここで、溝25A,25Bの切り方、補強板21への圧電素子22の貼り合わせ等によって製造誤差が生じうる。そこで、振動体2や回転体100の製造誤差を補正するために、前述のように、電極パターン22A、22Bを三つの導通ピン35に対して選択的に割り振って導通させる。この際、導通ピン35は、縦振動のために電圧印加される第一の導通ピン35Aと,屈曲振動のために電圧印加される第二の導通ピン35B(第三の導通ピン35C)、および振動時に生じる電圧検出用の第三の導通ピン35C(第二の導通ピン35B)というように、三つの用途に分類されて使用するため、これら三つの用途ごとに以下の手順を行うことで、各導通ピン35へ接続される電極パターン22A,22Bを選択する。
まず、事前準備として、形状誤差や貼り合わせ誤差等、設計値との誤差を有しない振動体2のマスタを用意する。そして、このマスタに対して振動測定を実施する。ここで、本実施形態では、振動測定はインピーダンスを測定することで行うが、この測定方法に限られない。この振動体2のマスタについての設計上の振動軌跡を実現するために電圧印加対象とされた電極パターン22A,22Bに対して所定の駆動周波数の下に交流電圧を印加し、インピーダンスを測定する。この測定は、例えば、節Jの近傍において、電圧印加対象とされたそれぞれの電極パターン22A,22Bに図示しないプローブを当接させて行われる。
こうして測定されたインピーダンスの特性は、設計上の理想値である既定インピーダンス特性となり、設計上の振動軌跡の指標となるものである。そして、駆動周波数と、電圧印加対象の電極パターン22A,22Bと、既定インピーダンス特性とを含むマスタ情報を作成しておく。
それにはまず、前記の三つの用途ごとに、マスタ情報における電圧印加対象の電極パターン22A,22B、および駆動周波数を参照し、これらの電極パターン22A,22B、および駆動周波数を適用して電圧印加し、図示しないプローブを電圧印加対象の電極パターン22A、22Bに当接させて、インピーダンスを測定する。
この測定結果とマスタ情報の既定インピーダンス特性との差が所定の誤差許容範囲内であれば、マスタ情報の通りに電極パターン22A,22Bを選択し、各導通ピン35と導通させる。一方、誤差許容範囲を外れる場合は、既定インピーダンス特性を実現するために、各導通ピン35に接続される電極パターン22A,22Bを選択し直す。
これは具体的には、測定したインピーダンスの特性と既定インピーダンス特性との差が所定の誤差許容範囲となるまで、電圧印加対象の電極パターン22A,22Bの選択態様を変更しながら電圧印加を行う。電極パターン22A,22Bの選択態様を変更していくと、例えば、振動軌跡R1(図11)から振動軌跡R2(図15)に向かうように、または、振動軌跡R2(図15)から振動軌跡R1(図11)へ向かうように振動軌跡が変化していくが、同時にインピーダンス特性も変化するため、このインピーダンス特性が規定インピーダンス特性に合致するように電極パターン22A,22Bを選択すれば、マスタと同様な振動軌跡を得ることができ、誤差が補正される。この電極パターン22A,22Bの選択態様の変更にあたって、例えば、電圧印加対象の電極パターン22Bの数を、電極パターン22Aの近接側から、圧電素子22の外側に向かって増やしながら、インピーダンスを測定することが考えられる。
ここで、前述のインピーダンスの測定結果によっては、電圧印加のためにも、電圧検出のためにも導通されない電極パターン22A,22Bがあってもよい。
まず、図9〜図11を参照して既に説明したが、伸縮領域Y1および屈曲領域X1の電極パターン22A,22Bを選択した場合では(第一の態様)、振動体2の当接部23は振動軌跡R1を描く。この場合は、縦振動の振幅が大きいことにより、回転体100の質量が大きい場合や回転体100に掛かる回転負荷が大きい場合でも、当設部23が滑ることなく回転体100を着実に駆動させることができる。このように第一の態様の電極パターン22A,22Bを選択すれば、質量が大きい回転体100を駆動させるのに大きなトルクが必要とされる高負荷時等の駆動条件に適合させることができる。当接部23が滑らないので磨耗も生じにくい。
(1-1)すなわち、回転型駆動装置1では、圧電素子22に設けられた複数の電極パターン22A,22Bを選択的に導通させることにより、振動軌跡を振動軌跡R1(図9),R2(図15)のように可変にでき、任意に調整できる。従って、この振動軌跡の調整により、一つには、振動体2等の製造誤差から生じる振動軌跡のばらつきを補正でき、所望の駆動性能を実現できるという効果がある。
もう一つは、前述のように、回転体100を駆動するのに要求される駆動トルクや駆動スピードの条件が異なる場合など、駆動条件に応じた駆動制御を行える。
また、このように適切な駆動制御を行えば、駆動効率も向上する。さらに、位相器、周波数可変の発信器等の装置類、振幅、位相差等の検出・監視制御等を必要としないので余分な電気エネルギーを消費せず、電極パターン22A,22Bを選択するだけで、必要十分な電気エネルギーの下、回転体100を確実に駆動でき、この点でも駆動効率を向上させることができる。また、回転型駆動装置1全体としても、同様に駆動性能、駆動効率を向上させることができる。
