JP4374730B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置において、感光体上へのトナーあるいはトナー後処理材の固着による画像ノイズの防止や、クリーニング性向上、クリーニングブレードのめくれ防止、更には転写性を向上させるために、感光体や転写体に潤滑剤を塗布することが行われ、一定の効果を上げている。
【0003】
特開平8−278707号公報には、感光体に潤滑剤塗布装置を設け感光体に塗布した潤滑剤を転写体に転移させたり、直接中間転写体に潤滑剤を塗布して生産性を向上させるために、画像形成前後や連続画像形成の間に潤滑剤を塗布する技術が提案されている。
【0004】
また、特開平11−24449号公報には、装置の小型化のため小径感光体を採用した場合、感光体回りのスペース上の問題から感光体周囲に潤滑剤塗布機構を設けることができないことから、感光体に接触する転写体にステアリン酸金属塩等の潤滑剤を塗布し、感光体に転移させる技術が、提案されている。これは、感光体上にムラなく潤滑剤を転移させるため、画像形成工程の前後や連続画像形成工程中の像間に感光体を略1回転させて転移させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された画像形成装置では、転写体として中間転写体を用いる場合、例えば作像の前後回転時に転写体全面に塗布するような例の場合には、感光体よりも転写体の離型性があがる(高まる)ため、転写不良・中抜けといった画像不良が発生してしまうことがある。
【0006】
この現象は、特に1連のジョブにおける出力枚数が少ないようなジョブ出力が繰り返された場合に顕著に生じ易い。転写体に塗布する潤滑剤の量を減らして、このような転写時に発生する画像不良を抑制することはできるが、今度は逆に感光体への潤滑剤の転移量が少なくなりすぎるため、クリーニング性能の低下・クリーニングブレードのめくれの発生・感光体へのトナーあるいはトナー後処理剤の固着といった別の問題が発生するようになる。
【0007】
一方、転写体の一部に、例えば、連続画像形成工程中の像間に塗布するようにした場合も、例えば図4の示すようにA4からA3出力に切り替わった場合のように、サイズ(用紙サイズ)の異なる出力に切り替わったとき、A4出力における像間部分はA3出力の画像領域になるため、A4出力後のA3出力時、A3画像領域内には、潤滑剤が塗布されていないA4出力時の画像領域と潤滑剤が塗布されたA4出力時の像間領域とが混在するようになる。このため、塗布領域での中抜け等の転写不良が発生するだけでなく、A3画像領域内での転写体の離型性の違いから転写ムラが発生し均一な画像が得られないという不具合が発生するという問題がある。
【0008】
また同様に、画像形成工程中の前後の回転時にも感光体に略1回転程度の塗布をするようにした場合においても、中間転写体の一部分に潤滑剤が塗布される領域と、そうでない領域とが混在するため、上に述べた像間に塗布する場合と同様の不具合が発生するという問題がある。
【0009】
また、転写材(記録紙)を転写体上に直接保持し、転写体に保持された転写材を感光体に直接接触させ転写させる転写搬送ベルト方式においては、感光体上のトナー像を転写材に直接転写するために、転写体に転写のための電荷が与えられる。このような直接転写方式の転写体に潤滑剤を塗布する場合においても、出力サイズが大サイズに切り替えられた場合、前述したのと同様に、大サイズ出力の領域内に潤滑剤の塗布されている領域とされていない領域とが混在するため、転写体の抵抗の異なる領域が発生する。これが転写ムラとなって現れるため、均一な画像が得られないという問題が発生する。これらの現象は複数回転写を繰り返すカラー画像形成装置において特に顕著となる。
【0010】
本発明は、転写体に潤滑剤を塗布し感光体に潤滑剤を転移させることにより、感光体のクリーニング性の向上、クリーニングブレードのめくれ防止、トナーあるいはトナー後処理材の感光体への付着による画像ノイズの発生の防止をはかった画像形成装置に利用され、上に述べたような、中抜け・転写不良・転写ムラといった画像ノイズの問題が発生しない均一な画像を得ることができるような画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、像担持体に接触する転写体に潤滑剤を塗布し像担持体に潤滑剤を転移させる装置において、転写体の、副走査方向において常に非画像領域となる領域と他の領域とで、潤滑剤の塗布状態が変化させられる。そして、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域のみに潤滑剤を塗布することで、この領域に塗布された潤滑剤が像担持体に転移させられる。さらに、別の発明では、転写体に塗布した潤滑剤は、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域以外の領域のものが除去される。さらに、また別の発明では、離型性の異なる2種類の潤滑剤を転写体に塗布し、離型性の高い第1の潤滑剤が、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域のみに塗布され、第1の潤滑剤より離型性の低い第2の潤滑剤は少なくとも前記副走査方向において常に非画像領域となる領域以外に塗布される。
【0012】
なお、ここで、「離型性」とは、感光体に均一に塗布した状態でのトナーやトナーの外添剤の感光体表面からの離れやすさのことである。この「離型性」は、純水に対する接触角と相関があり、接触角が大きい物ほど離型性が高い、即ち、トナー等の付着力が弱まる。
【0013】
そして、本発明によれば、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域とそれ以外の領域で潤滑剤の塗布状態を異ならせて、転写体に接触する像担持体に転移させることで、感光体上へのトナーやトナー後処理材の固着による画像ノイズの防止や、クリーニング性向上、クリーニングブレードのめくれ防止、更には転写性を向上させながら、中間転写体上の画像形成領域となりうる領域の離型性を、常に均一かつ感光体より離型性を低く抑えることができるため、中抜けや転写不良・転写ムラという画像ノイズのない良好な画像を得ることが可能となる。
【0014】
そして、以下に示す手段によって発明の課題は解決される。すなわち、
「第1番目の発明の解決手段」
第1番目の発明の解決手段は、像担持体と、上記像担持体上に画像を形成するための作像手段と、上記像担持体上に形成された画像が転写されるための転写体と、上記像担持体上に形成された画像を上記転写体に転写するための転写手段と、上記転写体上に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布手段と、上記転写体上に塗布された潤滑剤を上記像担持体に再付着させるための再付着手段と、を備えた画像形成装置において、上記転写体上の領域であって、常に画像の形成に使用されない領域のみに、潤滑剤を塗布するように上記塗布手段は制御されるような画像形成装置である。
【0015】
「第2番目の発明の解決手段」
第2番目の発明の解決手段は、像担持体と、上記像担持体上に画像を形成するための作像手段と、上記像担持体上に形成された画像が転写されるための転写体と、上記像担持体上に形成された画像を上記転写体に転写するための転写手段と、上記転写体上に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布手段と、上記転写体上に塗布された潤滑剤を上記像担持体に再付着させるための再付着手段と、を備えた画像形成装置において、上記転写体の、副走査方向において常に非画像領域となる領域での潤滑剤塗布量が他の領域の潤滑剤塗布量に比べて多くなるように、潤滑剤の塗布状態が変化させられる画像形成装置である。
【0016】
「第3番目の発明の解決手段」
第3番目の発明の解決手段は、第1番目又は第2番目の発明の画像形成装置において、上記転写手段と上記再付着手段とが同一のものである画像形成装置である。
【0017】
「第4番目の発明の解決手段」
第4番目の発明の解決手段は、第1番目の発明の画像形成装置において、この画像形成装置が、更に、上記転写体に上記潤滑剤より離型性が低い第2の潤滑剤を少なくとも所定の非画像領域以外の領域に塗布する第2の塗布手段を備えている画像形成装置である。
【0031】
ここで、上記作像手段は電子写真方式又は静電記録方式(マルチスタイラス)を含む作像手段とすることができ、上記転写体は、転写搬送体又は中間転写体を含む転写体とすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明では、像担持体に接触する転写体に潤滑剤を塗布し像担持体に潤滑剤を転移させる装置において、転写体の、副走査方向において常に非画像領域となる領域と他の領域とで、潤滑剤の塗布状態が変化させられる。以下3つの実施例を示して本発明を説明する。
【0033】