したがって、導通部材であるリード線Lが電極パターン22A,22Bに接続されることによる振動特性への影響を最小限にでき、駆動制御に支障が生じるのを防止できる。また、リード線Lが振動によって切断されにくく、高い信頼性を得ることができる。さらに、導通箇所が集中するので、結線作業を容易にできる。
なお、駆動中に振動測定を行い、その測定結果に基いてマスタ値との偏差を解消するように、駆動状況に即した駆動制御を行ってもよい。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
第一実施形態では、各電極パターン22A、22Bは、個別にリード線Lが接続され(図3)、これらのリード線Lが導通ピン35に接続されることで、導通が図られていた。
これに対し、第二実施形態では、電極パターン22A,22Bをまとめて導通させる導通手段を備える点が相違する。以下、具体的に説明する。
フレキシブル基板51の長辺は、圧電素子22の幅寸法(長手方向と直交する方向の寸法)とほぼ等しい寸法とされ、一対の腕部24の間に配置される。すなわち、フレキシブル基板51は、振動の節Jに対応した位置の上部に配置される。
フレキシブル基板51は、基板本体511と、この基板本体511の片面側に、長辺と平行に形成される五本の帯状の導通パターン512A,512B、512C、512D、512Eを有する。なお、導通パターン512A,512B,512C,512D,512Eと電極パターン22A,22BとはボンディングワイヤW等で接続されるが(図18)、このボンディングワイヤWは、図16および図17では図示を省略している。
五本の導通パターン512A,512B,512C、512D,512Eは、導通パターン512Cを中心に、基板本体511の長辺に沿って並走するように、エッチング加工等により形成されている。そして、これらの五本の導通パターン512A、512B、512C,512D,512Eの一端にはそれぞれ、配線512A1、512B1、512C1,512D1,512E1が接続されている。そして、配線512A1,512B1、512C1、512D1,512E1は、接続についての図示を省略したが、第一実施形態で説明した導通ピン35に接続されており、この導通ピン35を介して制御回路Cおよび駆動信号源S(図8)へと接続されている。なお、補強板21も第一実施形態と同様、リード線Lにより第四の導通ピン35Dに接続され、制御回路Cおよび駆動信号源Sと導通されている。また、配線512A1,512B1、512C1、512D1,512E11もまた、フレキシブル基板で形成されている。
ここで、導通パターン512A,512B,512C,512D、512Eは、電極パターン22A,22Bを割り振るために用いられる。すなわち、本実施形態では、縦振動のために電圧印加される導通パターン512Cと,圧電素子22における一方の対角方向の屈曲振動のために電圧印加される導通パターン512A,512E(導通パターン512B,512D)と、振動時に生じる電圧検出用の導通パターン512B,512D(導通パターン512A,512E)というように、導通パターン512A,512B,512C,512D,512Eが三つの用途に分類されて使用される。この際、縦振動のための導通パターン512Cは第一の導通ピン35へと、屈曲振動のための導通パターン512A,512E(導通パターン512B,512D)は第二の導通ピン35Bへと、電圧検出用の導通パターン512B,512D(導通パターン512A,512E)は第三の導通ピン35へと接続される。
導通パターン512A,512B,512C,512D,512Eと導通される電極パターン22A,22Bがすべて決定したら、フレキシブル基板51を圧電素子22における節Jの近傍に接着し、基板本体511に形成された導通パターン512A、512B、512C、512D,および512Eと、電極パターン22A,2BとをボンディングワイヤWにより導通させる。以上により、振動体5の製造が完了する。
なお、本実施形態では、導通パターン512A、512B,512C,512D、512Eをエッチング加工により形成したが、例えば、レーザトリミング等により導通パターンを形成してもよい。また、これら導通パターンの形状も、帯状の導通パターン512A、512B,512C,512D、512Eに限らず、屈曲振動のために導通される導通パターン512A,512Eを、一体的な形状に設けることも考えられる。
駆動信号源Sから制御回路Cを介して駆動信号を送信することにより、第一、第二の導通ピン35A、35Bと第四の導通ピン35D間に電圧印加すると(図8を参照)、印加電圧は、第一の導通ピン35Aおよび第二の導通ピン35Bを通じて導通パターン512C,512A,512Eまで到達する。さらに、印加電圧はこれらの導通パターン512C,512C,512Eに接続された電極パターン22A,22Bまで到達し、圧電素子22の伸縮によって振動体2が励振する。その結果、回転体100は一方の所定方向に回転駆動する。
また、第二の導通ピン35Bに電圧を印加する代わりに、第三の導通ピン35Cに電圧を印加すれば、導通パターン512B,512Dに接続された電極パターン22A,22Bが電圧印加され、回転体100は、反対方向に回転駆動される。
なお、導通パターン512A,512Eを屈曲振動用に用いた場合、導通パターン512B,512Dと導通されていた電極パターン22Bは、振動時に生じる電圧を検出する振動検出電極として選択される。図示しない振動検出装置と導通させると、振動検出によってより正確な駆動制御が可能となる。
(2-1)振動体5はフレキシブル基板51を備えているので、各電極パターン22A,22Bと制御回路C等とを、導通手段(本実施形態ではフレキシブル基板51)でまとめて導通できる。これにより、各電極パターン22A,22Bと導通ピン35との間に何本ものボンディングワイヤWやリード線等の導通部材を長く渡さなくても済むので、配線作業を容易に行える。
さらに、フレキシブル基板51は節J近傍に配置されるので、フレキシブル基板51が振動特性に与える影響を極力抑えることができる。そのうえ、柔軟性を有しない材質、例えば、ガラスエポキシ等で基板本体511を形成した場合でも、振動への影響を最小限にできる。
第二実施形態では、導通手段としてのフレキシブル基板51は、五つの帯状の導通パターン512A,512B、512C,512D、512Eを有していた。そして、電極パターン22A,22Bを、導通パターン512A〜512Eに割り振り、これらに対して導通の必要な電極パターン22A,22Bをワイヤボンディングによって接続していた。
これに対し、概略、第三実施形態では、導通手段としてのフレキシブル基板61は必要に応じて分割可能な導通パターンを有し、この導通パターンはスルーホールにより圧電素子22側の電極パターンと導通される点が、第二実施形態とは相違する。以下、具体的に説明する。
ここで、前記第一、第二実施形態では、圧電素子22には、溝25A,25Bによって、中央に二つの電極パターン22A、両側に二十個の電極パターン22Bが設けられていた(図6)。これに対し本実施形態では、図19等において、圧電素子22の幅方向には溝25Bの代わりに溝65Bが延びており、この溝65Bは、圧電素子22上の導電膜を二分するように横断している。この溝65Bと、長手方向に十二等分する溝25Aにより、圧電素子22には、電極パターン22Bと同形状の電極パターン62Aが二十四個設けられている。
パッド613は、矩形状の基板本体611の両方の長辺に沿って配置され、電極パターン62Aの数と同数である二十四個設けられている。各パッド613は、圧電素子22表面の節J近傍に導電性接着剤を用いて接着される。
一方、導通部612は、基板本体611の表面に形成されており、複数の平面視矩形状の導通パターン612Aと、制御回路Cへ接続される駆動用パッド612Bおよび検出用パッド612Cと、導通パターン612A、駆動用パッド612B、および検出用パッド612Cのすべてを導通させる接続パターン612Dとから一体的に構成されている。
導通パターン612Aは、基板本体611の両方の長辺に沿って配置され、電極パターン62Aの数と同数である二十四個形成されている。導通パターン612Aは,スルーホール614によりパッド613と導通されている。したがって、各電極パターン62Aは、パッド613、スルーホール614を通じて,各導通パターン612Aと導通されている。そして、各導通パターン612Aは、駆動用パッド612B,検出用パッド612Cとともに、接続パターン612Dによって互いに繋がっている。つまり、すべての電極パターン62Aは、接続パターン612D等を介し、駆動用パッド612B,検出用パッド612Cへと導通されている。
ここで、本実施形態では、電極パターン62Aを、駆動用パッド612B,および検出用パッド612Cとに割り振って導通を図る。前述のように、製作されたフレキシブル基板61は、すべての電極パターン62Aが接続パターン612D等を介して繋がった状態とされるので、接続パターン612Dを分断することで、電極パターン62Aの割り振りが行われる。
駆動用パッド612B、検出用パッド612Cと導通される電極パターン62Aがすべて決定したら、フレキシブル基板61のパッド613を圧電素子22における節Jの近傍に接着する。この状態では、すべての電極パターン62Aが、駆動用パッド612B、および検出用パッド612Cと導通されているので、駆動用パッド612B,検出用パッド612Cそれぞれに一つずつ径路が構成されるように、接続パターン612Dをレーザトリミング等により分断する。接続パターン612Dは、導通をとりたい電極パターン62Aの組み合わせに応じて、適宜分断される。以上により、振動体6の製造が完了する。
参考までに、図22には、接続パターン612Dの分断箇所が模式的に示されている。ただし、接続パターン612Dの分断態様はこれに限られない。
なお、振動体9の動作については前記各実施形態とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