第1の実施例では、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域のみに潤滑剤を塗布することで、この領域に塗布された潤滑剤が像担持体に転移させられる。第2の実施例では、転写体に塗布した潤滑剤は、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域以外の領域のものが除去される。第3の実施例では、離型性の異なる2種類の潤滑剤を転写体に塗布し、離型性の高い第1の潤滑剤が、転写体の副走査方向に対し常に非画像となる領域のみに塗布され、第1の潤滑剤より離型性の低い第2の潤滑剤は少なくとも前記副走査方向において常に非画像領域となる領域以外に塗布される。
【0034】
(第1実施例)
図1は、本発明を実施するフルカラー画像形成装置の概略構成(第1実施例)を示す断面図である。矢印A方向に回転する感光体1(感光体ドラム)は帯電装置2により一様に帯電され、各色に色分解された内の一色目の画像が不図示の露光装置により照射される露光光Bにより静電潜像として形成される。現像装置3はシアン(C)現像器31、マゼンタ(M)現像器32、イエロー(Y)現像器33、ブラック(K)現像器34の4個の現像器をロータリー状に配置した現像手段に保持されている。
【0035】
前記潜像に対してまず1色目の現像器で現像し感光体上に1色目のトナー像が形成される。その後、1色目のトナー像は、一次転写ローラ41により押圧された中間転写体をなす中間転写ベルト40と接触し、一次転写ローラ41に印加された転写バイアスにより形成される転写電界によって中間転写ベルト40上に転写される。
【0036】
中間転写ベルト40に転写された1色目のトナー画像は中間転写ベルト40上に保持されたまま矢印D方向に運動し、一巡後再び一次転写ローラ41の位置まで戻ってくる。その間に次の色を現像するために現像装置3はその回転中心に対して矢印C方向に略90度だけ回転し、次の色の現像器を現像位置に持ってくる。ここで再び現像を行い一次転写ローラ41により中間転写ベルト40上に転写し色を重ねていく。
【0037】
この動作を、例えば全部で4回ほど繰り返し、中間転写ベルト40上にフルカラーのトナー画像が形成されると、二次転写ローラ43が圧接され、矢印E方向に同期されて二次転写部に搬送される被転写材8上に転写され、被転写材8は図示しない定着器により定着されて機外に排出される。
【0038】
感光体1のクリーニング装置5は、転写後の感光体1の表面しか通過しないので、常時圧接状態で清掃動作を行っている。しかし、中間転写ベルト40のクリーニング装置45は、中間転写ベルト40上に4色全てが重ね合わされてから被転写材8へ一括転写されるので、4色全てが中間転写ベルト40上に重ね合わされるまでクリーニング動作を行うことはできない。このため、圧接解除機構13が設けてあり、圧接離間動作が行われている。
【0039】
ここで、クリーニング装置5および45は、ポリウレタンゴムをシート状にカットしたものを感光体1あるいは中間転写ベルト40に当接して清掃を行ういわゆるクリーニングブレードが最も一般的である。
【0040】
また、中間転写ベルト40の材料としてはポリカーボネートやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、あるいはポリイミドを主原料としてカーボンを分散させた半導電性のものが用いられている。
【0041】
中間転写体つまり中間転写ベルト40に対向して潤滑剤塗布機構10が設けられている。潤滑剤塗布機構10は、中間転写ベルト40に接触回転する潤滑剤塗布ブラシ11と潤滑剤塗布ブラシ11と略同じ長さを持つ潤滑剤供給部12を有する。潤滑剤供給部12は粉体状の固体潤滑剤を固形化したものが扱いやすさの観点から好ましいが、粉体状のまま保持容器に保持されたものでもよい。この材料としては、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Caなどの脂肪酸金属塩、又はテフロンや高級アルコールのような潤滑性を持つものであればよい。なお、潤滑剤塗布ブラシ11は潤滑剤を塗布する機能を果たせば、ブラシに限らず、ローラ等であっても、また、潤滑剤を含んだブラシやローラ等、あるいは、更に、直接固体潤滑剤を転写体に接触させるような形式をとってもよい。
【0042】
潤滑剤供給部12は、潤滑剤塗布ブラシ11に所定の圧で圧接されるようバネ等で潤滑剤塗布ブラシ11に付勢されている。潤滑剤塗布ブラシ11は回転することで一方の側では潤滑剤供給部12と接触して固形潤滑剤を掻きとり潤滑剤塗布ブラシ11に付着させ、付着させた潤滑剤を他方の側で中間転写ベルト40に接触させることにより塗布が行われる。
【0043】