(3-1)振動体6はフレキシブル基板61を備えているので、各電極パターン62Aと制御回路C等とを、また、電極パターン62A同士を、このフレキシブル基板61でまとめて導通できる。これにより、各電極パターン62Aに対して個別にワイヤやリード線等を接続する必要が無いので、導通に用いられる部材点数が少なく、配線が複雑化しない。また、導通をとる電極パターン62Aが隣り合わない場合でも、長いワイヤやリード線等を用いて配線せずに済むので、結線作業が容易となる。
そして、必要に応じて、線状の接続パターン612Dをレーザ等で容易に分断できるうえ、電極パターン62Aを任意に選択して用いることができるから、汎用性に優れる。
前記各実施形態では、振動体2、5、6を振動させた振動測定(具体的にはインピーダンス測定)結果に基き、各電極パターン22A,22B、62Aを、縦振動用/屈曲振動用/電圧検出用の用途別に割り振り、最終的に外部の制御回路等と導通していた。この導通は振動体2,6,7の製造時に行われ、各電極パターンと基板上の導通パターンとをワイヤボンディングしたり、または基板上の導通パターンをレーザトリミングすることにより、各電極パターン同士、あるいは各電極パターンと制御回路等とを導通させていた。
これに対し、第四実施形態では、スイッチ機能を有する半導体素子81を備え、この半導体素子81の有するスイッチ機能により電極パターンと制御回路等との導通を任意に切り替えている点が相違する。以下、具体的に説明する。
振動体7は、補強板21、圧電素子72、およびこの圧電素子72の表面に配置される半導体素子81、およびフレキシブル基板82を備える。補強板21は、前記各実施形態と同様の構成である。この補強板21に貼設される圧電素子72は、表裏両面に導電膜が形成されているほか、基本的な構成は、前記実施形態の圧電素子22と略同様であるが、表面から平面視四角形状に窪んだ凹部721を中央に有する。この凹部721は、半導体素子81の外形寸法に対応している。
この半導体素子81は、周縁部分に枠状に配置された複数のパッド811と、凹部721から露出する側の面に形成される複数の導通パターン812と、内部に制御部813、振動検出部814、記憶部815(いずれも図26)とを備える。
個々のパッド811と圧電素子72の各電極パターン72A、72Bとは、図25に示されるように、ボンディングワイヤWにより導通される(図23および図24では図示を省略している)。
また、制御部813は、半導体素子81の内部回路であり、駆動条件の判断や電極パターン72A、72Bの導通の切り替え(スイッチング)を行う。振動検出部814は、振動時に生じる圧電素子72の電圧を検出する回路である。
これらの個別情報Iは、振動体7を製造する段階で記憶部815に記憶される。ただし、振動体7を回転型駆動装置1へ組み込み、振動体7について振動測定を実施してから振動特性を記憶させたり、回転型駆動装置1の駆動中に記憶させたりすることも考えられる。
なお、第一実施形態、本実施形態ともに、圧電素子22、72の導電膜は溝25A、75Aにより長手方向に十二分割されており、各電極パターン22A,22Bと各電極パターン72A、72Bとの位置関係から、第一の態様、第二の態様での電極パターン22A,22Bを電極パターン72A、72Bに置き換えることができる。これにより、既に説明した第一、第二の態様での駆動状態とほぼ同様の駆動状態が実現される。
また、前述したように、第一の態様による選択態様は回転体100を駆動させるのに高トルクを必要とする高負荷時に適合し、反対に、第二の態様は低負荷時に適合する。
図26は、回転型駆動装置1の導通および構成を示すブロック図である。ここに示されるように、駆動信号源Sは、制御回路Cを介し、半導体素子81へと接続されている。圧電素子72の電極パターン72A、72Bは、半導体素子81のスイッチ機能により、制御回路Cおよび駆動信号源Sと導通可能とされている。
まず、個々の振動体7に実装する半導体素子81の記憶部815には、振動体7の個体番号id1、振動体7と共に回転型駆動装置1に組み込まれる回転体100の個体番号id2、および製造ロット番号lotを書き込む。
次に、個々の振動体7の振動測定を行い、既に書き込んだ個体番号id1、個体番号id2、製造ロット番号lotも参照しながら、縦共振周波数lr(図7のf1)、屈曲共振周波数br(図7のf3)、縦反共振周波数lar(図7のf2)、屈曲反共振周波数bar(図7のf4)などの振動体7のインピーダンス特性i、選択パターン情報pi、始動時間t、振動相関テーブルvr、規定回転速度rvを書き込む、
ここで、個々の振動体7に振動体7のマスタ情報を記憶させて、このマスタ情報との比較により、製造誤差によるばらつきを修正することも考えられる。
また、個体番号id1、個体番号id2、製造ロット番号lotは、製造管理のために活用できる。