潤滑剤塗布機構10によって塗布される潤滑剤の塗布幅は、少なくとも最大画像形成幅以上とされる。潤滑剤塗布機構10で中間転写ベルト40に塗布された潤滑剤は、中間転写ベルト40と感光体1が接触する一次転写部で感光体1に転移される。
【0044】
潤滑剤塗布の結果、感光体1の離型性が高まるため、感光体1上に付着した転写されないまま残された転写残トナーやトナーから離脱して感光体1に付着したトナーに外添される酸化珪素微粒子・チタン酸化合物微粒子などの後処理材が感光体クリーニングブレード51で掻き取りやすくなるため、クリーニング性向上やクリーニングブレード51をすり抜けたトナー後処理材が感光体1に固着するのを防止することができる。
【0045】
また、感光体1の離型性が高まるため一次転写部における転写時、感光体1上のトナー像が感光体1に付着する力が小さくなるため、一次転写効率が向上させられるはずである。
【0046】
しかしながら、感光体1にトナー像が付着する力が小さくなったことによって転写性が向上するようにみえるが、中間転写ベルト40にも、また、潤滑剤が塗布される。ところが、中間転写ベルト40の離型性向上の方が感光体1の離型性向上よりも上回るため、一次転写時、中間転写ベルト40とトナーの付着力が感光体1との付着力よりも相対的に弱まる。このため、総合的にみたとき、転写効率の低下・文字部の中抜け現象(微小な転写抜け)が発生しがちである。それら課題を防止する機構を以下に述べる。
【0047】
尚、前記した「離型性」とは、感光体1や中間転写ベルト40の表面からトナー等が離れやすいことを意味しており、離型性が高いほど、表面から離れやすく、付着しにくい状態にある。この「離型性」は、純水に対する接触角と相関があることがわかっており、感光体1あるいは中間転写ベルト40に、離型剤を均一にそれらに塗布した状態で、例えば、協和界面科学株式会社製全自動接触角計CA−W150で測定することができる。この時、得られた純水に対する接触角が大きいほど、離型性が高いことを示している。
【0048】
中間転写ベルト40は、その装置で決められた記録紙の最大出力サイズより、少なくとも現像装置3が指定された色の現像器を感光体1と対向する現像位置に回転させるために必要な時間に相当する長さ分だけ大きい周長を持つように形成されている。
【0049】
また、中間転写ベルト40は、前述したように合成樹脂にカーボン等の導電材を分散させた半導電性材料が用いられるが、その厚み・抵抗にはどうしても局所的なムラが生じることが避けられない。各色の一次転写を繰り返してこれらを重ね合わせたとき、このムラによって干渉が発生するので、好ましくはこれを避けるため、中間転写ベルト40の周長は、感光体1の周長の整数倍とし、全色(例えば4色)とも感光体1及び中間転写ベルト40の同じ位置に作像が行われるようにされる。
【0050】
中間転写ベルト40には、このため、図2に示すように、基準位置を示す基準位置検知孔40aが設けられている。この基準位置検知孔40aが中間転写ベルト40の回転(循環)に伴い、発光部6aと受光部6bとの間を通過することでタイミング信号を発生する。このタイミング信号を基準に、分解された各色の画像形成タイミングをとり中間転写ベルト40上の同じ位置に重ねあわせる。
【0051】
この結果、図3に模式的に示すように、中間転写ベルト40上には、副走査方向に沿って見た場合に常に画像が転写されない非画像領域が形成されている。この領域は、基準位置検知孔40aの基準タイミングにより作像動作が行われるので、いかなる時においても画像形成領域として用いられることのない領域である。しかしながら、この領域もまた、一次転写部において、感光体1に接触している領域である。
【0052】
そこで、この領域が潤滑剤塗布機構10に対向している時に、潤滑剤塗布機構10を中間転写ベルト40に接触させ潤滑剤を塗布させる。図5に、潤滑剤塗布機構10等の動作のシーケンスを示す。図5において基準位置検知孔40aによって検知された基準信号(イ)が基準位置を示している。この基準位置(基準信号)を基準に所定サイズの画像が中間転写ベルト40に転写される(ロ)。ここで、図5(ロ)の実線は最大画像サイズでない場合を示し、最大画像サイズの場合は破線で示されている。
【0053】
前述したように、最大画像サイズの領域以外には常に非画像となる領域が存在するので、その部分に潤滑剤が塗布される(ハ)。この潤滑剤塗布は、破線のように、この部分が潤滑剤塗布機構10に対向するたびに行うことができるが、潤滑剤塗布機構10の接離動作による振動が画像形成に影響することを避けるため、実線のように最終色の画像を形成後、塗布するのが望ましい。なお、図5では、作像中の場合で例示したが、装置の立ち上がり時や、作像工程の前後処理の時、基準位置から同じタイミングでこの領域に塗布するようにすることができる。