駆動信号源S(図26)から駆動信号が送信されると、その駆動信号は制御回路Cを介して半導体素子81の制御部813に届く。半導体素子81は、後述するように駆動条件を判断し、駆動条件に応じた電極パターン72A、72Bを選択して導通させることにより、振動体7は駆動信号の示す駆動周波数の下に電圧印加されて励振する。すると、当接部23は、回転体100の被当接部101を駆動周波数の下に繰り返し押圧し、回転体100は所定方向に所定速度で回転駆動される。このように駆動が開始されると、振動検出電極として選択された電極パターン72A、72Bから電圧が検出され、検出電圧信号が振動検出部814に送信される。この検出電圧信号に基いて駆動状態が判断され、後述する駆動周波数の制御が行われる。
また、駆動信号源S(図26)から回転体100を逆回転させる駆動信号が送信された場合は、半導体素子81は、電極パターン72A、72Bの選択を、圧電素子72の長手方向に沿った中心線に対して線対称に切り替えて導通させるため、振動軌跡が反対方向に傾斜し、回転体100を逆方向に回転駆動させる。この際、電圧印加対象の電極パターン72A、72Bとともに、振動検出電極として選択された電極パターン72A、72Bについても、前記のように線対称に切り替えられる。
まず、駆動信号源Sおよび振動検出部814と電極パターン72A、72Bとの導通、および信号について説明する。
駆動信号源Sから駆動信号が発信されると、駆動信号は制御回路Cを介して半導体素子81の制御部813に送信される。すると、半導体素子81の制御部813には、記憶部815から振動体7についての個別情報Iが読み込まれ、電極パターン72A、72Bのスイッチングが行われる。これにより、電圧印加対象の電極パターン72A、72Bに対して電圧が印加され、振動体7は励振する。その結果、回転型駆動装置1が始動する。
一方、振動体7が励振すると圧電素子72は変形し、スイッチングにより振動検出電極として導通された電極パターン72A、72Bからは検出電圧信号が定期的に検出され、この検出電圧信号は、振動検出部814に受信される。
次に、半導体素子81による制御のフローを示す図27も参照しながら、半導体素子81のスイッチ機能について説明する。半導体素子81の制御部813は、記憶部815から読み込まれた振動体7の個別情報Iに基いて、電極パターン72A、72Bへの導通を切り替える。
(STEP1)駆動開始:駆動信号源Sから制御回路Cを介して半導体素子81に駆動信号が送信される。
(STEP2)第一の態様の選択(初期設定):記憶部815から読み出された選択パターン情報piに基いて、第一の態様の電極パターン72A、72Bのみを駆動信号源Sと導通するようにスイッチングする。残りの電極パターン72A、72Bは、振動検出部814と導通するようにスイッチングする。
(STEP3)駆動状態の判断:記憶部815から読み出される始動時間tを基に、駆動開始からの経過時間が始動時間tを経過したか否かを判断する。
始動時間tをまだ経過していない場合は、タイマ等により、所定の時間間隔で、始動時間tを経過するまで繰り返し当該判断を行う。
(STEP4)第二の態様の選択:始動時間tを経過すると記憶部815から選択パターン情報piを読み出し、選択パターン情報piに基いて第二の態様の電極パターン72A、72Bのみを駆動信号源Sと導通するようにスイッチングする。残りの電極パターン72A、72Bは、振動検出部814と導通するようにスイッチングする。
以上により、停止状態の回転体100は、高トルクに対応する第一の態様の下、振動体7によって着実に駆動される。そして、始動時間tが経過し、低トルクで足りる安定駆動時には、あらかじめ記憶された第二の態様が呼び出されて瞬時に切り替わり、高速で駆動される。
(STEP5)回転速度の維持(安定駆動):さらに、本実施形態では次のようなスイッチングによる駆動制御を行う。
(STEP5-1)電圧の検出:スイッチングによって振動検出電極とされた電極パターン72A、72Bからは、所定の時間間隔で検出電圧信号が繰り返し検出される。
(STEP5-2)回転速度の判断:記憶部815から読み出された振動相関テーブルvrおよび規定回転速度rvと、検出電圧信号とを基にして、実際の回転体100の回転速度の評価を行う。この評価は、検出電圧信号に振動相関テーブルvrを適用して回転速度roを導き、この回転速度roと規定回転速度rvとを比較して、速度変更が必要であるか否かを判断する。
(STEP5-2a)回転速度roが、規定回転速度rvと等しい又は許容範囲内である場合は速度変更は不要なので、以降の処理はスキップして処理(STEP5-1)に戻る。
(STEP5-2b)回転速度roが、許容範囲から外れて規定回転速度rvと相違する場合は、次の処理に進む。
(STEP5-3)駆動周波数の調整:駆動周波数を変更すると、振動体7の縦振動および屈曲振動の振幅が変更される。よって、振動体7の当接部23の振動軌跡が変更されて、振動体7の当接される回転体100の回転速度が調整、維持される。
まず、記憶部815から縦共振周波数lr、屈曲共振周波数br、縦振動の反共振周波数lar、および屈曲振動の反共振周波数barを読み出しておく。