【0054】
以上述べたように、常に非画像となる領域にのみ潤滑剤を塗布し、その後の中間転写ベルト40と感光体1が接触する一次転写部で中間転写ベルト40上の潤滑剤が感光体1に転移することにより、感光体1に、潤滑剤を必要量塗布しながら、しかもそれでありながら、中間転写ベルト40上は、常に非画像となる領域のみにしか塗布されていない。
【0055】
そのため、画像領域では、常に、感光体1の離型性が中間転写ベルト40のそれより高く、且つ、中間転写ベルト40の画像領域では全く塗布されていないことになる。こうして、潤滑剤塗布ムラも発生せず、感光体1の離型性向上による、感光体1のクリーニング性の向上・トナーやトナー後処理材の感光体1への固着による画像ノイズ・一次転写時の転写効率向上・中抜けの防止の効果が安定して得られ、常に画像ノイズの無い良好な出力が得ることが可能となる。
【0056】
尚、常に非画像となる領域は、この領域で潤滑剤が転移されるため、長さとして感光体1の略1周以上存在するのが望ましい。また、転移効果を促進するため、転移時(塗布モード・画像形成工程の前後回転時・装置立ち上がり時)に、感光体1と中間転写ベルト40とに速度差を設けることにより効果的に転移可能とすることができる。さらに、常に非画像となる領域の長さが、感光体1の周長より短い場合、この領域で周長全面に塗布するように中間転写ベルト40の周速を感光体1の周速度より早くするが望ましい。
【0057】
以上の例では、1つの作像ユニットに4色の現像器をもうけてカラー画像を形成するシステムによって説明したが、中間転写ベルト(中間転写体)に複数の作像ユニットを順に配置したいわゆるタンデム型画像形成装置でも同様の効果を得ることができる。タンデム型画像形成装置の場合、中間転写ベルトに最大画像サイズの出力領域が複数取れる構成を取る場合が有る。図4にその場合の中間転写ベルトの画像形成領域を模式的に示す。
【0058】
最大画像サイズは、A3とし中間転写体上に2つのA3領域が設定されている(ロ)、この時2つのA3領域の間には、転写材の給紙・搬送タイミングをとるため非画像部を形成する必要がある。従来この時A4の画像領域は、(イ)に示すように設定するのが一般的である。この場合でも、常に安定した画像をえるため、中間転写体の同じ位置に作像するのが望ましい。この結果、図4に示されるハッチを付けた領域が、画像領域として用いられることの無い、常に非画像となる固定した領域となり、この部分に潤滑剤を塗布するように潤滑剤塗布機構を制御すればいっそう好ましい。
【0059】
(第2実施例)
図6は、本発明を実施するフルカラー画像形成装置の概略構成(第2実施例)を示す断面図である。この第2実施例では、中間転写ベルト140に複数の画像形成ユニット(100、110、120、130)を設けたタンデム型カラー画像形成装置によって本発明が説明される。
【0060】
画像形成ユニット100は、感光体101、帯電装置102、第1色露光103、第1色現像装置104、一次転写装置をなす一次転写ローラ105、感光体清掃装置106等からなり、C、M、Y、Kに色分解された第1色(C)のトナー像を通常の電子写真プロセスを用いて感光体101上に形成する。
【0061】
感光体101上に形成された第1色トナー像は、一次転写部で、一次転写ローラ105、により押圧された中間転写ベルト140に接触し、一次転写ローラ105に印加された一次転写バイアスにより形成される転写電界により、中間転写ベルト140上に転写される。
【0062】
その後、この第1色トナー像と各画像形成ユニットの一次転写部で重なり合うよう同期を取って2色目以降の各トナー像が同様の構成を有する各画像形成ユニット110、120、130によって形成され、C、M、Y、Kと順次中間転写ベルト140上に写重ねあわせられる。その後、二次転写部141で被転写材8に転写され、被転写材は図示しない定着装置で定着された後機外に排出される。
【0063】
感光体101、111、121、131はそれぞれ一次転写後、感光体清掃装置106、116、126、136によって、また、中間転写ベルト140は、二次転写後、中間転写体清掃装置142によって転写後でもなお残留しているトナーを清掃し次の画像形成サイクルに備える。
【0064】
この実施例では、これらの清掃装置は常に圧接されている。清掃部材(クリーニングブレード)および中間転写ベルト140は、第1実施例と同様の材料を用いることができる。
【0065】
中間転写ベルト140には、潤滑剤塗布装置145と潤滑剤除去装置143が設けられている。潤滑剤塗布装置145は、第1実施例と同様、潤滑剤塗布ブラシと潤滑剤供給部からなり、潤滑剤供給部は、第1実施例と同様の構成のものを用いることができる。
【0066】
この潤滑剤塗布装置145は、中間転写ベルト140に常に接触して潤滑剤の塗布を行う。一方、潤滑剤除去装置143、潤滑剤塗布装置145の上流で中間転写体清掃装置142の下流に設けるのが望ましい。この潤滑剤除去装置143は、中間転写ベルト140に接触して中間転写ベルト140上の潤滑剤を除去するための除去ウエブを含み、除去ウエブは間欠的に巻き取られることにより、ある程度の間隔で新鮮な面が中間転写ベルト140と接することで除去性能が維持されるように構成されている。また、潤滑剤除去装置143は、図示しない接離装置により、中間転写ベルト140と矢印で示すように接触・離間するよう制御される。
【0067】
中間転写ベルト140には、第1実施例と同様な基準位置検知孔が形成されており、センサ146で基準信号を取得する。中間転写ベルト140に形成する画像領域に関しては、第1実施例と同様である。
【0068】
中間転写ベルト140は、潤滑剤塗布装置145で潤滑剤が塗布され、塗布された潤滑剤は、一次転写部で中間転写ベルト140に接する感光体101(111、121、131)に転移される。その後、潤滑剤除去装置143により中間転写ベルト140上の潤滑剤が除去される。この時、潤滑剤除去装置143は、中間転写ベルト140の非画像領域以外の領域に対して、接触して潤滑剤を除去する。図7には、潤滑剤塗布装置145、潤滑剤除去装置143等の動作のシーケンスが示されている。
【0069】
このことにより、非画像部での潤滑剤塗布量が他の領域に比べて多くなることで、感光体101(111、121、131)へ十分な量の潤滑剤が転移可能となる。この時、中間転写ベルト140の画像領域の塗布量は、潤滑剤除去装置143により除去されるため、感光体101等に比べ少量となる、また画像として用いられる可能性のある全領域に対して潤滑剤が除去されるため、全てのサイズの画像に対して潤滑剤塗布ムラは発生しない。この結果、二次転写部でも、中間転写ベルト140に少量の潤滑剤が塗布されるため、転写効率が向上する。
【0070】
以上、中間転写体として中間転写ベルト140を用いたタンデム型画像形成装置で説明したが、第1実施例にのべた1つの感光体に複数の現像器を切り替えてトナー像を作像するタイプの画像形成装置においてもここに開示の技術は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。また、動作タイミングについても、ここに開示した他、画像形成装置の立ち上がり時や画像形成の前後処理時に適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第3実施例)
図8に、本発明を適用した第3実施例の画像形成装置を示し、この画像形成装置は、第2実施例と同様のタンデム型カラー画像形成装置である。図中同じ符号で示される装置は、第2実施例と同様の機能を果たすものであり、また、図6において使用されている符号の一部は省略されている。
【0072】
この実施例においては、中間転写ベルト140に潤滑剤を塗布するために、第1の潤滑剤塗布機構200と第2の潤滑剤塗布機構201の2つの潤滑剤塗布機構が設けられている。第1の潤滑剤塗布機構200および第2の潤滑剤と潤滑剤塗布機構201は、それぞれ第1実施例で述べたのと同様、潤滑剤塗布ブラシ200a、201aと潤滑剤供給部200b、201bからなる。
【0073】
第1の潤滑剤供給部200bの潤滑剤は、第2の潤滑剤供給部201bより離型性の高い材料が用いられる。例えば、第1の潤滑剤供給部200bの潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂やシリコン樹脂を含有する固形物や粉体・液体が用いられ、また、第2の潤滑剤供給部201bの潤滑剤として、オレイン酸、ステアリン酸、パルチミン酸等の有機脂肪酸とその金属塩や動植物油の固形物や粉体が用いられる。
【0074】
第1の潤滑剤塗布機構200は、第1、第2実施例で述べた、非画像となる領域のみに、図示しない接離機構により、第1の潤滑剤塗布機構200を中間転写ベルト140に接触させ潤滑剤を塗布する。一方、第2の潤滑剤塗布機構201は少なくとも、非画像領域以外の領域に第2の潤滑剤を塗布するように構成されている。
【0075】