次に、高い方の共振周波数(本実施形態では屈曲共振周波数br)から低い方の共振周波数(同縦共振周波数lr)へ向かって、駆動周波数を漸減していきながら、各駆動周波数における電圧を検出して検出電圧信号を得る。この間、検出電圧信号に対して振動相関テーブルvrを適用し、回転速度roを導く。この回転速度roと規定回転速度rvとがほぼ等しくなるまで、駆動周波数の変更を継続して行う。この処理は、周波数を変化させる範囲を、あらかじめ記憶された縦共振周波数lrから屈曲共振周波数brとの間の範囲等に容易に絞り込むことができるため、短時間で行える。
この際、印加電圧の周波数として、縦共振周波数を回避する。縦共振周波数での電圧印加は高電流となるため、それに起因するシステムダウンを回避するためである。
なお、駆動周波数を変化させる際は、屈曲共振周波数から縦共振周波数に向かって漸次上げていってもよいし、周波数を上下させて絞り込んでいってもよい。
また、記憶部815に振動体7のマスタ情報を記憶させた場合では、このマスタ情報との比較において上記と略同様に半導体素子81をスイッチングさせることにより、振動体7の製造誤差から生じる駆動状態のばらつきにも対応できる。
(4-1)スイッチ機能を有する半導体素子81を備えることにより、この半導体素子81を実装する際には一律的に、各電極パターン72A、72Bに対してボンディングワイヤW等により導通がとれるようにすればよい。このため、配線を変更しなくても、半導体素子81のスイッチ機能によって電極パターン72A、72Bの選択を任意に変更できる。つまり、電圧印加対象となるべき電極パターン72A、72Bを駆動信号源Sと導通させ、電圧検出の必要な電極パターン72A、72Bを振動検出部814と導通させるよう、電極パターン72A、72Bを瞬時に切り替えることができる。
このように電極パターン72A、72Bが切り替え自在とされているので、駆動条件にレスポンス良く対応する制御を実現することもでき、駆動性能を向上させることができる。また、マスタ情報等に基づき、設計上の駆動状態となるように電極パターン72A、72Bのスイッチングを行うことで、製造誤差にも対応できる。
このように、個別情報Iの利用により、駆動条件に応じた駆動制御や製造誤差の補正を、より容易かつ迅速に行うことができる。
また、縦共振周波数lrと屈曲共振周波数brの間で駆動周波数を制御しているので、縦振動および屈曲振動の振幅の双方を大きく確保してトルクを十分に確保できる。さらに、駆動周波数の調整により縦振動および屈曲振動の振幅を微調整できるので、駆動状況に一層きめ細かに対応した駆動制御を行うことができる。
なお、高効率となる縦振動および屈曲振動の共振周波数の比については、前述した通りである。
前記第四実施形態では、スイッチ機能を有する半導体素子81を備え、スイッチングによって電極パターン72A、72Bの導通を切り替えるとともに、駆動周波数を変更することで緻密な駆動制御を実現していた。本実施形態においても、略同様の半導体素子81を備え、スイッチングを行う点等は第四実施形態と共通するが、駆動周波数を変更する代わりに電圧印加時間を制御することにより、略同様に緻密な駆動制御を実現する点が相違する。以下、具体的に説明する。
本実施形態の半導体素子81が備える記憶部815Aには、前記の記憶部815と略同様に、振動体7の個別情報が記憶されている。ここで、記憶部815Aには、あらかじめ測定された単位時間あたりの電圧の印加時間と回転体100の回転速度との相関関係を表す印加時間テーブルitが記憶されている。
(STEP5-3A)電圧印加時間の調整:電圧印加を間欠的に行うと、電圧が印加されない間は当該電極パターン72A、72Bに対応する圧電素子72の部分が伸縮せず、その分、当接部23の振動軌跡が小さくなる。この振動軌跡の変更により、振動体7の当接される回転体100の回転速度が調整、維持される。
まず、記憶部815Aから印加時間テーブルitを読み出しておく。
次に、読み出した印加時間テーブルitにおける単位時間あたりの電圧印加時間のマップを参照して電圧印加時間を徐々に減少させていきながら、各電圧印加時間における電圧を検出して検出電圧信号を得る。この間、検出電圧信号に対して振動相関テーブルvrおよび印加時間テーブルitを適用し、回転速度roを導く。この回転速度roと規定回転速度rvとがほぼ等しくなるまで、単位時間あたりの電圧印加時間の変更を継続して行う。すなわち、所定の時間間隔により、導通させる電極パターン72A、72Bをスイッチングする。この際、あらかじめ測定され、適切な範囲で記憶された印加時間テーブルitを参照して単位時間あたりの電圧印加時間を容易に変更できる。
また、伸縮領域Y1,Y2(図9、図13を参照)、屈曲領域X1,X2(同図を参照)それぞれに所属する電極パターン72A、72Bごとに電圧印加時間の変更を行うことにより、縦振動および屈曲振動の振動成分別に、振動軌跡(例えば図11のR1、図15のR2を参照)をコントロールすることが可能となる。
以上のように、電圧印加時間の調整により振動軌跡を変更すると、振動軌跡において当接部23が回転体100の被当接部101を押圧する力が加減され、回転体100は主として慣性により回転する。このようにして、電力消費を抑えながら駆動制御でき、回転体100の回転速度が維持される。
(5-1)半導体素子81のスイッチ機能により、記憶部815Aから読み出した印加時間テーブルitを基に、所定の時間間隔で電極パターン72A、72Bへの電圧印加の有無を切り替えることができるので、振動軌跡が変更され、電力消費を抑えつつも必要十分なトルクで駆動状況に即した駆動制御を実現できる。
前記各実施形態では、圧電素子22、72には、表面の導電膜を長手方向に十二分割するように電極パターン22A,22B,62A,72A,72Bが形成されており、各電極パターン22A,22B,62A,72A,72B同士は、リード線やボンディングワイヤ等により導通されていた。
これに対し、第六実施形態では、圧電素子22には、表面の導電膜をさらに細かく分割するように多数の電極パターンが形成されており、各電極パターンは、他の方法によって互いに導通されている点が異なる。
圧電素子22の導電膜には、レーザ加工により、さらに多数の溝が形成されている。すなわち、圧電素子22には、長手方向に走る溝95Aと、この溝95Aと直交方向に形成された溝95Bにより、多数の電極パターン92Aが形成されている。
隣接する電極パターン92A同士は、互いの間の溝95A,95Bに充填されたハンダペーストPにより導通されている。ここで、ハンダペーストPを用いる代わりに、導電性接着剤を用いてもよい。図30に示されるように、溝95Aに充填すれば電極パターン92Aが幅方向に沿って連続して互いに導通し、溝95Bに充填すれば電極パターン92Aは長手方向に連続して互いに導通する。また、複数の電極パターン92Aの角隅が対向する部分に充填すれば、複数の電極パターン92Bを同時に導通させることもできる。
このように、電極パターン92Aは互いに導通されてまとめられるから、導通された電極パターン92Aのうち何れかの電極パターン92Aのみが、外部の制御回路Cおよび駆動信号源S等(図8参照)に接続されている。
(6-1)ハンダペーストPを溝95A、95Bに充填することによって電極パターン92Aを互いに導通させることができるので、微細な電極パターン92Aをワイヤやリード線等により導通させずに済むうえ、複数の電極パターン92Aが導通されてまとめられるので外部の制御回路C等への配線が少なくて済み、導通作業が容易となる。
前記第六実施形態では、電極パターン92A同士はハンダペーストP等により導通されていた。これに対し、第七実施形態では、導電性ゴムを用いて電極パターン92Aを導通する点が相違する。以下、具体的に説明する。
図32は、本実施形態の振動体9の側断面を示す部分拡大図である。振動体9は、圧電素子22、導電性ゴム製の導通部材101、フレキシブル基板82を有する。導通部材101は平板状とされて振動体9の振動の節の近傍に対応する位置に配置されており、導通手段を構成する。これらは、図32中の下側から圧電素子22、導通部材101、フレキシブル基板82の順序で積層されている。なお、フレキシブル基板82には、回転型駆動装置1の駆動制御を行う制御回路Cが構成されており、駆動信号源Sに接続されている(図8を参照)。フレキシブル基板82の裏面には導通パターン82Aが形成されており、この導通パターン82Aは導通部材101に当接している。
振動体9を製造する際は、圧電素子22を補強板21に貼り合わせた後、第一実施形態と略同様の要領で製造される。ここで、電極パターン92Aのいずれを互いに導通させるかは、製造誤差や駆動条件を勘案し、第一実施形態と同様に決定すればよい。そして、導通させない電極パターン92Aに対応する位置に凹部101Aを形成する。
(7-1)導電性を有する導通部材101によって電極パターン92Aが導通されることにより、導通部材101に凹部101Aを形成しておけば、ハンダや接着剤等を用いずに振動体9を組み立てることができることとなり、組立作業が容易となる。また、導通部材101によって、隣接しない電極パターン92A同士をも導通させることができる。
前記第六、第七実施形態では、電極パターン92A同士をハンダや接着剤を充填したり、導電性部材を用いたりして導通させていた。
これに対し、第八実施形態では、ハンダや接着剤、導通用の部材を使用することなく、他の方法により導通されている点が相違する。以下、具体的に説明する。
図33は、本実施形態の振動体10の平面図であり、図34は、図33の部分拡大図である。圧電素子22の導電膜には、前記各実施形態とほぼ同様に、長手方向に沿って延びる複数の溝115Aと、幅方向に沿って二等分するように延びる溝115Bが刻設されている。これら溝115A,115Bにより、複数の電極パターン112Aが形成されている。
(8-1)圧電素子22の導電膜に溝115A,115Bを間欠的に刻設して電極パターン112Aのすべてを導通させておき、必要に応じて溝115A,115Bの間欠部分をレーザトリミングすれば、リード線やワイヤ等の結線作業や接着剤の接着作業等を伴うことなく、微細な電極パターン112A同士を容易に導通させることができる。また、複数の電極パターン92Aが導通されてまとめられるので外部の制御回路C等への配線が少なくて済み、やはり導通作業が容易となる。さらに、溝115A,115Bの間欠部分を振動の節Jに設定していることにより、レーザトリミングによる振動特性への影響を最小限にできる。