このことにより、感光体101(111、121、131、図8ではこれらの符号は不図示)は、固定した非画像領域に塗布された離型性の高い潤滑剤が転移され、一方、中間転写ベルト140の画像形成領域には、感光体101等よりも離型性が低い潤滑剤が塗布されるため、一次転写、二次転写とも良好な転写が行われ、且つ感光体101等の離型性向上による、クリーニング性向上、トナー及びトナー後処理材の感光体101等への固着を防止可能である。
【0076】
以上第1実施例から第3実施例まで、中間転写体として中間転写ベルトの例を説明したが、ベルト上に記録紙等の転写材を直接保持・搬送し感光体と転写材を直接接触させて転写するところの転写搬送ベルトに潤滑剤を塗布する場合にも、同様に画像領域に潤滑剤の塗布されている領域とされていない領域が存在したり、転写搬送ベルトの離型性が上がりすぎることで転写材の保持能力低下による転写ずれ等を防止するため、これまでに開示した技術を適用することが可能である。
【0077】
【発明の効果】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置を使用することで感光体のクリーニング性向上・感光体へのトナーやトナーに外添される後処理材の固着を防止しながら、転写不良・中抜け・転写ムラが防止でき、出力用紙のサイズの切り替え時を含めて常に画像ノイズの無い良好な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するフルカラー画像形成装置の概略構成(第1実施例)を示す断面図である。
【図2】 基準位置を示す基準位置検知孔40aが設けられている中間転写ベルト40を示す外観図である。
【図3】 中間転写ベルト40上に、副走査方向に沿って見た場合に常に画像が転写されない非画像領域が形成されている様子を示す説明図である。
【図4】 A4出力後のA3出力時、A3画像領域内には、潤滑剤が塗布されていないA4出力時の画像領域と潤滑剤が塗布されたA4出力時の像間領域とが混在する不具合を説明するための説明図である。
【図5】 潤滑剤塗布機構10等の動作のシーケンスを示すタイムチャートである。
【図6】 本発明を実施するフルカラー画像形成装置の概略構成(第2実施例)を示す断面図である。
【図7】 潤滑剤塗布装置145、潤滑剤除去装置143等の動作のシーケンスを示すタイムチャートである。
【図8】 本発明を適用した第3実施例の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
Claims (4)
- 像担持体と、
上記像担持体上に画像を形成するための作像手段と、
上記像担持体上に形成された画像が転写されるための転写体と、
上記像担持体上に形成された画像を上記転写体に転写するための転写手段と、
上記転写体上に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布手段と、
上記転写体上に塗布された潤滑剤を上記像担持体に再付着させるための再付着手段と、
を備えた画像形成装置において、
上記転写体上の領域であって、常に画像の形成に使用されない領域のみに、潤滑剤を塗布するように上記塗布手段は制御されること
を特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、
上記像担持体上に画像を形成するための作像手段と、
上記像担持体上に形成された画像が転写されるための転写体と、
上記像担持体上に形成された画像を上記転写体に転写するための転写手段と、
上記転写体上に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布手段と、
上記転写体上に塗布された潤滑剤を上記像担持体に再付着させるための再付着手段と、
を備えた画像形成装置において、
上記転写体の、副走査方向において常に非画像領域となる領域での潤滑剤塗布量が他の領域の潤滑剤塗布量に比べて多くなるように、潤滑剤の塗布状態が変化させられること
を特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された画像形成装置において、
上記転写手段と上記再付着手段とは同一のものであること
を特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載された画像形成装置において、この画像形成装置は、更に、上記転写体に上記潤滑剤より離型性が低い第2の潤滑剤を少なくとも上記副走査方向において常に非画像領域となる領域以外の領域に塗布する第2の塗布手段を備えていること
を特徴とする画像形成装置。
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