前記各実施形態では、電極パターン22A,22B,62A,72A,72B,92A、112Aは、圧電素子22、72の一端から他端まで延びていた。
これに対し、第九実施形態では、圧電素子22の中間部位に位置する電極パターンが形成されている点が相違する。以下、具体的に説明する。
図37は、本実施形態の振動体11の平面図である。
振動体11の圧電素子22の導電膜は、前記同様、溝25Aにより長手方向に十二分割されているが、これら十二分割された導電膜はさらに、中央四本を除き、幅方向に延びる五本の溝125Bによって、圧電素子22の中央から線対称に六分割されている。したがって、圧電素子22は、中央に長手方向に延びる四つの電極パターン22Aと、長手方向両側に配置された複数の電極パターン122Bとに分割されている。また、圧電素子22の中央の溝125Bは、圧電素子22の振動の節Jに沿っている。
また、電極パターン22Bは、図示しないリード線により第一の導通ピン35A(図8参照、以下も)に接続されている。そして、電極パターン122Bは、圧電素子22の平面中心に対して点対称に配置されるように選択されて第二の導通ピン35Bに接続されている。これら第一、第二の導通ピン35A,35Bは、制御回路Cを介して駆動信号源Sに接続されている(図8を参照)。
一方、第二の導通ピン35Bに接続されない電極パターン122Bのうち、当接部23から離れて配置された電極パターン122Bの幾つかは、振動時に生じる振動検出電極122B2として第三の導通ピン35Cに接続されており、さらに振動検出装置(図示略)に接続されている。なお、第四の導通ピン35Dは、前記同様、補強板21に接続されている。
駆動信号源Sから制御回路Cを介して駆動信号を送信し、第一、第二の導通ピン35A、35Bと第四の導通ピン35D間に連続的に電圧を印加すると(図8を参照)、印加電圧は、第一の導通ピン35Aおよび第二の導通ピン35Bに接続された電極パターン22A,122Bまで到達し、回転型駆動装置1が始動する。
そして、振動検出電極122B2からの検出電圧信号に基づき、回転型駆動装置1が初動状態を抜けて安定的に駆動していることが確認できたら、腹の電極パターン122B1以外の電極パターン22A,122Bに対する印加を単位時間ごとに停止し、腹の電極パターン122B1にのみ連続的に電圧を印加するよう制御する。このように電圧印加対象となる電極パターン22A、122Bの数、面積を減らしても、回転型駆動装置1の安定駆動時にはトルクをあまり必要としないため、回転型駆動装置1は所望どおりに駆動する。
(9-1)圧電素子22において最も大きな振幅が得られる屈曲振動の腹の部分に腹の電極パターン122B1が設けられていることにより、腹の電極パターン122B1に電圧印加すれば、腹の部分に該当しない電極パターン122Bに電圧を印加した場合に比べ、等しい消費電力下で振動軌跡を大きく確保できる。したがって、電気エネルギーを節約しながら効率良く駆動できる。
図38は、本発明の変形例における振動体12の平面図である。振動体12の備える圧電素子22には、略L字状の複数の溝135Aが圧電素子22の四隅から中央に向かって配列されており、これらの溝135Aの配列態様は、圧電素子22上に略十字状の形態を構成している。これらの溝135Aによって、圧電素子22の導電膜が分割され、複数の電極パターン132Aが形成されている。これらの電極パターン132Aは、圧電素子22の端部から長手方向に延びるが、圧電素子22の中央近傍で向きを変えて腕部24側の端部まで延びている。
これにより、各電極パターン132Aを、振動の節の近傍で他の電極パターン132Aを跨がずに配線できるので、結線作業が一層容易となる。
Claims (2)
- 被駆動体に当接される当接部が短辺に形成された平板状の補強板と、この補強板の両面に積層されるとともに複数の電極が表面に形成された矩形平板状の圧電素子とを有する振動体を備え、前記複数の電極の少なくとも一部を選択して駆動信号を印加し、前記駆動信号の印加によって前記振動体は縦振動が励振され屈曲振動が誘発されることで前記当接部は楕円軌跡で振動し、前記楕円軌跡が所望する軌跡になるように前記複数の電極の選択態様を変更可能に構成された圧電アクチュエータであって、
前記複数の電極は、前記圧電素子の短辺中央に、前記圧電素子の長辺と平行に一方の短辺から他方の短辺まで形成される第1電極パターンと、前記第1電極パターンの両側に前記第1電極パターンと平行に複数形成され、前記圧電素子の長辺中央で短辺と平行な方向に分割され、前記圧電素子の平面中心に対して点対称に配置される複数の電極群からなる第2電極パターンとから構成されており、
前記駆動信号の印加により、前記第1電極パターンは縦振動が励振され、前記第2電極パターンは前記平面中心に対して対角方向で点対称となるように選択されることで屈曲振動が誘発される又は縦振動が励振されるとともに屈曲振動が誘発されることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータを備えた機器。
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